社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

かながわ福祉サービス第三者評価推進機構 評価結果検索サイト

川崎市白山保育園

2021年03月23日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 公益社団法人 けいしん神奈川

② 施設・事業所情報
名称 川崎市白山保育園 評価対象サービス 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 120 名
所在地 215-0014
川崎市麻生区白山4-2-1 
TEL 044-987-7722 ホームページ https://www.city.kawasaki.jp/450/page/0000031608.html
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1986年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 川崎市
職員数
常勤職員:26 名
非常勤職員:15 名
専門職員
施設長:1 名
保育士・看護師:20 名
用務員:2 名
兼務栄養士:1 名
子育て支援センターみなみゆりがおか(H23年):1 名
施設・設備の概要
(居室数) :保育室9室
(設備等):事務室、医療的ケアスペース、教材室、トイレ、浴室、職員休憩室、給食室、地域支援室

③ 理念・基本方針
理念   ・子どもたちの最善の利益を考慮し、福祉の積極的な増進を図る。
基本方針 ・一人一人の子どもの情緒の安定を図り、健全な心身の発達を促していく。
     ・園生活が子どもたちにとって豊かなものとなるよう、家庭や地域社会との連携を図り保育に当たる。
     ・地域の子育て支援を積極的に遂行していく。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
白山保育園は昭和61年4月に開園、定員120名の公立保育園です。小田急新百合ヶ丘駅からバスで10分、最寄りのバス停から徒歩4分の大規模集合住宅街の中に位置しています。隣接している「むじなが池公園」等緑や池の自然に恵まれており、昆虫や植物が多様で、戸外遊びや探索活動を通して自然に触れる機会を保育に活かしているのが当園の大きな特色です。また近隣の集合住宅街の有志で構成している見守り隊が温かく見守ってくれる等地域との交流も盛んです。具体的な特徴的な取り組みは以下の通りです。
①麻生区のセンター園として産休明け保育、医療的ケアが必要な児童の受け入れを行い、地域の子育て支援、公・民保育所の人材育成を担い、保育の質の向上を目指していくための取組を行っています。
②戸外でのびのびと遊ぶことを中心にして、散歩やリズム活動、荒馬などに取組みしなやかな体作りに力を入れています。
③自然豊かな環境を活かし、植物や昆虫、動物等生き物への興味と触れ合い、命の大切さを伝えています。
④異年齢保育や多世代間交流を通して、人とのふれあいや相手を思いやる心をはぐくむことを大切にしています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2020/09/16(契約日) ~2021/01/29(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期)  3  回(平成27年度)

⑥総評
特に評価の高い点 ■麻生区のセンター園として地域に根差した保育園を目指しています。
麻生区のセンター園として産休明け保育や医療的ケアを必要とする児童の受入れを行っているのが特色です。
地域の拠点園として麻生区保育総合支援担当と連携し、地域全体の子育て支援の情報発信、民間保育園との連携促進、公・民保育人材の育成に積極的に取組んでいます。公開保育、交流保育を通し民間保育園の職員との連携を図り、互いに保育技術の向上に向けて学び合い、保育の質の向上につなげています。園の周辺は閑静な集合住宅街で高齢者も多く、老人福祉施設との交流、地元見守り隊等との多世代交流を通して相手を思いやる心を育んでいます。

■全職員のチームワークで保護者との信頼を深めています。
園長は職員一人ひとりの姿を熟知し、その職員に合った的確なアドバイスができています。職員面談でも職員からの信頼度は高いことが窺えます。個人相談は保護者の思いを受け止め、寄り添う気持ちで対応し、子どもの成長を共感するよう全職員が努めています。職員間のチームワークは良好であり、園全体で子どもを見守る体制ができています。担任だけで悩まず、他の職員が親身になってフォローし、互いに保育の質を高め合えるよう努めています。今回実施した利用者家族アンケートでは総合的な満足は高く、全職員が保護者との絆を深めている様子が窺えます。

■自然豊かな環境と広い園庭で、心も体も元気な子どもに育っています。
しなやかな身体をつくる保育を目指して、散歩やリズム遊び、園の特徴である荒馬を取り入れながら体の使い方や楽しみ方を年齢に合わせて行っています。園庭が広いのも当園の特色です。鬼ごっこやドッヂボール、砂場遊びを思いっきり楽しみ、活発に身体を動かしています。自然の中での探索活動にも熱心に取り組んでいます。昆虫や植物の発見や驚き、喜びを子どもと共感しながらドキドキワクワクの毎日です。


改善を求められる点 ■「保育について語る」時間を捻出し更に質の高い保育を期待しています。
「保育の質ガイドブック」を活用し、保育を語れる職員集団を目指して検討会議を進めています。現状はコロナ禍も相まって、十分な時間を捻出することが難しい状況にあります。ピンチをチャンスと捉え、これまでの慣習にとらわれない発想や仕事の見直しを通して経営改善、実効性の向上を図り、明日の保育に向かってより一層質の高い「保育を語れる白山保育園」になることを期待しています。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 第三者評価を受審するにあたり、職員全員がすべての評価項目に沿って自分と保育園の状況の振り返りを行いました。それを基に会議で意見を出し合い検討する時間を持ったことで、それぞれの思いや考えを知ることができ、日々の保育の見直しをする機会となりました。また自園の良い点、課題点が明らかになり職員全体で共有できたことで、良い点を継続しながらさらに向上させること、課題点をどのように改善していくのか、方向性が確認できたこともよかったと考えています。
保護者アンケートにも多くの方から回答を頂き、園運営に関心を持っていただいていることを実感いたしました。今後さらに保護者の方に信頼していただけるよう努力していきたいと思います。
 総評として「明日の保育に向かってより一層質の高い『保育を語れる白山保育園』になることを期待しています」という言葉が大変励みとなりました。これからも子ども、保護者、職員みんなの笑顔があふれる白山保育園となるよう、職員全員でさらに頑張ろうと思います。ありがとうございました。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

