社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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新葉山はばたき

2024年03月05日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 公益社団法人神奈川県介護福祉士会

② 施設・事業所情報
名称 新葉山はばたき 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 生活介護 定員 40 名
所在地 240-0112
三浦郡葉山町堀内1363-1
TEL 046-876-1195 ホームページ http://www.shounan-nagi.or.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2022年10月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人湘南の凪
職員数
常勤職員:7 名
非常勤職員:9 名
専門職員
サービス管理責任者:1 名
生活支援員:13 名
看護師:1 名
事務員:1 名
施設・設備の概要
作業室:5
会議室:1
医務室:1
相談スペース:1
事務室:1

③ 理念・基本方針
◇基本理念
1.利用者が尊厳を持って、自立できる地域社会の実現を目指します。
2.基本的人権を守り、個人の尊厳を重視した支援を行います。
3.地域とともに歩み、地域から信頼される法人を目指します。
4.常に法令を遵守し、良質な福祉サービスを提供します。
5.法人の経営基盤を強化し、経営の透明性を確保します。
◇職員行動指針
 1.私たちは、社会福祉法人の職員であることを強く自覚し、高い職業倫理を身につけます。
 2.私たちは、常に法令・制度に対する自己研修に励み、これを遵守します。
 3.私たちは、利用者の基本的人権と個人の尊厳を守り、利用者本位の支援に努めます。
 4.私たちは、地域のセーフティネットの一翼を担うものとして、地域社会と連携し、様々な困難に立ち向かいます。
 5.私たちは、「障害者権利条約」推進のため、イエローリボン運動に賛同します。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
○言葉によるコミュニケーションが困難な利用者が約8割おり、職員は写真や文字、カードなどを用いて、利用者の思いを確認している。また、身振りや表情、視線、行動などから思いを探るようにしている。一日の流れを構造化して、利用者が落ち着いて作業や活動に集中できるよう工夫している。自閉症スペクトラムの利用者には、PECS(絵カードを使ったコミュニケーション)を活用して、意思決定の支援を行っている。利用者一人ひとりの障害の特性を把握して、利用者が安心、安全に一日を過ごし、地域社会の中で自立できるよう、職員はていねいに向き合い、利用者を支援している。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2023/07/01(契約日) ~2024/02/09(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 ◇事業所の特色や努力、工夫していること、事業所が課題と考えていること等
○これまで、町の指定管理者として生活介護事業所を運営していたが、令和4年10月、事業所を移転し、法人の自主運営としている。企業の保養施設だった建物の内部を改修し、利用定員も40名に増やしている。葉山、逗子、横須賀の3市町から、19~73歳の知的障害や精神障害、自閉症スペクトラム、ダウン症などの障害がある利用者が日中活動に通っている。
○生涯発達支援の考えを取り入れ、重点支援領域を①学習・余暇(学ぶ・楽しむ)、②自立生活領域(暮らす)、③作業活動領域、④コミュニケーション領域の4つに分け、利用者の希望や年齢、障害の特性を考慮して、個別に支援領域を設定して、グループごとに活動している。
○日中活動は、利用者の心身の状況に合わせ、工程を分割して作業を提供している。ミックスペーパーの回収袋の作成では、折りや糊付けなどの段階に分けて、利用者ができる工程を担ってもらっている。その他、コーヒー袋のシール貼り、ひじきのゴミ取り、機織り(コースターやショール作り)、缶つぶし(資源回収)などの作業を行っている。
○余暇活動では、タブレットでアニメを鑑賞したり、パズルやぬり絵、スポーツでは集団で行うレクリエーションとしてボッチャを導入している。日中活動や余暇活動は、本人の希望や家族への聞き取りをもとに、無理のないよう提供している。歩行訓練として届け物を兼ねての歩行、踏台の昇降(階段の上り下り)、動画を見ながらのストレッチ、高いところにボールを入れるなど、一人ひとりの日課を決めている。
○利用者の作業室は、必要に応じて、パーテーションを使用して環境設定を行っている。利用者の相性に配慮して活動する部屋を決め、作業や余暇活動に集中できるスペースをパーテーションで区切って確保している。また、利用者がパニックになったり、体調不良になった場合に備え、静養できるスペースを確保している。廊下の幅が広く、4人掛けのソファを置き、利用者がいつでも自由に休んだり談話をしたりできる空間を作っている。
○「サービス等利用計画」に基づいて、利用者や家族のニーズに沿った個別支援計画を作成している。利用者の心身の状況や希望する生活を把握して、利用者ができることを増やして、自信につながるよう支援している。職員が言葉で褒めたり、またトークンシステム(代用貨幣)でポイントを増やし、貯まったポイントで散歩に出かけるなど、成功体験を増やして、自律や自立に向けた支援を行っている。
○昼食は業者に委託し、事業所内の厨房で調理している。その場で調理しているので、温かいものは温かく、冷たいものは冷たい状態で昼食を提供している。利用者の状態に応じ、食形態(普通食、刻み食、ペースト食など)を選ぶことができる。テーブルの下に踏台を置き、利用者が安定した姿勢で食事が取れるよう工夫している。配膳のトレーには、個別のカードを置き、禁食やアレルギー除去食、代替え食、自助具、箸、スプーンなどの種類を記載し、職員は毎回内容を確認して、食事を提供している。利用者からあがったリクエストメニューは献立に反映している。リクエストメニューは、献立表に☆印を付け、利用者が楽しみにしている。
○「利用者支援マニュアル」を整備し、支援にかかわる基本的な姿勢、自立支援などの項目から、食事、排せつ、移動、活動など、支援方法を細かく作成している。新人職員はもとより全職員が「利用者支援マニュアル」に沿って、利用者を支援している。利用者の個別支援計画の作成においても、「個別支援計画手順書」により、統一した手順で計画の原案を作成できるようにしている。また、利用者の特性に合わせ、「アセスメントシート」を複数用意し、「ニーズ整理表」で個人のニーズを抽出している。また、高齢になり身体機能に低下がみられる方には「高齢障害行動チェック」を使用して、個別支援計画の作成につなげている。
◇独自項目への取り組み
○事業所におけるサービスの質の向上のためのシステムを確認する「発展的評価項目」に取り組んでいる。「新人職員の育成環境を整え、利用者支援の質や業務の効率の向上を図る」ことをテーマに、取り組みの過程をPDCA(計画、実施、反省、課題の検証)に分け、実践を振り返っている。また、事業所が次の取り組みを計画する「課題抽出項目」では、「利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている」の項目に対して、今後の具体的な取り組み内容を決めている。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 今回、第三者評価を受審するにあたり施設長以下、10年目以上のリーダー層の職員及び4~9年目の中堅職員を中心に自己評価票の点検を行いました。自己点検を進める中で各職員が事業運営全般の理解や利用者支援を客観的に振り返る機会になりました。また訪問調査を通じて、日々の業務を言語化することやエヴィデンス(根拠)を明確化する機会になりました。引き続き利用者の方の障がい特性や多様化するニーズに対応すべく、利用者本位の支援に努めてまいります。
 発展的評価項目では、今後、多様化する福祉ニーズに対応するため新人職員の育成ならびに職場定着を目的とした職場内OJT(OJT計画の立案と育成担当職員による助言・指導)をテーマに職員間で課題の抽出や具体的な改善事項について検討を重ねた結果、「OJT計画で定められた各目標を期間内に達成する」ことを目標に取り組みを行いました。取り組みを進める中で不足する項目もあり、修正を要したが、計画の中に育成に関する進捗を職員全体に示したことで育成担当職員が不在時は、他職員が代替で育成担当を担うといったメリットも確認されました。適宜、取り組みについては改善を要しているが事業所内で人材育成に対するOJTを行えたことで貴重な福祉人材の職場定着及び職員の育成を通じて利用者の福祉ニーズのより一層の充足に繋がればと考えております。

