社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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朝日塾

2024年01月31日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 特定非営利活動法人よこはま地域福祉研究センター

② 施設・事業所情報
名称 朝日塾 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 障害者支援施設(施設入所支援+日中活動事業) 定員 50 名
所在地 245-0065
横浜市戸塚区東俣野町57番地6
TEL 045-852-8888 ホームページ http://www.asahinosato.or.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1992年05月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 朝日の里
職員数
常勤職員:37 名
非常勤職員:14 名
専門職員
施設長:1 名
支援員:29 名
医師:1 名
看護士:2 名
栄養士:1 名
調理員:5 名
施設・設備の概要
居室:34室
設備等:食堂・事務室・浴室・医務室・宿直室・機能回復訓練室など

③ 理念・基本方針
基本理念
心 「心」を支え、「心」が支え合う
○思いやりの心、素直な心、感謝の心を忘れず、一人ひとりが生き生きと笑顔溢れる生活を送ること

基本方針
○利用者一人ひとりの「人権」を守り、個性を尊重します。
○利用者の意思決定を尊重し、安心・安全で『利用者本位』の質の高いサービス提供に努めます。
○利用者の自立・自己実現・自己決定の過程を支援します。
○職員は、質の高いサービス提供を行うために研修に励み、専門性を追求し資質の向上を図ります。
○地域社会の一員として、福祉サービスを通じ、地域との結びつきを大切にし、地域に開かれた施設づくりをします。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
障がいをお持ちのご利用者に対し、日中において入浴・食事・排泄・創作活動などの支援を行い、夜間において入浴・食事・排泄などの支援をおこないます。
生活支援:ご利用者お一人お一人の生活を豊かにできるよう、生活全般にわたって支援を行っていきます。
作業支援:農園芸作業や陶芸作業、機能訓練作業など、多彩なプログラムを通じて、意欲の向上や積極性、協調性を感じられるよう支援をおこなっていきます。
相談支援:ご家族様、ご利用様の将来への不安を解消し、安心して生活できるよう、どんな小さなことで
もご相談下さい。1年365日24時間いつでもご相談に応じます。
その他の支援:地域行事への参加や通院、外出など、ご利用者様の希望に応じた支援をおこなっていきます。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2023/05/12(契約日) ~2024/01/16(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 回(年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 ◆地域の障害福祉を担う専門機関として、重度障害者の受入と支援の充実化に努めています
施設では、1992年の開設以降、地域の障害福祉を担う専門機関の社会的責務として、より重度の障害のある利用者の受け入れを積極的に行っています。2023年11月現在、入所者の大半が障害支援区分6の最重度であるほか、強度行動障害に該当する利用者の割合は全体の約8割となっています。
朝日塾では、基本方針に利用者一人ひとりの人権擁護と個性の尊重、意思決定の尊重を掲げ、その実現に向けた様々な取組を行っています。施設独自の倫理綱領と職員の行動規範を策定し周知するとともに、職員研修に力を入れ、感染防止や記録の書き方、食事介助と咀嚼・嚥下のほか、虐待防止と障害の理解、アンガーマネジメントなど、様々なテーマで外部専門家による内部研修を開催しています。また、外部研修の受講を推奨し、職員の希望や業務の必要性に応じて随時職員を派遣し、オンライン研修も積極的に活用しています。なお、直接処遇を行う職員全員が神奈川県主催の強度行動障害支援者養成研修を受講しています。人権委員会や虐待防止委員会の取組を通じ、組織全体で利用者の人権尊重と適切な支援のあり方を協議するなど、さらなる利用者支援の充実化と実践に尽力しています。
 
◆障害特性に配慮した支援と様々な交流・体験の機会を通じて、利用者の心身の活性化と生活の充実化に努めています
施設では、利用者一人ひとりの障害特性に配慮した関わりを通じて、安心な生活環境づくりを行うとともに、様々な交流や体験の機会を設け、利用者が生活をより楽しむことが出来るよう支援しています。
言葉による意思疎通が難しい場合でも、表情や行動などの観察を基に職員間で情報を共有し、対応を協議して利用者の意向に沿った支援に努めるほか、セレクトメニューや様々な活動プログラムなど、生活場面を通じて選択する機会を設け、利用者自身の意思決定を促す関わりを行っています。看護師や栄養士等の専門職と連携し、利用者の障害特性に配慮した関わりの工夫や環境面の調整等を行い、利用者の安心感や快適さに配慮しています。また、外部講師によるエクササイズやマッサージ、茶道教室等のプログラムを取り入れるほか、併設の生活介護事業所と合同で、地域の音楽サークルやアーティストによる楽器演奏会を多数開催するなど、様々な交流・体験機会を設定しています。コロナ禍での外出制限中も、温泉宅配サービスや園庭でバーベキューを開催する等、取組を継続し、組織全体で利用者の心身の活性化と生活の充実に努めています。

◆施設長の役割の明確化とともに、より明確な事業の運営方針を明示して、新たな組織体制を整備する取組が期待されます
施設では、設立後31年が経過した現在、社会情勢の変化や施設・設備の老朽化、利用者の重度・高齢化など、様々な運営課題への対応に向け、2023年度から新たな管理職ポストの設置や検討会議の新設等、大幅な組織体制の改変を推進しています。しかし、利用者の支援課題が複雑化する中では、職員の主体性や意識・意欲を高めると同時に、より明確な事業運営の方針や、施設が目指す将来像の道筋を強力に発信する必要が生じています。今後、より明確な事業運営の方針の下、施設長がリーダーシップを発揮し、法人・施設が一体となって基本理念・方針の実現に取り組む組織体制の整備が期待されます。

◆地域生活の視点から利用者支援を考察し、実践に活かす取組が期待されます
施設では、利用者の個別性に配慮し、安全でより快適な生活を送ることが出来るよう日々支援を行っています。一方で、外部の日中活動先の利用やグループホーム等の地域生活に移行するケースが少なく、利用者の生活が施設内で完結しがちな状況となっています。
より重度の障害があっても、利用者の希望を尊重した、その人らしい生活の実現に向け、一人ひとりの個性や特長に着目しながら地域生活の視点で支援を考察し、職員一丸となって実践に活かす取組が今後大いに期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
設立から31年間、外部からの施設評価が実現されたことに感謝いたします。第三者評価調査者による職員へのヒアリング、ご家族へのアンケート実施ありがとうございました。私を含め、主任、係長が苦慮した点は職員アンケートの取りまとめでした。自分たちで一つ一つの問いに自己評価をつけ、特記事項に判定理由を記載することに悩みました。
第三者評価からの報告書を拝見した際、法人・施設、そして施設長である私にとって、これまでの朝日塾の歩みの中で何が足りないのかを知ることができました。出来得ることから一つずつ実践していけばよいのだと確信しました。そして、今後、ご利用者・ご家族・職員へ発信していけたらと考えます。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

