社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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保育園フェリチッタ

2022年03月30日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 保育園フェリチッタ 評価対象サービス 2021 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 30(28名) 名
所在地 212-0016
川崎市幸区南幸町2-76
TEL 044-544-5033 ホームページ https://www.hibambina.jp/felicitta
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2008年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 株式会社ばんびーな
職員数
常勤職員:10 名
非常勤職員:0 名
専門職員
保育士:6 名
看護師:1 名
栄養士:1 名
子育て支援員:2 名
施設・設備の概要
保育室:2
児童用トイレ:3
多目的トイレ:1
調理室:1
事務室:1
園庭:無

③ 理念・基本方針
【運営方針】
こどもを通してつながり合い、みんながともに育ち合える園

【保育理念】
・こどもたちのありのままを愛する保育
・こどもたちの一瞬一瞬を大切にする保育
・こどもたちの生きる力を身につける保育

【保育目標】
■いのちをすこやかにはぐくむ
十分に養護の行き届いた環境の下、くつろいだ雰囲気の中で子どもの様々な欲求を適切に満たし、生命の保持及び情緒の安定を図ること。

■愛するこころを育む
人との関わりの中で人に対する愛情と信頼感、そして人権を大切にする心を育てるとともに、自主、協調の態度を養い道徳性の芽生えを培うこと。

■豊かな感性を育む
様々な体験を通して豊かな感情を育てて、創造性の芽生えを養うこと。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
●給食にこだわり、全て手作りが基本です。無農薬・有機野菜を中心に、日本の四季にあったこんだメニューで心身ともに健康に恵まれるよう願っています。おやつも市販のものではなく毎日調理室で手作りをしています。
●午前の保育内容は外遊びが中心です。園庭はありませんが、近くの公園まで散歩をします。交通ルールを学んだり、安全に気をつけながら楽しく身体を動かし強い身体作りを支えています。
●『アートワーク』という表現活動の時間があります。リズム遊びをしたり、お絵描きをしたり、制作物を作ったりしています。かたちを作るのが好きな子、お絵描きが好きな子、歌が好きな子、踊りが好きな子、自由に走るのが好きな子、ゲームが好きな子など。子どもたちのいろいろな個性を尊重して、のびのびとした子どもに育ってほしいという思いがあります。
●「ばんび農園」畑の活動があります。野菜の世話をしたり収穫を楽しんだりするだけでなく、畑には虫や草花・木の実との出会いがあり、土を触っているだけでも五感が刺激されます。時には保護者の方にも参加していただき保育園と家庭とのつながりの場になることをねらいとしています。
●就学前プログラム「サークル」があります。年長児クラスでは、アートワークの時間以外に年長児だけの時間を設けています。はじめは自分の意見を皆の前で相手に伝えること。そして、相手の話を聞くことから「サークル」はスタートしています。近隣園との年長児交流会や小学校との交流会にも積極的に参加していて、就学に向けた連携も大切にしています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2021/09/10(契約日) ~2022/03/16(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) - 回(-年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1)ともに育ちあえる保育の実践
園は1~5歳児クラスまで、30名定員の小規模保育園です。1、2歳児、3~5歳児は異年齢で活動をしています。日々自分より年上、年下の子どもとの生活や活動を通して年下の子どもへのいたわりや遊びの展開の多様化といった、同一年齢の保育では得られないさまざまな側面からの育ち合いがあります。また、その中でも個人が尊重され、安心して過ごせるよう職員は必要に応じてフォローし、情緒を支えており、運営方針である「みんながともに育ちあえる園」の実践に努めています。加えて、子どもの表現活動のため「アートワーク」ではそれぞれの年齢に合った作り方をしたり、年長児は、就学前プログラム「サークル」で年長児だけの時間を設けるなど、同年齢での育ちも大切に考えた保育を提供しています。

2)「食」へのこだわり
子どもの成長発達に不可欠な「食」にこだわり、給食・おやつは手作りです。献立は旬の食材(無農薬・有機中心)、季節ごとの年中行事、和・洋・中のバランスなども考慮しながら調理しています。食事には郷土料理や世界の料理も登場します。また、子どもたちの園生活の1日の流れの中で、食事に入るまでの生活リズムを大切にしているほか、3~5歳児クラスは当番活動をしたり、感染症対策をしながら、トウモロコシの皮むき、ドーナツ作り、麩のラスク作りなどクッキング体験をしたり、法人の農園でさつまいもを収穫するなど、子どもたちは楽しみながら「食」への興味関心を育んでいます。

3)職員の働きやすい環境整備
園では法人の協力により、人材の確保、育成を課題とし、対策に取り組んでいます。人材の確保としてはオンライン面接を取り入れ、地方の学生の面談の機会につなげています。職員には環境整備を行い、産休後の希望による復職、職員専用の保育園を園内に設置して復職を支援しています。感染症で通勤に不安な人には、自転車通勤支援や近隣のホテルに部屋を用意するなど、職員の働きやすい環境に配慮しています。大切な職員の定着のための福利厚生の充実にも力を入れています。
改善を求められる点 1)職員個人毎に必要な研修の明確化と受講促進
ICT導入などにより人材育成のための研修機会を確保するなど取組を行っています。長引くコロナ禍のなか必要な研修を自ら判断することが難しい状況です。新人も含め一人ひとりの経験、知識、目標等に対して必要な研修を明確にし、研修計画に沿って時間確保などを行い指導していくことが期待されます。

