社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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ハートの森保育園

2021年04月09日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 ハートの森保育園 評価対象サービス 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 定員: 70名  (利用者: 79名) 名
所在地 244-0801
横浜市戸塚区品濃町1024
TEL 045-825-8080 ホームページ http://ryobi.or.jp/heart/index.html
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2013年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 龍美
職員数
常勤職員:20 名
非常勤職員:10 名
専門職員
保育士:23 名
看護師:1 名
栄養士:3 名
調理師:2 名
施設・設備の概要
保育室:7
給食室、事務所、リネン室:各1
シャワー:6
園庭、ベランダ、駐車場:

③ 理念・基本方針
~龍美の保育哲学~
世界との繋がりがますます強くなっていく時代
これからは今までのように
人から与えられた価値観やルールでものを考えるのではなく
社会がどのように変化しても 自らが自らの意思で考え
必要なことを学びながら 創造的に未来を創り出していく
そんな子どもたちを龍美は育てていきたいと思っています。

~龍美の保育方針~
これからまさに世界を学び始める乳幼児期の子どもたち
その子どもたちの五感をひらき
持つ力を最大限に広げ
未来の世界に自分らしく生きる情緒豊かな人を育てたい
個性は幼い時に芽生える
その芽を大事に育て、学びの場を惜しみなく与え、
個々の才能を伸ばす「龍美教育」をしたい
それが私たち龍美の思いです。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
プロジェクト・アプローチを取り入れた保育
セミバイキング方式の配膳
音楽教室(幼児)
リズム教室(乳児)
英語教室
体操教室(幼児)
書道教室(5歳児)

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2020/08/20(契約日) ~2021/03/23(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(平成27年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1) 保育と食育の融合を多面的に推進しています
食育の年間計画を作成し、全クラスが食事づくりに参加できるよう、野菜洗いや皮むきをして旬の食材に触れ、クラス内で調理に取り組んでいます。ご飯の炊ける香りがクラスに充満するのを愉しみ、調味料を測って副菜を和えることも体験しています。世界の料理や郷土料理など、家庭の食卓にはあまり並ばないものを提供しており、ラックに置き、保護者も自由にレシピを得ることができます。業務委託から直営の給食提供となって、給食室との距離が近く融通も利き、「お米は減農薬米」「野菜・果物は地産地消の八百屋」と、材料も吟味しています。

2)身近の社会資源を生かし保育環境を高めています
保育方針である「自分らしく生きる情緒豊かな人を育てたい」に基づき、子どもが主体的に活動できる環境を整備しています。品濃公園、ターザン公園など8ヶ所の散策コースには安全マップを作り、探索の気持ちを拡げるに至っています。子どもの集会では家庭で調べてきたことを堂々とスピーチしてお友だちに褒めてもらえ、体操教室、お買い物、パン焼きなど、子どもが主体的に活動する場が多様にあります。職員も環境の一つとして、ノンコンタクトタイムによる時間創出や、日々保育を語る場として昼食後のエピソード会、職員同士が感謝を伝え合う「ハートノート」などが導入され、保育の質のバックアップにも努めています。

3)環境整備で子どもの創造性を養っています
各クラスの保育室は、6、7か所に区切られて、それぞれのコーナーでは子どもの関心に合わせ楽しいスペースとなっています。安心して自分のスペースを確保し、自分の好きなコーナーで遊ぶことができます。コーナーの壁に、ドア、鍵、ジッパー、ヒンジ等いろいろな物を取り付けて、子どもの想像力を誘っています。「知識を持つより発想力を持つ」の考えが、子どもが自ら学べる環境作りに活かされています。
改善を求められる点 1)ボランティア募集と地域交流
中学生の職業体験や企業ボランティアを受け入れています。しかし、地域との交流につながるボランティアの受け入れを行っていません。実習生と共にボランティアの受け入れは、園の開放、交流になります。園として独自のボランティア受け入れの基本姿勢を検討して、地域との関係を明示することが期待されます。

2)マニュアルの見直し
先進的な取り組みが幾つも推進されている反面、基本となるマニュアルや教本的な書面の内容において改訂が漏れている箇所が数点あります。運営の基盤となる書面についてはできれば半期、少なくとも年度で見直していくことが望まれます。また見直し・改訂の取り組みにあたり、職員参加のプロジェクトなどのチームで取り組むことで、業務に定着することが期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
開園8年目、2度目の第三者評価となりましたが、評価者の方に園の様子をしっかりと見ていただき、保育内容などについてたくさんほめていただいたことも職員の喜びとなりました。
また、保護者の皆さまから温かいお言葉をたくさんいただき、職員一同大変励みになり、 “みんなで作るハートの森”を改めて感じる有り難い機会となりました。 
評価者の方やお忙しい中アンケートにご協力くださった保護者の皆さまに感謝を申し上げます。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

理念等をガイドブックやパンフレット、、ホームページ等に記載しています。法人の使命を保育哲学、保育方針、保育所が実施する保育内容として明確にしています。方針は、「龍美の教育」「龍美の保育」の小冊子にして、職員に全員配布し定期的に研修をしています。また、希望する保護者にも小冊子を渡しています。職員の自己評価の際にチェック項目を設けて、周知の確認を行っています。職員の行動規範となるよう具体的な「職員の心構え」に表わしています。理念等は見直しを行い、わかりやすく説明資料を作り、保護者等への周知に役立てています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

