社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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上末吉白百合保育園

2023年02月20日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 特定非営利活動法人よこはま地域福祉研究センター

② 施設・事業所情報
名称 上末吉白百合保育園 評価対象サービス 2022~ 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 60 名
所在地 230-0011
横浜市鶴見区上末吉3丁目5-2
TEL 045-581-7451 ホームページ https://shirayuri-kamisueyoshi.com/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2001年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人白百合会
職員数
常勤職員:17 名
非常勤職員:15 名
専門職員
保育士:23 名
栄養士:2 名
調理員:2 名
事務員:1 名
施設・設備の概要
居室数:保育室 8室
設備等:遊戯室 調理室 調乳室 事務室 地域支援室等

③ 理念・基本方針
<保育の基本理念>
・子どもの最善の利益を求める「子どもの権利条約」を遵守し、児童憲章、児童福祉法を守り発展させて  いきます。
・保育を必要とする乳児・幼児を養護・教育し、すべての子どもの発達を保障していきます。
・地域社会で子どもの育ちを最優先する立場から、施設開放、子育て中の育児不安等の相談など保育所を地域社会の有用な社会資源として活用を図ります。
・激しく変化する社会のなかで保育に対するニーズは、複雑化し更に多様化しつつあります。このニーズに応えていくことのできる広い社会的視野にたち、たえず保育内容の改善をすすめます。
<保育方針>
・子どもたちが、心身ともに健やかに成長・発達できる保育内容・良好な環境を保障します。
・保護者の方々も、安心して働き続けられることができる保育環境を整えます。
・保護者の方と手を取り合って子育てをし、その成長の喜びを共感できる関係を築いていきます。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
・当園は、広い園庭と2階にテラスがあり陽当りも良く乳児、幼児ともによく遊んでいます。近くには鶴見川があり魚をみたり、土手沿いには桜が植えられ桜の満開に季節を感じながらの散歩や近隣の公園へと足をのばし四季を通じて探索を楽しんでいます。1日1日が「わくわくドキドキする保育を!」とさまざまな素材に触れ五感を使って全身を動かしてとことん遊びきります。「おもしろ~い!」「たのしい~!」と、思える豊かな実体験を、そこで感じる心の育ちを温かく見守ることを大切にしています。又、食べることに興味、関心を持つように食育体験を豊かにし夏、冬野菜を育て収穫した野菜を子どもたちとどんな味つけで食べようかと話し合って、食べています。
・子ども主体の生活、遊びの環境を見直すと共に安心安全の保育の中で、日本の文化の継承として季節の歌や絵本、行事を大切にしています。
・地域への取り組みとして、保育・看護実習生の受け入れ、中学校、高校の職業体験、ボランティアの受け入れ、職業講話・地域の地区センターに保育士を派遣しています。毎週水曜日の園庭開放の他、給食試食会やベビーマッサージ等の取り組みなど、日々の子育ての悩みなど相談出来る場としています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2022/05/23(契約日) ~2022/11/21(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(2017年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 【特長】
◆子どもたちの主体性を大切にし、一人ひとりの子どもをていねいに見守る保育を実践しています。
今年どんな1年を過ごしたいかを職員間で話し合い、「元気いっぱい!友だちだいすき!やりたいことがあふれる」ということばを考え、日々の保育実践に取り組んでいます。各保育室には、発達に沿った手作りの玩具がたくさんあり、子どもたちが自分で取り出せるようになっています。また素材やおりがみ等も自由に使えるよう用意されているので、やりたいときに自分で遊びを選べる環境があります。生活の中においても、子ども自身がどうしたいかという思いをくみ取り、主体性を尊重する保育の実践に取り組んでいます。
また、子ども達の家庭での状況を把握し、園での生活が園本位の動きにならないよう、一人ひとりの子どもの様子を見ながらその子に合った柔軟な保育を行っています。子どもの登園時間や生活リズム、体調などを考慮して、その日の活動のグループを分けたり、お昼ごはんを食べたりしています。

◆地域のニーズを把握しながら地域社会における保育所の役割を果たす努力をしています。
近隣の地区センターで、地域の乳幼児親子に対して保育の専門性を活かした子育て支援事業を実施しています。また、園主催の行事は、町内の自治会の掲示版でお知らせを発信し、園を利用していない親子の参加へつなげたり、近隣からの園への意見について自治会も共に検討したりと良好な関係を築いています。地域社会と積極的に関わる中で、情報を得たり、ニーズを把握し、活動に活かす努力をしています。また、地域の小学校との連携の他、中学校に職員を派遣して、保育所とはどういうところか、保育とはどんな仕事かということを話す機会を設けたり、中・高校生の職業体験を受け入れたりするなど、地域で将来の保育士の卵を育てるよう働きかけています。

【今後期待される点】
◆より具体的な目標設定した事業計画の策定が期待されます
現在、園では2022年度事業計画が策定され、その中身はクラス体制、職員数、行事といった現在の状況数値が記載されています。また、事業としては特別保育事業など、いくつかの事業があげられていますが、事業計画としてこれらをどのように展開するのかまでは記載されていません。一方、運営方針には、取組の内容として今年度の事業の目標が書かれています。事業計画としては、これらを統合して、取組内容をより具体的な達成目標として設定して、1年間の取組としてどのように展開していくかを具体的な数値とともに整理していくことが望まれます。さらに、中長期計画が法人の計画として策定されていますが園の計画まで落とし込まれていません。今後は、園としての中長期目標を設定し、その下で年間事業計画が策定されることが期待されます。

◆人材の確保や育成、働きやすい職場づくりについて共通理解を深めることが期待されます。
園として「保育士人財育成計画」があり、保育士だけでなく、栄養士や事務員にもそれぞれ職位・職階別に期待する役割と資質・業務に必要な知識・技術が示されています。それに基づいて人材の確保や育成について計画が作成されています。個別面談も年3回行われ、職員の意向も反映されるよう努めていますが、具体的な人事管理の取り組みや働きやすい職場づくりについて、職員一人ひとりに十分伝わっていないことが職員アンケートであきらかになりました。今後は園として、人材の確保や育成、ワークライフバランスなどについて、園内で共通理解を深めていくことが望まれます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 第三者評価の受審に際し、職員一人ひとりが、全項目にわたって点検し、気づきをグループ討議、保育園として一つにまとめていく作業を通じて、様々な角度からの視点を持つことができ改めて意識を広げることができました。
地域にある保育園が、地域社会に対して何が取り組めるのか。取り組みをしていく姿勢と関係づくりの大切さを感じました。まだまだ改善していく点など様々な見直しと気付きの場となりました。
保護者の皆さまからも忙しい中アンケートのご協力を頂きました。改めてお礼申し上げます。
これからも保育園の全職員が子どもを真ん中に切磋琢磨し、子どもにとって何が大切かを常に考え、発達にあった保育に向けて今後も職員の話し合いを促進しより良い職場、より良い運営に取り組んでいきたいと思います。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