2)第三者委員など体制の周知
日頃より、保護者との信頼関係構築に注力し、些細なことでも丁寧な対応に努めています。しかし、苦情解決の体制については入園時の説明以後、取り上げて説明をする機会がなく、寄せられた苦情や意見の解決のための第三者委員の仕組みについても十分に周知をしていくことが課題となっています。今後のさらなる周知が望まれます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
この度第三者評価を受審したことは大変学びが多く、今後の道標を明確にすることができました。
例えば、この機会に職員全員で自園の保育を振り返る時間を改めて設けたことで、各々が新たな課題に気が付くことができ、新年度に向けての志が高まっています。そうした職員たちの向上心を大切に汲み取り、評価結果にもあった通り研修への受講促進を積極的に行うことで個々のスキルアップに繋げていきたいと思っています。保育士一人一人が持っている力を惜しみなく日々の保育に反映し、こどもたちにより豊かな遊び・経験・学びを提供できるよう保育士一同精進してまいります。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

法人内共通の保育理念・運営方針・保育目標があります。それらは職員の行動規範となる具体的な内容になっています。法人全体で年数回行う合同研修や新人研修の中で定期的に伝えあい、保育の土台となる理念を共通理解として認識できるよう働きかけています。保護者には法人および園の目指している保育について園見学の段階から説明をしています。重要事項説明書、園だより、懇談会での説明など繰り返し周知をしています。保護者への説明や周知度の確認なども含め、今後も取組の継続が望まれます。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

法人の、月1回の施設長会議や幸区園長会議を通じて保育園関連緒動向などを把握しています。市の協議会や幼保小連絡会議に出席して地域の特徴、子育て支援家庭の状況等について情報収集、分析をして園運営に反映できるように努めています。法人と共に地域の状況の分析を行い、保育の対象を1歳からとしています。職員にも節電等の経営について意識を持つように伝えていますが、関心が保育中心のため理解には課題があります。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

法人が主となって職員体制、財務に関しては方向を定めています。法人は、各園から報告された経営状況、設備修繕や保育内容さらに職員体制を把握し、分析して具体的な課題や問題点を明らかにし、改善に努めています。消耗品の財貨管理など具体的に会議内で話し合い、職員への経営課題の共有と理解に取り組んでいますが、周知が進んでいません。日々の職員の意見や要望、保護者からの要望など取り上げ、これらを運営に反映するように話し合い、状況把握と分析を行っています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

中長期計画書はありませんが、事業計画の中で中期目標を立て、外部の専門家に相談して中長期の経営施策を検討しています。少子化の中で専門性を生かした取組を検討しています。若い職員が中心のため、人材育成を含めた施策に取り組んでいます。改善策を具体化し見直しを行っていますが、具体的に明記しているものがありません。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

年度初めに、園長は職員に向けて今後のクラス運営の方向性や、そのための人材配置などについて具体的に説明しています。事業計画として、行事計画だけでない保育計画や研修計画などを策定していますが、これらをまとめた計画書としての文書を整えていません。また、計画には具体性や評価が行えるように数値化することが課題であり、毎年度の事業計画書を整えることが期待されます。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

園の事業計画は、職員の意見を踏まえて法人と相談して園長が策定し、年度初めの会議で、次年度の計画を職員に伝えています。行事ごとに担当を決めて打ち合わせを行い、その中で出た意見を行事の計画につなげ、必要に応じて実施状況を確認し、評価、見直しをしています。職員の意見は日頃からと園長面談時に伝えていますが、職員への周知が不十分となっています。計画の実施状況や見直しなどを会議などで行い、確認しています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画の内容については、「入園のしおり」を通して保護者に伝えています。入園のしおりには、デイリープログラム、年間行事、健康管理などの内容を記載して知らせています。、毎年4月の保護者会で説明を行い、園の運営内容や行事計画などを伝えていますが、保育内容に偏っています。ICTを使い、タブレットの貸し出しや関係資料添付を行い周知の工夫に取り組んでいます。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

保育の質の向上のため、各種の指導計画を作成し、結果を振り返り、次回の計画に反映しています。行事後や保護者会でアンケートを取り「子どもの10の姿」などを聞いています。保育の質の向上に向け、年2回の職員「自己評価」を保育の基準にあわせて実施しています。年2回の園長面談を通じて、職員個々の課題を共有し、改善に向けてアドバイスをしています。第三者評価を受審し、職員が保育の現状や評価基準を話し合い、保育の質を共有する取組を始めています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

職員の「自己評価」や園長による個別面談から園としての課題を取り上げています。随時に全体の保育ミーティングやクラスごとのミーティングのなかで、課題と改善点を話し合っています。計画的な改善への取組は十分実施できていない所があります。経験豊富な職員が少ない点を、こまめな話し合いにより職員間で情報共有をしっかりとすることで対応しています。オンライン会議も進め、情報共有の結果を保育に生かすように努めています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

園長は、「運営規定」「職務分担表」などで、運営に関する方針と取組内容を明確にし、年度初めの職員会議等で説明を行っています。園長は、自らの役割と責任について、毎日の申し送りミーティング、定例ミーティングで伝えています。ICTを利用し、会議などは後から見ることもでき、職員に伝えています。系列3園が近隣にあり、日頃の協力関係により有事の際に助け合っています。園長からの職員一人ひとりへの積極的な働きかけにより、園長の役割などを職員が評価しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

