社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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地域作業所ドリーム

2024年03月29日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 公益社団法人神奈川県社会福祉士会

② 施設・事業所情報
名称 地域作業所ドリーム 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 就労移行支援, 就労継続支援(B型), 就労定着支援 定員 35 名
所在地 259-1132
伊勢原市桜台5-12-27
TEL 0463-91-5000 ホームページ https://i-ikuseikai.or.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2016年10月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人伊勢原市手をつなぐ育成会
職員数
常勤職員:6 名
非常勤職員:9 名
専門職員
サービス管理責任者:1 名
目標工賃達成指導員:1 名
職業支援員  :3 名
生活支援員:3 名
就労支援員:1 名
看護職員:1 名
事務員:1 名
調理員:1 名
清掃員:1 名
施設・設備の概要
事務室:1
更衣室:個別ロッカー
静養室:

③ 理念・基本方針
 以下を法人の理念に掲げている。
〇わたしたち、伊勢原市手をつなぐ育成会は、知的障がいを持つご本人とその家族、そして、ご本人とその家族を支える支援者の会です。
〇わたしたち、伊勢原市手をつなぐ育成会は、ご本人とその家族の、かけがえのない思いに寄り添います。
〇わたしたち、伊勢原市手をつなぐ育成会は、ご本人とその家族の、これまでの道のりを尊重します。
〇わたしたち、伊勢原市手をつなぐ育成会は、ご本人とその家族とこれからの道のりを一緒に作っていきます。
〇わたしたち、伊勢原市手をつなぐ育成会は、ご本人とその家族と、幸せな社会を志向します。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
 地域作業所ドリームは、就労継続支援B型事業(定員29名)、就労移行支援事業(定員6名)、就労定着支援事業の多機能型事業所である。各事業は以下の取組みを行っている。
〇就労継続支援B型事業
 ①生産活動
 ・自主製品事業: ポップコーンの製造・販売、ウエス
 ・受注作業: 鈴の組み立て、ベアリング、DM封入、小型家電解体
 ・施設外作業: パン受託販売、倉庫の外構清掃作業
 ②就労移行支援体験プログラム
 ③余暇支援
・体操クラブ、合唱クラブ、写真クラブ、家庭科クラブ
〇就労移行支援事業
 ①日中活動 
・利用者の意思や個性・特性を尊重し、社会との結びつきを大切にした地域の中で自立した社会を営むための活動支援
②就労アセスメント
③就労移行プログラム
〇就労定着支援事業
 ・就労移行支援等の利用を経て一般就労し、6か月を経過した利用者に対し、3年間の就労定着に向けた支援を実施する。利用者面談を通じて就労や生活面の相談に応じている

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2023/07/24(契約日) ~2024/03/12(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 回(年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 ◇特長や今後期待される点
〇職員は利用者の働く力を引き出し働く喜びを大切にした支援に努めている
  一日が終えて利用者が帰宅するときは必ず「また明日ね」とお互いに声をかけている。利用者の明るい表情がある。個別支援計画に利用者のやりたい作業やクラブ活動を明記し、職員は利用者の思いや希望の実現に努めている。利用者がわかりやすいように作業工程を細分化し、また、個々の利用者特性に配慮した治具を工夫し、利用者が楽しんで作業ができるように支援している。自主製品や受注作業等の様々な作業を提供し、作業環境の整備と安全を確保し、一日を通して利用者が楽しんで作業に取り組めるようにしている。また、現在合唱クラブ、家庭科クラブ、体操クラブ、写真クラブがあり、利用者全員がどれかに所属している。職員は、それぞれが自分の思いを実現した「成功体験」を大切にした支援を心掛けている。

〇「街の中のポップコーン屋さん」をめざしている
  令和2年より自主製品のポップコーンの製造・販売を実施している。施設に通っている利用者が製造したポップコーンを地域のコンビニエンスストアなど10か所以上の店舗等で販売している。ポップコーン製造の全国規模の企業のフランチャイズとして施設の作業に取り入れたもので、保健所の菓子製造業の許可のもとに、食品衛生責任者を配置し食品の衛生管理を徹底している。地域の小学校がポップコーンの製造現場の見学に施設を訪問したことがあり、ポップコーンを通じた地域交流がある。また、ポップコーンが利用者の工賃アップにつながっている。施設の入り口のレイアウトを工夫して、「街の中のポップコーン屋さん」として地域に開放している。

〇多機能型事業所として障がい者就労に係る課題等の地域ニーズに取り組んでいる
  就労継続支援B型事業、就労移行支援事業、就労定着支援事業の多機能型事業所として、地域ニーズの把握に努めている。地域の自治会、民生児童委員、ボランティア代表、社会福祉協議会、市役所、保護者会代表で構成される事業所の運営委員会を開催し、また地域の関係機関で構成されたネットワーク会議に参加して、施設への地域ニーズの把握に努めている。伊勢原市が主催する障がい者とくらしを考える協議会の専門部会の「災害時支援部会長」を施設長が務め、「就労支援部会長」を主任が務めている。就労支援部会長として、障がい者の就労に係る課題等に積極的に取り組んでいる。障がい者就労支援に対する地域の相談や情報提供のハブ的存在としてコーディネーター的役割も担っている。

〇個々の障がい特性に配慮した利用者支援マニュアルの整備が期待される
提供する福祉サービスの標準化を推進する「生活支援マニュアル」及び、行動障害等の利用者の個々の障害特性に配慮した支援の「手順書」の整備が望まれる。マニュアルを整備し職員間の支援の統一性を図る取組みが期待される。


⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
初めて第三者評価を受審しました。評価票の作成には、多くの職員が取り組みました。自己評価は実施している事業内容の検証になり、今後の取り組みや改善について職員の共通理解が深まりました。評価結果から必要な見直しを行い、利用者本位のサービス提供に努めます。また、評価された内容については、さらなる充実に向けて取り組んでまいります。


詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

法人の理念に、 「わたしたち、伊勢原市手をつなぐ育成会は、知的障がいを持つご本人とその家族、そして、ご本人とその家族を支える支援者の会です」「わたしたち、伊勢原市手をつなぐ育成会は、ご本人とその家族の、かけがえのない思いに寄り添います」等5 項目の理念を掲げている。理念をホームページに掲載し、理念及び理念の実践に向けた職員行動指針を「職員ハンドブック」に明記し、全職員に配付し周知している。また、6月開催の保護者会で、事業報告、事業計画の説明に合わせて理念について周知している。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

「第7期伊勢原市障がい者計画・障がい福祉計画」で伊勢原市の障がい者施策の基本的方向性を把握し、市が運営する「令和5年度障がい者とくらしを考える協議会」の権利擁護部会や就労支援部会、災害時支援部会等の各種部会に参加し、施設の事業経営を取り巻く環境の変化や動向の把握に努めている。また、「神奈川県知的障害施設団体連合会」に加盟し、神奈川県の「当事者目線の障害福祉推進条例」の施行や利用者の意思決定に向けたあおぞらプランの実行等の各種活動の情報把握に努めている。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

施設は多機能型事業所として伊勢原市の指定管理者事業所として業務を推進している。就労継続支援B型、就労移行支援、就労定着支援の各事業ごとに経営課題を明確にして事業計画に明記している。令和5年度の事業計画には、就労系の多機能型事業所として、障がいのある方が「住み慣れた地域で、その人らしく」働くことを通して社会参加と自己実現を目指すことを基本姿勢とすることを明記している。基本姿勢の実現に向けて、事業種別ごとに具体的実施課題を明示し取組んでいる。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

伊勢原市の指定管理者事業所として中期的な視点での事業所運営計画を明示している。指定管理者としての取組み方針に、障害者総合支援法や伊勢原市障がい者計画・障がい福祉計画の理念に則り施設の管理運営を行い、その実践に向けた就労継続支援B型事業及び就労移行支援事業、就労定着支援事業の方策について明記している。また、利用者の個人情報や人権擁護対策、職員の専門性向上に向けた研修体制、新たに導入を考える事業等について明示している。今後は、上記内容等について施設の「中・長期計画」を策定し、施設運営のビジョンを明示し職員に周知する対策が期待される。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

指定管理者としての方向性と実施計画の実現に向けて単年度の事業計画を策定している。令和5年度事業計画に業種ごとの重点課題を明記している。就労継続支援B型事業は、自主製品や受注作業、施設外作業に取組み、特に自主製品のポップコーンの製造と販売に注力し、地域に愛される「ドリームのポップコーン」を目指すとしている。就労移行支援事業は、就労を目指す利用者の職業準備訓練を必要に応じて見直し一般就労に結びつくように支援することを掲げ、関係機関と連携し、地域の障がい者雇用に積極的に取り組むとしている。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

事業計画は、12月に年度ごとの達成状況を職務分担の担当ごとの課題に沿って評価し、安全対策会議や職員会議で総括している。その結果をもとに2月に主任支援員主体に次年度の事業計画の案を策定し施設長が取りまとめている。3月に法人に提出し理事会で決定している。事業報告は、毎月の利用率等数値項目を含め、4月に前年度分の達成状況をとりまとめ、職員会議で職員に周知し5月に法人に提出している。


【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

事業計画を利用者・家族に配付している。また、年2回開催の保護者会で事業計画について日常の支援に反映し、利用者個々の特性に合わせて説明している。事業計画に記載している利用者の自主製品の製造や受注作業などの仕事のことや年間の行事予定、家族との日常的な情報共有について説明し周知している。また、利用者・保護者を対象にした広報誌「ドリーム通信」を毎月発行し、事業計画に記載した各種行事等の利用者の表情や施設外での利用者の作業の状況等について周知している。 

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

利用者満足度調査を毎年実施している。満足度調査は、職員の支援内容やサービス内容等に関する11項目のアンケート調査で、アンケート結果を分析し課題を抽出し職員に周知している。また、「指定障害福祉サービス自己点検シート」を用いて毎年施設運営に関わる自己点検を実施し、課題の把握に努めている。法人の人権委員会が主催する虐待防止研修では、事前に職員に虐待防止に関するアンケートを実施し、グループワークを行い虐待防止の意識の徹底をl図り、サービスの質の向上に努めている。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

利用者満足度調査の結果を分析し、課題を明確にし職員会議や安全対策会議で話し合い対策を講じている。令和5年3月実施のアンケート調査では、建物の老朽化や狭い更衣室等についての利用者の指摘がある。施設では施設の老朽化対策として、トイレを温水洗浄便座に改修し、また、施設内を明るくするために所内の全照明をLEDに取り換え、利用者が気持ちよく日々の生活が送れるように対策を講じている。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

