社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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川崎西部地域療育センター

2025年04月16日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 川崎西部地域療育センター 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 児童発達支援センター 定員 60名 名
所在地 216-0022
川崎市宮前区平2-6-1
TEL 044-865-2905 ホームページ https://www.aoitori-y.jp/kawasaki-west-ryoiku/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2010年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人青い鳥
職員数
常勤職員:49名  名
非常勤職員:30名 名
専門職員
医師:14 名
看護師:4 名
理学療法士:3 名
作業療法士:3 名
心理士:5 名
言語聴覚士:3 名
保育士:25 名
児童指導員:4 名
ソーシャルワーカー:8 名
管理栄養士:1 名
施設・設備の概要
居室:39室
トイレ:14ヶ所
授乳室:1室
シャワー室:1室
エレベーター:1基
駐車場:あり
屋上庭園:あり
中庭:あり

③ 理念・基本方針
社会福祉法人青い鳥の理念
「道なきところに道を」

川崎西部地域療育センター基本理念
1 子どもと家族の健康・安全・尊厳を重んじる療育を提供します。
2 子どもの発達と障害について理解を深め、専門性の高い療育をめざします。
3 障害のある子どもが安心して生活できる地域社会の発展に貢献します。

川崎西部地域療育センター基本方針
1 保護者の良きパートナーとして、個々の家族を支える支援を展開します。(個別性)
2 子どもの障害だけでなく、環境にも焦点をあてる支援を重視します。(包括性)
3 家族の精神保健の向上維持と、保護者の育児支援をすすめます。(家族支援)
4 子どものライフステージに沿った支援を展開します。(伴走性)
5 地域の実状に沿った事業展開をすすめます。(地域性)
6 地域の関係機関との連携による課題解決に取り組みます。(連携性)
7 困難事例の解決に向けて、他機関との連携を含め努力します。(問題解決性)

④ 施設・事業所の特徴的な取組
川崎市の地域療育センターとして宮前区の全域、多摩区の一部の18歳までの子どもを対象にサービスを提供しています。
乳幼児期から18歳までの発達の遅れや障害のある子ども、発達に不安のある子どもが、診療・相談・療育支援・家族支援・地域支援を通して地域で安心して生活できることを目的に運営を行っています。
医師をはじめ、多職種による複合的な支援により、子どもと保護者のニーズにできるだけ応える態勢を整えています。
開所以来、年間の利用申し込みの数は右肩上がりとなっており、ニーズも多様化してきています。発達に心配のある子どもに関する相談を受け止める施設として川崎市は「子ども発達・相談センター」を設置していますが、当事業所は令和4年度より宮前区・多摩区に開設された「子ども発達・相談センター」の運営の一部を療育センターと一体的に担い、利用者のニーズに迅速に応えられるよう取り組んでいます。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2024/07/16(契約日) ~2025/04/11(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(2019年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 1)「療育システムプロジェクト」が改革の原動力となっています
管理職の統括の下で、課長補佐、主任、専任職が参加して「療育システムプロジェクト」を結成し、月1回のペースで会議を開いてきました。そして、各課の報告を基に、利用者ニーズに柔軟に対応しながらも専門性を保った療育システムを提案し、報告書にまとめています。このプロジェクトにより、一部管理職だけでなく職員全体でセンターの向かう先を真剣に検討する意識を醸成し、状況分析や課題の全体共有が進んでいます。

2)専門的な診断、支援計画を基に、一人ひとりの子どもたちの特性に応じたきめの細かい療育を実践しています
所属の医師の診断をもとに発達、聴覚などの検査、アセスメントを通じて、子どもたち一人ひとりの特性に応じたきめの細かい支援計画を立てて実践しています。専門家のもとで機能・生活のリハビリテーションを実施しています。通園の日々のプログラムは、一人ひとりの能力と適性に応じて作成しています。環境の構造化、図や写真を駆使して子どもたちの過ごしやすさ、見通しの立てやすさを支援しています。子どもごとに異なる意思表示の仕方やサインを用いて、コミュニケーションをとっています。個々の状況の変化を記録し関わり方の見直しをしています。「成功体験は成長の泉」という考えをもとに、子どものやりたい気持ちを大切にし、小さな成長をほめ、励まして療育をしています。

3)地区担当ソーシャルワーカーが保護者を継続して相談支援しています
療育センターとして利用者の保護者向けに「保護者学習会」を開催しています
保護者が子どもの理解を深める取り組みをセンター全体で行なっています
地域の障害をもつ子どもの保護者への支援に力を入れています。相談者の居住地域に応じて担当するソーシャルワーカーを決め、初回だけでなく継続した相談支援をしています。保育園や幼稚園などを並行利用している場合でも、所属先での過ごし方に心配があれば、連絡をとってより良い過ごし方を所属先と検討するので積極的に相談してほしい、と呼びかけています。保護者向けの学習会を年間に15回、事業所内やオンデマンドで開催しています。

4)非常時に際してのきめの細かい体制整備が望まれます
事業所は川崎市の二次避難所として指定されており、災害時には川崎市の指示に応じて受け入れを行うことになっています。自然災害に対するBCP(業務継続計画)で平常時の安全対策、職員の参集基準、正常化にむけた7日間の重要業務遂行の目安などを示しています。全体研修で動画の視聴をしていますが、内容が職員に浸透していくよう、机上訓練などの実施が望まれます。