事業経営をとりまく社会福祉の動向について、戸塚区園長会や横浜支部会などの集まりに参加して把握しています。園長は日本保育協会横浜支部の役員として会議に参加し、定期的に行政と話し合いを行っています。地域の園会議などにも参加して、地域での特徴や子どもの数・利用者像等を分析して経営に活かしています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

年に一度、法人の全職員が集まる研修会において、経営環境や保育の内容、職員体制、人材育成等の現状分析、具体的な課題や問題点を明らかにしています。園長は理事として法人理事会に参加し、法人の在り方や職員体制、人材育成の現状分析にもとづき、具体的な課題や問題点を明らかにしています。法人の経営状況や課題について職員に周知していますが、経営課題の解決に向けて、園内での具体的な取り組みが進むまでには至っていません。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

経営や保育に関する、中・長期の事業計画及び収支計画を策定しています。中・長期計画においては、園運営、職員育成などの目標、5年、3年計画を明確にして、解決・改善に向けた具体的な内容になっています。中・長期計画は具体的な成果等を設定して見直しも行っていますが、実施状況の評価の点で課題もあります。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

中・長期計画の内容を反映した単年度の計画を策定して、計画内容を具体的に示しています。事業計画は、園運営、保育、職員育成、地域交流の項目ごとに重点項目を掲げ、それぞれに施策を記載しています。単年度の事業計画は、実施状況の評価を行えるような内容となっていますが、すべての項目に数値目標を挙げていません。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

事業計画は、経営者会議メンバーにより協議して作成していますが、職員等の意見の集約・反映は不十分となっています。事業計画の実施状況が、あらかじめ定められた時期、手順にもとづいて把握されて、事業報告書にまとめられています。評価の結果にもとづいて事業計画の見直しも行っています。事業計画を、法人全職員が集まる研修会にて職員に周知しています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画の主な内容を、年間計画や園だより、クラスだよりで、保護者等に知らせています。保護者会が無く、事業計画を詳しく伝えていません。保護者には、年間計画として年間行事や保護者が参加するイベントを伝えています。事業計画の中の施設工事や保育変更について、分かりやすい資料により定期的におたよりや懇談会で知らせ、掲示もしています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

保育の質の向上に関するPDCAサイクルにもとづく取り組みを実施しています。保育の内容について職員が毎月5段階での自己評価を行っています。日誌や週案、月案などを通じて、リーダー、主任、副園長、園長が保育内容を確認しています。年1回組織的に園全体への評価を実施する体制が整備されています。自己評価結果を玄関に掲示しています。第三者評価等を定期的に受審しています。評価結果を分析・検討する場が、組織的に位置づけられておらず課題となっています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

評価結果やそれにもとづく課題を文書化して、会議などで職員間で課題の共有化を図っていますが、まだ徹底されていません。評価結果から明確になった課題について、職員会議などで改善計画を策定する仕組みがあります。会議では各担当で話し合えるように経営者会議、リーダー介護、クラス会議、WEB(ウェブとは蜘蛛の巣を意味する。様々な情報を関連付け、結びつける子どもの活動予想手法の一つ)会議、行事会議などを設けて、必要に応じて改善計画の見直しを行っています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

園長は、自らの保育所の経営・管理に関する方針と取り組みを明確にしています。施設長は、自らの役割と責任について、園内の会議で示すとともに園などで表明しています。園長は「職務別担当業務表」を作成し園長業務についての取り組みを明確にして、会議や研修において周知しています。有事や不在時の権限委任等を副園長、主任、副主任に委任できるように明確化しています。園内で安全管理部(担当)を決めて、災害時はそれぞれの職員が対応できるようにしています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

園長は、遵守すべき法令等を十分に理解して、利害関係者と適正な関係を保持していますが、関係者周知が徹底できていません。園長は、法令遵守の観点での法人運営研修や経営会勉強会に参加しています。園では、リサイクルなど環境への配慮等も含む幅広い分野について遵守すべきことを把握し、取り組みを行っています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

園長は、保育の質の向上に意欲をもち、十分な指導力を発揮し、保育の質の現状について各種の調査や職員面談で定期的、継続的に把握・分析を行っています。園長は、課題を把握し、改善のための具体的な取り組みを明示しています。園長は、職員の意見を反映するために組織内の各レベルの会議で話し合いの機会を設けています。保育の質の向上に向けて、ボードフォリオ(活動を壁新聞形式で報告する)研修などの教育・研修の充実を図っています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

園長は、経営改善や業務の向上に向けて、人事、財務等から分析を行っていますが、職員への理解につながっていません。園長は、職員面談で意向を聞き、人間関係を考慮して人員配置、職員の働きやすい環境整備等に取り組み、休憩室も整備しています。また、経営改善や実務の向上に、園内に副園長制や会議の充実を行い、施設管理部などの4つの部(委員会)を作っています。改善などの意見をまとめ、経営者会議にて管理職に周知し、経営改善や業務効率を高めています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

