社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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フローレンスケア武蔵小杉

2025年04月16日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社ミライ・シア

② 施設・事業所情報
名称 フローレンスケア武蔵小杉 評価対象サービス 2022~ 高齢者福祉サービス版
対象分野 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム) 定員 80 名
所在地 211-0067
川崎市中原区今井上町8-24
TEL 044-322-8515 ホームページ https://www.good-care.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2021年10月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 工藤建設株式会社
職員数
常勤職員:37 名
非常勤職員:10 名
専門職員
ケアスタッフ:29 名
看護スタッフ:9 名
ケアマネージャー:2 名
リハビリスタッフ:2 名
事務員:2 名
営繕兼ドライバー:1 名
事務員:2 名
施設・設備の概要
個室:80室

③ 理念・基本方針
思いやりの心と確かな介護技術で介護高齢者の明るい未来を_

④ 施設・事業所の特徴的な取組
・24時間看護師の配置があり医療面での対応に特化した対応をしており、日中は機能訓練指導員(PT・OT)を配置し、ご入居者の機能維持を目的とした訓練を実施。介護スタッフは認知症に特化した対応ができるよう定期的な認知症研修を開催。また、認知症実践者研修を年に数名ずつ受講し、資格取得をしており、今後も取得者を増やしていく予定。その他として、ご入居者・ご家族・スタッフが一体となり楽しめるイベントを開催している。(納涼祭やさんま祭り、クリスマス会での猿回しなど)

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2024/10/01(契約日) ~2025/03/28(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 0 回(年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 ◇特長や今後期待される点
特長
入居者の楽しみとともに健康状態に配慮した食事を提供しています

施設では、カラー写真付きのメニュー表で視覚的に食事への楽しみを伝えるようにしています。また、食事への興味関心を高めるために、週に1回は副菜に肉、魚を選択できる「セレクトメニュー」、月に1回は季節ごとのメニューを提供しています。更に、例えば、1月には健康面に配慮した「たんぱく質強化メニュー」「乳酸菌メニュー」を提供しています。「たんぱく質強化メニュー」では、加齢に伴う低栄養状態を補うために考えています。また、「乳酸菌メニュー」では腸内環境を整えることで、便秘解消に向けて考慮しています。施設では、食事は入居者にとって楽しみ時間であり、給食会議で話し合う等、今後も工夫していきたいと考えています。

レクリエーションやイベントでは楽しく介護予防ができるように取り組んでいます

理学療法士、作業療法士の機能訓練指導員が配置されており、介護予防に向けて専門職の意見等を取り入れたレクリエーションやイベントを実施することができています。毎日のレクリエーション活動では、風船バレーやタオル体操、棒体操等の運動系のリハビリや工作、トランプ遊び、生け花、書道等の指先を使った脳トレでリハビリを提供しています。また、季節ごとのイベントでは例えば、夏には「納涼祭」を実施しています。入居者は、介護士等が考えた射的等のゲーム類を楽しんだり、沖縄民謡のエイサー踊りでは、音楽に合わせて一緒に手足を動かしています。施設では、日々の生活において、自然と身体を動かす機会を提供することで、介護予防に繋げています。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
初めての第三者による評価と言う事で、出来ていない事が多くあったらと不安でいっぱいで臨みましたが、調査当日、担当者の方からの「思っている以上にしっかりと出来ていますよ。」との言葉にとても安心し、自信に繋がりました。今後も出来ている事は継続していきつつ、今回の評価でご指摘をいただいた事に対しては前向きに取り組んでいきたいと思いました。今後もご入居者に安全に安心して生活をしていただける施設づくりを目指し、地域の方々にも必要とされるよう努力してまいります。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

理念、基本方針が明文化並びに文書化されて、全職員が毎日出入りする事務室の壁の目立つ場所に掲示してあり、職員への周知は徹底されています。ただし、利用者と家族、あるいは入居希望者、地域や行政等が広く閲覧するホームページやパンフレットには、理念や基本方針の実現に向けて提供されるサービスは詳細に写真入りで掲載されていますが、理念と基本方針そのものは示されていません。利用者や家族への周知、あるいは、理念等とサービス内容の整合性検証のためにも、ホームページ等への掲載が望まれます。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

グループ会社本社の経営層、本社施設担当マネージャーと施設長が、施設の理念・方針の実現のために年度計画に落とし込んでいるサービスが適切に遂行できているか、施設利用率が現状どうなっているか等、サービスを質と量の双方から分析・考察する会議を毎月行なっています。その際、翌月の課題や目標値も一緒に確認しています。その意味では、三位一体の施設経営を行っていると言えます。事務室の壁には利用率等経営情報の掲示があり、職員に周知しサービスに反映させており、経営層と現場の距離が近い環境です。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

現場の状況や課題は毎月施設長中心に分析し、その内容を毎月行われるグループ会社本社での会議で報告しています。本社が中心になって課題等の深掘りがなされ、施設長は問題点やリスクの抽出等が行われ議論した結果を施設に持ち帰って、改善策をサービスに反映させる流れになっています。課題や改善点については運営会議や朝礼等で発信し、職員に周知しています。本社経営層と本社担当マネージャー、そして施設長が一緒に検討した改善策がすぐに現場に落とし込まれてくるため、サービスへの反映スピードが早い施設と言えます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