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評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

法人の基本理念や職員行動指針は、事務室内に掲示している。また、9月末の「中間事業報告会」や、3月末の「事業報告会」で職員が唱和して、職員の意識醸成を図っている。コロナ禍で自粛していたが、事業所の朝礼での唱和も再開する予定である。新人職員及び中途採用の職員には、新入職員研修の中で、管理者より理念や行動指針の講義を1時間かけて行っている。家族には、年2回面談し、個別支援計画の内容とともに、支援の方針を説明している。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

週1回、法人内の各管理者が集まり、「情報共有会議」を開催している。「情報共有会議」では、各事業所の状況や社会福祉施策などの動向を確認している。また、施設長が町の障害福祉計画策定委員会に参加し、地域の福祉計画策定の動向と内容を把握している。四半期ごとに、施設長が会計事務所による「会計報告」に出席して、経営状況を分析する機会に参加している。人件費比率60%程度を維持すると、運営も安定するため、収支の状況に注意することにしている。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

四半期ごとに、会計事務所による「会計報告」に施設長が参加して、経営状況の分析を行う機会を設けている。新しい事業所になり、定員を20名から40名に増やしている。現在は定員に達していないため、報酬単価の減額はないが、今後の課題となる。また、光熱水費やガソリン代の高騰もあり、節電などに取り組んでいる。「情報共有会議」の内容で、職員間で共有すべき事項がある場合は、事務室の掲示板に書面を掲示する他、月1回開催する職員会議で、職員に説明している。また、月1回、フロアミーティングを開催して、支援上の課題や環境の整備に取り組んでいる。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

法人全体で、「社会福祉法人湘南の凪中期事業計画」を策定している。中期事業計画は、5年を目途に、施設整備や運営事業など、取り組むべき事項を掲げ、内容の更新及び改訂を行っている。法人が目指す方向性については、職員会議の場で、施設長が職員に説明している。中期事業計画は、財務状況により法人運営や施設整備事業など、実現可能な計画になっている。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

「社会福祉法人湘南の凪中期事業計画」に基づき、各事業所の事業計画を作成している。事業計画の作成にあたっては、利用者支援上の環境整備など、必要に応じて、職員へのヒアリングを行い、計画の作成に反映している。作成した事業計画は、職員会議の場で職員に説明、周知している。また、事業計画書は、「閲覧・備え置き書類」として受付カウンターに置き、職員や訪問者がいつでも内容を確認できるようにしている。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