必要人材に関する考え方や法人の求める保育について小冊子「龍美の保育」に表して職員に配布しています。保育に関わる専門職の配置や人員体制について計画を策定し、その計画にもとづいて園が主体的に職員の採用を行っています。新卒を積極的に採用しようとし、就職フォーラムなどにも参加しています。園では採用時に理念などを十分に説明して理解してもらい、1日の保育体験も実施して園が求める人材確保に努めています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人の理念・基本方針にもとづき「法人の求める職員像」にて明らかにしています。人事基準を「職員の心構え・将来像」に示して、職員等に周知しています。人事基準にもとづき、年に2回園長面談において職務に関する成果や貢献度を評価しています。この一人ひとりの評価結果を考課し、人事考課につなげています。園長面談で出た職員処遇の水準の意見をまとめ、経営者会議にて分析し、管理職やリーダー層で改善策を検討しています。職員の将来の姿を示していますが、キャリアパスなどでの育成ステップを示すに至っていません。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

職員の就業状況や意向の把握等は園長と副園長が行ってシフト作成などに反映しています。欠勤・休暇届けに、有給休暇の日数を記入する欄を設けて職員の有給休暇を把握し、副園長が声掛けをし、取得促進を行っています。職員の健康と安全確保に努めていますが、メンタルサポートの体制はありません。人事考課表に「保育に関すること以外の知識向上」欄を設け、年2回の定期的な職員個別面談の機会に、幅広く職員が相談しやすいようにしています。職員の希望に沿い、ディズニーランドに出かけ、テーマを設けたチーム力アップ研修を実施しています。職員の要望により休憩室を設置して働きやすい職場づくりに取り組んでいます。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「法人の求める職員像」を明確にして、職員一人ひとりの目標管理を行っています。個別面接を行い、職員一人ひとりの目標を設定しています。目標の設定は、勤続年数によってチェック項目を変えた目標成果シートを使い目標を具体的に記した適切なものとなっています。設定した目標について、毎月個々の評価と反省と年2回の面接により、進捗状況の確認を行っています。設定した目標について、職員一人ひとりに面接を行い、目標達成度の確認を行っています。達成状況を確認して考課を行い、人事考課につなげています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

目指す保育を実施するために、「職員の心構え/将来像」を明示しています。研修の計画の中に、職員に必要とされる専門技術や専門資格は記載されていません。策定した教育・研修計画にもとづいて研修を実施しています。経営者会議において、定期的に研修計画と研修内容について、評価を行い見直しています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

それぞれの職員の知識、技術、専門資格等を把握して、習熟度に配慮したOJTによる育成を行っています。昼礼にエピソード会を開き、順番に保育への取り組みを紹介しています。勤続年数等に応じて、グループ分けをし園内研修を行っています。外部研修に関する情報提供を行い、参加を勧めています。非常勤職員にも研修参加を勧め、横浜市の食育研修に参加した事例もあります。外部研修に参加した際には報告書を作成して、全職員に周知しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

実習生の研修・育成に関する基本姿勢を明文化しています。実習体制を整えて、毎年3人程度を継続的に受け入れています。実習生の保育に関わる「実習生マニュアル」を整備して、具体的な実習プログラムを用意しています。実習担当を主任に決めていますが、指導者に対する研修を特別に実施していません。実習生については、学校側と、実習内容について事前に内容の確認を行っています。実施に当たりオリエンテーションを行い、実習生の要望を聞き、対応しています。実習中には毎日反省会を開き、対応への配慮をしています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人、保育園の理念や基本方針、保育の内容、事業計画等を公開しています。公表手段であるホームページの更新が適切でなく課題となっています。地域の福祉向上の子育て支援事業を毎月「きらきらハート」で紹介しています。第三者評価の受審状況や苦情・相談の体制や内容について、玄関に掲示して公表しています。園の玄関や横断歩道などの苦情・要望について、その対応について公表しています。保育フォーラムなどで、法人の理念、ビジョン等の冊子「龍美の教育」を希望者へ無料で配布しています。理念や園で行っている活動等を説明したパンフレットを、地域の子育て支援施設に置いて情報提供を行っています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

園における事務、経理等に関するルールを「職務別担当業務」で明確にして、職員等に知らせていますが、配布されておらず徹底が課題となっています。園の事務、経理等について内部監査や市の監査を定期的に受けて確認されています。監査で指摘を受けたところは経営者会議などで共有して改善策を出し合い、それに基づいて改善を実施しています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

地域との関わり方について基本的な考え方を中期計画や事業計画、園だよりに表しています。イベントなどの地域の情報を収集し、保護者にパンフレットやポスターなどで知らせています。子どもが地域の行事や活動に参加する際への支援体制は整っていません。園や子どもを知ってもらうために、行事に招待し一時保育、園庭開放も行っています。定期的な子育て支援事業も行い、園への理解を得る取り組みを行っています。地域のニーズに応じて、食育や離乳食の情報を提供しています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:c】

ボランティアの受け入れや地域の学校教育等への協力について、基本姿勢を明文化していません。ボランティア受け入れについて、登録手続、事前説明等が記載されたマニュアルはありません。中学生の職業体験や企業のボランティアの受け入れを行っています。ボランティアの受け入れの基本姿勢を明文化し、マニュアル整備を行うなどの受け入れ体制が期待されます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

地域の病院などのリストはありますが、個々の子ども・保護者の状況に対応できる社会資源を明示した資料を作成していません。療育センターとは連携を取り合い、定期的に来園してもらっています。気になる子どもには、状況に応じて保護者に療育センターを勧めています。関係機関と連絡を取り、職員会議で情報の共有化を図っています。園長は関連機関との会議参加を通じて、地域でのネットワーク化に取り組んでいます。家庭での虐待等が疑われる子どもへの対応について、職員会議などで情報を共有しています。常に子どもの身体や顔などをしっかりと視診し、あざや傷がある場合は、様子をみて園長が児童相談所へ相談しています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:c】

