社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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川崎市南部身体障害者福祉会館

2020年04月13日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 公益社団法人神奈川県社会福祉士会

② 施設・事業所情報
名称 川崎市南部身体障害者福祉会館 評価対象サービス 障害者・児福祉サービス版
対象分野 生活介護 定員 20 名
所在地 210-0834
川崎市川崎区大島1-8-6
TEL 044-244-3971 ホームページ www.kfj.or.jp/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1993年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 川崎市社会福祉事業団
職員数
常勤職員:10名 名
非常勤職員:4名 名
専門職員
管理者:1 名
生活支援員:7 名
栄養士(兼務):2 名
医師:1 名
看護師:1 名
事務員:2 名
施設・設備の概要

③ 理念・基本方針
「基本理念」として下記の4項目を掲げている。
1.充実したサービスの提供 2.地域に根ざした施設運営 3職員の資質、能力向上
4.法人の体制の整備
施設の「方針」として下記を事業計画に明記し職員に周知している。
障害者が日常生活または社会生活を営むための支援は全ての国民が障害の有無にかかわらず等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるべきものであるという理念に基づき、利用者一人ひとりが「自助」「互助・共助」「公助」の連携により住み慣れた地域の中で自分らしく生きがいのある暮らしができるように、利用者の意思決定を尊重した支援を行いながら、生活介護の障害福祉サービス事業を実施する。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
 南部身体障害者福祉会館は、川崎市社会福祉事業団が平成5年4月に川崎市から受託し施設運営を開始し、会館事業(定員100名)と生活介護事業(定員20名)を運営し今日に至っている。会館事業は、地域の障害者や福祉関係者が行う会議や研修のための会議室の提供、地域福祉活動を進めるための手話や点字の講習会の開催、ボランティア育成、障害者のための相談事業等を行っている。
 生活介護事業は、創作活動等の日中活動を通して、障害者福祉の向上を目指している。創作活動では、30年の伝統をもつパッチワーク風マットやステンシル染めデザイン布袋などの自主製品を製作し、地域の各種イベント会場や販売会で利用者が販売し地域の人達との交流を図っている。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2019/09/24(契約日) ~2020/03/16(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(平成26年度)

⑥総評
特に評価の高い点 ①利用者のストレングス(強み)を活かした個別支援計画を策定している。
  職員は、個々の利用者のストレングス一覧を作成し、利用者の強みを活かした個別支援計画を策定している。利用者一人ひとりの日常生活を注意深く観察し、「自分の仕事に一生懸命取り組む」「真面目で手抜きをしない」など利用者の強味を10も20も観察し一覧表にまとめている。職員は、利用者・家族と話し合い、利用者の強みを生かした個別支援計画の目標を決定している。個別支援計画の目標を記載した「ニーズ一覧表」を作成し、職員は日々の利用者支援でニーズ一覧を用いてストレングスに配慮した支援が実践できていることを確認している。
②利用者の社会参加を積極的に支援している。
  パッチワーク風マットやステンシル染デザイン布袋等の自主製品を各地の販売会やイベント会場で利用者自らが販売し地域の人達との交流を図っている。毎年定例の南身館フェスティバルや川崎市手をつなぐフェスティバルなど多数の地域のイベントに積極的に参加している。外出レクリエーションの一環としてホテル昼食会や浅草見物、土・日を利用したコンビニ買物など利用者の社会参加を推進している。地域の障害者相談支援センターと連携し、利用者が地域における社会資源を活用し地域の人達と交流し活動範囲が広がるように支援している。
③利用者の障害特性に配慮し、利用者の主体性を尊重した支援に努めている。
一人ひとりの心身の状況や生活習慣を理解することで、職員は利用者をより身近に感じ、よりよい支援につなげている。利用者が自力で行う生活上の行為はできるだけ本人にやってもらうようにしている。運びやすいようにかごを準備することで、後片付けを利用者自身ができるようにしている。日常生活に置ける利用者一人ひとりの係を決めている。利用者は、テーブル拭き係やコップ洗いの係、連絡帳の配付係、ゴミ出しの係などを担当している。利用者はそれぞれが役割意識を持ち、共同生活の中でお互いに協力し合うことの大切さを学んでいる。
改善を求められる点 ①利用者の権利意識の強化の支援が期待される。
虐待防止マニュアルを整備し人権研修を実施し、職員は定期的に人権権擁護に関するセルフチェックを行い人権意識の強化に努めている。加えて、利用者の権利意識の強化につながる支援を行い、利用者への権利侵害防止の一層の強化につながる取り組みが期待される。
②利用者・家族に分かりやすい存在としての第三者委員体制の工夫が望まれる。
重要事項説明書に苦情対応・相談の窓口について掲載し、第三者委員会の存在について明記しているが、第三者委員が利用者・家族に分かりやすい存在として、気軽に相談できる利用者・家族に分かりやすい仕組みの検討が望まれる。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
細かく見て頂き、今後の振り返りに参考にします。
各帳票、マニュアル等の準備に関して、事前にお知らせいただけると良いかと思います。また、質問内容に関しても準備している資料に目を通していただけると、ヒアリングも効率的かと思いました。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