コンプライアンス、職員が守るべき法・規範・倫理等は「就労規則」に明記され、職員との会議などで職員に周知・確認しています。園長は法令遵守の観点での研修に参加していませんが、市の園長会などに出席して、他園での不適切な事例や最新の情報を得て、職員に伝えています。LED照明器具の使用やリユースにより環境問題に配慮しています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

園長は定期的に月間指導計画や週案、日誌等の保育記録を確認し、職員会議や職員の自己評価等で日々の保育を振り返っています。園長は日常的に保育に入り、保育の質の現状や園が目指す保育が実践されているかを確認しています。年2回の面談で職員の思いを聞き、研修参加の希望を聞いたり、薦めるなどして、園長の指導力の下で保育の質の向上に向けて話し合っています。ミーティング時では各クラスの様子や困っていること、悩んでいること等を話しやすいように、雰囲気に配慮し、話題を提案するなど職員が安心して保育に取り組めるように努めています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

園長は、人事や財務等の状況を踏まえて、主任と連携して園業務全体の現状分析を行っています。人材配置には職員の経験年数、能力、個々の得意な事を考慮しています。人材確保の難しさもあり熟練した職員の配置や環境整備に向けての体制づくりは十分でないと認識しています。職員の意見、要望はできるだけ取り入れ、業務の効率を上げるためにICT化を強化し、オンライン会議やペーパーレス化を進めています。園では、ICT化を図って経営改善や業務効率の向上に取り組んで行きたいと考えています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

園では、必要な人材を「優しく、冷静で保育のプロとして自分自身も高められる人」としています。派遣社員は採用せず、今年度は新卒の育成に力を入れています。人材の確保は、主に法人が行うため、職員の理解は不十分です。採用のために就職フェアに参加し、ハローワークや園のホームページを利用して人材確保に努めています。職員募集の有料サイトでは、各園の活動内容や実際に働いている職員が仕事のやりがい、子どもとのふれあいの姿を紹介するなどして採用活動を実施しています。地方の学生とはオンライン面接を行い、人材確保の幅を広げられるよう取り組んでいます。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人の目指す人材像は、保育理念を理解して保育に取り組めるプロフェッショナルとしています。法人で定められた「就業規則」「給与規定」などで、人事基準にもとづく人事考課制度を構築し、総合的な人事管理を実施しています。正職員や準職員、有期職員などの就業規則を定めています。園長面談を通じて、職員の自己評価をもとに進捗状況を確認し、年度末に目標達成度の評価を行い、賞与や昇給、昇格に連動しています。目指す人材像や人事管理制度の職員周知が十分ではありません。法人では、一般的な処遇水準などを分析し、職員の意見を反映させながら処遇改善を検討・実施しています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

園長は、有給休暇の取得状況やシフトの確認を行うなど、主任と連携して就業管理を行う体制を整備しています。法人では、職員の相談窓口や産業医を設置したり、家賃補助制度や園内の職員専用保育園を設けるなど、職員個々の状況に応じた対応を行っています。少人数での保育のため、話を聞き相談しやすい仕組みとなっています。園長と主任は、職員とのコミュニケーションを積極的に図りながら、風通しの良い環境づくりに努めています。感染症に不安な職員にホテルの部屋を用意したり、自転車通勤の配慮や職員用の保育園支援など迅速に対応しています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

職員一人ひとりの育成に向けた目標管理を法人で定めて実施しています。年間の研修計画を作り、職員は計画に沿って受講しています。毎年8月、12月に職員個々へのアンケートを実施し、園長との個別面談では自己票評結果にもとづいて振り返りとともに、園長と一緒にキャリアアップを進めています。目標管理の仕組みは改善すべき点があると考え、改善しつつ職員の育成に取り組んでいます。園長は、日々の業務の中で職員、一人ひとりの目標に対する進捗状況の確認を行っています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人による園内研修に加えて、外部研修で専門知識を高められるよう、本人が望む研修や園長が薦める研修に参加できるようにしています。ICTによる研修も積極的に取り入れ、業務時間内に研修を受けられるようにしています。また、後進を育成するためのピアサポーターの研修にも力を入れています。受講した研修報告をICTで記録することにより、研修資料と受講報告を職員が随時に確認できています。定期的ではありませんが、多くの職員による研修参加により研修内容の見直しにもなっています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

職員は年2回の人事考課表(自己チェック表)により自己評価を行い、振り返りを行っています。年2回の園長との個人面談で評価して、次年度の目標設定を行っています。ただし、個々の経験や能力に応じた目標設定と必要研修との関係を明確にした研修計画を作成するまでには至っていません。ICT活用による研修機会が増える中で、若い職員を園内で指導できる中堅職員の育成も課題となっています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

受け入れの基本姿勢、育成の手順を明記したマニュアル「実習生の手引き」を作成し、受け入れ体制を整え、受け入れ実績もあります。受け入れ時には職員や保護者、子どもたちに事前に知らせています。実習前にはオリエンテーションを行い、園の考え方や方針、注意事項を伝えています。また、マニュアルには実習時のアドバイスも記載し、実習生の不安の軽減に努めていますが、受け入れ指導者への研修は実施していません。実習プログラムは育成校と実習生の意向に沿って内容を調整し、実習生は担当職員と日々振り返り、最終日には園長、主任も加わり反省会を行い、課題を明確にしています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