法人のホームページに基本理念・方針と施設の概要、沿革などを掲載し、パンフレットや重要事項説明書等にも明示しています。職員に対しては「新規採用者向けマニュアル」に明示するほか、年度事業計画等にも明記して周知しています。法人組織の体制変更に伴い、法人理念の「心」を具現化したシンボルマークとともに、職員からの公募による「笑顔で心をつなげよう」のキャッチコピーを掲げ、親しみのある分かりやすい表現を用いて、組織全体の認識共有化と意識向上に努めています。利用者・家族には入所時等の機会を通じて説明しています。一方、利用者・家族の周知状況は確認していないほか、職員のさらなる理解・浸透に向けた取組が必要と捉えています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

法人として施設入所支援や生活介護など複数の事業を運営し、相互に情報を共有して障害福祉全体の動向把握に努めています。行政や福祉関係団体、地域自立支援協議会などから障害福祉に関する情報を随時収集するとともに、横浜市内の知的障害者施設と連携し、施設運営に有用な知識・情報を集積しています。法人・施設の経営課題は、理事会や評議員会で検討し事業内容に位置づけるほか、施設の運営課題についても、事業報告の内容を基に課題を抽出し、次年度の事業計画に反映しています。職員に対しては、主任以上の管理職で構成する企画会議を通じて共有し、周知しています。一方、市・区の福祉計画や地域特性等を踏まえた経営課題の把握・分析は、今後の課題となっています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

行政や法人内外の関係機関との連携を通じて、障害福祉を取り巻く経営環境の動向把握に努めるほか、障害者入所施設等の元管理者など3名を相談役として迎え入れ、事業運営に関する助言を得られる体制を確保しています。取得した情報は法人理事会や企画会議等で検討し、適宜事業運営に反映するほか、事業報告を通じて設備整備や人員体制、財務状況等の現状を分析し、課題の抽出と改善策の協議を行っています。改善課題は年度事業計画や各事業所の支援方針及び事業目標等に明示し、順次具体的な取組を進めています。一方、職員ごとに法人・施設の運営及び事業目標等の認識の差異が生じています。今後さらなる認識共有化に向けた取組が期待されます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

現在、施設では、社会情勢の変化や利用者の重度高齢化等を踏まえ、法人組織を変革し新たな体制づくりに取り組んでいます。また、「実施整備計画・中長期改修収計画」として、高圧電気設備やスプリンクラー、浴室等の大規模改修工事を明示しています。一方、具体的な実施期間や工程は示されていないほか、法人組織全体の事業運営の方向性や、事業収支・人材確保・育成などを示した中長期的計画は策定されていません。理念・基本方針の実現に向け、法人・施設の目指す目標やビジョンとともに事業運営の方針を明確化し、具体的な施策と期間・工程を明示して組織全体で共有化を図り、計画的に推進していくことが望まれます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

法人として年度事業計画を作成し、基本理念・方針と共通の事業内容及び組織体制、人材確保・育成、職員研修等の内容を記載し、入所施設や生活介護、グループホームなど、事業ごとにも支援方針と事業目標、地域貢献、人材育成の4つの視点で当該年度の事業を列記しています。安全衛生や虐待防止、防災対策等の各種委員会や会議、環境整備、保健、給食等の係を設置し、各々の責務や年間計画を明示して順次実行することとしています。一方、中長期的な視点に基づく事業運営の方針や、年度事業の具体的成果、数値目標等は明確化していません。今後は、明確な運営方針に連動した単年度の計画として、具体的成果・目標を示し、段階的に推進することが期待されます。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画の内容は、各寮会議の内容など職員意見を反映した主任の素案を基に、企画会議で協議し取りまとめを行うほか、前年度の事業報告や相談役からの助言等も踏まえ、施設長が策定しています。また、法人及び系列事業所、各種会議・委員会、係など、それぞれの事業計画を一つに集約し、組織全体で共有しています。事業計画は年度当初の企画会議等を通じて全職員に伝達するほか、内部のPCネットワークを通じて随時閲覧できるようにしています。事業計画の進捗状況は、年度後半の企画会議で確認し、必要に応じて見直しや修正を行っています。一方、職員間の認識に相違が見られることから、今後さらなる積極的な周知と理解浸透を図るための取組が期待されます。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

利用者に対し、男性寮・女性寮各々で定期的に開催する利用者会を通じて、活動プログラムの内容や施設行事の開催予定などを伝えています。また、保護者に対しては、定例開催の保護者会で利用者支援の内容や利用者の状況、開催行事等に関する説明を行っています。一方、事業計画の内容を意識した説明は実施していないほか、計画書の配布・掲示等は行っていません。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

基本理念に「心を支え、こころが支え合う」を掲げ、利用者の意思決定の尊重や利用者本位のサービス提供等を明文化し、施設全体で実践に努めています。支援計画に基づく利用者支援をはじめ、各寮会議やケースカンファレンス等を通じて個々の利用者の支援内容を検討するほか、給食や虐待防止など様々な委員会活動を通じて施設全体の支援の質向上を図るなど、PDCAサイクルに沿って改善を図る体制を構築しています。また、全職員を対象に、権利擁護のためのセルフチェックリストによる自己点検も行っています。2023年度からは組織体制を大幅に見直し、管理職や会議の新設等、様々な取組を始めています。一方、施設の自己評価は実施していません。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

各種会議の協議内容や各委員会の活動報告、家族アンケートの結果等を踏まえ、企画会議を通じて支援内容の現状評価と分析を行うほか、内容を取りまとめて事業報告に掲載し、職員に伝達しています。また、協議結果から抽出された課題は、次年度の事業報告に明示して職員間で認識共有し、組織全体で順次改善に取り組んでいます。一方、施設としての自己評価は行っていないことから、今後は自己評価基準の明確化を図るとともに、職員の参画の下で組織的かつ定期的にサービスの内容を評価し、改善に繋げるための体制の構築が望まれます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

