社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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土と愛子供の家保育所第2

2020年04月06日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 特定非営利活動法人 市民セクターよこはま

② 施設・事業所情報
名称 土と愛子供の家保育所第2 評価対象サービス 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 60 名
所在地 241-0001
横浜市旭区上白根町1306-28
TEL 045-958-0315 ホームページ http://tutitoai.com
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2003年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 土と愛
職員数
常勤職員:14 名
非常勤職員:7 名
専門職員
栄養士:1 名
児童心理士:1 名
施設・設備の概要
居室数:保育室3室、厨房1室、事務室1室、予備室1室、職員休憩室1室、ホール
設備等:●園舎は2階建てで、1階に保育室等、2階に職員休憩室 ●乳児室と幼児室の間にホール ●園庭は2つに分かれており、滑り台や東屋を設置

③ 理念・基本方針
保育理念
・障害の有無や人種、宗教など差別なく受け入れ、社会的偏見・差別をなくす努力をする
・児童福祉法に基づき、入所する子どもの最善の利益を考慮し、また、家庭支援という視点より地域、保護者と共に子どもの福祉を積極的に尊重する
保育方針
・人権を尊重し、家庭環境、発達過程に考慮して、乳幼児期にふさわしい生活の場を豊かに作る保育を行う
・一人一人の子どもが現在をもっともよく生き、豊かな未来を作りだす力の基礎を培う
・保育所における環境を通じて、養護及び教育を一体的に行い、保護者に対する支援、保育に関する指導及び支援を行う
保育目標
・自主的・意欲的に生活し、自分を表出できる子どもになろうとする
・協力し助け合うことを喜びにできる子どもになろうとする

④ 施設・事業所の特徴的な取組
●食育:味噌や干物、干し柿などを子どもと一緒に作ります。また、年長児がおこめとぎなど当番活動もします。日々自分たちの前に出てくる食事、食材はどのように作られているかを体験することで、ものづくりの大変さと喜び、生産者への感謝につながっていくと感じています。
●保育:年長児は1年を通して和太鼓を行っています。クラス担当が一緒にやって園児に伝えることで、自分とクラスの仲間を見つめる機会を持つことを目的に行っています。4歳児までのクラスはなるべく外で自由に遊び、その中で好きなことを見つけ、一緒に遊んだり、けんかをする中で、人としての厚みをつけてもらいたいと考えています。
●異年齢:園舎の構造上、1・2歳児、3・4・5歳児はそれぞれ同じ保育室を用いていて縦割り的な要素があり、クラスを超えて関係を深めやすい環境と考えています。縦割り的な関係は子どもだけでなく、職員にも共通していて、ほかのクラスの子どもも目に入るので、クラス関係なく子どもの話ができる環境にあると思っています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2019/04/18(契約日) ~2020/03/25(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 3 回(平成26年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1、子どもが主体的に活動し、自分の思いを素直に表出できるように支援しています
 保育士は、子どもの甘えたい気持ちややりたくてもできない気持ち、悔しい気持ちなどをそのまま受けとめて寄り添い、子どもが自分で気持ちを整理し、言葉で表現できるまで待っています。外遊びを重視し、園庭遊びや散歩を多く取り入れ、友達と一緒に身体を動かし、自然と触れ合う中で様々な学びを得られるようにしています。自由遊びでは、幼児は園庭遊びと室内遊びを自由に選ぶことができます。1・2歳児、3・4・5歳児は日常的に異年齢で過ごしていますが、5歳児の後半は個別に過ごし、太鼓などの活動に集中して取り組んでいます。

2、障がいなど様々な課題を持つ子どもを積極的に受け入れています
 園は、座位を保つ椅子を用意するなど、障がいがある子どもが安心・安全に園生活を過ごせるように環境整備をしています。職員会議や乳児・幼児会議で子どもの状況について情報共有し、全職員で見守る体制を作っています。子どもが集団生活の中で多くの経験が積めるように一緒に活動していますが、難しい場合には個別に対応し、無理なく園生活を過ごせるようにしています。保育士は、障がいのあるなしに関係なく全ての子どもに分け隔てなく接していて、子どもたちも自然にクラスの仲間として受け入れています。

3、食育に力を入れています
 園は、子どもが様々な食の体験を積むことで、食に親しみ、食に関わる様々な人への感謝の気持ちを学べるようにしています。5歳児は毎日、米とぎや給食の下準備の手伝いをし、水の冷たさや準備の大変さなどを経験しています。野菜の栽培や味噌作り、魚の干物作り、うどん踏みなど、年齢に応じた食育活動を行い、子どもたちが食への関心を高め、ものづくりの大変さを学べるようにしています。
改善を求められる点 1、マニュアルの整備を進めていくことが期待されます
 感染症対応や危機管理などのマニュアルがありますが、業務手順や子どもへの関わり方など文書化されていないものもあります。定期的にマニュアルの修正をする仕組みもなく、マニュアルによっては保育の現状とそぐわないものもあります。さらなる整備が期待されます。

2、教育・研修への取り組みを体系的に実施していくことが期待されます
 園として、経験年数、職位・職階別のキャリアパスに基づいて研修する仕組みがあります。職員は自分の目標管理シートに基づいて自分自身の研修を選択して受講することとしていますが、これらを基に園全体としての教育・研修計画をまとめているとは必ずしも言えません。体系的に、職員の教育、研修に取り組んで行くことが期待されます。

