社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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木下の保育園 山下町

2020年04月01日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 木下の保育園 山下町 評価対象サービス 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 50 名
所在地 231-0023
横浜市中区山下町112-11-2階 
TEL 045-681-5583 ホームページ https://www.kinoshita-hoiku.com/facility/yamashitacho
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2012年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 株式会社 木下の保育
職員数
常勤職員:12 名
非常勤職員:9 名
専門職員
保育士:13 名
看護師:1 名
管理栄養士:1 名
調理師:1 名
施設・設備の概要
居室数:4室(乳児室、1歳児室、2・3歳児室、4・5歳児室)、 事務・医務室、厨房
設備等:園外遊技場、トイレ・ユーティリティ

③ 理念・基本方針
 木下の保育園では「生きる力を創る」を保育理念とし、「子ども達に生きる力の基礎となる人間性を豊かに育みます。」「園のシンボルマークである色鮮やかな葉をつけた木のように、個性(葉)を尊重し、困難にぶつかっても心(枝)が折れないよう、人としての土台(根)を培っていくような保育をおこなっていきます。」を目指しています。

 保育方針と目標として、
  仲間を大切にし認め合い、思いやりのあるこどもを育てる「協調性」
  心身ともに健やかで意欲的に活動し自己表現できる子どもを育てる「のびのび」
  最後まで諦めず自分で判断し行動できるこどもを育てる「試行錯誤」
  興味や関心をもち挑戦することを楽しみ自ら表現する子供を育てる「探索活動」

 の4つをあげています。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
 横浜中華街に近いビルの二階という立地から、利用者本人及びその家族の生活習慣や文化的にも多様性に富んでおり、特徴的な取り組みを行っています。保護者には日本語の不得手な方もおり日常の会話や連絡なども中国語がわかる職員を介して意思疎通を図る工夫を行っています。世界的な観光地として多くの人が行き交う場所ため、散歩先でカメラを向けてくる外国人には個人情報保護のため撮影中止を求めるなどの配慮を行っています。
 正月の七草がゆを食す等、年中行事や食育などで日本の季節感や習慣を取り入れていくことを意識して行っています。
 園は0歳から2歳児までの乳児のスペースと幼児のスペースに大きく区分されており、年齢別に戸棚などで仕切り開放的な環境を作り上げています。いくつかのコーナーに分けて遊びを選ぶことが出来、異年齢児の関わりに配慮しています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2019/06/10(契約日) ~2020/03/23(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(2014年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1)食事をおいしく楽しめる工夫をしています
 保育士・管理栄養士・調理士の密な連携により、季節に合わせて野菜や日本の文化に親しめる環境づくりに配慮しています。冬には給食室の壁面にほうれん草、里芋、白菜など野菜の写真を掲示しています。「かがみびらき」「はるのななくさのひみつ」などの日本文化にまつわる内容を写真付きで掲示するなど、子どもの興味をひく内容に工夫を凝らしています。季節感のある食材の使用に努め、行事食も取り入れています。
 ベランダではピーマン、きゅうり、枝豆、オクラなどの野菜を育て、種の購入、水やり、収穫、クッキングなど発達に応じたプロセスに参加し、食への関心を高めています。3・4・5歳児は、バイキング形式の食事で、見本のお盆を参考に、自分で食べられる物を選択し、量を加減し、自分で盛り付けて食事を行っています。