施設長は、年度事業計画に施設の運営に関する指針を示すとともに、年2回開催する全体会を通じて職員に説明しています。また、ホームページや施設の広報誌「朝日の里通信」にも自らの運営方針を掲載し、利用者・家族のほか広く一般にも表明しています。法人の組織図や自衛消防組織表を用いて指示系統を明確化するとともに、施設長不在時の連絡体制及び意思決定順位を定め、職員に周知しています。一方、法人・施設の運営方針の理解状況については、職員ごとの認識に差異が生じています。また、管理者の職務や責任・権限を定めた役割表は現在暫定版となっているほか、施設長不在時の権限移譲を明文化した文書は策定していません。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

施設長は外部の会合や研修等に参加し、各種法令及び遵守に関する情報収集に努めるほか、法人内の会議や委員会等を通じて情報を伝達し、周知に努めています。また、虐待防止など障害福祉に必須の法令は、外部専門家を講師に招いて内部研修を開催するほか、ハラスメント防止など労働法規についても、事務規程や就業規則等に随時反映して職員に伝達し、理解・浸透を図る取組を行っています。法人独自の倫理綱領を策定し、利用者の尊厳と権利擁護、個別性尊重など7つの規範を明文化して職員に周知しています。なお、今後は倫理綱領に基づく職員研修を開催する等、職員のさらなる認識の共有化と個々の意識向上を図る取組を推進することとしています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

施設長は、会議や委員会の検討事項や保護者アンケートの結果等を踏まえ、支援内容を分析・評価するとともに、随時職員から直接意見を聴取し、「施設長への手紙」として提案箱を設置し職員から相談や改善提案を受け付けるなど、職員の意向を把握して実務に反映し、支援の質向上に繋げる取組を推進しています。また、外部専門家による内部研修の開催や外部研修の積極的な活用のほか、職員提案を採用し、より実践的な新規採用者向けマニュアルを策定・活用するなど、職員の教育・研修の充実化にも努めています。一方、職員の認識に差異が生じていることから、施設長からの情報発信のあり方について、さらなる積極的な取り組みや工夫が期待されます。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

施設の人事・労務・財務は事務長が担当し、施設長と情報共有して分析・検討を実施するほか、中長期的な展望を踏まえた施設の現状と課題を企画会議等の場で協議し、全体周知して業務実行性の向上に努めています。法人理事長でもある施設長の方針の下、業務の円滑化や利用者支援の質向上を目指し、管理職ポストや新たな会議の新設等、法人組織の大幅な改変を推進しています。また、時間外労働の最小化や休暇取得、研修の受講勧奨等に加え、職員の意見や改善提案を積極的に聴取する仕組みを構築するなど、職員参加型の組織づくりに尽力しています。一方、方針の明確化や積極的な情報発信など、職員の理解及び認識強化を促す取組は今後の課題となっています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

施設の人員配置は、事業所ごとの配置基準や寮ごとの実情等を勘案し、職員数や有資格者の配置数を決定しているほか、異動や退職等に応じ計画的な人員の補充と調整を行っています。年度事業計画に人材の確保・育成を明示し、法人ホームページや医療福祉専門の就活サイト、ハローワーク等を通じて採用活動を展開するとともに、専門職の養成校の訪問や就職合同説明会等への参加など、福祉人材の確保に積極的に取り組んでいます。一方、人材の確保・育成の方針は明確化されていないほか、職種や経験年数等に応じた知識・技術等の期待水準や、職員の能力評価の基準等を明確化した人材育成計画の確立は、今後の課題となっています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人独自の倫理綱領を策定し、利用者の尊厳や権利擁護、個別性尊重など7つの規範を明文化して職員に周知しています。また、期待する職員像として職員の行動規範を定め、「基本行動」「利用者の自己選択・自己決定」「障害福祉職員のあり方」の3つの視点から利用者支援の内容を具体的に示し、全体周知して個々の職員の意識向上と実践に努めています。職員の処遇水準は、人事院勧告の基準に基づき給与額を設定するほか、施設長との定期面談を年1回設定し、職員の意見を聴取しています。一方、異動や配置、昇格等の人事基準の明確化や人事評価制度の導入は行われていないほか、職員が将来像を描けるキャリアビジョンの構築についても今後の課題となっています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

施設長を労務管理の責任者として、職員の就業状況や意向の把握に努めるほか、安全衛生委員会を設置し、健全な労働環境の整備・推進を図ることを明文化しています。職員に対し、施設長自らいつでも相談に応じるとともに、提案箱を設置して随時職員が自身の意見を表明できる環境を確保しています。休暇取得の奨励とICT機器の導入による業務効率化、時間外労働の最小化など、職員の負担軽減とワーク・ライフ・バランスに配慮しています。互助会制度や退職手当共済事業の導入など、福利厚生の充実化にも努めています。一方、労働環境の整備推進の方針や具体策を明確化し、事業計画に位置付けるなど、職員間のさらなる認識共有化に向けた取組が期待されます。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:c】

法人独自の倫理綱領を策定し、生命及び個人の尊厳や人権擁護、社会参加、地域との調和など7つの項目を明示し、「障害のある人たちの尊厳を守り、豊かな人生を自己実現できるように支援すること」を職員の責務として周知しています。また、期待する職員像として、職員の行動規範を定め、「基本行動」「利用者の自己選択・自己決定」「障害福祉職員のあり方」の3つの視点から利用者支援の内容を具体的に示し、職員の意識向上と実践に努めています。一方、目標管理制度の導入など、職員の計画的な育成を図る体制の構築は今後の課題となっています。なお、2023年度の組織体制の見直しに伴い、年1回職員との個別面談をはじめています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人の目指す福祉サービスの実現に向け、倫理綱領や職員の行動規範を定め、期待する職員像を明確化しています。また、年度事業計画に「福祉人材の育成」を掲げ、研修を通じて法人理念の具現化を図る職員の育成に取り組むことを明示しています。研修受講を推奨し、外部研修の積極的活用と専門講師による内部研修を開催する等、内容の充実化を図るほか、研修委員会を設置し、研修計画に沿って現場ニーズを踏まえた職員研修の企画・運営を行っています。一方、職員の経験年数や役割、職責等に応じた専門技術・資格等は明確化されていないほか、研修結果の評価・見直しを行う仕組みの構築や、研修内容を実践に活かすための取組は今後の課題となっています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