施設長は、事業計画に多機能型事業所としての利用者支援の基本姿勢を明示して職員に周知している。障害のある方が「住み慣れた地域」で「その人らしく」暮らし、働くことを通じて「社会参加」「自己実現」を支援することを明記している。また、意思決定支援の視点を踏まえた個別支援計画を策定し、日中活動の支援と、働くことを継続するために必要な日常生活の支援を提供することを明示し職員に周知している。施設長は年度末会議で事業所の運営方針、利用者支援方針、予算計画等の経営管理に関する方針や取組みについて全職員に周知している。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「コンプライアンス規程」を策定し、規定集にファイリングし職員がいつでも確認できるようにしている。コンプライアンス規程には法人の法令遵守責任者を設置し、法人内に存在する問題を広く受け付け積極的に解決していくために、相談窓口「コンプライアンスホットライン」を設置することを明記している。ホットラインは調査を行い、必要に応じ直ちに是正処置を講じると規程している。また、施設長は、県の指導者講習会や神奈川県知的障害者施設協会施設長会に出席し、法令遵守に関わる各種情報等を把握し職員への周知を図っている。、

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

利用者満足度調査を毎年実施し、職員の支援内容やサービス内容等のアンケート結果を分析し課題をまとめて福祉サービスの質の向上を図っている。施設長は月に1度安全対策会議を開催し、施設の安全対策を総括し施設内各種委員会の進捗状況を確認し、対策を講じている。安全対策委員会に防犯・防災、安全管理、人権擁護対策、業務改善の各種委員会のリーダーが、担当の作業の進捗状況等について報告している。施設長は、利用者サービスの質の向上に向けた委員会活動の取組みを確認し、課題対策を指導している。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

毎月顧問税理士による月次監査を実施し、予算の執行状況及び各部門の台帳・帳票類を確認している。施設長は、人件費(事業費、事務費等)を把握し法人の理事会、事業所連絡会議に報告し、また、職員会議に報告し、コスト削減等の必要な対策を職員に周知している。職員の福利厚生並びに就労上の問題や相談に丁寧に対応している。子育て時短勤務制度の利用など、子育て中の現場の職員が働きやすい環境づくりに取り組んでいる。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

現在6名の常勤職員と9名の非常勤職員を配置している。社会福祉経験者の採用、臨時職員の昇格、法人内人事異動等で福祉人材の確保に努めており、現在欠員の職員はいない。職員の定着率は高く8年程度である。職員の子育て時の時短勤務の採用や、希望通りに有給休暇が取得できる職場環境の整備、国家資格取得の費用の助成等の制度を整備している。また、「研修体系」を整備し、階層ごとに求められる職員像を明示し、職員育成の到達目標と重点テーマを明示し職員に周知している。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

「研修体系」を整備し、階層ごとに求められる職員像を明示している。職員個々の強みを把握し、定期的に個別面談を行い人事異動等に活用している。人事考課制度の整備等人事基準の整備は試行中であり今後の課題である。また、事業計画の組織目標の達成に向けた個々の職員の個人目標の設定、その目標達成に向けた知識や技術の習得、必要な資格取得等を明記した「目標管理シート」の作成が期待される。目標管理の達成度の評価を人事評価に反映させる取組みの検討、及びキャリアパス等を明示した総合的な人事管理制度の整備が期待される。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

ワークライフバランスに配慮し、「誰もが働きやすい環境」の実現を目指している。職員は希望通りに10日以上の年次有給休暇を取得している。介護休暇、子の看護休暇、子の養育のための時短勤務等を実施している。また、職員のストレスチェックを実施している。毎月、顧問の社会保険労務士が施設を訪問し、労務に関する相談や規程類等に関する助言を行っている。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人の「研修体系」を作成し、①初任・嘱託・臨時、②中堅、③中堅上位~主任級、④管理者の階層別の到達目標や重点テーマを定めている。また「職員ハンドブック」を作成し、法人の沿革や理念、職員の行動指針・価値や階層別イメージを明記している。更に「福祉職のチェックリスト」を作成している。①職業的倫理、②コミュニケーション、③環境整備、④健康管理、⑤移動・移乗、⑥身だしなみ、⑦排泄、⑧入浴、⑨食事に分類された全157項目のチェック項目を定めて、自己成長に繋げる仕組みを整備している。個々の職員の育成を目的にした目標管理は実施されていない。職員1人ひとりの目標管理の取組みが期待される。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人の研修員会を設置して「職員ハンドブック」と「福祉職チェックリスト」を作成し、期待する職員像と具体的な知識・技術水準を明らかにしている。また、臨時職員も含めたすべての職員を対象にした「研修体系」があり、職員の教育・研修について全体像を示した上で教育・研修が実施されている。個々の職員の把握については普段の勤務状況や職務分担表をもとに適正な配置に向けて上長が把握し人事異動等に活用している。今後は定期的な計画の評価と見直しを実施し、研修内容やカリキュラムの評価と見直しについての取組みが期待される。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

職員の資格保有一覧を整備し、福祉に関する国家資格の受験費用の半額を法人が負担し人材育成を図っている。新入職員は「神奈川県知的障害施設団体連合会」の「神奈川県当事者目線の障害者福祉推進条例」等の研修を受講し、職場内では個別OJTを行い周知を図っている。業務のオリエンテーションや初歩的なことを1週間程度行い、その後1年間程度の時間をかけて育成している。研修参加についての周知案内は、朝礼時や回覧、主任を通じて直接参加を呼びかける等の対応を行っている。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

法人の事業計画書で実習生等の受入れについて明文化されている。実際の受入体制は受付から担当、受入れまでの流れが決められており、注意事項等を伝えている。実習生は社会福祉分野にとどまらず、支援学校、市役所や教員の研修の場を提供する等多岐に渡っている。今後は、実習受入れマニュアルを整備し、実習目的に応じた実習プログラムの整備が期待される。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