ホームページには、法人の経営理念や事業内容のほか、園の保育目標、一時保育の実施などを明示して、法人及び園の存在意義や役割を明確にしています。園のパンフレットには1日の流れ、園の活動内容を分かりやすく知らせています。外からガラス越しに園の雰囲気がわかるようになっています。第三者評価受審を通じて、保護者にはアンケートをお願いし、評価結果を公表する予定です。園では、地域への印刷物などの配布は行っていませんが、ICTを活用しホームページだけでなく、新しい情報発信を検討しています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人の定める規程にもとづき、園における事務、経理、取引等に関する業務は、園長が責任者となって適切に実施しています。職務分掌により権限、責任について職員に周知していますが、職員の認識は低い状況です。毎月の事務報告と経理の集計データなどは、法人の担当部署に報告し、法人の規程に従い、適切な内部監査が実施されています。外部の会計士や社会保険労務士などによる外部監査も定期的に実施されており、監査結果や指摘事項などについては、すぐに改善するように取り組んでいます。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

運営方針の3番目に地域との連携や支援について明示して、各所の資料で提示しています。園は通りに面した半地下にあり、ガラス越しに園内の一部が見えて地域に園を知らせています。玄関に川崎市からのお知らせや地域の情報を掲示して保護者などに知らせています。保育の全体的な計画に、絵本の読みきかせや実習生受け入れなどの取組を明記しています。コロナ禍のため中断している地域の行事への参加や地域との定期的な交流の取組も、新しい方法での再開を検討しています。散歩に行く公園で他の子どもや保護者との交流を続けています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

ボランティアの受け入れマニュアルがあり、全体的な計画にもボランティアの受け入れについて明記されています。ボランティア登録書や宣誓書などでボランティアの管理を行っています。職場体験の手引きをもとに中学生の職業体験の受け入れをしています。ボランティア受け入れの際はオリエンテーションを行っています。運営方針やマニュアルでは基本姿勢の明示がなく、見直しが期待されます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

地域の関係機関や団体、医療機関のリストを事務室に常備し、各機関との連絡方法や連携体制を職員間で共有しています。支援が必要な子どもへの対応は、職員間で周知し園全体で同じ対応が出来るように配慮しています。地域の子育て支援拠点で行われる連絡会からの情報や、地域の虐待等権利侵害の状況を各機関と共有し、対応策などを協議しています。子どもに関する各機関との連携を大切にして、定期的な面談や電話連絡を継続して行っています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

地域の保育園や子育て支援団体の連絡会に園長が出席し、地域の福祉ニーズや課題についての情報を収集しています。地域はマンションが多く、核家族の子育てで悩む保護者が多いと認識しています。見学で訪れた地域の保護者から、育児に関する相談を受けて対応していますが、地域支援事業としての育児相談は、コロナ禍のため実施が難しく出来ていない状況です。相談事業の実施に向けた取組を工夫して進めています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

園では、散歩に出かけた時に一緒に遊んでいる家庭に声をかけ、子育て世代の母親が孤立しないように配慮しています。運営方針に地域支援を明示していますが、具体的な事業計画は策定していません。園が所有するAEDや発電機を地域に知らせ、災害時の携帯充電、緊急時使用などに役立てようとしています。法人が行っている保育教育を支援する「ばんびこども学舎」に園も協力し、保育従事者育成に貢献しています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

運営方針、保育理念、保育目標は子どもを尊重したもので、「重要事項説明書」等に明記しています。職員はそれらを理解し、子どもの気持ちや欲求を受け止めています。保育ミーティングでは子ども一人ひとりを担任だけの角度からではなく全職員がさまざまな角度で捉え意見を交わし、方向性を見いだすように努めています。日々の子どもの姿は申し送りミーティングなどでエピソードを話すなど共通した子ども理解が持てるよう心がけています。「自己評価シート」でも振り返りや確認をしています。文化や生活習慣の違いなどは、さらに理解を深める必要性があることを課題としています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:b】

就業規則や個人情報管理規定の中にプライバシー保護を含め、繰り返し確認できるようにしています。幼児用トイレにドアがあり、子どものプライバシーを守れる設備等の配慮をしています。園は窓が多い構造のため、着替えやおむつ替えの時には外から見えないようロールカーテンで目かくしをするようにしています。園はオープンフロアのため、子どもが一人になりたい時やクールダウンしたい場合の場所の確保については課題が残ります。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

園の情報は主にホームページで紹介をしています。以前はパンフレットが区の担当窓口に常置されていましたが、現在はありません。園見学者向けには入園のしおりと重要事項説明書を併せて資料を作り、園の実態と大切にしたいこと、それを叶えるための取組などを分かりやすく説明した内容となっています。コロナ禍なので今年度の園見学は1回1組の玄関対応としています。質疑応答に関しては、後日電話でも対応しています。見学者については「見学者記録」に残しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

保育の開始・内容について記載した「重要事項説明書」や入園時の配付資料をもとに入園前に説明しています。「保育利用時間確認書」は園と家庭の両方で保管しています。変更時には再度状況を確認する機会を設け、確認書の書き換えをしています。クラスを超えた1つの保育スペースで子どもたちが一緒に過ごすことで、その関わりも認識の違いなどを学ぶ時間になっていることを説明しています。配慮が必要なアレルギー疾患や、外国籍の子どもの場合など適切な対応をしていますが、ルール化までには至っていません。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