保育理念、保育方針、保育目標は保育説明会資料や区のホームページに掲載し、保護者や地域の人に伝え理解を得ています。園のしおりや保育説明会の資料に明記し、保育理念、基本方針等から当保育園の使命が読み取れます。理念、基本方針は年度初めに会議で検討し、全職員に周知徹底し毎年度末に見直しを行っています。
今年度は新型コロナの影響で保育説明会等は中止となりましたが、職員がアイデアを出し合い見やすいイラストの保育説明会資料や保育の様子や園での活動状況を「子どもの育ちの木」写真集にまとめ保護者に伝えることで絆を一層深めています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

社会福祉事業全体の動向、各種福祉計画の把握、データの収集、分析等は川崎市の事業として行っており、報告、周知しています。
区では地域の子育て世帯や保育園の分布状況等地域の保育ニーズのデータ収集と分析を行い公立保育園に提供しています。当保育園では麻生区保育総合支援担当と連携しながら園舎周辺地域の子育て状況や特徴を把握・分析し、保育の運営に活かしています。地域の保育ニーズは地域子育て支援担当者が把握し、会議で職員に周知し情報共有を行っています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

川崎市の「新たな公立保育園のあり方」等を基本として、公立保育園としての課題や問題点を明らかにしており、課題解決に向けて取組みが進められています。
具体的には当園は麻生区のセンター園として「地域の子ども・子育て支援」「民間保育所等との連携」「公民保育人材の育成」の3つの役割を担い、ブランチ園と連携し地域全体の子育て支援を推進しています。保育に関しては保育の質の向上に向けて環境プロジェクトチームを立ち上げ、子どもが安心して夢中になって遊び、明日も楽しく通えるような保育室や園庭等の更なる環境設定を推進しています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

川崎市として明確な中・長期的ビジョンを策定しています。その中で数値目標や具体的な成果等を設定しており、毎年評価、見直しを行っています。
このビジョンに基づき公立保育園が運営されています。当保育園はこのビジョンを実現するために麻生区保育総合支援担当と密接な連携を図り、ブランチ園と協働しながら①公立保育園機能の充実・拡大、②保育の質の維持・向上、③地域の子ども・子育て支援の機能を強化し、地域子育て支援の推進を中長期ビジョンとして掲げています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

川崎市運営管理課の運営指導方針を踏まえ当園の単年度事業計画は作成されています。具体的には全職員の意見や提案が反映された「白山保育園保育方針」「全体的な計画」「保育説明会資料」「保育指導計画」等が示され、年度初めの会議で職員全員に周知され職員は理解しています。
年間計画には栄養士、看護師、保育士の専門性を活かした三者連携による食育指導や保健活動を取り入れた「食育年間計画」や「健康管理年間計画」、防災訓練・防災教育計画等多岐にわたっており全職員がいずれかの事業に関わり、職員全体で園の事業を運営しています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画はクラス毎振り返り、課題を抽出し全体会議に反映させています。各会議では事前に告知された議題に対し、職員が積極的に意見を出し合い討議によって決定しています。また事業計画には保護者の意見を十分反映しています。
当園の事業計画は年度末に振り返り、見直しを行い課題を次年度に活かしています。川崎市の事業計画は公立の園長会で説明され、園長は職員に周知しています。また麻生区の職員が当園に出向いて区の事業計画を説明してくれます。これらの説明を基に当園の取組みが行われ見直しと評価が行われています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

園だより、クラスだより、保育説明会資料等で保育園の事業計画を伝えています。クラスだよりは、全クラスのクラスだよりを一括掲示し、保護者全員に周知できるよう工夫を行っています。懇談会や保育説明会、必要な時には説明会を行い各年齢に合わせた内容で保護者に直接説明を行っています。
日々の様子は写真等を使ったり、保健活動、食育活動も含め具体的に伝えています。写真はなるべく多くとって子どもの様子をこまめに伝えています。一つの行事に対してお知らせを出すだけでなく、行事の取組の様子等も掲示して伝えています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

保育計画(年間、月、週、日)はPDCAサイクルに基づき立案・実行・評価を行い、評価後、速やかに会議を行い課題を共有し改善に向けて話し合いがなされています。担任は乳・幼児会議でクラスの様子や工夫をしている点、困っている点を出し合い情報共有するとともに、担任以外の職員の意見や提案を傾聴しながら保育の質向上に努めています。
職員の自己評価をもとに施設の自己評価を毎年行い課題を認識し改善に向けて職員全員が取り組んでいます。第三者評価は全職員が意見を交換し評価、改善につなげています。子どもの成長と自らの成長という2つの視点で自己評価と人事評価を行い保育の質向上につなげています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

テーマを決めてプロジェクトを立ち上げ、課題や大切にしたいこと等は定期的に見直しています。課題については職員間で話し合い改善策を出しています。昨年度は玩具や絵本が十分ではない中、遊びの選択肢を広げるために、屋外では子どもが遊べるようピロティを改装整備し、室内では絵本コーナーづくりを進める等限られた予算の中で保育環境を計画的に整備しています。また有給休暇の取得数値を設定し、休暇をとりやすい職場環境に努めています。計画的に休暇を取得するために仕事の見直しや改善を行っています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

