社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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フレックスコートさくらⅠ・Ⅱ

2021年11月26日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細

評価結果報告書

評価機関名 株式会社フィールズ
評価対象事業所名 フレックスコートさくらⅠ・Ⅱ
評価対象種別サービス 共同生活援助
設立年月日 2008年01月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 県央福祉会
③ 理念・基本方針 法人理念
Ⅰ.ソーシャルインクルージョン(共生社会)を目指します。
Ⅱ.先駆的で開拓的な事業を展開します。
基本方針
1. 人権の尊重とサービスの向上を図ります。
2. インフォームドコンセント及びエンパワーメントを大切にした利用者さん主体の支援を推進します。
3. 地域との共生を目指します。
4. ニーズの多様化と複雑化に対応します。
5. 社会のルールの遵守(コンプライアンス)を徹底します。
6. 説明責任(アカウンタビリティー)を徹底します。
7. 人材の確保・行く区政のための研修体制を充実します。
8. 柔軟で行動力のある組織統治(ガバナンス)を徹底します。
9. 財務基盤の安定化に努めます。
10. 国際化への対応に取り組みます。
11.社会貢献活動に積極的に取り組みます。
④ 施設・事業所の特徴的な取組 ① 小田急江ノ島線大和駅と桜ヶ丘駅の間にあるフレックスコートさくらは国道467号線藤沢町田街道沿いにあります。二階建ての建物で各フロアに6名の個室とトイレ浴室が2ヶ所、リビングが1か所配置されており、開設後13年経ちますが綺麗に清掃されています。現在、男性12名平均年齢47.6歳の方が利用されており、日中は他のサービスを利用し、または修業されている方もいらっしゃいます。いわゆる入所施設ではなく、監視・管理になりすぎず、自己表現・自己主張ができる自由な「住まい」であることを目標としています。

② 近隣には飲食店・コンビニエンスストアがあり、立地を生かして外食やボーリング大会への参加等のレクや余暇支援を行なってきました。また、年に一回バスを借りて一泊旅行に出かける等、利用者の満足度や生活のQOLの向上に努めてきました。昨今のコロナウイルス感染拡大に伴い、上記のような楽しみの多くが実施できない状況ですが、情勢が落ち着きを取り戻したら再開したいと考えています。現在できることは限られていますが、感染拡大防止に努めながらも簡易的な誕生会等ホーム内で出来ることは継続して行っています。
⑤ 第三者評価の受審状況 開始:2021年04月27日
終了:2021年11月02日(評価結果確定日)
受審回数:2回(2018年度)
詳細評価PDF

⑥ 総評

特に評価の高い点 1.利用者個々の特性に合わせた意向の確認を行っています
利用者個々の特性に合わせたコミュニケーション方法を用いて、利用者の意向やニーズを汲み取るように努めており、利用者の自己決定、選択を妨げないよう配慮しています。個別支援計画作成の際も、利用者家族、または職員スタッフの思いが強く入らないように、また日常の生活の中でも声の大きい人、押しの強い人の意見に流される事無く、個人の意向を確かめるようにしています。
2.コロナ禍での近隣住民との連携を模索しています
以前は行われていた自治会など地域との交流がコロナ禍の影響で出来なくなっています。防災備蓄倉庫の管理物品にAEDや自家発電機を配備することとなり、施設長は今後地域との連携を図る意味でもこれらの物品の使用について自治会と話し合っていこうと考えています。
3.法人一体となっての感染対応を行っています
施設内にコロナウイルス感染者がでましたが、風呂、トイレがフロア毎に二か所設けられていること等でゾーニングが出来た点、法人の内外の人脈を頼って物資を集めることが出来た点等、有利に働き、施設内において感染拡大の防止ができました。また運営法人内に感染症対策委員会が設けられグループホーム内外のスタッフが協力することで感染が抑えられています。コロナ禍最初期の事案ということで、利用者の人権、利用者への行動制限また説明の仕方、家族の理解、濃厚接触者となり家庭に帰れなくなったスタッフの扱い、保健所との応対の遅延、地域への配慮など予期せぬ事態が立て続けに起こりそのひとつひとつに向き合って対応が行われました。現在も継続した感染対策が行われています。
改善を求められる点 1.居心地の良いホームとして向上施策が求められます
利用者及びその家族の高齢化、またコロナ禍を考慮すると週末帰宅される方が多くなっています。イベントを実施出来ない現在では、特に週末の利用率が低下する状況です。ホームの居心地を良くして利用者に満足してもらうとともに、利用率の増加が課題となっています。イベント等に頼らない方法により利用者にとっての「住居」としての居心地の良さを感じてもらえるような取組が期待されます。
2.職員全員でのリスクマネジメント体制の再構築が期待されます
日常のヒヤリハット等についての分析・解析・再発防止というプロセスの共有がされています。今後は、再発防止への職員ひとり一人の再確認が必要と考えます。
Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
Ⅰ-1 理念・基本方針