保育理念は、子どもの最善の利益を求める「子どもの権利条約」を遵守し、児童憲章、児童福祉法を守り発展させる、をはじめとして4項目設定しています。保育目標は「元気に遊べる子ども」「自分を表現し、工夫し、考える子ども」「仲間と共感しあう、心豊かな子ども」としています。保育理念、保育目標は園のパンフレットに記載され、さらにホームページにも掲げてあり、園の使命や目指す方向性を読み取ることができ、職員の行動規範となっています。園の自己評価でも職員は理解していると評価していますが、園としては継続的な取り組みを更に実施していきたいと考えています。保護者への説明が足りないと感じており、今後の課題と考えています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

園長は法人の園長会議、区や市の私立保育園園長会議などに出席し、社会福祉事業の全体像や地域の福祉計画の動向は把握しています。横浜市での待機児童の減少に見られるように子どもの数の減少は統計的にも把握していますが、当園でも乳児の定員が一時未達のこともあり、実感として感じています。園庭開放をはじめとする地域への支援活動を通して、保護者の潜在的なニーズを把握するよう努めています。当園の利用者数、職員の労働時間、有給の取得状況など経理関係をはじめとする統計的な分析結果は本部に毎月提出しており、職員とも共有しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

現在の園の課題としては、人材育成と考えています。ある程度経験の豊かな職員が多いことから、新たなステップへの研修が法人内の人事異動にも必要と考えています。法人も理解していますが、職員に対する説明は十分とは言えません。今後、この問題を含めて、課題解決のための取組を図っていく必要があると園は考えています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

園としての中長期計画を4月にとりまとめ、大きな課題として、「法人の理念、事業運営の透明性の向上」「人材の育成」「施設整備等」「人材確保の計画」の項目を取り上げて、その取り組みを具体的に記載しています。ただし、個々の課題において、数値目標や具体的な成果等を設定するところまでは至っていません。計画を見直して、再設計する仕組みまでは取られておらず、今後の課題となっています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

単年度の事業計画はクラス体制、職員数、行事といった項目に加えて、「特別保育事業」として乳児保育事業(産休明け)、延長保育事業、障害児保育事業、一時保育事業、「自主事業」として子育て支援事業、駒岡地区年長交流、上末吉小学校との交流や実習生、ボランティアの受け入れなど、具体的な取り組み事業をあげています。これに加えて、年度の運営方針としてキャリアアップ研修、園内研修の充実などさらに具体的な取り組み内容を記載しています。ただし、これらの取り組みは中期計画と必ずしも連動はしておらず、しかも具体的な成果を設定していないため、成果を評価する仕組みとなっておらず、改善が期待されます。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画については、前年度、保護者アンケート、職員アンケートを実施、それらの意見の集約として、園長と主任が事業計画を作成しています。事業計画については職員会議などで職員に周知はしています。ただし、事業計画を評価するための仕組みは特に作られておらず、事業計画の見直しは特に実施していません。今後、事業計画を評価するための仕組み作りが期待されます。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

保護者に対して、保護者懇談会や送迎時に直接、事業計画の一部は年間の行事計画とともに説明しています。ただし、保護者向けの資料や、説明等は特に行っておらず、今後の課題となっています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

毎年、職員による園の自己評価を行い、これに加えて保護者のアンケート調査も実施しています。これらを園長と主任が結果をとりまとめ、外部に公表しています。このように、PDCAのサイクルは確立しています。また保育の内容については、月間指導計画、週案などで、期末に振り返りを行い、次期の計画に生かしています。さらに、幼児会議、乳児会議、個別指導計画についても職員間で話し合って評価をしています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

職員の自己評価結果が毎年出されており、これを園長と主任がとりまとめ、課題を整理しています。昨年度の場合は保育理念の理解及び保護者支援については満足のいく評価結果でした。これに対して子どもの発達援助及び組織基盤については、必ずしも満足のいく結果ではありませんでした。課題としては、子どもの人権について、より意識を高めることとなっています。これについて学び、より高い水準を目指すことにしています。また、組織基盤の分野では職員間の連携をより緊密に図ることが課題となってきました。これらについては職員間で共有が図られています。ただし、今年度の計画には必ずしも十分反映されてはいません。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

園長としての役割は職務分担表に記載されており、さらに年初にはどのような園にしていきたいかを職員に対して表明しています。特に、今年度はコロナ禍で様々な活動が制限される可能性が高かったあることから、職員の健康管理をきわめて重要な課題として設定しています。それと同時に、職員の声かけによるコミュニケーションの重要性を表明しています。ホームページの中では園の概要欄で、どういった園にしていきたいかを明らかにしています。災害時には震災応急計画の中で、園長不在時には主任が代行し、指揮に当たることを明示しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

園長は取引事業者などとの適正な関係を保持しており、遵守すべき法令を十分理解しています。法人による研修や横浜市の施設長研修にも参加しています。環境に対しても、園長は「もったいない」の精神をモットーに、教材に廃材を積極的に使用し、資源のリサイクルに取り組んでいます。横浜市の3R運動も積極的に展開しています。園長は、職員に対しても遵守すべき法令等について職員会議などで周知を図っています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

園長は、保育の質に対して常に関心を持っており、月間保育計画や週案の結果や職員の振り返りについて必ず目を通しています。乳児会議、幼児会議にも出席し、保育の現状や内容について把握しています。課題について職員との間で話し合いがもたれています。職員の教育・研修については体系的に取り組んでいます。コロナ禍で集合研修が出来ない状況があり、この場合はオンライン研修を積極的に取り入れて、これまで取り組むのが難しかった非常勤職員のオンライン研修を実施し、成果を上げています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

法人の神奈川エリアの5保育園の園長が集まって人事、労務等の分析を行っています。年齢が高い職員が多く、人事配置を始め、勤務状況には気を配っています。小学生の子どもがいる職員には、学校の行事などがあり、休みを取りやすいようにしています。職員のシフトは主任・シフト係が作っており、職員の残業は保護者の帰りが遅くなることがあって、やむを得ないと考えていますが、リーダー会議、職員会議は昼に行うなどの努力をしています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

