社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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ルエーダ今田

2025年12月16日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細

評価結果報告書

評価機関名 株式会社フィールズ
評価対象事業所名 ルエーダ今田
評価対象種別サービス 共同生活援助(障害者グループホーム)
設立年月日 2018年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 県央福祉会
③ 理念・基本方針 ルエーダ今田は精神障害を主とした利用者さんが居住している。利用者さんの病状はまちまちで、ホームからほとんど外に出られない心身状態の方もいれば、毎日元気に施設へ通所している方もいる。日中支援型のホームなので、通所が難しい方はホームで日中過ごせるようにサービスを提供している。ホームでは幅広く利用者さんを受け入れて、生活の場を提供すると共に、健康面の支援と出来る範囲での自立を目指している。利用者さんの様々な状態に対応するために積極的に外部のサービスを利用して、グループホームの中だけで完結しないように、外部との接点がなるべく多くなるようにサービス調整を図っている。利用者さんの心身の状態は常に変化していくので、その変化に合わせて提供するサービス内容も変わり、場合によっては高齢者施設へ移行するケースもあるが、その時々の状態に適したサービスを提供して、多くの方が地域生活を経験できるように取り組んでいる。
④ 施設・事業所の特徴的な取組 ルエーダ今田は日中支援型のグループホームで、主に精神障害の利用者さんを対象としている。統合失調症の方が多く、医療的なケアがそれぞれ必要で、通院支援の他、訪問診療や訪問看護、訪問薬局のサービスなどを利用していて、外部サービスが多く入っている。ホームの特色としては、週に1回勤務の看護師を雇用しており、利用者さんの健康状態を把握して何かあれば医療関係者との橋渡しをする役割を担っている。訪問薬局の薬剤師は月に2回ホームに来所して、薬を補充する他に利用者さんとの面談により体調面の把握を行い、ホームの看護師と世話人を交えて情報を共有し、さらに薬剤師から各病院の主治医に利用者さんの情報を提供することにより、医療者との連携が図られている。利用者さんが適切な医療ケアを受けられるように、ホームの看護師を軸に連絡調整やサービスの調整を行っているところにホームの特色が表れている。
外部サービスの利用については、医療面での訪問看護や訪問薬局の他に、訪問歯科を利用していて、自分で歯科通院をすることが難しい利用者さんにとっては便利なサービスとなっている。また、介護保険サービスの利用や障害サービスの移動支援など、それぞれの状態に応じて各種サービスを導入しており、年齢や障害状況に応じた自分らしい生活を送れるように、取り組んでいる。外部サービスの利用によりホームには人の出入りが多くあり、風通しのいい施設になっている。
⑤ 第三者評価の受審状況 開始:2025年05月08日
終了:2025年12月13日(評価結果確定日)
受審回数:1回(2020年度)
⑥ 総評
◆ 特長や今後期待される点
1)利用者主体の支援を行っています
利用者の障がい特性に応じた支援を行っています。一人ひとりの利用者の暮らし方を最大限保証して一律に管理することはせずに、柔軟に寄り添う支援をしています。またそのためには事業所の職員同士の情報共有及び連携を密にするため1日3回の引継ぎを行い、詳細を把握しています。

2)医療連携により、医療の支援が充実しています
主治医、訪問看護、訪問薬局が連携して医療的支援を行っています。事業所は、医療機関からの報告を受けて、利用者の医療的な情報を集約できています。その情報を利用者支援にも反映し、個別支援計画の作成や見直しにつなげています。

3)職員体制の強化・育成が期待されます
常勤職員が限られ、多数の非常勤職員で構成する事業所において、シフト上の制約から月次会議や集合研修への参加が困難な状況です。人員体制が逼迫していることも課題となっています。職員体制強化に向けて、早急な増員が期待されます。現状、入職時以外の継続的な研修機会が不足しているため、職員のスキルアップとサービスの質の向上のためにも研修の機会を増やす取組が期待されます。