「充実したサービスの提供」「地域に根ざした施設運用」など4項目を基本理念に掲げている。基本理念の項目ごとに基本理念の実践に向けた基本方針を明確にしてホームページやパンフレットに掲載し、また、基本理念を掲示して職員に周知している。
 事業計画に理念の実現に向けた重点項目を明記し職員会議で説明し職員に周知している。館長は年2回実施の職員面談で職員の理念の理解と実践に向けた意識の強化を図り、また、年度始めの家族会で事業計画を説明し家族への理念の周知を図っている。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

 川崎市の福祉制度改正や施設を取り巻く経営環境の変化、福祉ニーズの変化に適切に対応するために法人の中長期計画を策定している。法人内施設の代表が参加し平成31年度4月に法人の中長期計画(平成31年度~令和10年度)を作成し、「地域貢献の充実」「災害対策」「利用者本位の確立(権利擁護)」等16項目を設定し、今後5年間の取り組み課題を明確にしている。月1回の施設長会議で施設の稼働率等の推移状況や事業計画の重点目標の進捗について報告し、事業経営を取り巻く環境条件に関する情報交換を行い、福祉サービスのニーズ等の把握に努めている。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

 法人の中長期計画の実現及び施設運営の課題の解決に向けて事業計画の重点目標を設定している。平成30年度事業計画に生活介護事業の実施にむけて稼働率の向上を図ること、自主製品の販売会に積極的に参加し工賃の向上を図ること、及び利用者家族の高齢化の中で安定した在宅生活を継続するために関係機関との連携の強化を図ることを重点目標に掲げている。
 分掌一覧を作成し業務毎の推進責任者を明記し、職員会議で分掌ごとの課題の対策について話し合い、個々の職員の業務内容についての情報共有を図っている。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

 法人としての中長期計画を策定している。中長期計画に、川崎市が最重要施策としている地域包括ケアシステムの構築に向けた取組や災害対策等、行政との連携による取組と利用者本位のサービス提供の方針を明記し、施設運営の基本方針を明確にしている。法人内の施設の代表が集まり、高齢化や重度化、人権擁護、災害対策、コンプライアンスの強化及び人材確保の問題等、施設環境の変化や地域の福祉ニーズへの対応に向けた16項目の具体的課題を設定し、今後5年間の取り組みの中期方針を明確にしている。また、中長期計画の実践に向けた施設の単年度事業計画を策定している。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

 中長期計画の実現に向けた単年度の施設の事業計画を策定している。「利用者一人ひとりが住み慣れた地域のなかで自分らしく生きがいのある暮らしができるように、利用者の意思決定を尊重した支援を行い、生活介護の障害福祉サービス事業を実施すること」を施設運営の方針として明記し、重点目標を定めている。
 平成30年度事業計画の重点目標に、生活介護事業の実施にむけて稼働率の向上を図り、自主製品の販売会に積極的に参加し工賃の向上を図ること、及び家族の高齢化の中で安定した在宅生活を送るために関係機関との連携の強化を図ることを掲げている。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

 月一回実施の法人主催の施設長会議で、館長は施設の稼働率等事業計画の重点目標の推進の状況を報告している。また、指定管理者としてのサービス評価を3ヶ月ごとに実施し市の所管課から定期的にヒアリングをうけ施設運営の健全化に努めている。事業計画は全体職員会議で職員に説明し周知を図っている。しかし事業計画の達成状況の評価、見直しは担当職員の意見を積み上げた組織的対応での策定ではなく、事業分掌の担当職員の意見の積み上げによる組織的対応が期待される。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

 月1回家族会を実施し施設運営の状況を家族に説明し、また、家族の要望や意見の把握に努めている。年度始めの家族会で事業計画を家族に配付し、施設運営の方針や重点目標について説明している。
 また、毎月開催している利用者の会議で工賃のことや食事、外出イベントの行き先など利用者の意見の把握に努めているが、事業計画等の施設運営に関する話の機会にはなっていない。分かりやすく写真やイラストを用いて利用者に説明し理解を促す取り組みが期待される。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

 毎年11月に法人主体の利用者満足度調査を実施している。満足度調査の結果を分析し結果のとりまとめを行い、施設内に掲示し年度始めの家族会で説明し利用者・家族に周知している。また、指定管理者として定期的に施設運営状況について川崎市の所定の評価項目による自己評価を実施し、サービス改善の課題の把握に努めている。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

 利用者満足度調査の指摘事項を分析し課題の把握に努めている。平成30年度に職員の利用者に.対する不適切な呼称の問題の指摘があり、外部講師を招いて人権擁護研修を実施している。自己評価や利用者満足度調査の結果を分析し、課題一覧を整備し一層のサービス改善を図り改善に向けた組織的取組の推進が期待される。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

 職務基準を整備し、施設長など管理者に期待される職員像、社会人としてのコンプライアンス、組織人として、また、専門職として管理者に求められる責任について明記している。施設長は分掌一覧を作成し、分掌ごとの責任者を定めて職員に周知している。また、事業計画を策定し、年度ごとの施設の重点目標を定め、目標の実践状況を職員会議等で確認し達成状況を事業報告にまとめている。
 また、災害発生に備えBCP(事業継続計画)を策定し、会館全体の消防隊長を館長が務め、災害発生時の利用者の安全確保に努めてい.る。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 法人の中長期計画の重点目標にコンプライアンスの強化を掲げ、平成31年度に外部委員による「改革のための検証評価委員会」を立ち上げ、コンプライアンスを徹底し中長期計画の年度ごとの評価を行うことにしている。年2回、コンプライアンスの強化に関する法人のチェックがあり職員の注意を喚起している。
 また、川崎市集団指導講習会に参加し、介護支援に関する各種制度の改正、虐待・拘束等の人権擁護に関する法令制度についての理解を深めている。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