ホームページに法人の理念、基本方針を掲載している。法人の現況報告書、財務諸表、定款・役員等報酬規程、各事業所ごとの紹介、広報誌等をホームページにて開示して施設運営の透明性の確保に努めている。また、ユーチューブの動画を活用して具体的な取組みを紹介している。法人広報誌「みらい」は約300部発行し、利用者をはじめ市役所、関係機関、ネットワーク会議の際に配布して地域住民にわかりやすく伝える工夫をしている。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

税理士法人による外部会計監査を実施している。月次監査を実施し年度ごとの「法人資金収支計算書」をホームページに開示している。業務改善委員会を設置し、業務点検評価を実施し外部監査に備えている。事業所における事務、経理、取引等に関しては、法人の2名の監事による監事監査を実施している。毎年度の監事監査の助言を施設運営に活かしている。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

令和4年度事業報告書、令和5年度事業計画書に地域とのかかわりについて明文化している。活用できる社会資源や地域の情報を事業所の掲示板を活用して情報提供を行い、道灌祭り、市のスポーツ大会に参加し地域住民との交流を図っている。また、ボランティアの支援を受けて地域に事業所を紹介したりしている。利用者は、ポップコーンの販売等を通じて積極的に地域に出向き、事業所や利用者の理解を得るとともに地域から必要とされていることを感じ取っている。事業所は「こども110番」を掲げている。近所で遊んでいる子ども達がトイレを借りに来るなど地域に溶け込んでいることがうかがえる。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

令和5年度の事業計画に、「ボランティアを活用し地域社会に於ける福祉マンパワーの育成を図る」ことを明記している。「ボランティア受け入れマニュアル」を整備し、ボランティアの積極的活用を図っている。ポッフコーンの製造・販売が中学生等のボランティアへの関心を強めている状況があり、地元の中学校や社会福祉協議会からのボランティアを受入れている。特別支援学校からボランティア活動を通じて事業所のことを知り、見学や実習につながるケースが増えている。また、市内の中学校で福祉体験事業の講師として利用者も参加している。


【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

伊勢原市障がい者福祉事業所一覧を整備し関係機関との連携を図っている。「伊勢原市障がい者とくらしを考える協議会」に参加している。主任は、協議会の専門部会である「就労支援部会」の部会長を努め、障がい者の就労に関わる課題等に取組んでいる。共通の課題としてのコロナウイルスや地震等の災害対応、工賃向上について関係機関と連携し取り組んでいる。また、障がい者の就労支援の地域の相談窓口となり、地域をつなげるコーディネーター的な役割も担っている。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

地域の自治会、民生児童委員、ボランティア代表、社会福祉協議会、市役所、保護者会代表で構成される事業所の運営委員会を年2回開催して、運営や事業計画について協議を行う中で地域のニーズを把握している。ドリームに通いたい利用者ニーズに配慮し、地域からの求めに適切に応えることを特に大事にしている。また、福祉避難所の指定を受けており、要配慮者の受入れについて協定を結んでいる。近隣の河川が氾濫する危険がある時は自治会と協力して対応する協定書を締結している。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

ポップコーン販売では地域の会社や学校、幼稚園等から依頼を受けて出張販売を行い好評を得ている。市内小中学校からの依頼があり、福祉を学ぶ授業に利用者と職員が参加して講師を務め、施設や利用者のことを身近に感じてもらっている。また、「障がい者地域生活サポート事業」で通所サービスの体験受入を実施し、引きこもりの方が社会に出るきっかけを作っている。他には「こども110番」を引き受けたり、事業所のトイレを子どもから大人まで地域に開放したりしている。また、災害時の福祉避難所の指定を受けている。


評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の人権委員会、事業所の人権擁護委員会を設置し、虐待防止研修を開催し職員の人権意識の強化に努めている。人権に関する環境づくりにも力を入れており、人権目標を設定し啓発ポスターを掲示し、職員の注意を喚起して利用者の権利擁護に取り組んでいる。職員ハンドブックに法人理念の実践に向けた職員行動指針や価値観について明記し、利用者を尊重した福祉サービスについて職員に周知している。また、職員ハンドブックに「福祉職のチェックリスト(福祉をしようよ)」を掲載し、職員の職業的倫理やコミュニケーション、生活支援等に関する具体的なチェック項目を明示し、職員の人権意識の強化につとめている。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

地域作業所ドリームの運営規程に利用者のプライバシー保護について明記している。職員には入職時に周知している。利用者が安心して過ごせるように、更衣室には個別の鍵付きのロッカーを整備している。同性介助による排泄支援を行い、トイレのドアやカーテンの仕切などのプライバシーへの配慮がある。不調の際には、他と区切られた静養室が利用できる。また作業をしている場所は利用者の特性に応じて机の配置等の配慮がされている。「個人情報使用に係る同意書」「写真掲示掲載確認書」「重要事項説明書」等で利用者にもプライバシー保護に関して説明をしている。


【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

事業所のパンフレットは明るく見やすいデザインを取り入れている。伊勢原市と産業能率大学のインターンシップの学生と職員との協働により事業所紹介ビデオを制作し、事業所の活動が非常にわかりやすいビデオとなっている。ホームページやインスタグラムも事業所の発信ツールとして充実した内容となっている。インスタグラムでは日々の様子が随時更新され利用者自身もスマートフォンから確認をしている。利用希望者には事業所紹介ビデオを利用して丁寧に説明をしている。見学や実習には随時柔軟に対応し、場に慣れることが必要な場合には実習を複数回実施し、事業所の内容が理解しやすいように情報を提供している。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