保育士を初めとして職員の育成に関しては人材育成計画を作成しており、これは保育士だけでなく、栄養士、調理師、事務職員にもそれぞれ計画が作られています。栄養士や看護師については専門職会議をエリアの5園で実施しており、それぞれの育成を図っています。法人は、人材確保のために、就職フェアに参加するだけでなく、専門学校や短大に学校訪問して新卒者を紹介してもらう努力を重ねています。さらに、法人の園長会として実習生、ボランティアを積極的に受け入れ人材確保に結びつけるようにしています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

園長は期待する職員像を「元気に遊べる職員、自分を表現し、工夫し、考える職員、仲間と共感し合う、心豊かな職員」をあげています。人事評価は法人として「人事考課要領」が作成されており、この中で評価の手順や基準が明確に定められており、職員にも周知しています。職員の配置については、入職してからすべてのクラスをなるべく経験させていきたいと考えています。職員は異動を前向きに捉えおり、保育士だけでなく、看護師、栄養士、調理師、事務職の職種についてもキャリアパス表が全て作られているところから、将来の自分の姿が描けるようになっています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

労務管理の責任者は園長となっており、園長は有休の取得状況や時間外労働は定期的に管理しています。職員とは日常的に話し合ったり、保育の現場を見るなどして心身の健康には気をつけています。個別面談も年に2回実施し、職員の要望を把握するようにしています。職員の相談は園だけでなく法人にも設置されており嘱託医が担当しています。横浜市勤労者福祉共済「ハマフレンド」という事業者向けの福利厚生制度に加入しています。結婚・出産などの給付金、宿泊施設利用に対し補助などが出ます。小学生の子どもがいる職員に対しては、時間短縮を適用するなど、働きやすい職場作りを進めています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

目標共有シートが作られていて、職員一人ひとりが年度初に作成し、中間時点及び年度末に振り返りを行うようになっています。目標共有シートでは、業務目標を作り、それを達成するための具体的な取組事項・達成時期を記載します。これに基づいて、園長との面談で年間の自己向上の取組を行うことになります。中間時点にも園長との面談で、目標に対する到達状況を話し合い、評価していきます。園長との話し合いで「こういうところが足りないね」といったことが評価されると、計画の修正をすることも出来ます。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

「保育士としての資質」で保育士の人材育成のための視点・観点が作成されており、例えば「子どもとの信頼関係が結ばれている」「発達の見通しを持って保育する」など6項目が示されています。保育士人材育成計画では職位・職階別に期待する役割と資質、業務に必要な知識・技術が示されており、これに基づき、年間研修計画表が作成されています。法人研修は年に2回、これに横浜市の研修も利用し、さらに園長と法人の研修係が話し合って、研修内容を決定していきます。研修内容も毎年、見直しされており、今年はオンライン研修を通して、正規職員も非正規職員も一緒に研修を受けられています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

園長は年3回の職員との面談や、自己評価表などによって、職員の知識や専門性は把握しています。新任職員に対してはチューター制度が作られていて、チューターとしての業務の進め方がマニュアル化されています。職員が外部の研修会で不在になるような場合は、非常勤職員をそのクラスに配置し職員が研修に参加しやすいように配慮しています。横浜市や、神奈川県のキャリアアップ研修にも積極的に参加してもらっています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

実習生の受入については、受け入れマニュアルの中にその方法、手順が明記され、受け入れに対する準備が明示されています。保護者に渡す園のしおりの中にも実習生・ボランティア受入は、保育士・看護師養成のために学生の実習を受け入れることを明記しています。受け入れに当たっては、個々の実習生の特性もあるので、実習生と面談し、学校と調整しつつプログラムを用意しています。今年度はコロナ禍の中でも看護師実習を受け入れました。実習中は学校側と連携しつつプログラムを実施してきました。ただし、実習生を指導する指導者の研修は実施されてはいません。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

園の理念や方針、法人の決算報告はホームページに掲載されています。園の事業報告は法人の理事会で報告されています。苦情処理制度については法人のホームページで公開されています。園の苦情解決規程では、解決のための体制や第三者委員、かながわ福祉サービス調整委員会の電話番号なども掲載されています。ただし、苦情の処理結果の項目はありますが、その内容は未掲載です。園としては苦情の記録は作っていて、本人には結果を知らせており、了解があれば公開しています。園のパンフレットは所属している自治会には配付して回覧してもらっています。また近隣の地区センターやケアプラザにもパンフレットを置いています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

職務分担表を作成していて、個々の職種別に役割が明記されており、事務員は特に経理・財務事務・庶務事務・人事労務管理事務を担当することが明確にされ、さらに園長が予算の編成及び執行といった権限・責任が明確にされています。この点は職員も周知しています。園の事務・経理などに関する内部監査は、法人の事務局長が毎月実施しています。本部の事業や財務に関しては会計事務所が実施し、必要ならば改善事項を指摘しています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の基本理念に「地域社会での子どもの育ちを最優先する」を掲げ、園の概要に地域交流に取り組むと記載しています。玄関に、つるみ区子育て応援ガイドブック(育児相談等が記載)・育児情報誌・ぜんそくの専門医・お散歩マップ等を置いて、保護者に情報提供しています。園の外にある掲示板には、地域子育て支援拠点「わっくんひろば」での子育て相談や、末吉地区センターで定期的に開催される「保育士とあそぼう」のチラシを掲示しています。子ども達は、散歩で近隣の方と挨拶や会話を交わし、日常的に地域住民との関わりをもっています。また地区センターまつりでは、リズム体操や盆踊りに参加し、地域と交流をしています。今はコロナ禍のため行っていませんが、園では運動会や試食会等の行事に地域住民を招待し交流を図っています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

法人で「ボランティア受け入れ指針」を作成し、受け入れに関する基本姿勢が明文化されていますが、登録手続きや、事前説明に関する記載がないため、より具体的な内容のマニュアル作成が望まれます。ボランティア受け入れの際は、事前に来園してもらい、オリエンテーションを行っています。中学生の職業体験・高校生インターシップの受け入れもしていますが、今は、コロナ禍のため休止しています。また毎年近隣の中学校で職業講話を行っており、今年はビデオで行いました。この職業講話を受けて職業体験やボランティアへと繋がっています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

鶴見区こども家庭支援課、横浜市中央児童相談所、横浜市東部地域療育センター、小学校、警察、医療機関など、関係機関のリストを事務所に置いてあります。また、緊急連絡先のリストが事務所に掲示され、いつでも確認をすることが出来ます。関係機関との連携についてはカリキュラム会議などで報告していますが、園は全職員への共有していますが、共有化についてより良い方法を模索しています。園長は、区の各会議、法人や区の園長会議に出席し、地域の課題に協同して取り組んでいます。虐待等権利侵害が疑われる場合には、チェックリスト等で確認をし、鶴見区こども家庭支援課の保健師やワーカー、中央児童相談所と連携し、問題に取り組む体制を築いています。また各機関と連携し、虐待ネットワーク化に取り組んでいます。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