グループ会社本社介護事業本部によって事業の特殊性(他の事業は建築関係が中心)を鑑みて、施設の理念等の実現に向けた内容で中•長期計画は策定されています。毎年介護事業本部より、本施設施設長を含む各事業所の管理者へ発信がされています。そのため、基本的には、施設運営の方向性は明確ではありますが、現場の職員一人ひとりにまで、その内容が落とし込めてない可能性があり、そこが今後の課題と言えます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

中•長期計画の策定同様に、グループ会社本社介護事業本部によって事業の特殊性(他の事業は建築関係が中心)や本施設からの毎月の報告等を鑑みて、施設の理念等の実現に向けた内容で中•長期計画を反映させた単年度計画は策定されています。必要事項は毎月の介護事業本部での報告会議の際に、施設長へ発信がされています。そのため、基本的には、単年度計画の内容等は明確で、中•長期計画とは異なり、現場の職員一人ひとりの声を毎月の報告会議で伝えているため、事業本部が策定した単年度計画はほとんどの職員は理解した上でサービスを提供しています。ただし、事業所の運営方針が反映されていない部分もあります。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

施設の事業計画策定においては、介護事業本部の策定する中期経営計画と、それを踏まえて施設が設定した予算に基づいて施設長等経営層が1年間の運営方針および施策を適切に策定しています。その内容に関しては、担当フロアが異なる職員にも情報漏れがないように、会議等で発信することに加えて、各フロアの職員が確認できる場所に貼り出して周知徹底しています。また、半期ごとに、介護事業本部とともに、毎月の経営やサービスの報告から、課題の把握や分析等を行なって達成度の進捗確認を行なっています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

計画としては、中•長期計画に加えて、特に、現場の声が反映されている単年度計画も策定されていますが、利用者や家族にわかりやすく説明する文書は特に作成も配布もしておらず、説明も行なっていません。しかし、月毎のイベントのポスター掲示や報告をするおたより等を通して事業計画等を利用者に理解してもらうためには、事業理念・方針等やホームページやパンフレットに記載している力を入れている取り組みを参考に、言葉を噛み砕いて作成することが今後の課題です。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

中・長期的な計画や単年度計画に沿って、質の向上に向けたサービスの取り組みが組織的・計画的に行われています。チェック体制としては、本部スタッフが中心となり、施設のスタンダード・チェックを定期的に行っています。また、監査法人による評価に加えて、今年度からは神奈川県福祉サービスの第三者評価を受けています。それ以外にも、本部監査室から年2回抜き打ちで評価されています。施設はそれらの評価結果をもとに、定期的なカンファレンスや会議等で話し合う場を設け、さらに質の向上を目指しています。 

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

施設は複数の評価結果をもとに取り組むべき課題を明確にして改善を進めていくために、定期的なカンファレンス、リーダーミーティング、フロア会議、運営会議等を開催しています。経営層と職員が一緒に話し合う場を設けて、職員間の共有、並びに、改善策や改善計画を策定する等に努め、日々のサービスに反映させています。また、改善策を実行していく中で、必要に応じて、改善計画の見直しも行なっています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

本部を中心に施設では運営方針・施策を策定しており、施設長は施設の方向性を明確に職員に示すだけでなく、自らの役割や責任に関しても職員に向けて示して、職員の理解や協力等につながています。また、職務分掌も策定されており、職員にも各自の役割を明確化し伝えています。災害発生等の有事の際に施設長をはじめ各担当職員が不在の場合も、事業が停滞せず継続させていくために、事業継続計画(BCP)を策定し、権限委任についてはBCPに明確に示されています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法令遵守について、施設長はその観点での経営に関しては年一回の行政主催の研修に参加して、福祉分野の動向を含む基本的事項を理解した上で、知識や情報の更新、さらに施設運営への反映に努めています。また、職員に向けては、個人情報保護やコンプライアンス等の研修をしっかり実施し、全職員が受講しています。職員には研修報告書の作成を義務付けていて、他の職員への共有を行い、施設全体への周知徹底やボトムアップを図っています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

施設長は、施設内の現状把握のため、カンファレンスや会議等に出席してます。職員への課題の共有を行い、職員から意見や提案事項を引き出す等して、改善策の検討を一緒に行なっています。施設の方向性を明確にして、サービスに反映させています。動画研修を含む全ての研修については受講管理を行なっています。研修内容としては、レクリエーション研修、介護福祉のための研修、管理者研修、階層別研修、次世代リーダー育成研修等があり、職員教育の充実に努めています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

施設長は、経営の改善や業務の実効性を高めるために、策定した事業の目標や予算に対して進捗確認を行っています。本部とともに決めた改善事項について職員に具体的に伝えて、皆で事業計画の達成に向けて改善策の実施や、課題解決に向けた取り組み等を行なっています。そのため、施設の方針以外にも、事業の進捗等を数字で明文化して、事務室の壁に施設の理念等とともに示しています。職員には介護サービスに専念できるようにしていますが、経営面での情報共有によって事業計画の実行可能性向上につなげています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