 毎年定期的に利用者満足度調査を実施し、課題を整備し利用者サービスの向上に努めている。平成30年度事業業計画の重点目標に、自主製品の販売を促進し工賃の向上を図り利用者の自主性と活動意欲の向上を図ることを明記している。台所や浴室用のパッチワークマットや染色布袋製品を自主製品として販売している。今年の南身館フェスティバルでは7万円の売り上げがあり工賃アップにつながっている。11月は生活介護利用者平均の工賃は9000円であった。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

 業務分掌を整備し職員全員の役割分担と責任を明確にし職員会議で管理者が分掌の考え方を説明し職員に周知している。稼働率の向上を事業計画の重点目標に掲げている。目標管理制度を実施し、業務の実行性を高めるチーム目標を活かした取り組みを推進し、利用者が積極的に通所してくれるように努めている。目標管理シートに共通業務の重点チーム目標と個人目標を設定し、目標の達成に努め、職員会議でチーム目標の達成状況を評価し課題の対策を講じている。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

 正規職員の採用は法人が行い非正規職員は施設の裁量で採用している。館長は業務分掌を整備し職員一人ひとりの職務と責任を明確にしている。館長は職員の適材適所配置に努め職員の定着化に力を入れている。人材確保については市内の高校生の実習生を積極的に受け入れることで施設の福祉サービスの理解者を採用につなげるように努めている。法人と連携し職員の確保に努めていますが退職職員の途中補充は厳しい状況である。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

 法人の人事考課制度が整備されている。組織の理念・価値観・方針を共有し、人事考課表を整備し、「人事管理トータルシステム実施計画」に基づいて目標管理に取り組んでいる。職員は、目標管理シートにチームとしての重点業務目標や個人の能力開発目標を明記している。目標管理は正規社員及び契約社員の双方を対象にしている。目標管理の達成度を本人が評価し、また、館長が年に2回職員面接を実施し、目標管理の達成度について情報共有を図っている。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

 館長は職員が有給休暇を取りやすい雰囲気づくりにつとめ、職員間で調整し全職員が年間5日以上の有給休暇を取得している。また、時間外労働もほとんどない状況である。年1回職員のストレスチェックを行い、定期的に産業医が施設を巡回し職員のメンタルヘルスの相談に応じている。また、川崎市勤労者福利共済に加入し正規職員の福利厚生に努め、また、契約社員については法人の福利厚生助成金の制度を活用している。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 目標管理シートに職員は自身の能力開発目標を明記し、年2回上司との面接を行い達成度を評価し目標達成に向けた課題を共有している。目標管理シートを用いて職員のチームの一人としての業務に対する組織的対応の育成を図り、職員一人ひとりの自己統制によるスキルアップを図っている、
 また、入職職員に対しては「業務管理(Do-Cap)シート」を作成し、本人の取組んだ業務に関するPDCAについて記述するしくみを整備している。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

 人事考課制度の職務基準に階層別に職員の期待される職員像を明記し、研修計画を策定し全職員に周知している。また、勤務年数や役職に応じた法人主催の階層別研修(新人、5年、10年、主任、係長等)制度が整備されている。職員の目標管理の業務目標や能力開発目標の達成にむけて、職員と上司が面接し情報の共有を図り、目標達成に必要な研修受講につなげている。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

 目標管理シートに担当業務の遂行に関する研修や個々の職員の能力開発目標を明記している。管理者は職員と面談し目標を共有し研修等受講案内を個々の職員に通知している。平成30年度の研修事項は外部研修13件、内部研修2件で参加者は19人であった。外部研修は職員の能力開発目標に沿った実習指導者研修等があり、内部研修では毎年定期的に人権研修を実施している。法人主催の研修は正規職員が対象である。その他の支援員には研修案内を行い必要性に応じて受講の声掛けを行っている。正規職員の教育・研修計画は整備されているが、非正規契約職員の育成計画は策定されておらず、契約職員の研修計画の作成が期待される。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

 積極的に実習生の受け入れを行っている。平成30年度は、高校の単位取得実習生40人、教員免許介護体験の実習生30人を受け入れている。目的に応じた実習プログラムを整備し、実習生受け入れマニュアルを作成し利用者の個人情報やプライバシー保護に関する注意を喚起している。実習生は利用者の個人情報保護の誓約書を提出している。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

 ホームページに法人の基本理念や理念の実践に向けた基本方針、年度ごとの事業報告、収支報告等を開示している。施設の事業計画や事業報告、利用者・家族満足度調査の結果などについて家族会で説明している。また、施設の広報紙を家族や地域の関係機関に配付し、利用者の活動状況や各種のイベント、自主製品販売会の情報などを伝えている。第三者評価結果はホームページに公表し、苦情解決や相談受付窓口、及び苦情対応体制について掲示し利用者・家族に周知している。苦情の内容や対策については公表していない。苦情内容等を利用者・家族に公表し施設の一層のサービス改善につなぐ取り組みを期待される。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