 
2)肯定的に捉える保育を実践し、職員間のチームワークにつながっています
 園として、職員は子どもが主体的に遊びを選び、また他者とかかわることを常に肯定的に捉えるように支援しています。また、その環境づくりを行う職員が自由に発想できるような雰囲気づくりを園長は心掛けています。
 施設はオープンなスペースが多いこともあり、園長も日常的に子どもや職員と開かれた環境で接しています。課題等は職員間で周知・解決を図っています。先ずは子どもが楽しめることを目的として最終的な帰結点や方向性を示しています。個々の職員の考え方や行動については常に肯定的に捉えて、職員の自主性を尊重しています。このことが職員間の理解を深め、チームワークの高さにつながっています。
改善を求められる点 1)一人ひとりの子どもがくつろぎ落ち着ける空間の創出
 生活空間はオープンスペースで、クラスを仕切る壁はなく、作り付けの棚で生活空間を分けています。0歳児は安全面から最も奥の空間を使用し、他のクラスは、それぞれロッカー前や長椅子を集合場所とするなど、子どもの居場所を工夫しています。
 オープンスペースを活かしマットで作った滑り台や鉄棒を配置し、サーキットトレーニングで身体を思い切り動かして遊べる空間としても活用しています。一方、刺激に敏感であったり、課題に集中しづらいなど配慮を要する子どもにとっては、適応が難しい環境であるともいえます。物理的限界はありますが、創意工夫により刺激を制限し、気持ちを切り替えクールダウンができたり、落ち着くことができるスペースの創出が望まれます。


2) 地域に開かれた保育園を実現するための方策の検討
 法人の中長期計画にも園として地域に開かれた保育園を目指す旨が記載されていますが、オフィスビルの二階という立地で、外部に対する掲示板もなく、貼り紙が出来ないこともあり、地域的な認知度が上がりずらい状況です。
 園の対外的な取り組みを知ってもらうための方策を講じる必要があります。子育て世代の情報ツールとしてインターネットは欠かせないものとなっており、本社ホームページの中で当園の取り組み紹介の掲載やブログを設置するなどネットを介する情報発信や、必要とされる各種ボランティアを募集するなど外部との接触範囲を広げる等の方策の検討が期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 「生きる力を創る」の理念のもと木下の保育園になってから3年がたち、第三者評価を受審いたしました。園の理念・基本方針を理解し実践することを意識し、保育を行ってきましたが、受審するにあたり、職員会議で、一人一人の職員から、毎日の保育の中で、「一番大切に思う自分の保育感」の意見交換を行いました。「お子様の思いに寄り添い、共感しながら対応をするように意識する。」「お子様の声に、耳を傾ける。」という声が多くあり、お子様が卒園するまでに「自分の思いを自分の言葉で伝えることができる。」という具体的な目標意識も共有し、保育を行っていることも確認ができました。
 園の課題は、まだまだ多くあることと考えており、今回受審したことで、課題が明確になったことは、本当に良かったと思いました。特に職員の育成や研修、職員一人一人が具体的な目標を持つことの重要性を強く感じたことや、保護者の皆様への伝え方、地域に開かれた保育園としての在り方、などが課題です。
 受審の内容は、課題に取り組むための具体策や改善策が、明確に記されており、今後の園の改善の為の実践方法や、具体的な書類作りにも非常に役立つと考えております。
 職員一同、今回の受審の内容を糧として、お子様や保護者の皆様が、安心して喜びとともに利用いただける認可保育園として、強固な組織をつくり、更なる向上心をもって、高みを目指すよう努力してまいります。
 第三者評価受審に際し、ご多忙の中、保護者の方々にはアンケート回答のご理解ご協力と、株式会社フィールズ様にご協力をいただきましたこと、本当に感謝いたします。
 ありがとうございました。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

 保育理念・保育方針・目標についてホームページや入園のしおりに掲載しており保護者等へ周知をしています。職員についても入職時の研修や就業後年二回の評価等で周知をしています。また第三者評価受審を機会に理念や理念達成に向けて職員に話をしています。
 職員個々の保育のアプローチについて自分の言葉で話す機会を持ち、職員間の他者理解に繋がりました。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

社会福祉事業の動向や経営状況については本社で一括して把握・分析されており、園長会などで報告・指示を受けています。園としては当園の運営規定に則り、保育サービスを提供することを一義としています。定期的に保育のコスト分析や保育所利用者の推移、利用率等の分析は行っていません。
 会社として提供する保育サービスの中長期計画があり、地域のニーズを把握検証を掲げており、地域の保育プログラムに参加し把握したニーズなどを園から本社に報告しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

