社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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大船ルーテル保育園

2025年04月16日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 大船ルーテル保育園 評価対象サービス 2024~ 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 190(162) 名
所在地 〒247-0007
横浜市栄区小菅ヶ谷2-26-3
TEL 045-892-2366 ホームページ https://ikusosu.jp/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1967年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 イクソス会
職員数
常勤職員:32 名
非常勤職員:29 名
専門職員
保育士:43 名
看護師:1 名
管理栄養士:2 名
栄養士:1 名
調理師:1 名
施設・設備の概要
居室:0歳児室
居室:1歳児室
居室:2歳児室
居室 :3~5歳児室
居室:学童保育室
設備:調理室
設備:給食室
設備:会議室・図書コーナー
設備:沐浴室
設備:調乳室
設備:静養室
設備:事務室
設備:お昼寝室
設備:職員ロッカー室
設備:屋上遊び場
設備:教会堂
設備:乳児用トイレ
設備:幼児用トイレ
設備:園庭

③ 理念・基本方針
<理念>
◎人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなた方も人にしなさい
児童福祉法とキリスト教に基づき、保育に欠ける全ての子どもにとって、最もふさわしい生活の場を保証し、愛護すると共に、最善の利益を図り、保護者と共にその福祉を積極的に増進する。

<基本方針>
●保育に関わる専門職同士が協力し合い、養護と教育の一体的な展開を図り保育の質を高め、充実させる
●子どもの主体的な発達要求に応答する環境を整え、自ら興味・関心を持って環境に関わり、チャレンジしたことへの充実感や満足感を味わうことにより、年齢なりの心情、意欲、態度を養う
●一人ひとりの子どもがくつろいで共に過ごして、心身の疲れが癒されるようにする
●子どもの24時間の生活を視野に入れ、家庭との連携を密にして、積極的に子どもの発達過程に応じた育ちを築き、保護者の共感を得て養育力の向上を支援しつつ、エンパワメントを引き出していく
●子どもが育つ道筋や、生涯教育を見据えた長期的視野を持って後伸びの力をつけ、小学校と情報交換したり交流を密にして積極的に連携していく

④ 施設・事業所の特徴的な取組
<大船ルーテル保育園の特徴的な取組>
1.「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」という法人の理念を中心に据えた保育
2.キリスト教保育 心を伝える保育
3.モンテッソーリ教育 一人一人の個性を尊重する保育
4.子どもの人権を尊重したより良い保育
5.園内外での研修の機会を積極的に持ち、職員個人のキャリアアップを図る

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2024/09/20(契約日) ~2025/04/07(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 3 回(2019年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 【大船ルーテル保育園の概要】 
●大船ルーテル保育園(以下「園」という。)は、JR「大船駅」の北東約2㎞、同駅東口から江ノ電バス「戸塚駅行」約10分、「小菅ヶ谷町」下車徒歩3分程度の住宅地の中にあります。隣接地に「西本郷小学校」、近隣に「西本郷中学校」が存在すると共に、「いたち川遊歩道」や、「飯島南公園」等の公園や緑地があり、恵まれた環境の中に位置しています。

●園の経営主体は、社会福祉法人イクソス会(以下、法人という。)であり、法人の施設は、キリスト教を基に運営しています。法人は、横浜市に4園、川崎市に2園の認可保育所、子育て支援センター、学童保育(当園敷地内)を展開しています。当園は「大船ルーテル教会」を併設し、主日礼拝式、教会学校等を開催し、法人本部も当園の中にあります。法人全体で、キリスト教の教えを中心にして、神が私たちを愛してくださっているように、私たちも隣人を愛していくことを日々行うことに努め、保育に当たっています。

●園の定員は、0歳~5歳児までの合計190名です。標準保育時間は午前7時30から午後6時30分までの11時間とし、延長保育、障害児保育、乳児保育、産休明け保育、一時保育を受け入れています。なお、園舎本館3階に学童保育室があり、相互交流が図られています。

◇特長や今後期待される点
⦅特長や評価できる点⦆
1.【誕生から学齢期までの一貫保育の取組】
当園では、ユネスコが初めて提唱した「生涯教育」を念頭に、「誕生から学齢期までの一貫保育」を意図した保育を行っています。これは、近年成立した「子ども子育て支援法」の理念を先取りする取組として高く評価できます。その中でも、初めて家庭の外の生活を経験する0歳児の養育と、「保育所保育指針」が目標とする「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の完成と小学校への準備の時期に当たる5歳児の養育を、特に大切にして取組んでいます。0歳児は、初めての集団生活で、大きな不安感を抱きながらの園生活に向かう、精神的・体力的に不安定な時期です。そのため、0歳児には手厚い養育体制を講じています。初期に担当制を取り入れて、同じ保育者が毎日関わることで、子どもの安心感や信頼感を育み、愛着関係の醸成を図っています。保育時間も0歳児クラスは標準時間内で行い、看護師を配置し、乳児の体調管理に万全を期しています。また、5歳児の保育では、特に、小学校へのつなぎを重視して、「全体的な計画」に、「小学校との連携」を位置付け、生活習慣の確立や自立心・協同性等の資質や能力を育むと共に、小学校に進学する心の準備のための時間を日常保育生活の中で計画的に設けています。法人のアプローチカリキュラムに沿った園生活や小学校との交流が図られています。園生活では、外部講師による、国際の時間(体で学ぶ英語)、リトミックの時間、絵画の時間、ダンスの時間が3歳児から用意されると共に、5歳児の3学期以降は小学校生活のリズム移行のため午睡の時間や回数を減らして体を慣らし、卒園行事が種々企画され、園児の進学意識の醸成が図られています。保護者に対しては、年度後半の保護者懇談会や、保護者面談等を活用して、小学校入学準備に関わる相談や情報提供を行っています。

2.【集中と挑戦による自己育成】
園では、保育の第2の柱に「キリスト教保育」を、第3の柱に「モンテッソーリ教育」を位置付け、第1の柱の「全体的な計画」と共に、3本の柱をもって法人・園独自の保育を進めています。キリスト教保育は、「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」という、有名なキリストの愛の言葉を、保育の中で体現しています。モンテッソーリ教育は、子どもの集中現象に着目し、それを発展させていこうとするもので、保育室に備えられた各種の教具を園児が自由に選択してそれに触れることを通して、幼児の持つ自発的で独創的な関心を引き出し、自己育成を促しています。保育者は、アドバイザーとして、幼児のそばにいて、幼児の関心が教具に向けられるように環境作りを行います。園では、0歳児後半から五感を使った感覚教育のための教具等に触れることができるように環境を整えていますが、特に3・4・5歳児の部屋は、作業の組織化(段階的な学び)が図られ、システム的に教具が準備されています。貼る・切る・縫う・タオルを絞る・拭く・洗濯や掃除等の日常生活訓練教具、移動五十音、綴り字法等の言語教具、演算子計算、十進法等の数教具、地球儀や国旗、図鑑等の地理教具等、一定の時間、子どもたちが自分で教具を選び、集中し、さらに高度な教具に取組むことにより、自然に能力開発が行われています。また、教具と併せて、自然や音楽に触れる体験や、リズム遊び、体操等を通して感性や体力を育む保育を複合することで、生活習慣の確立が図られています。今回の第三者評価における利用者(保護者)アンケートでは、「モンテッソーリ教育の成果を強く感じる(集中力・発話や言語化能力、巧緻性)」等、モンテッソーリ教育を評価する意見が多数寄せられています。

3.【法人・園独自の人材育成】
法人では、人材の確保・定着と、保育の質の向上に向けて、研修とマニュアル、自己評価、OJTを複合した保育者育成に戦略的に取組んでいます。法人・園の特長的な取組として、「個人研修計画・評価シート」による園長面接が行われています。個人研修計画・評価シートには、冒頭に「今年度の研修目標」として、園の目標、法人の目標が明記されています。職員は、年度の研修課題や課題達成のための具体的な研修計画を記載して、年度末に取組の評価を行います。また、キャリアパス研修について、対象者(経験年数、職)ごとに必要な研修を明記して終了状況を把握しています。職員研修は、上から指定を受けるのではなく、職員が自ら個人の研修計画を立てて自主的に受講する独自の形式を有しています。園長は、年度初めに目標設定等について職員に伝え、年度末面接では振り返りと次年度以降の課題設定等にアドバイスを行う等、職員個々の資質向上に向けて意欲的に取組んでいます。