 毎年5月に内部監査を実施し、また、年1回会計監査を受審し施設運営に問題のないことを確認している。また、川崎市の指定管理者として施設運営に関する市の評価をうけており、施設の運営状況、収支状況、サービス・組織管理体制などの評価結果が毎年ホームページに公開されている。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 毎年11月に開催の南身館フェスティバルではボランティアや近隣の住民、家族等が参加し、バザーや模擬店、利用者の自主製品の販売などで盛り上がっている。また、12月は区の社会福祉協議会主催の福祉祭りに参加し自主製品の販売を通して利用者が地域の人達と交流している。その他にも川崎市手をつなぐフェスティバルやKAWASAKI産SUNフェスティバルなど多数の障害者施設のイベントに参加し利用者の活動の地域の拡大を図っている。また、施設の貸館業務を拡大し、町内会などとの連携の強化を図っている。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

 ボランティアを積極的に受け入れ全館としてのボンティア育成に努めている。ボランティア受け入れマニュアルを作成し、利用者のプライバシーの尊重等の注意を喚起している。平成30年度は延べ36人がボランティアとして活動し、宿泊旅行のボランティア9人や南身館フェスティバルでは13人のボランティアが協力している。
 地域の福祉ボランティアの育成に努めている。南部身体障害者福祉会館の手話や点字講座の卒業生にボランティアとしての活動を支援し、地域のボランティアの育成に努めている。また、ボランティアを対象に小学生の社会福祉教育を開催する中で、課題となっている子どもの貧困問題等に取り組むボランティアの育成を図っている。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

 川崎市の障害者相談支援センターや福祉事務所、保健福祉センターと利用者支援について連携し、新規の利用者の受け入れにつなげている。また、施設と関わりのある手話サークルや点字サークルなどのボランティア団体と連携し、行事等の交流を通じて市民に施設を理解してもらう取り組みに努めている。年一回運営委員会を開催し、地域の障害者団体に施設の事業内容について報告し、施設への地域の理解を深めている。今後は個々の利用者の状況に対応する関係機関のリストを整備し、利用者のアフターケア等を含めた地域ネットワークの情報整備が期待される。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

 法人の中長期計画に、地域貢献の充実をうたい、その実現に向けた具体策を施設の事業計画に明記している。施設を取り巻く地域の関係機関と連携し、地域の自立支援協議会や地域の各種イベントに積極的に参加し地域ニーズの把握に努めている。また、川崎区社会福祉協議会評議員として活動し、関係団体の状況と施設への地域福祉ニーズの把握に努めている。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

 利用者が作成した自主製品の販売を通して利用者が地域住民と交流し障害者への地域の理解を深めている。また、全館の活動に参加し、小学生を対象とした社会福祉教室を開催し、障害者への理解を深めるとともに、深刻化する子どもの貧困問題について講演し、こども支援センターなどの関係機関と連携し子ども食堂の運営等の支援をしている。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 基本理念及び基本方針に利用者を尊重したサービス提供について明記し、会館の廊下に掲示し職員や利用者に周知している。職員規範や就労規則に利用者の人権を尊重することが明記されており、職員は入職時に研修を受け、その後は、職員会議などにおいて、自分たちの支援について振りかえりを行っている。また、年2回自己評価表に基づいて館長と面接を行っており、基本理念や基本方針について理解していることを確認している。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

 法人のプライバシーポリシーを掲げホームページに掲載し、個人情報の適切な取り扱いについて規定している。排泄・着替え食事支援などに関して利用者個々のマニュアルを作成し、また、職員間で利用者の尊重やプライバシー保護について話し合い利用者のプライバシーに配慮したサービスの提供に努めている。しかしプライバシー保護を明記したマニュアルはない。個々の利用者の障害特性に配慮し、人権擁護の視点でのプライバシー保護マニュアルの策定が望まれる。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

 法人のホームページに基本理念や基本方針を明示し施設概要や運営方針ついて掲載している。また、パンフレットに施設運営の方針を明記している。年1回機関誌を発行し、写真等を用いて分かりやすく施設を紹介し地区の自主製品の販売会等で配布している。見学者には、パンフレットと機関紙を配付し、会館の利用や活動について丁寧に説明している。支援学校の生徒などを対象に一日利用を受付け施設の理解を深めてもらうようにしている。しかしパンフレットの内容は施設サービスの選択に十分な情報とは言えず見直しが望まれる。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

 サービスの開始の際には、契約書と重要事項説明書を丁寧に説明し、理解の上で同意の署名をもらっている。個人情報の取り扱いについても同様である。契約書や重要事項が変更される時は文章を読み上げて丁寧に説明し文書で同意を得ている。意思決定が困難な利用者は、成年後見制度の利用を勧めている。契約書や重要事項説明書については、利用者の障害特性に配慮し、ルビを振るなど利用者に優しい資料つくりの工夫が期待される。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