外部専門家を講師に招き、救命救急やアンガーマネジメント、咀嚼・嚥下等の理解、記録の書き方など様々なテーマで内部研修を開催するほか、研修案内の回覧や外部研修の受講勧奨、オンライン研修の導入推進など、情報発信と学習機会の確保に努めています。また、理念・基本方針や業務心得、障害福祉の基礎知識、法令・制度などを網羅した新規採用者向けマニュアルを策定し、OJTを通じて教育・指導を行う等、効果的な新人教育にも注力しています。職員の職務水準や資格取得等の状況は事務長・施設長が把握し、実務に応じて人員配置を行っています。一方、施設としてより正確な状況把握のための体制整備に加え、研修内容を実践に活かす取組が必要と捉えています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

男性支援員を実習担当に配置し、社会福祉士・保育士の現場実習を受け入れています。実習生の受け入れに関する要綱を定め、受入の意義や目的を明文化するとともに、実習マニュアルを策定して、受入手順や説明内容を明確化しています。また、利用者のプライバシー保護や実習中の事故防止などの配慮事項も記載して対応を統一化しています。実習生に対しても事前のオリエンテーションで詳しく説明しています。一方、実習受入の基本姿勢の明文化がないほか、一部古い記載が残るなど、要綱の見直し・改訂も望まれます。養成校との連携推進に尽力していますが、専門職種の特性に配慮した実習プログラムなど、より効果的な実習指導の工夫が期待されます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人のホームページを開設し、事業の概要や沿革、定款、役員名簿、報酬規程等の情報を公開しています。また、法人の運営目的として、障害のある方々の健やかな育成と社会・経済・文化への参加、年齢や心身の状況に応じた総合的な福祉サービスの提供等を明示しています。施設のページでは、館内の設備や日中活動、日課、年間行事等を写真付きで紹介しています。施設パンフレットのほか、広報誌「朝日の里通信」を定期発行し、障害福祉関係機関や利用者家族に適宜配布するほか、ホームページ内に連絡先やメールアドレスを掲載して、随時相談や問い合わせ等に応じる旨を明示しています。一方、事業計画や苦情・相談の体制等の公表は行っていません。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

経理規程や就業規則等を整備し、組織運営のルール化を明確化しています。事務長が法人の労務・財務を担当し、社会保険労務士など外部の専門家からの助言・指導を取り入れ、事業運営の健全化に努めるほか、障害者入所施設等の元管理者など3名を相談役として迎え入れ、事業運営に関する助言を得られる体制を確保しています。外部監査は実施していませんが、年1回定期的に法人の監事による内部監査を実施して、法人全体の組織運営に関するチェックを行っています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人の基本方針に「地域社会の一員として、福祉サービスを通じ、地域との結びつきを大切にし、地域に開かれた施設づくりを行う」ことを掲げ、地域との関わり方の基本姿勢として明示しています。地域の小学校と毎年恒例で交流を行っているほか、併設の生活介護事業と合同で地域の演奏ボランティア等を招き、イベントを開催するなど、外部との交流機会の確保に努めています。利用者の重度化やコロナ禍の影響などから、地域行事や活動への参加は行っていませんが、少人数のグループに分かれて毎日散歩に出かけるほか、買い物の際は近隣の店舗やショッピングセンター等を利用しています。なお、施設としてさらなる地域との交流促進が必要と捉えています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

利用者の大半が行動障害を伴う重度の障がい者で、対応に配慮が必要な状況から、ボランティアの積極的な募集や導入は行っていませんが、退職者や元実習生をボランティアとして受け入れるほか、併設の生活介護事業所と合同で楽器演奏等のボランティアを招き、イベントを開催するなどの取組を行っています。また、中学・高校等の職業体験を受け入れる方針であるほか、地域の小学校と茶道教室や合唱、レクリエーション等を通じた定期交流を実施するなど、学校教育への協力も行っています。一方、ボランティアや学校教育の協力に関する基本姿勢を明文化するとともに、受け入れマニュアルの整備など、対応の統一化を図る取組も期待されます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

地域の関係機関リストを作成し、施設事務室内に設置して適宜活用しています。地域自立支援協議会の各部会をはじめ、社会福祉協議会や障害福祉関係事業所との様々な会合に担当者を派遣し、参加を通じて地域の共通の課題解決に向けた取組を行っています。入所施設のほか、生活介護や相談支援、短期入所・日中一時支援事業を併設し、区の障害福祉担当課や福祉保健センター、基幹相談支援センター等と連携して事例検討を行うなど、在宅の利用者の生活支援のネットワークづくりにも協力しています。一方、各関係機関の役割や地域連携の状況等について、職員および施設全体で認識を深め、情報の共有化を図る取組が必要と捉えています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

区の社会福祉協議会や地域自立支援協議会、障害福祉関係事業所等との様々な会合に参加し、地域の福祉ニーズや課題の把握に努めています。地域自立支援協議会では「リスクを考える部会」に参画し、障害福祉の普及啓発とともに、障害者虐待防止や感染症対策、地域の防災体制の整備など、地域の共通課題に対する協議に参加しています。福祉避難所として戸塚区と協定を締結し、有事の地域の要援護者を受け入れるための体制を整備しているほか、地域の民生委員を交えて福祉避難所の機能及び連携について意見交換を行う等の取組も行っています。一方、把握した地域の福祉ニーズや課題を組織全体で共有化する体制の構築が必要と捉えています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人として複数の障害福祉事業を運営し、重度障がい者を積極的に受け入れるほか、短期入所及び日中一時支援、相談支援事業を併設し、在宅の障がい者の地域生活の支援に努めています。また、横浜市戸塚区の福祉避難所として、地域の要援護者の受入体制を整備するとともに、自治会・町内会や小・中学校と協働し、地域防災拠点訓練に参加する等、地域の防災体制の整備にも協力しています。地域からの要望等を受け、バス停留所やごみ集積所等の設置に関する協議の場に参加し、敷地提供に応じる姿勢を示すなど、地域貢献にも努めています。なお、今後は、地域交流や施設の専門機能を活かした貢献活動等を事業計画に位置付け、組織的に取組を推進することが期待されます。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

基本方針に利用者一人ひとりの人権や個性、意思決定の尊重を明示し、法人の倫理綱領及び職員の行動規範に、個人や人権の尊厳と利用者の自己選択・自己決定を支援することを明文化しています。理念及び基本方針、倫理綱領等を施設入口に掲示し、事業計画や「新規採用者向けマニュアル」等にも掲載して職員に周知しています。人権委員会を毎月開催し、利用者の権利擁護や適切な支援のあり方等を協議するほか、年4回全職員が人権チェックシートに基づく振り返りを行い、結果を全体周知しています。一方、手順書等に利用者を尊重した支援のあり方は示されていないほか、振り返りの結果を分析・評価し、組織的に改善を図る体制の整備は今後の課題となっています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