◇努力、工夫していること

理念・基本方針を年2回定期的に会議で確認しています。入職時にはエリアで研修を設け、理念・基本方針の内容や倫理行動綱領2021年度法改正に伴い義務化された虐待防止・セクシャルハラスメント関連等に関して周知を図って防止に取り組んでいます。

◇課題と考えていること

夜間においては変則2交代制勤務のため、一人職場に近い環境であり、理念や基本方針に則した支援、コミュニケーションが取れているか把握しきれない面が課題であると管理者は捉えています。
Ⅰ-2 経営状況の把握

◇努力、工夫していること

毎月試算表を確認し収支状況・事業所のサービス提供実績等を会議で検討・振り返りを行い、まとめたものを法人へ提出しています。利用率や収支状況等の重要事項と共に、管理者のみならず現場職員に周知して、業務に反映させるように取り組んでいます。

◇課題と考えていること

2021年介護報酬改正で告示・条例等の法改正がありました。課題の1つとして収入に関係のある介護職員処遇改善加算の算定要件が3項目から6項目に変更されたため、所定手続きを行い改善に取り組んでいます。
Ⅰ-3 事業計画の策定

◇努力、工夫していること

単年度の計画は目的・方針・今年度の目標、事業所としてユニークで独創的な取組等実行可能な内容になっています。また毎年上期と下期に会議で報告書を作成しています。その際、会議に参加した職員の意見を集約して審議・検討し、結果を共有しています。

◇課題と考えていること

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組

◇努力、工夫していること

法人内で起きた事故やその他情報の共有や支援に関する考え方を共有して、毎月の会議で福祉サービスの質の向上に取り組んでいます。また1~2ヵ月に1回グループ内にある4ホームの常勤職員が集まり、業務の確認や支援等に関する情報を共有しサービスの均質化・標準化を目指して取り組んでいます。第三者評価を定期的に実施してサービス向上に取り組んでいます。

◇課題と考えていること

事業所会議に出席する職員が概ね決まっており、ダブルワーク等の関係もあって出席できていない職員が数名いる状態であり、情報の共有や取り決めに関して偏りが出てしまう可能性があることが問題という意識を持っています。
Ⅱ 組織の運営管理
Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ

◇努力、工夫していること

定期的に(月1回)現場職員と実施するサービスの現状について情報共有し、サービスの質が保たれるように研修や指導を行っています。また行政への手続き等に遅れが生じないように取り組んでいます。

◇課題と考えていること

現在管理者が4つのホームを管理していることからタイムリーに実施状況を把握することが難しく、現場職員との日々の報告・連絡等、コミュニケーションを図るようにすることが重要課題であると認識しています。
Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成