 他の施設・事業所や地域・家庭への移行につては、フェイスシートや個別支援計画書を活用し引継ぎを行っている。利用者の心身の状況や意向を伝え、スムーズに移行ができるように支援している。生活面での著しい変更や不利益が無いように配慮している。また、サービスを終了した後の施設の相談窓口を設定し、いつでも相談に応じる体制を整えていることを利用者に伝えている。今後は、アフターケアについて書式を整備し書面で伝えるよう工夫し、本人が安心して移行できるための配慮が望まれる。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 年1回、定期的に利用者満足度アンケート調査を実施している。施設の基本方針や人権への配慮等の事項についてアンケートを実施している。法人がアンケートの結果を集計し、内容を分析し課題を整備し結果を職員に周知している。アンケートの結果は年度始めの家族会で説明している。
 また、年2回、個別支援計画のモニタリングや見直しの時期に利用者・家族と面談し、個別支援計画の目標の達成状況について利用者の満足度を確認し、また、要望や希望について把握し個別支援計画の見直しに反映している。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

 苦情解決について会館の苦情・相談対応要領が策定されている。また、「苦情解説・相談のお知らせ」を作成し苦情解説の仕組みについてフローを明記し廊下に掲示し、苦情解決責任者及び苦情受付担当者は館長であることを伝えていている。
 重要事項説明書に苦情対応・相談の窓口について掲載し、第三者委員会の存在について明記しているが、第三者委員は利用者に分かりやすい存在とは言えないようである。第三者委員への苦情の申立は極めて少なく、第三者委員が利用者・家族に分かりやすい存在として、気軽に相談できる利用者に優しい仕組み作りの検討が望まれる。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

 利用者が相談したり、意見を述べるときに複数の方法があることや相手を自由に選べることを、重要事項説明書に記載し説明している。また、「苦情解説・相談のお知らせ」を作成し苦情解説の仕組みについてフローを明記し廊下に掲示し、苦情解決責任者及び苦情受付担当者は館長であることを伝えている。相談に応じる時には、利用者が話しやすいよう別室で行っています。苦情の仕組みの必要性など利用者に分かりやすく説明した資料を掲示し、利用者が気軽に何でも職員に相談できるように雰囲気作りに配慮している。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

 職員は、日々のサービス提供において、利用者とコミュニケーションを取り、相談しやすい関係作りに
努めている。年1回アンケートを実施し、玄関に意見箱を設置し利用者の相談に応じる体制を整えている。しかし、相談や意見を受ける際の対応や相談の記録等について明記したマニュアルは作成していない。相談マニュアルを整備し、利用者のプライバシーを尊重し必要に応じ相談内容について職員間の情報共有を図り、必要に応じて館長やサービス管理責任者を含め、また、関係機関と連携し組織的に対応する仕組み作りが期待される。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

 リスクマネジメントに関する責任者は、施設長とサービス管理責任者である。事故発生時の対応について、車両事故と一般の事故の対応を記載したマニュアルを策定している。また、救急救命の手順や心肺蘇生についてのマニュアルを用意しており、職員会議などで職員に周知し、事務所に設置している。事故報告書やヒヤリハット報告を記載する時には再発防止策についても検討し、職員に周知している。
 事故防止策については必要時に検討して見直しを行っている。今後は、個々の利用者障害特性に対する事故防止のリスクマネジメントの一層の強化と事故防止に関わる職員研修の実施を図り、職員の事故防止の徹底をはかる取り組みを期待したい。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 感染症対応マニュアルを整備している。看護師主体に職員に感染症の流行前に嘔吐物の処理の仕方について説明し、食中毒等の緊急時の迅速な対応に努めている。マニュアルは、適宜、見直しを行っている。感染予防のため、手洗いうがいを励行し、おむつ交換時にはグローブを使用し、手摺りを毎日消毒している。日頃、施設全体で利用者や職員の健康状態に注意している。利用者、職員ともにノロウイルスやインフルエンザの感染症に罹患したことはなく、日頃の対策の効果がうかがえる。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

 会館の防災マニュアルを整備し火災・地震・水害時の対応について明記し、災害発生時の緊急対応に備えている。館長が会館の自衛消防隊の隊長である。「防災訓練実施計画」を作成し年2回、会館としての避難訓練を実施ししている。また、災害時の対応体制、会館の防災組織表、予防管理組織及び職員の任務と緊急連絡一覧表を整備している。現在の安否確認の方法は、災害伝言ダイヤルを使用することとしている。備蓄品は3日間用意し緊急時に備えている。避難経路の滑り台の老朽化がみられる。消防署と連携し避難経路の点検が望まれる。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

 作業室「飛行船」の利用者支援に係る業務jマニュアル「飛行船マニュアル」を作成し、所定のフォルダーで管理しいつでも職員が参照できるようにている。業務マニュアルには日々の生活支援やマット作りや染色など作業種ごとに製品作りについて記載している。また、送迎や旅行に関する事故防止等業務分掌ごとに、直接利用者支援に係る事項について明記している。
 全体職員会議で業務マニュアルに必要な記載項目を話し合い、利用者ニーズに対応できるマニュアルの作成を行っている。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

 年1回マニュアルの見直しを実施している。今年度は5月に業務マニュアルの見直しを実施している。職員会議で業務分掌ごとに利用者支援に係る作業内容について検討し、分かりやすいマニュアルであることをチェックし見直しを実施している。全体職員会議で業務マニュアルの作成状況について確認し職員間の情報共有を図っている。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