園長は、法人や鶴見区の園長会議などの各会議に出席し、地域の福祉ニーズや生活課題の把握に努めています。また、末吉地区センターと連携して月に一回「保育士とあそぼう」を開催し、地域の子育て家庭と交流したり、地域育児支援活動の育児相談を通じて地域の具体的な福祉ニーズの把握に努めています。町内会には加入していますが、園としては自治会の会合に参加したり、民生委員との関係性を築く等、さらに地域との関係性を深めていきたいと考えています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

園は、把握した地域のニーズに基づき、子育て支援事業として園庭の開放、交流保育事業、育児講座を事業計画として掲げています。今年はコロナ禍のため、参加人数が少なく開催出来ない事もありましたが、試食会やベビーマッサージなどを企画しました。園庭開放に関しては、人数制限を設け開催しています。また、末吉地区センターでは、地域の乳幼児の親子を対象に「保育士とあそぼう」を毎月一回開催したり、近隣の中学校へ職員を派遣し、職業講話を開催する等、地域に還元する取組を積極的に行っています。地域住民に対しては、保育園の敷地の一部をゴミ集積所として提供したり、災害の際に近隣の乳幼児のためミルク等を提供出来るよう地区センターと取り組んでいます。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の基本理念に子どもの権利条約の遵守を明示し、法人や横浜市の人権研修、外部講師の勉強会等で職員に周知しています。法人では子どもの人権・権利擁護に関する規程、マニュアルを作成し、チェックリストで自己点検が出来る仕組みがあります。カリキュラム会議等では子どもの尊重や基本的人権への配慮について状況の把握・評価を行い、必要な対応を図っています。園では男女の区別なく、子どもの意思を尊重するよう努めています。また、配慮を要する子どもを受け入れる体制があり、園のしおりにノーマライゼーションの精神に基づいた「ともに育ちあうことの大切さ」について記載し、保護者にも説明し実践に努めています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:b】

園でプライバシー保護についてのマニュアルを作成していますが、職員全体に対しての周知や、研修によるマニュアルの理解が望まれます。園には、1階廊下の図書コーナー、一時保育室、育児相談室等、子どものプライバシーを守れる空間があり、快適に過ごせるような環境を提供しています。保育場面では、幼児トイレはドアのついた個室になっています。夏には園庭に黒いシートを貼って、近隣の民家などから見えないようにしてシャワーを浴びるよう配慮しています。プールの際は、ラップタオルを使用して着替えるよう「幼児部プールの流れ」のマニュアルに記載し実践しています。毎年プールに入る時期と小学校の入学前には4・5歳児に分かりやすい性教育の絵本を使って、自分の身体を守る事の大切さ、プライベートゾーンについての話をし、保護者にも伝えています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

入園希望者に対し、ホームページやパンフレットで理念や基本方針、保育の内容や園での子どもの写真を載せ、分かりやすく伝えています。またパンフレットは、所属している自治会に配布して回覧をしてもらったり、近隣の地区センターや鶴見区地域子育て支援拠点「わっくんひろば」に置いています。保育園希望者はホームぺ-ジや電話で申し込み、園は予約を受付て日時を調整し、一日2組を受け入れています。見学者には、園長や主任が対応し保育内容を丁寧に説明すると共に、園での子どもの活動を中心に見てもらっています。利用希望者に対して、常に新しい情報が提供できるよう適宜見直しをすることが期待されます。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

入園前の説明会で保護者面接を行い、「入園のしおり」(重要事項説明書)を基に保育の開始・保育内容の変更時に関して説明を行い、保護者から同意書の提出を受けています。また保護者面談の際に、保護者や子どもの様子に気になる点があれば看護師、栄養士による面接を行い、保護者や子どもの状況に応じ入園後も継続して面接を実施しています。保育の開始や保育内容の変更の際は、クラスの掲示板、クラス便り、えんだよりで報告し、必要に応じて、マチコミメールで知らせています。食事やトイレットトレーニング等、個別での対応を必要とする際の保育内容の変更は、保護者と話し合い同意を得ています。配慮が必要な保護者への対応のルールは特に設けていませんが、丁寧に説明する等、個々に対応しています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

子どもや家庭に関する情報提供や,保育の引継ぎは行っていません。保育園の利用が終了した後も、特に担当者や窓口は設置していませんが、相談が出来る事を口頭で伝えています。その際は,子どもや保護者が安心出来るよう配慮し、口頭だけでなく文書でも伝える事が望まれます。実際に卒園生の保護者が相談に来る場合もあり、その際は園長が対応しています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

日々の保育の中で、子どもの姿から満足感が読み取れるよう努めています。保護者に対しては、送迎時にコミュニケーションを取り相談にのる等、日頃から信頼関係を築くよう努めています。年3回懇談会を開催していますが、懇談会の前に育児の悩みや、園に関するアンケートを取り、当日話しやすいようにする等工夫をしています。また、保護者会の代わりに連絡会係を設置し、クラスの代表者と園長、主任、担当職員が出席し、保護者の要望や意見を聞くよう努めています。保護者へのアンケートは年に1回行い、把握した結果を分析、検討するために会議で話し合い、改善に繋がるよう努めています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

法人で「苦情解決規程」を作成し、苦情解決の流れを詳しく記載しています。保護者には、園のしおりに「苦情相談窓口」として担当者(主任保育士)責任者(園長)、第三者委員2名の氏名連絡先を明記し、受付方法を説明しています。玄関に受付担当者や解決責任者、第三者委員2名の氏名連絡先、外部の相談窓口として神奈川福祉サービス運営適正化委員会、横浜市福祉調整委員会の連絡先を記した「要望等の対応について」を設置しています。苦情解決の記録はファイルに綴り、改善に取り組んでいます。苦情内容に関する検討・対応については、必ず保護者にフイードバックし、苦情内容や解決結果等は、個人情報の観点を踏まえ、可能な限り当事者の同意を得たうえで、公表しています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

入園説明で、入園のしおりの「苦情解決窓口」について説明し、保護者に配布しています。玄関には「要望等の対応について」の説明書が置かれ、第三者委員や外部の相談機関の連絡先が記載されています。また、各相談事業が記載された「つるみ区の子育て応援ガイドブック」も玄関に設置されていて、誰でも見る事が出来ます。相談をする際は1階の子育て相談室を利用するなど、相談しやすいスペースを確保しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