◇努力、工夫していること

求人を出す際は、常勤職員は法人と連携を取り合い募集し、非常勤職員は事業所で募集しています。また、育成に関して常勤職員は年数に応じてフォローアップ研修を充実させるように工夫を取り入れて取り組んでいます。今年度新入職員が配属されたこともあり、OJTを繰り返し行い、自信をつけていくだけではなく、円滑なトップダウンやボトムアップを図りガバナンスを徹底できるように人財育成に力を入れて取り組んでいます。

◇課題と考えていること

離職率は低いものの、退職者が出た際の補充に関しては人材確保が課題であると捉えています。特に地域から非常勤職員を確保することは非常に難しい状況にあり、離職率を減らしていくことも必要であるという問題も発生しています。研修プログラムがしっかりしているため、日々の業務の中でのOJTを充実・徹底させていきたいという問題意識も持っています。
Ⅱ-3 運営の透明性の確保

◇努力、工夫していること

法人ホームページの活用により法人の理念・基本方針・ミッション・社会福祉法人の役割・事業所案内等を地域に情報提供し運営の透明性を確保するように取り組んでいます。毎月の会議にて簡単な収支の状況、定期的な常勤会議では詳細を含めた説明を行い周知を図っています。入居者の金銭管理については毎月担当→管理者→グループ長→エリア委員→執行役員の順に確認して、問題が起きないように取組を徹底しています。

◇課題と考えていること

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献

◇努力、工夫していること

少しでも入居者が地域に出たり、近隣(スーパー・コンビニ等)の商業施設を利用したり、地域の自治会や活動等に参加して利用者と地域との交流を広げるための取組を行っています。フレックスコートさくらを知ってもらえる機会(イベント等)を増やし地域住民が参加してもらうように取り組んでいます。

◇課題と考えていること

行政からの緊急事態宣言が発令され、新型コロナウイルス感染拡大防止策が提示され、事業所でも感染拡大防止の観点から面会を控え、また緊急を要する外出以外も制限しています。そのため地域との関りや知ってもらうための機会が殆どない状態が長期間続いていることが問題であると捉えています。

Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示

◇努力、工夫していること

法人の理念・基本指針「人権の尊重とサービス向上を図ります」、「インフォームドコンセント及びエンパワーメントを大切にした利用者主体の支援を推進します」等に基づいた関わり方を実践しています。また、利用者への関わり方についてのDVD視聴や上記基本方針の読み合わせ等定期的な確認の場を設けて行い、職員間で共通の理解が持てるように力を入れて取り組んでいます。

◇課題と考えていること

Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)

◇努力、工夫していること

利用者が分かりやすいように利用者の特性に合わせた方法等工夫をして説明しています。説明する内容は、事業所の概要・給付対象となるサービスの内容・利用者負担によるサービスの内容・サービスの実施日・個別支援計画・利用料金・苦情受付について・緊急時における対応方法等について行っています。説明するときには利用者の人格・人権を尊重し、利用者の立場を理解するように努力し、信頼関係を築くようにしています。利用者の生活を損なうことがないように「利用者中心の支援」に力を入れて取り組んでいることを伝えています。

◇課題と考えていること

Ⅲ-1-(3)利用者満足の向上

◇努力、工夫していること

日々の関わりの中で利用者が満足しているかどうかを利用者の表情や仕草等で確認したり、直接聞き取る等しています。利用者から直接聞き取った場合は内容をプライバシーの侵害にならない範囲内で共有することで満足度の把握に取り組んでいます。

◇課題と考えていること

適正な回答が困難な方もいるため、満足度調査等は行っていないが、書面にすることで自己表現が上手くできる方もいるため、今後実施する方向で改善に取り組んでいきたいと考えています。
Ⅲ-1-(4)利用者が意見等を述べやすい体制の確保

◇努力、工夫していること

利用車からの相談や意見に対しては組織的に対応しています。日々のサービス提供において、利用者が意見を述べやすいように配慮しています。レクリエーション等の企画に関しては意見・要望がよく出ているため、なるべく多くのニーズを聞き入れて対応するように努めています。