3、中長期計画の作成と事業計画を職員に周知していくことが期待されます
 年度ごとの事業計画は作成していますが中長期計画は策定されていません。早急に中・長期的計画を策定し、園の運営方針を明確にしていくことが期待されます。また、改めて事業計画を職員に説明することもしていないので、職員に説明する機会を作り、職員も参画して進捗状況の評価、見直しをしていくことが期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 前回の第三者評価を受審してから5年がたち、その期間で何が良くなり、何が課題かを客観的な立場から審査してもらう機会をつくることができました。前回は、当園が30人定員の分園から60名の独立園となり、2年目での受審だったので、まだまだ作り上げている途中で、課題があるのが当たり前、その課題をどうよくしていこうかという気持ちで行えました。
 しかし、それから5年が経過した今回は、60人定員後7年の積み重ねたものを評価して頂くという緊張感があり、前回とはまた違った気持ちで取り組むことができました。

 受審の工程(保護者アンケートや職員アンケート、自己評価、実地訪問)について、自分たちだけではできないことをやっていただいた中で、見えていたけれど改善に踏み込めていなかった部分、もっと自信を持っていい部分など成果と課題が浮き彫りになり、具体的に何から手を付けていけばよいかがわかりました。
 成果と課題がはっきりしたことで、土と愛子供の家保育所第2の色付け作業をどのようにして、どう発信し、どう応えられるか、そのやりとりを積み重ねていく中で、さらなる色付け作業をしていくことについての見通しが持てたと実感できました。

 立地条件としては駅も近くはなく不便なところですが、駅近くにはない環境があると思っています。そして、保育については好評価をいただいたので、そこは自信を持ち、環境を生かし、人を生かし、深めながら、さらなる理念の達成に向けて邁進したいと思います。

 最後に、アンケートにご協力くださったご家族の皆さま、そして、細かい点まで評価をしていただいた市民セクターよこはまのスタッフの方々、本当にありがとうございました。

社会福祉法人 土と愛
土と愛子供の家保育所第2 
施設長 保足 昌之

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

 保育の基本理念は「障害の有無や人種・宗教など差別なく受け入れ、社会的偏見・差別をなくす努力をする」としています。保育方針も人権尊重、子どもの豊かな未来を作り出す力の基礎を培う、保護者支援などを打ち出しています。こうした理念はパンフレットやホームページに掲載されており、全体的な計画にも明確に記載されており園の使命を明確に示しています。保護者に対しても入園の見学会、説明会では口頭で説明しています。職員の入職時に周知は行っていますが、全体会議や職員会議などで改めて確認することはとくにしていません。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

 園長は保育園を巡る全体的な動向については具体的に把握しています。また地域の保育園の動向についても施策については把握しています。横浜市や旭区の待機児童や保育園の経営環境・動向などの状況を把握しています。ただし、きちんときめ細かくは分析はしていません。園の運営コストについては数値的に動向を分析しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

 事業計画書で、今年度の課題を保育目標の中で整理し「保育園という場で育児・家庭支援を検討し、活動を行っていく。また、地域の子どもの育ちを含めて家庭支援を深く考える。地域ケアプラザを介して地区社協・民生児童委員と団地入居者と交流を図っていく」としています。具体的な子育て支援の活動として、未就園児を対象としたミニ保育園広場や園庭開放などを計画しています。だたし、これらの課題や計画は職員には必ずしも周知していません。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

 中・長期計画は現在作成されていません。これからの園の運営を的確にしていくためにも経営環境を分析しつつ、早急に中・長期的なビジョン及び計画を策定することが求められます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

 中長期計画は策定されていませんが、単年度の事業計画は策定されています。利用定員の変更、保育の専門家による医療面での研修さらには一時保育事業のシステム構築など、実現可能で具体的な事業内容が記載されています。ただし、数値目標や具体的な成果を設定するまでには至っていません。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

 事業計画書の策定にあたっては職員の意見を集約して園長を中心に作成しています。昨年度の事業報告書では事業計画の結果を評価してまとめています。保育内容では地域の住民との交流が図れたこと、各年齢クラスでの重点活動、幼保小連携交流事業、旭区の北部エリアの子育て支援施設の交流事業などの実施が報告されており、これらの活動の成果と課題が整理されて記載されています。また、これらの活動の評価結果として、今年度の事業計画が策定されています。ただし、事業計画が職員に会議や研修会などによる説明の機会が特に設けられていません。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:c】

 事業計画は策定されていますが、保護者に説明する機会を作っていません。保護者懇談会などで説明し、保護者にも理解してもらい、協力を求めることも園の運営を円滑に行う上でも重要だと考えられます。そのためには、保護者にも分かりやすい資料、説明方法で実施することが求められます。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

 園の自己評価が行われています。自己評価票でチェックする分野は、保育理念、子どもの発達援助、保護者支援など6分野にわたっています。これらの分野ごとに評価項目が用意されており、それを3段階で評価するものです。職員が個々に園の評価を行った後に集計し、職員の最も多かった評価点を代表として、個々の小項目の評価結果とするもので、職員参加による自己評価と言えます。ただし、これらの自己評価結果は集計するだけで、評価結果を分析し検討する場は設けられていません。今後は、得られた結果を分析し、その原因と改善点を明確にすることが期待されます。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

 事業計画では園の今年度の課題は明らかにされています。これらの課題について、職員会議などを通じて職員間での共有が図られています。ただし、職員の参画の下で改善策や改善計画を策定する仕組みまでは作られていません。前年度の事業計画、園としての自己評価を通じての課題の整理と、それについての改善計画を職員参加のもとで策定していく仕組みづくりが期待されます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

 園長の職務内容はキャリアパスに関する規程で求められる職務能力、職務内容が明確に規定されています。園で作成される公的な文書では園長の名前で作成されています。日常の職員会議などでは、園長としてのリーダーシップを取っており、職員はその役割をよく認知しています。有事の際の危機管理マニュアルにも園長の役割は明記されています。ただし、園長としての自らの役割と責任について明確に表明した文章は作成されていません。今後、自らの役割と責任をより明確に表明していくことが期待されます。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