事業計画の作成にあたっては、利用者支援上の環境整備など、必要に応じて、職員へのヒアリングを行い、計画の作成に反映している。事業計画は、予算については年明けに、計画については2月頃に施設長がまとめ、評議員会や理事会に諮っている。事業計画は、事業の実施年度を当該年度として、年度内に事業執行が行える実行可能な内容としている。作成した事業計画は、年度初めの職員会議の場で、職員に説明、周知している。また、法人全体で行う9月末の「中間事業報告会」で、評価、見直しを行っている。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

年度初めに臨時の家族会を開催し、家族に事業計画の内容について説明している。事業計画書は、「閲覧・備え置き書類」として受付カウンターに置き、家族がいつでも内容を確認できるようにしている。新しい事業所の工事の状況は、途中で書面を作成して、家族に配布したりした。また、月末には家族に請求書などを送付するので、その際にも、利用者の様子や計画の実施状況を伝えるようにしている。事業計画の作成にあたっては、各事業所の管理者が定時評議員会に出席して、内容を説明している。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

毎年、法人内の各事業所が、県の「自己点検シート」に取り組み、運営や報酬に関する自己評価を行っている。また、法令の遵守を目的に、施設長と管理者もしくは主査の2名が、法人内の他事業所を訪れ、請求業務や利用者へのサービス提供の内容などに法令違反がないかチェックする「請求確認」の仕組みを作っている。「請求確認」は、四半期に1回定期的に実施している。指摘事項があった場合は、各事業所が速やかに改善している。第三者評価の受審も、事業計画に位置付け、法人内の事業所が順番に受審するよう計画している。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

四半期ごとに実施している「請求確認」で確認された事項は、適宜、改善事項の確認、改善報告書の提出、内容に応じて担当者への改善指示を行っている。9月末の「中間事業報告会」や、3月末の「事業報告会」に、法人内の常勤職員が参加して、事業の進捗状況を確認するとともに、課題を明確にして、質の向上に向けた取り組みを組織的、計画的に行っている。事業所として、利用者の個人や集団の活動内容や余暇活動の見直しに取り組んでいる。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

毎年度、事業所の「職務分掌」を作成し、施設長を含め、職員全体の役割や業務を明確にして、職員に周知している。事業所独自の広報誌は発行していないが、法人の広報誌で、施設長の考えを表明している。施設長不在時の職務代行者は業務リーダーとしているが、外出時は事業所の携帯電話を所持しているので、いつでも連絡が取れ、緊急対応ができるるようにしている。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

県の障害福祉サービス指導者講習会や、管理者として求められる施設経営及び人材育成の研修会などに、施設長が参加して、遵守すべき法令を正しく理解する取り組みを行っている。また、施設長が「安全衛生推進者講習」を受講し、職場内の環境整備に努めている。事業所に5S(整理、整頓、清潔、清掃、躾け)担当職員を3名置き、職場内の環境整備を、事業所全体で行っている。法人の安全衛生委員会でも、年1回、各事業所の5Sの状況を確認している。また、施設長が「安全運転管理者講習」を受講し、送迎車の洗車の計画などを立てるとともに、安全運転の励行を職員に指示している。送迎車の運転は、施設長と業務リーダーによる、見極めのチェックに合格した職員が携わることとしている。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

毎日、施設長が利用者の作業現場を回り、利用者や職員の状況を確認して、気が付いたことはその場で職員に伝えるようにしている。日々のサービス提供が、個別支援計画に沿って提供されているか確認し、サービス提供の記録についても確認している。必要に応じて、職員へ助言や指導を行っている。記録については、曖昧な表現になっていないかもチェックしている。毎年度、事業所内の研修計画を施設長が作成し、計画に沿って、内部研修の開催や外部研修への職員派遣を行っている。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

四半期ごとに、会計事務所による「会計報告」に施設長が参加して、経営状況の分析を行う機会を設けている。また、事業活動収入に対する人件費比率を60%程度としつつも、介助の必要度が高い利用者や行動障害のある利用者など、利用者の特性に配慮して、人員を厚く配置している。週1回水曜日を「No残業デー」と定め、業務とプライベートの切り替えに努めているが、ほぼ毎日、職員の残業はない。5S担当職員が立案した計画には施設長も積極的に参画し、職員とともに、業務の実効性を高める取り組みを行っている。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

職員の募集は、常勤職員は法人本部が、非常勤職員は各事業所が行っている。常勤職員は、ここ2年ほど、他業種からの転職者が多い。非常勤職員の募集は、職員の紹介や求人サイトを活用している。法人で「職員育成指針」を定め、階層別に求められる業務を明確にして、階層別研修を実施し、法人全体で人材の育成に努めている。介護福祉士や社会福祉士などの国家資格取得支援として、試験に合格した時に受験料を法人が負担する国家資格取得支援を行っている。人材の確保を目的に、実習生を積極的に受け入れ、新入職員を対象に、OJTノートを活用して、OJTに取り組んでいる。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人で「職員育成指針」を定め、階層別に求められる業務を明確にしている。人事考課は、福祉現場の評価の難しさや管理職の中で共通の指標がないことなどから、取り入れていない。目標管理制度を取り入れ、年2回、施設長と職員の個人面談を行っている。個人面談では「目標管理シート」を用い、職員の業務上の目標やキャリアパスについて、話し合いを行っている。面談で把握した職員の意見や将来に向けたビジョンなどは、面談報告書を作成して、法人本部に提出し、情報の共有を図っている。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