4)事業計画策定への職員の参画及び数値目標・達成水準の設定が期待されます
事業計画策定にあたり取組施策や行事など、具体的取組内容の策定がなく、課題としています。事業計画の重点目標の内容に、具体的な取組施策の数値目標や成果等を明示して取り組むことが期待されます。策定にあたり職員の意見の集約・反映のもとで計画策定すること、そして計画された内容を職員及び利用者や家族などに周知し、理解を促すことも期待されます。
⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント 職員が充実し、会議においても闊達な意見交換がなされるようになったが議事録の展開に関して、徹底できていないとのご指摘を受けた。
この度、議事録を全職員が確認、会議に出席できなかった職員からも意見をいただくなど、新しい試みにつながりましたこと感謝いたします。
詳細評価PDF
Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
Ⅰ-1 理念・基本方針

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人が掲げる「理念及び基本方針」については毎月の職員会議で繰り返し周知し、職員は研鑽を積んでいます。利用者への福祉サービスの実施にあたり職員は利用者の意向に沿い、できる限り希望を叶える形でのサービス提供に努めています。日々の利用者サービスの提供については、業務日誌により振り返りを実施し、職員間で引継ぎを行っています。理念や基本方針の家族への周知は入所時などで実施しています。

◆評価機関からのコメント

「理念・基本方針」を事務室などに掲示し、職員が日々目に触れる取組が期待されます。また、職員会議に参加できる職員は限られているため、参加できていない職員に対する周知方法を工夫し、「理念・基本方針」が全職員の行動規範となるよう継続的な取組を行っています。
Ⅰ-2 経営状況の把握

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

月次決算に基づきホームの経営状況について把握しています。利用者数やショートステイ利用状況などを検討し、収支改善に取り組んでいます。世話人は法人が実施するエリア連絡会に毎月参加し、経営や介護サービスの課題について意見交換し、ケーススタディで学び合っています。経営環境の変化や地域の福祉計画の動向や社会福祉事業の全体の動向は法人レベルでは把握に努めていますが、ホームでは課題としています。

◆評価機関からのコメント

経営状況や改善すべき課題について職員に周知し、経営課題の解決・改善に向けた具体的な取組を実施することが期待されます。
Ⅰ-3 事業計画の策定

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人は理念や基本方針の実現に向けた中期ビジョンを策定しています。ホームは、その目標に沿って事業計画を策定し、重点目標を、①人材の確保 ②リスクマネジメント体制の強化ほか4項目設定し、取り組んでいます。事業計画策定にあたり利用者参加行事や具体的取組内容の策定を重視しています。

◆評価機関からのコメント

法人の理念・基本方針に基づく中期ビジョンと、それを実現するためのホームの事業計画が、明確に連動しています。事業計画において、利用者主体のサービス提供を主眼として具体的な取組内容に落とし込むことができています。
Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

福祉サービスの質の向上に向け、職員間で課題を共有し、組織としての課題解決力を上げることに努めています。毎月の職員会議では課題事項を話し合うと共に、職員の知識向上に向けて研修を行っています。研修に当っては「利用者ファイル」などを使って実施しています。ファイルには各利用者の顔写真、家族構成、最近の動向、経歴などを記載し、利用者の全てが分かるようにしています。職員は入職時に学ぶと共に必要に応じて閲覧し、研修しています。以前は利用者サービスの内容が標準化していないことを課題と考え、統一したサービスの実施を目指していましたが、現在は利用者にそれぞれの個性があるように、職員にも個性があり、各人の個性を活かして利用者サービスを提供するよう努めています。サービスが終了した利用者に対する関係回復や成年後見人制度の活用などの支援策の実施を課題としています。

◆評価機関からのコメント

利用者に対する福祉サービス内容は利用者の意向に沿って実施することを基本にしています。支援計画内容は職員会議などで検討していますが、非常勤職員は会議参加者が限られています。今後は、参加していない非常勤職員への周知のあり方を工夫することが期待されます。
Ⅱ 組織の運営管理
Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

管理者は「ルエーダ今田」のほか2事業所の管理者を兼務しています。各事業所を兼務することで、それぞれの特色や事業所運営の経験値が上がり、経験豊かな対応が可能になっています。管理者の施設運営方針は明確で、職員からは、施設方針が明確で働きやすいとの声が寄せられています。管理者は職員が活き活きと働く職場づくり、更に職員が自ら考え提案し職員同士が考え検討して利用者サービスに取り組む運営を目指しています。