 園長は遵守すべき法令は十分理解しており、行政関係や取引事業者との関係は適正に維持しています。横浜市の労務管理の研修会に参加するなどして、コンプライアンスについて理解を深めています。ただし、コンプライアンスに関する文書やマニュアルは作成されていません。現在は個別に問題が生じるような場面で対応しているだけで、職員全体に対しての教育・研修は行われていません。個人情報保護規程や職員の倫理規定などを早急に準備し、職員にコンプライアンスに関する動機づけをしていくことが期待されます。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

 園の運営に関しては、園長は常に注意を払っており、幼児クラスや乳児クラスの個々の対応について見ています。職員会議では職員の意見をよく聞いており、必要な対応を取っています。最近では、一時保育の給食時のアレルギー対応について間違いがあった時に、マニュアルをすぐに修正して間違いのないように改善を図りました。ただし、保育の質に対しては体系的にチェックする仕組みは作っていません。それとともに、職員の教育・研修の充実も今後の課題です。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

 園長は日常業務を通じて、職員に業務の取り組みや改善方法について、職員会議などで職員の意見を引き出したり、改善のための意見を採用するように努めています。園長、主任、副主任2名の4名による組織構造改革に関しての会議を持つようにして、業務の改革を始め、職員の働きやすい環境の整備について取り組んでいます。今後の成果が期待されます。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

 園での必要とする人材、人員体制についての基本的な考え方は確立しています。園の運営をより充実する体制については構想はありますが、具体的な計画を作成するまでには至っていません。人材の育成に関しては、キャリアパスの職種別・職階別の必要とする技術・専門知識は明確にしており、そのための研修内容も作成されており、現在実施中です。職員の人材確保の活動は実施していますが、効果的な活動を実施しているとまでは言えません。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

 期待する職員像は特に明確にはしていません。しかし、園の特徴を理解してくれる職員を採用しています。
 職員の経験年数別、職階別に職能基準、職務基準が作成されており、キャリアパスが明確となっています。これについては職員にも知らされており、職員の人事評価の大きな基準となっています。人事評価の結果は処遇の水準や処遇改善に結び付けています。このキャリアパスを明確にすることにより、職員は自らの将来像を描くことができます。キャリアパスでは、必要とする階層別研修も明確にされており、キャリアアップの路線も一部示されています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

 職員の就業状況は把握していますが、労務管理に関する責任体制を明確にしているとは言えません。職員の有給休暇の取得状況や時間外労働のデータを園長はチェックしています。日常的に職員の悩みを聞くようにしており、さらに年度末には職員と個別面談を実施して職員の働きやすい環境を作っています。職員の要望にはなるべく応えており、ワークライフバランスに気を配っています。福祉人材の確保、定着の観点から組織の魅力を高める取り組みを行っていて、職員の離職率は極めて低くなっています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

 期待する職員像は特に明確にはしていませんが、職員の目標管理シートが作成されており、毎年、年度の初めに自分自身の目標を設定しています。ここでどんなことをやりたいか、そのためには何をすればよいかといった目標設定と、その方法を自分自身で記載することになっています。目標設定時には園長と面談をしています。ただし年間の目標は設定していますが中間面接はとくにしていません。進捗状況の管理は行われているとは言えません。年度末には園長と面談のうえでその達成状況を自己評価し、園長も評価しています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:c】

 職階別・職種別の求められる技能・技術がキャリアパス一覧表の形で明示されています。各職位・職階別に必要とされる研修内容が設定されていて、それに基づいて職員は研修を受けることになっています。職員は自分の目標管理シートに基づいて自分自身の研修を選択して受講することにしています。しかしながら、これらを基に園全体としての教育・研修計画をまとめているとは必ずしも言えません。今後、園全体としての体系的な研修計画を策定していくことが期待されます。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

 園長は職員の入職時には個別職員の専門資格や知識、技術水準は把握しています。その後の研修状況も分かっていることから、現在の技術水準は把握しています。新任職員はクラスに配置して、クラスの担任が新任職員を指導するOJTを実施しています。横浜市、神奈川県をはじめとする外部の研修の情報は提供しており、これに参加を希望する職員にはできるだけ参加できるように勤務状況に配慮しています。ただし、階層別、職種別研修を組織的に実施するまでには至っていません。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

 実習生受け入れマニュアルがあり、実習生を積極的に受け入れています。実習生の心得、実習生の留意点といった内容で、実習生を受け入れるための基本姿勢を明文化しています。実習生を受け入れるにあたっては学校側と実習内容について打合せを行って、適切なプログラムを準備するようにしています。また、実習生を受け入れるための指導者を養成するための職員の研修は行っていません。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

 ホームページでは園の理念を分かりやすく説明しています。保育の一日の流れを写真を通して紹介しています。また、予算・決算報告も掲載されています。地域ケアプラザの連絡会に参加し、園の紹介をしたり、旭区役所やコミュニティハウスなどに園のパンフレット、チラシ等をおかせてもらっています。ただし、苦情相談結果は園の外部には公表していません。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

 園における経理、取引に関するルールが決められており、職員は見ることはできるようになっています。ただし、各職員の分掌と権限が明確にされているとは言えません。園の事務・経理・取引に関しては運営本部の監事が実施しています。本部の事業・財務については会計ソフトの会社が監査業務を支援してくれています。監査を実施した会社の指摘により、それまで現金で預かっていた保育料を通帳に振り込まれるようにしました。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

 全体的計画の中に地域との連携が設定されています。「保育園北部エリアでのかかわりにより、地域の子育てニーズを把握し保育園としての役割を考え、果たすように努める」としています。事業計画でも、より具体的に上白根コミュニティハウスで未就園児を対象として子育て支援の活動を行ったり、園庭開放なども計画しています。園の玄関には子育てサロンのポスターを掲示して保護者に地域の情報を提供しています。地域の人々との交流ではハロウィンで近隣の特別養護老人ホームを訪問して交流を深めています。ただし、地域の行事や活動に職員が取り組むまでは至っていません。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