毎日の送迎の際に保護者とコミュニケーションを取り、日々保護者との関係性を築くよう努めています。保護者からの相談に対しては、口頭で対応したり連絡帳を活用していますが、相談内容によっては相談室を利用して、園長が丁寧に話を聞く事が出来るような体制を整えています。相談や意見を受けた際の記録は、保育日誌や会議記録として記録される事もありますが、相談記録としては残っていません。継続した対応が必要な事もあるため、記録として残し状況を継続して把握する事が望まれます。園は玄関に意見箱を置いたり、アンケートを実施して、保護者の要望や意見等に基づいて問題点を検討し、改善するよう努めています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

法人で「事故防止マニュアル」「事故対応マニュアル」を作成し、事故発生時の対応や手順等は職員に周知しています。月に1回リスク会議で、前月のヒヤリハットやアクシデントについて報告し、改善点、再発防止策を検討しています。また、昼に行われるミーティングで、ヒヤリハットの報告を共有し、防止策に取り組んでいます。園では事故報告書やヒヤリハット・アクシデント・事故の事例がまとめられた一覧表を作成していますが、法人の他の園で同様にまとめられた一覧表を一緒にファイルに綴るなど、事例の収集が積極的に行われています。職員は、園内研修で消防士から心臓蘇生法を学んだり保育場面で職員同士が声を掛け合う等、日々事故防止への取組に努めています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人が「感染症・保健衛生対応マニュアル」を作成し、感染症の予防と発生時等の対応について職員に周知しています。感染予防策として、保育室の換気・衛生管理に気を付け、コロナ禍という事もあり外部から園内に入る際の手洗いや、いろいろな場面で人数制限をする等、予防に努めています。園内でも看護師が中心となり、嘔吐の処理、プール使用時の衛生管理、手の洗い方についての勉強会を行うなど防止策に取り組み、対応マニュアルの見直しを行っています。感染症が発生した際はマニュアルに沿って対応し、保護者にはホワイドボードや張り紙で知らせています。また、「ほけんだより」で報告し、内容によっては、一斉メールで配信しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

災害時の対応として、法人で「災害対応マニュアル」を作成しています。園でも、震災への対応マニュアルや浸水対策として避難確保等も作成し災害に備えています。マニュアルには災害時の役割分担や地域との支援体制の確立、防災用品の備蓄、震災応急計画として職員の確保、保護者の安否確認、施設内外の点検・修理等、保育園を継続するために必要な対策が記載されています。保護者に対しては、一斉メールで配信する事や災害用伝言ダイヤルで確認するよう「入園のしおり」に記載し、説明を行っています。防災用品の備蓄は、係を決めて備蓄リストを作成し、発電機やボンベ、投光器は各保育室に保管し、食料は3日分備蓄しています。防災訓練は年に15回行い、近隣の消防署と連携した研修も行っています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:b】

標準的な実施方法は、法人や園が各種マニュアルを作成しています。マニュアルには法人の理念や基本方針、子どもの尊重やプライバシー保護に関わる姿勢が明示されています。新人職員に対しては、法人研修・園内研修を行い、また毎年嘔吐の処理やプール・水あそび前にマニュアルに沿った研修を行っています。昨年は子どもの人権に関する研修を行い、今年はコロナ禍のためマニュアルを数回読み直す等、職員に周知徹底するよう努めています。また、園での自己評価、外部講師による勉強会や複数の保育士と一緒に保育をする事で、マニュアルに基づいて実施されているか確認する事ができてます。園では一人ひとりの子どもの発達や状況に応じて柔軟な保育を実践しており、画一的なものとなっていません。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

標準的な実施方法の検証や見直しは、年度変わりや行政からの指示を受けた際に行っています。カリキュラム会議・期の振り返り会議・クラス会議で話し合い、PDCAサイクルを用いて振り返り、見直しをして次につなげています。子どもの成長や状況に応じて環境設定を見直し、プール・水遊びや感染症の流行する時期など、それぞれの研修に伴いマニュアルを検証し見直しを行っています。園は保護者同士が話し合った内容をクラスの連絡係を通して収集し、保護者の意見や提案が反映するよう努めています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:a】

指導計画の責任者は園長で、全体的な計画に基づき年間指導計画、月間指導計画等や食育計画を作成しています。0,1,2歳児と配慮を必要とする子どもには、個別指導計画を作成しています。子どもの家庭の状況、保護者の意向については、入園前の提出書類(児童票や児童健康台帳等)や保護者面接で確認し、子どもの遊ぶ姿を観察して性格や特徴を把握しています。発達やアレルギー等で気になる点があれば、看護師や栄養士による面接を実施しています。入園後の子どもの成長発達の様子は、経過記録に記載しています。指導計画は各クラスで話し合って作成し、カリキュラム会議で報告し共有しています。計画の作成にあたっては、栄養士や看護師の意見を反映しています。配慮を必要とする子どもの対応については、鶴見区こども家庭支援課(保健師)に相談したり、横浜市東部地域療育センターの巡回相談等各機関と連携し、アドバイスを受けて保育の実践に活かしています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

月間指導計画は毎月、年間指導計画は4期に分け、毎月のクラス会議で子どもの姿等について話し合い、PDCAサイクルを用いて振り返り、計画の評価、見直しを行っています。評価の結果は、次の計画に反映して作成しています。また、カリキュラム会議では、全クラスが指導計画の評価・見直しの内容を報告し、園全体の内容を全職員が把握できるようにしています。月間指導計画は各クラスに掲示し、変更があった際は掲示板や「えんだより」で知らせています。個別指導計画の見直しは、個別面談などで保護者に様子を伝え、理解を得ながら家庭と連携してすすめています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

子どもの発達状況や生活状況は、入園時に児童票・児童健康台帳・健康ノート・アレルギー確認書を保護者が記入し、提出してもらっています。入園後の子どもの成長、発達の様子は経過記録に記録し、日々の保育は保育日誌に記録しています。保育日誌は、保育内容以外に、良い点や課題、その理由・明日へのつながるところ・配慮児の姿・連絡事項・ヒヤリハットの有無などの記入欄があります。見やすい記録となっていますが、園では書き方に課題があると捉えており、改善に期待します。毎月のカリキュラム会議で、全職員が園全体の内容を共有するようにしています。また、マチコミメールで情報を共有し、パソコンを各クラスに1台ずつ配置して指導計画やえんだより等を作成し、全職員で共有しています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