5)人材の育成と定着へのさらなる取組が期待されます
法人で定期的に常勤職員採用試験を実施し、新卒から経験者まで幅広く採用しています。ただ、採用に至るまでにかかる費用の増大等が事業費を圧迫しており、効果的な採用活動について検討する時期に来ています。また、一定の水準に達した専門家が長く働き続けるよう、職場環境の改善にも努めていますが、今後も職員が一丸となってその取組を進めていくことが期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
当センターは、開設15年目を迎え、今回の福祉サービス第三者評価は3 回目の受審となります。前回の受審からの5 年間では、コロナ禍による社会の変化に応じて当センターもより良いサービスを提供するため、川崎市行政とも連携して様々な取組を行うことになりました。
また、生産年齢人口の減少等、障害福祉人材の確保が徐々に難しくなってきていることへの対応も法人本部と連携し、給与水準の改善に取り組む等対応してまいりました。
こうした大きな動きを経た中で第三者評価を受審し、我々の日々の取組を振り返るとても有意義なものとなりました。
はじめの「自己評価」のプロセスでは、各職員が自らの業務について振り返りを行い、その結果をもとに係や課単位で話し合い、最終的にセンター全体としての評価をまとめました。この過程そのものが、職場の全スタッフが地域療育センターのあり方について再確認する契機となった上に、さまざまな業務経験に基づく考え方等を広く共有することができ、OJTとしても効果的な機会となりました。
また、当センターをご利用されている保護者の皆様からも評価にご協力いただきました。
お子さん・保護者の皆様からの支援ニーズなど様々なお声を届けていただき、今後の支援プログラムを充実させていくための重要な手がかりとして活用させていただきます。
今回の経験を活かし、実効的なチームアプローチの実践と関係機関との連携の充実を図り、地域のニーズに寄り添った、愛される専門機関を目指してまいります。
ご協力をいただいた保護者の皆様には深く感謝を申し上げます。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

法人の理念及び事業所の基本理念3箇条をホームページ、パンフレットに載せ、事業所内の掲示板や事務室に掲示しています。ホームページには、法人のビジョン及び事業所の運営方針も掲載しています。中期事業計画や各年度の所内目標、部署目標は基本理念を踏まえて作成しています。年度当初の職員内全体研修で所信表明を行うとともに、基本理念や目標を確認しています。また毎月、職員全体朝礼で基本理念を唱和し、理念の浸透に努めています。職員は名札ホルダーに基本理念を入れて常に携帯しています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

国や自治体の施策変更に対し、経営への影響等を分析しています。また、川崎市の他の地域療育センター及び市の所管課と年2~3回会議を開き、管轄地域の人口、出生数、療育事業所までの相談の流れ、申し込み数の推移など現状把握に努めています。今年度は、利用者ニーズに柔軟に対応しながらも専門性を保った療育システムを検討すべく、管理職の統括の下で、課長補佐、主任、専任職が参加して「療育システムプロジェクト」を結成しました。そして、月1回のペースで会議を開き、各課の報告を基に議論を重ねて報告書にまとめています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

法人内の経営会議、所内の管理職会議で定期的に経営状況の分析、共有を行っています。今年度結成した「療育システムプロジェクト」では、集団療育希望者の減少と療育ニーズの変化を受け、児童発達支援センターに新たに3歳児の単独通園クラスや単独併行通園クラスを設置するなど、次年度に向けて柔軟なクラス編成を行う方針を打ち出しています。また、収益を前年度と比較し、業務量も見据えて、現在の業務を密度高く行うことが一番の対策となると結論付けています。そして各課で実施に向けて、必要なことは何か洗い出しを進めています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

法人とともに2024~2026年度の第二期中長期事業計画を策定して運用しています。策定に当たっては、各事業所で現状の課題と今後の方向性を踏まえて主な取組を定め、法人は各事業所の取組の中から優先度の高い最重点の取組33項目を計画の柱と位置づけています。センターでは、「新たな相談フローの下での適切な支援体制の整備」など5項目を主な取組としています。数値目標は単年度事業計画にのみ記しています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

当年度の事業報告内容を踏まえ、中期計画に沿った単年度の事業計画を策定し、法人理事会で承認を得て確定しています。計画内には、利用者数や実施回数、職員数等具体的な数値目標を掲げています。今期の中期目標では、主な取組の一つとして「新たな相談フローの下での適切な支援体制の整備」を挙げていますが、その具体的な内容として事業計画には新たなクラスの新設を掲げ、着実に実施に移しています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

事業計画は部門や事業ごとに作った計画に職員体制、社会貢献を加えた構成になっており、各部門等の職員の意見を集約しています。また、事業計画書を基に施設目標および部署目標を定め、各職員の人事考課の目標設定に活用しています。事業計画の進捗については常に職員と確認し、状況に応じて細部を修正して、実行可能かつ現状に即したものであるように努めています。上半期事業進捗状況報告書、年度末の事業報告書を作成し、理事会に報告しています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画は、最初のページに5項目の施設目標とそれに対する実施内容を箇条書きで記したものを載せ、理解しやすい形式にまとめてあります。法人ホームページ上でも公開しています。年2回、通園保護者会代表者が加わる運営協議会を開催しており、第1回目に事業報告と事業計画、第2回目に上半期事業進捗状況報告の説明を行っています。今後は、保護者にわかりやすく周知する工夫が期待されます。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

事業所内や部署内で福祉サービスの質の確認や見直しのために定期的な会議を行っています。5年に1度第三者評価を受審し、適切なサービスを行っているか職員が振り返る機会を作っています。児童発達支援センター、児童発達支援事業所、川崎市子ども発達・相談センター「アエルたま」「アエルみやまえ」それぞれで自己評価を行い、ホームページに公開しています。自己評価に際しては職員による評価と保護者による評価両方を行い、その結果に基づいて事業所内で分析を行っています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