町内会長や地主の方とは話し合っていますが、自治会等との組織的な連携はありません。地域の各種会合への参加、定期的交流活動はありませんが、交流保育や一時保育を通じて地域の福祉ニーズの把握に努めています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

地域ニーズ等にもとづいた、社会福祉事業以外の貢献活動を実施していません。福祉ニーズ等にもとづき、具体的な福祉活動を、事業計画等で明示しています。社会福祉分野以外の地域コミュニティーの活性化やまちづくりなどにも、多様な機関等と連携していません。地域の地区センターにおいて食育や離乳食講座を開き、園が有する保育に関するノウハウや専門的な情報を地域に還元しています。地域の方の防災対策や被災時の支援として、園としての備えや支援方法は今後の課題となっています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

理念などに、子どもを尊重した保育実施を明示し、実践の取り組みを行っています。子どもを尊重する保育は「管理規程」で示され、職員が理解し実践しています。子どもを尊重した保育は標準的な実施方法に反映されています。保育者からではなく、子どもたちの意向から保育活動を考えて実践しています。子どもの尊重について、それぞれの会議で確認するとともに、定期的に状況の把握・評価を行っています。毎月の職員別目標成果シートの項目で、子どもを尊重しているかどうかを確認して、職員の自覚が出来ています。性差への固定的な対応をしないように配慮していますが、具体的な活動となっていません。互いに尊重する心について、子どもたちの姿「愛情を持ち、人と接することができる人」と示して取り組んでいます。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

子どものプライバシー保護について「管理規程」「個人情報保護に関する規程」「特定個人情報取扱規程」を定め、職員に研修を行っています。プライバシーに配慮した保育を実施し、プール遊び時など着替え、シャワーが外部に見えないようにフェンスをつける配慮をしています。子どもにとって生活の場にふさわしいように、コーナー保育(保育室を6分割など)で一人ひとりの意向に合わせています。子どものプライバシーを守れるよう仕切りなどの工夫を行っています。子ども・保護者にプライバシー保護に関する取り組みを説明し、同意書にて了承を得ています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

理念や保育の内容などの資料を、地域子育て支援センター等に置いています。散歩用リュックの中にパンフレットを常備し、散歩先で希望者に渡せるようにしています。園では紹介動画や見学などを通して、園の雰囲気、保育方針を丁寧に伝えて、保育所選択に役立てています。保育所の見学は説明・質疑を考えて、1日に2組としています。見学等の希望には、期間を決めず年間を通して受け付けています。見学では園の理念や考えを十分に説明して理解してもらえる配慮をしています。利用希望者に対する情報提供については適宜見直しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

保育の開始や保育内容の変更時には、保護者等の意向に配慮しています。開始・変更時にはわかりやすい資料を用いて説明しています。資料以外でも登降園システムであるPIPIO画面で伝えたり、必要があれば全家庭に登録してもらっている一斉連絡(フェアキャスト)も活用しています。保育の開始・変更時に、保護者等の同意を得た内容を書面で残していません。また、配慮が必要な保護者への説明については状況に応じて行い、ルール化された運用はありません。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

保育所等の変更にあたり、保育の継続性に配慮した手順・文書を定めています。連携園(乳児のみ)から子どもが来る際には、引継ぎ文書をもらっています。保育所の利用が終了した後でも子どもや保護者等が相談できるように説明し、園として担当者や窓口を決めています。幼保小連絡会に担当クラス職員が出席して、小学校への継続性に配慮しています。就学後も子どもたちや家庭とのつながりを大切にし、卒園児が行事に参加できるような配慮をしています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

日々の保育のなかで、職員は子どもの満足を把握するようにしています。保護者と日常的にコミュニケーションをとるなかで、子どもの情報を交換し満足度を把握しています。保護者に対し、行事ごとにアンケートを取り、利用者満足調査を行っています。保護者への個別の相談面接を行っていますが、利用者満足を把握する目的で定期的には行われていません。保護者との面談を通じて利用者満足を把握しています。利用者満足に関する調査の担当者設置や、把握した結果を検討する会議・委員会の設置はありません。利用者アンケートや第三者評価を定期的に行い、利用者の満足度を把握して改善につなげています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

「苦情処理規程」「苦情処理手順」により、苦情解決の体制を整備しています。苦情解決の仕組みを掲示するとともに、ガイドブックに分かりやすく説明しています。苦情記入カードを準備して、苦情を申し出やすいように「ご意見箱」を設置しています。苦情内容についての記録を適切に保管しています。苦情には速やかに対応できるようにしており、園長から直接話すこともあります。苦情相談内容にもとづき、経営者会議やリーダー会議などで話し合い、保育の質の向上に関わる取り組みを行っています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

ガイドブックや、個別資料で第三者委員やかながわ福祉サービス適正化委員会などを説明した文書を作成しています。複数の方法や相手を掲示して、保護者が相談したり意見を述べやすくしています。連絡ノートを使用し、保護者からの相談内容を職員で共有しています。保護者からは担任だけでなく主任や園長と話せる機会にも配慮しています。相談をしやすいスペースとして別室の環境も確保しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