労務管理は、施設長が一元的に行っている。有給休暇の取得状況については、記録表を作成して管理している。職員が月1回は有給休暇を取得していることから、取得状況は高い方と捉えている。目標管理制度により、年2回、職員との定期面談を行っているが、職員の希望に応じて、面談は随時行っている。非常勤職員との面談では、利用者対応の悩みなどを聞くことが多い。職員の親睦への支援として、週末のランチビュッフェなどの食事会の開催を補助している。職員の年齢層も近く、コミュニケーションが取りやすい環境であるため、職員間の人間関係が崩れないよう、施設長が注意して声掛けしている。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

目標管理制度に基づき、職員個々の目標を階層別に明示している。施設長との定期面談時に、目標設定の理由や進捗状況を確認している。また、法人の「職員育成指針」により、各階層に求められる職員像を示している。外部研修は、派遣する職員を施設長が決めているが、職員からも参加の希望があがることが多い。法人が契約しているサポーターズカレッジの動画視聴を活用し、職員が虐待や高齢化の対応研修を受けている。視聴後に研修のまとめをサポーターズカレッジに送ると、研修の達成度が施設長あてに送られてくる仕組みになっている。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

法人の「職員育成指針」により、各階層に求められる職員像を示している。研修計画については、毎年度、内容の見直しを行っている。また、法人の研修委員会では、階層別研修を企画し、入職して3年目までの職員は基本的な知識の習得、4~9年目の職員は各事業所の事例を通しての具体的な支援技術の習得、10年以上の職員は人材育成などの管理者研修に参加している。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

職員の資格取得状況は、法人本部が一元的に管理している。新採用の常勤職員は採用時研修を受ける他、「OJTノート」を活用して、先輩職員や上司からOJTを受ける仕組みを作っている。新人職員は、1日の勤務で理解したこと、疑問に思ったことを「OJTノート」に記入して提出し、施設長や先輩職員からアドバイスや意見をもらっている。職員は、県社会福祉協議会が主催するキャリアパス研修や、専門知識や技術の獲得を目的にした外部研修に参加している。外部研修参加後は研修報告書を提出し、報告書はファイルに綴じて事務室に置いている。常勤の職員が、年4~5回は外部研修に参加できるよう調整している。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

法人で「実習生受入れマニュアル」を整備し、施設長を窓口として、実習生を受け入れている。受け入れに際しては、学校の担当者との打ち合わせの他、事前にオリエンテーションを行っている。毎年、保育士を目指す学生を中心に、大学や専門学校から3~4名の実習生を受け入れている。また、教員免許取得予定の学生を5~6名、受け入れている。学生の指導は、提供している支援を言語化する必要があり、職員も勉強の場となっている。実習生は、依頼があれば、今後も積極的に受け入れていきたいと考えている。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人のホームページに、基本理念や基本方針、提供する福祉サービスの内容、事業計画書、事業報告書、予算、決算書類を掲載し、運営の透明性を確保する情報の公開を行っている。また、定期的に第三者評価を受審し、ホームページで評価結果を公表している。法人に設置している第三者委員が、四半期ごとに各事業所を訪れ、利用者や家族の相談にのっている。家族からは、親亡きあとの相談などがある。意見箱も設置しているが、家族からの相談は、直接、電話によることが多い。事業所の移転に伴って、地域に対しては、事業所の活動内容について、住民説明会を開催している。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

毎年度、事業所の「職務分掌」を作成し、職員に周知している。内部監査として、施設長と管理者もしくは主査の2名が、法人内の他事業所を訪れ、請求業務や利用者へのサービス提供の内容などに法令違反がないかチェックする「請求確認」の仕組みを作っている。「請求確認」は、四半期に1回定期的に実施している。また、四半期ごとに、外部の会計事務所による「会計報告」を行い、経営状況の把握や分析を行う機会を設けている。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

地域の漁業協同組合や店舗から受注作業を受け、地域の方が、障害のある方を理解できるよう努めている。一人暮らしの利用者の希望に応じて、職員が一緒に地域に買物に行く活動も行っている。また、民生委員・児童委員協議会の方が、定期的に、利用者の外出支援のボランティアとして活動している。地域との関係については、法人の基本理念と職員行動指針に明記している。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

施設長を窓口にして、ボランティアの受け入れを行っている。受け入れにあたっては、「ボランティア受入れの際の配慮事項」に留意している。現在2名のボランティアが、利用者の作業を手伝ったり、外出付き添いなどを行っている。ボランティアは、まずは確保が大事と捉えている。町の社会福祉協議会や学校が主催する「福祉体験学習」や「職場体験学習」で、中学生の受け入れを毎年、行っている。また、地域の災害ボランティアの団体からの依頼を受け、施設長が研修の講師を担い、障害の特性や災害時の対応などの説明を行っている。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