自己評価では職員評価と保護者評価をとりまとめ、双方の共通点と相違点を挙げた上で、事業所の強みと改善点を記しています。そして改善に向けて取り組んでいます。例えば通園バスの安全性を高めてほしいという保護者の意見に対しては、エンジンを切ると車両後部から車内の確認を促す警報音が鳴るシステムを取り付けました。またインテークから療育開始までの期間が長かった時期に親子で遊べる場「フリースペースぷらっと」を提供していましたが、子ども発達相談センター開所によりその期間が短縮されたため、昨年度で終了しています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

通園課、地域支援課は年度初めに管理職の役割を記載している「通園業務について~基本方針と業務細目」「地域支援課~理念と方針」の読み合わせを行っています。所長は年度初めの職員全体研修で所信表明を行っています。管理職をはじめ各職種・職位別に目指すべき姿を記した「人材育成計画」を職員全員に年1回配布しています。そこに、有事における管理職の役割についても記載しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

全職員が参加する研修において、所長は療育や人権、その他業務に関連する法制度について伝え、職員の法令遵守の意識の徹底を図っています。法改正の情報等をいち早く把握するため、関係省庁のホームページ等で公開している最新情報を積極的に収集しています。今年度は障害福祉サービス改定に関する勉強会を実施し、加算改定の注意点などを直接処遇職員と情報共有しました。障害福祉サービス事業所ハンドブック等を購入して、いつでもだれでも確認できるようにしています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

「療育システムプロジェクト」等で分析を重ね、柔軟なクラス編成を行っています。そして、単独併行通園クラスの開設、療育期間の検討等、ニーズに合ったプログラムを提供し、切れ目なく療育が提供できるよう毎年編成し直しています。人材育成計画を立て、職員が目標を持って支援技術を向上できるよう年間を通して確認・サポートを行う体制を整備しています。職員会議で「みんなで考えよう & 学ぼう」という時間を設け、具体例について検討することで実務経験の浅い職員のレベルアップを目指しています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

管理職の統括の下、課長補佐、主任、専任職で「療育システムプロジェクトチーム」を組織し、課題を抽出してチームで改善に取り組んでいます。共働きの家庭が増え、親子通園希望者が減少している現状を見据え、クラス編成を毎年検討し、変更しています。また、職員が働きやすくするための業務内容の改善に努めています。グループウェアを導入し、事務処理の効率化を進めています。児童発達支援事業所では、午前クラス終了後、午後クラスにスムーズに移行できるよう、業務フローを見直し、サービス提供時間を15分短縮することを決めました。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

柔軟なクラス編成に合わせ、職員の配置数や非常勤職員の確保を計画しています。法人で定期的に常勤職員採用試験を実施し、新卒から経験者まで幅広く採用しています。常勤職員の代替職員であっても、資格取得を採用条件に設定して求人活動を行っています。ただ、採用に至るまでにかかる費用の増大等が事業費を圧迫しており、効果的な採用活動について検討する時期に来ています。また、一定の水準に達した専門家が長く働き続けるよう、職場環境の改善にも努めていますが、今後も職員が一丸となってその取組を進めていくことが期待されます。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人の就業規則、非常勤就業規則、人事考課規程を整備し、採用、異動、昇格と降格の基準等を定めています。職種ごとの「人事評価(意欲評定と能力評定)」があり、職務グレードごとに役割、評価項目、評価のポイント、具体的な着眼点を明記して、組織として適切に人事管理ができるシステムになっています。一定の基準を満たした職員に対して専任職という役職があり、「専任職選考申込案内」に沿って自ら応募できるようになっています。非常勤職員については、就業規則に常勤職員転換試験等、常勤職員への転換について定めた条文があります。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

労務管理、休暇の取得率等はシステム上で管理職が随時確認できる状態になっています。5日間の有給休暇の消化を徹底し、育児休暇や介護休暇を職場全体で当たり前のこととして受け入れるよう管理職が働きかけています。時間外労働は1分単位で管理しつつ、事業所の目標を下回ることができるよう削減に努めています。管理職による年4回以上の個人面談を実施しています。職場の雰囲気が明るいと多くの職員が評価しています。ハラスメント防止に力を入れ、行動指針を作成して相談窓口を設けるとともに、毎年、職員全体研修で取り上げています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

職種ごと、さらに職務グレードごとに役割を記した一覧表を整備しています。各職員はそれを参考に個人目標を立て、「目標設定シート」に記して年度初めに管理職に提出しています。「目標設定シート」には達成時期、達成水準、行動計画、期末の自己評価の欄があります。管理職は目標設定、進捗状況の確認、目標達成度の評価のために年に数回職員と個別に面談しています。職員は「一般市民に向けて講演ができるようになりたい」「文献を読んで朝の集まりがうまくできるようになりたい」などそれぞれ達成の可能性のある目標を設定しています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

研修委員会を組織し、毎年研修計画を立案しています。委員会には企画スタッフと実践スタッフがおり、実践スタッフには若手職員も入って活動しています。職員全体研修、新人・異動者研修をそれぞれ年8回実施しています。職員全体研修には法令で定められている研修を必ず盛り込んでいます。各職員の資格取得状況と更新時期を一覧表にまとめ、異動予定などの情報も把握したうえで、児童発達支援管理責任者などの有資格者を常に確保しておくために、職員に資格取得・資格更新の研修受講を促し、費用を事業所で負担しています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