サービスの利用開始時には利用者のやりたいことや興味のあることを聞き取っている。作業についても実際の作業を見学してもらったり、言葉の説明のほかに配慮が必要な場合には事業所紹介ビデオやパンフレットなどを利用して映像で説明をしている。サービスを変更する場合には変更希望の内容を聞き取り、個別支援計画に反映している。計画案として作成後は、利用者及び保護者に内容を確認し、同意を得たうえで正式な計画案として確定している。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所を変更する際は、相談室や行政、移行先と十分に連携し、きめ細やかな対応をおこなっている。相談については生活全般に渡ることが多い。他市等へ移行する場合や、介護が必要になってグループホームへ入所移行する場合など、相談内容に応じて次の福祉サービスの支援がスムーズに継続されるように配慮している。また一般就労し定着支援が終了している利用者でも、職場や家族からの相談がある場合は対応し必要な支援を行っている。定着支援記録にも丁寧な支援記録が確認され手厚いアフターフォロー体制がある。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

人権擁護委員会において毎年1回利用者満足度調査を実施している。アンケート形式で支援内容、個別支援計画、仕事や工賃、行事や活動、施設やプライバシー、苦情対応、その他自由意見の項目に分別されている。調査結果については、保護者会で報告している。また調査結果からあがった課題については人権養護委員会や安全対策会議で分析し改善策を検討している。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

「苦情解決対応規程」に基づき苦情解決体制を整備している。規程には苦情解決責任者、苦情対応窓口及び2名の第三者委員の設置を明記している。事業所の玄関に第三者委員等を明記した苦情解決のポスターを掲示し利用者・保護者に周知している。第三者委員は保護者会のほか事業所の行事にも来所してもらい、利用者・保護者にその存在をより周知し、また、利用者の様子に関しての理解を得るようにしている。玄関に苦情受付の意見箱を設置をしている。苦情内容や解決結果については利用者情報に配慮して保護者会などで報告している。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

職員は、意見箱や個々の利用者が所持している連絡ノート、メール等相談しやすい方法で、利用者が何でもいつでも相談できるように対応している。利用者はほとんどがスマートフォンを所持しているため、事業所の業務携帯にLINEで相談をしてくることが多く、都度職員が対応している。相談内容については、職員間で情報共有をして迅速に対応している。また直接相談がある場合には別室でプライバシーに配慮して対応する場合もある。事業所はアットホームな雰囲気があり、職員は利用者が意見を言いやすい対応を心がけている。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

利用者からの相談には丁寧に対応し、職員は情報共有を行って迅速な解決に努めている。毎年1回実施している利用者満足度調査においても「職員は丁寧に接してくれますか」「疑問や要望に対し速やかな回答や説明がありますか」といった設問にも高い満足度が示されている。自由意見には「職員に相談しやすい」「職員はわずかな変化でも気づいてくれる」といった意見がある。支援記録や安全対策会議録にある相談対応経過にも組織的に丁寧な対応をされているが、記録や報告の手順等を定めた相談対応マニュアルは整備されていない。今後マニュアル整備に取り組むことで一層のサービスの向上が望まれる。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

安全対策会議(リスクマネジメント会議)を月に1回開催している。事業所内の人権擁護委員会、防犯・防災委員会、安全管理委員会、業務改善委員会を設置し、委員会ごとの進捗状況を安全対策委員会で確認し、事業所全体のリスクや懸念事項について対策を講じている。「緊急時対応マニュアル」を整備し、病気や怪我、事故等による緊急時の対応手順をフローでわかりやすく明示し職員に周知している。また、「ヒヤリハット報告書」を作成し利用者の安心安全を確保のために様式の簡略化を図るなど、小さな気づきから挙げることができるような工夫を行い、また挙げられたヒヤリハットを分析し事故防止対策を講じている。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

防犯・防災委員会で感染症予防や蔓延防止対策を推進している。「新型コロナが発生したときの対策について」を作成し、 安全対策会議で具体策について情報共有を図り職員・利用者に周知している。玄関にサーマルカメラを設置し、手洗い・マスク・体調管理等事業所として管理体制を推進している。個々の利用者の「健康観察カード」を活用し体調管理に注意を払い、感染症の予防につとめている。ノロウイルスの予防や発生時の汚物処理等の職員研修は定期的に実施されていないので、毎年定期的に実施する対策が望まれる。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

「地域作業所ドリーム消防計画」を策定し、年4回の避難訓練を実施している。消防計画に自衛消防組織の編成及び任務等を明記し、また、事業所の近隣に河川があり浸水想定地域に指定されているため「地域作業所ドリーム非常災害対策計画」を策定し、行政や自治会・職員の連絡先を明記し職員に周知している。福祉避難所として伊勢原市と協定を締結しており地震発災時には警戒レベル3以上で伊勢原市から福祉避難所開設の要請がされ対応することとなっており、「福祉避難所マニュアル」を整備している。大規模災害発生時の事業継続計画(BCP)は今年度3月末までに整備予定である。災害時の備蓄については食料・応急資機材、医薬品がリスト化され災害発生に備えている。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:c】

職員は利用者の自己肯定感の向上をめざした支援に努めているが、提供する福祉サービスの標準化を推進する「生活支援マニュアル」は作成されていない。また、自閉傾向のある利用者や行動障害のある利用者等の個々の障害特性に配慮した支援の「手順書」の整備が望まれる。職員は、利用者の日々の支援における支援の状況をケースファイルに記録し、職員間の情報共有を図り、また、朝会で職員に伝えたりしているが、職員間の支援の統一性を図る上では十分ではない。「生活支援マニュアル」及び個々の障害特性に応じた支援の「手順書」の整備が期待される。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:c】