策定した事業計画並びに予算に基づいて労務管理表を作成し、適切な人員配置を行うよう心がけています。人材育成については定期的な研修(動画研修等)、及び、外部研修(認知症実践者研修、レクリエーション介護士の研修等)や施設内の階層別研修等を行なっています。ただし、人材確保は本部で行なっていますが紹介会社からの紹介が中心であり、また、派遣職員等への研修も十分とは言えず、今後の課題として検討が求められます。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

キャリアアップ制度の基準を設けており、基準に基づいて評価を行なっています。また、役職者や専門職については、一年ごとに目標管理シートを設けて評価を行なっています。一般職員については全員に向けて、年に一度7月に自己評価シートを基に評価を行なっています。職員への周知については、キャリアパス等級要件を明文化し、職員に共有する等キャリアパスの取り組みを行なっていますが、キャリアアップを目指す人材が不足していることが今後の課題となっています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

職員の就業状況の確認、有給休暇の取得状況、時間外労働については、施設長が毎月確認を行なって、有休の取得率の向上や時間外労働の軽減を促しています。また、ストレスチェックを含む職員の心身の健康については衛生委員会を設置し、産業医とも相談しながら必要に応じて職員面談を実施しています。それ以外にも、施設長が職員と年に1−2回面談をを行なって、症状や悩みの把握に努めています。離職率の低下を目指し、組織の魅力を高める方策(昇給、休日の増加等)を段階的に進めています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

役職者や専門職については一年ごとに目標管理シートを設けて定期的に評価を行なっています。一般職員については年に一度自己評価シートを基に評価を行なっていますが、面談は原則年一回程度であるため、中間面接を行う等、人材の定着、並びに、キャリアアップを目指す人材の確保のためにも、今後さらにコミュニケーションを増やす取り組みを進めることが望まれます。また、常勤、非常勤、派遣、ボランティア等、職員の状況にも多様であるため、職員の個人の状況と意向の把握による人材育成の強化が求められます。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

施設の基本方針や事業計画の中には、「期待する職員像」が具体的に明示されていません。しかし、キャリアアップ制度の基準は明確になっており、それこそが求める職員像だということはわかりますが、職員誰もが共通認識を持つことが必要と考えられるため、明文化が望まれます。また、複数の研修を行なっており受講管理もされています。研修の内容や頻度に関しては、本部を中心に施設の状況に沿って適宜見直し等を行なっています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

職員の資格取得状況の把握はできており、入職後のOJTは職員それぞれに適した内容や実施回数で実施しています。また、入社時に本部にて研修を行うとともに、施設では施設長によるオリエンテーション研修を実施しています。また、階層別、職種別の研修も本部主導で実施しています。外部研修への参加も促しています。さらに、行政主導の認知症実践者研修やレクリエーション介護士の研修にも参加しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:c】

グループ会社が運営する他の施設では実習生の受け入れと実習プログラムの基準は設置されています。ただ、施設ごとに状況は異なるため、個別的な基準であって標準的基準にはなっていません。本施設では、開設年度が新型コロナウイルス感染症の流行禍であり、外部者の受け入れには制限をかけていた関係で実習生等の受け入れは実施できませんでした。コロナの感染症法5類移行後も実習生受け入れはしておらず、今後は受け入れに向けた準備が望まれます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

施設の事業計画や決算報告等、事業の運営の透明性を確保するための情報は、グループ会社の本部ホームページにて公開しています。また、苦情や相談の体制については、重要事項説明書等で明示し、入所時に利用者や家族に丁寧に説明していますが、個人情報にかかわる内容も含まれるため、具体的な内容は施設内にもホームページにも掲載はしていません。ただ、地域に向けた理念等や具体的活動は広報誌等で配信していないため、今後は地域からの理解や連携構築のために、地域への情報共有が望まれます。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のために、施設の事務、経理、取引等に関して、ルール、職務分掌、権限や責任が明確に示されて、リスト化して職員に周知しています。また、本部を中心に経理その他の内部統制のための調査は定期的に行なう等して内部監査を実施しています。外部の監査法人と契約しており、こちらでも定期的に調査を行なっています。指摘のあった事項については、経営やサービスの改善に努めています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

地域との関わりは積極的に持つようにしており、施設近隣の子どもたちにクリスマス会への参加を呼びかけて参加してもらったり、地域の神輿祭りを施設敷地内に呼び込んで演じてもらうことで、利用者のQOL向上にもつながっています。1階に位置する地域交流スペースを無料で貸し出して地域に貢献しています。団体等が定期的に利用していますが、利用ルール等を明文化することや有料化は問題の低減のためには効果的です。また、介護度の高い施設利用者には参加の難しい習い事等が多く、これまではイベント・スケジュールは積極的に利用者に案内していませんが、利用者も一緒に活動できるイベントへの貸し出しを増やすことが望まれます。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

基本的なボランティアや学校教育(実習生)を受け入れること等はできていますが、開所が新型コロナウイルス感染症国内発生後の2021年10月であり、まだ行動制限をする必要があったため、積極的な働きかけを学校や行政等に行なっていませんでした。しかし、先方から申し出のあったフラワーアレンジメントやネイル等のボランティアの受け入れは少しずつ増えてきています。介護等への理解や求める人材の確保につなげていくために、今後は福祉分野の学校の生徒の体験学習の機会を増やしていくことが期待されます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:c】