◇課題と考えていること

会話が困難な方の意見が通りにくいということが課題であり、偏りがないように利用者とのコミュニケーション方法を工夫して企画に反映させることが新たな課題であると捉えています。
Ⅲ-1-(5)安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組

◇努力、工夫していること

利用者の安心・安全を脅かす虐待・セクハラ・災害事故・交通事故・安全運転等、他事業所で起きた事例を積極的に収集して、収集事例を基に職員参加のもと危機管理対策室で発生原因を分析し、予防対策・再発防止策等を検討し、これらの情報を職員間で共有して注意喚起を行っています。

◇課題と考えていること

事故を未然に防ぐことも大切であるが、起こってしまった際の初期対応や報告、ケア等に不備やミスがないようにすることが課題であると捉えています。
Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
Ⅲ-2-(1)提供する福祉サービスの標準的な実施方法の確立

◇努力、工夫していること

法人の理念や基本指針に沿って支援を行うことを基本とし、その中でもグループホームという生活の場の中で自立支援の在り方を考えています。利用者にとって安全安心な環境の実現のため防犯カメラの設置等をしていますが、管理・監視になりすぎない環境を目指しています。利用者の生活の場として自己主張、自主管理が無理なく行われるための支援を目標としています。

◇課題と考えていること

日中サービスとは違い、日々の申し送りや毎週の会議の実施が難しいことから書面や個々に直接お伝えする等して引き継いでいます。手間や時間もかかるうえ、伝え方にも工夫をしていくことが課題です。
Ⅲ-2-(2)適切なアセスメントによる福祉サービス実施計画の策定

◇努力、工夫していること

アセスメントの際は基本的に利用者、利用者家族等、グループホーム、日中サービスの職員が集まり個別支援計画等の面談を行うようにしています。場合により相談支援専門員も参加しています。特に意思疎通が苦手な方に対する計画書の策定の際には、サービス管理責任者や現場職員の思いが一方的に盛り込まれていないか注意をしています。また、利用者家族の思いが強すぎて利用者本人より利用者家族の意向が強い計画書、モニタリング等になっていないか注視しています。

◇課題と考えていること

Ⅲ-2-(3)福祉サービス実施の適切な記録

◇努力、工夫していること

法人として記録ソフト(グループホーム用等サービスで書式も別にしている)を導入しており、請求している加算に伴った記録が打ち込めるようになっています。夜勤者が二連勤の場合でも常勤が申し送り等で日中に入ることにより記録が適切に行われるようチェックしています。今後、個人情報保護についての職員研修の徹底を図ります。

◇課題と考えていること

単に記録を打ち込むだけではなく、何故そのような記録が必要なのか、どのような内容を記録するべきか等記録の質に関する視点の共有や情報を発信するよう職員に意識づけを行なうことが課題です。
A-1 利用者の尊重と権利擁護
A-1-(1)自己決定の尊重

◇努力、工夫していること

利用者一人ひとりの特性による強みや課題を理解し、自己選択、自己決定ができるよう支援し、できた形で終えることができるよう配慮しています。職員の声掛けが結果的に誘導的になり、また先回りをした返事にならないよう注意しています。何よりも自分で決めたことと捉え、納得してもらうことが大切であると考えています。利用者間での話し合い等で共同生活のルールを決めるような状態ではありませんが、個別にニーズを聞きとり、負担にならないように配慮して支援しています。

◇課題と考えていること

選択の場や自己決定が少しでも多くできるようにと努めていますが、昨今のコロナウイルス感染拡大防止による行動制限が多い状況です。禁止や配慮のお願いについての説明は、納得してもらうことが困難な場合が多く、納得ではなく説得に近い形になってしまうこともあり、受入れてもらえるよう説明に努めることが課題です。
A-1-(2)権利侵害の防止等

