社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

かながわ福祉サービス第三者評価推進機構 評価結果検索サイト

ファミリーナ宮下

2020年02月05日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細

評価結果報告書

評価機関名 株式会社フィールズ
評価対象事業所名 ファミリーナ宮下
評価対象種別サービス 共同生活援助
設立年月日 2013年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 県央福祉会
③ 理念・基本方針 法人の理念
① ソーシャルインクルージョン(共生社会)を目指します。
② 先駆的で開拓的な事業を展開します。

基本方針
① 人権の尊重とサービスの向上を図ります。
② インフォームドコンセント及びエンパワーメントを大切にした利用者さん主体の支援を推進します。
③ 地域との共生をめざします。
④ ニーズの多様化と複雑化に対応します。
⑤ 社会のルールの遵守(コンプライアンス)を徹底します。
⑥ 説明責任(アカウンタビリティー)を徹底します。
⑦ 人材の確保・育成のための研修体制を充実します。
⑧ 柔軟で行動力のある組織統治(ガバナンス)を徹底します。
⑨ 財務基盤の安定化に努めます。
⑩ 国際化への対応に取り組みます。
⑪ 社会貢献活動に積極的に取り組みます。
④ 施設・事業所の特徴的な取組 ① 利用者の一人ひとりの人権と意思を尊重した支援を行っています。
利用者の意思尊重としての自己選択・自己決定を視覚やわかりやすい声掛けによる情報提供により、利用者本位の支援を行っています。また、インフォームドコンセント(説明と同意)に基づく支援を基本とし、利用者の権利を保障するよう取り組んでいます。

② 利用者のニーズに真摯に向き合いQOLの向上に努めています。
利用者やその家族からの要望や移行に耳を傾け反映できるよう努めています。意思疎通が難しい利用者の存在ニーズに配慮し、気持ちを汲み取った支援を心がけています。利用者の残存機能の維持、生活の充実のために、家族の意向や通所先との連携を重視しつつ取り組み、日課だけで毎日の生活が終わってしまう事がないように、それぞれの個別指導計画を散る暗視実施しています。毎月の休日外出は、利用者の行きたい場所や食べたいものを聞き、希望に添えるよう努めています。

③ 職員の支援に対する意識を高め、より良い支援を目指しています。
個別支援計画をもとに利用者一人ひとりに沿った支援が統一して行えるように取り組んでいます。日常支援を通して、利用者の「変化」や「気づき」を共有し、改善に繋がる取り組みを図っています。
⑤ 第三者評価の受審状況 開始:2019年03月30日
終了:2020年01月27日(評価結果確定日)
受審回数:2回(2016年度)
詳細評価PDF

⑥ 総評

特に評価の高い点 1)自己決定と尊厳を大切にする運営に努めています
職員は日々の生活スケジュールの消化に終わらせないよう、常に利用者一人ひとりの生活のなかに、自己決定と尊厳を向上させていく支援を追求していかなければならないという、基本姿勢のもと、利用者の自立度や心身状況に応じた支援や見守りを心がけています。
各人の特性に合わせたきめ細やかな生活支援が、個別支援計画や業務マニュアルに体現され、施設全体として取り組まれています。職員が仕事に慣れていくに従って、利用者第一の姿勢が後退することがないよう、常に自己反省や振り返りを行いながら支援に努めています。


2)利用者や家族が意見等を述べやすい体制の確保に取り組んでいます
苦情解決体制を整備し、利用者が事業所に対する意見や要望を匿名で聞けるように意見箱を設置しています。日々の関わりの中でも利用者の要望を取り入れ、入浴時間の調整や朝食にパンを提供するなどサービスの質の向上に取り組んでいます。
今年度から家族懇談会を開催し事業所での取り組みについて周知に努め家族同士で話をする機会を設けるなど、さらに利用者の希望に沿えるように努めています。