毎年人材育成計画を職員に渡し、そこに法人階層別研修、職場研修、目的別研修、自己啓発から成る研修体系図を載せています。OJTは職種別に経験年数3年目程度の職員が担当し、実務における1年目の目標、3年目の目標を設定して「共に育つ」機会としています。そして主任がOJT担当者と連携して、新人の業務習得状況を確認しています。所内独自に自己研鑽の研修のための日程や経費を設定し、職員の役割にあった研修を推奨しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

法人で「実習生等の受け入れに関する要綱」を整備し、学校側や実習生、担当者、担当クラスで共通認識を持って取り組んでいます。専門性を生かし、通園課は保育士、診療所は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理職を目指す実習生を数校から受け入れています。要綱に沿って、実習生受入れマニュアル、職員用マニュアルを作成しています。職員用のマニュアルには、実習のねらいや指導方法、評価などについて定めています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人ホームページには法人の資金収支予算書、決算報告書を載せ、財務状況を公開しています。また、法人及び各事業所の事業計画書、事業報告書も掲載しています。事業所ホームページでは、開設の経緯、基本理念・運営方針をはじめ、支援の見える化を目的として、事業所で提供している支援の計画を記した「支援プログラム」を掲載しています。かつて法人で発行し、市町村・学校・福祉施設・障害団体・親の会などに配布していた療育情報誌は、現在ホームページから見ることができるようになっています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

事務、経理、取引等は経理規程、決裁規程等に基づき適正に行っています。各規程は職員であればだれでも自由に閲覧できます。経理規程に内部監査について明記し、法人の監事による内部監査を定期的に行っています。公認会計士による独立監査人の監査も実施しています。両監査の報告書はホームページで公開しています。監査指摘事項は理事会で報告しています。最近では川崎市運営指導において書式に関する指摘があり、改善報告を行いました。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

以前は幼稚園、保育所に出向き交流を図っていました。コロナ禍以降は安全面の配慮から実施を停止していますが、今後交流を再開するため、検討を行っています。ただ、現在事業所の利用者は保育園や幼稚園との併行通園を行っている子どもが多いことや、事業所が必ずしも利用者の自宅から近いとは限らないことから、利用者側の交流のニーズはあまりありません。なお、事業所のイベントにおいては、今年度通園クラスの夏祭りの企画に川崎市のアートコミュニケーターが企画に加わっています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

ボランティア業務マニュアルを整備しています。療育業務については専門性が求められるのでボランティアの受入れは行っていませんが、1~3歳児の通園療育中の弟妹児の預かりについてはボランティアを募集しており、現在2名がボランティア登録をしています。学生からの問い合わせで希望があった場合、内容に合わせてできるだけ対応を行うようにしています。地域の人々の事業所への理解を深めていく意味でも、療育に直接関わらない部分でボランティアでもできる活動をさらに広げていくことが期待されます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

福祉相談室は、障害福祉の概要やサービス申請窓口を記した資料「制度・社会資源について」を作成し、保護者に配布しています。宮前区役所、多摩区役所内の地域みまもり支援センターと連携会議を年2~3回開催し、随時協働しています。川崎市総合教育センターと連携し就学に関する情報提供をしています。地域支援事業として所属機関との連携を行っていることを保護者に案内し、希望に応じて電話や訪問で所属先と連携を図っています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

各区通級連絡会、宮前区こども子育てネットワーク会議 多摩区こども総合支援連携会議、各区民生委員との連絡会、各区要対協実務者会議代表者会議等、地域での諸会議に積極的に参加し、情報交換を行っています。川崎西部地域療育センターは、年2回の運営協議会を対面とオンラインのハイブリッド方式で開き、行政や学識経験者はもとより、自治会長や民生委員等地域住民の意見聴取に努めています。川崎市子ども発達・相談センターの運営の一部を担うことで、多様化するニーズを以前にも増して把握できるようになりました。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

施設や行政機関からの講師依頼に応じ、専門的知識を持つ職員が出向いています。依頼に応じて小学校、幼稚園、保育所約220園を訪問し、保育士、教員に療育的ノウハウを伝えています。小学校、幼稚園、保育所、児童発達支援事業所、放課後等デイサービス等の関係機関向けに「地域療育講座」を年数回開催しています。学齢児(小学4年~中学3年)を対象としたグループ活動を月2回行っています。災害時の住民への支援については今後の課題ととらえ、2階の広い部屋を開放し、自閉症等避難困難者の受入れを検討しています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「子どもの権利を守るための行動指針」を整備し、支援の姿勢を具体的に記しています。「子どもと家族の健康・安全・尊厳を重んじる療育を提供します」で始まる基本理念を月1回の朝礼で唱和し、利用者を尊重した福祉サービスの実践を確認しています。虐待防止、身体拘束防止等利用者尊重に関する研修を定期的に実施しています。今年度は子どもの権利と不適切養育防止について研修を行いました。毎年セルフチェックリストを使用して各人で自己評価を実施するように促しています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

「子どもの権利を守るための行動指針」にプライバシー保護についての項目も設けています。指針には、着脱や排泄において子どもの思いや羞恥心に十分配慮する、私物の確認や点検に際しては本人や保護者の同意を得てから行うなど記しています。保護者には他の利用者の映り込みの恐れがあるため療育中の写真・動画撮影は原則的にできないこと、インターネットでの配信を確認した時はそれ以降の撮影は全面禁止とすることを利用案内等で伝えています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

パンフレット及びホームページにて情報を発信しています。ホームページでは、支援プログラム、相談の流れや紹介動画を載せています。フェイスブックも開設しています。面接、診療、カンファレンス等を通して事業所の利用を促したほうがよいと判断する来談者に対しては、児童発達支援センター(通園)や児童発達支援事業所、学齢グループの利用の案内をしています。児童発達支援センターでの通所利用や診療所で開催している学齢グループでは、見学や体験を実施しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