本施設は特定施設であり、利用者の年齢や要介護の状況の関係で、特に、新型インフルエンザウイルス感染症やインフルエンザ等の感染症流行の予防策として、公園への散歩や交流施設等社会資源を活用する機会を減らすことが必要な場合があります。同様に、デイサービスの利用のケース等も多くありませんが、利用者の日々の生活のQOLを高め、また、楽しみを増やす工夫は必要といえます。そのため、利用者が活用できる社会資源の情報収集や職員への周知は、レクレーション委員会中心に引き続き心がけていくことが望まれます。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:c】

地域交流スペースを開放し、施設近隣等の複数の団体等へ定期的に貸し出す等の取り組みを行なっています。施設利用者のイベントとして開催しています「秋のさんま祭り」等には、地域住民にも声をかけ、一緒に秋の味覚を一緒に堪能することで施設と地域との交流を深めています。また、地域の神輿祭りを施設敷地内に呼び込んで演じてもらったり、施設利用者向けのクリスマス会に地域の子どもたちを誘って一緒に楽しむ等、年齢を超えて施設を利用した地域との交流を能動的に実施し、外出が容易ではない利用者のQOL向上を目指すことが求められます。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

地域交流スペースを開放し、地域包括ケアセンターの職員等と連携し、地域活動や社会活動を支援するための外部者受け入れを行なっています。ただし、それ以外の活動は感染症予防の観点からほとんど進んでいない状況です。そのため、超高齢社会における介護の専門分野での地域貢献として、高齢者の介護相談や栄養相談等を段階的に進めることが望まれます。また、行政との地域防災協定等、福祉避難所としての協力や各指定避難所運営への助言等も地域貢献としては重要度の高い内容と言えます。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設の理念・事業方針については、利用者を尊重する姿勢が全職員に浸透させる目的で、まず、全職員に向けて入社時に、本部や施設長による研修で、マニュアル等を利用して詳しく説明し、理解し、さらに、理念と方針の実現を心がけてもらっています。事務所内の見え易い位置に掲示して、毎日確認できるようにしています。また、毎日朝礼で唱和しています。なお、同研修は、定期的に動画研修でも実施しています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

プライバシー保護に関するマニュアルの整備はされており、入社時や定期的な研修(動画研修)で職員には周知して、それに基づいて全職員がサービスを利用者に提供しています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

ホームページ等には利用希望者等を含む外部者が施設でのサービスのポイントや具体的内容等の必要な情報を積極的に示しています。入所時の説明書等にも記載されており、見学対応時や入居時にはその書類を用いて丁寧に説明しています。ただ、地域包括ケアセンター以外には基本、資料の設置が認められません。また、見学の受け入れは随時行っていますが、体験入居、短期利用等は満室であることがほとんどのため行えていない現状があります。なお、重度の要医療者の場合は、見学を受け入れられない場合があります。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

利用者へのサービス開始あるいは変更の際は、サービス内容の説明、そして利用者や家族の同意を基本としており、特に、利用者の自己決定権を尊重し、意向を反映させた内容で、理解しやすいように工夫してケアプランを作成しています。説明はケアプランを用いて丁寧に行っています。利用開始後に定期的にサービスの見直しを行う際にも、その都度利用者や家族に説明して、変更したケアプランに同意と署名を得て、新しいサービスを開始しています。ただし、利用者の認知力によっては理解の程度に限界があります。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者へのサービス開始あるいは変更のタイミングは利用者の状況に合わせていますが、利用者が混乱しないためにも、基本的にできる限り大きな変更にならないよう配慮しています。サービス開始後はもちろん、サービス終了後も、利用者や家族がいつでも相談できるよう担当窓口や担当者については口頭で案内しています。しかし、案内した職員によっては説明内容が統一的ではないため、福祉サービスの継続性のためには文書化することが望まれます。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

食事サービスの利用者アンケートを定期的に実施して、その結果を反映させています。また、利用者一人ひとりの相談事項については、その都度面談等を行なっています。定期的な運営懇親会を開催していて、全職員が参加しています。そこで把握した内容については、別途、分析・検討をするための会議等を実施しています。ただし、サービス担当者会議以外の検討会議等には利用者は参加できていないため、利用者満足度のさらなる向上のためにも、利用者の参加の機会を設けることが望まれます。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

苦情解決の体制や仕組みは整備されており、重要事項説明書に記載されて内容を再確認できるように、別文書にして利用者に配布しています。また、施設内にも相談窓口に関するポスターが掲示されています。また、利用者向けのご意見箱の設置でも対応しています。実際の苦情等の内容は全て記録し、対応策については家族へも説明しています。また、年2回開催される運営懇親会で個人情報等に配慮した内容で利用者に公開して、今後のサービスに反映させる取り組みや努力が認められます。ただ、苦情記入カードの配布は行なっていないため、気軽に苦情等が示せるよう、一歩踏み込んだ取り組みをすることが望まれます。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