4.【業務改善に向けた組織的な取組】
業務改善に向けた法人の独自のシステムとして、「より良い保育を考える会」の取組が挙げられます。これは、各園の各クラス2名以上の職員が、室長(クラスリーダー)と保育の質の向上や業務の実効性を高めるためのアイデアを考え、アイデアを各園の室長がリモートで話し合う機会で、年3回実施され、同会で採択されたアイデアは、保育方法や手順、働きやすい職場作り等に反映されています。また、園長は、経営改善や業務の実効性を高めるため、主任や室長と日常的にミーティングの機会を設け、保育の質の向上や働きやすい職場作りに向けて、意欲的に取組を進めています。特に、経営改善の面では、職員の加配加算による収入増や、派遣職員の削減等に取組み、成果を上げています。

⦅今後期待される点⦆
1.【園舎の建て替えに向けた計画的な取組への期待】
園舎本館は築50年が経過し、毎年多額の修繕を要する状態になっています。また、建物の中央部に階段があり、回遊性の問題があること、身体障害児の受入れ設備整備の必要があると認められること等から、建て替えが望まれるところです。一方、建て替えには多額の費用を要するため、建て替えに向けた計画的な取組が必要です。今後共、定員の確保や保育職員加配加算の取得等の収入増に努めると共に、資金積立てや行政の助成制度活用等、施設の建て替えに向けて、法人と協働での計画的な取組が期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
施設名 大船ルーテル保育園          
              
≪第三者評価を受審した感想・自己評価での取組の感想≫
園長・主任・各室長、そして職員一人ひとりが話し合う事により、自分自身の振り返りの時が与えられ、とても良い機会になりました。

≪評価後取組んだこととして≫
1.地域に対しての関わりが、コロナ禍により消極的になっているので、地域支援の見直しを検討。

2.アンケートより保護者の声を聞き、保育の見直しへつなげる。

詳細評価PDF 詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

法人・園の理念には、「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなた方も人にしなさい」という聖書の隣人愛が分りやすい言葉で表現されています。園に集う子どもたち、保護者、保育者が相互に尊重しながら、愛情を持って関わる姿勢として、職員は、理念を日常の保育の中で常に意識して取組んでいます。理念は、法人のホームページや、園の手引書(重要事項説明書)等に掲載されると共に、保育室内に掲示されています。保護者には、入園時に園の手引書(重要事項説明書)で説明すると共に、子どもたちにも分かりやすく説明して理解を図っています。利用者(保護者)アンケートでの、「基本方針・保育目標」を「知っている」の割合が、「まあ知っている」を含めると81%と、浸透していることが覗われました。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

園長は、横浜市の連絡会議や、栄区の保育園長会等で、国や横浜市の行政施策や地域の福祉計画の動向を把握しています。また、園長は法人の役員として理事会や評議員会に出席することにより、法人の運営方針や経営環境、他園の状況等、経営環境の把握や経営情報を入手しています。さらに園長は行政のホームページや研修等からも情報を入手、分析して地域の利用者ニーズの把握に努めています。職員に伝達すべき情報は、園長が整理して、園長・主任と各クラスの室長で構成する室長会を通じて、職員に周知しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

園では、経営課題を人材の確保と育成と捉えています。人材の確保と共に特に次期幹部職員の育成を法人全体の課題として取組んでいます。園では人材の確保に向けて、休憩時間の延長や休憩場所の配置等、職場環境の改善に努めると共に、主任が現場に入りスーパーバイズを行うことにより次世代の幹部候補生の育成に努めています。また、子どもが定員を下回る、障害を持つ子どもが増加する一方、療育認定が進まない、築50年を超える建物の老朽化による修繕費の増嵩等の経営課題が生じています。園長は、室長会議や、職員会議でこうした課題を職員に伝えると共に、派遣職員の削減や、保育職員加配加算取得等の経営の改善に取組んでいます。今後とも、収入増に向けた保育職員加配加算等の取得に一層努め、人件費比率を逓減させると共に、施設の建て替えに向けて、法人と協働での計画的な資金積立てを行う等、サービス水準の維持を図りつつ、収支バランスの改善に取組まれることが望まれます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

法人では、令和6年度に中期目標として、「各保育園で『より良い保育を考える会』を立ち上げる」、「各保育園で次期幹部職員、園長について候補を考える」、「事務職員の会議の時間を持つ」、「全園長会の開催(学期に1回)」、「礼拝出席、聖書日課からの学びによって、自己研鑽をする」の5本の柱を掲げて取組んでいます。中期の目標は、中・長期計画というよりは、継続的に園が目指すべきビジョン(目標)と捉えることが適当と認められます。中・長期目標は、策定時に職員に周知すると共に、12月の職員との面接で確認を行っています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

毎年度、事業計画を定めています。事業計画は、中期目標を直接受けて作成されているものではありませんが、園の手引書(重要事項説明書)に、「保育」、「子育て支援事業」、「保健衛生」、「災害対策」等の項目を設けて、それぞれの取組内容が詳細に記載されています。事業計画内容は定型的ですが、毎年、手引書の見直しが行われています。また、「教育及び保育の内容に関する全体的な計画(以下、「全体的な計画」という。)を策定しています。さらに、年間行事計画表を作成し、行事の担当を決めて実施すると共に、年間保健計画、年間食育計画、非常災害対策訓練年間計画等を策定しています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

園の手引書(重要事項説明書)に記載された事業計画は、定型的な内容で継続的に取組まれているものですので、毎年度の達成内容が明確に把握されるものではありません。事業計画は、手引書が職員に配付され周知が図られています。また、「全体的な計画」には、保育理念、保育方針、保育目標を始め、0歳児から5歳児までの子どもそれぞれの保育目標、保育のねらい、食育、地域交流等、保育所保育指針が求める内容が、適切に策定されています。全体的な計画の下、クラスごとの年間指導計画、月間指導計画、週間指導計画が策定され、期末ごとにクラスの職員で振り返りを行い、次の計画に反映しています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

事業計画は、園の手引書(重要事項説明書)に記載され、入園時に保護者へ配付・説明されることにより、保護者に周知されています。また、年度末の保護者懇談会で、次年度の体制や、保育の取組方針や行事計画を説明しています。さらに、毎月の園だよりや、保健だより、給食だより、クラスだよりで、次月の保育の取組や行事等を周知しています。利用者(保護者)アンケートでの「年間指導計画・行事計画」の認知度は、まあ知っているを含めて「知っている」が88%と周知が図られています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

保育の実施状況を毎日クラスの職員間で話し合いを行い、情報共有と振り返りが行われています。年間指導計画は四半期ごとに、月間指導計画・週間指導計画は毎月、それぞれクラスミーティングを行い、振り返りが行われています。行事の実施後の反省・評価を、全職員で確認・協議し振り返りを行うことにより、内容の改善を図っています。また、毎年自己評価を行い、年度の振り返りと、次年度以降に向けた課題や改善点を話し合うと共に、第三者評価を定期的に受審する等、保育の質の振り返りを継続的に行っています。さらに、利用者アンケートを毎年実施しています。自己評価や第三者評価結果、利用者アンケート結果は、次年度の園の事業計画や、研修計画に反映させています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画を始め、保育に関する年間・月間・週間指導計画については、各計画の実施後に反省・振り返りを行い、課題を示し、職員ミーティングで共有・評価して、評価結果に基づいて次期の計画を改善するPDCAサイクルの仕組みがあります。職員が保育や資質向上の目標を定めて園長との面接を通じて保育のレベルアップを図る仕組み、行事ごとの改善策の検討、園の自己評価等を通じた改善策の実施等、職員が保育の実践課題を意識し、改善に取組む風土作りが園長のリーダーシップの下、組織的に行われています。また、保護者に向けて、毎年利用者アンケートを実施し、その結果や改善策を園内に掲示すると共に、職員に周知・共有し、日常の保育の実践内容の改善に活用されています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