利用案内、重要事項説明書、パワーポイントの補足資料を用いて、児童発達支援センター、児童発達支援事業所の利用開始前に説明会を実施しています。わかりにくい点や変更点については、支援開始直前のオリエンテーションの時間を用いて説明しています。重要事項説明書は2部用意し、保護者は説明後に説明確認欄に署名捺印して、事業所で1部保管しています。保護者が日本語での意思疎通が難しい場合や意思決定困難な場合は、通訳を手配したり担当者が手続きのサポートをするなど、利用者への配慮を心がけています。 

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

児童発達支援センター(通園)の年長児は契約終了に当たって保護者に同意を得て、移行先の学校へ事前に電話等で情報共有を行なっています。そして個別支援計画書のまとめ・特性と配慮点(写真・イラスト付き)を記載した文書を作成し、状況に応じて担任または保護者が移行先に渡しています。児童発達支援センター・児童発達支援事業所ともに作成した個別支援計画は保護者にお渡しし、その際に関係機関(幼稚園・保育園・学校・児童発達支援事業所・放課後等デイサービス)と共有するように伝えています。保護者には、学齢児(小学4年~中学3年)を対象としたグループ活動を月2回行い、参加者の保護者会も開催していることを伝えています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法令で定めている児童発達支援自己評価アンケートを毎年実施し、結果を年度末にホームページに公開しています。時代の変化にともない、利用者家族の要望も変化しているので、主任以上が参加する「療育プロジェクト」において利用者の意見を整理、分析を行っています。この他、保護者会が毎年5月に通園利用アンケートを実施しています。よかったこと、要望などを自由に記述しています。きょうだい児向けのプログラムをしてほしい、通園バスは医療ケアの子どもも利用できるようにしてほしい、など多数の要望に対して丁寧に回答し、要望を実現するよう準備をしています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

法人の「苦情対応規程」に基づいて、苦情解決責任者を所長、受付担当者を管理課長としています。第三者委員は、NPO法人から派遣された社会福祉士、弁護士です。「何かあれば連絡ください」と保護者会であいさつをしています。苦情解決体制は重要事項説明書に明記し、事業所内に掲示しています。苦情案件は規程に基づき、報告、解決、公表をすることとしています。内容は事業報告書に記載し、保護者、行政、地域の代表が参加する運営協議会に報告することになっています。今後は、保護者に周知する工夫が期待されます。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

地域から連日、電話や来訪による多数の相談が寄せられています。相談者の居住地区ごとに担当するソーシャルワーカーを決め、事業所内に掲示しています。相談者のプライバシーを配慮して、個室を確保しています。通園の利用者は、担任や担当専門職といつでも相談をすることができます。「利用案内」の中で、ご意見ご要望については、事業所各階階段の踊り場に設置している「みな様の声ボックス」に匿名でもいいので利用するよう、案内しています。また管理課長、所長、第三者委員も対応することを記載しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

相談に訪れる利用者は、地区担当のソーシャルワーカーが丁寧に応じ、継続して相談に乗るようにしています。各階の踊り場に「みな様の声ボックス」を設置しています。事業所からの保護者向けアンケート、保護者会を通じたアンケートの2種類を毎年、実施しています。「危機安全管理マニュアル」に苦情報告、解決への手順を記載しています。相談内容は記録して、事業所の医師の診断につなげたり、相談者が所属する機関への支援につなげたりします。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

所長を責任者とする「安全衛生委員会」を昨年は9回開いています。所長、各課長、主任や部署の担当者が参加し、リスクに関する諸議題、避難訓練の報告、感染症対策、施設の安全対策などを検討、決定しています。「事業所安全計画」には、自然災害のみならず虐待、苦情、個人情報、園外療育、アレルギー、通園バス置き去り防止、プール水遊び、安全な職員体制など広範なリスクに対する手順を示しています。活動中の怪我などヒヤリハットの報告書を各部署から提出し、月2回の主任会議で報告しています。ヒヤリハットの事例の分析、対策を行い職員に周知しています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症対策については、所長、管理職が出席する毎月の「安全衛生委員会」、年に2回の「感染対策委員会」を開き、感染症の発生状況の確認や対策の決定をしています。「感染対策マニュアル」(厚労省)を使用し、感染症の予防、嘔吐物の処理方法を含め発生時の対応を職員に周知しています。看護師を中心に、手洗い研修などを行っています。通園保護者を対象とした勉強会も行っています。「新型コロナウイルス インフルエンザ感染拡大予防のお願い」を掲示し、職員、利用者に予防対策を周知するようにしています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

「危機管理マニュアル」で、地震、火災などの災害についての対応体制を決めています。備蓄は3日分確保しており、管理栄養士が管理しています。地震、火災、不審者などを想定した避難訓練を毎月実施しています。業務継続計画(BCP)を策定しており、平常時の安全対策、災害の発生後に機能が停止してから復旧するまでの職員参集、安否確認、災害直後からほぼ正常化する7日後までの重要優先業務などを決めています。全体研修で職員は動画を視聴しました。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

「業務細目」には、デイリープログラムがあり、開所後、朝ミーティングからはじまり、バスの出発、登園からの職員体制、準備内容等々を定めています。年度初めに会議で内容の確認をしています。「子どもと保護者に向かうことで大切にすること」という文書を配布し、利用者尊重、権利擁護の姿勢を遵守するよう職員に求めています。日々の安全対策、園内外の療育方法、給食、通園バスなど生活の諸場面における標準的な実施方法を文書で定めています。日々、主任が標準的なサービスの実施をしているかを確認し、主任が中心に開く職員会議において周知や指導をしています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

