社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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川崎市わーくす川崎

2023年02月20日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 川崎市わーくす川崎 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 就労移行支援, 就労継続支援(B型), 就労定着支援 定員 40名 名
所在地 210-0026
川崎市川崎区堤根34-15 ふれあいプラザかわさき2階
TEL 044-200-4666 ホームページ http://www.tomoni.or.jp/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2014年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 県央福祉会
職員数
常勤職員:8 名
非常勤職員:5 名
専門職員
社会福祉士:2 名
施設・設備の概要
事務室:1
訓練・作業室:1
相談室:1
食堂・休憩室:1
更衣室:2
倉庫:2
洗面所:1
シャワー室:1
トイレ(多目的トイレ含む):3

③ 理念・基本方針
法人理念
1. ソーシャルインクルージョン(共生社会)を目指します。
2. 先駆的で開拓的な事業を展開します。

事業所理念(サブ理念)
利用者さんやご家族は大切な「お客様」、人権を尊重し利用者さん主体の支援を。

基本方針
1. 人権尊重とサービスの向上を図ります。
2. インフォームドコンセント及びエンパワーメントを大切にした利用者さん主体の支援を推進します。
3. 地域との共生をめざします。
4. ニーズの多様化と複雑化に対応します。
5. 社会のルールの遵守(コンプライアンス)を徹底します。
6. 説明責任(アカウンタビリティー)を徹底します。
7. 人材の確保・育成のための研修体制を充実します。
8. 柔軟で行動力のある組織統治(ガバナンス)を徹底します。
9. 財務基礎の安定化に努めます。
10. 国際化の対応に取り組みます。
11. 社会貢献活動に積極的に取り組みます。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
・就労継続B型、就労移行、就労定着という就労系3事業と、特定相談支援事業の合計4つの事業を運営しています。訓練から就職活動、企業就職後の定着支援まで切れ目なく一貫した支援を提供しています。

・その人に合った求人があれば、B型や移行の所属に関わらず紹介し就職の結びつけます。相談事業と定着支援上業により就職後も手厚く支援することができます。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2022/05/16(契約日) ~2023/01/24(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(2019年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 1)一貫した手厚いサポートが就労者増加や職場定着率の良さにつながっています
就労継続支援B型、就労移行支援、就労定着支援の3事業を切れ目なく支援しています。軽作業や施設外作業の訓練を経て、就職活動を行い、就職後の職場定着につなげています。利用者は馴染みの職員との信頼関係を築きながら、一貫したサポートを受けています。就労支援強化の取組の一環として、就労継続B型利用者の就労移行へのステップアップを奨励し、就労継続支援B型の所属であってもその人に合った求人があれば就職に結びつけています。就職後もジョブコーチ方式で就職先の職場訪問など、手厚いサポートの下、職場定着率100%を実現しています。

2)障害特性や個別性を大切に扱い、日々の支援に活かしています
管理者は法人の構造化委員会に参加して学び、障害特性とその応用をしっかりと活かして利用者支援に役立てています。作業やデイスケジュールの視覚化、色や数字を用いた表記、備品のポジショニングにより、利用者にとって動きやすく、働きやすい環境設定をしています。利用者への配慮が行き届き、結果として作業に集中でき、仕事の効率化につながっています。利用者の障害特性等を詳細に分析した上で、色でストレス度を表すカラーバロメーターを使うなど、働きやすい治具の工夫が実現しています。個別性を重視した利用者支援が職員間の共有と支援実施に根付き、利用者の活動性や意欲の向上につながっています。

3)利用者本位のサービス提供が、工賃アップにつながる好循環を実現しています
コロナ禍で受注が減り目標には到達しませんでしたが、その中でも年々平均工賃を上げています。今までの実績により取引先の信頼を得て、継続的な受注につながり、収入は安定しています。軽作業部門でも、取引先はわーくす川崎で作る完成品の品質の高さを評価し、自信を持って、取引先の更なる開拓を継続しています。利用者に応じた作業と支援が高い品質と効率につながっています。利用者の障害特性をしっかりと理解し、個別に適切な支援を継続して、利用者との信頼関係を構築しています。一人の人間として尊重される関係性の中で、利用者は自分の持てる力を存分に発揮し作業に取り組める環境があります。そうした取組により、毎年の工賃アップにつながるという好循環が実現しています。

4 )後進の育成を具体的に進めていくことが期待されます
現在の管理者は、開設当初から事業所の現場支援を担当してきました。事業所の業務に精通し、地域との顔の見える関係を築き、職場開拓のスキルや人脈を培ってきています。管理者の強力なリーダーシップが事業所全体を牽引している現状です。法人内では常勤職員は異動となる可能性もあります。管理者本人も、次のステップに向かって進む時期がきていると、自覚しています。リーダー的存在の後進の育成が今後の課題となっています。サービスの質を維持向上させながら事業所運営を継続し、利用者や地域に対する存続意義を示すことが期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
取引先や職場の開拓等により、仕事の機会の拡大に努めています。障害者就労・生活支援センターやハローワーク等と連携し、就労支援を行っています。採用前には2週間程度の実習を行い、振り返り、評価をしっかり行って利用者さんと企業とのマッチング等の就職支援を適切に行っています。また、職場見学や体験実習の機会を多く提供し、雇用側と利用者さん、施設側の相互理解が進むよう努めています。
 就職した後も新しい環境に慣れるまで、毎月職場訪問を行いサポートしています。その他にも地域の企業等との関係性の構築や障害者が働くための「合理的配慮」を促進する取り組み・働きかけを行っています。就労した利用者さんが集まる「就労者の会」を定期的に開催し、近況報告や就労の悩み等を話せる場を提供し、定着フォローに努めています。
 今後も職員全員で利用者さんの適切な一貫した就労支援を行っていきたいと思います。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