職員の行動規範に利用者のプライバシー保護を明示し、職員に周知しています。利用者の大半が行動障害を伴う重度障害であることから、利用者の安全確保を重視しつつ、可能な限りプライバシー保護に留意した支援に努めています。利用者の居室は二人部屋が基本で、カーテンを用いる等プライバシー確保に努めるほか、入室の際は必ず声掛けを行っています。また、障害特性に合わせて工夫して、トイレの扉の代替としてロールスクリーンを設置するなどしています。一方、プライバシー保護に特化した規程やマニュアルは策定されていません。今後、プライバシー保護に関する方針を明確化し、組織全体で認識や支援方法の統一化を図るとともに、利用者・家族等にも説明し相互に認識を共有することが期待されます。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

法人のホームページを開設し、施設をはじめ、法人系列の各事業所の情報を掲載しているほか、パンフレットや広報誌を発行して、広く情報発信に努めています。施設のページには、館内の設備や日中活動、日課、年間行事等を写真付きで紹介しています。パンフレットに見学可能な旨を掲載し、生活支援担当係長が案内を行うほか、体験入所も受け付けています。また、短期入所と日中一時支援事業を併設し、ホームページに利用手順と案内文書を掲載して、初回利用でも円滑に利用が可能となるよう配慮しています。複数のSNSを通じた情報発信も行っています。一方、利用者の障害特性に配慮した、より理解しやすい資料等の作成が期待されます。公共施設などでのパンフレット等の配布は行っていません。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

行動障害やコミュニケーション等に課題のある重度の利用者を積極的に受け入れ、基本方針に利用者の自己決定の過程を支援することを明示しています。入所契約の締結にあたっては、重要事項説明書等を用いて施設長から詳しい内容説明を行い、必ず書面で同意を得ています。一方、利用者の多くに重度の障害があることから、体験入所等を通じて意思確認や要望把握に努めていますが、施設はサービスの開始・変更時の利用者の自己決定を促す関わりは今後の課題と捉えています。また、利用者にも分かりやすい資料等の作成や、意思決定が困難な利用者に対する説明の工夫及び対応のルール化についても今後の課題としています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

過去に本人の意向を受けて、関係機関と連携し、計画的に地域移行を実現した事例がありますが、利用者の大半が行動障害を伴う重度の障害者であることから、現在、地域や家庭等への移行に向けた積極的な取組は行っていません。また、地域移行に向けた支援の手順や移行後の支援体制は明確化されていません。今後、さらなる利用者の自己実現に向け、地域移行を含めた支援のあり方を考察し、実践につなげる取組が期待されます。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

日常の支援場面をはじめ、施設行事の開催時等にも、利用者のことばや表情、しぐさや行動等を受け止めて、個別のケース記録に記載し、職員間で共有して実際の支援に活かしています。また、アセスメントやモニタリングなど、個別支援計画に基づく支援の実践を踏まえ、個々の利用者のニーズの充足度の把握と満足度の向上に努めています。家族等に対しては、保護者会での意見交換を通じて施設に対する意見や要望を聴取するとともに、不定期で保護者アンケートを実施するなどして、満足度の把握に努めています。一方、利用者・家族等の満足度を調査・把握するための体制整備や、把握した要望等を施設運営に活かす仕組みの構築は、今後の課題となっています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

法人・施設の苦情解決体制を整備し、苦情受付窓口担当者を法人事務長、苦情解決責任者を施設長とし、第三者委員に地域の民生委員と外部の学識経験者を選任しています。苦情解決体制は重要事項説明書等に明示し、利用者・家族等に説明するほか、施設入口に苦情解決体制及び行政の担当課や外部の権利擁護機関の連絡先を掲示して周知しています。また、苦情受付箱とともに「施設長への手紙」として提案箱を配置し、広く意見・要望を受付けています。なお、これまでに苦情事例はありませんが、第三者評価の家族アンケートでは、幾つかの意見や要望も散見されます。今後は定期的なアンケートの実施など、より苦情や意見を述べやすい環境づくりが期待されます。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

施設入口に苦情受付箱を設置しているほか、「施設長への手紙」として提案箱を配置し、利用者・家族等に加え、職員からも広く意見・要望を受付けています。利用者に対しては、寮ごとに利用者会を開催し、利用者との意見交換を通じて各々の意向や要望の把握に努めています。一方、寮内に意見受付箱の設置がないほか、施設の苦情受付体制や連絡先の掲示もなされていません。今後は、利用者が自由に意見を表明できることを積極的に周知するとともに、苦情受付体制を図やイラスト、写真等を用いて表示するなど、利用者にも理解しやすい周知の工夫が期待されます。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

利用者の大半が意思表示の難しい重度の障がい者で、明確な意思表示が可能な利用者が少ない実情から、日常生活の支援を通じて利用者の表情や言葉、しぐさ、行動傾向などを観察して意向・要望の把握に努めています。利用者の障害特性から、相談対応の流れや対応マニュアルの作成は行っていませんが、個々の利用者の状況をケース記録等に記載して職員間で共有し、支援内容に反映しています。なお、今後は、個別の支援にとどまらず、利用者の反応や対応結果を施設全体で共有し、分析・評価して利用者支援の内容や環境・設備の改善に活かす体制を構築するなど、組織的に支援の専門性向上を図る新たな取組が期待されます。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

事故対応マニュアルとして「症状別、外相時の対応法」を策定し、急病や外傷時の対応のほか、発作やアレルギー反応等への対応を明確化するとともに、「救急時の対応フロー」に基づき、救急車の要請手順や受傷者への具体的対処、持参品などの留意事項を明示して、職員間で共有しています。防災対策会議を発足し、防災器具や緊急連絡網の整備、防災及び防災体制の強化等について協議しています。一方、リスクマネジメントの責任者の配置がないほか、事故防止策の実施状況や実効性の定期的な検証・評価を行う体制整備は今後の課題となっています。また、各寮会議でヒヤリハット事例の分析と対応を協議していますが、寮ごとの検討頻度に差が生じています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