転園や幼稚園に通園などの場合、個人情報保護の観点から書類や文書での引き継ぎ等はありません。園利用の終了後、口頭で、いつでも相談に応じ、ともに成長を喜びあう関係を続けていく姿勢であることを説明しています。コロナ禍で休止をしていますが、卒園児を行事に誘ったり、「おしえて一年生の会」で就学予定の親子との交流の機会も設けています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は、日々の子どもの発言、表情、態度、様子などから子どもの満足度を把握しています。日々の保育で評価・反省を繰り返しています。保護者には行事アンケート、個別面談、情報共有アプリケーションソフト、送迎時会話などから満足度を把握しています。子どもや保護者の満足度を把握した結果は、基本全職員出席の保育ミーティングで話し合いと検討を行い、改善策を講じるなどしています。取組の継続が望まれます。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

苦情受付担当者は各クラス担当者で、解決責任者は園長です。第三者委員2名が設置されており、連絡先を重要事項説明書に明記しています。日頃より、保護者との信頼関係構築に注力し、些細なことでも丁寧な対応に努めています。公表に至るまでの苦情はこれまでありませんが、苦情解決の体制はあります。苦情解決の体制については入園時の説明以降、取り上げて説明をする機会がなく、第三者委員の仕組みについても十分に周知をしていくことが課題となっています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

保護者からの相談、意見、要望がある場合は、園長、担任が対応しています。園の職員以外の相談窓口として、第三者委員2名を紹介しています。保護者に配付している「重要事項説明書」に第三者委員の連絡先を明記しています。相談や話がゆっくりできるスペースとして、近隣にある系列園の相談室を利用しています。第三者委員の仕組みについても十分に周知をしていくことが課題となっています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

懇談会、個人面談、行事アンケート、情報共有アプリケーションソフト等で保護者意見を把握しています。担任だけでなく、どの職員も子どもや保護者に話しかけています。言葉にならない表情などからもさらなる歩み寄りの必要性を感じることもあるので、職員それぞれの感触を元に、園側からアプローチをすることもあります。保護者からの相談や意見は、職員間で共有し、迅速に対応しています。対応マニュアルは、年度末の見直しのほか、その都度必要に応じて行っています。取組の継続が望まれます。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

リスクマネジメントに関する責任者は園長です。保育ミーティングでの話し合いや訓練を実施し、園長を含め、振り返りを行うことで、園の事故対応のスキルの向上に努めています。ケガや事故があった場合は速やかに職員に周知し、会議で再発防止策を検討し、事故報告書を作成しています。ヒヤリハットについても保育ミーティングで再発防止について話し合っています。事故防止・安全確保についての研修は法人全体の研修でも取り上げ、定期的に実践研修も含めた内容で行っています。取組の継続が望まれます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

毎日の手洗い、うがい、換気、消毒など感染予防をしています。今年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の取組に力を注ぎ、最善策を探っています。看護師やリーダー保育士を中心に研修の機会を設けています。感染症についての保護者への説明は、マニュアルにもとづき、入園時に感染症罹患時の登園禁止期間や登園時の医師による「意見書」や、保護者記入の「登園届」の提出が必要なことを説明しています。感染症が発生した場合は、感染症名と人数を情報共有アプリケーションで配信しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

毎月、様々な災害を想定した避難訓練を実施しています。多摩川と鶴見川に挟まれた地域であることから水害訓練も行っています。食料品や水、備品等のリストを作成し、園長が管理をしています。緊急時の保護者連絡は、アプリケーション配信、災害伝言ダイヤル171で知らせ、災害時には引き渡しカードで引き渡しをします。BCP(事業継続計画)策定については今後の検討としています。コロナ禍以前は、地域や系列園ともに合同訓練を行っています。半地下にある保育室でもあり、収束後の再開が期待されます。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:b】

適切な保育を実施するために、保育の方針を示し、必要なマニュアルを作成し、職務分担表で職務実施を示しています。それぞれの場面での具体的な実施方法を文書化していますが、全体の基本的方法が文書化されていません。園内では「早番の仕事」などを掲示して、行うべきことを共有しています。1日の流れに沿った手順などを明確にすることにより、業務のレベルアップが期待されます。小規模な園であり園長が保育に入り、保育の実施状況を確認・評価しています。子ども一人ひとりに応じて、画一的にならないように保育実践を進めています。この方針の下、標準的な実施方法の明文化が求められます。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

園長自らも保育に入り、保育方法を日々検証しています。保育内容の見直しは1ヶ月ごとに行っていますが、必要に応じて随時変更しています。保育の実施状況については、日々のミーティングでも話し合い確認しています。複数の視点で見直し、望ましい方法、テンポなどを確認して次の計画に反映しています。保護者の子育て状況や養育力なども検証視点に取り入れるように取り組んでいますが、まだ十分でなく、さらに取組が必要と認識しています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:b】

全体の計画にもとづき、クラスごとの年間保育計画、月案「育ちの記録と計画」を作成しています。クラス運営に複数担当制を取り入れ、アセスメントには担当の他に栄養士、看護師、主任、園長が加わって実施しています。計画は手順が明確であり、作成にかかわった職員名を記載しています。職員一人ひとりが年齢別の発達段階を理解して、子どもの発達を把握し、計画や見直しに反映しています。職員による話し合いで計画・見直しを行っていますが、全員による情報共有が完全にはできていないと園では認識しています。共有への取組が期待されます。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