法人の2つの理念「ソーシャルインクルージョン(共生社会)」と「先駆的で開拓的な事業」を福祉事業の拠りどころとし、11の基本方針、3つの使命、3つの職員行動指針へと発展させています。理念や基本方針は、法人パンフレットやホームページ、事業所のパンフレット、事業計画書などに記載し、事業所内にも掲示しています。年2回開催のご家族連絡会での資料や内容説明にも、理念と基本方針を記載して周知を図り、ルビを振って読みやすくしています。職員会議での読み合わせを継続し、日頃の利用者支援を振り返っています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

管理者は法人の管理者会に出席し、社会福祉事業の課題や動向について学んでいます。かわさきノーマライゼーションプランや障害者福祉計画を確認していますが、内容把握や分析は不十分であるため、今後の課題としています。事業所では月次試算表を作成し、運営状況を把握するとともに、売り上げや工賃向上目標達成度を利用者にも伝え、利用者と職員が一丸となって工賃アップを目指しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

毎月、管理者会議では法人全体の経営状況について共通認識を図り、現状を乗り越えるべく検討しています。その内容は、事業所において職員会議で共有しています。具体的な取組としては、節電による経費削減、業務の効率化を目指したイベントや利用者会の平日開催があります。残業申請書に仕事内容と時間を詳しく記入することで、職員の意識改革となっています。就労継続B型→就労移行→就労定着の3事業所の連携を図り、40名の定員に対し空席なしにサービス提供ができています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

法人理事会でマスタープラン骨子案を精査して、グループ会議や管理者会議で周知を図り、法人全体で方向性を認識して進めています。管理者は法人のビジョンを事業所に持ち帰り、事業所職員に説明して、共通認識を図っています。今年度は6月に理事長交代があり、管理者はなお一層、理念と基本方針が利用者支援の重要な拠りどころになると再認識しています。9月にはマスタープランの見直し後、中間報告の作成を行っています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

法人では事業計画書と単年度予算書を策定し、具体的なビジョンや数値目標を示しています。理念と基本方針に基づいた事業の目指すべき到達点を「どのひとの人生も肯定される社会づくりをめざします」の文言で表しています。事業計画書は単なる行事計画ではなく、法人の重点項目や新しい時代の新しい事業展開にも視野を広げ、130を超える事業所を擁する社会福祉法人として今後のあるべき姿を示しています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

毎年2~3月に事業報告書を作成し、当年度の実施内容を総括した上で、翌年度の事業計画書を策定しています。職員会議で職員の意見を聞き取り、計画書に反映させています。9~10月には事業計画の見直しを行い、中間報告書にまとめ、法人へ提出しています。事業計画書と事業報告書は職員に配布するとともに、事務室の書庫に置き、常時閲覧可能となっています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

事業計画書、中間報告書、事業報告書は、年3回開催のご家族連絡会で利用者家族に配布し、説明しています。利用者向けに作成した年間予定表と目標工賃額を作業室に掲示し、随時確認できるようになっています。面談、作業、行事など項目ごとにライン分けし、イラストを用いたり、矢印で期間を示すなど、視覚化により理解しやすくしています。利用者会で、各種行事を事業計画に沿って進めていると伝えています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

利用者満足度は面談や日頃のコミュニケーションから把握しています。個別支援計画に利用者の思いが反映しているか、多様なイベントを楽しめているか、不満を言葉で表せているか、など利用者の率直な意見の聴取に努めています。その結果を事業所の自己評価時に記載しています。毎年、神奈川県の障害福祉サービス事業所自己点検シートで業務全般を振り返り、第三者評価は3年に1回受審しています。また四半期に1回、第三者委員の定期訪問があり、利用者支援について評価を受けています。評価結果は職員会議で分析・検討しています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

年度末に重点目標の達成状況を振り返り、事業報告書「重点課題の結果」として記載し、同時に翌年度の重点目標を事業計画書に掲げています。事業報告書と事業計画書は職員会議にて周知精査し、改善への取組方法を話し合っています。また9~10月には中間報告書を作成して、計画の見直しとともに必要であれば軌道修正も行っています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

理念と基本方針について、朝礼終礼や職員会議で折に触れて考える機会を設けています。毎年度業務分担表を作成し、組織図、緊急時対応担当、職員体制、各業務担当などを明記し、作業室と事務室に掲示しています。緊急時の判断とセキュリティ会社への連絡は管理者が担い、管理者不在時には副主任が行う体制としています。また広報誌「わーくす川崎通信」や利用者、家族宛ての行事案内にも、発行責任者たる管理者を明記しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