園長は、事務分担表の中に、園全体の運営管理、職員の管理指導を位置付け、自らの内部管理の責任を明確化しています。行政、関係機関・団体、保護者、業者との交渉・連絡・調整等の対外的な責任を表明し担っています。さらに年度当初の職員会議で、運営方針や保育方針を伝え職員との共有を図ると共に、給食会議や、保健会議、行事会議に積極的に参加して現状の把握に努め、指示やアドバイスを行っています。保護者には園だより(お知らせ)や保護者懇談会等で園の保育の方針等を伝えています。また、法人が発行する月報に、各園長の所信や運営方針等を表明しています。園長不在時には、事務分担表で主任に権限を委任すると共に、災害や事故等における園長の役割と責任については、消防・防災計画や、自然災害時の事業継続計画(BCP)に明記されています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

園長は、横浜市や栄区のネット配信や、厚労省のホームページ、新聞情報等あらゆるツールを通じて、法律や制度の変更、働き方改革、福祉従事職員の処遇改善、不適切保育事例等の情報を収集し、職員会議等により職員に伝達しています。また、横浜市のネット配信は、全ての職員が閲覧できる環境となっています。また、税理士等の法人が委嘱する専門家からの法令改正等の情報は、即時に法人を経由して各園に伝えられています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

法人・園の取組として、「個人研修計画・評価シート」による園長面接が行われています。個人研修計画・評価シートには、冒頭に「今年度の研修目標」として、園の目標、法人の目標が明記されています。職員は、年度の研修課題や課題達成のための具体的な研修参加を記載して、年度末に取組の評価を行います。また、キャリアパス研修について、対象者(経験年数、職)ごとに必要な研修を明記して終了状況を把握しています。さらに、園長は、年度初めに「目標管理シート」による目標設定等について、面接により職員ヒアリングやアドバイスを行うと共に、年度末の面接により、取組の振り返りと、次年度以降の課題設定等にアドバイスを行う等、職員個々の資質向上に向けて意欲的に取組んでいます。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

業務改善に向けた法人の取組として、「より良い保育を考える会」の取組があげられます。これは、各園の職員が、室長(クラスリーダー)と保育の質の向上や業務の実効性を高めるためのアイデアを考え、アイデアを各園の室長がリモートで話し合う機会で、「より良い保育を考える会」で採択されたアイデアは、保育方法や手順、働きやすい職場作り等に反映されています。また園長は、主任や室長と協働して、保育職員加配加算取得等の経営の改善に取組んでいます。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

職員の確保・定着に向けた取組は、法人・園一体となって組織的に行われています。法人では、正規職員の確保に向けて、ホームページに「採用サイト」を設置し、就職情報提供や就職希望者からの問い合わせ対応を行っています。園では、職員の定着に向けて、各クラスにパート職員を多く配置する体制を講じると共に複数のフリーの職員を活用して、職員の負担軽減を図っています。また、実習生の受入れに力を入れ、実習生がアルバイトを経て入職する促しを図っています。新任職員のOJTにも力を入れています。また、育児後の保育士の職場復帰を促しており、園でも育児後に復帰した職員が多数勤務しています。こうした取組により、平均在職年数が16年と長く、職員の定着が図られているものと認められます。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

期待する職員像については、「職員心得」の「法人の基本精神」の中に、「服務の基本精神」、「服務心得」が明記されています。人事考課基準については、キャリアアップ基準表はありますが、職位ごとの職責・能力・職務内容・必要資格等の具体化が求められます。人事考課については、保育姿勢や資質向上の取組、自己評価等が記載された「個人研修計画・評価シート」や「自己評価シート」の達成状況が、室長等直属の上司、主任、園長、理事長により確認・評価され、反映されています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

園では、各クラスにベテランのパート職員を手厚く配置する体制を講じて、職員が働きやすいシフト管理を行う等の取組により、職員の平均在職年数が16年と定着率が高く、働きやすい職場作りが行われているものと認められます。看護師が衛生管理者となり、職員のメンタルチェックや、産業医の所見の下に職員の健康管理のアドバイスを行っています。ワーク・ライフ・バランスが重視され、勤務のローテーションの中で休暇の配慮がなされています。また、新採用職員に入職初年度に10日間の有給休暇が与えられることをはじめ、職員には、介護休暇や看護休暇が最長10日まで付与されています。福利厚生制度については、退職金制度や各種社会保険制度に加えて、「ハマふれんど」に加入することにより、慶弔給付や福利厚生施設の利用等が行われています。さらに法人独自の制度として、自宅保有者家賃補助制度や、資格取得費用貸与(資格取得後は昇給等の対応)制度等があり、福利厚生が比較的充実しています。また、業務システムの導入により、事務処理等の負担軽減が図られています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

期待する職員像は、【15】に記載の通り、「職員心得」に明記されています。職員の資質向上への組織的な取組として、【12】に記載の「個人研修計画・評価シート」を用いた職員の自己啓発の取組が、毎年行われています。また、当該シートには、経験年数や職階ごとに求められるキャリアパス研修が記載され、職員の履修状況が併せて把握されますので、職員自らの研修計画の作成にも活用されています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

法人では、人材の確保・定着と、保育の質の向上に向けて、研修とマニュアル、自己評価、OJTを複合した保育者育成に戦略的に取組んでいます。研修では、「個人研修計画・評価シート」を活用した個人別研修計画により、横浜市や栄区、神奈川県、県・市社会福祉協議会・保育士会等が行う、新採用職員研修、階層別研修、職種別研修、スキルアップ研修等の受講を、職員本人のニーズを踏まえながら積極的に促しています。また、業務の各場面を想定した多岐に亘るマニュアル集が用意されています。マニュアル集は、子どもの権利擁護等に関する「法関連」、ケガや事故の予防・対応等の「危機管理」、日常の保育手順等の「保育関連」、施設の衛生管理等「施設関連」、実習生の受入れ等「他」の各編にまとめられ職員の業務支援が図られています。自己評価は、法人独自の「自己評価シート」が活用されています。OJTは新任職員に対して、ベテラン職員が付いて全クラスを経験させると共に、保育の全ての業務の習熟度を評価した後、担当業務に配置しています。さらに、法人独自の研修として、キリスト教研修や「より良い保育を考える会」の研究発表会、施設間交流研修が行われています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

職員の毎年の研修の受講状況が管理され、職場内で研修に参加できる体制を作ることにより、キャリアアップ研修をはじめ、各種研修への参加の機会が確保されています。園では、非常勤職員に経験豊富な職員が多く、常勤職員と同等の貴重な人財となっていますので、非常勤職員も極力研修が受けられるようシフトを考慮しています。また、職員会議での研修報告や研修報告書の回覧、オンライン研修や動画研修等、種々の方法を工夫して常勤職員のみならず、非常勤職員の受講促進が図られています。また、新採用職員や中途採用職員には、ベテラン職員とシフトを組むことによるOJTや、業務マニュアル等の活用等により、保育の質の確保・向上に向けた取組が進められています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

実習生については、マニュアル集の「他」編に「実習生の受入れ」を位置付け、福祉人材の育成への貢献に加えて、人材確保の機会と捉え、法人・園一体となって積極的に受入れています。モンテッソーリ教育を保育の柱に位置付けている園の特長もあり、保育士の養成校のみならず、学生からの直接の申込みもあります。園では、実習生の受入れ体制を整え、毎年15名~20名程度の保育実習を受入れています。実習プログラムは、保育士養成校の希望を踏まえながら、モンテッソーリ教育を組み込んで作成します。実習は、モンテッソーリ教育と保育を、それぞれ担当を決めて実施しています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