町の自立支援協議会に、施設長と職員が参加して、地域のニーズや課題などを検討する他、部会での研修会開催の取り組みを行っている。また、町の障害福祉計画策定委員会に施設長が委員として参加し、地域の障害福祉に関する施策について、関係機関と検討する機会を設けている。町内会に加入し、事業所の建物が、選挙の際の投票所になっていたことから、引き続き、地域に会場を提供していく予定である。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

町の自立支援協議会に、施設長と職員が参加して、地域のニーズや課題などを検討する他、部会での研修会開催の取り組みを行っている。また、町の障害福祉計画策定委員会に施設長が委員として参加し、地域の障害福祉に関する施策について、関係機関と検討する機会を設けている。事業所を移転して、年数も経ていないことから、事業所が所在する地域のニーズの把握は、これからと考えている。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:c】

法人の定款には、公益事業に関する具体的な明記はない。今後は、地域の方々に事業所の建物を活用してほしいと考えている。福祉避難所として、地域との関係作りも大切になる。災害の発生に備えて、利用者や職員用に3日分の非常食や備品を備蓄している。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の「基本理念」や「職員行動指針」の冒頭に、個人の尊厳や職業倫理を置いている。法人全体で職員が集まる際には、基本理念や職員行動指針を唱和している。新任職員の研修会では、利用者の権利擁護を学び、基本理念や職員行動指針を時間をかけて説明している。「利用者支援マニュアル」にも利用者の尊重を掲げ、支援にあたっての基本として全職員に周知している。「サポーターズカレッジ」を活用し、権利擁護や身体拘束などの研修を受講している。年度初めには「あおぞらプランⅢ」を職員全員に配布し、施設長から利用者への向き合い方などの話をしている。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

「個人情報保護規程」や「個人情報開示請求取扱規程」を整備し、書類の管理に留意している。サービス利用前には「肖像権アンケート」で写真の掲載の可否を確認し、実習生の受け入れ時は写真撮影の可否を説明している。利用者や家族から個人的な話や相談を受けた時は、他の利用者がいない別室で話を聞くようにしている。同性介助を基本とし、トイレの介助などは同性の職員が行っている。利用者の出勤時の着替えは、更衣室の中が見えないよう、衝立を使用している。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

ホームページやパンフレットに、事業所の概要やサービス内容を記載している。事業所の利用の希望は、特別支援学校や相談支援事業所、家族からなど、さまざまであるが、まずは本人と家族に事業所に来てもらい、実際に活動内容を体験してもらっている。利用者向けのしおりは、ルビを振っているが、内容の理解が難しい方が多く、しおりはあまり使用していない。利用を希望する方が興味や関心を持った活動に参加してもらいながら、アセスメントを行い、どのように支援していくか見極めている。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

サービスの開始に際して、家族に「重要事項説明書」の説明を行い、「契約書」を取り交わしている。利用者の日頃の生活状況や特性などを聞き、支援内容につなげている。身体を動かすのが好き、お菓子が好きなど、家族からの情報と、実際に作業を体験しての状況とを合わせ、利用者が落ち着いて日中の活動ができる環境を作るようにしている。他の利用者がいると落ち着きがなくなるなど、利用当初は行動が掴めないことが多く、まずは職員との関係作りから始めている。人的環境としての職員の存在は重要と考えており、職員との相性なども確認しながら関わっている。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

同一法人内の事業所からの移行が多く、「アセスメントシート」や「行動チェック表」、日中の様子や留意点など、多くの情報があり、利用者は大きな戸惑いもなくサービスを利用している。逆に障害の入所施設に移行したケースでは、「引き継ぎ書」により、その方の生活状況がわかるようにしている。移行した後も、施設との連絡を電話で行い、連携をとっている。自宅でガイドヘルパーを利用する利用者は、ヘルパー事業所からの電話での問い合わせに対応している。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

満足度調査として、利用者本人にアンケートを実施したり、聞き取りは行っていない。自分の思いを言葉で表出できる利用者は5人程度であり、本人が満足しているかどうかは、日々の生活を穏やかに、落ち着いて過ごしているかで確認している。絵カードを使って、職員に欲しいものを示したり、予定の作業を終えて、満足した笑顔が見られた時などに、利用者の思いを確認している。言葉はなくても、様々なツールを使い、利用者は職員とコミュニケーションを取って満足している。利用者一人ひとりの特性を踏まえ、自分の思いや考えを表出できる仕組みを作るようにしている。家族会を年2回開催し、利用者の活動の様子から意見をもらい、支援につなげている。家族からの相談や面接は随時行い、意見を聞く機会を作っている。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