管理者は、法人の管理者会議やグループ会議に出席したり、成年後見制度や食品衛生責任者養成講座などの外部研修にも参加して、見識を深めています。障害者総合支援法や個人情報保護法、虐待防止法はもとより、介護保険法、食品衛生法、労働基準法など業務に必要な関係法令について学び、職員会議にて職員間で共有しています。また、法人の規則規程集や職員行動指針、倫理行動マニュアルを職員会議で読み合わせ、支援の方向性を確認しています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

毎日朝礼と終礼でその日の支援を振り返り、職員間で内容を共有しています。利用者支援と作業指導は、時間の使い方も利用者への向き合い方も異なり、その調整に迫られている現状を認識しています。作業内容の視覚化や個別の治具製作は、管理者が率先して改善を働きかけ、職員が協働して取り組んでいます。勤務時間内の研修参加を推奨し、研修参加費と研修交通費全額補助を実現するなど、事業所は学び続ける姿勢を大切にしています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

月次試算表を作成し、予算と比較しながら事業所の収支を分析しています。節電を励行して無駄を省き、業務の効率化を目指して、実現可能なところからスモールステップで着実に進めています。働きやすい環境設定としては、育児中の短時間勤務制度の利用を促したり、勤務時間を調整して土曜日の出社を減らすなどしています。利用者と職員が一丸となって、質の高い作業活動を目指しています。「わーくす川崎の品質の高さ」に自信を持って交渉し、軽作業や清掃のコンスタントな受注につなげています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

採用活動は法人人事部と連携し、常勤職員採用については法人が決定し、非常勤職員は事業所に一任する体制となっています。人員体制や人材確保と育成についての方針は、法人が確立しています。法人ホームページを活用したり、職安に登録するなど費用対効果を考慮しながら職員募集を行っています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

職員ハンドブックの「法人が期待する人材像」には、明確な目標、率先垂範、感謝する気持ちなどの13項目を列挙しています。法人の規則規程集に人事基準の詳細が記載され、職員に周知しています。職員面接を定期的に実施し、事業所でのキャリアビジョンを確認する場としています。就業規則、給料規程、人事評価基準を職員に配布しています。年1回異動希望のアンケートと職員満足度調査をWebで実施し、職員の意向を反映するシステムを構築しています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

職員の意向調査と満足度調査を毎年実施し、職員の現況を把握して、勤務体制や役割分担を検討しています。時間外労働や有給の管理をしつつ、一人ひとりの心身状態に注意を払っています。定期面談はもとより、日頃の管理者とのコミュニケーションの中で悩みや体調変化を伝えることのできる、風通しの良い職場となっています。法人の充実した福利厚生制度の活用を促しながら、ストレス診断や、必要であれば法人のメンタルヘルス制度の利用を声かけしています。育児休暇、育児時短勤務、傷病休暇など、個別の状況にも適宜対応しています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人では「褒める」「認める」を大切にした職員育成を目標に掲げています。職員の育成に向けた目標設定や評価のクラウドシステムは、現在契約更新を進めています。目標設定は継続して行い、管理者との定期面談時のヒアリングを通じて達成状況を確認しています。定期面談は期初、中間期、期末の3回行っています。面談結果はシステム上に記録しています。新人職員は入職時研修が必須であり、事業所外からメンターが、事業所内ではサポート職員が、新人の伴走者として人材育成に貢献しています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

職員ハンドブックの「期待する人材像」には人権尊重と権利擁護の重要性が明記されています。同ハンドブックでは、専門的な利用者支援の具体化として、事業種ごとに必要な職種と資格の一覧を載せています。法人研修部が年間研修開催計画を策定し、今年度は階層別研修のみ実施予定となっています。入職後7年目まではオンデマンドと選択制の基礎研修を行い、主任以上になると財務やメンタルヘルス、法務総務の分野もあり、充実した内容となっています。研修内容の評価と見直しを行うことが期待されます。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

職員一人ひとりの知識、技術、資格取得などの状況は、日頃のサービス提供や面談を通じて、管理者が的確に把握しています。入職時にはメンター制度と事業所内のサポート職員によるフォローを活用して、実地の利用者支援を学んでいます。法人の階層別研修に参加する機会を設けるとともに、外部研修情報はチラシを回覧したり会議で周知して参加を促しています。オンライン研修は相談室や事務室で行っています。シフトや職員配置を工夫して、就業時間内で研修を受けられるように配慮しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

法人採用前実習、相談援助実習事前見学、定時制高校生職場見学、川崎市職員見学、近隣施設職員見学と、多岐にわたる実習や見学を受け入れて、専門職の育成に積極的に取り組んでいます。研修や見学時の資料に、障害についての基礎知識や法人の理念と基本方針を記載して、受け入れの基本姿勢を明示しています。今後、マニュアルや実習の整備、また指導者を対象とした研修の実施など、実習生の育成体制を構築することが期待されます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人ホームページには、理念や基本方針、事業計画、事業報告、予算、決算情報などを載せていますが、最新の情報も公表することが期待されます。第三者評価の受審結果は、神奈川県社会福祉協議会やWAMNET(福祉関連サイト)のネット上で閲覧可能となっています。苦情解決体制ポスターを作業室と食堂の見やすい場所に掲示し、苦情やクレームの実績があれば、その内容を毎年度の事業報告書に記載しています。理念と基本方針は来場者に資料を用いて説明し、第三者委員の定期訪問を受けるなど、地域に開かれた事業所を目指しています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