3)利用者の心を大切にした支援を実践しています
様々な支援を提供するのにあたっては、個別性や状況に留意して、何が必要か・どのようにするかなど、利用者の心を大切にしています。また、声かけを工夫してそれぞれの利用者が理解し易い言葉を選んで対応するよう配慮しています。
それぞれの利用者が納得して支援を受け入れることができるよう、様子観察や価値観の理解に力を入れ、職員間で共有して取り組んでいます。
改善を求められる点 1)研修参加による職員の知識や技術水準の向上
事業所での毎月のホーム会議では職員一人ひとりが共通認識を持って支援に携われるように、倫理行動マニュアルのDVDを視聴しています。また、毎月の職員セルフチェックでは、利用者を尊重した支援の振り返りを行っています。
重度の利用者の意向をいかに汲み取り、コミュニケーションを支援していくかは、重要な課題ですが、職員の経験と力量によってスキルの差があることが、課題として認識しています。法人が作成した「年間研修計画表」を活用し、教育・研修の積極的な参加が期待されます。
Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
Ⅰ-1 理念・基本方針

◇努力、工夫していること

事業者の玄関と宿直室に法人の理念・基本方針・使命・職員行動指針等を掲示し、職員及び利用者への周知を図っています。また、利用者の家族には契約時に口頭で説明を行っています。入職時の研修や毎月のホーム会議では振り返りを行い継続的な取り組みを行っています。

◇課題と考えていること

理念や基本方針に関しては、法人が行う研修などを通して周知に努めていますが、周知の徹底が課題と考えています。
Ⅰ-2 経営状況の把握

◇努力、工夫していること

経営環境や福祉サービスの内容、組織体制の現状分析にもとづき、職員の勤務体制を業務量とマンパワーのバランスを検討して、最適と考えられる人員配置やとなるように努めています。経営状況や改善すべき課題については、年2回見直しを行い、法人からも助言を受けて取り組んでいます。

◇課題と考えていること

ホームの経営状況は、ホーム会議などで全職員に情報共有が課題と考えています。
Ⅰ-3 事業計画の策定

◇努力、工夫していること

毎年、事業計画を作成して事業所の重点目標を掲げ、それらの課題に向けて職員一同で取り組んでいます。毎月のホーム会議では話し合いや振り返りを行い、半年毎に計画の見直しを行っています。今年度は家族懇談会を通して家族の方々にも説明を行い、事業所での取り組みについて周知に努めています。

◇課題と考えていること

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組

◇努力、工夫していること

毎月のホーム会議では、職員が「職員セルフチェックリスト」を用いて定められた評価基準に基づいて自己評価を行い、振り返りを行っています。また半年に1回、課題や行動などを設定した「チャレンジシート」をもとに人事考課を行い、人材とサービスの質の向上に取り組んでいます。

◇課題と考えていること

Ⅱ 組織の運営管理
Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ

◇努力、工夫していること

法人の職務権限規程に所長の職務内容が明示されています。管理者として毎月のホーム会議に参加するだけでなく、現場の利用者支援にも積極的に携わり、指導力を発揮しています。事業所運営の要である非常勤職員が気持ちよく業務にあたれるよう積極的にコミュニケーションを図っています。

◇課題と考えていること

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成

◇努力、工夫していること

求人の募集は法人本部への要請だけでなく、事業所単体でも求人媒体を利用して採用活動を行っています。入職前には5日間の実習を行い、人材としての資質を見極め、入職後研修を通して法人の基本理念などの周知に努めています。

◇課題と考えていること

法人として、「年間研修計画表」を作成し、職員への研修参加を促していますが、事業所での実施が課題と考えています。全職員が共通認識を持って支援に携われるように、事業所からも教育・研修の積極的な参加を考えています。
Ⅱ-3 運営の透明性の確保

◇努力、工夫していること

法人のホームページや冊子に理念や基本方針、提供する福祉サービスの内容が公開されています。玄関には苦情解決制度が掲載してあります。今年度は家族懇談会を開催し、利用者の日々の様子や事業所の取り組みなど説明する機会を設けました。

◇課題と考えていること

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献

◇努力、工夫していること

毎年、自治会の開催している納涼祭や防災活動に参加しています。納涼祭には利用者さんをお連れして余暇支援に繋げています。また納涼祭を通じて地域の方に事業所の存在を知っていただく機会としています。玄関には「子ども110番」の看板を掲示しています。自治会に加入し、地域との関わりを深め地域ニーズの把握に努めています。