看護師を常勤配置するとともに、保健係を設置して感染対策や利用者の健康管理、誤薬防止等の体制整備を図っています。利用者の重度・高齢化に鑑み、施設内の随所に消毒剤や空気清浄機を設置しているほか、新型コロナ感染症の5類移行後も、以降前と同様の感染対策を継続しているほか、感染対策会議を毎月開催して、感染症予防及び発生時のまん延防止策を協議しています。内部研修として毎年「吐しゃ物処理・衛生研修」を開催するとともに、施設吐物処理キットも配置し、迅速な対応のための備えを行っています。なお、新型コロナのクラスターなど、感染症の発生防止に向け、今後さらなる取り組みが期待されます。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

生活支援担当係長を災害対策の責任者に位置づけ、大規模災害発生時の対応体制を整備しています。福祉避難所として戸塚区と協定を締結し、有事の地域の要援護者を受け入れるための体制を整備するとともに、自治会・町内会や小・中学校と協働して地域防災拠点訓練に参加する等、地域の防災体制の整備にも協力を行っています。また、法人内共通の「防災対策会議」を設置し、防災器具及び消防設備の整備や、様々な状況を想定した防災訓練の実施、災害対応マニュアルの策定などについて協議し、適宜実行しています。一方、法人の事業継続計画(BCP)は現在作成中となっています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:b】

感染予防、健康管理等のマニュアルのほか、寮ごとに「勤務別一日の流れ」を策定し、勤務シフト別のタイムスケジュールと業務の手順を明確化して、職員間で認識共有を図っています。また、利用者ごとに個別支援計画に基づく手順書を作成し、個別性の配慮と対応の統一化に努めています。利用者支援の内容は、各寮会議等を通じ手順書に沿って支援がなされているか確認しています。一方、食事や入浴、排泄など、標準的な対応を定めた手順書や、利用者のプライバシーへの配慮に関する考え方及び具体的対応を定めたマニュアルは策定されていません。利用者支援の基本的なマニュアルの整備とともに、プライバシー保護のあり方を明確化し、職員間で認識の統一化を図る取組が期待されます。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

感染予防など利用者の健康管理に関するマニュアルは、毎年定期的に見直しを実施するほか、感染対策など最新情報の発出時は随時内容を更新し、職員間で共有しています。寮ごとの手順書は、毎月の各寮会議で実施する事例検討を通じて適宜見直しを実施するほか、各利用者の手順書についても、個別支援計画のモニタリング時に内容を見直し、会議等で職員に周知しています。また、職員の改善提案に基づき、「新規採用者向けマニュアル」を策定する等、職員の意見を積極的に取り入れています。一方、見直しがなされていないマニュアルも一部見られます。今後は、見直しのルール化や改訂履歴の明示など、マニュアルの適正な管理・運用のための仕組みの整備が期待されます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画の策定責任者としてサービス管理責任者を配置し、利用者ごとに個別支援計画を作成しています。利用者のアセスメントは、所定様式の項目に沿って担当の支援員が課題を整理し、サービス管理責任者と協議して支援目標と具体的な支援内容を明確化し、支援計画に位置付けています。支援計画の内容は、日々の利用者との関わりから把握した利用者の意向や要望のほか、家族等の意見も取り入れています。また、看護師や栄養士をはじめ、状況に応じて医師や作業療法士等の外部専門家の意見も反映しています。個別支援計画は施設のPCネットワーク上で共有し、ケース記録や日誌とともに、計画内容に沿って支援が行われているか随時確認出来るようにしています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画の内容は、6か月ごとにモニタリングを実施して適宜見直し・修正を行っています。入院や心身状態の悪化など、利用者に顕著な変化が見られる際は、各寮会議やミーティング等を通じて職員間で検討し、計画内容の見直しを行っています。見直した内容は、日誌に記録するとともに、随時口頭でも伝達し、情報共有と対応の統一化に努めています。また、個別支援計画の見直しにあたっては、利用者との関わりや環境設定など、利用者に影響を及ぼすヒヤリハット事例も併せて取り上げ、職員間で対策を協議して改善に繋げる等、柔軟な対応を行っています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

利用者支援に関する情報は、各寮会議や日々の申し送り等で伝達し、職員間で情報共有しています。施設として施設用のソフトウェアを導入し、部署ごとのPC端末によるネットワークを通じて、相互に利用者の状況を随時確認できるようにしています。個別支援計画やケース記録、日誌等の記録は、書面のほかネットワーク上でも随時閲覧できるようにしています。利用者の日々の様子は各々のケース記録に記載しているほか、ネットワーク内の日誌にも連動し、重要な情報は日誌でも確認可能となってしています。記録の書き方に関する内部研修を開催し、OJTを通じた教育・指導を実施するほか、各記録は管理職が内容をチェックし、状況に応じて直接指導しています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

個人情報の利用目的、保管開示、漏えい時の対応などを定めた「個人情報保護に関する方針」を定め、法人組織の姿勢を明示しています。職員に対しては、入職時に必ず説明して理解を促すとともに、守秘義務・個人情報保護に関する誓約書を取得して、個々の意識付けを図っています。また、内部研修や勉強会等を定期開催し、継続的に周知しています。個人情報に係る書類は、施錠可能なキャビネットで保管し、USBメモリ等の記録媒体の帯出を禁止しています。共用のPCもパスワード設定や職責に応じたアクセス制限を設けるなど、情報の漏洩防止に努めています。利用者・家族等に対しては、入所契約の締結時に説明し、同意書を取得しています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