業務分担表には、会計、作業工賃管理、給付費請求などの事務業務が明記されています。事務処理で不明な点がある場合は、法人に相談できる体制になっています。内部監査は不定期実施であり、法人では監査法人による外部監査を受けています。また現在も川崎市障害福祉課へ事業報告書の提出を継続し、指摘事項があれば迅速に対応して経営改善を図るなど、適切な経営・運営に取り組んでいます。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員倫理行動マニュアルでは、地域との関係について、文頭で「地域の中に施設がある」と記しています。掲示板では夏まつり、高齢者のつどい、ことも文化センター主催の複合施設の館内行事などの情報提供をしています。施設近隣の掃除を継続し、年2回一日バス旅行の際にはボランティアの参加を得て、地域と触れ合う機会を設けています。また、相談支援センターやケースワーカーと連携しながら、外出援助や余暇活動の社会資源の活用を進めています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

法人ではボランティア受入れマニュアルを作成し、活動開始前に研修を行うとともに、利用者の個人情報保護を含む誓約書を取り交わしてています。ボランティア募集は、法人人事部が一括して教育機関などへ発信し、協力体制を築いています。現在週1回定期的に大学生ボランティアが来訪しています。まつり行事での子ども向けのお店屋さんや紙芝居のボランティアも活躍しています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

地域の障害福祉サービス案内冊子を常時参照し、社会資源リストを作成するとともに、職員会議で情報共有しています。相談支援事業所やケースワーカーとは利用者情報を共有しながら、必要に応じてケア会議を実施しています。関係機関との連絡会議としては、定期開催する館内の複合施設連絡会や防災二次避難所会議に出席しています。また川崎市自立支援協議会や障害福祉施設事業協会に参加して、地域にどのようなサービスがあり、今後必要なサービスは何か、などを関係者と協議しています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

館内には老人福祉・地域交流センター、こども文化センターが併設され、随時連携と情報共有を行って地域ニーズを把握しています。わーくす川崎内には相談支援事業所もあるため相談支援事業所連絡会の動向も把握しています。川崎市自立支援協議会に参加し、地域にどのようなサービスがあり、今後必要なサービスは何か、など課題を検討する場としています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

町内会主催の盆踊りや、複合施設で開催する「敬老のつどい」「春のつどい」の行事に参加して、地域交流を図っています。施設外周と周辺道路の清掃活動を継続を通じて近隣住民とあいさつを交わし、行事の際には地域の飲食店を利用することが恒例となるなど、顔の見える互助の関係が築かれています。また、川崎市の二次避難所の指定を受けて、初動訓練と開設訓練を実施予定としています。法人では寿町の炊き出しやバザーの手伝いに行ったり、法人内で催す子ども食堂に参加するなどの社会貢献に取り組んでいます。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

入職時研修では、法人の「2つの理念と11の基本方針」により、福祉の基本姿勢を学んでいます。倫理行動綱領とその具体的規程である倫理行動綱領マニュアルを整備しています。職員ハンドブックには「利用者支援の基盤は、基本的人権の尊重である」と明記し、入職時はもとより、定期面談でも日頃の支援を振り返る拠りどころとしています。また、虐待防止と身体拘束排除についての項目もあり、虐待の通報義務や関連法律についても記載しています。法人内外の権利擁護や虐待防止に関する研修に参加し、学びを深めています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

職員倫理行動綱領に「自由とプライバシーの守られる環境の維持」を掲げ、具体的規程を倫理行動マニュアルに列挙しています。排泄介助は同性が行い、更衣室は男女別とし、鍵付きのロッカーを使用するなどの配慮をしています。部屋をパーテーションで区切り、疲労時や発作の際に対処しています。これら環境整備などのプライバシー保護の取組を、利用開始時に利用者や家族に説明し、また随時利用状況を連絡帳や電話で伝えることで、周知を図っています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

事業所のパンフレットを市役所、自立支援協議会、法人後援会に持参し、利用希望者が入手できる環境としています。資料は写真を多用し、明るい色調で、わかりやすい文章表記になっています。法人パンフレットは毎年理事長メッセージを更新し、各種パンフレットは随時見直しを行い、新規事業所を含めた全事業所数を反映させています。区役所や学校からの電話の問い合わせに対して事業所の情報を的確に伝え、見学や体験利用などの希望には対応しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