複数の職員が指導計画についての話し合いに参加し、子どもの興味や発達段階に合わせて計画を作成し見直しています。計画と見直しに時間をかけていますが、まだ納得ができていない状況です。作成した計画を周知するとともに、緊急の変更にはスピード感をもって対応して職員共有と連携をとっています。計画の評価と見直しは都度話し合いながら行うということが手順として定められ実施しています。計画と評価、見直しの手順については年1回は確認し見直しています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

人で統一した手順と様式により記録を取っています。内部研修により記録の必要性と記録方法について説明し、実際の記録を確認する際にも差異が無いか指導しています。子どもの記録についての記録・保管方法を定め、情報共有する仕組があります。園内で、業務アプリケーションや映像などのICT化を進め、職員はスマートフォンやタブレット端末を使用して効率化と保管徹底を行っています。会議もオンラインで実施し、全職員が参加し、情報共有しています。ICT化により児童票やアセスメント記録などをファイリングし、伝達などの追加部分は手書で補う工夫も行っています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

「個人情報取り扱いマニュアル」を整備し、職員は共有して個人情報の保護に努めています。「入園のしおり」には、「個人情報使用同意書」があり、個人情報使用についての説明と同意を求める文章が掲載されています。記録の管理体制を決めて職員に周知しており、職員も理解しています。ICT化が進む中で、映像については使用についての保護者同意を得ていますが、保存や利用に関するリスク対応と規定作成が課題となっています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:b】

児童憲章、保育所保育指針を踏まえながら、法人の理念・方針、子どもの発達や生活の連続性を十分に考慮し、子どもの健全な育ちを中心に法人がその土台になる全体的な計画を作成しています。園ではそれをもとに園の現状に沿った全体的な計画になるようにしています。各種改定にも沿った内容になるよう、毎年度末に全職員で見直しを行い、次年度の指導計画作成に生かしています。全体的な計画の中に幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿についての項目は特に設けてはいませんが、月間指導計画(育ちの記録と計画)の書式には、これからの活動内容が幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿にもとづいた計画になっているかを確認するようにしています。幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿の項目を設けることは今後の検討としています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:b】

園は、既存のスペースを保育所用にリフォームをしています。1、2歳児クラスと幼児クラスを仕切る壁は上方部分を開けているため圧迫感はなく、低年齢児が過ごしやすい、ほど良い広さにしています。子どもが心地よく過ごすことのできる環境のため、日々の清掃、安全点検のほか、消毒と換気は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から特に注意を払っています。職員の声(大きさ、トーンなど)、音楽の音量なども大切な環境と考え、意識をしています。1、2歳児クラスは幼児クラスよりも食事の時間が早いので、散歩などで空いている幼児クラスのスペースで食事をし、自分のクラスで午睡をするなど、限られたスペースを工夫しながら使うようにしています。トイレに窓がないため、開園中は換気扇を回しています。半地下部分という構造上の問題で、時間帯によっては室内が暗く感じたりすることもあります。今後の対策が望まれます。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

入園時に保護者に提出してもらった児童票・健康記録表や、入園時の個別面談からの情報、入園後の子どもと職員の関わり、観察などからも子どもを把握し、十分に尊重しています。保育理念の一つに「こどもたちのありのままを愛する保育」を掲げており、職員はそれを理解し、子どもの気持ちや欲求を受け止めています。子どもの気持ちに寄り添い、共感したり思いを代弁したりしています。幼児は、時にはお互いを認め合える思いやりと優しさを感じて表現できるよう援助しています。子どもの気持ちが表せるよう待つ姿勢も持っています。職員は個々の発達に合わせた言葉を選び、穏やかに話しています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

挨拶、姿勢、食事、排泄、着脱、衛生など、基本的な生活習慣が身につくよう年齢や発達に合った援助をしています。歯磨きは全クラスで行っています(衛生管理も園で行う)。箸は3歳くらいを目安にしていますが、個別に対応しています。月齢の低い乳児の午前寝、夕寝をはじめ、活動・休息は静と動のバランスや子どもの状態により組み合わせています。基本的な生活習慣を身につけることの大切さについては、看護師による保健指導を通して、季節・時期・感染症の流行など、子どもに話をしてもらう機会を設けています。また、保護者には園で行っていることを伝えたり、アドバイスをしたり、配付物などを利用してお知らせしたり、家庭と連携して進めていくようにしています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:b】

保育室の棚にはおもちゃ、玩具、ブロック、絵本などを子どもが自分で選ぶことができるように置いています。午前の保育内容は外遊びを中心とし、積極的に屋外へ出かけています。園庭はありませんが、天気の良い日は近くの公園まで散歩をしています。交通ルールを学んだり、活動の前にはルールの説明や何をしたらケガにつながるかの危険性について子どもたちに話し、安全に気をつけながら楽しく身体を動かしています。公園の植栽(樹木・草花など)から季節を感じるなど、日常的に自然とふれあう機会があります。子どもの表現活動のため「アートワーク」という時間があります。リズム遊びをしたり、お絵描きをしたり、制作物を作ったりする中で子どもたちのいろいろな個性を伸ばしていこうとしています。コロナ禍が続いているため高齢者施設とは、手紙の交換を継続していますが、以前は行っていた地域の人たちに接する機会、社会体験が得られる機会が少ないことが課題です。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:非該当】