職員は、日々の生活支援については個別支援計画に沿った支援を心掛けており、個別支援計画の見直しに応じた支援に努め支援内容をケースファイルに記録している。しかし、「生活支援マニュアル」及び個々の障害特性に応じた「手順書」の整備ができておらず、標準的な実施のマニュアル整備が課題である。マニュアルを整備し、個別支援計画の見直し等の必要に応じて手順書等の見直しを行う取組みの整備が期待される。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画の見直しに合わせてアセスメントを実施している。サービス管理責任者が相談支援事業者作成のサービス等利用計画との整合を図り、個別支援計画の目標ごとの達成状況を評価し、個別支援計画の見直しを行っている。フェイスシートを参考にしているが、定型的なアセスメントシートシートとしては十分ではない。今後は、職種毎の特性に配慮したアセスメントシートを整備し、客観的な視点による利用者支援のニーズを把握し、支援課題を個別支援計画に反映する取組みが望まれる。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

就労継続支援B型事業は半年ごとに、就労移行支援は3か月ごとに個別支援計画の見直しを行い、利用者・家族の同意を得ている。見直しに際してモニタリングを実施し、個別支援計画の目標に沿って達成度を評価し次の計画に反映している。利用者の状況の変化に応じ緊急性がある時は随時見直しを実施し職員に周知している。個別支援計画は、本人の希望を尊重し、「〇〇で働きたい」「○〇クラブで活動したい」等本人のやりたいことを目標に設定し、個々の支援目標と支援内容を記述している。職員は個別支援計画の目標に沿って支援している。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画やケース記録、各種会議の会議録、及びフェイス記録や服薬等の個人情報の記録等が作成され、パソコン上で管理され職員間の情報共有を図っている。利用者の個人情報は変更点など毎年利用者・保護者に確認してもらっている。ケース記録は、月ごとに個々人の「支援記録」としてとりまとめている。職員は、支援記録の記述を確認し、支援計画に沿った支援が実践されていることや日中活動が利用者の希望に沿ったものであるか等を確認し、課題を記録し次の個別支援計画の見直しに反映している。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

「個人情報保護規程」「情報公開規程」を策定し個人情報の目的外利用を禁止し、個人情報漏洩の防止に努めている。利用契約時に利用者・保護者に対して「個人情報使用に係わる同意書」「写真掲示掲載確認書」の説明を行い承諾を得ている。また、「文書取り扱い規程」を整備し、文書の保管の期限等を明示し職員に周知している。パソコンのデータは、パスワード管理を行いデータの不正利用や漏洩防止に努めている。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業計画の基本姿勢に、障がいのある方が地域でその人らしく暮らし、社会参加と自己実現をめざした支援を行うことを明記している。職員は、個別支援計画策定時に利用者がどのように活動したいのかを聞き取り、その意思を尊重した計画を立てて支援している。就労を目指している利用者についてはハローワーク等も活用し、職員は本人が働きたいと思っている仕事先を探し、本人自身の自己決定が仕事につながるように支援している。
 日常的なことについては、利用者の普段の様子を観察し保護者と連絡ノートで情報共有を図り、本人の得意なことを活かせるようにしている。言葉でのコミュニケーションが苦手な利用者には、LINEを使って相互に連絡している。日中作業では、疲れて作業が長続きしない方など利用者それぞれの障害特性に配慮し、治具を工夫したり作業工程を簡略化するなどの合理的配慮を行うことで、利用者が作業に参加できるように支援している。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

「権利擁護・虐待防止対応規程」を策定し、虐待及び虐待に類する行為を具体的に明示し、虐待防止に向けた対応体制等について明示し職員に周知している。また、「権利保障から考える虐待防止の取組み」を作成し、虐待はなぜ起きるのか、また、虐待を防ぐための取組みについて等について明記している。法人の人権委員会が主体となり年度内に虐待防止研修を実施することが予定されている。人権擁護委員会を設置している。人権擁護委員会は毎月開催し、利用者の人権に関わる案件を議論し改善に向けた取組みを行っている。
 職員は権利侵害の防止と早期発見に努めている。多数の利用者がスマートフォンを所持しており、LINEを活用し利用者が何でも自身の思いを気づいたときに職員に知らせる仕組みが定着している。職員は、現場の職員の気づきに応じてカンファレンスを開催し、朝夕の会等で全職員に周知し、不適切行為の防止に努めている。また、法人内の相談事業所と連携し、利用者や家族等の利用者への権利侵害に関わる相談等について情報共有を図り、虐待等の早期発見に努めている。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の「その人らしい暮らし」を支援することを施設運営の基本にしている。職員は、見守りと促しを基本とし自分にできることは自分で行ってもらい、支援が必要な場合は迅速対応を心掛けている。個別支援計画は、「ここで働きたい」「体操クラブを楽しみたい」など、利用者の希望を尊重した目標を設定し、職員は利用者の生活の自立性の向上に向けた支援に力を入れている。
 自主製品製造や受注活動などの日中作業を行う時は、利用者は自分でホワイトボードを見てその日はどの作業を行うのかを確認し、次に別のホワイトボードを確認し自身の座席を確認している。ボールペンの組み立て等受注の納期や作業量の変化、経験を要する作業の担当など、職員は利用者特性や希望に応じて作業を配分し、利用者も臨機応変に自身の作業種目に対応している。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は、利用者の障がい特性に配慮したコミュニケーションの方法を工夫している。言葉でのやり取りが苦手な利用者は、筆談や所持しているスマートフォンのLINEのやりとりで情報共有を図っている。文字化することで利用者が自分の思いを伝えることができることがある。職員は業務用携帯で毎朝利用者からの受信情報を確認し利用者の思いの把握に努めている。職員は日中作業の座席の配置については、利用者同士の相性問題に注意している。自閉傾向の障害のある利用者に対しては、職員は利用者が他人のことを意識しなくても良いように座席の位置に配慮し、早めの声掛けやイラストで伝えたり、選びやすい選択肢の提示を心掛けている。
 作業が完成した時や材料が無くなった時は、利用者に必ず報告してもらっている。一般就労を目指している利用者には、職業準備訓練プログラムを実施して、正しい敬語の使いかたやビジネスマナーなど学べるようにしている。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は、利用者・家族からの相談に随時対応している。玄関に意見箱を設置し、また、電話や連絡ノートを用いたり、スマートフォンでLINE等を活用し、利用者や家族がいつでも、なんでも相談できる仕組みがある。また、面談に際しては和室や更衣室の利用を工夫し、利用者・家族が他人の目を気にしないように配慮している。相談件数は1日2~3件程度である。相談内容は「支援記録」に記録している。相談内容は、毎月開催している安全対策会議で検討し、相談内容のケースごとに対策を明確にして、会議の議事録に記載し職員に周知している。
 職員は、個別支援計画の見直しに応じて利用者面談を実施し、日中作業や就職等に関する利用者の思いや相談に応じ、利用者の意思決定を尊重した個別支援計画の作成に努めている。個別支援計画は、本人の希望を叶えるように支援することを目標としている。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