通園部門の利用者アンケート、職員のアンケートなどからニーズを抽出し、事業所内の「療育プロジェクト」でサービスの見直しを必要とする課題を分析しています。要望を受けて通園バスの到着のタイミングを知らせるシステムを導入しました。また、親子通園の保護者同士だけで食事しながら交流する機会を作りました。医療的ケアの子どもも通園バスを利用できるようにしてほしい、という強い要望を受けて、次年度から車両の準備と看護師の同乗の実施を決めています。職員や利用者からの意見や提案を事業所として反映する仕組みを作り、実践しています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

相談を受けたソーシャルワーカーが、最初のインテークアセスメントで、障害状況、発育歴、言語理解、言語・非言語表出、感覚機能、対人関係や遊びや興味関心などの社会性、家族環境、日常生活動作など概略を聞き取ります。そのうえで医師に受診し、心理士による心理発達検査、必要に応じて作業療法士、理学療法士、言語聴覚士による機能検査をします。これらの結果をもとに、児童発達支援管理責任者のもとで、保育士が食事・排泄・着替えの身辺面、好きな遊び、テレビ、キャラクター、苦手なこと、利用者の希望など、より療育に則したアセスメントを行い、個別支援計画を作成します。クラスリーダーは個別支援計画を計画通り実施しているかを日々、確認しています。子どもの特性理解と対応の工夫について学ぶために、まずは親子通園をすすめるなど、保護者の不安やストレスを軽減するような対応をしています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画は少なくとも6か月に1回以上、実施状況の把握、解決すべき課題を見直しを行っています。担当職員が6か月間の療育の評価を行い、児童発達支援管理責任者と検討して見直します。見直しをする前には保護者からの意向を書面で確認し、個別に面談時間を設けて説明し、同意を得ています。見直し後にも、子どもの様子が変化すればその都度、支援内容の変更を保護者に説明して実施しています。子どもの状態が変化したり、機能的な面での再評価が必要となった場合は、医師の判断で方針を見直すなど、子どもの状態に合わせたアプローチができるようにしています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の日々の状況は、「療育記録用紙」に、日常生活動作、食事、活動などを具体的に記録しています。アセスメント、個別支援計画や療育記録などの書面は利用者の個人別ファイルにまとめており、職員室で管理し、職員間で共有しています。このほか、ソーシャルワーカーが作成した記録、事業所内外でのケースカンファレンスなどは、「電子カルテ」としてデジタル化し、各部門の職員がアクセスすることができます。記録の書き方は、目標に対して結果がどうだったのかポイントを記述し、モニタリングしやすく書くように指導しています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

「個人情報保護に関する方針(プライバシーポリシー)」において、個人情報の適正な取得、利用、管理、同意のない第三者への提供はしないこと、適切な管理体制、周知の徹底と研修などの取組をうたっています。これを受けて「個人情報保護に関する規程」、同「規則」に対策や対応方法が詳細に決めています。利用者には、重要事項説明会の際に個人情報の取扱いについて説明し、署名を受けています。事務所で管理している書類は、施錠した棚で保管しており、持ち出し簿で管理しています。研修は部門ごとに実施していますが、全体研修を実施していないので、さらに徹底した情報共有ができることが課題だと考えています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「成功体験は成長の泉」と考え、子どもの好き、やりたい、ということに着目することが、療育のヒントになると考えています。保護者面談の際に、子どもの好きな遊び、テレビやキャラクターなど、とにかく興味のあること聴きとって、アセスメントシートに記入し、療育の場面で活用しています。クラスでは、遊ぶスペースと制作スペースのコーナーを分け、活動のめりはりがつくようにしています。何で遊びたいか、おもちゃの絵を描いたカードを示して、子どもが選べるようにしています。お絵かきの時間に、赤鉛筆と青鉛筆を子どもの前に示し、自ら選択するまで待つこともあります。言葉を発することができなくても、手を握り直したり、両手を挙げたりする子どもなりの意思表示を受け止めるようにしています。子ども自身が選択する機会を意図的に作っています。利用者の自己決定の権利については、職員会議や研修のなかで随時、確認する機会を設けています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

「子どもの権利を守るための行動指針」は、職員で構成した委員会で検討、作成したもので、支援の基本姿勢として職員に周知しています。この指針では、安心して生きる権利、ありのままの自分でいる権利、自分を守り守られる権利、自分を豊かにする権利、自分で決める権利、参加する権利、個別の必要性に応じて支援を受ける権利を保障することを具体的にわかりやすく示しています。不適切養育防止委員会は身体拘束適正化委員会を兼ねて、年に2回に加えて必要に応じて開き、状況を確認しています。子どもの権利と不適切養育を防止するための全体研修を年に1回開催しています。利用児の言動や怪我、身なりで不適切な養育が疑われた際はCAP(不適切養育防止委員会)を開催し、必要に応じて各区のみまもり支援センターや児童相談所へ報告・連携し、利用児の権利擁護に努めています。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもの自律・自立生活を支援するために、アセスメントシートをもとに生活、言語・コミュニケーション、社会性・対人意識、認知・行動、運動・感覚の5領域に沿った個別支援計画を作成し、一人ひとりに合わせた取組をしています。1日のスケジュールについては子どもごとのボードに活動内容の写真やイラストを時程順に貼り、視覚から日程の見通しを立てやすいようにしています。整理整頓については、出したものを元の場所に戻すということはなかなか難しい課題なので、片づけボックスを用意し、「とりあえず終わった道具やおもちゃはここに入れてね」と分かりやすい指示をしています。まずは目の前のテーブルから物がなくなることで、次の場面への切り替えのきっかけにしています。着替えについては、職員と保護者が一緒に観察し、どこまで自分でできるか、支援者の手伝いは適切だったがなど評価し合う機会を作りながら、自立を支援しています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