支援の基本姿勢を「倫理綱領」及び「行動規範」に記載して全職員に配布・周知しています。個別支援計画の作成時は、本人の意向や課題を丁寧にアセスメントして目標や支援内容を設定しています。また、本人の希望も尊重し、本人の得意なこと、好きなこと等を活動内容に盛り込んでいます。服装は自由に選択可能で、雑誌、新聞の購読も認めています。理美容は月1回の訪問理美容を利用することができます。余暇時間には居室で自由にテレビを見たり、音楽を聴いたりして過ごすことができます。毎月の誕生会の後に利用者会を開催し、職員がサポートして利用者の意見・要望を聴取し、意見交換していますが、利用者同士で話し合い約束事を決める等の活動は行っていません。行動障害を伴う利用者が多く、集団生活を送る上で安全面での配慮が優先されるケースもありますが、職員は利用者一人ひとりの意思を尊重し、生きがいのある生活が送れるよう支援に努めています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の権利擁護について「倫理綱領」及び「行動規範」に明文化するとともに、「新規利用者向けマニュアル」にも明示して入職時に配布・周知しています。年4回全職員を対象に「人権振り返りシート」に基づく自己点検を実施するほか、人権委員会議で集計・分析し、結果を全体周知しています。「身体的拘束等行動制限に関するマニュアル」を整備し、虐待の種類や実施方法、具体的な手続き等を明確化しています。虐待防止委員会を設置し、外部講師による虐待防止・アンガーマネジメント等の内部研修を開催するほか、外部研修への参加も推奨しています。やむを得ず身体拘束を実施する際は、虐待防止委員会を通じて「行動制限実施計画書」を作成し、家族等に説明の上で承諾書を取得し、実施することとしています。権利侵害を発見した場合の行政への届け出・報告手順も明確化しています。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は、日々の生活支援を通じて、利用者の言葉や表情、行動などから意向や要望の把握に努め、利用者一人ひとりの自律・自立に向けた個別支援を行っています。利用者ができることは自分でできるように見守り、できないところを手伝うようにしています。職員は、寮会議等で利用者の状況について話し合うとともに、声掛けや誘導の方法、環境構成などを検討し、個別支援計画に反映しています。利用者の障害の状況に応じた居室の掃除や片付け、洗濯物たたみ、衣類の管理、配膳や下膳など、自己管理能力の維持・向上に努めています。高齢化に伴う身体機能の低下についても、職員間で検討し、個別の歩行訓練を取り入れる等、支援内容に取り入れています。障害年金の受給等の行政手続きは、原則として家族等が実施することとしていますが、状況に応じて事務職員が代行しています。また、保護者会を通じて、成年後見制度の利用に関する勉強会も開催しています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は、言葉や文字だけでなく、絵カードやマーク、ジェスチャーなど、視覚的な意思伝達の手段を用いる等、利用者一人ひとりの状況に応じたコミュニケーション支援を行っています。マカトンサイン等の手法を用いるほか、幾つかの選択肢の中から選ぶなど、様々な工夫を取り入れ、利用者の意思表出を促すと同時に、正確な意向把握にも努めています。障害特性などから意思の表出が難しい利用者に対しては、表情や行動の僅かな変化にも着目し、職員間で共有し支援に反映しています。具体例として、食事摂取に課題のある利用者に対し、食具や食事介助の内容を見直して改善を図った事例などがあります。居住スペースは男女それぞれの寮ごとで作業や生活を行っていますが、合同でイベントを開催するなど、相互の交流機会を確保しています。職員は居住・活動の両面で利用者間の関係性を見守り、環境調整を行う等、快適な生活を送ることができるよう配慮しています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画の作成にあたり、担当支援員とサービス管理責任者がそれぞれ把握した利用者の意向を相互に確認し、計画内容に反映しています。担当支援員は、季節の衣替えや買物など、日常場面を通じた個別の関わりを通じて、利用者のより正確な意向把握に努めています。言語表現が可能な利用者に対しては、発語を促すとともに、本人の言葉を計画に取り入れています。セレクトメニューや複数の活動を提示するなど、利用者が自ら選択し意思を表明できる機会を積極的に設けるなど、利用者の自己決定を支援する関わりを行っています。また、ボールを使った運動でも、投げる・転がす・触るなど、個々の障がい特性に応じた活動を提供できるよう工夫しています。利用者の成育歴や生活背景にも着目し、状況に応じて選択機会を増やし、様々な経験を積むことができるよう配慮しています。利用者の状況は各寮会議で情報を共有し、個別支援計画にも反映して対応の統一化に努めています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の日中活動は、個々の要望や特性・能力等を考慮してプログラムを作成し、個別支援計画に位置付けるとともに、利用者の状況に応じて6か月ごとに計画内容の見直しを行い、適宜修正・変更を行っています。個別の作業は職員が利用者の様子を見ながら積極的に発想してパズルや編み物、文字書きなど複数の活動を用意し、自由に選択できるほか、飽きずに作業を継続できるよう配慮しています。利用者の心身の状態に応じて活動時間や内容を調整し、作業に否定的な場合は居室や談話室でのんびり過ごすことも認めています。利用者の高齢化に鑑み、散歩やエクササイズなどの運動プログラムを取り入れるほか、可能な場合は自主製品の制作などの生産活動も実施しています。女子寮では調理実習も行っています。余暇時間にはテレビやDVD、音楽鑑賞のほか、園庭で職員とキャッチボールするなど、思い思いの時間を過ごせるようにしています。一方、外部の日中活動先への通所や地域の活動に参加するケースはない状態です。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設では、専門講師による内部研修や外部研修への参加推奨など、職員の学習機会の確保に努めています。区地域自立支援協議会等の会合に職員を派遣し、職員会議を通じて地域の様々な情報を共有するとともに、各寮会議等で開催する事例検討を通じてよりよい支援のあり方を協議するなど、組織全体で職員の資質向上に取り組んでいます。利用者の障害特性に応じた支援に鑑み、直接処遇職員全員が「強度行動障害支援者養成研修」を履修しています。支援にあたっては、アセスメント表に基づき、利用者の問題行動が出現しやすい場面や時間帯、頻度等を客観的に分析・評価し、事例検討を通じて利用者の特性や行動傾向に応じた支援方法や環境設定を協議し、職員が一丸となって実践しています。利用者の居室は二人部屋が基本ですが、状況に応じて個室を提供するほか、心身の状態等に応じてフロアの構成や居室の配置、食事・活動の場所・時間を調整するなど、個別の状況に柔軟に対応しています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の食事は、栄養者が献立を作成し、施設内の厨房で調理し提供しています。年齢や健康、嗜好等を考慮し、季節感のある食事の提供に努めるほか、食材は国産を中心に、地域の業者から仕入れを行い、併設の生活介護事業所で栽培した野菜も活用しています。医師の指示や歯科医師の嚥下評価等に基づいて給食会議で対応を協議し、カロリーや塩分制限等の治療食のほか、おかゆや軟飯、刻み、ミキサー食など複数の食事形態を利用者の状態に合わせて提供しています。栄養士は利用者の食事の様子を見ながら支援員と意見交換し、食材の大きさや切り方なども調整しています。各寮は男女別で、同性職員を配置し、男性は毎日、女性は1日おきに入浴を行い、柚子湯や菖蒲湯など季節ごとに入浴を楽しめるよう工夫しています。排泄も見守りや介助など、利用者の状態に合わせて対応し、作業療法士の助言を基に車いすの選定を行うなど、外部専門家の意見も随時取り入れています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:b】