日中活動については利用者の希望を尊重し、個別支援計画に明記し日々の支援に努めている。就労継続支援B型事業は、自主製品事業のポップコーンの製造・販売、受注作業の鈴の組み立て、小型家電の解体等、施設外作業のパンの販売や倉庫の外構清掃作業等を行っている。ボップコーンの製造販売は、地域の10箇所以上の店舗等で販売しており、事業所の名物である。施設外作業は、新規の作業を開拓し、利用者の希望に応じ配置している。就労移行支援事業は、利用者の就職を目的とした「職業準備訓練」等を実施している。
 クラブ活動も活発である。現在合唱クラブ、家庭科クラブ、体操クラブ、写真クラブがあり、利用者全員がどれかに所属しており、毎月1回の活動日を楽しんでいる。写真クラブの作品が施設の掲示版に展示されている。職員は、利用者の希望を尊重しで日中活動の配属を支援し、それぞれが自分の思いを実現した「成功体験」を大切にした支援を推進している。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

グループ担当者や作業担当者が個々の利用者特性を把握し、職員会議で利用者状況を報告し、利用者の障がいによる行動の対応に関する情報共有を図っている。また、必要に応じてカンファレンスを開催し、個々の利用者支援の統一性を図っている。互に影響し合う利用者同士の対応については、同時に同じ作業を行わないように配慮し、視野に入らないような座席の配置を行っている。
 しかし、個々の利用者の障害特性に配慮した支援マニュアルや、特に注意を必要とする行動障害等に関する「手順書」等は整備されておらず今後の課題である。利用者の障害特性に応じた支援の専門性に裏付けされた支援マニュアルや手順書の整備が望まれる。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

フェイスシートを用いて利用者ごとの生活及び身体面の状況を把握し、食事や排泄、移乗などに関するアセスメントを実施し、支援ニーズを把握し個別支援計画に反映している。利用者の満足度調査を毎年1回実施している。食事のメニュー等に配慮し、献立は1か月間は同じメニューが出ないように工夫し、行事食や季節のメニューを提供している。食物アレルギーの調査を実施し、アレルギーによる事故防止に努めている。食事の形態は複数段階の刻み食、ひと口サイズ食等があり、スプーンやフォークを使用して食事がしやすいように支援を行っている。排泄支援は同性介助で実施し、体調により生活リズムが異なることに配慮し、支援経過を参考にしながら様子や状態の把握に努めている。移動・移乗支援では、筋力や注意力の乏しい方には送迎サービスや歩道の歩き方の支援等を行っている。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

コロナ禍では流行の時期によっては窓を開け放しにしていたこともあったが、現在は休憩時間での換気を実施している。アルコール消毒が不可の方には石鹸を使用している。事業所の衛生面は、職員と清掃員が毎日の清掃と、手が触れる箇所やテーブルの消毒を実施している。トイレは和式便器が残っていたが、全部温水洗浄便座に交換が終了している。照明は全部がLEDに交換され照度のばらつきがなくなり明るくなった。利用者が思い思いに過ごせるように静養室を活用して、座布団や毛布、布団を用意して心身の調子に合わせて活用している。年1回、満足度調査を実施し、職員は改善してほしい課題を把握しサービスの質の向上に取り組んでいる。避難訓練と防災訓練を年4回実施し、また、年2回の消防設備・非常通報装置の点検を実施し安全管理に努めている。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

フェイスシートは利用者の通所開始時に作成し、毎年見直しを行い変更を利用者・家族に確認し周知している。フェイスシートの項目の中に、「家庭面、外出時の行動、金銭管理、健康管理、挨拶等の社会面の記述」等があり、職員は生活訓練のニーズの把握に努めている。個別支援計画に利用者の希望に応じた生活訓練の目標を設定している。 
 日常生活上の訓練として、時計の見方、交通系ICカードやコンビニエンスストアでのキャッシュレス決裁、おつりの受け取り方、袋を購入するかどうかなどを行っている。行事等で外出した際は、エスカレーターに乗るタイミングや立ち位置、バスの乗り方、お土産の買い方、トイレの使用方法などの訓練を行っている。日常生活と社会参加を通じて自己実現が図れるように支援をしている。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