全国社会福祉協議会のWAMNET(福祉・保健・医療情報)に法人の現況報告書及び計算書類が掲載されています。法人のホームページでは、理事長あいさつや、モンテッソーリ教育・キリスト教保育に基づく保育理念、各施設の代表や、沿革、苦情解決システム等の法人概要、収支計算書等の公開情報、費用や行事・アクセス等の保育所案内、求人案内、お問い合わせ等の情報が掲載されています。理事長あいさつや保育理念は簡潔で分かりやすく記載されています。一方、法人の公開情報は、令和元年の資金収支と平成30年度の当初予算が掲載されているのみです。情報の更新と、定款や、評議員・役員名簿、組織図、事業計画や事業報告、第三者評価結果等、運営に関する公開情報の充実が望まれます。また、園では、地域の住民が見ることのできる屋外の掲示板設置や、活動等の案内の配布は行っていません。園の行事や地域の子育てに関する情報を、保護者や地域住民に周知するための掲示板の設置等、情報提供ツールの多様化が図られると良いでしょう。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

就業規則や、経理規程、職務権限規程の他、分掌事務や、文書管理、保育管理等が規定された管理規程、職員心得等が整備され、これらの規定や手続、手順によって適正な業務執行がなされています。また、法人事務会議が年2回開催され、事務処理の適正化が図られています。予算の執行権限は、人件費・事務費・事業費等の全ての科目について、園に委任されています。会計は毎月出納帳を会計事務所に提出して、会計事務所により各計算書類に整理される過程で、科目の誤りや、不適切な会計処理がされていないか等のチェックや指導が行われています。さらに、会計士が年1回、全園を巡回して、専門的見地からの指導を行っています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもたちと地域との交流については、全体的な計画に、「地球上のありとあらゆる生命、自然や社会の事象にふれて興味や関心を育てる」と明記すると共に、園の手引書(重要事項説明書)の年間行事にも位置付けて、積極的に取組んでいます。公園、緑地、川沿いの緑道等の自然にも恵まれて、子どもたちがこうした地域資源に触れやすい環境を有しています。日常の保育では外出を多く取り入れ、散歩やバギー車で近隣の公園や緑道に出掛ける中で、四季の自然に触れ合うと共に、地域の子どもたちや住民との交流を図っています。近隣の農家の協力を得て、秋には芋ほりを行事として行っています。さらに、春の花の日や秋の収穫祭には、消防署や警察署、ほほえみサロン(老人クラブ)等に園児が手分けして、花や果物を持って訪問しています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

ボランティアについては、マニュアル集の「他」の編に、ボランティアの受入れを位置付け、積極的な受入れを図っています。毎年、近隣の2・3の中学校から15名~20名程度の職業体験を受入れています。また、大学1校から大学生のインターンシップを受け入れています。園内の菜園の手入れにボランティアが携わっています。ボランティアの受入れに当たっては、受入れ前にオリエンテーションを行い、個人情報保護等に関わる注意事項等を説明しています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

区保健所、地域療育センター、児童相談所、医療機関を始め、栄区や横浜市の担当課、区内の子どもの支援機関・施設等の関係機関のリストを整備すると共に、緊急連絡先リストを備え、常に連携が図れる体制が構築されています。近年、支援に配慮を要する子どもが増えているため、療育機関とは定期的に連絡し、常に支援やアドバイスが得られる関係作りに努めています。また、被虐待児の早期発見や保護の取組については、児童相談所や区保健所等から照会があった場合は、専用のノートに記録して子どもや保護者の観察を行う等、関係機関と連携できる体制が図られています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

見学時の説明や保育相談を行う中で、保護者のニーズを把握しています。一時保育を受入れ、地域の子育て家庭の保護者への育児相談を行っています。また、栄区の子育て支援拠点「にこりんく」が発行する「にこりんく通信」に園の事業を掲載し、相談等の問合せに対応しています。自治会や民生・児童委員とも交流が図られており、地域の福祉ニーズを聞く機会となっています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

園では、全体的な計画に「地域に開かれた育児文化の拠点としての役割を果たす」と明記して、保育相談や一時保育等、地域の子育て支援に取組んでいます。さらに春の花の日、秋の収穫祭、クリスマス等には、ほほえみサロン(老人クラブ)等を訪問して、高齢者の方々に喜ばれています。ほほえみサロンや地域の団体に多目的室を開放すると共に、子ども食堂への食品の提供や、園のバスを地域ケアプラザに無償貸し出しを行う等、地域の福祉活動への支援を行っています。防災協力についての明記はありませんが、災害時は、園児・保護者や、近隣住民の避難場所として、地域貢献を図ることも想定しています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「人にしてもらいたいと思うことは、あなたがたも人にしなさい」との隣人愛を基本理念として、一人ひとりの子どもを、愛情を持って見つめ、子どもの気持ちに寄り添うことにより、意欲と思いやりを持ち、好奇心溢れる元気な子どもを育てることを法人・園のモットーとして、職員の共通の理解の下、子どもの養育・支援に取組んでいます。また、マニュアル集の「法関連」の編に、「子どもの権利擁護(含虐待防止)」を位置付けて、子どもを尊重した保育の徹底を図っています。さらに、モンテッソーリ教育を取り入れ、幼児が自ら考え、創造性を養い、与えられた場所で最も適切に対処できる人に育てる、子ども個々の意思を尊重した「個別指導」に取組んでいます。毎年、「子どもの人権を尊重するチェックリスト」を活用することにより、子どもの関わり方の振り返りを行っています。人権に関する子どもの理解促進については、人種や文化の違い等について分かりやすく伝えています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:b】

マニュアル集の「法関連」の編では、プライバシー保護に関するマニュアルはありませんが、個人情報保護が位置付けられ、個人情報の取り扱いが具体的に記載されています。職員の入職時や子どもの入園時に個人情報の取り扱いについて職員・保護者に説明を行い、職員から誓約書、保護者から個人情報保護に関する承諾書や個人情報使用同意書を徴取しています。また、健診や着替えのため衝立を設置して、子どもたちのプライバシーに配慮した支援を行っています。動画やブログ使用時は顔・名前が特定できないよう配慮すると共に、保護者には行事等での写真・動画の適切な取り扱いについて、園のたよりやその都度のお願いにより周知しています。子どもの生活スペースは間仕切り等で簡単に区分できるようにされており、子どもが一人になりたい時に、ゆっくりと一人で過ごすことができるように配慮されています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

法人のホームページに、理事長あいさつや、保育理念、キリスト教保育、モンテッソーリ教育、保育所案内等を掲載して、法人・園の特色等を分かりやすく情報提供しています。一方、法人情報については、公開情報が更新されていないことや、情報提供内容が乏しいことが惜しまれます。また、各園の情報は、必要な事項は全て掲載されていますが、掲載方法が主に表形式で堅いイメージを与えています。イラストや、写真等を用いたブログ等を活用して、明るいイメージを発信すると良いかと思われます。なお、法人のホームページの求人案内には問い合わせのフォームが設けられていますが、ホームページ全体に関する問い合わせや園見学の予約ができる等の利便性が図られると尚良いでしょう。園では、秋に入園説明会を設け、園見学に随時対応しています。入園説明会や見学時には、保育の内容や特色について丁寧に説明するとともに、質疑応答の時間を設けて利用希望者の理解とニーズの把握に努めています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

保育の開始に当たっては、園の手引書(重要事項説明書)や写真等を用いて、保育内容を分かりやすく説明し、質問にも丁寧に答えた上で、同意を得て、書面に残しています。また、クラスごとの懇談会を行い、各クラスの保育内容やお知らせ等の保育情報の提供と共に、保育者と保護者の意見交換を行っています。特に支援を要する子どもについては、職員の加配について説明しています。保育内容の変更については、近年の異常気象により運動会を秋から春に変更した事例があります。これらの変更は園だよりや、年度末の保護者懇談会を活用して保護者に伝えています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