子どものそれぞれの特性や強み、理解度に合わせて、コミュニケーション支援の具体的方法を検討しています。診断結果で難聴の場合は、補聴器をつけています。発達面でコミュニケーションに障壁がある場合は、子どもの理解度に合わせて集団のなかで支援するために、具体的な視覚化、構造化を検討しています。職員は子どもごとの意思表出の仕方に合わせて、コミュニケーションをとっています。言葉を出すことが出来なくても、手をつなぐと軽く握り返せばイエスのサイン、両手を挙げればOKのサインと理解して会話をしていました。療育で実施しているコミュニケーションの方法は、保護者と共有し、家庭でも取り組めるように支援しています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもの意思、希望は日々の療育の中で職員がその都度、汲み取りながら支援しています。保護者に対しては、クラス懇談会、面談を通じて職員とコミュニケーションをとっています。事業所を利用するすべての保護者を対象とした学習会を毎年実施しており、昨年度は15回開催しました。通園部門としても月に1回程度学習会をしてます。内容は、子どもの困り感、かかわり方にどのような工夫があるかなど、園長、主任、クラス担任が講師となり、子どもへの理解を深めています。子どもの見方を知る機会が多くなっているので、例えば利用者の進路について、親の思いや見立てだけでは子どもにふさわしい環境は決められないことについても理解を得ています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の希望やニーズに応じて、日中活動の多様化をはかっています。1日の流れは時間ごとに場面の写真やイラストをボードに貼り、見通しが立ちやすいようにしています。ゲームの順番は顔写真をボードに貼り、終わればはがしていくことで順番がわかりやすいように工夫しています。次の活動に移る間際にテンカウントをしたり、床に足を置く位置に足形のシールを貼ったりなど、子どもが活動に参加しやすいような支援をしています。子どもたちが地域の催し物に参加するのが難しい、という保護者からの声を受けて、館内で親子が一緒に参加できるように、夏祭り、クリスマス会、節分の豆まき会などをしました。七五三や卒園式に向けて、ジャケットを羽織ることからはじめ、少しずつ普段着ていない洋服を着る練習をするプログラムもあり、好評です。掲示板には、親同士が交流するカフェの案内などいくつものお知らせが貼られています。事業所の会議室を貸し出して保護者の会合を支援しています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員全体研修は年に8回実施し、新人職員や異動職員を対象に、発達障害の基礎知識、運動発達の基礎理解、福祉制度について、感覚について、言葉とコミュニケーションについて、早期療育について、集団療育についてなどをテーマに研修を実施しています。通園部門では、職員がクラスを超えて活動や実践を紹介しあう機会を作っています。また、全専門職が参加する支援会議において、支援方法等の検討、共有を目的に毎週開いており、この機会が効果的な専門知識の習得と支援の向上に寄与しています。子どもにとって見通しを立てやすいように、コミュニケーションボードによる視覚支援や、パーティションを駆使した環境の構造化を図っています。他児に手が出るなどの不適応行動には、手が出ない距離まで離したり、ボードで遮ったりなどの対応をとりますが、きっかけとなった原因を予測するように努めています。手が出やすいことは保護者にも伝え、家庭と協力してできるだけ防ぐよう共に考えています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

給食の献立は、季節や見た目などに配慮し、適切なエネルギー量、カルシウム、ビタミン量となるよう管理栄養士が作成しています。子どもがアレルギー検査で除去が必要であると医師の診断を受けた場合は、除去食もしくは代替食を提供しています。咀嚼や嚥下が難しい子どもには、やわらかく煮たり、刻んだり、とろみをつけたりなど、食べやすい食形態にして提供しています。担当職員は「おいしいね」など話しかけながら食事を共にしています。園長や管理栄養士も喫食の場に訪れて、笑顔をふりまいています。排泄については成長を見ながら、トイレにまず座ることからはじめるトイレトレーニングをしています。トイレットチェアを使ったり、踏み台を置いて足を安定させて座ったりしています。歩行の獲得状況に応じて、歩行器、車椅子等の補助具を使っており、階段の昇降の介助や訓練をしています。次年度からは医療的ケアの子どもも送迎バスを利用できるよう、新しいバスにリフトを設置したり、看護師の配置を検討しています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

子どもたちの活動するクラスは、清潔、適温と明るい雰囲気を保っています。空気清浄機を設置し、冬場は乾燥を防ぐために加湿をしています。体温調節が困難な子のクラスには、トイレに温風ヒーターを設置し、内外の温度差を測って服で調節をしています。子どもがパニックになったりした際に一時的に避難する部屋を確保しています。なるべく刺激になるものを少なくするようにしています。制作活動をするときには、おもちゃが目に入らないようにパーティションで区切っています。自由遊びができるエリアに一人ひとりが落ち着いて個別の遊びができるように椅子と机を配置しコーナーを作っています。クッションを配置して横になってリラックスするエリアも作っています。粗大運動などができるホールは各クラスで共用していますが、日中の活動が重ならないよう、時間と場所を調整しています。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