 個別支援計画見直しに合せて年1回アセスメントを実施している。利用者の移動や歩行等生活基盤に関すること、食事や排泄等日常生活に関すること、コミュニケーション能力等に関するアセスメントを実施している。利用者支援ニーズを把握し、支援していく上での課題を明確にしている。利用者別履歴書を作成し利用者の生育歴や病気・障害の状況、作業室での生活支援等記載し、また、本人の「ストレングス項目一覧表」を作成し個別支援計画の策定に反映している。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

 年1回個別支援計画の見直しを実施している。半期ごとに個別支援計画の目標に沿ってモニタリングを実施し、目標の達成度を評価し個別支援計画の見直しに反映している。関係者が集まりケースカンファレンスを実施し、アセスメントやモニタリングの結果を基に利用者支援の課題を明確にしている。
 利用者の希望とストレングスに配慮しサービス管理責任者が中心となり個別支援計画を策定し、目標ごとに優先順位をつけて利用者・家族の同意を得て確定している。利用者の状況の変化が大きい時は随時ケースカンファレンスを実施し個別支援計画の見直しを行っている。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

 ケース担当職員は日々の利用者支援に係る情報をケース記録に書きとめている。日々の利用者支援については、「ニーズ整理表」を作成し、個々の利用者の個別計画の支援目標から優先課題を一つとりあげ、一覧表を作成している。職員は日々の支援でニーズ整理表を必要な都度確認するようにし、支援の実践の状況をケース記録に書きとめている。また、ニーズ整理表に利用者一人ひとりのストレングス一覧表を作成し、職員は利用者が自分の得意とすることを活かしてのびのびと日常生活を送れるように支援している。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

 法人としての文書取り扱い規定を作成し、文書類の管理の強化に努めている。館長が個人情報管理責任者となり、個人情報保護方針を掲示し職員に周知し情報の漏洩や不正利用の防止に努めている。パソコンの個人情報はパスワード管理をしている。
 パソコンの情報廃棄の管理規定等を整備し、情報の種別による管理責任者を定め個人情報の安全性に関する管理の意識の徹底を図る取り組みが望まれる。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 利用者の個別支援において、一人ひとりの自己決定を尊重して支援を行っている。事業所では、主な作業として、自主製品のパッチワークのマットや敷物作り、染色で模様を施した袋作りやティッシュペーパーカバー作り、ビーズアクセサリー作り、委託事業として、洗濯ネット作りとシーツカバー作りを行っている。利用者は、これらの作業の中から、希望に応じて作業を選択している。職員は、作業を行うにあたり、作業が支障なく無理なく行えるよう個別性に配慮し、無理なく作業ができるように支援している。
 利用者会を毎月開き、外出レクや宿泊研修の希望などについて話し合い、年度初めにはテーブル拭き、コップ吹き、洗濯物干し等係りを決め、生活に関わるルールなどについて話し合っている。職員が利用者の権利についてミーティングで職員間の情報共有を図り、職員会議で話し合い、また、昨年度専門の講師を招いて人権擁護の勉強会を実施している。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利侵害の防止等に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:b】

 職員間のコミュニケーションを大切にし、風通しのよい職場となるよう心がけている。作業場が一部屋であり、複数の職員で仕事をしているため、気になることがある時には、お互いに伝え合える環境となっている。職員会議などで虐待防止について勉強会を行うほか、職員一人ひとりが年1回虐待防止に関するチェックリストを記載し、自身で気をつけるとともに、法人で集計し職員間で検討しする機会を持っている。
 また、気になることがある時には、ミーティングや職員会議で話し合っている。虐待防止マニュアルを整備し、虐待や身体拘束の状況については行政に報告することを規定している。また、虐待の早期発見の仕組みを徹底し、利用者の権利意識の強化につながる支援を行い、利用者への権利侵害防止の一層の強化につながる取り組みが期待される。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 利用者の心身の状況や生活習慣、利用者の要望を把握し、個別支援計画を策定している。一人ひとりの情報を、フェイスシートやアセスメントシートに記載し、加えて「利用者履歴書」というファイルにまとめている。職員はそのファイルを見ることで個々の生育暦、身体状況、必要な生活支援、本人の希望やストレングス(強みや可能性など)を把握できるようにしている。
 職員は、一人ひとりの心身の状況や生活習慣などを理解することで、利用者をより身近に感じ、よりよい支援につなげている。利用者の支援は、自力で行う生活上の行為を尊重しできるだけ見守るようにしている。障害特性に応じ運びやすい籠を準備するなどして、準備や後片付けをできるだけ利用者自身にやってもらい、また、持ち物の管理なども自身で行ってもらっている。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 コミュニケーション能力が十分でない利用者について、職員は何度か話してもらい曖昧にせずにしっかり利用者の思いを確認している。新人職員や実習生などは、利用者の話しの内容を理解できないような場合には、他の職員に協力してもらいしっかりコミュニケーションがとれるように心がけている。意志表示や伝達が困難な利用者の希望も障害特性をよく把握している職員の協力を得て、適切に理解するよう努めている。利用者のコミュニケーション能力を高める取り組みに努めている。更生相談所の言語聴覚士や理学療法士などの指導を受け、口の周りの筋肉を柔らかくして話しやすくしたり嚥下機能を高めるための口腔嚥下体操を実施している。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