園としては当園の運営全般につき職務分担表に表わされる園長の指示のもと、組織体制や設備の整備、職員体制、人材育成、日常の保育を行う上での要望や抽出した課題対応などの取り組みが行われています。また本社からの経営に関する通達などを職員に伝えています。
 財務及び予算・収支等については、本社にて分析が行われています。経営状況や改善すべき課題については、職員に周知されていません。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

平成30年4月1日付けで会社としての3年間の中長期計画を策定しており本年度は2年目となります。①安定運営の確立、②経営基盤の確立、③目標入所率、④地域ニーズの把握等の項目を挙げ年次毎の目標を掲げています。園としての中長期計画という形では策定はされておらず、会社の中長期計画と、園の活動予定との連携は実質行われていません。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

中・長期計画をもとに、園においての地域性を活かした実行可能な内容で単年度の活動予定を策定しています。活動予定についてその多くは、日常の保育に関する計画と行事に関する計画であり、その項目については、組織として行動原理として定着しているPDCAサイクルで得られた前年度からの改善点を反映した内容になっています。単年度の事業計画は、数値目標や具体的な成果などで評価がわかるようになっていません。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

行事などを含む年間の事業計画は、年度末に職員会議にて見直しを行い改善に努めています。事業計画の実施状況が、あらかじめ定められた時期、手順にもとづいて把握されていません。特に行事については「イベントPDCA」という書式を元に行事の目的、タイムスケジュール、担当等を記載し、更に行事終了後に職員間で評価し、課題を抽出し次年度の改善点として記載しています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

入園時に入園のしおり(重要事項説明書)に年齢別の保育計画を示しており、その計画に基づき、全体的な計画、年間指導計画等と共に、その年の事業計画(活動予定)、主に行事予定を作成し、年度始めに保護者に配布しています。更に詳しい内容については、園のたよりに記載し、個別にも登降園の際に伝えています。事業計画の説明に保護者等がより理解しやすいような工夫は行われていません。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

0~2歳児の個別の発達記録である「あゆみ」やクリスマス会等の行事計画などは、組織として、最初からPDCAサイクルを想定した様式の書類として記録しており、目的を明確にし課題抽出と対策、評価、そして次回への改善点を反省会等で話し合い、保育の質の向上を図っています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

組織的な行動の基本としてPDCAサイクルを取り入れているため課題解決と改善への取り組みを行う仕組みが出来ています。平成26年の前回調査から時間も経ち、職員も大幅に変わっているため見直しが難しい状況です。独自に行っている自己評価は、保護者で構成される運営委員会に伝え、玄関に掲示し周知しています。職員間で、抽出された課題について職員会議で検討し共有しています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

当園の組織図と職務分担表があり、各職種別の職務分担が規定されており周知されています。その役割等について、園のたよりに今月の保育の内容とともに掲載しています。園長職務として園の事務管理、職員の労務管理、保育計画の立案及び保育業務の管理、渉外連絡等の職務が規定されています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

園長は施設長の初任者研修会、衛生推進者研修、防火管理者研修に参加しています。また、職員には、職員会議や日常の打合せ等で法令を含む業務上守られるべき倫理等について実質上の服務規程である「保育の心得」又は各種マニュアル等を用いて周知・再確認を行っています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

保育の質の向上のため、職員の自主性を高めモチベーションをあげるために、乳児組、幼児組の各リーダーを決めて、それぞれの職員の意見を共有し反映できる体制をとっています。 園長は常に職員の意見を肯定して受け止め、方向性を確認し、方法については職員に考えるように促す指導を行っています。また休憩室に研修案内を掲示し各職員が必要と思われ、また、受講したい研修を選びやすくしています。また全職員が年1回以上外部研修に参加できるようにシフト等の配慮を行っています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