利用開始時や事業所変更時には、利用者及び家族と共にサービス利用契約書と重要事項説明書を読み合わせ、理解と納得を得て進めています。サービス利用契約書や重要事項説明書など利用者共通の書類にはルビを振る工夫をしています。利用日一日のスケジュールを時系列で表し、「みんなが気持ちよく働くための」事業所ルールの説明を行い、順調に利用開始ができるように支援しています。意思決定が困難な場合も、相談支援事業所やケースワーカー、代理人、後見人との連携により、利用者本位をモットーに協議しています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所変更やグループホーム入所、一人暮らしを始める時にはこまめに連絡をして、利用者が安心して新しい生活に馴染めるように支援しています。事業所変更の際には、利用者や家族の許可を得て、アセスメント表やケース記録、健康診断結果などを先方へ送付しています。就労が実現して事業所利用が終了する時には、退所証明書や入職届の書類を作成しています。就労継続B型、就労移行、就労定着の切れ目ないサービスを提供し、更に就職後には「就労者の会」を開催して、就労者の近況報告や今後の目標についての共有の場となっています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

半年ごとに、個別支援計画書を見直す際、利用者との面談を行い、要望やサービスへの満足度も聴取しています。ご家族連絡会や利用者会でも意見を聴取していますが、利用者満足度の調査は行わず、面談や日頃のコミュニケーションの中で把握しています。しかし、随時把握していく個々の意見や要望に対応するだけでは、組織としての有効な改善には結びつき難いと思われます。利用者や家族の満足度を把握するためには、今後、調査担当者を決めて定期的に満足度調査を実施するなど、積極的・継続的な取組が期待されます。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

「苦情解決に関する規則」「苦情解決事務手続き(マニュアル)」を作成し、苦情解決の担当者を重要事項説明書や事業計画書などに明記しています。作業室と食堂に、苦情解決の仕組みと担当、第三者委員を記載したポスターを掲示しています。家族からの苦情は、ご家族連絡会や行事の際に直接口頭で聞き取ったり、電話で受けることが多い状況となっています。一件一件丁寧な対応を心掛け、マニュアルに沿って記録しています。苦情案件となった場合は、事業報告書に、日時、苦情内容、対応を公表する仕組みがあります。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

重要事項説明書にはサービス内容として相談支援を記載し、随時相談を受け付ける旨を契約時に利用者と家族に伝えています。利用者個々に担当職員が配置されますが、言いづらいことは他の職員や管理者にいつでも相談できると説明しています。また倫理行動マニュアルには「相談支援で困難な事例は職員間で情報共有して、全職員で対応すべきだ」と明記しています。相談室や休憩室、食堂の畳スペースなどを臨機応変に利用し、相談や意見を述べやすい場所としています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

利用者からの相談や意見は、その日の終礼や職員会議で職員全員に周知し、対応策を協議・共有しています。コミュニケーションに積極的な利用者が多く、事務室前に設置したみんなの声BOXが活用されています。休み時間になると利用者と職員の語らいの声が聞こえてきます。利用者の「話したい、聞いて欲しい、わかって欲しい」の気持ちを汲み取るように努めています。業務日誌にみんなの声投函件数や内容を記しています。記録方法や報告手順などは法人のマニュアルに統一されています。マニュアルの定期的な見直しが期待されます。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

法人では危機管理委員会を組織し、事故発生時対応と再発防止についてのマニュアルに基づいて、研修を計画しています。事業所のリスクマネジメント責任者は、管理者に一任しています。事業所への往復路での事故、離設、発作対応など、日頃のサービス提供における安全確保については、その日のうちに終礼で振り返りをしています。職員間で情報を共有し、対応策について検討を続け、リスクへの備えを強化しています。また、ヒヤリハットやプチヒヤリを職員間で共有することで、リスクへの気づきを促し、事故防止に役立てています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症、特に新型コロナウイルスの感染拡大防止策は、法人の危機管理委員会が中心となり迅速に対応しています。法人では新型コロナウイルスに対するガイドラインを随時更新し、各事業所にFAX送信しています。それを基に、事業所では、朝礼終礼や職員会議で周知しています。マスク着用、手指消毒、手洗いうがい、検温を励行しています。空気清浄機を設置したり、コロナワクチン接種日の把握など、コロナ対策を継続しています。コロナ以外の感染症についても、病気の流行前に職員会議で対応マニュアルを読み込み、対策をとっています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

防災訓練は防災担当職員の主導により、事業所単独、法人全体、複合施設全体で年5回実施し、安否確認や一斉通報も実地で行っています。BCP(事業継続計画)は法人が策定し、事業所所在地区を「洪水・浸水において非常災害対策が必要」と判定しています。事業所内に避難経路と避難場所を掲示し、備蓄品はリストを作成して管理を継続しています。川崎市のマニュアルに従って二次避難所の設置準備をしています。避難訓練では消防署の参加を得て、専門的見地からの助言を受けています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

法人作成の「倫理行動マニュアル」「職員ハンドブック」に、標準的なサービスの実施方法を記載しています。利用者の意向尊重、人権侵害に通じる行為の禁止、守秘義務など、利用者支援の基準をわかりやすく明文化しています。事業所では日直マニュアル、職員清掃手順書、緩衝材検査手順書などを作成し、それらを確認しながらサービス提供を進めています。終礼でのケース報告、職員会議や(利用者の作業)評価会議での状況把握を通じて、職員間で同質の対応ができるように、支援の方向性を共有する仕組みとなっています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