栄区内の他の保育所に転園する際は、他園等の要請に応じて栄区役所と連携した対応を図っています。幼稚園への転園の場合や横浜市認定保育園以外の保育園への転園の場合は、園長が窓口となって問い合わせ等に対応すると共に、保護者の同意があれば転園先への必要な情報の提供を行うこととしています。転園や卒園等で園の利用が終了した後の保護者からの問い合わせがあれば、園長や主任・クラスの室長が対応する体制はありますが、特に文書で相談窓口等を保護者に明示することまではしていません。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

日々の保育の中で、子どもを受容し、主体的な行動を促すと共に、応答的な対応に心がけています。
毎年利用者アンケート調査を実施し、回収後、室長会議で集計・分析を行い、改善策を講じると共に、アンケート結果を玄関に掲示しています。また、保護者会はありませんが、保護者との個人面談や保育参観を春と秋に実施し、保護者懇談会を1・3月に実施しています。保護者参観、保護者面談は、設定した時期だけでなく、保護者の希望に応じて随時行っています。ルーテル・ディや、お芋ほり、収穫感謝祭、クリスマス会等保護者が参加できる行事を多数開催し、子どもの成長を共に喜ぶ機会としています。また、行事後は保護者アンケートを徴して、次回の行事の開催内容の策定の参考としています。また、園だよりや、保健だより等を発行して園や子どもたちの情報を伝えると共に、朝夕の送迎時には、保護者との情報交換を大切にしています。利用者(保護者)アンケートの「園の総合評価」項目では、概ね満足を含めて、満足が約91%と評価を得ています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

園の手引書(重要事項説明書)や園内掲示で、施設内の苦情受付担当者(園長)を始め、第三者委員を明示しています。第三者委員は、他法人保育園の経営者や経営経験者3名に依頼しています。また、マニュアル集に苦情解決規程を掲載し、苦情があった場合は、第三者委員に報告し、対応結果を公表することとする等、苦情相談体制が構築されています。また、苦情相談体制について、外部の苦情相談窓口としてかながわ福祉サービス適正化委員会を園の手引書(重要事項説明書)に記載しています。なお、職員が保護者との関係作りに取組んでおり、且つ相談・要望等に速やかな対応に努めていることから、苦情として第三者委員まで上がる案件がないため、近年は公表に至るものはありません。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

園と保護者との連携については、園の手引書(重要事項説明書)内、保育の基本理念の中に、「家庭支援(次世代育成を中心にした子育て支援)をいつも心がけながら、全ての保育を展開しています」と掲げ、職員は、子どもの保育を保護者との協働で行うことを念頭に、保護者とのコミュニケーション作り・関係作りに意を用いています。保育者等職員全員の顔写真と職・氏名を掲示すると共に、4月の園だよりにも同様に職員紹介をして、保護者が相談しやすい雰囲気の醸成に努めています。また、保護者への声かけを励行して、子どもの様子の情報交換を行うと共に、保護者の相談に日頃から対応しています。また、園の手引書(重要事項説明書)に、「連絡方法」の項を設け、連絡帳や電話、専用メール、口頭等、複数の方法の提示やその活用方法等を教示しています。保護者からの相談の際は、相談室を用意して、保護者のプライバシーに配慮しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

毎日の送迎時や連絡帳を活用して、保護者とのコミュニケーションを図り、子どもの成育状況について情報共有を行うことにより、相談や意見を述べやすい関係作りに努めています。保護者からの相談は、クラス内で共有すると共に、園長に報告の上で対応方法を確認して、できるだけ速やかに保護者に回答する手順が定まっています。即時対応が難しい相談等については、その旨を保護者に伝えた上で、職員会議で検討する等して、施設をあげて対応に努めています。なお、今回の利用者(保護者)アンケートでは、「相談事への対応について」の満足度は、概ね満足を含めて満足が、約91%と高い数値を示していました。保護者からのコメントにも「何か気になることがあった時等、細かに教えてくれてとてもよく見てくれている」等の相談姿勢を評価する意見が複数寄せられていました。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

マニュアル集に「危機管理」の編を設けて、防犯対策、ケガや事故の予防対応、安全点検、防災対策、地震災害対策、各種訓練、午睡(SIDS)等のマニュアルを位置付け、同マニュアル集の「保育関連」の編にも、園児安全、持参薬品与薬、誤飲手当、プール・水遊び等、日常の保育上想定されるリスクに対応するマニュアルを整備し、事故・事件発生時の対応方法・手順を明示しています。また、日常及び定期の自主点検票を活用して事故防止に努める等、園内の安全管理を行っています。事故報告書やヒヤリハット報告書は、発達段階における事故・保育者の配慮不足等発生要因別に整理され、園長・主任・看護師に報告される等、園長・主任・看護師よるリスクマネジメント体制を整え、ケガや感染症の防止・予防への取組の徹底を図っています。ヒヤリハットは、事務所の黒板にメモを貼ると共に朝の連絡で共有されています。事故報告は即時に回覧され、クラスごとのミーティングで共有され、他園等での子どもや保育関連の事故等もその都度職員に周知しています。また、ヒヤリハット報告書や事故報告書、怪我報告書(受診に至らないもの)は、毎月の職員会議で分析・検討し改善を図っています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

マニュアル集の「施設関連」の編に、施設衛生管理(清掃等)、殺菌消毒衛生管理、感染症対策衛生管理、給食衛生管理等のマニュアルを整備し、毎日の清掃や、感染症の性質に応じた適切な清掃・消毒を行うことにより、感染症の発生防止やまん延防止に努めています。また、園長・主任・看護師による感染症予防や発生対応体制を整えています。看護師が中心となって地域の感染症の流行状況を把握し、園嘱託医と連携して、感染症の予防や発生時の対応を職員会議やミーティングを通じて職員に周知すると共に、嘔吐処理等の実践的な職員研修を行っています。感染情報は、速やかに職員が情報を共有すると共に、玄関の掲示やアプリにより保護者に即時に伝達しています。横浜市や神奈川県の行う感染症関係の研修にも積極的に職員を参加させています。さらに、新型感染症に係る事業継続計画(BCP)を作成し、職員に周知しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

職員心得の中に「非常災害関係」の項を設けて災害時の職員の心構え等を記載し、マニュアル集の「危機管理」の編に、防災対策、地震災害対策、各種訓練を位置付けて、災害発生時の対応や手順を明示しています。毎月、園児の避難誘導訓練を実施すると共に、年3回、消防署(災害)、警察署(不審者)への通報訓練を行っています。また、毎年、消防署の指導による心肺蘇生法の訓練を行っています。非常時の備蓄品については、栄養士が担当し、災害発生後3日間生活できるだけの非常食等を管理しています。自然災害に係わる事業継続計画(BCP)を策定し、大災害発生時の対応や事業の継続判断を明確化すると共に、緊急時連絡先・利用者関連・職員参集等の必要な情報を集約しています。BCPは、職員周知が図られています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:a】

保育については、保育所保育指針に沿って策定された、全体的な計画、年間指導計画、月間指導計画、週間指導計画に、それぞれの保育のねらいと実施内容が明示され、保育が行われています。また、職員は支援内容が保育理念等に沿って行われているか、日々、職員相互で確認しながら保育の提供に努めています。保育者や社会人として求められる基本姿勢等を明記した職員心得を備えると共に、危機管理や、保育関連の各場面を想定した各種マニュアルが用意され、職員の取組をサポートしています。なお、保育の実施方法については、各種計画やマニュアルに沿って行われますが、個々の子どもの状況や保護者の意向、家庭環境に応じて、柔軟かつ適切な対応が職員のミーティングやOJTを通じてなされていますので、保育の実践が画一的なものになってはいません。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

保育に係わる各種指導計画は、期間終了の都度、クラス会議や全体会議等で反省、見直しが行われ、改善策が次の計画に反映されています。異年齢児交流時等に他クラスの職員がクラスに入り多面的に子どもを見ることによって、保育の実践方法が画一的なものになることがないよう取組んでいます。利用者アンケート調査結果や個別の提案・要望についても保育への反映を図っています。また、保育に関係するマニュアル集については、実施上不都合な点の確認や見直しが定期的に行われており、改定記録により確認することができます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:a】