園長は、要望されたまたは抽出した課題に対して方向性と着地点を定め、そのアプローチについては職員の意見を求め尊重し、職員の自主性を高めるよう促しています。例えば他園の事故報道を受けて、園外活動として散歩時の道路を渡る際の信号待ち待機場所等について、職員間でアイディアを出し合い現地の写真を撮る等して待機地を決定・共有・実行するなど実効性の高い解決策を生み出しています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

園内の職員の異動や補充は、三ヶ月ごとに人員についての要望を園長から本社に伝える機会があり、本社で検討されます。福祉人材の確保と育成に関する方針は確立していません。正職員の人材確保については「木下の保育の心得」の冊子に示される期待する職員像に基づき本社の採用課が行っています。非常勤職員や中途採用の職員については園長が直接面談採用することもあります。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

会社として保育理念「生きる力を創る」を掲げ、職員は子どもがこれから大人になる社会で必要となる「生きる力」とは何か、その力を育むためにどのような経験が必要かを常に意識すべきことを謳っています。
 職員が自ら将来の姿を描くことができるようなキャリヤパスなどの総合的な仕組みづくりにはなっていません。年2回人事評価として、他己評価を行いその結果が給与の基準となっており、互いに研鑽をする体制をとっています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

職員の心身の健康は、子どもに敏感に感じ取られることもあり、良好な状態を保つために、園長は年に二回個別面談を行うほか、日頃より働きやすい環境と話のしやすい雰囲気づくりを心掛けており、相談などに応じられるように配慮しています。
 待遇の改善策については、福祉人材や人員体制に関する具体的な計画に反映してません。園長は職員の立場を超えて、直接子どもに接するのではなく職員を後ろから盛り立て支えるように配慮しています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

年に1回「保育の自己評価チェックシート」を用いて、職員一人ひとりの目標管理を行っています。その内容は1)保育理念、2)子どもの発達援助、3)保護者に対する支援、4)保育を支える組織的基盤 等の大項目についてチェックをしています。その後、園長と個別面談で振り返りを行い、反省点や職員の意向を協議し、方向性を確認します。職員一人ひとりが設定した目標について、9月10月に中間面接を行っています。目標の達成度について年度毎、中間毎の進捗状況の確認は行われていません。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

 「木下の保育園 保育の心得」の冊子に期待する職員像が示されており、また自己評価チェックシートや年二回の他己評価を行い、目標管理を行っており、必要とされる研修についても研修計画に基づいて研修を行っています。定期的な進捗調査や評価・見直しはできていないため、今後必要と考えています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

 食物アレルギー及び虐待案件についての園内研修を行い全職員参加で行いました。プール・水遊びが始まる前に中消防署による救命救急の研修を保育士全員で受講しています。その他、横浜市や外部機関の職種別と階層別の研修プログラムの案内を休憩室に置き、紹介しています。今年はアレルギーについての研修に三名が参加しています。参加したい研修には参加しやすいようにシフトを調整するなど互いに協力し、研修内容は持ち帰り研修を行うなど周知・共有し保育に活かしています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:c】

 現在は実習生の受け入れは行っておらず、今後の課題となっています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

 会社のホームページには保育理念・保育方針・保育の内容などが掲載されていますが、園ごとの事業計画等は掲載されていません。入園の際には入園のしおり(重要事項説明書)の中で保育理念、保育方針・保育目標・年齢別の保育計画等が掲載されており保護者に示していますが、事業計画・収支等は掲載されておらず、いままで提示したことはありません。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

 組織図と職務分担表により各職種の業務が明確にされています。園での保育の内容や年間計画の策定、年間の活動報告・活動予定など運営全般について園長の職務権限の元で行われており、それらは掲示や園のたより、又は口頭で保護者にも伝えられています。中長期計画や財務、決算等については本社で一括管理されており、園に伝えられていない部分もあります。突然の閉園等他園の報道等もあり、中期計画や収支計算書などが明示されることで保護者の安心に繋がると考えられ、今後これらの書類の掲示等が行われることが課題となっています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