◆評価機関からのコメント

管理者は優れたリーダーシップを発揮し職員のサービスの質の向上に向け取り組んでいます。今後は更に利用者支援の中核となっている非常勤職員の増員に努め、職員の安定した勤務体制の確立が期待されます。ホームでの研修は職員会議で実施してるため、非常勤職員も研修に参加できる仕組みづくりも期待されます
Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

常勤職員の人材育成は、法人で入社初年度から7年目までの研修体系が定められ取り組まれています。ホームでは非常勤の職員の人材育成に関しては、地域のホーム間で職員の交換研修を実施し、多様な経験を積み、他のホームの運営状況を知ることで経験値を広げる育成に取り組んでいます。更に、外部サービスの積極的な導入により利用者支援の対応力を上げるよう取り組んでいます。計画にもとづいた人材の確保並びに育成の在り方を課題としています。

◆評価機関からのコメント

管理者は法人の近隣3ヶ所の事業所を一括して管理・運営し、職員は非常勤職員も含めて3ヶ所の事業所をシフト勤務により出向いて勤務していますが、人員体制が逼迫していることが課題となっています。職員体制強化に向けて、早急な増員が期待されます。
Ⅱ-3 運営の透明性の確保

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

運営の透明性を確保するための情報公開を行っています。法人のホームページには理念や基本方針、ミッションなどを明示し、事業計画、事業報告、決算報告などを公開しています。ホームでは外部サービスの利用により来訪者が多くなり、開かれた運営を実施しています。利用者にとっては職員以外の専門家と触れ合うことで刺激を受け、職員も介護に関する知識が増え、適切な対応ができるようになっています。

◆評価機関からのコメント

法人のホームページ内でホームを紹介しています。利用希望者が知りたい情報、同性介助をしていることなど支援の内容、運営の基本姿勢などの記載を実施し、利用希望者が知りたい情報などを提供することが期待されます。
Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

横浜市は今年度から、市の障害者プランの基本目標「障害のある人もない人も、誰もが人格と個性を尊重し合いながら、地域共生社会の一員として、自らの意思により自分らしく生きることができるまちヨコハマを目指す」を実現するための仕組みとして「地域連携推進会議」を活用する方針を提示しています。ホームでは市の方針に沿い今年、隣接する同一法人の「ラソメゾン今田」と共催で「第1回地域連携推進会議」を開催しました。参加者は「指定特定相談事業所なでしこ所長」「指定相談支援センターおあしす職員」自治会役員・利用者3名・家族3名・事業所管理者・サービス管理責任者、計11名です。主催ホーム側から事業の報告などを実施し参加者との各種の質疑応答や、意見交換を実施し、ホームの協力体制の強化につなげています。

◆評価機関からのコメント

今後、ホームの専門的な知識・技術や情報の地域への提供を、自治会回覧板などを利用した周知や、講演会の開催などで、地域の人々の福祉施設に対する理解を得る活動を実施することが期待されます。
Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者本位のサービスを提供できるように、人権の尊重や利用者主体の考え方などを折に触れて職員会議などで共有しています。利用者への呼びかけは「さん」付けを基本としています。職員の意見は取り上げて、1週間やってみて判断するようにしています。失敗しても管理者がフォローして次につなげています。職員が「考えて、やってみること、工夫すること」に取り組んでいます。利用者の誕生日会はフロアごとに実施して、本人の食べたい食事・手巻きずしなどを利用者が共に食べてお祝いしています。風通しを良くすることで不適切な対応に陥らないように、職員間で話し合える関係作りに努めています。身体拘束や虐待防止の取組は職員会議時に委員会を実施して話し合い内容を周知し取り組んでいます。

◆評価機関からのコメント

利用者のプライバシー保護に関するマニュアル作りと、研修の実施などにより、プライバシー保護の取組内容を職員へ周知し、実践することが期待されます。
Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

サービスの提供にあたっては、半期に1度、利用者ごとに個別モニタリングを実施して支援内容を話し合い「個別支援計画書」を作成しています。計画書の内容は利用者・家族と分かりやすさを心がけて話をして、同意を得たうえで行っています。利用者の体調の変化などがあった時は計画を都度見直しています。支援計画の内容を利用者と話し合う際は本人の理解度に応じて丁寧に話すよう努めています。サービス終了後の対応は、利用者個々の事情により対応が難しいケースも多く、ホームの対応としては利用者・家族に対して相談支援できる事業所を紹介しています。