各指導計画は、毎月、主任と室長が中心となって、クラスごとに指導計画の実施状況等のアセスメントが行われています。現計画の評価、見直しを行った上で次の計画を策定する、PDCAサイクルが機能しています。策定された新たな指導計画は、指導計画の作成責任者である園長の承認を得て成案となります。また、0歳~2歳児と個別的な配慮が必要な子どもについては個別支援計画を作成しています。個別に配慮が必要な子どもの個別支援計画は、療育センター等の関係機関のアドバイスを得て、学期ごとに評価・見直しを行い、次の計画の策定につなげています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

各指導計画は、主任・室長が中心となって、毎月、クラスごとにPDCAサイクルによって評価、見直しを行った上で策定され、園長の承認を経て実践されています。なお、指導計画の急な変更事例はありません。また、全体的な計画は、前年度の計画の実施状況を踏まえて策定方針が法人内で検討され、全体計画の骨子が各園に示されます。園では、法人の方針に沿って、前年の実施状況や課題、クラス会議や職員会議での職員の意見、利用者アンケート等を踏まえて、園長と主任が原案を作成します。原案は、室長を経て各クラスに伝達され、各クラスの意見を踏まえて室長会で見直しが行われ、その結果を踏まえて、園長と主任が協議して策定します。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

子どもの個別の育成計画や発達記録はそれぞれ様式が定められており、様式に従って記載されています。これらの記録要領は作成されていませんが、新任職員には、各クラスのベテラン職員がOJTにより記録の書き方を指導しています。また、これらの計画や記録内容は、室長・主任が確認した後、園長が内容を再度確認しますので、必要に応じて記録内容の指導や修正が図られています。なお、これらの発達記録、育成計画等はこれまで紙ベースでファイル化されたものを、職員が閲覧する形で情報共有されていましたが、本年11月から、ネットワークシステムが導入されましたので、今後は、職員間での情報共有の利便性の向上が図られることが期待されます。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

マニュアル集の「法関連」の編に、「個人情報保護」を位置付け、記録管理の責任者を園長として、厳正に個人情報の管理を行っています。さらに、ICTの導入に伴い、パソコンやソフト利用等に関わる個人情報の取扱いについて事務室から職員にプリントを配付して注意喚起を行っています。また、記録類は、事務室内の鍵付きの書棚に保管し、園外の持ち出しを禁止すると共に、パソコンや、USB等の記録媒体は使用後、毎日事務室で保管することとしています。書類は、文書管理規程で保存期間を定め、保存期間終了後は速やかに裁断して業者による溶解処理を行っています。個人情報保護については、就業規則に守秘義務が明記され入職時に誓約書を徴しています。保護者に対しては、入園時の説明会で説明し、個人情報使用承諾書を徴しています。行事の都度、保護者に写真・動画の撮影・利用について協力を要請し、個人情報の流出防止を図っています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画は、法人の保育理念・保育方針及び保育所保育指針の保育のねらいと内容に沿って、前年度の計画の実施状況を踏まえて策定方針が法人内で検討され、全体計画の骨子が各園に示されます。園では、【43】記載の手順で全体的な計画を策定しています。全体的な計画の特徴として、保育の理念・目標・方針が、0歳~2歳と、3歳~5歳に分けて記載されていること、子どもの発達過程が分かり易く表化されていること、年齢ごとに配慮事項が詳細に記載されていること、保護者との協働や、保育の一貫性(小学校の連携)等、法人が最も大切にしている項目のみが記載されていること、が挙げられます。法人の全体的な計画の作成意図が覗える計画です。なお、「幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿」についても全体的な計画の中で触れられると尚良いでしょう。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:b】

園舎は、本館と新館に分かれて、新館は教会堂と接続しています。本館の1階は、3歳から5歳児の縦割りのクラスが3部屋と多目的室があります。2階は、事務室を挟んで0歳児と、月齢の高い1歳児の部屋があります。3階は学童保育室に使用されています。新館の1階は、月齢の低い1歳児と2歳児の部屋があり、2階は午睡の場所となっています。新館の屋上はあそび場として使用されています。本館と新館の間に、土の園庭があります。各保育室は窓に面していますので、採光・通風は良好です。食事と睡眠の場所は各室とも分けられており、子どもたちが寛いで落ち着いて過ごせるスペースは、間仕切りを活用して簡易に設定できます。一方、本館は中間に階段があり、また、本館と新館に分かれていますので、子どもや職員の回遊性に難しい面があります。感染症対策・衛生管理マニュアルや、施設衛生管理マニュアル等を基に、子どもたちの使う用具・玩具は、こまめに消毒をし、保育室、手洗い場、トイレ等屋内の環境は常に適切な状態が保たれており、安全で衛生的で利用しやすい環境が整えられています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

園では、ユネスコが初めて提唱した「生涯教育」を念頭に、「誕生から学齢期までの一貫保育」を意図した保育を行っています。これは、近年成立した「子ども子育て支援法」の理念を先取りする取組として高く評価できます。園では、その中でも、初めて家庭の外の生活を経験する0歳児の養育を特に大切にして取組んでいます。0歳児は、初期に担当制を取り入れて、同じ保育者が毎日関わることで、子どもの安心感や信頼感を育み、愛着関係の醸成を図っています。子どもの安心感や信頼感が育まれた後は、0歳児から5歳児まで一貫して、子どもの個性や主体性を尊重した受容的、応答的な関わりに努めています。園では、モンテッソーリ教育を取り入れ、保育者が常に園児の近くに位置して、乳・幼児の持つ自発的で創造的な関心を段階的に引き出し、自分の意思で行動を行うための個別的な関わりを大切にしています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

保育者との信頼関係の醸成を図り、信頼関係を基盤として、応答的な触れ合いや、分かりやすい声かけを行いながら、生活習慣を身に付けられるよう子どもへの働きかけを行っています。働きかけに当たっては、子どもの成育に個人差があるため、ゆったりと時間をかけて育てていくことを大切にして、保育者のさりげない援助の中で快適感、達成感を得て、基本的な生活習慣が自然に身に付いていくように支援をしています。子どもの発達過程に応じて、適度な運動と休息を取ることができるよう、日々の生活では、午前中にしっかり体を動かす→食事→睡眠のパターンを確立しています。また、食事、排泄、衣類の脱着等において、身の周りを清潔にすることにより、子どもが気持ち良い感覚を実感する経験を繰り返すことで、子どもの自発的・意欲的な行動を促しています。さらに、モンテッソーリ教育の中で、ほうきで掃く、雑巾・タオルを絞る、縫いさしや、ハサミ、アイロン等の教具を使って生活の訓練を行うと共に、文化や言語、数等の教具を使って生活に必要な知識の基礎を養っています。生活習慣の取組について、利用者(保護者)アンケートでも、「手先が器用になるようないろいろなおしごと(モンテッソーリ・教材)がある。」等、モンテッソーリ教育を評価する意見が多数寄せられています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

園の特長として、モンテッソーリ幼児教育を保育の一つの柱として、子どもたちが自分の意思で主体的に育つ環境作りを行っています。モンテッソーリ教育は、「気づき」と「挑戦」をテーマに、子どもたちが、遊びや生活の中から好奇心を育み、子どもたちの五感を使って発達を促すことを主眼として、指示的ではなく応答的な関わりを大切にしています。モンテッソーリ教育を通して、子ども一人ひとりの個性を尊重して、子どもたちが、保育室内に用意された意図的な教具を、自由に選択して自ら成長を促すことを目的とした、子どもの主体性を育む養育がなされています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