苦情解決責任者や窓口の受付担当者を決め、事業所内に掲示している。第三者委員も設置し、コロナ禍前は定期的に面接を行っていたが、現在は希望者が話を聞いてもらうことが多い。意見箱を設置しているが利用は少なく、家族は直接話をしたり、毎日の連絡帳に書いてくることが多い。苦情というよりは、本人が静かなところで作業がしたいと言っているなどの希望が多く、すぐに静かな環境で作業が行えるよう対処したりしている。言葉の出ない利用者に元気がない時は、職員から「どうしたの?何がしたいの?」など声をかけている。絵カードを使い、音楽が聴きたいとの利用者の希望には、すぐに対応している。利用者が快適な環境の中で、活動できるよう支援している。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

いつでも、近くにいる職員が利用者の相談を受ける体制を取っている、内容によっては、話しやすい相談室で話を聞くなど配慮している。月1回、利用者の会「ひまわり会」を開催している。職員が同席して、利用者が司会を行っている。「ひまわり会」では、食べたいものや、行きたいところなどの話が出ることが多い。言葉が出ない方は、職員が表情や態度からその時の気持ちを汲み取っている。医療からの指示で、筋肉や関節のリハビリをしている時に、利用者が顔をしかめたのですぐに中止し、家族に連絡したりしている。また、PECSを用い、何をしたいか、何を飲みたいかなど、自分の希望を伝えられるよう取り組んでいる。職員は常に利用者に挨拶し、利用者はそれぞれの方法で思いを伝えている。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

利用者の献立の希望は、委託業者の栄養士に相談し、リクエストメニューとして献立表に☆印をつけて提供している。☆印を見て、自分のリクエストしたメニューを確認し、利用者は喜んで食事をしている。「利用者支援マニュアル」に、利用者の意見や要望への対応を示している。活動グループの中で解決できるものは、すぐに環境を変えたりしている。また、すぐには対応できないものは、利用者に説明し、フロア会議や職員会議で検討して利用者に回答している。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

「リスクマネジメント委員会」を置き、安心・安全な環境作りに取り組んでいる。日頃のヒヤリハット報告書を集計し、分析結果を職員会議で全職員が共有して事故防止に努めている。ヒヤリハットは利用開始時に多く、○○で転びそうになった、絆創膏を食べた、パーテーションにぶつかったなどが上がっている。それらに対し、声掛けのタイミングや物品の整理、パーテーションの位置の変更などを行い、安全に活動に参加できるようにしている。一人で廊下を歩いても大丈夫な人、目を離せない人、必ず付き添いが必要な人など、一人ひとりの安全性を全職員が把握して支援を行っている。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人で「感染症対策マニュアル」を整備し、「安全衛生委員会」や「感染症対策委員会」を中心に感染症の予防に努めている。感染症対策に関する研修会も、定期的に開催している。新型コロナウィルスのクラスターが発生した時は、職員はガウンの装着などをルール通りに行って、対応している。事業所内には、吐瀉物処理セットを置いている。蛇口をひねることが難しい利用者が多いため、水栓はすべて自動にし、高さ調整が可能な洗面台を使い、利用者が手洗いの基本を守り、丁寧に手洗いをすることができるようにしている。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

「防災マニュアル」や「BCP(事業継続計画)」を整備し、災害発生時の職員体制や利用者の安全確保、家族との連絡や引き取りなどを明示している。災害発生時に家に帰れない利用者のため、宿泊できる部屋が2部屋あり、自家発電装置も確保している。事業所は福祉避難所に指定されている。消防署との連携はとれており、直通の回線もある。移転してまだ1年を過ぎたばかりであるため、消防署と合同での避難訓練は実施していないが、次年度は行う予定である。非常食を3日分、その他備蓄品を倉庫に保管している。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

「利用者支援マニュアル」を整備し、支援にかかわる基本的な姿勢、自立支援などの項目から、食事、排せつ、移動、活動など、支援方法を細かく作成している。新人職員はもとより全職員は、「利用者支援マニュアル」に沿って、利用者を支援している。利用者の個別支援計画の作成においても、「個別支援計画手順書」により、統一した手順で計画の原案を作成できるようにしている。毎月、支援の知識や技術の向上を目指して、内部研修を行っている。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

「利用者支援マニュアル」や「個別支援計画手順書」は、利用者の障害特性が一人ひとり異なるため、支援方法の変更が必要な場合もある。そのため、「利用者支援マニュアル」や「個別支援計画手順書」は、モニタリング会議などで、常に見直しを行っている。新しい利用者が入ってきたときは、その都度マニュアルを確認している。「感染症対策マニュアル」や「防災マニュアル」は、法人の委員会にて見直しを行っている。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

利用者の特性に合わせ、「アセスメントシート」を複数用意し、「ニーズ整理表」で個人のニーズを抽出している。また、高齢になり身体機能に低下がみられる方には「高齢障害行動チェック」を使用して、個別支援計画の作成につなげている。アセスメントシートが複数あるため、新人職員はベテラン職員のアドバイスを受けながら、利用者をよく理解して、利用者が望む活動を支援できるよう努めている。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の個別支援計画は、個別支援計画策定会議で決定し、利用者に関わっている複数の職員でモニタリングを行い、支援の妥当性を検証している。毎月「月次モニタリングシート」を作成して、振り返りを行っている。週ごとに日中の記録を「月次モニタリングシート」にあげ、半年後には提供した支援内容を評価して、年度末に「支援のまとめ」を行い、次の年につなげている。フロアミーティングで、「個別支援計画手順書」を共有する機会を設け、利用者一人ひとりの計画の振り返りを行っている。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