◆評価機関からのコメント

利用者サービスの開始・変更に当り利用者・家族の同意を得るまでの過程の記録(利用者・家族の意向・意見、話し合いの内容などの記録)を残し、利用者の意向の経過が分かるようにすることが期待されます。
Ⅲ-1-(3)利用者満足の向上

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者満足に関する調査は、毎年2回アンケート形式で満足度調査を実施しています。また、年に2回支援計画作成時に個別に利用者・家族と面談を実施して、生活に対する希望や現状の満足度などを聞き取っています。アンケートの内容は、①ホームの雰囲気、②清掃、③安心感、④健康管理、⑤職員の対応、⑥支援計画の作成、⑦食事の7項目です。現状はアンケートの結果は満足度が高い状況です。管理者や職員は日常的に生活の場で利用者の意見を聞き都度対応し、要望に応え課題解決しています。例えば、各フロア3ヶ所あるトイレの1つを自分専用トイレにしたいとする要望や、本人が使用する洗濯機を決めて毎回それを使うなどの要望を聞いて対応しています。アンケート結果に基づいて満足度を上げる対応を実施しています。

◆評価機関からのコメント

利用者満足の向上については十分な取組を実施しています。アンケートを実施することで、サービス改善や潜在的なニーズを把握することにつなげています。
Ⅲ-1-(4)利用者が意見等を述べやすい体制の確保

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

ホームでは日常的な関わりの中で利用者の話しを聞く機会を設けています。職員だけの対応ではなく、ホームの看護師や訪問薬局の薬剤師、訪問介護の看護師など多くの担当者が個別に利用者と関わることで利用者に寄り添った支援が実施できています。外部サービスの各担当者は利用者にとって話しやすく、各担当者はしっかり話を受け止めて聞いています。ホーム内には苦情解決の仕組みを掲示し紹介しています。日々の利用者支援の中で利用者からの要望を聞き、速やかに対応をして解決しているため、苦情に至らない状況です。

◆評価機関からのコメント

ホームでは日常的に利用者からの意見・要望・提案などを受け止めています。意見が苦情に至ることを未然に防ぎ、利用者との信頼関係を構築する仕組みができています。
Ⅲ-1-(5)安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

ヒヤリハットの共有によってリスクの情報共有を職員間で行っています。今年度ヒヤリハット発生箇所は、①食堂リビング、②居室、③施設外です。内容は服薬に関するものが多く、過去のトラブル事例から検討した対応策を積み重ねて、リスク管理に取り組んでいます。緊急時対応マニュアルや利用者支援マニュアルなどを基に、防災訓練などを実施しています。震度5を想定した訓練で利用者は避難訓練を実施しています。災害用備蓄品は、食料は1週間分、飲料水の備蓄も実施しています。

◆評価機関からのコメント

ホームは高台に立地しており、水害や土砂災害の心配はありません。緊急時対策の備蓄品を準備しています。今後、各食品・飲料水などの品名・数量・賞味期限などの一覧表を作成し、定期的に確認することが期待されます。
Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
Ⅲ-2-(1)提供する福祉サービスの標準的な実施方法の確立

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

標準的な実施方法については、非常勤職員が夜勤を行っているため、マニュアルに沿って業務を行っています。1日3回行っている引き継ぎをもとに、日々の状況を把握しており、すぐに対応した方がよい場合は対応しています。これらの支援方法の変更にあたっては、個別支援計画を反映しています。

◆評価機関からのコメント

夜勤については標準的な支援のあり方が明確になっています。引継ぎを丁寧に行うことで、利用者の日々の状況を深く把握し、利用者との信頼関係を構築することができています。
Ⅲ-2-(2)適切なアセスメントによる福祉サービス実施計画の策定

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

サービス管理責任者が個別支援計画策定の責任者であり、アセスメントでは面談を行い、聞き取りをしながら、利用者の希望を丁寧に記載しています。その内容から推察できるニーズを読み取る工夫をしています。この記録は、法人のシステム上で「個別支援計画」と紐づけられていますが、計画実行に対する評価や、目標達成に向けた進捗状況の記録ができていません。支援困難なケースについては毎月の会議などでの共有、主治医や訪問看護、訪問薬局からも情報把握などのアセスメントを行うことを通して、支援のあり方を検討しています。