◇努力、工夫していること

日常の支援の中で禁止や命令語は使用しないよう注意しつつも、特性上簡単な説明が必要な利用者には時と場合を鑑み、提示方法を工夫して権利侵害にならないように配慮しています。
利用者がスムーズに行動ができて、ゆとりのある時間の提供に努めていますが、支援が職員主体になり過ぎていないか意識や振り返りをするようにしています。


◇課題と考えていること

主なサービスの提供時間帯が夜間であることからひとり職場となる場合が多く、職員スタッフ個々の倫理感・人権意識による部分が多く、定期的な振り返りと意識づけを行なうため、今年度中に人権侵害が虐待に関するアンケートを職員向けに実施することを検討しています。
A-2 生活支援
A-2-(1)支援の基本

◇努力、工夫していること

個人の生活の場でありながら共同生活を営む上で埋没してしまいがちな個々の利用者の思いを汲み取るため、利用者個々の特性を理解し、その人にあったコミュニケーション方法を把握しており、可能な限り意向を取り入れ、また叶わない場合には細かく説明する等、利用者本位の支援を行うことを基本としています。GHの特性上、職員がひとりで支援する時間帯が多いため、強い倫理感が求められますが、定期的な振り返り他、コミュニケーションをとっています。

◇課題と考えていること

利用者への直接的な支援は、帰宅後から送り出しの間のため、夜間など一人職場に近い場面、時間帯もあるため、特に権利侵害や虐待防止に関しては年一回の研修や申し送りの際に職員、スタッフの意識づけを行ない、利用者・職員スタッフの様子を注意深く見守っています。支援の在り方や考え方などを共有することが課題です。
A-2-(2)日常的な生活支援

◇努力、工夫していること

世話人、生活支援員、サービス管理責任者、管理者が連携して日常生活に関する報告や振り返り、新たな支援課題について話し合う場を月に1回事業所会議で設けています。利用者の帰宅後の時間帯から業務が増加することもあり、今年から夜勤者は入浴支援を行わず、全体把握に努められるように遅番職員の配置を始めています。今後、利用者の平均年齢等が上がることで日常生活支援の体制においても手厚さを加え、生活の中に安心を提供しています。

◇課題と考えていること

遅番職員の配置が安定しないこともあり、常勤職員が補う等して配置を確保しているが、あまり良い状態とは言えないため人材の確保と離職率の低い職場を目指していくことが課題です。
A-2-(3)生活環境

◇努力、工夫していること

利用者が住みやすい環境を考え、基本的にはシンプルで清潔を保っており、誰でも使い易い設備状況になっています。上下階の設備に関しては家具や金庫、服薬管理の方法等、設置場所も殆ど同一にしており、職員が上下階にフォローに入った際にも混乱せずに働ける環境にしています。特定の利用者が冷蔵庫の盗食や、職員部屋、他の居室へ侵入して金品等を盗ってしまう事例があり、日々居室等は施錠、冷蔵庫も一部施錠しています。また、威圧的な態度を他利用者にとることもあり、食事の順番やタイミングをずらすなどの工夫をしています。

◇課題と考えていること

共同生活の中での利用者間の関係等で「不便」、「嫌だ」と思う方もいると思われますが、今のところはっきりとした苦情は出ていません。それでも思っている方がいるであろうという前提で、他の方々が少しでも不便な思いをすることのない環境にできるよう配慮や工夫をしていきたいと考えています。
A-2-(4)機能訓練・生活訓練

◇努力、工夫していること

今後も継続的に安心して生活できる場になるよう、必要に応じ訪問リハビリを個人で契約してもらう等、機能訓練を受けるよう勧めています。PT、OTの訪問が週に一回、訪問看護師による指導も月に一度行われており、職員の目だけでなく専門的な視点からの助言を求められるようにしています。訓練の状況についてはホーム側とも連携を図っています。