 ボランティア受け入れマニュアルが作成されています。近隣の高校や中学校の職業体験をボランティアとして積極的に受け入れています。ボランティアの受け入れにあたっては子どもとの交流を図る家での基本的な説明をしており、オリエンテーションでは守秘義務の重要性を説明して子どもたちとの活動をしてもらっています。地域の学校教育等への協力について基本姿勢を明文化しているとはいえませんが、学校との交流を図る中で中学校、小学校への協力を行っています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

 横浜市旭区こども家庭支援課、横浜市西部児童相談所、横浜市西部地域療育センターを始めとして関係団体についてリストを作成し、事務所に掲示してあります。これらの機関については職員には周知を図っています。近隣の小学校や保育園、幼稚園とは幼保小の連絡会議で定期的な連絡会を行っています。家庭に支援を必要としたときなどはこれらの関連機関とカンファレンスを持って、適切な対応ができるようにしています。園長は旭区園長会の役員を依頼されているところから、虐待等の疑いのある子どもへの対応について、要保護児童対策協議会に参画して連携を図っています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

 旭区保育園園長会の役員を務めたり、幼保連絡会などに出席したり、横浜市西部児童相談所とのコミュニケーションを取っている中で、地域の保育だけでなく全般的な地域の福祉ニーズや生活課題を把握することに努めています。把握した情報については職員との情報共有を図っています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

 全体的な計画の中で「地域の子育てニーズを把握し保育園としての役割を考え、果たすように努める」としており、地域での活動に取り組む姿勢を見せています。保育関連のサービスとして一時保育で障がいのある子どもの保育をするなどの活動は実施していますが、法で定められた社会福祉事業を展開するまでは至っていません。災害時には小さい子どもを受け入れる用意はあります。子ども食堂の運営も視野に入れています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

 理念に基づく考え方をまとめた「わたしたちの思い」を職員会議で読み合わせるとともに、職員会議で人権の外部研修に参加した職員が報告しています。主任、副主任は保育に入る中で気になる場面があった時には、その都度指導をしています。保育士は、どの子どもに対しても分け隔てなく接していて、子どもたちも一緒に過ごす中でお互いを理解し、自然に受け入れています。
 性差については、職員会議で具体的な事例をあげて話し合いをしています。今後は、職員がいつでも振り返れるように具体的な事例をまとめた倫理綱領などを作成していくことが期待されます。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:c】

 プライバシー保護に関するマニュアルなどはありませんが、オムツ交換など一部のマニュアルにプライバシー配慮についての記載があります。保育の中で気になる場面があった時には、その都度職員会議で取り上げて話し合っています。幼児トイレには扉をつける、プールやテラスのシャワーを用いる時にはすだれを下ろして目隠しをするなど、プライバシーへの配慮をしています。着替えなどの場面でさらなる配慮が必要かと思われる場面も見受けられました。プライバシー保護についてのマニュアルを作成し、研修等で職員の意識を高めていくことが期待されます。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

 ホームページ、パンフレットを用いて園の情報を利用希望者等に提供しています。ホームページは写真等を用い、平易な表現を用いるなど工夫しています。利用希望者等の問い合わせにはいつでも対応し、希望にあわせて見学の日時を調整しています。見学は、園長、主任がパンフレットを用いて園舎を案内し、掲示された写真を見せたり、料金体系を分かりやすくかみ砕いて説明するなどしています。保護者の状況を聞き、延長時間を説明するなど個々に合わせた説明をしています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

 入園説明会で重要事項説明書を用いて園の理念や方針、保育内容等について説明し、保護者の同意を得ています。保護者の相談には、個別に対応しています。入園式の後にも個別面談を行い、アレルギーや食事内容、癖などについて聞き取りをしています。
 特に配慮が必要な保護者への説明についてのルールなどはありませんが、育児不安等を抱えている保護者には、児童心理士や旭区役所の心理士に対応法についてアドバイスを受けるなど、個々に合わせた対応を工夫しています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

 引継ぎ文書などは作成していませんが、途中転園する場合には、保護者から相談があれば転園先の保育園に申し送りをするなどの支援をしています。転園先からの問い合わせには、保護者の同意があれば伝えています。文書の作成はしていませんが、保護者にはいつでも相談に来て良い旨を伝え、相談に応じています。
 新1年生には、夏祭りと運動会の案内を送っています。夏祭りでは、新1年生と年長児が一緒にお泊まり会をしています。子どもだけでなく保護者にも子どもの学校での様子を聞く機会となっています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 保育士は、日々の子どもとの関わりの中で、言葉や表情、行動から子どもの気持ちを汲み取っています。保護者に対しては、懇談会や個人面談を実施するとともに、年度末の自己評価のためのアンケートや食事アンケートをしています。
 保護者会総会に園長、夏祭りの話し合いに担当職員が参加し、意見交換しています。把握した利用者の意見や要望は職員会議で検討し、改善につなげています。保護者や保護者会から寄せられた写真購入の希望を受けて業者委託を検討し、検討の結果今年度業者を試験的な運用につなげたなどの事例があります。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

 苦情受付担当者は各クラス担当、苦情解決責任者は園長で、第三者委員2名を設置しています。苦情解決の仕組みを重要事項説明書に掲載していますが、掲示は現在調整中となっています。
 年度末や食事アンケートのほか、全園児連絡ノートを用いて保護者と情報交換しています。保護者からの苦情や意見は、苦情記録に記録しています。対応策については、個別の問題に関しては個々にフィードバックしていますが、全体的な課題に関しては、保護者の同意のもと懇談会等で説明しています。アンケートについては園の自己評価公表時に一緒に紙面で回答しています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