利用者のフェイスシートやアセスメントシート、個別支援計画書、月次モニタリングシートなど、利用者に関する記録類は、個々のケース台帳にまとめている。各種会議録などは事務室の鍵の掛かるロッカーに保管している。また、週1回、法人内の管理職を対象にした「情報共有会議」を開催し、各事業所の情報を共有している。事業所内で共有が必要な事項については、事務室の掲示板に書面を掲示して、職員間で共有している。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

書類の管理責任者は施設長としている。ケース台帳などは職員室の鍵の掛かるロッカーに保管している。「個人情報保護規程」や「個人情報開示請求取扱規程」を整備しているが、家族から記録の開示の請求はこれまでない。契約時には「個人情報使用同意書」の同意を得ており、個人情報使用の範囲などを説明している。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者のニーズに基づいて、個別支援計画を策定している。職員間で情報の共有を行い、取り組みの内容や支援の方法を確認している。一日のスケジュール(作業や学習、余暇活動)は、利用者の意思を尊重しながら決定している。利用者の持っている力(ストレングス)や、障害の特性に配慮し、写真やイラストカードを活用して、次に何をしたらよいか、主体的に行動できるよう工夫している。言葉での意思表示が難しい利用者には、PECSを用いてコミュニケーションをとりながら、自己決定してもらっている。利用者の会「ひまわり会」では、利用者が職員と話し合い、誕生会のカード作り、給食のリクエスト、今月の目標などを決めている。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

権利擁護については、業務マニュアルを整備し、法人内研修や会議などで職員の周知を図っている。身体拘束が必要な利用者には、事前に家族と同意書を取り交わしている。利用者が興奮して自分の頭を叩く時は、利用者の腕を職員が抑えることがあることを家族に事前に説明して同意を得ている。また、身体拘束を行った時は、時間や状況を記録して、職員に周知している。利用者の自治会「ひまわり委員会」では、毎月、職員の目標(例:利用者の話は忙しくてもきちんと聞く)と、利用者の目標(例:手洗いうがいの励行)を決めて、提供する支援が一方通行にならないよう配慮している。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

「サービス等利用計画」に基づいて、利用者や家族のニーズに沿った個別支援計画を作成している。利用者の心身の状況や希望する生活を把握して、利用者ができることを増やして、自信につながるよう支援している。職員が言葉で褒めたり、またトークンシステム(代用貨幣)でポイントを増やし、貯まったポイントで散歩に出かけるなど、成功体験を増やして、自律や自立に向けた支援を行っている。1つの工程ができたら次の工程を行う構造化で、安全に注意して見守りながら、できることを積み上げている。利用者には、身の回りでできることは自分で行ってもらっている。また、自分自身でお金の管理を行っている利用者もいる。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

会話がなんとかできる利用者、発声はあるが単語だけの利用者、手話を使う利用者など、多くの利用者は何らかのコミュニケーション手段を活用している。職員は、PECSの絵カードを使ったコミュニケーションに対応できるよう、専門教育を受けている。現在、PECSで利用者2~3名がコミュニケーションをとっている。また、写真や文字、イラストを用いたカードや目印になるカードを、一人ひとりに合わせて使用している。意思疎通が困難な利用者には、連絡帳や朝夕の家族とのやり取り、表情や態度などを読み取るようにして支援している。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画の作成のため、家族や利用者と年2回、面談する機会を設けている。また、利用者や家族からの相談には、随時対応している。職員は利用者や家族にできるだけ声掛けを行い、気軽に相談できる雰囲気を作るように努めている。事業所内に相談室を用意し、プライバシーを確保しながら安心して相談ができる空間を設けている。相談内容は面談記録に残し、職員に回覧して、内容を共有している。意思表示が困難な利用者には、家族に話を聞いたり、表情や動作、視線などから、本人の意思を尊重できるよう支援している。家族からは連絡帳や電話、送迎時に相談を受けることが多く、内容によって、職員会議で対応を検討している。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:b】

アセスメントにより、何ができて何を支援していくのかを、個別支援計画に記載している。日中活動は、利用者の心身の状況に合わせ、工程を分割して作業を提供している。ミックスペーパーの回収袋の作成では、折りや糊付けなどの段階に分けて、利用者ができる工程を担ってもらっている。その他、コーヒー袋のシール貼り、ひじきのゴミ取り、機織り(コースターやショール作り)、缶つぶし(資源回収)などの作業を行っている。余暇活動では、タブレットでアニメを鑑賞したり、パズルやぬり絵、スポーツでは集団で行うレクリエーションとしてボッチャを導入している。日中活動や余暇活動は、本人の希望や家族への聞き取りをもとに、無理のないよう提供している。歩行訓練として届け物を兼ねての歩行、踏台の昇降(階段の上り下り)、動画を見ながらのストレッチ、高いところにボールを入れるなど、一人ひとりの日課を決めている。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