園長は毎年度初めに「白山保育園保育方針」を書面で職員に周知しています。 職員の職務分担と役割分担は職員会議で周知されています。その中に園長の役割と責任が明確に記述されています。
園長は保育所の役割を遂行するために、園長としての専門性を高めるよう自己研鑽に努めています。保護者に対しては園だより等で保育園の様子や協力事項等を呼びかけ、良好なコミュニケーションを築いています。園長は有事における役割と責任及び園長不在時の権限移譲を明文化しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

園長は保育の質及び職員の質の向上に向けて、園の役割や社会的責任を遂行するために日々法令を遵守した取り組みを行っています。
市の職員として法令遵守すべき法令等を理解し自ら行動するとともに職員にも遵守すべき法令を周知徹底しています。川崎市所定の服務チェックシート等を年2回実施し自己啓発に役立てています。園長は区の所轄の管理者からフィードバックを受けることで職員の自己啓発の状況を把握し、市の職員として倫理観の向上に取り組むよう援助しています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

園長は職員会議他様々な場面で、職員自らが課題を解決できるよう職員の意見をきちんと聞いて、職員が納得する的確なアドバイスを行い具体的な改善策につなげています。指導案だけでなく報告書等もきちんと目を通し、都度適切なアドバイスを行っています。月案、週案、児童票などすべてに目を通し的確なアドバイスを行っています。
保育環境や職場環境について工夫できる点について助言を行い、保育の質の向上につなげています。職員への面接でも「職員一人ひとりの姿を見て適切なアドバイスができている、安心して保育ができる」「管理者として十分指導力を発揮している」との発言があり高い評価を得ています。


【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

人員配置、環境整備など、希望を聞きながら職員が働きやすいよう取り組んでいます。進める業務内容に合わせて適材適所の職員を配置し円滑な園の運営に努めています。アドバイス等も必要に応じて行っています。
会議方法について会議の在り方を見直しています。事前に自分の考えをもって参加することを励行し、会議時間もこの項目は何時~何時までと決めメリハリのある運営がなされています。また毎年ルーティンとして行ってきた業務を再任用職員や会計年度任用職員に切り出すことで、その分本来の仕事に専念でき、保育の質の向上につなげています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

川崎市として計画的に人材確保を行っており、市の基準に基づき専門職の人員が配置されています。「川崎市人材育成基本方針」が策定されており、人材育成に関する方針が確立しています。
職場ではOJTを通して人材育成に努めています。特に新任期採用者には経験豊富な育成担当者を3年間配置し、相談しやすく話しやすい関係を構築できるようにしています。新任期採用者が不安にならないよう育成担当者以外の職員も常に声掛けするよう努めています。人が資本の保育園にあって、園長は人材育成には特に力を注いでおり、定着率は良好です。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

「川崎市人材育成基本方針」の中で階層別に「求められる能力」が明確にされています。人事評価、キャリアシート、服務チェックシートが導入され、人事基準も明記されています。人事評価は年度初めに目標を設定し、中間面接を経て年度末に園長と面接しフィードバックを行っています。フィードバックでは職員のモチベーション向上につながるようアドバイスを行っています。また川崎市のキャリアシートを活用し、個々の職員のキャリア形成に向けて中長期的な視点で人材育成に取り組んでいます。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

働き方改革の浸透により、園長は有給休暇取得について希望に沿うよう体制を整備し、個々人に差が出ないように努めています。ノー残業デイやハピネスデイの設定もあり、職員の就業状況は良好です。また職員の体調やメンタルヘルス等への配慮も欠かさず、休息、体調回復が行えるよう努めています。
職員間のチームワークは良好です。担任だけではなく、園全体で子どもを見守ることができているので職員は安心して働くことができます。職員面談では、園長は職員への気配りができており働きやすい職場であるとの感想がありました。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

「期待する職員像」は「川崎市人材育成基本方針」に明示されており、人事評価やキャリアシートで一人ひとりの目標管理のための仕組みが構築されています。
園長は年度初めに職員一人ひとりの能力に応じた目標を設定し、年間を通して、職員が目標を達成できるようにサポートしています。フィードバック時には、力を発揮できた項目は褒め、目標達成に至らなかった項目は至らなかった理由を職員に考えるよう促し、次へのステップアップにつなげています。個人目標だけでなく職員全員が協力し、組織として目標を達成することも大切にしています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

「川崎市人材育成基本方針」の中で「期待する職員像」について明記されています。また「新たな公立保育所の在り方」の中でも指針が出ています。
川崎市や麻生区の研修体系は階層別研修、専門分野別研修等から構成されており、経験年数、専門性などいろいろな視点、役割を考慮して、その職員に必要とされる研修が受けられるようにしています。また、希望を取り研修を受ける機会を設けるようにしています。
今年はコロナ禍の中でオンライン研修が行われています。また、年度末には振り返り次年度に向けての計画を作成しています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

園長は研修受講歴等が記入されているキャリアシートや人事評価等を通し職員一人ひとりの業務経験や習熟度を把握しています。幅広いテーマでの研修が計画されており、職員一人ひとりにあった研修の機会が保障されています。外部研修についても情報提供を行うとともに参加を奨励しています。  
新任職員はもちろん、異動者等にも適切にOJTが行われています。OJTでは反省と今後の課題について育成担当者と話し合い質の向上に努めています。再任用職員や会計年度任用職員へは心肺蘇生、人権等の園内研修を行い知識習得に努めるとともに、年度初めには保育説明会の資料を説明し理解を得ています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