 山下公園や元町公園、象の鼻テラス等散歩に適した場所が多く、園外活動で出かける等社会資源の活用を行っています。また、近隣の山下町公園を使用している4つの保育園で、職員が交代で清掃を行っています。今後は地域との連携を深める働きかけを組織的に、かつ目標を明文化して行われることが課題です。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:c】

 現在、ボランティアの受入れは行っていませんが、交通安全協会による交通安全教室の開催や、地域のヒーローショーなどが来園するなど外部の協力団体などの訪問は受け入れています。今後は、中国語の通訳、伝承あそび等のボランティアや、卒園生をボランティアとしての受入れる等の検討が課題です。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

 登園時には登降園チェックリストを用い、子どもや保護者の様子を注意深く観察し、普段と違ったことは無いか確認しています。個別の子どもの情報共有は、職員会議や申し送りに記入して、その都度行っています。
 虐待等が疑われる場合は、保護者に配布している入園のしおり(重要事項説明書)に記載しているとおり、中区役所及び児童相談所などの関係機関と連携をとることを基本として、周知・実践しています。今後は、子ども・保護者のアフターケア等を含め、地域でのネットワーク化に取り組むことが課題です。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

 保護者により構成される運営委員会の開催の他、中区園長会、幼保小連絡協議会、山下町町内会賀詞交歓会、山下町町内会行事に参加し、地域との交流を行い、地域の福祉ニーズなどを把握する取り組みを行っています。その結果、1歳児の入園希望者が多いこと等の地域のニーズを把握しており、本社に報告し今後の対応を検討しています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

 中区の子育て支援事業である「グランマ保育園事業」(地域の親子が気軽に遊んだり、相談したりできる事業で、実家のように安心して頼れる心の拠り所を目指す)を行っています。絵本の貸し出しと育児相談を毎週1日(水曜日10:00から12:00)実施しています。被災時における支援を必要とする人びとの支援や住民の安全・安心のための備えが課題です。立地がオフィスビルの二階ということもあり、また掲示物を貼れないことから、インターネット上での告知等の方策が課題となっていいます。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 職員会議で個別の保育対応について、職員間で助言を交わし、職員全員で共通の対応を考えるなどの話し合いの時間を持ち、日常の保育の情報を共有しています。また、年度始めに基本的人権について理解を深めるために、園内研修を行いました。子どもの人権、文化の違い等について保護者に写真などで紹介しています。子どもが互いを尊重する機会として、朝の会で自分の言葉で発表する時間を持ち、みんなで静かにその子の話を聞くという姿勢を大切にする保育を行っています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

 入社の際に提出する承諾書と木下の保育の心得に子どもや保護者のプライバシー保護について記載があり、職員会議においても、折に触れて重要事項ということを園長から伝えています。プール遊びの際の水着の着替えは囲いの中で、オムツ替えは別室で行う等プライバシー教育も行われており、近隣が観光地であることから散歩先で観光客にカメラを向けられることもあり撮影しないよう求める等の配慮もされています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

 ホームページには系列各園の空き情報や当園の施設情報が掲載されており、問い合わせ・見学希望の場合の連絡先が掲載されています。見学希望者は園長が対応しており、個別に事前の電話にて連絡し日時等を相談して決めています。利用希望者は必ず中区福祉保健センター こども家庭支援課の窓口を通過する必要があり、区役所にパンフレットを配置しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

 保育の開始時には重要事項説明書を用いて保育内容の説明を行っています。また今年は保育料無償化・第三者評価アンケートの依頼・給食の献立の変更・登降園管理システムの導入等保育の変更点等も多く、文章ではわかりづらい複雑な事柄が多かったため、都度保護者の時間の都合の良いときに個別に園長から直接伝えています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