職員は日々の保育の中で、保護者が相談や意見を述べやすいように配慮し、声掛けをしています。ご意見箱の設置や行事アンケートを通じて、保護者からの意見を積極的に取り入れて対応しています。マニュアルとして「要望・苦情規程/手順」「電話対応マニュアル」を研修して活用していますが、相談や意見についても整備することが課題となっています。相談や意見について経営者会議や職員会議で話し合い、保護者へ返答をしています。意見等にもとづき、保育の質の向上に関わる取り組みが行われています。個々の対応マニュアルは定期的に見直しを行っています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

「事故防止マニュアル」「事故発生(処理)マニュアル」を作成し、園内外で起きる事故に対するリスクマネジメント体制を整備しています。事故発生時の対応と安全確保について、手順等を明確にし、職員に周知しています。プール遊びが始まる時期に、必ず事故防止に関する研修を全職員が受けています。事故等は「事故報告書」「けが報告書」に記録しています。事例の収集を行い、昼礼で各クラスの本日のヒヤリハットを報告しています。収集した事例をひと月分のヒヤリハットにまとめ、すぐに対処すべきもの、改善が必要なもの等の分析を行い、改善・再発防止に取り組んでいます。安全確保策の実施状況等を、経営者会議で評価・見直しています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「感染症マニュアル」や嘔吐処理、与薬、ポイズンリムーバー、救急救命などのマニュアルを整備しています。嘔吐対応については、職員全員が研修を受けて周知徹底しています。保健衛生部(委員会)を設置し、保健衛生に関することを役割と責任を明確にしています。定期的に感染症の予防や安全確保に関する勉強会等を開催しています。関連部門からの情報を得て、感染症のマニュアルを定期的に見直しています。感染症が発生した場合は、保護者にどういった症状であるかも含めてホワイトボートに掲示して周知しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

災害時の安全確保の体制を「災害時(対応)マニュアル」「避難訓練マニュアル」で定めています。安全管理部(委員会)を配置して、災害への検討が望まれます。建物・設備類への対策を検討しています。想定外のリスクに備えて、総合的な事業継続計画(BCP)の検討が望まれます。安全管理部では定期的に備蓄の整備、見直しを行っています。防災計画を整備して、防災訓練を毎月行っています。年に一度は保護者も含めて、引き取り訓練も行っています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:b】

標準的な実施方法は、法人の保育に関する内容をまとめた「龍美の教育」に記載され、パートタイマー職を含む全職員が1冊ずつ保有したうえで、毎月職員会議の場を利用して自己評価を重ねています。「龍美の教育」は、個々の職員による保育の水準や内容の差異を無くするように標準的な実施方法を示しており、子どもの尊重、プライバシーの保護や権利擁護に関わる姿勢も記載されています。「龍美の教育」は新人のOJTの教本でもあり、標準という点では浸透していますが、個別的な保育の提供ができるかどうかについては経験の浅い職員に対しては課題が残ります。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

標準的な実施方法が記載された「龍美の教育」は、見直しをおこなうことを目的とする参会は無いものの、毎月のクラス会議とWEB会議を通じて定期の検証機会があります。「龍美の教育」は1冊の書籍の形式となっていることもあって、文字の改訂はおこなわれてはいないものの、職員は現状との差異がある箇所は認識できています。その見直し・検証にあたっては保護者の意見を反映させる仕組みはありませんが、指導計画の内容は赤ペンを入れていることが確認できます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:b】

入園前に保護者の協力を得て「家庭状況調査票」「児童健康台帳」を備え、その後は年に1度の「面談記録」が子どもの基本情報、かつアセスメントシートとして活用されています。次いで、「未摂取食材調査表」「食材状況調査表」で主にアレルギー対策を行い、子どもの情報を適切に整理しています。栄養士や看護師からの意見も集め、多様な視点を背景に協議を行う場はありますが、アセスメント手法を確立させてはいません。加配認定を受けた子どもについては、個別支援のための「配慮児個人別指導計画月案」を作成しています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

指導計画書については月案・週案を通じて週単位、月単位で評価に取り組み、年間を通しては年度末に見直しを実施することで次年度につなげていく手順としています。月齢が大きい場合、年間カリキュラムとは異なることもありますが、子どもの姿に照らすよう図っています。見直しはクラス会議で行い、その後内容はキャビネットに保管されるため他クラスのことを確認する機会はほとんどありませんが、クラス内では十分周知されています。また保護者アンケートなどで保護者の意向も指導計画の見直しに反映させています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

子どもの発達状況や生活状況は、健康記録表、保育日誌、週・月案など園で定めた統一した書式により適切に記録が残され、ボードフォリオからは子どもの表情や遊びの様子が手にとるようにわかり、毎日発信されていることから連続性も担保しています。記録は主任が赤ペンを入れ、指導計画に沿った取り組みとなるよう随時調整され、また昼礼で毎日の現場情報の共有があることを視認しました。組織図に基づき報連相の流れも明瞭とするよう配していますが、情報の精査を誰がどう行うかといった仕組みやチェック方法については課題となっています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