法制度改正や業務改善の都度、法人ではマニュアルの見直しを行っています。事業所では、朝礼終礼と職員会議で変更内容を周知し、共通理解を図っています。利用者に見合った適切な支援を提供しているか、職員会議などで見直し、改善点を話し合っています。また、職員と利用者の意見や提案をモニタリングや日々の支援から汲み上げて、個別支援計画や手順書に反映させています。声かけの仕方や作業状況、治具の変更など、利用者の状態変化に応じて内容を更新しています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画策定の責任者は管理者としています。受入実習前に利用者の基本情報や障害特性、健康状態などを聞き取っています。利用開始時のアセスメント表では医療状況、ADL、生活歴などを詳細を記載し、個別支援の根拠としています。また個別支援計画作成時には面談により利用者の意向を確認して、具体的なニーズを個別支援計画に反映しています。サービス管理責任者、ケース担当職員、作業統括担当職員の合議の上、個別支援計画を策定しています。朝礼夕礼を日々の支援の振り返りの場としています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

6ヶ月ごとにモニタリングを行い、個別支援計画を見直しています。利用者面談を通じて、利用者や家族からの意見、要望を聞き取っています。モニタリング内容を中間評価表にまとめ、今後の方向性について話し合い、支援内容や支援方法、次の目標設定を明示しています。個別支援計画の変更内容は、朝礼夕礼、職員会議を通じて職員間で共有しています。利用者の小さな変化も把握し、緊急時にも迅速に対応しています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

利用者一人ひとりの身体状況や生活状況、通所利用の様子を、ケース記録入力ソフトを使用して記録しています。入力後は職員全員に回覧した後、ファイリングしています。事務室のパソコンでは、サービス実施状況をいつでも確認できる体制となっています。記録の基本的な書き方は入職時研修で学び、その後、事業所内で実地指導しています。記録の他にも、終礼や職員会議を通じて、利用者状況を共有し、状態変化や不測の事態への迅速な対応が可能となっています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

法人では個人情報保護規程を定め、利用者情報の安全管理や適正利用などについて明記し、各事業所所長を監督者に指名しています。情報セキュリティ委員会を組織し、インターネット上にプライバシーポリシーを載せています。事務所で使用するUSBメモリは管理表を作成し、決して事業所外に持ち出さないルールとしています。入職時研修にて、職員倫理行動綱領と就業規則から個人情報保護について学び、法令を遵守しています。サービス利用契約時には、必要な個人情報使用について同意書を取り交わしています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

ホワイトボードに作業室全体の地図を描き、作業場所や担当者をマグネットで表して視覚化することで、作業現場理解の補助としています。軽作業や清掃などの活動内容は利用者の意向を大切に選択し、体力、動作、集中力、手指の巧緻性などを見ながら具体的な作業内容を決定しています。個別の治具を作成したり、荷台の置き場をテーピングで示すなど、利用者がスムーズに作業できるように個別の対応をしています。緩衝材の材料や文具を入れる棚のプラスチックバスケットも色分けや数字で表し、「どこで、何をするか」がわかりやすく、安心して作業が行える環境設定になっています。「いつでも就職できるように」とモチベーションアップを図りながら、服装や挨拶のアドバイスをしています。日帰りバス旅行のしおりを利用者が作成し、行事の食事は複数から選べるなど、自己実現や自己選択の機会を提供しています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

法人では権利擁護マニュアルを整備し、虐待防止と身体拘束排除について職員ハンドブックで説明しています。虐待にあたる行為、虐待の通報義務、緊急やむを得ず身体拘束を行う場合の3原則、役所への手続きなどを記載しています。サービス利用契約書には事業者の具体的義務として安全配慮義務や身体拘束の禁止の項目があり、契約時に利用者や家族に説明して理解を得ています。内部研修では職員倫理行動マニュアルの読み合わせの機会を設け、利用者との適切な関係性を築くように指導しています。また、法人では事故検証委員会と賞罰委員会を組織し、再発防止について検討する仕組みができています。施設に相談支援事業所を併設しているので、相談支援員が自宅へ訪問した際に、家族など養護者による権利侵害を発見する可能性もあり、その際には関係機関で連携を取り合い、利用者の権利擁護へ取り組む体制ができています。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

モニタリングや定期面談、日々の利用者とのコミュニケーションから、利用者の望む生活の理解に努めています。一人ひとりの強みと弱みを的確に把握して、個別支援に結び付けています。作業手順を視覚化したり、パーテーションで安心できる空間を作ったり、治具を提供するなど、利用者が自分の力を出して、一人で行える環境設定をしています。「どこまでできるか、なぜできないのか、できるためには何が必要なのか」を検討しながら、職員は利用者の自立を支えています。利用開始時に「わーくす川崎の一日」「わーくす川崎のルール」を配布し、事業所での過ごし方を伝えています。生活関連サービス利用の支援としては、事業所内で区分認定調査を受ける利用者もいます。また、バスのフリーパス購入方法を説明してサポートすることもあります。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