 年2回、個別支援計画のモニタリングや計画の見直しの時に職員は利用者・家族と面談し、利用者の要望や希望、思いの把握に努めている。また、日常の活動においては、利用者とのコミュニケーションを大切にし、いつでも気軽に個別に話ができるよう配慮している。新しい作業を始める時には、利用者に作業の説明を行い、作業を担当するかどうか確認している。
 また、外出レクの行き先が初めての場合などは、行き先の情報を伝えている。宿泊旅行の時には、職員が予め宿泊先の下見に行き、ビデオやパンフレットを使って説明している。利用者からの相談については、サービス管理責任者や関係職員間で話し合い、利用者の意思を尊重した支援を心がけている。相談内容をもとに理学療法士に相談しリハビリプログラムを計画し、個別支援計画見直しを行っている。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

 日中作業は利用者の希望を尊重し、利用者に作業を選んでもらうようにしている。作業内容にパッチワークのマットや敷物作り、染色で模様を施した袋作りやティッシュペーパーカバー作り、ビーズアクセサリー作り、洗濯ネット作りとシーツカバー作りなど多様な作業がある。週1回リラクゼーションの時間、年10回外出レクリエーションの日を設け、利用者の意向に基づいて余暇やレクリエーションを楽しんでもらっている。
 リラクゼーションでは、個々の希望に応じてゲーム、オセロ、音楽鑑賞などを楽しみ、外出レクリエーションでは、利用者の希望に応じて、映画、東京タワーやお台場見学などさまざまなところに出かけている。土曜日は、買い物に出かけている。年1回利用者の希望に応じて、宿泊旅行も行っている。また、地域で行われているボッチャの大会にも数名の利用者が参加している。個別支援計画の見直しに合わせて、支援内容の検討と見直しを行っている。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 職員は、入職時に更生相談所の障害に関する基礎研修を受講し障害特性に配慮した利用者への接し方や自助具などについて理解し、個別支援計画や支援マニュアルをもとにOJTの指導を受けている。
 職員は利用者一人ひとりの障害特性を把握し現場の作業に活かすようにしている。生育暦、障害、家族関係、日常生活支援、性格、本人の希望や強みなど、利用者一人ひとりの情報を履歴書としてまとめ、利用者について理解を深めている。また、必要に応じて、利用者の障害や生活の状況などについて職員間で共有し、支援の統一性を図っている。障害の状況に応じて作業配置を工夫し、利用者が不安に感じることなく快適に過ごせるよう配慮している。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 年1回栄養士が嗜好調査を行い、利用者の嗜好を把握し食事の献立表を作成している。また、家族会で相談会を実施し、利用者の心身状況や嗜好について話を聞くようにしている。毎日職員が給食日誌をつけ、味付け、食べやすさや量について記載するほか、月1回給食会議を開き、利用者の食事形態や食べやすさなどについて評価し、必要に応じて見直しを行っている。
 栄養士が利用者の食事の状況を巡回し、喫食状況を確認し感想を聞いたりしている。食事は温冷配膳車で提供している。楽しく食べることができるよう、月1回セレクトメニューを用意し、正月にはお重で提供している。桜の季節にはお花見ご膳提供するなど行事食も工夫している。食事形態は、主食はご飯とお粥、副食は普通食、一口大、一口刻み、刻み、軟菜、水分はとろみを用意し、利用者の心身の状態を見ながら検討して提供している。食事介助や排泄介助は一人ひとりの心身の状況に応じて行っている。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

 利用者の日中活動の場は、危険が無いよう整理・整頓を心がけ利用者が安全に移動できるよう配置を工夫している。作業場は採光もよく空調を行っており、暑い時には窓を開けたり、陽射しが強い時にはロールカーテンをするなど快適な空間になるよう配慮している。毎朝専門業者が居室やトイレの清掃を行い、また、随時職員が清掃を行っている。作業室では空気清浄機を使用し清潔な空間が保たれている。休み時間にはスマホを見る、音楽を聴く、雑誌を見る、寝るなど一人ひとりが思い思いの時間を過ごしている。体調の優れない時には、別室で休むこともできる。利用者の希望により、雑誌やCDを購入するなど楽しく過ごせるよう配慮している。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:b】

 毎日食事の前には、嚥下機能向上のため、全員で口腔体操を行っている。また、今年度11月より、利用者の希望に応じて、一人週1回程度、時間を設けて機能訓練を実施している。機能訓練実施にあたり、厚生相談所の理学療法士が利用者の状況を評価し、必要に応じてリハビリテーションメニューを作成し個別支援計画に反映している。
 リハビリテーションメニューは写真付きの解説で記載されている。車椅子自走訓練、移乗動作の見守り、足関節や上肢下肢のストレッチ、下肢筋力の強化などさまざまなメニューがある。訓練は、計画書に基づいて看護師と主任が担当している。効果測定は、半期に1回理学療法士が行うことにしている。現状ではリハビリテーションを行う施設環境は十分とはいえず、環境整備の対策が望まれる。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

 毎年定期的に利用者の健康診断を実施している。内科健診(尿検査等)、歯科健診、耳鼻科健診を年2回、胸部レントゲン、インフルエンザ予防接種を年1回実施している。健診結果を家族に報告し、再検査等必要な対策を講じている。利用者3人については登園時毎日血圧、体重測定を必要とし、また、糖尿病の要観察の利用者がいる。
 業務マニュアル「飛行船マニュアル」を作成し職員は、一日の利用者支援に沿って、利用者のサービス支援に努めている。看護師が毎日摂食時の服薬支援を行い看護日誌に記録している。緊急時対応マニュアルを作成し食中毒等の緊急時の対応に備えている。また、応急手当マニュアルを整備し車両事故など事故発生時に備えている。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:b】