「個人記録は事務所管理とし、持ち出さない(閲覧も事務所内でおこなう)」「個人情報の廃棄はシュレッダーにかける」「スライドショー、ユーチューブは都度承諾書を得る」といった個人情報に係る管理ルールが任意で遂行され、「管理規程」には提供記録の保存期間も明記されていますが、保存・廃棄の具体的な方法や漏洩対策については改めて見直し、何らかの書面に明示していくことを期待します。またトラブル回避のためにも、諸所定まった後は職員、保護者にも浸透させることが求められます。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:b】

全体的な計画は児童福祉法、児童の権利に関する条約等を踏まえ、「保育理念」「保育の方針」「保育目標」を基盤に「生命の保持」「食育の推進」といった項目が盛り込まれています。保育の根幹を成す計画として作成されていますが、メンバーは園の中核を担う職員であるリーダーが中心(確認の流れ:リーダー→主任→副園長→園長)であり、保育に関わる職員の全員参加には至っていません。
また宅配業者や公共施設など地域資源を活用・交流した実績は十二分にあるものの、「職員が地域の全体像を把握しているか」については、把握していくための仕組みや記録がなく確認できません。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:b】

冷暖房完備のうえ通年空気清浄機が稼働しているほか必要に応じて加湿器を配し、温度計を配備してクラス毎に快適な環境を整えています。食事と睡眠のエリアが確保され、広々とした保育室では遊びが選択できるよう玩具によってコーナーを分け、「動の部分と静の部分」にも配慮しています。
幼児は午睡にスムーズに入れるようオルゴールをかけ、また乳児の午睡中は電話を廊下にだし、保育者の声も環境の一つとしてボリュームを常に気にかけています。安全については施設管理部による点検機会を定め、また寝具はコットの導入で清潔度を向上させていますが、玩具の水洗いなどは職員の能力頼みで任意実施のため、今後は仕組みとして確立することが望まれます。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもの個人差はA4版5枚もの情報票の集積によって把握され、毎月のクラス会議やWEB会議から、「受けとめることが基本である」「子どもを信頼し、見守り自発的に行うことができるよう待つ」という保育に向かって一貫して取り組んでいることが理解できます。
一見アプローチカリキュラムと映る公園での落ち葉拾いやパン焼きなどが、「これってなぁに?」といった子どもの不思議や発見からスタートしていて、保育者が用意するのは場と道具のみであること、またそこでは主体的・対話的なやりとりがあることを週案や個人別日誌が裏付けています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

乳児は個別経過記録で生活習慣の状況を残し、週案には「実際の援助」「評価・反省」欄が設けられ、保育者は習慣の獲得を把握しています。箸の持ち方が大きく写真掲示され、ままごとセットには「よりリアルに」玄関チャイムを取り付け、錠の開け閉めには「いないいないばぁ」式を導入して保育者の変顔で愉快に遊べ、クラス内には基本的習慣が自然に身につくツールがそこかしこにあります。
全てにおいて個を大切にしていて、例えば2歳児の散歩タイムには「お出かけしますか?」と先ずは子どもの意思を確認、「園にいたい」という子どもはホワイトボード上の保育園のイラストの中に自身の写真やなまえのカードを置く、という手順を踏んで主体性を担保しています。当園の特性上「理解させる」投げかけはないものの、「理解できる仕組み」「理解が進む場」があります。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:b】

保育方針である「自分らしく生きる情緒豊かな人を育てたい」に基づき、子どもが主体的に活動できる環境を整備しています。「おあつまり」と呼ぶ子どもの集会では家庭で調べてきたことを堂々とスピーチする姿をお友だちに褒めてもらえ、公園探訪では「図鑑を持っていきたい」「双眼鏡は?」との声が子ども側から上がり、また幼児の体操教室には跳び箱の時間もあり、乳児はリズム教室でリトミックに親しんでいます。
パン焼きも子どもが小麦粉に興味をもったことから始まり、「こね方が上手になりたい」との発信から紙粘土でこねる練習をするに至っていて、材料の買い物で地域住民とのふれあいも見られます。積極的に園の外に出ており、横断歩道の渡り方を習得する機会もありますが、「社会的ルールや態度を身につけていけるよう~」という点は取り組みの余地があります。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

1期(4~6月)は特に一人ひとりの生活リズムに注視し、連絡帳やお迎えの際の情報交換のほか、クラス前に置くボードフォリオを介してその日の子どもの姿を家庭と共有しています。ベースとなる環境も床暖房をはじめ、ソファーやクッションなど家庭と近いもので整えるとともに、「ベビーベッドを使うかどうか」など保護者と相談したうえで進めています。また早番・遅番勤務もあるため終日同じとはいかなくても、月案を作成する保育者がおむつ替えやご飯なども主となって関わり、愛着関係を築いています。
0、1歳児が同じフロアで過ごしていることから、毎月の会議では「安全を確保しつつ、遊びが広がるよう」玩具の見直しをしており、プルプル、つるつる、グニャグニャの感触遊びは人気で活躍しています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 1歳以上3歳児未満の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

自分でしようとする気持ちを尊重していることは、子どもの自己肯定感(自信)につながる「おあつまり」や「ボードフォリオ」といった実践が物語り、まさしく保育方針と重なっています。
自我の育ちを受け止める関わりがあることは、四半期毎に取り組む年間指導計画の「評価・反省」欄の記述から受けとめられ、次期の支援方針の改善と連続性をもっていることを確認できます。また玩具の「とった、とられた」では「つかいたかったんだね」「わたしたくなかったんだね」と気持ちを代弁する保育者の姿があり、発育の段階と個の育ちに応じて投げかけと関わりに配慮していることが伺えます。「園内で起こった園児同士のケガやトラブルは園の責任と捉え~」との基本的な姿勢をもっていますが、家庭には小さなことでも連絡して保護者の意向に沿っています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