◇課題と考えていること

リハビリに対する利用者本人の「やる気」や「良くしたいという気持ち」があるかどうかでリハビリ利用後の様子に大きな差が出ています。リハビリの目的を説明するなど、如何にして利用者のモチベーションを高め、維持していくかが課題です。
A-2-(5)健康管理・医療的な支援

◇努力、工夫していること

(A-2-(5)健康管理・医療的な支援)
自己管理が難しい場合等は、ホームで適切な服薬管理を行なっています。またホームとの契約で訪問看護を利用しており、月一回の定期巡回の他、何かあった際には24時間電話相談も可能となっており、利用者本人や家族、職員の安心に繋がっています。コロナウイルス感染者が出た際も法人の医師・看護師の適切な指示、指導のもとゾーニング等を行ない、収束することができました。また、個別で訪問診療も始めています。今後は医療的支援に関する職員研修の充実を図ります。


◇課題と考えていること

高齢化に伴う身体機能低下等により、自力通院が難しくなっていることもあり、訪問診療が必要なケースが出てきています。精神的な部分や発作に関する部分に関しては往診では対応が難しい面があり、地域に出る機会が減ってしまうというデメリットもあります。少しずつ訪問診療の受け入れが増えてくることが考えられるため、ホーム側との連携等についても今後の課題として捉えています。
A-2-(6)社会参加、学習支援

◇努力、工夫していること

利用者は日中は別な施設での日中支援サービスを受けており、作業や一般企業での就労をしている方もおり、各自社会参加しています。また週末の昼食(買い物)やガイドヘルパー、外出レクリエーション、日中サービス側の作業の一環としての納品等外部との接触による社会参加や、商業施設を利用することによるマナーやルール等を学ぶ場が近隣に多くあります。またグループホームとしては自治会に参加し、公園の草むしりなどに参加しています。

◇課題と考えていること

コロナウイルス感染拡大防止による外出や面会の制限、急に変わった商業施設でのルールやマスク着用等、利用者にはとても分かり難く、我慢やストレスが溜まっている状態です。不安や変化に適応していくことについては説明と理解を含めて課題となっています。
A-2-(7)地域生活への移行と地域生活の支援

◇努力、工夫していること

近隣にはコンビニや外食店、その他移動や買い物手段も多い地域のため、自立度の高い方々に関しては地域生活を充実させ易い環境です。自治会に参加していることもありホーム側が地域の情報を提供することもあれば、個人で散策して自主的に地域を知るための行動を取る利用者もいます。

◇課題と考えていること

自立度の高い方に関しては中にはサテライトへの移行や一人暮らしを目指せる方もいるが、単身での生活を目標にはしておらず、グループホームでの生活に満足している様子です。利用者本人の意向のため現状維持の状態ですが、地域生活への意向には動機付けを行なっていくことが課題と感じています。
A-2-(8)家族等との連携・交流と家族支援

◇努力、工夫していること

日々利用者家族の生活状況や先々の不安やニーズを聞き取っています。特に以下の4点について重点的に、利用者家族と協働してきました。
●後見人の申請や手続き
●週末等の帰宅の頻度を段階的に減らし、ホームでの生活比重の増加
●通院先をホームの近くの病院への変更
●通勤の付き添いと今後の方向性の確認
等、担当職員が日々の連携を怠らず実践することで信頼関係の構築に努めています。


◇課題と考えていること

左記の支援や取組の中で、家族の高齢化や不測の事態に備えるための段階的な支援を行うケースがあります。利用者本人の意向が反映されず、状況を理解しきれていないといった場合があり、利用者自身がよく分からないまま事が進まないように細かな説明や、何度も重ねて分かりやすく丁寧に伝えていくことが課題です。

その他特記事項:第三者評価機関として今後、特に課題として取り組みを期待したい事項

評価対象 第三者評価機関からのコメント
分類 居心地の良さを感じてもらえるようなホームとして、さらなる取り組みに期待されます。
グループホームの特色として、外食などのイベントを定期的に行い好評でした。コロナ禍の折、それらは中止せざるを得ない状況にあります。イベントに依らない利用者にとっての「住居」としての居心地の良さを感じてもらえるような取組に、さらなる期待がされます。
利用者調査の結果
③観察調査 ① 利用者がホームで過ごしている様子