 第三者委員2名の氏名と電話番号を重要事項説明書に記載しています。外部の相談窓口として旭区こども家庭支援課と横浜市福祉調整委員会の電話番号を重要事項説明書に記載して、紹介しています。今後は第三者委員と外部の相談窓口について電話番号も含めて掲示していくことが期待されます。職員は日々の保護者とコミュニケーションを取り、意見や要望を汲み取るように努めています。保護者からの相談には、絵本の部屋を用い、落ち着いて話せるように配慮しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

 苦情解決規程に基づき、保護者意見・要望の対応マニュアルを整備し、規程の修正時にはマニュアルの見直しをしています。ただし、読み合わせなどをしてなく、周知に課題があります。職員は日々、保護者とコミュニケーションを取り、保護者の話を傾聴して共感し、保護者の相談にのっています。把握した意見や要望は園長、主任に報告し、対応しています。職員会議で協議するなど、対応に時間がかかる場合には保護者にその旨を説明しています。意見箱や行事後のアンケートなど、声をあげない保護者の声を吸い上げるためのさらなる工夫が期待されます。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

 リスクマネジメントの責任者は園長で、危機管理マニュアルを整備しています。事故やけがは事故報告書に記載し、職員会議で共有し、改善策・再発防止策について検討しています。職員会議では、他施設での事故事例についても話し合っています。ヒヤリハットについては保育日誌に記載して職員間で共有していますが、データ化して分析、検証することはしてなく、課題となっています。リスクマネジメント等の外部研修に出席した職員が伝達研修を行うほか、全職員が救命救急の外部研修に交替で参加しています。防犯訓練も実施しています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

 感染症対策の責任者は園長で、保健係が中心になり予防策を講じています。感染症対策マニュアルを整備し、おしり洗いや嘔吐処理等はフローチャートにまとめて掲示しています。ノロウィルス等の流行前には全職員対象に嘔吐処理訓練を実施しています。保育中に感染症を発症した場合には、保護者に迅速に連絡を入れ、絵本の部屋や職員室で静かに過ごすなどしています。
 年に2回発行の保健だよりや掲示板で感染症の種類や症状等、地域の感染症情報等について保護者に情報提供しています。マニュアルの定期的な見直しは今後の課題となっています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

 防火責任者は園長で、防災計画に基づき毎月地震や火事等を想定した避難訓練や炊き出し訓練等を実施しています。園は土砂災害危険地域になっていて、広域避難場所への避難訓練も実施しています。なお、保育を継続するための計画作りは今後の課題となっています。
 保護者に対しては一斉メール配信の体制を整え、メール配信訓練もしています。3日分の非常食と水を備蓄しています。消防署の立ち会い訓練もあり、消防団団員と一緒に担架を作る訓練をするなどしています。
 地域自治会とは、もしもの時、自治会の避難場所に避難する約束を交わしています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:b】

 標準的なマニュアルでは子どもの尊重などの姿勢が明示されています。基本的なマニュアルは、入職時に研修を受ける際にマニュアルの内容について周知が図られています。ただし、入職後の実施場面ではOJTで指導されていますが、マニュアルに基づいて実施しているかの確認は特にしていません。その反面、保育士がその場ごとに最適な対応をしていて保育実践は画一的なものではないようになっています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:c】

現段階においては、マニュアルごとに見直しの時期や方法についての記載はありません。ただし、現場の実践の中でマニュアルの修正が必要とするときには指導計画などの内容に基づいて見直しを行っています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

 月間指導計画、週案、個別指導計画などについては、担当者を決めており更新しています。週に1度開かれる乳児会議、幼児会議の中で子どもの姿を話し合う中で指導計画の内容も評価し、次期の計画に反映しています。
 全体の計画を基に、年齢ごとに年間計画、それに基づき月間指導計画が作られています。指導計画を作成するときには、連絡帳や登降園時の保護者との話し合いなどによる日常的なコミュニケーションを計画に生かしています。要配慮児、支援が困難なケースについても、横浜市西部地域療育センターなどの専門機関との連携により、適切な保育の提供を行っています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

 月間指導計画、週案、個別指導計画などについては、その期ごとに実施内容及び振り返りを行っています。乳児クラス会議、幼児クラス会議で実施しています。期の途中でも見直すことはありますが、全職員が指導計画の必要性を完全に理解しているとは限らないと園では認識しています。指導計画では子ども・保護者のニーズを反映して作成しています。その結果は次の期の計画に反映しています。また、指導計画は職員全員が見ることができます。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

 子どもの発達状況や生活状況は、入園時の児童票、その後の発達記録や経過記録にまとめて記録しています。乳児の個別指導記録は作成されています。経過記録などは記録要領が決まっていますが、記録方法は必ずしも統一したものとはなっていません。週に1度の乳児会議、幼児会議が開かれており、このなかで園での状況が話されており、指導計画の振り返りが行われて情報の共有が図られています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:c】

 現在、個人情報保護規程は作成されていません。ただし、個人情報のファイルは事務所の鍵のかかるロッカーに保管され、不適正な利用や漏えいに対する対策はされています。職員は個人情報保護を理解しており、遵守しています。また、個人情報の取り扱いについては、入園時に保護者に説明をしています。園としては個人情報保護規程を始めとして、個人のプライバシー保護については文書化が遅れていると認識しており、早急な改善が期待されます。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:b】

 全体的な計画は、児童福祉法や保育所保育指針に則り、保育理念や保育方針、保育目標に基づいて作成されています。発達過程とクラスの相関性、社会的責任、地域実態に対応した事業の項目には、園の考え方が具体的に記載されていて、園の特徴を示しています。
 全体的な計画は、職員会議での年度の振り返りを基に、園長が案を作成し、職員会議で再度話し合って作成しています。ただし、非常勤職員などへの周知は不十分で、課題ととらえています。年度末には、振り返りを行い、次年度に反映しています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:b】