施設では、「居室担当制」を導入しており、担当介護士が入居者、家族からの相談や意見の窓口になっています。相談等は担当介護士を通して、毎週実施しているケアカンファレンスで、他の介護士等の職員に伝えられています。この様な仕組みを通して、入居者からの相談等には迅速に対応し、きめ細やかなサービスの提供に取り組んでいます。入居者、家族には、契約時や日頃からこのような体制について説明を行っています。尚、施設内にはプライバシーに配慮した個室(応接室やゲストルーム等)を設けており、入居者、家族が相談や意見等を述べやすい環境整備にも努めています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

日々の生活の中で入居者が相談や意見を述べやすいように意見箱を設置しています。また、担当介護士等が意見や要望を受けた際には、「お客様からの声」に記録し、全職員がその内容を確認できるようにしています。相談等の内容については、必要に応じて看護師、機能訓練指導員等の専門職と協議し、適切に対応するように努めています。施設では年2回入居者に「お食事アンケート」を実施しています。内容は、主食、主菜、副菜、汁物等の見た目や味付け、量についてとなっています。結果は運営懇談会で発表し、家族に伝えています。更に、結果は今後の食事の提供に反映させることで、入居者の満足度の向上に繋げていくことを予定しています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

リスクマネジメントに関する責任者はホーム長になっています。施設ではリスクマネジメント委員会も設置しており、各フロアのリーダー介護士が委員長となっています。「事故対応マニュアル」を作成し、事故の予防や対応策を文書化しています。マニュアルは各フロアに設置し、職員への周知を図っています。事故発生時のフローチャートを作成し、職員が速やかに対応できる体制を整えています。また、事故に繋がりかねない事案についてはヒヤリハットや事故報告書を作成し、事故等の内容や再発防止策を記録しカンファレンスで話し合っています。日頃から職員研修を行う等、事故発生時の迅速な対応と事故防止の徹底に取り組んでいます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

感染症対策についてはBCPを策定しています。感染症の予防や対応に向けた「感染症対応マニュアル」を作成し、職員に周知徹底を図っています。具体的には、感染症の予防策として手洗いと共に手指の消毒、1日2回の施設内の消毒等を常に行っています。また、発生に備えて防護服、手袋等の必要な備蓄品のリストを作成し整備しています。職員に向けては、年2回看護師による感染症の予防や安全確保に関する勉強会を開催しています。11月には「ノロウィルスの対応方法」を実施しています。実際にシミュレーション訓練を行うことで、学びの多い時間となっています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

災害対策についてはBCPを策定しています。フローチャートを作成し、ハザードマップは職員、入居者が確認しやすいエレベーターホールに掲示する等、職員が速やかに対応できる体制を整えています。年2回(5月、11月)には、防災訓練や火災時の消防訓練(夜間想定訓練)を実施しています。この様子は12月の広報誌に載せており、家族等にも伝えています。特にこの施設は多摩川の「洪水浸水想定区域内」にあるため、5月の訓練では水害被害を想定した垂直避難を実施しています。また、感染症対策同様にBCPに則り、備蓄品の保管を行い確認しています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:b】

本社作成のマニュアルでは、「倫理規定」、「プライバシー保護」、「個人情報保護の取り扱い」等が整備してあります。また、サービスの提供に関わるマニュアルとしては、「認知症の理解と認知症ケア」「身体拘束及び虐待防止の取り組み」「入浴介助実施方法」「排泄介助実施方法」等があります。これらのマニュアルは各フロアに整備してあるため、介護士等は必要時にはいつでも確認することができています。特に「相談・苦情対応」マニュアルでは、担当介護士等が入居者、家族からの相談に応じ、コミュニケーションを図る上で役に立っています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

施設におけるサービスの提供の標準的な実施方法については、各種マニュアル等を本社が作成、整備し、管理しています。施設では、リーダー介護士を中心にして定期的に対応方法やタイムスケジュールの変更等について検討や議論し、その結果により、見直しを行うようにしています。毎週開催しているケアカンファレンスでは、入居者一人ひとりのサービス提供に対して課題点の抽出と改善策や対応方法について話し合っています。必要時には、各種専門職からの意見も反映するようにしています。この仕組みにより、施設として提供するサービスの更なる質の向上を図っています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な福祉サービス実施計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:b】

計画作成担当者は、入居に向けての意向や要望、生活歴、健康状態、日常生活動作、手段的日常生活動作等について本人、家族等から聞き取り、「入居事前面談票」を作成しています。その情報をもとに介護士、看護師、機能訓練指導員等の関係職員が参加しケアカンファレンスを実施しています。その際には、入居者の意向や要望を踏まえて課題を抽出し、課題解決に向けた目標設定、援助内容を話し合っています。その後、担当者は介護計画を作成し、入居者等の説明を行って同意を得るようにしています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に福祉サービス実施計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

計画担当者が作成した「特定施設サービス計画書」については定期的に評価・見直しを行っています。施設では「居室担当制」を導入しており、入居者の生活状況、健康状態等の変化について、担当職員から計画作成担当者への報告が速やかに行われ、月に1回の頻度でモニタリングが実施できています。モニタリング表では、目標達成に向けてのサービスの実施状況と評価(サービス計画書及び個別機能訓練計画書について)を記入するようになっています。半年ごとの定期的な見直しの他、体調不良等による状況変化時にはケアカンファレンスを実施し、見直しを行うようにしています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