園のしおりに法人で作成した「個人情報保護規程」を載せ、子どもの記録の保管や保存、情報の提供、開示や訂正・利用停止や消去について記載しています。また保護者には、個人情報の取り扱いについて説明をしています。記録の責任者は園長で、個人情報に関する書類は事務所内の施錠出来る棚で管理しています。パソコンのデーター管理については、USB・SDカードは事務所で保管し、USBの外部への持ち出しや個人のUSBの使用は禁止しています。新人職員は、オリエンテーションで個人情報保護に関する説明を受けています。また、年度初めには園長が、個人情報保護についての説明や情報の取り扱いについて説明を行い、職員に周知するよう努めています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画は、「子どもの権利条約」「児童憲章」「児童福祉法」や地域社会における保育所の役割を踏まえた保育理念、保育方針、園目標に基づいて作成されています。地域の特性を分析しつつ、子どもの年齢別の発達過程を考慮して作成されています。また、保育する上で大切にすることとして、「命を大切にする保育」「子どもから出発し、対話を重視する保育」「子どもの主体性を大切にする保育」「生活や遊びを豊かにする保育」「保護者とともに育て、育ちあう保育」「地域との関わりを通して社会性を育てる保育」「積極的に学びあう職員集団」としてまとめられ明示されています。全体的な計画は、年度末に各クラスごとに振り返りを行い、出された意見を吸い上げ、調理員や看護師など子どもに関わる職員も参加する会議で次年度に向けて見直しを行っています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:a】

2歳未満児は2階、3歳児以上児は1階に保育室が配置されています。2歳未満児は各年齢別の保育室の他にプレイルームがあり、フロア全体で子どもの状態に合わせて遊びや生活ができるようになっています。3歳以上児は保育室から直接遊戯室や園庭に出られるようになっており、異年齢での関わりがしやすいようになっています。保育室にある押し入れ下のスペースが子どもが過ごせる空間になっており、遊びの時間でも疲れた子どもはそこに布団を敷いてゆったりした時間を過ごしていました。午睡用の布団は、年に4回、業者による布団乾燥を行い、清潔にしています。各保育室は、一定の温度で常に適切な状態が保たれています。夏は熱中症指数も計測しています。また、空気清浄機や加湿器が設置され、湿度にも配慮しています。トイレは「トイレ掃除チェック表」があり、1日2回チェックを行い、清潔が保たれています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

一人ひとりの子どもの発達過程と連絡帳や日々の保護者との会話で家庭の状況等を把握し、子どもの状態に応じた保育を行っています。年齢の低い子どもは、家庭での就寝時間や食事の時間、登園時間などを考慮して、食事や午睡の時間を決めるようにしています。自分を表現する力が十分でない子どもには、表情や態度などから、子どもの気持ちをくみ取り、また、子どもが発した言葉について、いろいろな見方ができるように複数で振り返るようにしています。子どもに対して肯定的な言葉遣いを意識し、子ども達が「伝えたい」という思いで言葉を発している時には、言葉を先取りせず待つ姿勢があります。子ども同士のいさかいの際には、2人の間に保育士が入り、保育士は双方の話をきちんと聞き、それぞれを認める言葉がけを行い、解決できるよう促していました。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

一人ひとりの子どもの発達に合わせて、日常生活の中で基本的な生活習慣が身につけられるよう配慮しています。トイレットトレーニングは、始めるタイミングや進め方について、保護者と丁寧な面談を重ね、子どもの様子をよく見ながら援助を行っています。年齢の低い子どもは、トイレのあとズボンをはきやすいように整え、自分でやろうとする気持ちを引き出しています。年齢の高い子どもは、着替えの際、保育室の中で棚を並べたスペースに行き、自分でこれから着ようとする服を選び、着替えをし、それまで着ていた服は汚れ物入れに入れるというところまで、特に声掛けをしなくても自分からでやっていました。保育士が見て、シャツがズボンに入っていない子には入れてあげるなど、子どもに合わせた援助を行っていました。保育士は子ども達の様子を見て、疲れが見える子どもには個々に声をかけて休息がとれるようにしています。また、手洗い場には手の洗い方のポスターが掲示してあり、子どもが理解しやすいようになっていました。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

各保育室は、年齢や発達を考慮した玩具が用意され、子どもたちは自分の好きな遊びを選べる環境となっています。玩具は保育士の手作りのものが多く、玩具の写真が貼られた棚から自由に取り出せるようになっています。絵本も子どもの興味に合わせたものを置くようにしており、2歳児クラスにはサメに興味を持った子どものために絵本だけでなく「危険生物図鑑」を用意しました。天気のよい日には積極的に散歩にでかけてたり、園庭で遊んだりしています。散歩では、横断歩道にさしかかると、保育士は手をあげることを促したり、地域のひとには手を振ったり、挨拶をしながら歩きます。わらべ歌も口ずさみながら歩きます。遠い公園まで散歩をした際には、帰り道を「来た道にする?鶴見川の土手の道にする?」と子ども達に聞いて子ども達が歩きたい道を選んで園に帰ることもあります。子ども達から「おだんごやさんをやりたい」という声があがった時などは、近所の和菓子屋さんへディスプレイの見学に行くなど、地域の人たちと接する機会や地域で得られる経験を逃さないように援助しています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

0歳児室は、保育室の他に前室、畳の部屋があり、廊下等も使いながら、一人ひとりの生活リズムに合わせた保育を行っています。0歳児は発達や個人差も大きい年齢であることから、家庭との連絡を密にとりながら、排泄や食事、休息の時間を取るようにしています。離乳食は週に1回、栄養士が保護者に確認しながら進め、食事は一斉ではなく、子どもに合わせ、子ども3人に対してひとりの保育士が食事の援助を行っています。食べる意欲を大切にし、「おいしいね」「もぐもぐ」と声をかけながら手づかみ食べを見守ったり、食事をスプーンで口に運んだりしています。授乳の際は、抱っこをしてしっかり目を合わせて話しかけながらミルクを与えています。保育室は、工夫された手作り玩具があり、子どもたちは楽しんで遊んだり、保育士とゆったり過ごせる環境が整っています。子どもの様子から、部屋でゆっくり過ごす子どもたちと廊下で活発な遊びをする子どもたちに別れて過ごすこともあります。廊下や階段にマットを敷き、登ったり下ったりを楽しんでいました。また、ボール遊びで上手に投げられた子どもに「できたできた。ぎゅー。」と保育士が抱き留めて一緒に喜ぶと、子どももとてもうれしそうな表情をしていました。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