 エアコン、加湿器付空気清浄機で温湿度の管理をし、園内は適切な状態に保たれています。ホールが吹き抜けのため音が通りやすいですが、太鼓等音の出る活動をする時には、他のクラスは園庭で遊んだり、活動の見学をするなど調整しています。
 保育室は、職員会議で話し合い、子どもの状況に合わせてコーナーの設置など環境構成を見直しています。大小2つの園庭があり、年齢や活動目的、職員体制などにあわせて使っています。乳児保育室は食事と睡眠の機能別の空間を確保し、幼児はホールで食事しています。絵本の部屋があり、着替えや活動の切り替え時、小グループでの活動に用いるなど工夫をし、子どもが落ち着いて活動できるようにしています。開放的な空間のため、一人の子どもが落ち着かなくなると他の子どもの声も大きくなるなどの状況も見られたので、さらなる環境構成への工夫が期待されます。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

 保育士は、職員会議等で一人一人の子どもの家庭の状況や発達過程について話し合い、個々の子どもに合わせた対応をしています。保育士は子どもの言葉や表情、言葉にならないつぶやきなどの発信を受けとめ、子どもの思いを汲み取っています。子どもの甘えを優しく受け入れ、スキンシップをたくさん取って信頼関係を築き、子どもが安心して自分を表現できるようにしています。子どもの欲求も受けとめ、できない時には子どもに分かるように理由を説明しています。子どもが自分の気持ちを上手に整理できない時にも、保育士は急かすこともなく辛抱強く待ち、子どもに寄り添っています。保育観察時にも、子どもたちが保育士に抱っこをせがんで甘えたり、話を聞いてもらおうと一生懸命話しかけ、保育士が穏やかに応じている姿を見ることができました。
 職員一人一人は子どもの思いを受容して保育していますが、どこまで受け入れるかについてのすりあわせが必要と園は考えています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

 乳児保育室は、排泄、着替え、食事のスペースを分け、子どもが生活の流れを理解し、自分から取り組めるように環境構成しています。着脱などの場面では、服の出し入れを自分ですることから始め、子どもの自分でやりたいという気持ちを尊重して見守り、声かけをしてやり方を教えたり、手助けしたり、後で手直ししたりしています。毎日の繰り返しの中で子どもたちは少しずつできることを増やしていき、5歳児になると食事の準備や片付け、掃除などの生活面を自発的に行っています。
 排泄や離乳食の進め具合等は、月齢だけでなく子どもの発達状況にあわせ、保護者と相談しながら一人一人にあわせた対応をしています。午前中に眠くなった時には横になる時間を作るなど、個々の子どもの状態に応じて対応しています。入園当初は子どもの生活リズムを尊重していますが、運動量などを調整して徐々に園の生活リズムになれていくように支援しています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

 保育室には子どもの手の届く所におもちゃや絵本が並べられ、子どもが自分で選んで遊べるようになっています。畳やマット、仕切りなどを用いてコーナーや子どもが入り込めるようなスペースを作り、子どもが落ち着いて遊べるようにしています。
 1・2歳児、3・4・5歳児は日常的に異年齢で過ごしていて、年上の子どもの遊びを真似たり、年下の子どもの世話をしたりしています。自由遊びでは、幼児は園庭か保育室かを選ぶことができ、外で思いっきり身体を動かして遊んだり、室内で机上遊びやブロックに集中して取り組んだりと、多様な遊びを主体的に選択することができます。近隣には、隣接する県立四季の森公園を始めとして自然豊かな公園が複数あり、子どもたちは散歩で季節ごとの自然に触れ、拾ってきた枯葉を製作に用いるなどしています。観察時にも給食で出た菜の花を見にその日の午後に散歩に出かけていて、自然との関わりの中で子どもたちは自然への興味を育て、感性を養っています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 0歳児保育室は畳の個室となっていて、子どもが安全にハイハイやよちよち歩きができるようになっています。食事スペースはフローリングとなっていて衛生面にも配慮されています。子どもの目線にあわせて布おもちゃや手作りおもちゃ、音の出るおもちゃなどが置かれていて、子どもが自由に取り出せるようになっています。0歳児は定員3人のため、少人数での落ち着いた雰囲気の中で子どもが安心して過ごすことができます。
 保育士は、一人一人の子どもに優しく話しかけ、子どもの要求に応じてスキンシップを取り、子どもとの愛着関係を築いています。個々の子どもの発達にあわせて、おもちゃの入れ替えなどをしていますが、月齢が高い子どもは、隣の1・2歳児と合流して絵本読みや手遊びを楽しむなど、子どもの発達状況に応じて異年齢での交流も取り入れています。保護者とは、毎日連絡帳を用いて情報交換するとともに、朝夕の送迎時にはコミュニケーションを取り、連携しています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 1歳以上3歳児未満の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 1・2歳児は同じ保育室を用いていて日常的に異年齢で過ごしています。子どもの目線に合わせてブロックや人形、ままごとなどのおもちゃがケースに入れられて並べられ、子どもが自分で選べるようになっています。ケースには、子どもが片付けやすいようおもちゃの写真が貼られています。保育室中央には絵本コーナーがあり、子どもが自然に絵本に親しみ、落ち着いて楽しめるようになっています。
 自由遊びの時間には、子どもたちは自由に好きな遊びを選び、ごっこ遊びを友達と楽しんだり、一人でブロック遊びをしたりしています。保育士の膝に座って絵本を読んでもらっている子どももいます。けんかなどの場面では、保育士は子どもが言葉で自分の思いをきちんと伝えられるように言葉を添えて仲立ちしています。
 保護者に対しては、子どもの園での姿を送迎時や連絡帳で伝え、連携しています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 3・4歳児は日常的に異年齢で過ごしていますが、散歩や製作などで年齢別の活動の時間を設け、年齢に応じた活動ができるようにしています。
 3歳児は、友達と一緒に遊びや行事を行っていく中で、仲間としての意識が育っていて、観察時にも、友達と相談しながら大きなブロックを使って斜面を作り丸いブロックを転がす仕掛けを作ったり、ブロックで家を作ってごっこ遊びをしたりする姿を見ることができました。4歳児は、物語をテーマに年間の活動を行い、保育士の働きかけのもと、栽培や製作、行事などを友達と一緒に協力して過ごしています。5歳児は、年度の前半は3・4歳児と一緒に異年齢で過ごしていますが、後半は別の保育室で過ごします。三浦太鼓を運動会や卒園式で披露し、三浦半島に電車に乗って出かけたり、卒園遠足として大山に登って園でお泊まりをするなど、友達と一緒に一つのことをやり遂げる経験を重ねています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 園内はバリアフリー構造となっていて、座位を保つための椅子やグリップがついた食具など、個々に合わせた機器もそろえています。個別指導計画を作成し、クラス担当が保育日誌に個別の記録をつけています。複数担任制をとり、あえて担当は決めずにクラス担任皆で見守り、一緒に出来る所は一緒に活動し、できない所は保育士が個別について支援しています。
 保育士は障がいのある子どももない子どもも分け隔てなく接していて、子どもたちも自然にクラスの仲間として受け入れています。保護者とは面談や送迎時の会話で情報共有を密にし、連携しています。
 横浜市西部地域療育センターとも密に連携していて、作業療法士が子どもの園での様子を見に来たり、保育士が見学に行ったりしています。職員会議で子どもの対応について共有し、障がいの外部研修の報告もしています。重要事項説明書に障がい児受け入れについての園の方針を記載し、年度始めの保護者会で説明しています。