入居者の身体状況や生活状況等はケース記録、職員間では介護記録、申し送りノートで記録しています。入居者の記録は介護ソフトに入力してあり、介護士等は出勤時に入居者の健康状態等の変化に関する情報を確認しています。その情報を職員間で共有した上で計画書に沿ったサービスの提供を行っています。また、提供にあたっては「サービス計画書及び個別機能訓練計画書」の内容が記載された入居者一人ひとりの「実施モニタリング表」を使用しています。介護士はその表に沿ってサービスを提供し実施状況を記録した上で、評価しています。各フロアでは毎週ケアカンファレンスを行い情報共有を図っています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

契約書の中で「個人情報保護に関する法律」及び厚生労働省が作成した「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイダンス」を遵守し、入居者、家族の個人情報の適切な取り扱いに努めることを明記しています。また、ガイダンスに沿って、入居者の記録の保管、保存、廃棄、情報の提供に関する規定を定めています。入居者、家族等には入居契約時に契約書で説明を行い同意を得ています。職員に対しては年に1回の研修等で個人情報保護の理解と徹底を図っていなす。施設では、記録管理責任者は設置されていないとのことですので、今後の検討に期待します。


評価結果内容評価

A-1 生活支援の基本と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者一人ひとりに応じた一日の過ごし方ができるよう工夫している。

【第三者評価結果:b】

契約時に入居者の心身状態、生活歴、趣味、施設生活への意向を聴取しています。計画作成担当者はその情報をもとにサービス計画書を作成し、介護士は入居者一人ひとりの状況を把握しサービスを提供しています。入居者によっては、数独パズル等の脳トレーニングや読書を楽しんでおり、自分らしく過ごせるように介護士は努めています。施設では入居者同士のコミュニケーションも大切と考えており、集団リハビリテーションを基にしたレクリエーション活動を行っています。毎月各フロアごとに入居者の要望に沿えるような体操、カラオケ、工作等の色々な種類のレクリエーションを提案しています。

【A2】A-1-(1)-① 利用者の心身の状況に合わせて自立した生活が営めるよう支援している。

【第三者評価結果:b】

介護士はケース記録や実施モニタリング表等の介護記録や申し送りノートにより入居者の日々の様子を把握しています。また、個別に作成された計画書で入居者本人の意向に沿った支援を行うように努めています。自立した生活に向けては、本人ができることに対しては介護士は見守り、できない部分に支援を行うようにしています。更に、入居前の生活を継続できるように居室には使い慣れた家具、趣味の物や家族写真を飾る等配慮しています。金品の取り扱いについては契約時に説明してはいるものの、全員からの同意が得られていません。、紛失等のリスクが考えられるため課題となっています。

【A3】A-1-(1)-① 利用者の心身の状況に応じた生活支援(生活相談等)を行っている。

【第三者評価結果:b】

施設では、「居室担当制」を取り入れています。介護士は日々の関わりの中では入居者一人ひとりの相談等に耳を傾けるようにしています。内容によっては毎週各フロアで実施しているケアカンファレンスで話し合っています。必要時には看護師、理学療法士、作業療法士、ケアマネージャー等が参加しています。例えば、入居者、家族の希望によりデイサービスの利用を考えている入居者には、ケアマネージャーが相談に応じて、本人の意向を反映したデイサービスを選択し利用に繋げています。

【A4】A-1-(1)-② 利用者一人ひとりに応じたコミュニケーションを行っている。

【第三者評価結果:b】

計画作成担当者は入居者一人ひとりに対して、定期的にアセスメントやモニタリングを行い、施設生活への思いや要望を聞き取っています。更に居室担当介護士から得た日常生活全般や周囲との関係性等を含めた入居者個人の情報を共有し、支援に努めています。言葉での聞き取りが困難な入居者に対しては、日頃の様子や表情、しぐさから思いを汲み取るようにしています。耳が遠い入居者には耳元でゆっくり、はっきりと話すように心がける等、それぞれの状況に応じたコミュニケーションの図り方を工夫していますが、更なる工夫も必要と考えています。

【A5】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

本社が作成しているマニュアルでは「身体拘束適正化及び虐待防止の取り組み」があります。契約時には、入居者、家族に対して「身体拘束等の禁止」「虐待防止」を施設の方針としている旨を伝えています。また、緊急時やむを得ない場合についても説明し、同意を得ています。施設では、身体拘束廃止・高齢者虐待防止委員会を定期的に開催しています。また、虐待防止に関わる一斉点検を施設内で実施する等職員間の意識を高めるように努めています。職員は3ヶ月ごとにカンファレンスでの研修(動画研修)に参加し入居者支援に活かしています。権利擁護に関する情報ついて、入居者への説明、周知は今後の課題になっています。

A-2 環境の整備
【A6】A-2-(1)-① 福祉施設・事業所の環境について、利用者の快適性に配慮している。

【第三者評価結果:b】

施設内は掃除が行き届いた清潔な空間になっています。廊下には両側に手すりを設置し、動作時や災害時には安全に移動ができるように動線が確保されています。食堂・談話室は各フロアにあり、入居者が利用し易い間取りになっています。エアコン、加湿器、空気清浄機等を適宜使用し、快適性に配慮しています。居室にはエアコン、カーテン、ベッド、クローゼット、チェストが設置してあります。また、入居者は好みで家具、家族写真等を持ち込むことができ、居心地の良い居室の提供を心がけています。必要時にはセンサーマット等の提供を行い安全面への配慮にも努めています。ただし、共有部分の温度設定では、入居者ごとに適温の違いが見受けられるため検討が必要になっています。