園では、「生涯教育」を念頭に、「誕生から学齢期までの一貫保育」を意図した保育を行っています。その中でも、初めて家庭の外の生活を経験する0歳児の養育を特に大切にして取組んでいます。0歳児は、14名の現員に対して3名の正規職員と3名の非常勤職員を配置すると共に、看護師やフリーの職員のバックアップが得られる手厚い支援体制を講じています。入園当初は担当制を取り入れて、同じ保育者が毎日関わることで、子どもの安心感や信頼感を育み、愛着関係の醸成を図っています。子どもの安心感や信頼感が育まれた後は、子どもの個性や主体性を尊重して、受容的、応答的な関わりに努めています。0歳児は特に家庭と連携した養育が重要な時期ですので、送迎時や連絡帳での情報交換、個人面談等を通して信頼感を築き、家庭の養育力の向上を支援して、家庭と園との均質な保育に努めています。調査当日、保育者からは、「子どもとの1対1の関わりとともに、保護者が安心すれば子どもも安心するので保護者との信頼関係作りを大切に保護者との距離感を密にしている」等の話を聞くことができました。利用者(保護者)アンケートでは、0歳児の保護者からは、「子どもが先生に対して安心感、信頼感を持っている」等、保育方法を評価する複数のコメントがありました。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

3歳未満児は、「幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿」の基礎を作る大切な時期と捉え、自我の芽生えを踏まえて、一人ひとりの主体性を尊重した保育を心がけています。保育者の安定した関わりの中で、子どもたちが好奇心や探求心をもって周囲の様々な環境に主体的に関わることで、自分でしてみようとする気持ちが育つよう働きかけを行っています。1歳児は月齢の差があるため、クラスを分けて保育を行っていますが、後半には一緒の活動を行っています。2歳児は進級前には上の子どもたちとの交流を行い、兄弟姉妹意識の醸成や先の見通しの経験作りを図っています。モンテッソーリ教育を主体的に行うことができ始める頃ですので、教具の利用や譲り合い等、保育者の仲立ちにより、他の子どもとの関わり方を少しずつ身に付けられるよう配慮した保育が行われています。また、園庭や近隣の公園等での活動を通じて、聞く、見る、触れるといった五感を活用した探索活動が十分に行えるよう、安心、安全な保育環境を整えています。送迎時や連絡帳での情報交換等を通して、子どもの発達過程や生活リズムに応じた養育を保護者と連携しながら行っています。保育者とのヒアリングでは、「1・2歳児は感受性が育つ時期にあって十分に自分の意思を伝えることができず、手や噛み付きが出る時期であると共に、会話ができてくる頃なので、子どもの意思を尊重しつつ、できたことは褒め、約束事を守ること等をしっかり伝えるように努めている」等の話を伺うことができました。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

3歳以上児は、自我の形成や生活習慣が確立していく時期ですので、縦割り保育を導入して、年齢の上の子どもたちは下の子どもたちの面倒をみる、下の子どもたちは上の子どもたちを慕い敬うという、兄弟愛・隣人愛の醸成を図っています。また、モンテッソーリ教育は本物の教具を活用して、視・聴・味・嗅・触の五感の発達促進や、日常生活習慣の習得、自然現象の学び、地理や文化、言語や数の理解を進めています。また、集団でのルール遊びを通じた社会性の習得や、身体を使った運動遊びを積極的に取り入れています。モンテッソーリやキリスト教の保育に、子どもたちは自然の流れの中で馴染んでいます。また、自分の意思を言葉ではっきり伝えることができるようになっています。国際の時間や、リトミックの時間、絵画の時間、ダンスの時間を本格化して、国際感覚や情操教育の基礎を培っています。保育者とのヒアリングでは、「外遊び、中遊びを子どもたちが選べるよう朝に遊びの環境を整えて、子どもの主体的な行動を促し、見守る姿勢での保育を心がけている」等の話を伺うことができました。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

障害児支援に当たっては、保護者の状況や意向を理解、受容しながら、子どもの気持ちに寄り添い、日々の保育の中で、共に成長できるよう支援しています。障害を持つ子どもには、日課等が分かりやすく理解できるよう目で分かるイラストや、写真等を利用する工夫を行っています。年度初めと年度の終わりに地域療育センターの参加を得て、ケース会議を開催すると共に、必要に応じて、医療機関や地域療育センター等と相談しながら、個別支援計画に反映し適切な支援に努めています。支援に配慮が必要な子どものいるクラス担任には、障害のある子どもの保育について、地域療育センターや横浜市の研修、キャリアアップ研修等の外部研修を積極的に受講させています。近年、障害を有する子どもが増えているため、保護者の理解を得ながら加配制度を活用して職員の支援体制の強化を図っていますが、十分な体制を整備する上で、施設の負担増の要因になっています。なお、エレベーターや多機能トイレ等の設備面で、車椅子使用等の身体障害児の受入れは困難な状況です。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

園の開園時間は、月曜日から金曜日までは午前7時から午後8時までですが、0歳児は肉体的、精神的疲労を考慮し、標準時間内の保育としています。子どもたちの生活リズムを作るために1日の生活を見通したタイムテーブルが用意されています。0歳児は、午前・午後とも月齢に合わせた自由保育を、1歳児からは午前中にモンテッソーリの保育活動が入り、昼食の後から自由保育時間です。午前中の保育活動では、1歳児は遊びを主体として、2歳児からは体操等集団活動が行われ、3歳児からは、モンテッソーリ教育も教具の時間として本格化しています。0歳児はいつでも睡眠がとれるよう配慮され、1歳児からは、給食後、午後3時までの自由時間は、体調に合わせてゆっくりとできるように配慮が成されると共に、午睡の時間を十分に設けて休息を取っています。午後におやつの時間(0歳児は午前・午後)として、それぞれ離乳食やミルク、主に手づくりのおやつを提供しています。午後の延長時間はゆっくりとできるスペースや、横になれるスペースが用意され、お絵かき、ブロック遊び、DVD等、子どもの興味に合わせてコーナーを活用して、ゆったりと楽しく過ごせるように配慮しています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

園では、「生涯教育」をテーマに、「誕生から学齢期までの一貫保育(学童はその延長上)」に意図して取組んでいます。保育と小学校教育との一貫性を図るため、「保育の全体的な計画」に「小学校との連携」を位置付け、小学校とのつなぎを重視した取組を行っています。法人のアプローチカリキュラムが用意され、5歳児は、園生活の完成と小学校生活への準備が行われます。5歳児の3学期以降は小学校生活のリズム移行のため午睡の時間や回数を減らして体を慣らしています。隣接して小学校がありますので、コロナ禍で中断していた保育士と小学校教諭との交流会も再開され、園児と小学校1年生、5・6年生との交流が行われています。幼・保・小の教諭・保育士とのミーティングや、小学校に上がる子どもたちの交流を通した進学の動機付けや、友だち作りが行われています。保護者に対しては、年度後半の保護者懇談会や、保護者面談等を活用して、小学校入学準備に関わる相談や情報提供を行っています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

年間の保健計画を定めて子どもの健康管理を行うと共に、マニュアル集に、施設衛生管理(清掃等)を位置付け、感染症予防のため、掃除と消毒を励行しています。看護師が、毎日、0・1・2歳児のクラスのいずれかに入って保育を行うと共に、朝・夕のヘルスチェック等、子どもたちの日常の健康管理を行っています。子どもの体調変化やケガ等については、看護師が状態を確認した上で、主治医に相談し、通院等適切な対応を図っています。その際は、看護師が保護者に個別に連絡をとると共に、その後の経過を把握しています。また、毎月の保健だよりや、掲示板を活用して、子どもの健康に関する方針や、健康教育、感染症等の情報を保護者に伝えています。毎年、嘔吐処理等子どもの健康や安全に関わる研修を看護師が中心となって行っています。さらに、感染症の症状等の詳細な情報を掲載した園の手引書(重要事項説明書)を用いて、保健・健康管理方針を入園時等に保護者に伝え、家庭での衛生管理や健康管理の協力を依頼しています。乳幼児突然死症候群(SIDS)に関しては、午睡マニュアル(SIDS)に沿って、年齢に応じて5~10分おきに睡眠チェックを行っています。看護師のヒアリングでは、「保育の中に看護の視点を入れて、子どもの健康と安全な環境を整えている。保護者との関わりを大切にしている」等の話を伺うことができました。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:b】