【A10】A-1-(2)-⑨ 長時間にわたる保育のための環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 指導計画に長時間保育の配慮事項を記載し、家庭的でゆったりした雰囲気の中で子どもが落ち着いて過ごせるようにしています。18時までは乳児、幼児に分かれて過ごしますが、18時からは乳児保育室で合同で過ごします。19時を過ぎて子どもが減ってくると、子どもが寂しさを感じないようにスキンシップをたくさん取り、子どもが好きな遊びを提供しています。日が長い季節は、17時半くらいまでは幼児は園庭、乳児は玄関前のスロープで遊ぶこともあります。18時半を過ぎる子どもには補食を提供しています。登降園表に夕方のチェックをして引継ぎ事項を記載し、口頭でも伝達し、保護者へもれなく伝えられるようにしています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

 5歳児は、年度の前半は異年齢で過ごしていますが後半は別の保育室で過ごし、就学に向けての活動を指導計画に基づいて行っています。就学への取り組みとして年に2~3回の北部エリア保育園との交流(ネイチャーキッズ)、近隣保育園3園との交流、学校探検や給食交流等の小学校との交流などを行っています。また、毎日自分の棚を掃除することで自分の物を自分で管理する習慣をつけたり、給食の当番活動を行ったり、運動会明けから少しずつ午睡をしない「寝ない子」の日を設けたり、紙すきをして卒園証書作りをしたりなどし、子どもの就学への期待を高め見通しが持てるようにしています。
 夏祭りでは、前年度の卒園生とお泊まり会をし、卒園生から小学校の様子を直接聞く機会を作っています。幼保小連携事業として、保育士が小学校教諭と意見交換したり、小学校教諭が研修に園に訪れるなどし、連携しています。保育所児童保育要録を作成し、小学校に送付しています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

子どもの健康状態は、登園時に早番の職員が確認して登降園表にチェックと伝達事項の記載をし、職員間で共有しています。既往症や予防接種等の情報は、入園時に健康表に記載してもらい、毎年確認してもらっています。事故やケガは保護者に連絡し、首から上のケガは受診しています。子どもの体調が悪化した時には保護者に連絡し、対応について話し合っています。園の子どもの健康に関する取り組みは、重要事項説明書に記載して入園時に説明するほか、年2回の保健だよりでも情報提供しています。
 SIDS(乳幼児突然死症候群)対策として0歳児は5分おき、1・2歳児は10分おきに呼吸チェックし、記録しています。0歳児はマットレス型センサーも用いています。
 保護者に対しては入園時に書面を配付し、説明しています。健康管理マニュアルはありますが、定期的に園の現状に合わせて見直したり、読み合わせで職員に周知するなどはしていません。また、保健計画の作成も今後の課題となっています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科検診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

毎月の身体計測、年2回の健康診断と歯科健診、年1回の尿検査(幼児)と視聴覚検診(4歳児)を実施しています。健診の結果は健康表に記載しています。保護者には、連絡帳に用紙を貼って結果を知らせるほか、健康表を毎年更新のために返却して保護者に確認してもらっています。健康診断前には、保護者に質問事項があれば出してもらうように声掛けしています。
 保健計画は作成していませんが、子どもに手洗い、うがいの指導をするなどしています。歯磨きに関しては、園の方針として歯磨き指導は行わず食後にうがいをしていますが、歯科健診時に歯科衛生士が紙芝居や人形を用いて、歯磨きの大切さについて子どもに話しています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