◇課題と考えていること

更に法人が有するサービス提供などの専門的な情報を地域に還元する取り組みが課題と考えています。

Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示

◇努力、工夫していること

職員一人ひとりが共通認識を持って支援に携われるように、法人の理念や基本方針等を掲示しています。また、教育の一環として、倫理行動マニュアルのDVDを毎月の会議で視聴しています。毎月、職員セルフチェックを行い、利用者を尊重した支援の振り返りを行っています。

◇課題と考えていること

Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)

◇努力、工夫していること

契約時は口頭で重要事項や契約の内容を読み上げ、利用者、家族に説明し同意を得ています。重要事項説明書にはルビがふってあり、わかりやすい表現になっています。心身機能の変化に伴い、身体機能に適した通所先を紹介して施設見学に同行したり、移動支援サービス事業所の紹介及び契約のサポートも行っています。法人のパンフレットには理念や基本方針、複数の施設の案内などを詳しく記載しています。

◇課題と考えていること

事業所独自の資料として、案内図や最寄駅などを記載して来所するときの参考になるような資料の作成が課題と考えています。
Ⅲ-1-(3)利用者満足の向上

◇努力、工夫していること

年2回の面談の際に、利用者や家族からサービスに関する意見などを聞き個別支援計画に反映しています。また、今年度は家族懇談会を開催し、職員と利用者の家族同士の話し合いの中からの意見も取り入れて具体的な改善を行っています。

◇課題と考えていること

Ⅲ-1-(4)利用者が意見等を述べやすい体制の確保

◇努力、工夫していること

苦情解決体制を整備し、利用者が事業所に対する意見や要望を匿名で聞けるように意見箱を設置しています。また、今年度から家族懇談会を開催し事業所での取り組みについて周知に努め家族同士で話をする機会を設けるなど、利用者の希望に沿えるように取り組んでいます。

◇課題と考えていること

Ⅲ-1-(5)安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組

◇努力、工夫していること

ホームのリスクマネジメントに関する責任者は所長となっています。事故報告が上がった際は速やかに職員に周知すると共に毎月のホーム会議で話し合い、再発防止の取り組みを行っています。感染症発生時の対応マニュアルをホーム独自で作成し、迅速に対応できるよう努めています。法人のリスクマネジメント委員会や機関誌などで事故発生時の対応や安全確保の手順などの周知に努めています。ホームでは日々の業務日誌にヒヤリハットを記録しています。

◇課題と考えていること

今後は一つのファイルにまとめて定期的に話し合いを行ない、事故防止に取り組むことが課題と考えています。
Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
Ⅲ-2-(1)提供する福祉サービスの標準的な実施方法の確立

◇努力、工夫していること

利用者の帰宅、夕食、入浴、余暇、就寝、起床、整容、トイレ、朝食、外出準備、出勤にいたる生活の一連の流れのなかで、共通の標準的業務だけでなく、各利用者の特性にあわせた個別支援をいかに行っていくかを詳しく書いた「業務マニュアル」が作成、利用しています。

◇課題と考えていること

マニュアルの導入は、関連業務を標準化することで、サービスの質とともに、時間の余裕を作り利用者とのかかわりなどを確保したいと考えています。慣れるにしたがって、業務の効率化だけが自己目的となってしまわぬよう、注意をしていきたいと考えています。
Ⅲ-2-(2)適切なアセスメントによる福祉サービス実施計画の策定

◇努力、工夫していること

サービス開始時には、基礎調査票を利用者家族に提出していただき、これに基づいて個別支援計画を作成しています。基礎調査票は、支援に必要な項目が用意された統一された書式です。アセスメントは支援のたびに見直され、年度内に中間評価され、次年度計画に反映しています。

◇課題と考えていること

アセスメント結果を個別支援計画の反映する際、常勤職員のみで協議し、作成しています。毎月のホーム会議では、非常勤も含めた全職員から利用者の日々の様子が報告され、その内容を踏まえて計画を作成しています。今後も多くの職員が参加した計画作成が課題と考えています。
Ⅲ-2-(3)福祉サービス実施の適切な記録

◇努力、工夫していること

日誌記載は夜勤者が担当し、非常勤職員でも扱いやすいパソコンソフトで、決められた書式に記載しています。世話人の常勤職員がそのなかから利用者の特徴的な様子を抜き出して、ケース記録にします。毎月のホーム会議で担当職員が記録を報告し、情報共有を図っています。