3歳児には言葉で伝えられてないもどかしさに寄り添い、4歳児は集団の楽しさが経験できるようにしています。さらに5歳児は就学を視野に入れて書道教室を通じて椅子に座る時間をつくり、「話を聞き、言葉で伝える」ことを学べるよう、子ども同士で話し合い決める場面を増やしています。3、4、5歳児が共に過ごすなかで刺激を受け合い遊びを創りだす異年齢保育では、どの年齢においても一人ひとりが感じていることに向き合うことを大切にしています。
また、各年齢別の活動日にはその年齢だからできることがあり、5歳児の活動を3、4歳児にも見えるようにして、年上児のやることに憧れを抱きながら自分たちができることに意欲が湧くよう支援しています。一方で、異年齢クラスにおいて5歳児の姿に向かって保育を進めることが中心になる点は検証のうえ、3、4歳児其々の歳児における保育のマネジメントサイクルがより充実することを期待します。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

決して大きくはない園舎ですが、柱や壁でスペースが遮られないよう意識した設計で、広々感じます。コーナーは少ないものの、ハート文庫をはじめクールダウンに適した空間もあります。一つの方針として「障がいのある子も子ども同士で関わる大切さを大事にしている」ことがあり、健常児と変わらない対応をしています。ハード面における居心地の良さについては「玄関スロープ」「点字ブロック」「エレベーター」を配しています。
年齢問わず障害児には個人別計画を備え、ねらいを立て月に一度見直しを行い、「子どもにとって何が必要か、役立つのか」は療育の専門家の助言を仰ぎ家庭との情報共有もあります。障害のある子どもの保育についての知識収集並びにそれらの周辺情報を保護者へ適宜届けているかの2点については課題となっています。

【A10】A-1-(2)-⑨ 長時間にわたる保育のための環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

延長保育では18時から2歳児が幼児に加わり、18時半以降に0、1歳児も合流しています。日中0歳児が隣りの1歳児のスペースで過ごすこともあり、3、4、5歳児の異年齢児保育と併せ、日頃から園の子どもは年齢の壁はほとんどなく、延長保育における環境変化の影響も小さいことが覗えます。
その日の子どもの様子はクラスから引き継がれた伝達表で職員から保護者に伝えられ、さらに毎日の様子を延長日誌に残すことで、時間外保育における関わりのつながりをつくることが叶っています。また子どもには時間を意識させず、お迎えで急かすこともないよう職員が時間管理に努め、「そろそろお迎えがくるかも知れないね。少しずつ片付けようか」といった配慮ある声がけに努めています。「1日の生活を見通して子ども主体の計画性をもった取組み」については課題が残ります。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:b】

「事業計画」「全体的な計画」「5歳児の年間指導計画」には小学校との連携や就学に関連する事項記載があるとともに、3つが連動し1本化されていることが読み取れます。
就学に向けて経験しておきたいことは懇談会を通じて保護者に伝えて家庭とともに準備を進め、また保育所児童要録の作成は客観的に捉えた内容となるよう担任を中心に複数名が関わっています。小学校教員との意見交換、合同研修会などはありませんが、就学先の教員訪問や、地域の中では5歳児の交流会もあります。また、事業計画の中にある「地域保育園との交流・小学校との接続」との項目には、年間を通じて学校探検やクラス交流会を実施することで、「子どもたちの進学への期待に繋げる」との記載が確認されています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

保健衛生マニュアルや「子どもの保健に関する計画」の策定をしています。登園前の健康チェックのほか、与薬ルールや衛生習慣について家庭と認識を共にしています。さらに受け入れ時にも保育者が目で見て、直接触れ、伝達表に記録して、担任以外でも状況確認できるよう配しています。
毎月「ほけんだより」を発行して時節の留意点を呼びかけるとともに、「けんこうのきろく」も月毎配付して予防接種の状況や健診結果、健康に関する変更点を保護者に書き足しをお願いすることで、情報共有を図っています。SIDSについては、歳児で定めた時間で呼吸を確認できるよう職員はタイマーを首から下げ、さらに睡眠時の表情を見るために細目にカーテンを開けておくオペレーションが浸透しています。この件はガイドブックに明記され、また保護者には入園説明会で、職員には新年度を迎える折に毎年説明を重ねています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科検診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:b】