A-3 生活支援
【A7】A-3-(1)-① 入浴支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:b】

施設には個浴が4か所、機械浴が1か所あります。入浴方法については、入居者一人ひとりについて、介護士、看護師、機能訓練指導員等の専門職員を交えて検討を行った上で、安全に実施できるように取り組んでいます。気分転換を図る等入浴を楽しめるように、できるだけ本人の意向に沿った雰囲気づくりを提供しています。入浴前にはバイタルチェックを行い、体調不良の場合には看護師の指導のもと、足浴や清拭で対応しています。入浴を拒否する入居者への関わり方としては、誘導の声かけに注意したり、日にちや時間を変更するなど工夫しています。

【A8】A-3-(1)-② 排せつの支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:b】

排泄については、介護士が日々の関わりの中での排泄状況やトイレでの排泄等入居者自身の目標を踏まえて支援しています。排泄チェックシートにより排泄パターンを把握し、尿量や時間帯に合わせてリハビリパンツ、パット、オムツなどの選択を検討し、パット交換やトイレ誘導の時間設定は入居者の状態に応じ行っています。その際には、周囲に分からないように声をかけて誘導することや、居室のドアを閉める等の羞恥心やプライバシーに対して十分に配慮しています。無理のない排泄方法は機能訓練指導員、看護師等の多職種からの意見も参考にして取り組んでいます。

【A9】A-3-(1)-③ 移動支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:b】

機能訓練指導員は入居者の移動動作を評価し、一人ひとりに「個別機能訓練計画書」を作成しています。その際には、入居者に対して安全適切な移動方法の指導や歩行杖、歩行器、シルバーカー、車いす等の福祉用具の選定を行っています。「個別機能訓練計画書」では、基本情報、機能訓練目標、訓練項目、訓練実施後の対応が記載されています。例えば「歩行練習がしたい」という目標に対しては、下肢筋力の向上や立位バランス向上に向けた訓練を提供しています。移動時の見守りや声かけ、転倒や衝突のリスクに対しては職員間で情報の共有し、安全に移動できる環境を整えるように努めていますが、事故防止に向けて更なる対策が必要と考えています。

【A10】A-3-(2)-① 食事をおいしく食べられるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

食事は基本的に1日3食提供しています。欠食希望の場合は2日前までに申告するようになっています。メニュー表はA3サイズの両面印刷になっており、副菜はカラー写真で載っているので、毎日のメニューが分かり易くなっています。食材は委託業者が担っており、毎日変化に富んだ手作りの食事を提供しています。毎月のお楽しみとして、週に1回は肉か魚を選択する「セレクト食」を、月に1回は季節を感じる「イベント食」提供しています。また、年に2回入居者に向けた「食事アンケート」を実施しています。その結果は運営懇談会で家族等に伝えるとともに、入居者の要望はメニュー作りや調理の際に反映させています。

【A11】A-3-(2)-② 食事の提供、支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:b】

入居者一人ひとりの嚥下能力やアレルギー等の身体状況については、職員は「入居事前面談表」等で把握しています。食事の提供において食事形態では、看護師が入居者ごとに、日々の状況を確認しながら「常食、一口大、刻み、ソフト食、ペースト食」を判断しています。また、アレルギーの対応では代替品(青魚から白身魚等)で提供しています。施設では調理員、栄養士、ホーム長等が参加し、月に1回給食会議を実施し入居者の食事摂取量、食事形態の状況確認を行っています。また、希望者には往診医に嚥下評価を依頼する場合もあります。現在、誤嚥、窒息等の事故発生防止に関しては、見守り等不十分な状況が見られ、今後の検討が必要と考えています。

【A12】A-3-(2)-③ 利用者の状況に応じた口腔ケアを行っている。

【第三者評価結果:b】

訪問歯科は週に1回3階の歯科室に来所しています。希望者は虫歯治療、入れ歯調整、口腔衛生に向けた正しい歯磨き指導等の口腔ケアを受けています。口腔ケアが必要な入居者には「口腔ケアマネジメント計画書」の作成をしています。この計画書では「課題、実施目標、具体的方策、歯科医療機関との連携状況、要点」の項目があります。その他に「歯科医師からの口腔衛生管理に関わる助言内容」では、口腔ケアに関する詳しい説明がされています。現在、入居者全員には実施されていない状況にあり、今後、誤嚥性肺炎予防に向けた取り組みも必要と考えており、検討しています。

【A13】A-3-(3)-① 褥瘡の発生予防・ケアを行っている。

【第三者評価結果:a】

介護士は入浴時に皮膚状態の確認を行っています。赤み等の皮膚トラブルを発見した場合には、速やかに看護師に報告し対応しています。日頃から褥瘡予防に関しては入居者一人ひとりに対してポジショニング、エアーマットレス、体位交換用クッションの使用、車いすの調整、栄養状態、健康状態について介護士、看護師、機能訓練指導員等の専門職が連携を図って話し合いを行っています。その際には職員が共有しやすいように、事前に車いす乗車時、仰臥時のポジショニング等の写真を撮って利用しています。