次世代の専門職育成支援を目的に実習生を積極的に受け入れ、学校の要望を取り入れながら子どもの年齢にあった実習のプログラムを作成しています。専門職を育成するとともに職員自身も学びにつなげる姿勢をもって、実習生の受入れを行っています。
実習生等の研修・育成のマニュアルを作成、見直しをしながら進めています。実習前、実習期間中ともに学校側とは連絡を密に取り、育成についての意見交換を行い、学びの深い実習となるよう配慮しています。実習後は振り返りを行い明日への保育につなげています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

川崎市や麻生区のホームページに保育方針や保育目標等必要な情報が常に公開されています。区のホームページでは園の様子を写真で紹介し、園だより、給食だより、保健だよりで園の様子を公開しています。また同ホームページにある「はくさんポンポコ広場」では、麻生区保育総合支援担当と連携し、子育て世帯向に保育園に遊びにくるよう毎月呼びかけています。地域の他施設と協力して、地域に向けて情報発信を行っています。第三者評価の受審結果を公表しています。「新たな公立保育所のあり方」等で地域子育て支援としての当園の存在意義を明確化しています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

園の運営については毎年実施される監査において適切な評価を受け、結果を職員間で共有・改善を行い適正な運営の確保に取り組んでいます。
職務分掌、権限・責任は「川崎市公立保育園運営の手引き」に明確に記載されており、職員に周知徹底しています。これを受けて園は全職員の職務分担表・役割分担表を作成し、全職員に周知するとともに職員の役割と責任を明確にしています。
川崎市の職員として服務チェックシート、情報セキュリティーチェックシート等を活用し倫理及び服務規律等を日々振り返り公正かつ透明な保育に努めています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

地域との関わり方や計画は「白山保育園保育方針」等の書面で示しています。地域の情報や白山地区の「地域子育て支援センターみなみゆりがおか」など園児及び保護者が地域の人々と交流する機会がある多数の社会資源の情報を収集し、お便りを掲示、配布するなど保護者に伝えています。
地域住民の見守り隊の方々との密接な交流をはじめ、自治会や高齢者施設(いこいの家)との交流機会等、地域の多世代交流や相互交流が計画的に取り組まれています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

次世代の育成としてボランティアの受け入れは全体的な計画にも示されています。
ボランティア希望者の受け入れについての登録手続き(承諾書、履歴書)、オリエンテーションでの説明や指導の手順などは実習生及びインターン受入等と同様のマニュアルが整備されています。中学生の職場体験・訪問等の受け入れなども継続的に行い、地域の学校教育への協力にも積極的です。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

地域の関係機関や団体についての情報は「地域支援ファイル」により職員会議等で情報共有され、必要に応じて担当者が連携して事業を行うなど、近隣施設との関係は良好でお互いの状況を理解しています
地域の関係機関や団体と定期的に連絡会を持ち、情報交換をしながら課題を共有し、解決に向けた取り組みを行っています。保健師、児童相談所、療育センター、児童家庭支援センターとの連携、意見交換も行っています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

自治会会長、地域住民の見守り隊、民生委員・主任児童委員等の方々に夏祭りなどの園イベントに参加していただき、情報交換をして地域社会の視点からのニーズ把握に努めています。
地域の子育て世代参加の園イベント(あそびの広場、にこにっこ等)開催後はアンケートを取り、地域の子育てニーズを把握することができます。地区の祭り等への園児・職員の参加のほか、離乳食講座や保育相談などもニーズを把握する機会と捉えています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

麻生区保育総合支援担当と連携して地域のニーズを把握し、麻生区のセンター園として事業を計画・実施しています。具体的には「親子でランチ」、「園庭開放」、「遊びの広場」、地域の父と子が参加する「にこにっこ白山」、「園見学」等に取り組んでいます。
地域のイベントや防災訓練等に子どもと職員が参加し、地域の活性化に貢献しています。保育園の遊具や絵本の貸し出し、保育士・看護師・栄養士の出張講座や公・民の保育士を対象とした公開保育などで園のノウハウを伝えています。災害時には、乳幼児に適した施設・設備や支援機能の場としての受け入れ態勢を準備しています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

理念や基本方針で子どもを尊重した保育について明示し、実践で検討をしながら子どもは同じ一人の人間として接することを心がけた保育をしています。
外部研修の受講、園内研修で人権について考える機会を毎年持ち、保護者へも懇談会やお便りで周知、啓発しています。職員は人権セルフチェックによって日々の子どもに対しての関わりを振り返り、小グループ討議などで子どもを尊重した保育の実践に努めています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

子どものプライバシー保護について職員間で確認し、研修を行うなど理解を進めています。具体的にはトイレの個室確保、おむつ交換の位置、着替え時のカーテン、プール指導のときの目隠し、医療的ケア児は別室での処置を行う等、限られた環境の中で職員が工夫して子どもにとって快適な環境を提供するようにしています。
園内の写真撮影や配布物への掲載、個人の記録の管理等には注意をはらい保護者にも理解してもらうよう努力しています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

地域の子育て世代にはホームページへの掲載やイラストを多くして分かりやすくしたチラシ(白山保育園のごあんない)などで情報を発信しています。
保育園の見学希望は常時受け入れていますが見学は少人数で行い、入園希望者には説明会資料があり、説明会ではスライドや写真を使って分かりやすい表現で丁寧に説明しています。ホームページは適宜、園のしおりや説明会資料などは毎年見直しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

保育の開始にあたっては重要事項説明書を提示し、丁寧に説明しています。
入園後の面談は保護者の就労状況に合わせた保育時間を園長面談で決定、不安のないように親切に伝え、保育時間、慣れ保育の時間等は書面で伝えています。
重要事項説明書の内容の変更及び個別の保育内容等の変更は事前に文書と口頭で説明しています。
特に、配慮が必要な保護者には複数で対応する、必要な場合は通訳・手話通訳を手配して対応をしています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