年齢別の保育室の他、テラスやプレイルームを使いながら、子どもの様子に沿って保育を行っています。同年齢でも、いくつかのグループに別れ、子どもたちがやりたいと思う遊びができるよう援助しています。プレイルームでは、自分だけのちょっとした空間を作り、人形遊びに没頭している子どもがいました。保育士は見守りつつ、他の子の同じようにやってみたいという気持ちを汲み取り、プレイルームに子どもが少人数で入ることのできる空間を作っていました。また、子どもの登園時間や生活リズム、体調を見た上で、散歩と園で過ごす子どもを分けるなどの対応をしています。食事の際には、なかなか食事が進まない子どもには無理に食べさせようとはせず、苦手なものを少しでも頑張って食べた子どもに対しては「すごい」「がんばったね」と声をかけ、食べようとする意欲を引き出すようにしています。他のクラスの子どもたちと遊んだり、手をつないで一緒に散歩に出かけるなど、異年齢の子どもとの活動も多く取り入れています。上の年齢の子どもは、年下の子どもにどう接しようかと考え、下の年齢の子どもは自分より上のお友達と遊ぶことにより多く刺激を受け、お互いに学んでいる姿が見られます。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

幼児も自分で遊びを選べるように環境設定しています。3歳児クラスは、折り紙や素材を掲示する形で取り出しやすくし、いつでも好きなときに好きなだけ遊べるようにしています。普段保管場所にしまってあるはさみや箸は、写真にして貼ってあり、使いたい時にはそれを保育士に渡すようにするなど、遊びたいけれど上手に言えなかったり、なかなか言い出せない子どもが表現しやすいように工夫されています。園庭の自由遊びでは、3歳児は植物に水をやったり、三輪車で走り回ったり、砂場で遊んだりと思い思いに過ごしていました。一人が砂を掘り始めると、他の子どもと「入れて」「いいよ」のやりとりがあり、砂場を工事現場に見立てて一緒に「家」を作り始めました。4・5歳児は少し遠方の下末吉公園に散歩に出かけることもあります。公園に到着すると、いくつかの注意事項を保育士がわかりやすい言葉で伝え、自由遊びが始まります。子どもたちは、ススキの穂を切って、ふわふわした感触を楽しんだり、虫を捕まえたり、葉っぱを集めて見立て遊びなど自然を感じる遊びのほか、友だちとかくれんぼをしたりと豊かな遊びが展開されていました。公園での様子を写真に撮り、ドキュメンテーションにして保護者に活動の様子を伝えています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

障害のある子どもに対しては、個別の計画を立て、保護者や鶴見区役所の保健師、横浜市東部地域療育センターとも密に連携を取りながら保育をしています。個々の様子を見て、保護者と相談しながら、年齢だけにこだわらず、発達段階にあったクラスで過ごすことができるようにしています。加配の保育士もいて、丁寧な対応をしています。子どもたちは、障害のある子どもと一緒に過ごしていくうちに、どのように接すればいいのかをだんだん理解し、自然と身についている様子がみられます。遊びに区切りがつけられずに動かずにいた子どもに、保育士やクラスの友達が声をかけると、すぐに気持ちを切り替えた場面も見られました。障害のある子どもの受け入れについては重要事項説明書に明記され、保護者にも説明しています。また、懇談会の際、必要に応じて当該園児の保護者から話をするなど、保護者も含めて理解を深めています。研修は昨年度は年に3回受講するほか、横浜市東部地域療育センターから具体的な対応方法を保護者と共に聞き、子どもがより園での生活をしやすくなるよう配慮しています。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

一日または一週間、それぞれの生活を見通して保育計画を立てるようにしています。夏であれば、プール活動をした日の午後はゆったりと過ごすようにしたり、週の終盤は疲れも出てくる子どももいるので、穏やかに過ごせるよう配慮したりしています。午後8時までの延長保育も行っています。今はコロナ禍の影響もあり利用者が少なくなっていますが、延長保育を利用する子どもは、保育室ではなく、子育て支援室で延長時間を過ごします。合同保育となりますが、いつも過ごしている保育室ではない場所でいつもの保育室にはない玩具で遊ぶことができ、特別感を感じている子どももいます。延長保育の子どもの状況について、保育士間の引継ぎはノートを使って行い、その日にあったことなどを保護者に伝えられるようにしています。また、専任の遅番担当保育士を配置し、「前日にやった延長保育の続き」ができるよう、遊びの連続性についても配慮されています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画には、小学校との連携として、「園児と児童の交流を通じて、小学校生活への安心感と、期待感が感じられるよう、学びの接続を図る」との記載があり、令和4年度事業計画には駒岡地区年長交流、上末吉小との交流が計画され、小学校での生活に見通しが持てるように保育を行っています。コロナ禍においては、これらの計画はそれまでのようにはできていませんでしたが、末吉小学校から小学校生活の紹介DVDが送られたり、「毎日日記」という写真で学校を紹介するこども向けの資料が送られ、年長児はそれらを見て小学校生活を知る機会を得ていました。小学校の教員が園を訪問し、保育を見たり、園が作成して小学校へ送る保育所児童保育要録をもとに小学校教員とやりとりを行うなどしています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

「保育園における衛生・健康管理について」というマニュアルがあり、健康観察のポイントなどが示され、それに基づいて子どもたちの健康状態を把握しています。朝、子どもを受け入れる際には「変わりないですか?」と保護者に声をかけ、子どもの状態を確認しています。園でケガをした場合は、経緯と状態を伝え、次の日にも家庭での様子を聞くようにしています。既往症や予防接種の状況は、健康台帳を整備し、家庭と共有しています。子どもの健康に関する方針等については、重要事項説明書に丁寧に明記されています。乳幼児突然死症候群への取組みは、0歳児は5分、1歳児は10分、2歳児は25分、3歳児以上は30分間隔で呼吸状態を観察し、チェックしています。原則はあおむけ寝として、保護者に対しては、入園前の説明会でも、乳幼児突然死症候群について説明し、家庭でもあおむけ寝に慣れてもらえるよう注意喚起をしています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:b】

全園児は健康診断と歯科健診を年に2回、さらに3歳児は視聴覚健診を年1回、3歳以上児は尿検査を年1回、実施しています。身体測定は毎日実施し、結果等は、健康ノートで家庭に知らせ、気になることがある場合は、個別に声をかけ相談に応じています。また、毎月看護師が発行しているほけんだよりで、健診について知らせたり、季節に沿った健康や感染症に関する情報を発信しています。ただし、健診の結果を保健計画に反映させて保育を行うまでには至っていません。今後は、健診の結果を分析し、計画に反映させるなどの工夫が期待されます。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