【A14】A-3-(4)-① 介護職員等による喀痰吸引・経管栄養を実施するための体制を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

施設では24時間看護師が配置されおり、看護師が実施することで、喀痰吸引、胃ろうの入居者の受け入れを行っています。ただし、鼻腔、経管栄養が必要な入居者に関しては、状況によって受け入れ可能になっています。現在、介護士が喀痰吸引、経管栄養を行うことは無い状況です。今後看護師の指導のもとで、介護士等による喀痰吸引、経管栄養の研修等の実施体制については検討していきます。

【A15】A-3-(5)-① 利用者の心身の状況に合わせ機能訓練や介護予防活動を行っている。

【第三者評価結果:a】

理学療法士、作業療法士の機能訓練指導員は「個別機能訓練計画書」を作成し、一人ひとりに合った基本動作訓練やバランス訓練のメニューを作成し、入居者の意欲を引き出しながら機能訓練を提供しています。集団リハビリテーションでは、午前中介護士の指導によるタオル体操やストレッチ等無理なく関節可動域を広げるような体操を行っています。午後3時から実施しているではレクリエーションでは、生け花、ぬり絵、キーホルダー作り等の工作やペットボトルの蓋を利用した指先遊び等、楽しみながら認知症予防に繋がるように取り組んでいます。

【A16】A-3-(6)-① 認知症の状態に配慮したケアを行っている。

【第三者評価結果:a】

認知症の入居者への対応では、介護士は入居以前の生活歴や生活状況を理解した上で、認知症はもとより行動変化について職員間で共有を図るようにしています。具体的な支援では本人の居室が分かるように名前と本人の品物を掲示したり、慣れ親しんだ調度品を設置することで、ゆったりと落ち着いた雰囲気の中で過ごせるように配慮しています。また、介護士は日頃から支持的、受容的な態度で接するように努めています。施設では、職員の認知症ケアに関するスキルアップを図る目的で、半年に1回、認知症専門の指導者のもとでリーダー介護士が研修を受けています。来年度にはそのリーダー介護士が「認知症実践研修修了者」として施設内で他の介護士に研修を行っていく予定になっています。

【A17】A-3-(7)-① 利用者の体調変化時に、迅速に対応するための手順を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

契約書で「緊急時における対応」として、入居者、家族に入居者の心身の状況に異変その他緊急事態が生じたときは主治医または協力医療機関に連絡を取り適切な対応を取る旨を説明しています。また、「入居事前面談票」には緊急連絡先やかかりつけ医についても記載してもらっています。入居者の体調変化時には速やかに看護師に報告し、確認後には必要に応じて病院を受診する体制はできています。日頃から入居者の健康状態を把握し、職員間の連携ができているため、早期発見、迅速対応に繋がっています。服薬に関しては往診医からの処方箋により薬剤師が施設に来所し、入居者ごとに健康管理室の棚にセットしています。

【A18】A-3-(8)-① 利用者が終末期を迎えた場合の対応の手順を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

施設では看取りの経験をしています。「終末期ケアマニュアル」を整備しており、看取りの方針や手順が明記されています。看取りについては定期的に研修(動画)実施し、基本姿勢や職員の理解、サービスの質の向上を図っています。入居者の意思を尊重し、本人が望む終末期を迎えられるように職員は努めています。本人と家族の思いを聞き取り「看取りケアプラン」を作成し、介護士、医師、看護師等多職種が連携して取り組んでいます。24時間対応を取り、急変時には迅速に医師への連絡ができる体制を確立しています。看取り後の家族への精神的な配慮も心がけています。

A-4 家族等との連携
【A19】A-4-(1)-① 利用者の家族等との連携と支援を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

施設では、「居室担当制」を実施しているため、担当介護士は入居者一人ひとりの家族との繋がりも大切にしています。日々の生活の様子は面会時や電話等で報告を行っています。介護士は担当の家族に対して、2ヶ月に1回写真付きの広報誌に手書きのメッセージを添えて発送し、連携を図るように努めています。また、計画作成担当者は定期的なサービス計画の見直し時には、家族に連絡を取りサービス提供に対する要望等を聞いています。施設では年に2回「運営懇談会」を開催しています。内容は運営状況及び運営計画、料金の改定、行事予定、お食事アンケートの結果等となっています。

A-5 サービス提供体制
【A20】A-5-(1)-①  安定的で継続的なサービス提供体制を整え、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

職員間で共有をするための記録はケース記録、介護日誌や申し送りノートがあり、介護士は入居者の生活状況、健康状態を把握しています。会議は月に1回実施しているフロア会議、リーダー会議、運営会議があります。それぞれに会議議事録を作成しているので、職員間で情報共有を図っています。更に各フロアでは毎週ケアカンファレンスを実施しており、介護士は必要に応じて看護師や機能訓練指導員等の専門職と連携を取ることで、専門的な助言を得ることができています。ただし、全職員に周知徹底ができているとは言い切れず、今後の課題になっています。