 転居などで保育所などが変更になった場合、現在のところ特に手順、引継ぎなどの文書などはありません。変更後に必要に応じて園から文書を渡して対応しています。保育の連続性を維持し子どもの負担の軽減策として今後の検討が期待されます。保育所の利用が終了した後でも要望があれば保護者の相談に応じており、園長が窓口となります。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 保育の中で、子どもの表情や行動から子どもの満足を把握するように努めています。
 保護者からは、年1回の個別面談や年2回開催のクラス懇談会にて意見・要望を聴取しています。また、クラス懇談会、夏祭り、スポーツフェスティバル、保育参加の際には、保護者に匿名でのアンケートを依頼し、その内容を基にして、職員会議で話し合い、保育内容や次年度の行事の改善につなげています。また、行事等で良かった点、改善が必要と思われる点、対応策をまとめ、年度末の運営委員会で報告し話し合っています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

 苦情解決体制は、受付窓口を主任、責任者を園長とし、第三者委員を設置しています。保護者には入園のしおり(重要事項説明書)を用いて説明を行い、玄関にも掲示しています。意見箱の設置、クラス懇談会、保育参加、行事後の保護者アンケートなど、保護者が苦情を申し立てやすい工夫を行っています。 
 アンケート結果を基に改善策も検討し、年度末の運営委員会で報告しています。園長は苦情解決に向けて、保護者の声に耳を傾け続けることが重要であると考えています。苦情内容の公表のあり方については今後の検討を期待します。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

 保護者が相談したり意見を述べる際には、様々な方法から自由に選ぶことが可能です。入園のしおり(重要事項説明書)には、「ご意見箱」の設置や保護者からの意見・要望・相談の窓口を明示しており、入園時に説明を行っています。年1回の個別面談や、年2回のクラス懇談会にも参加を呼びかけ、相談や意見聴取の機会としています。行事、保育参加後のアンケートでも意見表明が可能です。
 面談は仕切りの棚がある0歳児室にて行い、意見を述べやすい環境の確保に配慮しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

保護者との日々のコミュニケーションを重視し、送迎時には当番職員が保護者への声かけに努めています。保護者の相談・意見の把握の機会は、連絡帳、個別面談、クラス懇談会、運営委員会などがあります。行事については、事後にアンケートを取っています。職員が相談を受けると、担当者が降園時まで残り、同日中に面談等を行うよう努め、必要に応じて園長も同席します。
 今後、保育の質の向上に向けては、行事に限らずアンケートの活用を工夫するなど、保護者と連携した更なる取組みを期待します。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

事故発生時は「事故発生対応マニュアル」に基づき、園長・看護師を中心に対応を図ります。職員会議ではマニュアルに基づき、園長等から安全な保育の重要性を伝えています。
 「ヒヤリハット記録シート」で事例の収集を行い、保育中に発生する事案ごとに日時、場所、内容、改善(再発防止策)を記入していますが、分析は未着手です。
 今後、事故防止に向けては、研修の充実や、リスクマネージャーの選任、職員会議によるヒヤリハット・事故事例の分析など、再発防止に向けた組織的対応の強化が課題です。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 「保健業務・衛生管理マニュアル(昨年度改訂)」を踏まえ、看護師が中心となり、職員全員で感染症対策に取り組んでいます。職員会議では看護師が予防策についての話をしたり、嘔吐処理の研修を行っています。感染症の予防に向け、子どもの体調管理や部屋の換気等にも留意しています。
 保護者には毎月発行の「マンスリーニュースレター」(園便り)で看護師が保健・衛生について情報提供を行っています。冬場はインフルエンザ等の予防に向けて、うがい・手洗いの徹底、適湿・適温、体温調整等について注意喚起を図っています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

 避難訓練は月1回実施し、地震・火災(初期消火活動)・不審者対策を行っています。9月は地震想定の保護者引き取り訓練を行います。災害発生時の対応は入園のしおりにも明記され、大規模地震や暴風雨・大雨洪水・大雪の警報発令時等の対応が決められています。安否確認は災害用伝言ダイヤルを使用し、緊急連絡は「コドモン一斉メール」を用いることとしています。
 水防法、土砂災害防止法に基づく避難確保計画及び概要版(浸水想定区域施設用)は区役所に提出済みです。園の入るビルの消防訓練にも参加・協力しています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:a】