転園等があった場合は、市内の公立であれば児童票の引継ぎができるようにしています。異動があるなどの理由で担当者は設置していないが、市内の転園に限らず、いつでも相談に来てほしいということは必ず伝えています。
引継ぎや相談対応がいつでもできるように児童票などの記録文書を残しています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

保育説明会、懇談会、保育参加・参観、個人面談、保護者会等を行い、保護者の思いを受け止めたり行事後にアンケートで要望を把握して会議で課題を検討・共有し、改善に取り組んでいます。
乳児においても子どもの表情や振る舞いで満足していると感じるような保育に努めています。保護者会では要望を聞くだけでなく信頼関係を築き、新しい遊具の導入や移動動物園の開催など保育の質と子どもの満足向上につながる協力を得ています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

重要事項説明書で第三者委員による苦情の受付・解決の仕組みが記されロビーにも掲示し、意見箱の設置により苦情を申し出しやすい工夫をしています。
「苦情解決要綱」で苦情解決のプロセスが記され、職員で情報共有し改善策等は迅速に対応するようになっていますが、実際の苦情件数は殆どありません。苦情は可能な限り公表しますが、個人が特定できるようなものは公表を控えています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

保育内容説明会、懇談会等の機会に、相談や意見表明の方法について説明をしています。
連絡帳のほか送迎時に保護者とのコミュニケーションが取りやすい雰囲気を心がけています。また、担任でなくても園長、園長補佐、フリー保育士等にも相談できることを伝えています。
発達相談支援コーディネーター(7名)に相談ができることを保育説明会の資料やお便りで知らせ、玄関にコーディネーターの応援メッセージ付きしおりと相談メモの投函箱を置いています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

意見箱を設置しているほか、行事、保育参観等のアンケートで意見・要望を聞いています。
保護者が相談しやすく意見を述べやすい環境を作るように心がけ、相談を受けたときは傾聴に努め、記録を取り、園長や職員に報告をしています。相談、意見をいただいたときは、前向きにとらえるようにして職員で検討し改善に向けて迅速に対応しています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

事故発生時の対応と安全確保についてはマニュアルを基に職員に周知されています。危険などに気づいた職員が「ヒヤリハット検証記録」を記入し、看護師を中心に集計・分析して職員の意識喚起をしています。事故の場合は発生した翌日に話し合いを持ち、再発防止に向けた改善策の検討・実施を行うようにしています。安全点検を実施し、心肺蘇生法や嘔吐処理などの保育士として理解すべきことの研修を行っています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

川崎市の「健康管理マニュアル」に基づいて感染症予防や発生時対応の取組を行っています。
時期を見て感染症についての園内勉強会を行い、外部研修に参加する機会を作っています。感染症の予防について保護者にお便りや掲示で情報提供や協力依頼を行い、家庭での感染防止に努めています。感染症対策として、園舎に入る人の体温測定と手指消毒及び園舎内・園庭の消毒をきちんと行っています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

災害時の対応体制は決められ、「川崎市震災対応マニュアル」をはじめ文書化されています。
毎月、地震・火災・風水害を想定した防災訓練を行い、消防訓練は年2回消防署に事前の計画書と事後の報告書を提出しています。
安否確認の手段の一つとして、保護者に伝言ダイヤルを試すことができる日を案内し馴れておくように勧めています。備蓄品は担当者が確認をし、定期的に確認と入れ替えを行い、アレルギー対応品も備蓄しています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:b】

川崎市「保育の質ガイドブック」に明示されている内容を標準的な実施方法と捉え、保育実践を行っています。
「保育の質ガイドブック」を職員それぞれが1冊持ち、周知されています。標準的な実施方法が基になりますが、子ども、保護者、保育者の状況により臨機応変に保育を展開しています。月案、週案を通して保育実践の振り返り・確認をしています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

保育の実施方法の見直しは週、月、期ごと、年間ごとに職員で検討し必要に応じて実施方法の変更をしています。日誌の振り返りを週末に、月間指導計画は月ごとに、年間指導計画の振り返りは4期に分けて評価・改善を行い、日々の振り返りが年度間の振り返りにつながるよう連続性を大切にする中で職員全員が質の高い保育を目指しています。各々の振り返りは会議等において職員間で検討し意見を出し合い標準的な実施方法の検証を行っています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:b】

乳幼児に関しては、子どもの姿を見ること、子どもを取り巻く環境を把握したうえで、様々な職種、立場の職員が検討して個別指導計画が策定され、保育が提供されています。
配慮が必要な子どもには毎月の指導計画が策定され、「観察個人記録」に記録されます。支援困難ケースについてはケース検討・カンファレンスを行い、子どもや保護者の支援を全職員で考えた個別支援計画によって対応しています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

指導計画の見直しについては時期を決め、職員の評価・反省を活かして改善・見直しを行っています。
年間の指導計画は期ごとに見直しを行い、年度末に再確認をして次年度の指導計画に反映しています。保育説明会、懇談会等で保護者の意向を把握し、指導計画の見直しに反映し、行事の変更については保護者会との協議をもって行っています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

記録の様式は市で統一されており、記録をもとに職員会議等で確認・共有されています。
記録内容や書き方について説明書があり、お互いに学びあいながら適切に記録されるようにしています。情報内容によって、ミーティングノート、保健日誌、児童票、会議記録等に記載し、キャビネット内のファイルに整理され職員が参照できるようにしています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