個別性への配慮を大切にしています。利用者の大半は「自分の気持ちをわかって欲しい、話を聞いて欲しい」とコミュニケーションへの意欲を持ち、休憩時間には利用者同士が集まり、また職員も輪に加わって会話を楽しんでいます。職員はゆっくりていねいに話を聞いたり、イラストや文字を多用したり、家族に代弁者として協力を得るなどして、コミュニケーションを深めています。意思表示や伝達が困難な利用者にあっては、更生相談所や相談支援センターなどの専門機関と連携し、様々なコミュニケーション方法を探求しています。日常的に利用者が事業所内線を使用して作業連絡をしたり、就労へ向けたビジネスマナー講座受講の機会を設けるなど、コミュニケーションのスキルアップを図っています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

就労継続支援B型では個別支援計画書のモニタリングを含め、8~9月と1~3月に利用者面談を行っています。就労移行支援では年1回~4回、必要に応じて家族なども出席し、三者面談の形をとっています。面談の他にも、日頃から利用者と職員のコミュニケーションは活発であり、休憩時間の事業所は活気があります。利用者ニーズの聞き取りから、グループホームやショートステイ、ガイドヘルパーのサービス利用の希望を把握しています。サービスの利用については職員が情報提供をしますが、利用者同士でもさまざまな情報を交換しています。グループホームや一人暮らしを視野に入れて、掃除や洗濯の工夫やお金の管理など、利用者の悩みや質問に対して職員が一緒に考える姿勢をとっています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

日中の作業活動には、企業から受託の軽作業、川崎市役所からの受託作業、清掃作業があります。作業とは別に、施設周辺の清掃を自発的に行う地域貢献も行っています。利用者の意向と適性に合わせて選択し、個別支援計画に位置付けてサービス提供しています。作業外の活動には、年2回の日帰りバス旅行、盆踊り、暑気払い、忘年会、複合施設内の敬老のつどいと春のつどいなど多彩であり、コロナ対策を万全にして実施しています。年に30日ほど土曜開所日を設けて、事業所に毎日通うモチベーションアップにつながるレクリエーションを企画しています。法人主催の音楽コンサートや絵画展の情報も提供しています。個別支援計画の見直し時には生活面や余暇も再度検討し、利用者の現状を反映させています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所では研修の機会を増やすため、シフトの調整、非常勤職員への声かけ、研修交通費全額補助を行っています。管理者の真摯な姿勢が職員を感化して、学びを大切にする事業所風土となっています。内部研修では「障害って何?」「障害福祉のサービス・制度」「自閉症の歴史」「東田直樹さん動画視聴」などをテーマとし、外部研修では強度行動障害や対人援助、後見人制度について学び、行動援護従事者養成研修にも参加しています。就労支援事業所であり、強度行動障害や不適応行動は表出していませんが、てんかん発作には注意を要し、職員間で対応法を共有しています。また利用者が自分の疲労やストレスのレベルを色で表し、周囲に伝える、カラーバロメーター方式を用いています。「わーくす川崎のルール」には「物をあげたり、貸したりしない」「個人情報は聞かない」「物を大切に扱う」など13項目があり、利用者モラルの維持に寄与しています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者も職員も同じ配達弁当を昼食としていますが、アレルギーのある人は、自宅から持参する場合もあります。糖尿病の人には塩分と食事量の調整をしています。季節に合わせて、型取りした野菜を彩りに添えるなどの工夫をしています。飲料は各自が持参して、食堂の冷蔵庫に入れ、休憩時間に水分補給しています。基本的に入浴支援は行っていませんが、稀に失禁などで汚れが激しい時にはシャワー使用が可能となっています。車いす使用の利用者には同性介助を基本とした排泄介助を行い、尿検査のフォローもしています。歩行器使用の利用者には移動介助を行い、歩行時の安全を確保しています。利用者が自力で事業所まで通所しているため、事故の発生などが危ぶまれています。定刻に出席していない場合は、利用者を探しに行くまでの手順を15分刻みで決めて、緊急時の備えとしています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

毎日の作業の一部として、事業所とトイレを利用者と職員が清掃しています。文具や工具を所定の位置に置き、作業時に出るゴミは直ぐに片付ける習慣がついていて、安全に過ごせるように努めています。食堂テーブルにはアクリル板を設置、使用の都度消毒を行い、コロナ対策を継続しています。食堂横に畳スペースをしつらえ、横になって休息できる場所となっています。他者の動きや音が気になる人は、パーテーションで区切った部分で作業に集中するように配慮しています。相談室や更衣室で一人になることができます。事業所の環境についても利用者の満足度を聞き取っています。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:b】

作業前にはラジオ体操で身体をほぐし、午後にはストレッチの時間も設けています。作業活動を通じて立ち仕事や荷運びの力仕事も多く、かなりの運動量を確保しています。運動が必要な利用者には、身体を動かす作業を提案することもあります。法人のトランスフィットネス事業部の介護予防プログラムに参加し、脳トレや骨盤体操、「チェアビクス」で楽しみながら運動する機会を提供しています。更生相談所と連携して、訪問リハビリテーションを利用する人もあり、個別支援計画書に位置付けてサービスの利用を継続しています。モニタリングは定期的に行っていますが、機能訓練・生活訓練の計画を見直しする視点が十分ではないので、今後の課題となっています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