◇課題と考えていること

記録が、体調など単なる看護記録になってしまわないように、留意しています。指導的立場にある常勤職員が、利用者の意向や思いをくみ取るような観察、記録の書き方を指導、見本を提示するような取り組みを続けていきたいと考えています。
A-1 利用者の尊重と権利擁護
A-1-(1)自己決定の尊重

◇努力、工夫していること

日常生活における生活全般において、基本的に利用者が自由に決定しています。就寝も起床も自分が好きな時間にできます。金銭の自己管理ができる利用者は、帰り道で好きなおやつを買って、好きな時間に食べています。居室内では、テレビの視聴、ゲーム、読書など、自由に思い思いに楽しんで過ごされているようです。コミュニケーションが困難な利用者に対しては、ご本人の意向をくみ取って支援を行っています。

◇課題と考えていること

利用者の要望や思いをくみ取るスキルについては、職員間にまだ差があるようなので、研修など職員の資質向上の取り組みが課題となっています。利用者の尊厳と権利擁護は、法人の根幹の理念であり、日々の職員の支援の基本であるため、月一回のホーム会議での情報共有をはじめ、あらゆる機会で全職員に徹底するよう、これからも続けていきたいと考えています。
A-1-(2)権利侵害の防止等

◇努力、工夫していること

毎月、ホーム会議のはじめに、法人の「倫理行動マニュアル」のDVD(20分)を視聴しています。視聴後、利用者支援における振り返りを行い、意見交換を行っています。そして職員自身が業務を「セルフチェック」をし、人権意識についても振り返るようにしています。言葉遣い、平等な対応に留意することや、無自覚に禁止語、命令語を使わないようすることは、職員の行動基準に定められており、すべての職員が順守するよう努めています。

◇課題と考えていること

これまでは、利用者への人権侵害と思われるようなケースはありませんでしたが、職員が知らず知らずのうちに、利用者の思いや要望を見て見ぬふりをしているようなことがなかったかどうか、利用者を必要以上にせかしたりしていなかったかなど、常に振り返りを続けていきたいと考えています。
利用者第一の原点に常に立ち戻り、振り返りやセルフチェックを今後も取り組んでいくことが課題と考えています。
A-2 生活支援
A-2-(1)支援の基本

◇努力、工夫していること

利用者の自立した生活を支援することをホームの基本姿勢としています。個別支援計画をもとに利用者の性格や障がい特性に考慮しながら一人ひとりがその人らしく生活できるよう、支援しています。たとえば、朝起きるタイミングやトイレの声かけなどは利用者ごとのリズムにあわせて行っています。
時間間隔にこだわりが強い利用者には、タイマーをつけて支援のタイミングを統一しています。また、月に一回、利用者の希望する外出支援を行っています。利用者の意思を尊重し、コミュニケーションが困難な利用者に対しても自律、自立に配慮した支援を行うよう心掛けています。


◇課題と考えていること

職員の力量や相性によって発揮される能力に差が生じることのないように、声掛けも職員によっては利用者に伝わらなかったり、利用者の意向をくみとれないまま支援をしてしまうことがないよう、職員間の力量を平準化する取り組みが課題となっています。
A-2-(2)日常的な生活支援

◇努力、工夫していること

食事は、栄養バランスや衛生面に考慮して、弁当業者に委託して配達してもらっています。配達されると調理室の保温庫に入れられ、温かい食事が提供されています。主食の量は、体型や栄養指導に合わせて個別に調整しています。入浴は、毎日入れるように職員が配置され、入浴介助の際には健康状態も確認しています。排泄は、利用者の特性に配慮しながら定時に誘導し、状態を確認し、衛生面での配慮をしながら支援を行っています。

◇課題と考えていること

配食サービスを利用しているため、現状では、利用者の希望が反映されにくいこともあります。そのため、毎月の職員との外食の機会には、利用者の希望を叶えるように努めています。食事は日常生活の重要な柱なので、利用者の希望が少しでも叶えられるよう、業者と調整などが課題と考えています。
A-2-(3)生活環境

◇努力、工夫していること

居室は、採光が適度に入り、冷暖房や広めのクローゼットが完備され、快適な環境が用意されています。共有スペース及び居室は職員が毎日清掃を行い、清潔が保たれています。居室環境は、利用者の意向を尊重するとともに、一人ひとりの特性にあわせた配置に留意しています。脱衣場は暖房が入っており、冬も快適な入浴環境が用意されています。