子どもの記録の保管、保存、廃棄、情報の提供に関しては川崎市の規定と指示により、個人情報の取り扱いについては十分注意するように職員に徹底し、毎日2重、3重にチェックを行い、漏れがないようにしています。 
個人情報に係る書類等は鍵付きの書庫に収められ、パソコンは鍵付きワイヤーで机に固定され、パソコン内のデータのコピーや持ち出しができないように管理されています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:b】

全体的な計画は保育の全体像を包括的に示すものとして、保育所保育指針の内容に沿って作成しています。当園の保育理念である「子どもの最善の利益」を念頭に、園長のリーダーシップのもと、全職員が意思統一して作成しています。また保育方針、保育目標とも連動するよう作成しています。当園では全ての年齢の保育において「養護」を第一義とし養護と教育が一体的に展開されるよう配慮しています。また年齢別の子どもの姿を丁寧に記載するとともに年齢間の連続性にも配慮しています。
特に幼児期の終わりまでに育って欲しい姿10項目については重要事項と捉え、全体的な計画の上位に掲げています。全体的な計画には、当園の特色ある保育やセンター園としての事業、地域に開かれた園として地域の実態に対応した事業等当園独自の事業を明記しています。全体的な計画は、年度末に反省、評価、見直しを行い、次年度にむけて話し合い、作成しています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:b】

日常的に換気をし、季節や気候に合わせて加湿器、クーラーなどを用いて快適に過ごしています。施設や遊具等は毎月の安全点検や園内点検表を活用して、日々の保育の中で気づくところはその都度改善し物的環境を整えています。寝具は業者に依頼し丸洗い、布団乾燥などを行い常に衛生的な環境を保っています。
子どもの発達状況や遊びの状況を考慮し、子どもが迷わず、悩まず快適に遊べるよう子どもの動線を整え保育環境を整備しています。また稼動できる机を使用し、生活に合わせたスペースの確保を行っています。
職員は子どもの自発的な活動を引き出すよう援助しており、安心して人と関わっていける人的環境も整備しています。施設は老朽化していますが、明るく清潔な設備を整えています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:b】

児童票から一人ひとりの発達状況や健康状況や家庭の状況を把握し職員間で情報を共有しています。年齢や発達に応じた声掛けや関わりを心掛けています。乳児が言葉でうまく言えない場合は、その裏にある気持ちや言葉にならない表情や仕草を汲み取り、時には代弁を行い子どもの気持ちに寄り添った保育を行っています。スキンシップにより愛着関係を育み、保育士との関りの心地よさや安心感を得られるように努めています。
幼児に対しては、保育士が話しをするだけでなく子どもたちの意見を聞き、子ども同士の話合いによって活動内容を決める等工夫しています。子どもに合わせて短い分かりやすい言葉で伝えています。優しい声で、子どもの年齢や発達に合わせた表現を心がけています。家庭環境や発達など個別の配慮を必要としている子どもの情報は、職員会議にて全職員に周知し、園全体で見守る体制を整え、一人ひとりを大切にした保育を実践しています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:b】

一人ひとりの自ら行おうとする姿をやさしく見守り、次の成長に無理なく繋ぐことができるように努めています。着替えなど達成感を感じられるようさりげなく援助することを大切にしています。自分でできた時にはその姿を褒め、自信につながるよう援助をしています。
広い園庭と豊かな自然の中で、日中は散歩や、園庭あそびを十分取り入れ体を動かしながらも休息もしっかり取り、動と静とのバランスを整えメリハリのある保育を実践しています。
歯みがきの仕方や手洗い指導等子どもが基本的な生活習慣を身に着けることができるよう看護師を中心に栄養士・保育士の三者連携で健康管理計画をたて、年間を通して食・保健活動に積極的に取り組んでいます。利用者家族アンケートでは「基本的生活習慣の自立について」保護者より高い評価が得られています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

子どもの「やってみたい」という自主性を尊重し、保育士がさりげなく援助しながら、達成感を味わえるようにしています。探索活動は身近な環境に興味や好奇心をもって関わり、自ら感じたことや考えたことを表現する力を培うことから熱心に取り組んでいます。戸外遊びについても、園内では経験することのできない自然環境や季節の変化を感じ、自ら身体を動かして遊ぶことを楽しんでいます。
幼児については異年齢交流を大切にし、年上の子どもへの憧れの気持ちが育まれ、年下の子どもを思いやる気持ちが豊かになるよう援助しています。生活や遊びの中で順番等ルールを守ることの大切さや、遊びでは自分たちでルールを作り主体的に活動する中で相手との連帯感を育んでいます。高齢施設等多世代間交流を通じて相手を優しくいたわる思いやりの気持ちや挨拶やマナーが育まれています。こうした主体的に活動できる環境を整備しつつ「幼児期の終わりまでに育って欲しい姿」につなげています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

養護と教育の一体的展開のもと、①健やかに伸び伸びと育つことを大切にしています。受容的関わりにより生活のリズムを整えるよう努めています。②身近な人と気持ちが通じ合うことを大切にしています。遊びや生活の中で子どもが発した喃語や言葉を優しく受けとめ、応答的な関わりの中で子どもとの絆を深め安心して過ごせるように努めています。保育士は子どもと視線を合わせ、優しく語りかけています。③身近なものと関わり感性が育つことを大切にしています。月齢や一人ひとりの発達に合わせて、探索活動が出来る環境を整え、玩具等は安全面に配慮しています。発達に合わせた玩具を用意し、子どもの目線に合わせた玩具の設置を行うことで、触れたい物に興味をもって手が届くように環境を整えています。
連絡帳や送迎時の対話を大切にし、また保育参観、個人面談、おたよりなどを通して保護者と園や家庭での様子等の情報を共有し成長を共感し合えるようにしています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 1歳以上3歳児未満の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