◆評価機関からのコメント

サービス管理責任者が把握している情報を1日3回行う引き継ぎで伝え、職員全員が共有する仕組みがあります。また医療に関しては、主治医、訪問看護、訪問薬局より情報把握することで、適切なアセスメントを実施できます。それらの把握した内容について共有するシステムを検討することが課題となっています。
Ⅲ-2-(3)福祉サービス実施の適切な記録

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人には統一した様式があり、その様式に従って記録を行っています。今後、記録に関しての職員への指導や研修を行うことが期待されます。法人の規程に基づき、職員には入職時に、個人情報保護規程などについて説明を受け、理解を深めています。利用者や家族についても入所時に説明しています。

◆評価機関からのコメント

法人で定めた各種様式の運用や活用が徹底されていません。このため、職員間の記録の質に差が生じ、サービスの均質性を保つことが困難になっています。現場の職員構成と業務実態に合わせた記録について検討することが望まれます。
A-1 利用者の尊重と権利擁護
A-1-(1)自己決定の尊重

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者が自己決定を行うことを大切にしています。日中の通所先や休日の過ごし方などについては、情報提供はしていますが、それを選ぶのは「本人にまかせる」という姿勢のもとで支援をしています。居室の片づけや入浴回数については、本人の意思を尊重したうえで、訪問看護サービスなどと連携しながら本人が意欲的行えるように声かけを行っています。

◆評価機関からのコメント

居室の使い方については介入しないこととしています。訪問看護サービスと相談しながら、まずは見守る姿勢を保つことが重要と考えています利用者自身の生活の在り方を批判せずに受容する支援を行っています。
A-1-(2)権利侵害の防止等

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者が生活を送るうえで、権利侵害を職員がしないために、一人ひとりの生活スタイルに合わせて、関わりを持つようにしています。例えば、飲酒については、主治医の了解を取れば行うことができます。また理美容を含めた身だしなみについても、基本的に本人の意向を大切にして、本人が意欲的に行えるようにコミュニケーションをとりながら進めています。

◆評価機関からのコメント

権利侵害の防止などのため、利用者の生活のあり方について、職員が「よい、悪い」の審判をするのではなく、十分できていない場合には、時間はかかるが本人にそのことに気づいてもらうために、コミュニケーションを通して、気づいてもらえるよう支援を行っています。
A-2 生活支援
A-2-(1)支援の基本

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

「自立」ということを支援の基本として、個別支援計画に基づき、日常生活の中では掃除や洗濯は自分でやるという自覚を促して支援しています。また利用者の状況に応じての活動やプログラムなどへ参加するために、地域の行事の情報提供をしたり、一人で外出できない方には家族の協力やガイドヘルパーサービスの利用を支援しています。

◆評価機関からのコメント

利用者の主体的な行動を尊重するために、諦めない支援を行っています。掃除機や洗濯機を複数台用意し、利用時間を調整することで自己選択の機会を広げています。また、グループホームで生活している利用者は地域住民である(自治会にも加入)ということの姿勢で、地域との関わりが持てるように情報提供しています。
A-2-(2)日常的な生活支援

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者からのニーズについては、食事のことが多いため、年間行事計画に基づき、毎月のお誕生会では誕生者に食べたい献立を聞きとり、その献立を全員で食べてお祝いしています。季節ごとにかき氷やバーベキューなどを行い、利用者には好評を得ています。また健康面で食事制限がある方については、嘱託医や訪問看護サービスと連携しながら検討し、食事形態を変更しながらも食べたいものが食べられるように個別支援計画の見直しもしています。

◆評価機関からのコメント

健康と楽しみのニーズを充足するために、毎月のお誕生献立や季節ごとのメニューなど様々な工夫をしながら、支援をしています。それらの支援にあたっても、利用者から聞き取りをしながら行うことを大切にし取り組んでいます。またそれらの取組は、個別支援計画と連動しています。
A-2-(3)生活環境