(観察した場面の様子)
帰宅後、自室に入られる。着替えをされた後、リビングでコーヒーを飲み休まれている。飲み終わると自室に戻られました。(1F)
リビングに座りお茶を飲んでいるところです。テレビが好きなようでテレビのスイッチを入れるとスタッフや周りの人間に話しかけます。(2F)

(観察場面についての職員からの説明)
自立度の高い人は帰宅すると自室に入り、食事までリビングに出てこないそうです。(1F)
話が好きな人で野球を観るのが好きだそうです。(2F)
食べ過ぎと利用者自身が選択する習慣づけを行うためにご家族と話されたそうです。(2F)

(評価調査者の所感)
コロナ禍のため、利用者調査を観察調査にしたが難しく感じました。(1F)
同じGHの中でも様々な人がおり、話をしたい人もいれば、そうでない人もいる。自分の意志や考えをまとめるのに時間がかかる人もいるため、多様な調査手段が求められる。(2F)

② スタッフと利用者の関わりの場面

(観察した場面の様子)
帰宅した利用者に職員が「おやつ、冷たいもの、温かいもの」どちらにしますかと聞くと「温かいもの」と返答する。出されたお菓子を鼻歌やブツブツと独り言を言いながら脇目も振らず食べていた。職員が飲み物を差し出すとそれを飲んで、飲み終わるとすぐに部屋へ戻っていった。
別の利用者が帰宅し、同じように問いかけると「冷たいもの」とシッカリした口調で返答が返ってきた。テレビを見ながら出された「冷たいもの」を時々私に目線を送りながら飲んでいた。すると職員が新しく作った眼鏡を取りに行きましょうと話しかけた。本人はあまり乗り気ではない様子でしたが、職員が「木曜日早退して私と一緒に眼鏡を取りに行きましょうね」と念押しをすると「はい、はい」調査員を気にしながら返答した。暫くするとAさんが「雨が降ってきたよ」と私に話しかけてきたので「その様ですね」と返答するなど日常的な会話を暫く交わしました。
利用者はおやつを選ぶことが楽しそうで、利用者は声を発さないもののスタッフの声掛けには喜んでいるように見えました。
帰宅してリビングで自分のおやつを選び、お茶を飲まれています。スタッフがその利用者のおやつの缶をあけ、欲しいものを選べるように補助していました。(2F)

(観察場面についての職員からの説明)
「おやつ」の時間で選択できるようにしているので、職員に何時もの様子と変わりないか尋ねると「何時もあのような様子ですよ」と言われた。
職員に利用者の様子を尋ねると「たまに心を許ないこともあるが、普段もこの様な様子で普通に会話することができコミュニケーションが取れる」とのことでした。

(評価調査者の所感)
私との会話もスムーズで意思疎通が取れたと思っています。

評価後(評価結果を受け取った後)のグループホーム「コメント」
この度はお忙しい中評価をいただきありがとうございました。
他の事業所でもそうだと思いますが、コロナ禍において余暇支援やレクリエーションといった様々な楽しみの場や機会が失われています。
そういった中で日常的な生活の質、居心地の良さを振り返るといった「コロナ禍を逆手に考える」といった考えをご意見いただいた時にはハッとするところもありました。
今だから考えるというわけでもないのですが、この状況だからこそ振り返ったり、考え直すといった前向きな発想はとても大切なことではあると思います。
コロナ禍の影響で入居者さんと評価者さんとの間で直接的なやりとりができなかったことは大変残念ではありますが、今回ご意見をいただいた内容を軸に支援の在り方に関して改めて振り返りをしていきたいと思います。
この度は本当にありがとうございました。