◇課題と考えていること

利用者が日常生活に不便が生じないよう、玄関の上がり框に足がつまずくことがないように屋内のバリアフリー化が課題となっています。浴室では障害の状態に関わらずすべての利用者が湯舟につかれるよう、環境整備への取り組みが必要と考えています。
A-2-(4)機能訓練・生活訓練

◇努力、工夫していること

家族の要望により、機能訓練(リハビリ)を受けたい利用者には、関係機関と調整して、訪問リハビリサービスを受けられるようになりました。主に拘縮を予防するためのストレッチ、マッサージや歩行訓練を行っています。リハビリ業者に実施記録を作成してもらい、訓練の状況をホームの職員も把握できるようにしています。

◇課題と考えていること

利用者家族の希望があれば、専門業者の指導、助言に基づく機能訓練は取り入れるようになりましたが、機能維持・向上を目的とするならば、生活の中でできる訓練があってもよい、と考えています。その問題意識が、日々の生活の中でどう生かされるか、今後の取り組みが課題となっています。
A-2-(5)健康管理・医療的な支援

◇努力、工夫していること

入浴時や起床を介助する時間帯を中心に、利用者と接するタイミングで、心身の状態把握に努めています。訪問看護ステーションと契約し、月に一回、看護師が訪問し、利用者の健康状態や医療機関に受診するかどうかなどの相談を受けています。また、体調変化があった時には24時間、連絡が取れます。与薬ミスがおきないように、利用者の名前が書かれた朝昼晩ごとに分類できる入れ物が壁にかけられ、チェックするようになっています。

◇課題と考えていること

障害者の健康管理については、障害者の特性ゆえに留意すべき事項があります。職員の知見を高めるためにも、研修の機会を提供するなどの取り組みが、今後の課題と考えています。利用者の年齢層が比較的若く、利用者にとって終の棲家とは何かというテーマとして、職員としての見識を高めることが課題です。
A-2-(6)社会参加、学習支援

◇努力、工夫していること

休日に毎月一回以上、ホームの車両を利用し外出サービスを提供しています。主に、利用者が希望する外食を目的にしています。また、ガイドヘルパーと調整して、外出する機会を提供しています。その際、利用者の興味や関心のあることを、ヘルパーホームに伝え、満足できる外出となるように支援しています。さらに、毎年、地域の盆踊りや例大祭には、利用者をお連れして地域住民との交流を図っています。

◇課題と考えていること

職員体制に余裕がないために、外出の日数や行き先に制約が生じてしまうことが、施設側の悩みです。人員不足でガイドヘルパー利用日数が減ってしまうことがあり、利用者ががっかりしてしまうこともあるようです。今後、利用者の社会参加をすすめるための環境改善が課題となっています。
A-2-(7)地域生活への移行と地域生活の支援

◇努力、工夫していること

現在、実家への帰宅や転居を希望する利用者はいませんが、利用者がこのホームでの地域生活を継続するために、日中の活動場所についての相談を行っています。現在通所しているホームの活動に物足りなさを感じたり、友人をもっと作りたいなどの相談があった際には、他のホームの見学や実習のあっせんなどの支援を行っています。

◇課題と考えていること

利用者の身体機能等の低下も予想される中で、ホームでの生活に困難が生じた場合に、どう対応すべきかを決めていません。施設としては、支援の困難さの原因を、安易に利用者側に求めるのではなく、支援する側の質と力量の問題として、常に振り返る必要があると考えています。地域生活を継続させるため、利用者の将来を職員全体で考え続けていく、ホームの今後の取り組みが課題と考えています。
A-2-(8)家族等との連携・交流と家族支援

◇努力、工夫していること

利用者が週末等に帰宅する際、連絡ノートを介して、日常の様子を家族と共有しています。また、必要があればその都度、電話やメールで報告、相談をしています。個別支援計画のモニタリングのため年に2回の面談を行い、利用者の様子を伝えています。帰宅が少ない方には、定期的に様子を伝えています。今年、初めて家族懇談会を開き、家族同士が悩みを話し合い、よい絆を作ることができたようで、今後も継続していきたいと考えています。