 現状利用者の中に医療的ケアを必要としている利用者はいない。服薬管理については、保護者から薬を預かり昼食時に看護師が服薬支援を行い、空袋を回収し連絡帳袋にいれて保護者に返還している。受診時の医師の処方箋を預かり、看護ファイルに保管し、薬の変更時に確認し誤薬の事故防止に努めている。
 感染症対応マニュアルを作成し、特にノロウイルスの予防と対応について明記し、嘔吐物の処理について職員に注意を喚起している。現状医療的ケアに関する問題は発生していないが、看護師とケース担当職員の情報共有の仕組みの整備については十分とは言えないようである。情報共有の仕組みを全職員で振り返り、感染症など緊急時の迅速な対応に備える仕組みの整備が期待される。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 パッチワーク風マットやステンシル染デザイン布袋等の自主製品を各地の販売会やイベント会場で利用者自らが販売し、地域の人達との交流を図ることで、利用者の社会参加への支援に力を入れている。毎年11月に開催の南身館フェスティバルは地域の多数の人が集まり盛大である。また、川崎市手をつなぐフェスティバル、KAWASAKI産SUNフェスティバル、川崎区福祉祭りなど障害者の地域のイベントに積極的に参加している。
 外出レクリエーションの一環としてホテル昼食会や浅草見物、土・日を利用したコンビニ買物など利用者の社会参加を推進している。コンビニでの買物は利用者が財布を持って自分で支払いをする。地域の障害者相談支援センターと連携し、利用者が地域における社会資源を活用し地域の人達と交流し活動範囲を広がるように支援している。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

 本人の意思を尊重し、地域生活で何をしたいのかの思いを大切にするようにしている。区のケースワーカーや障害者相談支援センターと連携し、親の高齢化が進む家族の状況に配慮し地域で本人が安定した生活を送れるように支援している。2人の利用者は自宅からグループホームに移り自立した生活にむけて踏み出した事例がある。
 また、利用者本人の高齢化・重度化の傾向の中で、本人ができるだけ多く、また長く施設に通い日中作業が継続できるようにヘルパーの活用などを進めている。外出レクリエーションで映画を見に行ったり利用者が地域に出かける機会が多くなるように支援しているが、生活介護の利用者の地域生活移行の条件には厳しいものがある。地域との関わりは少なく自宅と施設間で一日を過ごしている日が多い現状がある。一人ひとりの利用者の地域生活の意向を尊重しニーズに応える社会資源の積極的活用の工夫が期待される。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

 月1回、家族会を開催し、各種行事やレクリエーションのこと、工賃支給のこと、実習生の受け入れのことなど家族の意見・要望の把握に努めている。また、連絡帳を用いて家族と施設の相互連絡に努め利用者支援に関する情報共有を図っているが、連絡帳を活用しているのは利用者の半数程度である。連絡帳の他に電話で利用者の生活の状況を確認している。
 家族からの相談に応じサービス管理責任者が家庭訪問を行い、休みがちの利用者の思いの把握に努めている。年1回満足度調査を実施し、年度始めの家族会で説明しているが家族からのサービス改善の要望等は極めて少ない状況である。施設の事業計画と利用者へのサービス改善に関する情報などを積極的に家族に提供し、コミュニケーションの強化につながる取り組みが期待される。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

(子どものサービス支援は評価外)

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 全員生活介護利用者で一般就労を目指している利用者はいないが、一人ひとりの障害特性や本人の希望を尊重した本人に適した日中活動を行っている。日中作業としては自主製品のパッチワーク風マットや独自のデザインの染色布袋など、また、季節用品の保育園昼寝用シーツカバーなどがある。作業種ごとにマニュアルを作成し、利用者がそれぞれの能力に応じた工程を担当し製品を仕上げている。
 パッチワーク風マットは大きさによって3種類があり、1枚1700円、1000円、700円で販売している。年々売り上げが向上し今年11月の南身館フェスティバルでは7万円の売り上げと過去最高を記録した。今年11月の平均工賃は生活介護利用者全員の平均が9000円であった。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:a】

 自主製品のマット作りは施設の伝統として既に30年以上も続いている。リピーターの買い物客が多いのが特徴である。作業マニュアルを整備し利用者が選択できるように、アイロンがけやミシン作業、作業の跡片付けなど工程別に工夫し、また、車椅子の利用者が多いことに配慮し利用者が意欲的に取り組めるようにしている。工賃は季節ごとの自主製品の販売額によって変化し、利用者は自主製品の販売に参加することで、製品の売り上げが工賃の向上につながることを学んでいる。毎月の目標を立て利用者と職員が一緒になって製品つくりと販売を推進している。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:b】

 全員が生活介護の利用者ということもあり一般就労に向けた支援は実施していないが、特に利用者が希望する場合には相談に応じ利用者の自主性を尊重した支援に努めている。就労継続支援(A型)の就労に向けた実習生を受け入れで福祉就労の経験をしたり、一般企業に働いていた人の心身障害への対応として体験実習を受け入れ、3ヶ月後に一般就労に復帰した利用者の事例がある。