横浜市が策定する「保育所における食物アレルギー対応マニュアル」に則り、「上末吉白百合保育園アレルギー対応マニュアル」を策定し、アレルギー児への対応をしています。アレルギーがある子どもには、医師の診断書をもとに、生活管理指導票やそのほかアレルギーの状況が共有できる書類を提出してもらい、「食事ノート」を作り、担任保育士や栄養士が面談や確認をして、適切な対応ができるようにしています。アレルギーがある子どもの食事はトレーや食器の色を分けて、誰もが視覚的に区別ができるようにして、配膳は一番先にしています。アレルゲンがない献立の日でも、アレルギーがある子どもの食事は分けて提供し、「いつも通り」の食事の提供としています。各クラスにアレルギー児の確認表を掲示し、園全体で情報が共有されています。アレルギー発生時の対応について、実際のエピペンの使って園内研修を行っています。食物以外にも犬や猫でアレルギー症状が発生する場合もあるため、子どもたちに散歩の際など注意するよう話をしています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

「正しい食習慣を身につけていく」「食べることの大切さを伝える」「様々な食材に触れることで心の発達につなげていく」という食育目標、「子どもたちの食欲がわく献立」「子どもたちの発達に合った献立」「日本の四季を味わう献立」「日本の風土に親しみ文化を継承する献立」「いろいろな食文化に触れる献立」という献立・調理目標に基づいて食事を提供しています。法人内の栄養士が毎月会議を行い、共通献立を作成しています。食器は子どもの発達に合わせた大きさ・形状の強化磁器等を使用しています。食材や子どもの体調によっては、個別対応を行うこともあります。今年は食育活動の一環として菜園活動を行い、なすが採れましたので、子どもたちに「どうやって食べようか」「おうちの人にどんな食べ方があるか聞いてきて」と保育士が投げかけ、家庭も巻き込んでメニューを決めるなどの活動もしています。また、保護者からの食に関する相談を日常的に受けたり、試食会を実施して、保護者の感想を聞く機会も設けています。園だよりや献立表に食育活動の様子や、食材や献立に関する注意なども記載し、保護者に対して情報を提供しています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

毎月の給食会議で、その月の子どもの喫食状況を振り返り、次月の献立に活かすようにしています。子どもの食べる量や好き嫌いなども検食簿から把握しています。検食簿には、形状や味付けなどに関する細かな所見も記載されており、調理の参考としています。できるだけ国産の安全な食材を使用し、旬のものを多く使うよう配慮しています。さまざまな行事に合わせて季節感のある献立にしてます。七夕には、おほしさまごはんと七夕スープなど、見た目にも楽しめる献立となりました。沖縄料理を取入れたり、横浜市の地域食として焼売を献立に入れたりと、地域の食文化も工夫して提供するようにしています。調理員や栄養士は、献立に入っている食材を子どもたちに触ってもらったり、食事の様子を見たりして、日ごろから子どもたちと積極的に関わるようにしています。衛生管理については、「衛生管理マニュアル」を整備し、適切に行っています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

朝夕の送迎時に口頭で日常的な情報交換を行っています。乳児は連絡帳を使い、3歳以上児は連絡帳の代わりになる「連絡帳・健康観察表」により、毎日、健康状態や家庭での状況を確認しています。毎日の保育の様子は、ホワイトボードで伝え、内容によってはマチコミメールで共有しています。行事や普段の園での生活を、写真を使ってわかりやすく掲示したり、ドキュメンテーションを作成して掲示し、園での子どもの様子を保護者に伝えています。園だよりには各クラスのその月の保育のねらいが明記され、保護者にも保育内容がわかりやすく伝えられています。園だより、クラスだよりのほか「お誕生会だより」や「夏祭りだより」など、他に行事についてのおたよりもあり、子どもの成長を伝える工夫をしています。また、看護師による「ほけんだより」も毎月発行され、感染症情報や季節により生活面での注意事項を伝えています。家庭とのやりとりで特に記録しておくべき事柄は、保育日誌及び個々の経過記録に記録しています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

クラスの懇談会や個人面談を実施し、保護者と定期的に情報共有ができる機会を設けています。保護者とのコミュニケーションについては、朝夕の送迎時のやりとりの中で相談があれば応じるなど、日ごろから信頼関係を築くようにしています。事務室が玄関の隣りにあり、保護者からも話しかけやすい環境になっています。面談時間も、お昼にしたり、仕事終わりにするなど、保護者の都合に合わせるように配慮しています。面談場所も子育て相談室を利用し、プライバシーも守れる落ち着いた空間で話ができるようになっています。保育所は福祉施設であり、相談は子育てに関するものだけでなく、保護者自身の悩み相談など多岐に渡る場合もあります。相談内容は、保育日誌や経過記録に記載していますが、保護者からの相談について園としてどのように対応したか、時系列や事案ごとにまとめた記録はありません。今後は相談内容についての記録を整備し、引継ぎや振り返りに活用することが期待されます。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:b】

児童虐待対応マニュアルを整備し、児童虐待の早期発見と適切な対応に努めています。着替えの時などに、子どもの身体を視診するなど、日頃から観察するようにしています。少しでも疑いがある場合は、写真に撮って状況を共有するなどの手順を、園内で確認しています。虐待に関して保護者から相談があった場合は、定期的に面談し、関係機関とも連携して対応を進めることとしています。鶴見区で子育て機関だけではなく、地域の自治会なども参加する虐待についてのネットワークが構築されており、横のつながりを持って児童虐待防止につなげる取組があります。マニュアルは整備されていますが、通告義務について説明するにとどまり、読み合わせを行ったり、虐待をテーマに園内で研修は行っていません。マニュアルを活きたマニュアルにするためにも、テーマを決めて話し合ったり、研修を実施することが望まれます。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:a】

法人の園長会で保育日誌の様式を見直し、乳児は「ねらいに対する振り返り」と「明日の保育のねらい」2歳以上児は「よかったところ・課題となるところ その理由」と「明日へつながるところ」を記入する欄があり、毎日保育の自己評価を行う仕組みがあります。明日の保育のねらいはそのまま次の日の「ねらい」に反映され、連続性を持った保育となるようにしています。毎月のカリキュラム会議、4半期ごとの期の振り返り会議で保育の振り返りを行い、子どもの様子を捉えた次期の計画を立てています。毎年チェックリストによる自己評価も実施しています。「保育理念」「子どもの発達援助」「保護者支援」「組織的基盤」の4分野について評価を行い、評価結果に基づき、昨年度は、全職員が子どもの人権についての学びを行い、保育の質の向上を目指しました。また自由記載には「今後の課題」としていくつか意見が寄せられています。それらに対し、園長を中心に園としてどう対応するかを話し合い、よりよい保育につなげるようにしています。