◇課題と考えていること

全体の2割~3割ほどは週末に実家に帰宅する利用者の家族とは、連絡・連携がとりやすい状況です。利用者本人とのかかわりに消極的な家族もあり、施設としてどのように接し、どう連携をとっていくかを課題としています。今年開催した家族懇談会をきっかけに、利用者家族の相互の交流の場が広げることが課題と考えています。

その他特記事項:第三者評価機関として今後、特に課題として取り組みを期待したい事項

評価対象 第三者評価機関からのコメント
分類 福祉人材の確保・育成
職員や短時間勤務の非常勤職員への研修参加の機会を作り、組織が職員に必要とされる専門技術やサービスの標準化、利用者一人ひとりへの支援の意識向上への取り組みが図れることを期待します。
項目 利用者の希望が反映された食事提供
配食サービスを利用しているため、現状では、利用者の希望が反映されにくいこともあります。そのため、毎月の職員との外食の機会には、利用者の希望を叶えるように努めています。食事は日常生活の重要な柱なので、利用者の希望が少しでも叶えられるよう、業者と調整などが期待されます。
項目 バリアフリー化などの環境整備
利用者が日常生活に不便が生じないよう、玄関の上がり框に足がつまづくことがないように屋内のバリアフリー化が期待されます。浴室では障害の状態に関わらずすべての利用者が浴槽につかれるよう、環境整備への取り組みが必要です。
利用者調査の結果
①ヒアリング調査(本人) <ヒアリング対象者>
利用者本人3名(男性3名)

<ヒアリング方法>
利用者の居室おいて職員の立ち会いなく、調査員各1人が利用者に面談をおこないました。

<ヒアリングで確認できたこと>

・優しくしてくれます。朝、早くしてと言われることがあり、ちょっと嫌です。
・職員は丁寧な言葉で話しかけてくれます。


・居室にある荷物は勝手に触ることはありません。
・外出する時は各自で鍵を持って出かけるので勝手に入る事はないです。


・自分ができないことを職員に頼んで手伝ってもらいます。
・職員には希望を聞いてもらっています。


・チョコレート食べたい、と言ったら出してくれました。
・生活の計画は意見を聞いて考えてくれています。
・簡単なことは自分で理解できるが、難しい事は母と一緒に考えています。


・お金は自分で管理しています。
・お金は自分で管理していて、足りなくなったら母からもらっています。


・困った事があると職員に相談にのってくれるし、話しやすいです。
・嫌なことや困っていることはありません。


・困っている事はないが、何かあればに相談して助けてもらいます。
・職員以外には、母親や仕事先の人に相談している。


・ホームで休んで、みてくれました。
・インフルエンザになったときは、部屋まで食事を運んでもらい看病してもらいました。


・好きな買い物ができます。好きなテレビをみることができます。
・ヘルパーを使って外出したり、自分の時間を自由に過ごしています。


・ホームの暮らしは楽しいです。好きなテレビをみられるから。
・楽しいかと言われると、どう答えていいか分からない。コミュニケーションを取れる人がいないので会話は職員のみとしか出来ていない。あとは自分の時間を部屋で過ごしています。
評価後(評価結果を受け取った後)のグループホーム「コメント」
今回、第三者評価を受け、大きく3つの課題が明るみになった。
①福祉人材の確保・育成
②利用者の希望が反映された食事提供
③バリアフリー化などの環境整備

これらの共通点として、

・検討・改善が必要とされる事案に対し、問題意識を持ち、具体的に対応できる感受性と行動力を持てる人材の育成と確保。(研修への参加の必要性)
・支援者側の定期的な支援・業務内容の見直し。
・今後の利用者様の加齢等の変化を予測してハード面の環境整備
以上が挙げられる。

一つ一つの課題を細分化して見ることで、当事者だけでなく支援者側にとってもプラスとなる事柄が多いように感じられた。まずは課題の背景に対し、一人ひとりが向き合い、職員集団として意見を出し合っていくことから始めていきたい。
 一方、当事業所の特徴、強みを評価して頂いた部分もあり、日々の取り組みに自信を持つことができた。今回の評価報告を職員間で共有し、改めてより良い支援に繋げられるよう、職員一丸となって取り組んでいきたい。