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

安心・安全に生活するために、利用者の居室の入り口には見守りカメラを設置するなど対応しています。また利用者が思い思いに生活をするために、他者の生活を尊重する集団生活のルールを共有しています。利用者の意向に対しての取組としては、Wi-Fiを付けたり、ベッドや布団は好みを重要視しながら環境整備をしています。

◆評価機関からのコメント

生活環境の確保のために、一人ひとりの利用者の好みを聞きながら、柔軟な対応ができるように取り組んでいます。そしてこれらは、グループホーム側だけが取り組むのではなく、生活の主体は利用者であることを、理解してもらい、見守り、声かけしながら行っています。また喫煙する利用者への対応として、防火とADL低下を合わせて支援するという個別支援計画のもとで、灰皿の設置場所を変更するなど、きめ細かい支援を実施しています。
A-2-(4)機能訓練・生活訓練

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者の障がいの状況に応じた専門職の助言・指導については、外部のサービスや訪問看護サービスの利用を通して、アドバイスを得ています。そしてこれらについては毎月1回の会議にて利用者の状況報告・支援の検討について職員全体で共有しています。

◆評価機関からのコメント

利用者の高齢化が進行する現在、支援内容の変更を見据える必要があります。現在行支援に加えて、利用者の状態に沿った適切な支援の変更が必要と考えています。
A-2-(5)健康管理・医療的な支援

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

他のサービス事業者から情報提供を共有し、支援をしています。医師や訪問看護、訪問薬局との連携のもと、利用者への通院や入院、服薬のことが共有できているので、急変時への対応や安定した生活の継続の支援ができています。

◆評価機関からのコメント

健康管理・医療的な支援体制については、医師、訪問看護、訪問薬局がシステム化しているため、充実した支援を実施しています。また、体調不調などは事前に把握し、安定・安心した生活の継続につながっています。
A-2-(6)社会参加、学習支援

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

自治会にも加入しているため、地域のお祭りやイベントの情報を把握することができます。また施設内でもイベントを行い、利用者から好評を得ています。

◆評価機関からのコメント

利用者は、自分の携帯電話で様々な情報を主体的に把握しています。この状況から、職員は過剰に支援することなく、必要な情報を提供する体制に変更し、見守り支援に徹しています。
A-2-(7)地域生活への移行と地域生活の支援

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者の主体的な生活を尊重しつつ、過度な介入を避けた継続的な見守り支援を続けることが重要と考えています。他のサービス提供事業者や関係機関との緊密な連携と情報共有を徹底し、多職種連携を通じて、生活全体の課題を共有し支えていく環境を構築したいと考えています。

◆評価機関からのコメント

利用者は地域移行の一環としてグループホームに入居しています。この地域での生活が継続できるよう、職員による適切な見守り、そして他のサービス提供事業者との連携・情報共有が極めて重要となります。したがって、地域移行が実現した後も、その生活が途切れることなく安定して継続できる仕組みづくりが期待されます。
A-2-(8)家族等との連携・交流と家族支援

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

家族とのつながりは、電話やメールでのやりとりなどをしています。また、やりとりがない家族に対してはグループホーム側から連絡し面談に来所してもらうようにして、定期的な意見交換をする機会を設けています。

◆評価機関からのコメント

家族との関係性については、今までの生活歴などによって一律に交流することが適切とはいえないこともあるため、利用者の希望も含めてそのあり方を模索していくことが必要であるといえます。また、利用者が高齢化することに伴い、その家族の支援も必要となることから、関係機関とのネットワークを形成しながら支援を実施することが期待されます。

利用者調査結果<別紙3>

利用者調査概要 利用者調査総合結果
利用者総数:8名
アンケート調査対象:8名
ヒアリング調査対象:1名
①  アンケートで評価の高い内容と  %
利用者同士でトラブルがあった場合、職員・スタッフが対応してくれますか。 はい 88 %


②  アンケートで評価の低い内容と   %
あなたは今、困っていることや不安なことはありますか。            はい  50 %

③ 調査全体でとらえた利用者の状況
 (障害特性や利用者の背景や表情等も含め記述)
利用者は精神疾患の方で、基本的に自己決定をすることができます。利用者のプライベートを大事にして、自己決定を尊重し、職員は見守る姿勢でケアしています。利用者は各自の思いで生活ができ、ホームの生活を楽しんでいます。