朝礼でその日のコンディションを確認してから、作業に入ります。利用者体調管理表に体温、咳や鼻水など諸症状の有無を記入して、コロナ感染対策を継続しています。毎月1回体重と血圧を測定し、嘱託医による健康相談を実施しています。測定値をグラフ化し、年1回の健康診断の結果報告書とともに利用者へ渡し、体重管理や食事内容についてアドバイスする際の資料となっています。その結果、昼食の量を調整するなど具体的な対応につなげています。利用者のかかりつけ医や処方内容を把握して、体調変化などの緊急時に即応できるような体制としています。ごく稀に失禁の処理として、シャワー浴やトイレでの介助を行っています。利用者の健康管理等についての定期的な研修の実施等はできていません。取組が期待されます。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:非該当】

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の希望を聴取してパソコン教室参加や語学サークルなどの情報を提供していますが、学習支援にまでは踏み込めていない現状です。年2回の日帰りバス旅行のレクリエーションや施設外の清掃作業の機会を利用して、社会参加の場を提供しています。長年近隣の駅までの清掃を継続し、地域住民と直接ふれあう機会を得ています。利用者が好きなCDを順番に持ち寄り、休憩時間にその音楽を皆で聞く時間を設けています。音楽を通じてその人となりを理解し、利用者同士が交流する糸口となっています。利用者同士のやり取りについては、家族の意見も考慮しながら関係を取り持っています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

相談支援事業所やケアワーカーとチームで支援にあたり、個人面談や利用者評価表を参考にして、生活の希望や困りごとなどを聞き取っています。アパート暮らしやグループホーム入所、移動支援サービスの利用について職員とともに検討し、地域生活の充実と意向の実現を図っています。利用者同士でも、グループホームでの生活やヘルパーとの買い物などの詳細について、情報交換しています。親から独立して一人暮らしを始めるという、夢を実現した利用者仲間から情報が得らることで、地域生活への不安が解消され「自分にもできるかも、自分もやってみたい」との自信が身についています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

面談、電話、メール、連絡帳など、いろいろな手段で家族へ状況報告をしたり、相談を受け付けたりとコミュニケーションを図っています。個別支援計画作成時には家族へ会議参加を促し、支援の方向性を確認し合っています。利用者と家族、双方の意見や希望を聞き取って、家族関係にはデリケートな配慮を心掛けています。ご家族会など家族の来所機会も多く、参加率も高くなっています。ご家族会の取りまとめは管理者が行い、活動スライドの鑑賞や事業報告、福祉サービスの情報交換などを行っています。また親の高齢化に伴う「親亡き後」を共に考える場ともなっています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画のモニタリング時に就労支援のサービス提供を振り返っています。また企業など施設外での体験実習を実施して、利用者の経験値を広げるとともに、適性の確認をしています。半年ごとに利用者個別の評価表を用いて、就労に向けた人材評価を行っています。68点満点、4段階に分けて、生産性点数表と多能化点数表に点数を表示します。点数の多寡を見るのではなく、あくまでも「今の自分の姿」を利用者が客観的に把握する根拠としています。ビジネスマナー講座や疑似面接を実施していますが、それは社会生活全般にも通じるマナーやルールでもあり、利用者は仲間とともに楽しく前向きに取り組んでいます。「働くこと」が習慣化するように、家族やグループホーム職員、相談支援専門員などへ生活リズム確立やモチベーション維持への声かけ、促しを依頼して、協力体制を築き、チームで支援しています。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:a】

個別に治具を作成したり、作業やスケジュールを視覚化することで、利用者一人ひとりの「働きたい」思いの実現に向けています。軽作業には緩衝材作成、封入封緘、箱折り、ラベル貼りなどがあり、清掃作業先は複合施設内トイレ、企業のトイレや洗面所、受託先アパートの外まわりや共有部分など、選択肢を増やしています。工賃については契約時に重要事項説明書を読み合わせ、「わーくす川崎工賃規程」に沿って説明しています。利用者会でも定期的に内容を確認して、質疑応答しています。今年度の重点目標の第1番目は「作業工賃向上」であり、事業計画書や作業室内掲示に目標額を明記して、利用者と職員の奮起を促しています。半期ごとに工賃評価を見直し、現況と課題を利用者と共に検討しています。危険が伴う作業は、職員が担っています。作業時間は固定し、定時開始で定時終了であり、残業はありません。休憩時間と休憩場所を確保して、労働環境を整備しています。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:a】

就労援助センターやハローワークと連携し、職場開拓には数々の取引実績があります。寺院の販売準備を経て水引作成者へ、デイサービスの話し相手担当から車いす移動やフロア担当へ変遷するなど、利用者の意向や希望に随時対応してステップアップを図っています。職場見学や体験実習の機会に、企業や特例子会社にもさまざまな利用者との関わりを持ってもらい、雇用側と就労希望者側の相互理解に努めています。企業に赴き、障害者雇用についての勉強会を継続しています。採用前には必ず一定期間の実習を行い、利用者がその会社や仕事、作業環境と合っているのか見極めています。就労後にも定期的に職場を訪問し、ジョブコーチ方式で利用者支援を継続しています。就労定着支援では「就労者の会」を実施しています。就労者が集まり、ゲームや食事を楽しみながら、近況報告や今後の目標について話し合う場を提供しています。