持ち上がりの職員を配置するなど、それまでの育ちを把握し、子どもや保護者にとって安心できるようにしています。生活や遊びを通して「自分でしよう」とする気持ちを大切にし、保育士は子どもの思いを汲み取り、子どもの主体性や自発性を尊重しながら援助し温かく見守っています。
イヤイヤ期を迎えた子どもには「やろうとしたが上手くできなかった」と肯定的に捉え、子どもの意欲や気持ちを認め、子どもの気持ちに寄り添えるよう努めています。1・2歳児は2つのクラス・グループにわけ少人数グループできめの細かい保育を行っています。
家庭との連携は送迎時、連絡ノート、保育参観、面談、おたよりなどを通して各家庭に合わせて対応しています。戸外遊びは探索活動を十分楽しめるよう工夫しています。自然豊かな当園周辺を散歩することで動植物の発見や驚き、喜びを保育士や友達と共感し合えるようにしています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

子どもたち一人ひとりが集団の中で自己を発揮しながら興味、関心が広がるような活動に取り組んでいます。3歳児が2クラスに分かれていることで、きめ細やかな個々の対応ができています。この時期は運動能力、知的能力、言葉等が目覚ましく発達する時期であり、一人ひとりの発達を捉え生活や遊びが充実できるよう努めています。
3歳児は基本的な生活習慣が身につき友だちと一緒に楽しく過ごすよう援助しています。4歳児は簡単な決まりを守りながら友達との関りを深め集団で活動することを楽しむよう援助しています。5歳児は行事に向けて、友だちとイメージを共有し意見を出し合う機会を作っています。自分の役割をやり遂げる責任感や、友だちと協力して一緒に作り上げる連帯感などを経験することで達成感や満足感を感じられるよう援助しています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

子ども同士の関わりを大切に保育し、お互いの存在を認め合えるような働きかけを心がけています。当園では全体的な計画の中の特色ある保育としてインクルーシブ保育を掲げています。支援が必要な子どもだけが大切にされるのではなく、障がいの有無に関わらず一人ひとりの子どもが平等に大切にされ、それぞれに必要な保育を一緒に受けることで、共に育ち合うことができるインクルーシブ保育を大切にしています。
障がいのある子どもの保育に関しては丁寧に対応できるように人員配置を行い、職員間で情報共有し、安心して生活できるように心がけています。
個別指導計画を作成することで、保護者や地域の専門機関等と連携し円滑な子育てを行っています。関係機関と連携を持ち、情報を共有し、食事指導など学ぶ機会や園内でのカンファレンスで環境や手だてを検討しています。

【A10】A-1-(2)-⑨ 長時間にわたる保育のための環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

生活の中で活動と休息のバランスを考え、メリハリのある活動を通して安定した気持ちで過ごせるように配慮しています。子どもの長時間にわたる保育については、子どもの年齢、生活のリズムや心身の状態に合わせて、職員の協力体制や家庭との連携の下、保育の内容や方法にも十分配慮して行うようにしています。個々にやりたい遊びを持続できるように配慮し、また少人数で過ごせる雰囲気を作り、落ち着ける場所を設定する等保育のための環境が整備されています。
延長保育は子どもも少なく、保育士が一人ひとりの子どもに向かい合えるので、ゆったりとした家庭的な雰囲気で保育にあたっています。延長保育のおやつの内容は夕食に響かない程度のものにしています。引継ぎは個人ノートなどを活用しながら丁寧に行い、保護者への連絡は伝え忘れのないようにしています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:b】

園から小学校へのつながりを大切にし、年間指導計画のねらいに小学校との連携、就学に関する事項を記載しています。当園の職員が小学校への授業参観に出かけたり、小学校の職員と意見交換を通して、小学校との交流を行っています。年長児は近隣の小学校に招待され、小学1年生の授業を参観し1年生と交流を図るなかで、就学への期待や安心感につなげています。また幼保小担当者会議があり、その中で意見交換や情報共有を行っています。
年長児の就学にあたっては、保育所児童保育要録を個別に記載し、入学する小学校に送付しています。懇談会を早めに設け、子どもの姿を小学校以降の見通しが持てるように行っています。就学先が同じ保護者同士の情報交換を行い、初めて就学させる保護者の不安を軽減出来るように、兄弟が在校している保護者からの助言を受け、保護者自身が学校のイメージを持てるようにしています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

川崎市の「健康管理マニュアル」に基き、保健日誌に子どもや保護者の健康に関する情報を記入し、職員で情報共有しています。
保育説明会資料に、「保育園の健康」についての記載と4期ごとの保健目標、内容及び配慮、保健活動などを記した健康管理年間計画によって保護者に説明し、事務室前に必要な情報を掲示しているほか、毎月、ほけんだよりを発行して保護者に知らせています。予防接種をした場合は保護者から接種したことを知らせてもらい、すこやか手帳に記録しています。乳幼児突然死症候群(SIDS)についての知識は職員会議等で徹底し、SIDS表のチェックをしっかり行い、最もリスクの高い0歳児は全ての午睡時間を5分ごとにチェックし、うつぶせになっていないかも確認しています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科検診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:b】