自然や季節を感じられるよう、園庭に面したテラスにベンチを配置し、廊下に利用者の作品や写真を展示して活動を振り返ることができるようにしています。利用者の居室は二人部屋が基本で、カーテンを用いる等プライバシー確保に努めるほか、安全面も考慮しつつ、テレビ等の私物の持込を認めています。利用者の状況に応じて随時居室やフロアの変更を行い、利用者が落ち着いて過ごせるよう配慮しています。不眠や中途覚醒など生活リズムに課題があるケースは、個室提供や談話室で個別対応を行い、他者との関係性に留意し柔軟に対応しています。談話室は、フローリングと和室それぞれのスペースを、活動内容や利用目的に応じて使い分けています。施設内の安全点検を定期的に行い、専任職員が毎日清掃を実施して、安全性と清潔さに配慮しています。一方、築30年余が経過し建物の老朽化が進んでいるほか、利用者の高齢・重度化に対応した環境整備が課題となっています。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

日常の生活場面を通じて、利用者が自分で身辺の自己管理ができるよう関わり、生活能力の維持・向上を図る支援の実践に努めています。利用者の重度化・高齢化の進行とともに、コロナ禍の外出自粛に伴う筋力低下から、転倒・骨折等の事故の増加が懸念される状況を踏まえ、午前・午後のラジオ体操や近隣への散歩、専門講師によるエクササイズなど、筋力の維持向上のためのプログラムを積極的に導入しています。また、個々の心身の状況に応じて、整体師や訪問介護のマッサージ、ストレッチ等も取り入れています。年数回、定期的に作業療法士が来訪して利用者の心身機能や活動、環境等の分析・評価を行う機会を設定し、介助機器の選定や個別支援計画の内容についてアドバイスを受けるなど、外部の専門職から助言を得られる体制を整備しています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

男性寮は毎日、女性寮は一日おきに入浴し、衛生管理と身体状況をチェックしています。意思疎通が難しい利用者が多く、職員は日常の支援を通じて利用者の心身の状態を観察するとともに、表情や仕草などの小さな変化を読み取り、体調等の変化に気づくよう心がけています。毎日検温を2回実施して利用者の健康観察を行うほか、常勤の看護師を配置し、毎日定期巡回して随時個別の相談に応じています。毎月の体重測定、年2回の提携医による定期健康診断、年1回の歯科健診を行っています。歯科医師による口腔ケア、歯科医師・栄養士・看護師による嚥下評価も実施しています。隣接する協力医療機関で受診や入院などの協力要請が可能な体制を整備しています。健康管理、感染症予防、救急時の対応などの各種マニュアルを整備し、全職員で活用しているほか、AEDを使用した心肺蘇生法や摂食・咀嚼嚥下、嘔吐処理などの内部研修も定期的に実施しています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:b】

常勤の看護師を配置し、利用者の健康管理及び服薬支援、通院・処置等の支援を実施しています。利用者の処方薬は看護師が医務室で管理し、寮ごとに仕分けを行っています。服薬支援にあたっては、服薬管理マニュアルを策定して対応手順の明確化を図るほか、仕分け時、医務室からの搬出時、与薬時、服薬後の計4回複数の職員でダブルチェックを行い、服薬の事故防止に留意しています。また、誤薬等が発生した場合は、必ず嘱託医に連絡して指示を仰ぎ、対処することをルール化しています。内科疾患等の合併症やアレルギー等のある利用者に対しては、医師の指示に基づき除去食や治療食を提供するなどの対応を行っています。通院支援は支援員のほか、状況に応じて看護師も行っています。一方、医療的ケアは原則として看護師が対応を行っていることから、一般職員向けの医療的ケアに関する研修回の開催は、今後の課題となっています。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

施設利用者の大半が意思疎通困難な重度障害者で、個々の意向に基づく学習や社会参加は難しい状況ですが、様々な取組を通じて社会参加や社会体験出来る機会を多数確保しています。外部の専門講師を招き、エクササイズや茶道教室、フラワーアレンジメント等の活動を定期的に実施するほか、併設の生活介護事業と合同で楽器演奏等のボランティアを積極的に受け入れ、近隣の小学校とも茶道や合唱等を通じてた定期交流を行っています。初詣など季節に応じた外出のほか、小グループに分かれて近隣散歩や買い物に出かけ、地域住民との挨拶等を交わすことで社会のルールやマナーを学ぶ機会設定にも配慮しています。また、女性寮では毎月調理実習も実施しています。可能な場合は一時帰宅や外泊等の支援も実施しています。コロナ禍による外出行事の中止に鑑み、温泉の宅配や敷地内でのバーベキューなど、利用者が楽しめる様々なイベントを企画・開催しています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:c】

これまでに、本人及び家族等の意向に基づき、日常生活のスキル向上を個別支援計画に位置づけ、関係機関との連携を通じて計画的に地域移行を実現した事例がありますが、利用者の大半が行動障害を伴う重度障害者であることから、地域移行に向けた積極的な取組は行っていないほか、実績も限定的となっています。施設では、今後さらなる地域移行の推進に向け、新規入居者に対し、契約時に利用者・家族等から地域生活の移行に関する要望を聴取するほか、利用者の正確な意向把握や実現に向けた支援のあり方の協議をはじめています。今後、施設として地域移行に対する職員の意識向上を図るとともに、関係機関との連携強化や地域資源の開発、地域生活を視野に入れた利用者の課題の把握及び自己管理能力を高めるための支援など、利用者の地域移行を推進するための体制整備が期待されます。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

保護者会を年数回定期開催して家族等との交流を推進し、利用者の生活状況の説明と意見交換を行っています。コロナ禍では書面開催とし、施設行事への参加も中止としていましたが、今年度から対面での開催に変更し、定例行事への参加も呼び掛けています。家族等の高齢化に伴い、将来への不安に関する相談が多いことを踏まえ、保護者会を通じて行政書士による成年後見制度の勉強会を開催する等の取組も行っています。家族等からの電話・面会を受け付け、担当の支援員から利用者の日頃の様子を伝えているほか、施設の広報誌等の文書を定期的に送付しています。また、個別支援計画の作成時は、電話や面談、手紙等で意向を確認し、必ず同意を得ています。利用者に体調変化等が見られる場合は、家族等に随時電話連絡し、状況に応じて面談等にも応じています。施設の後援会に多くの家族等の入会を得るなど、相互に協力・連携して利用者を支援する体制を構築しています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:c】