乳児(0歳児)の受け入れがないため非該当となります。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

1、2歳児クラスは常に合同で活動しています。子ども一人ひとりの体調や発達について職員間で随時話し合っています。子ども一人ひとりとの関わりを大切に、必要に応じて個別の対応をしています。子どもと関わる時は、さりげなく援助しながら、できた時は十分に褒めて自信や意欲につなげています。甘えたい気持ちも尊重しています。子どもの自我の育ちを受けとめ、その気持ちを引き出すこと、環境を整えることを工夫しています。生活や活動によっては、3~5歳児クラスの保育スペースを使うこともしています。職員が一緒に遊んだり見守ったりしながら、友だちへの興味を大切にしています。相手の気持ちに気づくように、職員が代弁することもしています。個別の連絡帳、送迎時のやりとりなど一人ひとりの体調や様子について保護者と連絡を取り合い、家庭との連携を深めています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

3~5歳児は異年齢で活動をしています。日々自分より年上、年下の子どもとの生活や活動を通して年下の子どもへのいたわりや遊びの展開の多様化といった同一年齢の保育では得られない諸側面の育ち合いがあります。また、その中でも個人が尊重され、安心して過ごせるよう必要に応じてフォローし、情緒を支えています。制作時はそれぞれの年齢に合った作り方をしています。表現遊びや劇ごっこの練習なども各年齢ごとに行っています。5歳児は、就学前プログラム「サークル」があり、年長児だけの時間を設けています。自分の意見を皆の前で相手に伝えたり、相手の話を聞いたりのスタートから少しずつ就学に向けた活動を深めていきます。保護者に日々の活動や取組を情報共有アプリケーション配信で伝えているほか、園だよりも活用しています。小学校とは保育所保育要録送付や幼保小連絡会を通し連携をしています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

園は、半地下構造で玄関から保育スペースまで階段があるため、身体的な障害のある子どもの受け入れは難しい現状があります。障害のある子どもの状況や発達過程に合わせ個別指導計画を作成し個人記録をとっています。個別指導計画はクラスの指導計画と関連付けています。個別指導計画をもとに配慮事項を意識してミーティングで話し合い、全職員で情報共有しています。加配の職員の援助を受けながら他の子どもとのかかわりにも配慮をし、落ち着いて過ごせるようにしています。障害のある子どもの家庭と園の連携を密にし、関わり方や対応について伝えあい、保護者の不安にも寄り添うようにしています。子どもが通う療育センターの担当者とは面談のほか、電話連絡を随時行いながら相談や助言を受けています。職員研修を含め、障害のある子どもがさらに安心して過ごせる環境整備や他の保護者に障害のある子どもの保育に関する情報提供に関して今後検討が望まれます。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

園の開園時間は7時~20時です。それぞれの子どもの在園時間や家庭での生活リズムを考慮して、安心して過ごせるようにしています。配慮が必要な子どもやその日の体調や機嫌が良くない場合など、職員がゆったりと関わるようにしています。午前補食は全園児牛乳を提供しています。昼食は規定量を提供しています。保育時間と保護者との契約によっては夕食に響かない程度の午後補食(ふりかけごはんと味噌汁)の提供が可能です。適宜水分補給ができるよう、保育室にお茶を用意しています。子どもの状態について連絡ボードを使用し、口頭でも職員間で情報を引き継いでいます。保護者へ子どもに関する伝達が十分に行われるように、連絡ボードを使用しています。園は玄関からオープンな空間になっており、くつろいだり、ゆったり過ごす環境作りに課題が残ります。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画に「小学校との連携」を掲げています。5歳児クラスの年間指導計画には、「就学への期待を高め、残りの園生活を思い切り楽しむ」などが記載され、就学を見通した保育を行うようにしています。「サークル」活動のほか、小学校をテーマにした絵本を読む、午睡を減らす、ハンカチ・ティッシュペーパーを使うなど小学校への接続を意識した活動が行われています。保護者に対しても就学に向けた説明をし、マスク着用など家庭での協力をお願いしています。小学校に送る保育所児童保育要録は5歳児のクラス担任が作成し、園長が確認をしています。子どもの就学前に小学校教員と電話で話し合う機会があり、連携を図っています。 

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもの健康管理に関するマニュアルと保健計画があります。それにもとづき登園時に保護者から子どもの様子(食事・睡眠・遊び・機嫌など)を確認しています。職員は保護者からの情報と子どもを観察することで一人ひとりの様子を把握しています。その後、活動への参加具合、食事の様子など普段と違いがないかを確認していきます。保育の中で子どもの様子に変化がある場合は、お迎え時に伝え、帰宅後の家庭での様子や過ごし方などを含め、翌日に必ず確認をしています。子どものり患や予防接種追加状況はその都度保護者から情報をもらっているほか、個人面談の時に追記してもらっています。乳幼児突然死症候群(SIDS)の知識について、職員に周知をしているほか、保護者には入園前の個別面談時に説明しています。子どもの午睡中は呼吸・寝ている姿勢などのチェックをしています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

園医健診は以前は全園児毎月実施していましたが、コロナ禍のため現在は2ヶ月ごとになっています。歯科健診は年1回行っています。園医健診・歯科健診結果は全職員に周知をしています。結果を踏まえ、年間指導計画の養護、健康、安全面に反映しています。子どもたちには看護師の話のほか、紙芝居や絵本を使って健康の大切さについて伝えています。全園児歯磨きを行い、歯ブラシは園で衛生管理をしています。健診結果を保護者にはその日のうちにすこやか手帳と情報共有アプリケーション配信で報告し、必要に応じて受診を勧めています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