園医による年間の健康診断を0、1歳児6回、2~5歳児3回と定期的に実施、歯科健診は保護者会の協力もあって年2回実施しています。健診の結果は「健診記録表」及び「歯科健診表」に記録して、保護者にも伝えています。
園の保育士・看護師・栄養士の専門分野の三者が連携して年数回の身体の健康や食育についての集会を計画し、乳幼児、幼児またはクラスごとに行っています。この集会は、三者が企画してテーマごとに各人が役割を演じて寸劇仕立てにするなど工夫しながら健康診断・歯科健診だけで終わらずに子どもが異年齢の関わりに応じて興味を持ち、健康や食育の知識・習慣が自然に身につくように保育に活かしながら子どもたちに伝えています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

「健康管理マニュアル」のフローチャートにより示された対応によって、アレルギー疾患のある子どもについては医師の指示のもと「除去食献立表」を作成し、毎月、保護者とともに確認を行っています。
毎朝、委託業者(栄養士・調理師)とのミーティングで、除去食確認表によって該当する子ども毎の除去食の確認を行っています。除去食のある子どもに対しては、専用の机、布巾、トレーを使用し、給食室からの手渡し、保育室への配膳の際にそれぞれダブルチェックを行い誤食のないように注意し、チェックの記録も残しています。除去内容が変更になった時は、会議で職員に周知しています。
全ての園児に対してもアレルギーの意味を年齢に応じて知らせています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

保育説明会資料に、川崎市におけるめざす子ども像や食育の目標に基づく期毎の食育年間計画を掲載し保育計画に食育を取り入れています。
栄養士とともに調理保育で園庭の栽培物を使った、ポップコーン、夏野菜、そら豆むきなどの実演や参加を通して、子どもたちが食に対して興味、関心を持ち、楽しく食事ができるように取り組み、その様子をクラスや玄関に写真で掲示し、保護者に伝えています。
子どもの年齢・発達に合わせた持ちやすい陶器の食器を使い食事を提供しています。楽しい雰囲気の中で無理することなく、一人ひとりのペースで発達に合わせた援助をし、子どもの体に机や椅子が合うように足台を用意したり、体が安定するような工夫をしています。
健康情報を加えたレシピカードを栄養士が作成し、玄関に設置されて保護者に提供されています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

給食会議や検食簿を活用し、委託業者に対して子どもの発達や喫食状況を伝え、子どもの姿に合った食事の提供につなげています。
栄養士がクラス毎の喫食状況を把握し、その後の献立や調理法に活かすとともに子どもの発達に応じた食育の取り組みを行っています。喫食簿には担任やフリー保育士も記入して全クラスの喫食状況が共有されています。川崎市の「保育園給食の手引き」や委託業者向けの「作業基準」に基づいた管理が行われています。ブドウの誤嚥事故の報道等を受け、厚労省のガイドラインに沿ったブドウ、ミニトマト、モチや節分の豆などの提供を止め、家庭に向けては子どもがそのまま食べないように適切な食べ方や切り方の工夫について提供方法を伝えています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

朝夕保護者に会える機会を中心に対面でのコミュニケーションを心掛けています。また、乳幼児は連絡帳、幼児はクラスノートや個人ノートで保護者との日常的な情報交換を行っています。
子どもの成長を共に感じられるように保育の見える化に努め、感染症対策などで園舎に入ってもらいにくい状況ではホームページに園内の写真を掲載したり、写真入りの掲示やお便りなどを通じて日々の保育の様子を伝えるようにしています。
保護者懇談会、保育参加や保護者参加の行事が多く計画され保護者と接する機会が多くあり、保護者との個人面談では児童票にこどもの様子を記録し成長を共有するようにしています。保護者会とは良好な関係を築いており、保育園の運営にも理解を示し環境整備等の協力を得ています。こうしたことから利用者家族アンケートでも総合的な満足度は高く、保護者とは良好な関係を構築していることが窺えます。  

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

保育士の常識を当たり前とすることなく、保護者の気持ちや状況を把握し、より添う気持ちで相談を受けたり、一緒に考えるようにしています。
保育相談をはじめ看護師や栄養士等各専門分野の相談ができる機会はお知らせで知らせ、相談内容に応じた体制と環境を整備して相談に応じています。発達相談支援コーディネーター7名の紹介コーナーが玄関にあり、いつでも相談できる体制があります。地域子育て支援センターみなみゆりがおか、はくさん児童家庭支援センターや白山こども文化センター等、近隣の子育て支援施設の紹介と連携事業についてはお知らせで伝えています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:b】

早期発見・早期対応をこころがけ、子どもの様子を常に観察し、着替えをする時などに子どもへの虐待の兆候、また、家庭での虐待等権利侵害の懸念を感じ取った場合は、一人で判断するのではなく複数の目で確認して話し合ったうえで園長に報告をしています。
「かわさき虐待対応マニュアル」のチェックポイントを活用していますが保育園のマニュアル「虐待の発見と対応」によって、早めに対応するようにしています。必要な場合に直ぐに連携出来るように川崎市、麻生区や児童相談所などの関係機関との情報交換に努め連携体制を整えています。1年に1回はマニュアルの確認をし、研修などの学ぶ時間を作っています。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:b】

保育士のセルフチェックとして「子ども主体の保育とは」で自己の保育実践を振り返り、担任間でのクラス反省を丁寧に行い、細やかな保育や援助方法、一人ひとりへの対応や保護者への関わり方も確認して専門性の向上を図っています。
保育実践の振り返りは日・週・月に行い、年度末には1年を振り返って来年度どうするかを考えるサイクルが定着しています。また、日頃より様々な場面で保育について話し合うことが習慣になっています。職員会議や園内研修などで各自の保育実践の振り返りをもとに、保育園全体の改善や専門性の向上に資するように努めています。第三者評価受審の際には園の自己評価に職員全員が参加しています。