年1回11月に定期健康診断を実施している。また、インフルエンザワクチンや新型コロナワクチンの予防接種を実施し、毎月1回看護師による血圧・体重測定を行い、健康相談に応じ健康指導を実施している。また、日常的には健康観察カードや保護者ノート、ヒアリング、サーマルカメラ等で健康状態を確認し、利用者の健康状態の把握に努めている。 
 アセスメントをもとに利用者の状況に合わせた健康管理について個別支援計画に反映している。心臓の手術歴のある方等の記載がされており、健康診断で要検査の結果が出た場合など、施設長が個別に受診に向けたフォローをしている。体調変化時は原則は家族に連絡するが、緊急時は「緊急時対応マニュアル」「緊急時手順マニュアル」に沿って対応し医療機関と連携して支援している。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:非該当】

非該当

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所では利用者の希望を含めて様々な行事を年間通じて行っている。一例として遠足、バーベキュー、映画鑑賞、お祭り参加、みかん狩り、ボーリング大会、スポーツ大会、バザーなどがある。その他、4つのクラブを設け体操、合唱、家庭科、写真の各クラブが月1回活動を行っている。さらに利用者の希望によりガイドヘルパーを活用して温泉やボーリング、カラオケなどを利用し、コロナ禍以前は年145件に上り、現在でも月5件程度の利用回数がある。社会参加については、公共施設の利用や共同募金活動に参加したり、近隣小中学校での福祉体験授業で講師役を務めるなど行っている。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

当施設は通所型の多機能型事業所であり利用者の多くは地域の家庭で生活している。その中で家族の高齢化等の理由でグループホームに入居を希望する利用者がいる。地域の相談支援事業所と連携し、利用者のグループホームへの移行を支援している。移行に際しては家族の理解のもとにグループホーム体験利用を支援し、本人が安心して入居できるようにしている。
 また、ポップコーン等自主製品の販売や出張委託販売、物流倉庫清掃作業などの利用者の施設外作業を通して、社会と触れ合う体験の機会を提供し、利用者が地域住民と交流し活動することを支援している。職員は、利用者の地域での活動を通して一般就労への関心を養い、利用者が生活のベースを移す際は、公共機関の利用や相談支援事業所等の地域資源の情報を提供し、利用者が安心して地域での生活を送れるように支援している。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

年に2回定期的に保護者会を開催し、必要に応じて臨時保護者会も実施し事業報告や意見交換を行っている。また、日々の支援の中での気づき等については、連絡ノートやスマートフォンのLINEを活用し相互に連絡し、保護者とのコミュニケーションの維持に努めている。コロナ禍では保護者向けのLINEグループを設定し、緊急時を想定しタイムリーな通報体制を整備している。
 毎月保護者向けに広報誌「ドリーム通信」を発行している。昨年11月のドリーム通信には久しぶりに実施した川崎大師と羽田空港へのバス旅行での利用者の笑顔の写真や、施設外作業の状況等について掲載している。年3回発行している法人広報誌「みらい」にもポップコーンを通じた地域交流のこと、地域の小学校がポップコーンの製造現場の見学に施設を訪問したことなど、活動内容を紹介し保護者に伝えている。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

職業指導員、目標工賃達成指導員、就労支援員を配置し、利用者が持っている働く力を引き出す支援を行っている。就労継続支援B型事業では積極的に施設外作業を提供し、利用者が一般就労を目指す職場やスーパーでの販売の状況等を見学し、働くことのイメージ作りを支援している。就労移行支援事業では、企業見学や実習、職業準備訓練プログラムを実施している。障がい者就労・生活支援センターや特別支援学校と連携し、地域の障がい者の「働きたい」というニーズを感受することに努めている。職場見学、実習体験、事業所内での模擬面接や履歴書の書き方講座等のプログラムを整備している。
 伊勢原市が主催する「伊勢原市障がい者とくらしを考える協議会専門部会就労支援部会」に年4回主任が部会長として参加し、地域の企業、福祉事務所、関係機関と連携し、地域における障がい者の就労に関わる課題の把握、及び課題への取組みの方向性を検討している。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者がわかりやすいように作業工程を細分化し、また、個々の利用者特性に配慮した治具を工夫し、利用者が楽しんで作業ができるように支援している。また、様々な作業を提供し、作業環境の整備と安全を確保し、一日を通して利用者が作業に取り組めるようにしている。
 「地域作業所ドリーム就労継続支援B型・就労移行工賃支給規程」を作成し、工賃支払額の計算や支給の方法を明示している。目標工賃達成指導員を配置している。「令和5年度工賃向上計画」を策定し、工賃向上に向けた具体的な方策を明記している。令和元年度利用者の平均工賃は7,947円であったが、令和4年度は15,249円と倍増の実績を達成していることが事業報告に明記されている。
 ポップコーンの製造では保健所の菓子製造業の許可を得て、食品衛生責任者を設置し、食品衛生責任者講習を受講している。製造に関しては衛生管理制度HACCPを適用し、食品の衛生管理に努めている。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は、利用者の就労意欲を確認し企業見学、企業実習を実施し、障がい者合同就職面接会に参加したりハローワークとの連携等を通して就職に繋げている。就労移行支援等の利用を経て一般就労し6か月を経過した利用者を対象に、3年間の就労定着支援事業を行っている。随時利用者の面談に応じ、就労や生活面の相談に応じている。利用者の就職後半年間は毎月職員が職場を訪問し、職場の利用者への理解と本人が早く職場の雰囲気に慣れるように職場の人との関係づくりに向けた支援を行っている。
 令和4年度は合計延べ58名の利用者定着支援を行っている。就労に伴って生じる職場・生活場面の課題解決に向けた相談・助言、企業・障がい福祉サービス事業者、医療機関等と適宜連絡をとり職場定着のサポートを実施している。