食物アレルギーのある子どもは、医師からのアレルギー疾患生活管理指導表を提出してもらい、それに従い除去食を提供しています。提供の際は個別のトレイ、食器を使用し、他の子どもとテーブルを別にして、誤食のないよう職員がそばにつくなど食物アレルギー対応マニュアルに沿った対応をしています。保護者とは半年ごとに健康管理委員会で子どもの状況を確認しています。アレルギー疾患や慢性疾患等について、看護師が講師となり園内研修で全職員に周知をしています。外部研修に関しては、コロナ禍の影響で今年度は参加ができていません。保護者には、入園時に配付する「重要事項説明書」を通し、アレルギー食について医師の指示のもと、除去食の対応をとる旨を伝えています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

年間の食育計画があり、取組を行っています。1日の流れの中で食事に入るまでの生活リズムを大切にしています。食事の準備中には、トイレに行ったり、その日の給食についての話を聞きながら食事が始まるのを楽しみに待っています。職員は一人ひとりの食べる量を把握し、個別に子どもたちと相談しながら調整をしています。食器は強化磁器で、幼児用と1、2歳児用の形状が違います。楽しみながら食への興味関心を育むため、3~5歳児クラスは当番活動をしたり、感染症対策をしながら、トウモロコシの皮むき、ドーナツ作り、麩のラスク作りなどクッキング体験の機会を設けています。法人の「ばんび農園」でさつまいも堀りもし、コロナ禍の中でもできることを取り入れています。保護者には献立表や給食だより(レシピの紹介あり)を配付し、食生活について連携をしています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

献立は川崎市のモデル献立をアレンジし、法人が旬の食材(無農薬・有機中心)、季節ごとの年中行事、和・洋・中のバランスなども考慮しながら作成したものを使用しています。食事には郷土料理や世界の料理も登場します。給食・おやつは手作りにこだわっています。子どもの喫食状況は栄養士が給食日誌に記入しているほか、栄養士は給食の時間に保育に入り、子どもたちの様子を見たり、話を聞いています。献立は2週間ごとのサイクルメニューなので、盛り付け方、形状、味付けなど次回に速やかに生かすことができます。マニュアルにもとづき衛生管理や事故防止に努めています。栄養士の体調管理にも十分に留意をしています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:b】

全園児、保護者と個別の情報共有アプリケーションで丁寧なやりとりをしています。日々の活動の様子も時には写真を添付し、担任の意図も含めて配信をしています。送迎は玄関対応ですが、オープンフロアなので、様子が伝わります。地域向けの子育て支援事業の親子絵本読み語り会(コロナ禍で休止中)は保護者参加も可能です。しかし、長引くコロナ禍のため、懇談会、個別面談を兼ねた保育参加、保育園行事参加、畑を耕す会など保育の意図や保育内容、保護者と子どもの成長を共有できるような機会を持つことも計画通りに実施できていません。表現遊びの会は動画配信をする予定です。コロナ収束後の保護者との緊密な連携の取り組みの再開が期待されます。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

現園児数28名の小規模保育所なので、全職員が全園児のことを良く把握しており、保護者と担任以外の職員とのコミュニケーションも図り、信頼関係の構築に努めています。保護者からの相談を受ける場所は保護者のプライバシーや落ち着いて話ができるよう、近隣にある系列園の相談室で対応しています。適切な対応ができるよう園長が同席し、対応することもあります。相談の内容によっては記録に残し、児童票ファイルに綴じ、継続的なフォローができるようにしています。その他、急な残業、アレルギーのある子ども、外国籍の保護者などへの対応、保護者が登園に使ったバギーを置いておける場所の提供など、園の特性を生かした保護者への支援を行っています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:b】

ガイドラインを参考にした虐待防止のマニュアルがあります。職員はそれを理解し、虐待の早期発見に努めています。家庭での子どもの権利侵害の兆候を見逃さないように、健康観察などで状態の確認を行っています。情緒面からも子どもを捉えるようにしています。要支援家庭についても児童相談所、ケースワーカー、保健師と連携を図る体制があります。職員は保護者が心を閉ざさないように、普段から声をかけ、何らかの困難があれば話しやすい雰囲気づくりや信頼関係を築けるようにしています。職員研修のほか、人権擁護のためのセルフチェックリストなどで権利侵害の理解促進や自らの保育の振り返りに活用していくことも望まれます。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:b】

子どもの最善の利益を一番に考えた指導計画を立て、保育とのつながりを見ながら子どもの発達段階や心の育ち・意欲・興味などをよく観察し、職員の支援・関りが適切であったかなどを確認しながら自己評価をしています。年間指導計画や月間指導計画は保育ミーティング、乳児・幼児それぞれのミーティングで互いの疑問点、改善点などを意見交換しています。日々の保育の記録は日誌で共有しています。その他、年2回、職員個人の自己評価をしています。職員が行った自己評価をミーティングで話し合い、行事後の保護者アンケートや懇談会などから寄せられた意向や意見なども反映し、園の自己評価をしています。今後は、保育所の自己評価を公表することで、保育実践の改善や専門性の向上につなげていく姿勢を示すことが望まれます。