 横浜市の「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」に基づいてアレルギー対応マニュアルを作成しています。アレルギー疾患のある子どものかかりつけ医が記載した「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表」を保護者に提出してもらい、それに基づき適切な対応をしています。食物アレルギーのある子どもには、事前に保護者に献立表をチェックしてもらい、除去食を提供しています。除去食を提供する場合には、別トレイ、別皿を用い、チェック表を用いて受け渡し時と提供時にチェックするとともに、口頭でも確認しています。テーブルも別にし、そばに保育士がついて誤食を防いでいます。毎月の職員会議でアレルギーのある子どもの対応について情報共有するとともに、アレルギーの外部研修の報告もしています。
 保護者に対しては、重要事項説明書に記載して入園時に説明しています。慢性疾患ある子どもに関しては、保護者から対応について聞き取りをして書面化し、事務室に掲示して職員間で共有しています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

 食事は楽しく食べることを基本に、幼児(後半は5歳児は別)はホールでおしゃべりをしながら食事をしています。食器は木製や陶器の物を用い、茶碗は個人持ちとなっています。保育士は、個々の子どもの食事量を把握し、少食の子どもは少し減らし子どもが完食した喜びを感じられるようにしています。芹やふきのとう、山菜など季節の食材も用い、子どもが豊かな食の経験ができるようにしていて、少しでも食べてみるように声掛けをしています。
 指導計画に食育の取り組みを記載し、子どもが食材がどのように作られているかを経験し、食の大切さを感じられるようにしています。5歳児は当番活動として米とぎや野菜の皮むき、卵割りなどの下準備の手伝いをしています。園庭で育てた里芋などの野菜を調理して食べたり、味噌や干し柿、魚の干物、梅ジュースを作ったり、うどん踏みなどを年齢に応じて行っています。保護者には、毎日のサンプル展示や園便りに食育の取り組みを載せて情報提供しています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

 食事についての保護者アンケートを実施して家庭での食事の様子を把握し、献立作成の参考にしています。職員会議で子どもの喫食状況について把握しています。残食は記録し、切り方を工夫するなど次回の調理に反映しています。調理室は食堂に面していて、子どもの食事の様子を直接見たり、子どもから意見を聞いたりすることができます。献立は季節感のある献立となっていて、出しは昆布、鰹ぶし、煮干しでとっています。クリスマスには丸ごと鳥を焼いて子どもの目の前で切り分けたり、サンマを目の前で焼いて幼児には骨の付いたまま出したり、年末には子どもの目の前でそばを打つ(食物アレルギーは事前に確認)など、季節感のある楽しい食の取り組みがたくさんあります。子どもの人気のカレーは、鳥やほうれん草、キーマカレーなど工夫してナンと一緒に食べるなど変化を持たしています。
 衛生管理マニュアルと衛生管理の手引を用い、給食室の衛生管理を適切に行っています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

 乳児は毎日、幼児は必要に応じて連絡ノートを用いて保護者と情報交換しています。幼児であっても保護者の記載があった場合には、必ず回答しています。幼児は、クラスノートを用いてその日のクラスの活動の様子を保護者に伝えています。クラスノートには保護者が感想を記載する欄も設けていて、コミュニケーションの手段としても用いられています。
 園は保育の可視化に取り組んでいて、クラスの活動の様子を写真に撮り、保育室やクラスノートで保護者に情報提供しています。個人の写真は連絡ノートに貼って伝えていて保護者に好評です。毎月園だよりを発行し、園の取り組みを伝えています。年2回の懇談会、年1回の個人面談の他、運動会、クリスマス会等の保護者参加行事を実施し、保護者が園の取り組みを理解し、子どもの成長を感じられるようにしています。保育参観・保育参加も随時受け入れていますが、参加が少なくさらなる工夫が必要ととらえています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 朝夕の送迎時には、保育士は保護者とコミュニケーションを取って保護者の話を聞き、相談にのっています。連絡ノートでも保護者の相談にのっています。個別面談は年1回ですが、保護者からの要望や必要に応じて随時設定し、保護者の相談に応じています。保護者から相談を受けた保育士は、必ず園長、主任に報告して対応について相談しています。必要があれば個別面談を設定し、ケースに応じて園長、主任が対応しています。相談内容は、個人記録に記録し、職員会議等で職員間で共有しています。
 児童心理士が配置されていて、保育士の保護者対応についての相談にのり、対応方法についてアドバイスをしています。園は、自分から発信しない保護者の声を吸い上げるためのさらなる工夫が必要ととらえています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:a】

 保育士は、朝夕の送迎時に保護者と子どもの様子を見守り、必要に応じて声をかけて保護者の相談にのっています。体調などで送迎が難しい場合には、送迎をするなど保護者の状況に応じて柔軟に対応し、保護者が子育ての不安を抱え込まないように支援しています。着替え時等には、子どもの身体状況を確認し、日々の関わりの中で子どもの表情や言葉などの発信を見逃さないようしています。気になる事例があった時には、園長、主任に報告し、職員会議等で共有し、皆で見守っています。
 虐待を発見した場合や疑わしい場合には、旭区こども家庭支援課や横浜市西部児童相談所に通告、相談する体制を整え、日常的に旭区の子ども虐待チームや保健師と連携しています。虐待防止の外部研修に出席した職員は、資料を回覧し、職員会議で伝達研修を行っています。横浜市の虐待対応ハンドブックをマニュアルとして用い、共有しています。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:b】

 毎週、乳児会議、幼児会議を行い、子どもの状況について話し合い保育の振り返りをしています。会議には児童心理士や給食職員(乳児会議)も出席し、異なる職種の職員で意見交換することで、保育の改善や専門性の向上につなげています。話し合いの結果は会議録にまとめられています。年1回、職員は園の自己評価表を用いて自己の保育の振り返りを行い、その結果を基に職員会議で話し合い、園の自己評価としてまとめています。話し合いは行われているものの、それぞれの振り返りを文章化することは少なくなっています。自己評価の結果を分析して深め、新たな課題として次期の事業計画につなげていくことが期待されます。