知的障害(自閉症、ダウン症)や精神障害、重複障害など、様々な障害を持っている利用者が事業所を利用している。障害の特性に応じ、適切な支援を行うために、職員は法人研修や外部研修を通して専門知識を習得し、職員間で共有して支援の向上に努めている。自閉傾向のある利用者には、コミュニケーション方法にPECSを使用し、構造化による活動支援を行っている。利用者の不適応行動(介護拒否・暴言・大声・暴力・パニック・強いこだわりなど)には、行動記録を取ったうえで分析し、具体的な支援方法を検討している。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

昼食は業者に委託し、事業所内の厨房で調理している。その場で調理しているので、温かいものは温かく、冷たいものは冷たい状態で昼食を提供している。利用者の状態に応じ、食形態(普通食、刻み食、ペースト食など)を選ぶことができる。テーブルの下に踏台を置き、利用者が安定した姿勢で食事が取れるよう工夫している。配膳のトレーには、個別のカードを置き、禁食やアレルギー除去食、代替え食、自助具、箸、スプーンなどの種類を記載し、職員は毎回内容を確認して、食事を提供している。排泄や移動などは介助マニュアルに沿って支援している。介助マニュアルは毎年見直し、必要に応じて変更している。「ひまわり会」であがったリクエストメニューは献立に反映している。リクエストメニューは、献立表に☆印を付け、利用者が楽しみにしている。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の作業室は、必要に応じて、パーテーションを使用して環境設定を行っている。利用者の相性に配慮して活動する部屋を決め、作業や余暇活動に集中できるスペースをパーテーションで区切って確保している。各活動場所は、その都度清掃、消毒を行い、清潔を保つよう努めている。業務マニュアルに沿って、朝夕2回、手すりなどの清掃を職員が行っている。トイレや洗面所の清掃は、業者に委託している。また、利用者がパニックになったり、体調不良になった場合に備え、静養できるスペースを確保している。廊下の幅が広く、4人掛けのソファを置き、利用者がいつでも自由に休んだり談話をしたりできる空間を作っている。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

理学療法士や作業療法士は配置していないが、かかりつけ医の助言を受けて、機能訓練や生活訓練のメニューを作成している。また、自宅からリハビリに通っている利用者は、指導書を家族から見せてもらい、事業所でも機能訓練を職員が行っている。身体機能の低下が見られる利用者には、日中活動の中で、階段昇降など、身体を動かす機会を設け、身体機能の維持に取り組んでいる。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

家族との連絡帳を通して、利用者の健康状態の把握に努めている。利用者は、家庭や朝の作業前、午後、送迎時などに検温を行っている。直接通ってくる利用者は、玄関で視診と検温を行い、チェック表に記録している。日中の様子は、連絡帳で家族やグループホームに知らせている。また、看護師が利用者の健康状態の把握を行っている。一定の年齢を超えた利用者やダウン症の利用者には、「高齢障害行動チェック」で、行動面のチェックを行っている。AEDによる緊急対応について、職員は定期的に研修を受けている。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:b】

年1回、希望者を対象にして、健康診断やインフルエンザの予防接種を行っている。健康診断の結果で、問題のある利用者については、看護師が家族に助言を行っている。受診が必要な場合は、障害者を受け入れてくれる病院を紹介したり、専門機関につなげたりしている。薬は施錠できる書庫で保管し、看護師が管理している。投薬は複数の職員が確認を行い、看護師の目の前で飲んでもらっている。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

町から委託されているミックスペーパー分別袋の作成を行い、地域のスーパーや町内会に納品している。また、依頼を受けた家庭や店舗への古紙回収の活動や、町内の漁師からひじきのゴミ取り作業と袋詰めなどを受注し作業を行っている。その他、缶つぶしや織物(コースターやショール作り)、革細工などを行い、地域の催しなどで販売している。学習支援は、利用者や家族から希望があった場合、学習教材を用いて学べる環境を整えている。特別支援学校を卒業して、ここに通う方も多く、読み書きや計算などを引き続き勉強したいという利用者や家族もいる。コロナ禍前は、民生委員・児童委員の方が機織りのボランティアに来たり、外での食事会、旅行なども行っている。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者は、自宅や障害者グループホームで、地域生活を送っている。日中は事業所に通い、それぞれの活動を利用者の特性に応じて行っている。将来の生活のあり方に対する本人や家族の意向は、面談などを通して確認している。在宅からグループホームに移行を希望する方には、関係機関と連携を図り、情報を提供している。また、グループホームの短期入所を利用する機会を提供している。一人暮らしを希望する方についても、情報提供や関係機関との連携を図っている。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

家族との連携や交流は、利用者の意向を確認して対応している。事業所での様子や支援状況は、連絡帳や電話、送迎時に行っている。利用者本人や家族からの相談は、随時受け付けている。家族の相談は、「親が高齢になり、障害を持った子どもの将来が心配!」が多いが、相談内容によっては、地域の関係機関と連携して、対応している。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害者の生活介護事業所のため、評価外とする。

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害者の生活介護事業所のため、評価外とする。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害者の生活介護事業所のため、評価外とする。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害者の生活介護事業所のため、評価外とする。