年に2回の内科健診、同じく年に2回の歯科検診の結果は看護師が管理するファイルに収めるとともに、「けんこうのきろく」を通じて保護者へ届けています。保護者には看護師の文責にて毎月「ほけんだより」が渡され、「コロナ禍での感染症疫学の変化」や「感染予防のためにできること」など具体的な解説が綴られていることが視認できます。健康診断・歯科検診の結果の関係職員周知に課題があります。
園内では手洗いや歯磨きについて意識を高めていく仕組みとして保健部を設置しており、2歳児には看護師が歯磨き指導を行い、また幼児にはブラックライトを使用した見える化の伴う学びの場をつくり、手洗いの歌を保育者が歌って楽しく覚えたり、エプロンシアター・紙芝居で興味関心を膨らませています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」を備え、迷うことが生じた場合には確認できるようにしています。また配膳をおこなうには配膳シミュレーションの研修を受けることが義務づけられています。
研修の中でアレルギー児への対応を学んでおり、「食物アレルギーの子どもは食器の色を各々変えて別のお盆に用意、給食室から除去食を受け取る際には調理師と一緒に指差し確認を行い、除去ファイルにサインする」といった手順やルールを徹底させています。アレルギー除去面談、アレルギー解除面談にて家庭と連携をもち、事務所に除去物や食器の色を掲示して全職員が情報を常時確認できるように整備していますが、命に係わる可能性もある事柄であることから、順次職員を外部研修に派遣することが期待されます。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

食育の年間計画を作成し、歳児によって給食で提供されている食材の皮むきや野菜洗い、魚の解体ショーなどを体験する機会がつくられています。子どもの「食べたくない」「食べたい」思いを尊重し、気持ちよく食事ができることを第一としています。また、全園児が陶器の食器を使い、ほんの少し集中力を発揮しつつ、食具を大切に扱う習慣を培っています。
給食室からはその日の食材に関連した「給食クイズ」の発信が毎日あり、「わかめの身長は?」とのクイズ回答として等身大のわかめのイラストが廊下に貼りだされ、子どもたちが面白がって自分の背と比べて遊ぶ姿もあります。また幼児クラスはセミバイキング方式を導入、子どもが主体的に食べたい量を調整しています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:b】

食事中、栄養士が各クラスを巡回して子どもの様子を見たり、時には声をかけて話を聞いて食事企画に反映することもあります。過去には魚屋さんに来てもらって鯖をさばく様子を観覧したこともあります。
残食チェックを乳児は個人毎に行っています。幼児の残食状況は全体で確認しており、それらの記録を参考に給食会議を毎月開催、各クラスから1名、主任、栄養士、給食室から1名が出席して食の状態を把握しています。世界の料理、郷土料理など、家庭の食卓にはあまり並ばないものも他国の文化や謂れの説明を添えて提供するとともに、ラック設置により保護者が自由にレシピを得ることで、家庭での共有も叶っています。給食に関するマニュアルには加熱時間や材料の保管方法について記載があることを確認しました。衛生管理の書面化についてさらに整備が進むことを期待します。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

乳児の連絡帳は、保護者・園双方で毎日の様子を書き込み、家庭との情報交流が出来ています。「こちらでも楽しいことを書くので、なんでもいいので書いてくださいね」と保護者には伝え、やりとりをするうちに「子どもの見方が変わりました」「沢山書きたくなった」といった声も挙がっています。
連絡帳のほか、毎日の送迎時の会話やボードフォリオ、月に一度のクラスだより、ブログと伝達ツールは豊富で、特にボードフォリオのショットの捉え方、表し方は絶妙で、職員の子どもを見つめる眼差しの温かさと遊びの豊かさが伝わり、安心感に満ちています。他にも送迎、懇談会、行事での参加を通じて保護者とのコミュニケーションに努めています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

送迎の折に、子どもの様子や保育者の思いが伝わるよう保護者とコミュニケーションをとっています。乳児クラスを卒業すると連絡帳が終了する為、保護者が情報の不十分を感じてしまうこともあり、幼児クラスになっても個人ノートを用意して、保護者の気持ちに寄り添っています。
個人面談を年間行事として位置付けてはいますが、「いつでも、大丈夫ですよ」と呼びかけて保護者が随時相談しやすい状況を作っています。聞き取りの場で得たニーズやウォンツは可能な限り、個別計画に反映させるよう努めています。報連相の流れが明記された組織図を備えており相談経路を明らかにしています。相談内容の記録方法や、そこからの課題抽出の仕組みにおいては、保育の専門家としての視点を更に踏まえた改善も課題となっています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:b】

シャワーが6ヶ所設置されていることが表しているように、夏だけでなく通年を通して水遊びや泥んこ遊びに親しんでおり、着替えでは身体の変化(傷・あざ)を気にかけています。他にも衣類の様子(汚れ、未交換)、会話(「ごはんが○○だけだった」)、保護者の様子(疲れている、忙しそうなど)といった留意点を職員間で共有、虐待発生予防につなげています。
新人研修では「保育園の役割として、早期に発見して児童相談所などの専門機関にバトンを渡さなくてはならない」との意識づけをおこない、気づいた場合の適切な対応や手順を職員間で共有しています。事例が僅かなため、関係機関との連携モデルは確立していませんが、過去には職員の発見から園全体で向き合ったこともあります。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:b】

「職員自己評価」は保育関係、書類、ビジネスマナーやルールなどの項目が設けられ、反省・評価を毎月繰り返すとともに、園評価は閲覧できるよう玄関に設置しています。協議を通じて主体的に自らの保育実践を振り返る場には及んでいませんが、外部研修参加の内容を共有する際には、専門性の向上を積む機会と相互研鑽につなげています。
昼礼後、現場におけるエピソードを語り合う集まりがあり、その中で子どもの育ちや配慮を必要とする家庭を把握していく取り組みもこの件のねらいに寄与しています。年2回実施される職員の個人面談で、「10年後どんな保育者になっていたいですか」といった未来ペーシングの投げかけもおこなわれています。