身体測定を毎月行い、健康診断は年2回、歯科健診は年2回、それぞれ嘱託医が来園して実施しています。健康診断の結果は、看護師が保護者にその日の内に丁寧かつ適切に伝えると共に、医師からの指導がある場合は、保護者に手紙でお知らせし相談に応じています。また、身体測定結果を成長曲線に表して必要に応じて、保護者に子どもの健康管理についてアドバイスをしています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

園では、卵や乳、小麦等、食物にアレルギーを有する子どもが少数生活しています。食物アレルギーについては、園の手引書(重要事項説明書)に、「医師の診断書(指示書)持参の場合に限り除去食を用意する」と記載し、入園説明会に、栄養士と看護師が同席して食物アレルギー対応について説明して、保護者と対応を相談しています。食物アレルギーの対応については、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」に沿って、子どものアレルギーの状況に応じた適切で安全な対応に努めています。除去食の提供に当たっては、該当児の食事の席を固定して、色で識別できるテーブルやトレイ、食器を用意して、調理室内、栄養士と保育士で除去食を確認した上で提供しています。園内で、看護師がエピペンの使用方法の実習を行うと共に、アレルギーに関する研修や講習会に積極的に職員を参加させています。なお、アレルギーの状態に変化があった場合は、医師の所見の下で、園長、担任、栄養士、看護師が対応方針を協議し、保護者と面談を行った上で対応を決定しています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

偏食のない食生活は幼児期の食生活が基礎となり決定づけるとして法人・園では食育を重視しています。「保育の全体的な計画」に基づいて年間食育計画が策定されています。年間食育計画は、毎月行事食が位置付けられるともに、0歳、1歳、2歳、3歳~5歳の4区分で、毎月の食育の「ねらい」と実施内容が記載されています。園内の小さな畑でボランティアの支援を得ながら夏野菜を中心に栽培し、食育に活用しています。食事の場所は、遊びの場所と区分して、清潔で落ち着いた環境と応答的な関わりの中で、保育者が声掛けしながら子どもたちが食事を楽しめるよう支援しています。保護者には、献立表を前月に配付して家庭の献立と重複しないよう配慮すると共に、給食のサンプルを毎日展示しています。給食だよりを毎月発行して、食に関する情報提供や保護者支援を図っています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

給食は、自園で調理し、栄養士や調理員が手作りの食事を子どもたちに提供しています。おやつは手作りを主に、市販のものは、アレルゲンのないものを提供しています。献立は和食を中心に、木曜日は麺類にして、豆腐料理は週1回、魚料理は週1回、肉料理は週2・3回として献立が企画されています。また、食育計画に沿って毎月行事食が提供されています。栄養士によると、「1年サイクルで前年度のものを少しずつ変えている。化学調味料は使用せずカツオ出汁を使用している。食材は地元調達を図っている」とのことでした。また、子どものリクエスト食も適時に提供されています。日々の喫食状況や残食チェックは保育士や栄養士により行われています。特に新しいメニューの時は栄養士が各クラスを巡回し、子どもたちの反応を確認しています。月1回、給食会議が開催され、園長や栄養士、調理師、クラス担任が参加して、味付けや献立、残食状況等を話し合い、献立の改善・工夫につなげています。衛生管理は、「大量調理施設衛生管理マニュアル」を基に、食中毒等の事故のないよう万全の対応が図られています。利用者(保護者)アンケートの「給食の献立内容」・「子どもが給食を楽しんでいるか」の満足度は概ね満足を含めた満足が、それぞれ9割を超え、高い評価を得ています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

保育の「全体的な計画」の理念に、「保護者と共にその(子ども)福祉を積極的に増進する」と掲げると共に、「家庭・地域との連携」を位置付け、家庭・保護者に関する記載のキーワードに「信頼関係・協力関係を築く」、「家庭と綿密な連絡」等を記載して、園と保護者の両輪で子育てを行う姿勢を明確にしています。この基本姿勢の下、保護者との絆を深めるため様々な取組を行っています。日常の送迎時の保護者との会話や、子どもの1日の活動を記載した連絡帳のメモ欄を活用して、情報交換を行い、子どもの育ちを保護者と共有しています。登園時に保護者から聞いたことやお迎え時に保護者に伝えたこと等、保護者との情報交換の内容は、ミーティングを利用して職員間で周知し、どの職員も同じ保護者対応を行うよう取組んでいます。また、3月(新しい年に向けて)、1月(1年の振り返り)の保護者懇談会や、保護者面談、保育参観を設定すると共に、保護者が参加する行事が設けられ、子ども・保護者・保育者が関わる機会が一年を通して設けられています。また、園だよりや、給食だより、保健だよりを定期的に保護者に届けることにより、子育てに対する家庭との連携を常に図っています。育児に関する保護者からの相談にも随時、丁寧に対応しています。さらに、毎年、利用者アンケートを実施し、保護者のニーズを法人・園で共有し対応を図る等、保護者・家庭を重視する取組が組織的に行われています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

送迎時の保護者との会話を子どもの保育を行う上で重要な情報入手ツールと捉え、保護者とのコミュニケーション作りに、園・職員は特に意識的に取組んでいます。傾聴の姿勢を大切にして、保護者の意見やニーズの把握に努めています。気軽に相談ができるよう、玄関等に職名と名前を付記した顔写真を掲出すると共に、職員は明るく笑顔で保護者に接するよう努めています。園の手引書(重要事項説明書)に、家庭から園、園から家庭への「連絡方法」を、連絡帳、電話、メール(アプリ)、口頭、文書等の形態ごとに記載しています。また、3月末の保護者懇談会で、担任紹介を行うと共に、理念や事業方針・内容等を詳細に記載した園の手引書(重要事項説明書)や、年間行事予定を活用して、保育方針や保育内容の理解促進を図っています。また、前項に記載した、保護者懇談会・保育参観・保護者参加行事等を通じて、保護者が子どもの生育状況や園での生活状況に触れる機会を多く設定して、保護者が安心して子育てできる、保護者が安心して子どもを園に預けることができる環境作りに努めています。利用者(保護者)アンケートでも、「先生方がとても親身になってくれて、安心して預けることができています」等の意見が多く寄せられています。「相談ごとへの対応」では、概ね十分を含めて、満足が約91%と高い値が示されています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:b】

園では「子どもの権利擁護(含虐待防止)マニュアル」を備え、定期的に虐待の内容や対応手順を職員間で確認しています。子どもの着替えの際に全身の視診を行うと共に、発育状況や家庭の生活状況、連絡帳の記載内容、出席確認が取れない場合等、変わった状況がないか注意しています。虐待や不適切な養育について子どもや家庭に徴候が見られた時は、速やかに職員間で共有し、園長に報告し、記録すると共に、区保健所や児童相談所等、必要な機関と連携できる体制を整えています。職員のヒアリングでも子どもの虐待に関する意識は高く、発見時の対応手順等の理解が図られていました。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:a】

職員は、日々の保育の振り返りを常に行い、保育の質の維持・向上に努めています。保育に関する各指導計画は毎月クラス内で反省・振り返りがなされ、見直しが行われています。また、全国保育士会の「人権擁護のためのセルフチェックリスト」を活用して、毎年、保育の振り返りを行っています。さらに、【15】・【17】に記載した通り、「個人研修計画・評価シート」を活用した目標管理や人事考課が行われています。「個人研修計画・評価シート」では、研修目標や、研修課題、研修課題に対する具体的な計画を年度当初に、本人と上司が話し合ってそれぞれ記載して、年度末に、本人の取組の評価を、上司との面接の中で行い、次期のステップアップにつなげるものです。また、期末の面接時には、自己評価シートにより、子どもとの関わり姿勢や、法人・園における本人の役割認識、業務改善提案等について、職員が考える機会が設けられています。