医師の診断をもとに、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による個別のリハビリテーション実施計画を立て、本人の課題点や目標に合わせた方針を決めて、リハビリテーションを実施しています。具体的には、運動機能では寝がえり、座る、立つ、歩くことを、手指・上肢ではしゃぶり、もちかえ、つまむ、なぐりがき、つまみ、はさみなどを確認します。基本習慣ではコップ、ストロー、パンツ、靴の脱着、着替えなど、対人関係では人の声で向く、笑う、まねる、人見知り、友と遊ぶこと、発語では声を出す、喃語、2語文、3語文、会話などを評価します。そのうえで、粗大運動の発達や基本動作の確立などの目標を立て、援助方法を具体化します。この計画をもとに、個別支援計画を作成しています。階段の昇降であれば、本人がやる気になるように声をかけるなど工夫しています。家庭や保育園、幼稚園などの子どもの所属先でも実施できるよう助言しています。支援方針の変更がある場合は、支援会議で内容を共有し、関係職種で話し合いながら随時、実施しています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

通園の子どもたちは、登園時に玄関で体温チェックをしています。保護者には朝、本人ならびに同居の家族が37.5度以上の発熱があれば、当園を控えるよう呼びかけています。保護者が、連絡帳に家庭での様子、食事、このほか体調についてチェックして持参します。看護師がクラスを回り、体調を確認しています。単独通園の子どもたちを対象に内科は年に2回、耳鼻科、眼科、歯科は年1回の定期健診を実施しています。登園中に発熱など体調不良があった場合は、保護者に連絡し各自の主治医や提携病院で受診するように話して、お迎えを要請しています。救急搬送時の対応などは、危機管理・安全マニュアルに手順を作成しています。全職員を対象に年に1回、看護師が中心となってエピペンの使用方法、AEDの使用方法、感染症対策の研修会を実施しています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:a】

医療的ケアが必要な利用者は、通園を利用する前に所長の診察を実施します。主治医が作成した主治医診療情報提供書・意見書をもとに通園内での医療ケアや活動への参加の制限を確認し、必要な処置を確認しています。医療ケアそのものは看護師が実施しています。アレルギー検査を受け、その食品の除去が必要であると医師から受けた場合は、主治医意見書と検査結果表の提出のうえで、該当食品の除去や代替食の提供をしています。服薬については保護者から事前に相談を受け付けています。市販薬の与薬はしませんが、慢性疾患により主治医からの依頼書があれば処方薬の与薬支援、てんかん薬などを預かることがあります。医療ケア対象児の受入れ、緊急時の保護者への連絡、救急搬送時のマニュアルを作成しています。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

保護者から、子どもを外に連れて公園に行っても、道路を走り出してしまったり、遊具の順番を待つことができない、という声を受けました。これに対して散歩プログラムを立てて、事業所を出て歩いて戻ってくることを目標にしました。公園に行く途中では、横断歩道で待ったり、公園の遊具を使う順番を守ったりする経験を積んでいます。事業所の外での体験を積み重ねることで、社会経験、社会参加が進むように支援しています。昨年度は保護者学習会を15回実施しました。臨床心理士による「子どもの困り感を体験しよう」「発達障害を持つ子どもへの配慮と工夫」、小児精神科医師(所長)による「診断の意味と役立て方」、理学療法士による「運動が苦手な子どもの理解と対応」、作業療法士による「不器用さについて」、言語聴覚士による「ことば・コミュニケーションの発達を促すには」など、いずれも利用者への理解を深める内容です。保護者が子どもの見方を知る学習の機会を多く作っています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

小学校への進学がスムースに移行していくように、「通園児童状況報告書」を作成して、子どものニーズを学校に引き継いでいます。ここでは、とくに子どもの特性と配慮点、過敏のポイント、スケジュールの提示について、活動内容、着替え、自立課題などを具体的に記載し、就学先や保護者に渡したり、担当者が訪問して療育内容の引継ぎを行っています。3月末には、就学先に子どもの様子を見てもらいます。夏休みの期間には、学校の先生向けの講義とクラス体験の機会を作り、エリア内の全小学校、特別支援学校に案内を出しています。肢体不自由児と知的障害児の内容をそれぞれ1日ずつ開催しています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもが事業所内で過ごしている様子は日々、連絡帳で保護者に伝えています。相談については対面だけではなく、電話やオンラインで行うこともあります。通所クラスでの懇談会は定期的に開いています。年度初めの面談、前期個別支援計画確認面談、後期個別支援計画確認面談、年度末の個別支援計画確認面談を開き、子どもたちの生活や支援について、家族と意見交換をする機会を設けています。このほか保護者のクラスごとの学習会では、子どもの様子と理解について認識を共有する場となっています。子どもが体調不良や急変時は、保護者に連絡し、状況によっては救急車を手配することについて、フローチャートを整えています。保護者同士が意見交換する場を部屋を提供して支援しています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所の医師の診断、発達検査、言語評価・聴力検査など専門職の評価、個別面談をもとに、詳細なアセスメントをしています。それぞれの子どもの発達過程や特性を踏まえて、できること、目標を支援計画に具体化して支援しています。必要となる基本的日常動作や自立生活を支援するために、集団活動と個々の特性に合わせた個別のプログラムを組み合わせて実践しています。子どもたちをより深く理解しようと、試行錯誤を重ねながら、本人が過ごしやすく、楽しく活動できるための工夫をクラスの職員が行っています。事業所単独通園の子どもたちだけでなく、保育園や幼稚園、他の児童発達支援事業所にも並行して通っている子どもたちもいます。子どもへの見立てと援助の方向性を整えるため、保護者やそれぞれの所属先と連携をとることに力を入れています。

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

就労支援は行っていないため、評価外です。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

就労支援は行っていないため、評価外です。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

就労支援は行っていないため、評価外です。