 保育の標準的な実施方法は 「木下の保育園 保育の心得」に文書化されています。「保育の心得」には権利擁護の観点で子どもへのかかわり方が明示されており、保育士の都合ではなく子どもを中心とした発想・言動を重視しています。「全国保育士会倫理綱領」や「保育の心得」は職員会議で読み合わせをし、共有化を図っています。
 また個々の日常業務については、園外活動(散歩)、オムツ交換、プール指導、などそれぞれの手順書を作成し、業務を標準化し、職員の違いによる保育内容や水準の差異をなくすように努めています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

  「木下の保育園 保育の心得」は本社で作成・見直しを図り、現在は令和元年5月改訂のものを使用しています。
 散歩やプールなど、日常業務の標準的な実施方法についての検証・見直しは、職員会議の場を活用し、子ども主体の保育の視点で職員全員で取り組んでいます。行事の進め方については、行事ごとに行う保護者アンケートの結果も反映させています。保護者からの意見や職員からの提案は積極的に取り入れ、反映する姿勢を大切にしています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:b】

 全体的な計画に基づき、子どもや保護者のニーズを踏まえた年間指導計画、月間指導計画、週案を立案しています。計画の立案、振り返り、評価は職員会議や月案会議などで行います。支援困難ケースの個別指導計画は未作成ですが、関係機関によるケース会議に参加し、検討の上、延長保育を開始するなど可能なサポートを開始する場合もあります。
 今後に向けては指導計画策定の責任者を設置し、アセスメント手法の確立と更なる向上への取組みが望まれます。
 

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

 年間指導計画はⅠ~Ⅳ期までの期ごとに、月間指導計画や週案は月及び週ごとに、様式に沿って評価・見直しを行います。見直しによって変更した指導計画を、関係職員に周知する手順を定めていません。月案、週案は計画時の子どもの姿、ねらい(ねがい)を踏まえ、養護・教育の保育実践に対する評価(振り返り)を行います。次年度計画は職員による保育所全体の自己評価、運営委員会の評価等の結果も反映させます。個別指導計画では記録と一体化した3歳未満児の「あゆみ・個別記録」で、発達におけるねがい、ねがいへのかかわりを踏まえ、振り返りを行います。いずれも職員会議や月案会議の場で共有・検討しています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

 保育の実施状況は統一した様式により記録しています。0、1、2歳の「あゆみ・個別記録」は、「発達におけるねがい(P)」、「ねがいへのかかわり(D)」、「保育実践の振り返り(CA)」などPDCAサイクルを踏まえた項目としています。 また3、4、5歳の「幼児個別記録」には、「ねがい」、「配慮事項」、「家庭との連携」などの項目に沿って記録します。
 個別記録を基に、月1回の職員会議にて子どもについての情報の共有や必要な検討を行っています。また、記録の書き方についても職員会議で確認しています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

 「入園のしおり(重要事項説明書)」、「運営規程 第19条(秘密の保持)」、「同意書 保育園利用に関する個人情報の使用等について」に個人情報に関する取扱いが定められています。職員から保護者に対し、「入園のしおり(重要事項説明書)」と、同意書「保育園利用に関する個人情報の使用等について」の内容を説明し、全保護者から署名捺印の上、同意書を収受しています。
 職員は入社時に個人情報の扱いが明記された入社誓約書及び承諾書に署名捺印しており、理解、遵守しています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

 全体的な計画は児童憲章、児童の権利に関する条約、児童福祉法、保育所保育指針等の趣旨を捉え、「生きる力を創る」という保育理念の下、方針・目標に基づき作成しています。また、子どもの心身の発達や家庭、地域の実態に応じて作成し、異年齢保育、コーナー保育、延長保育など特色ある保育も計画に位置付けています。 
 全体的な計画の「社会生活との関わり」では、子どもを取り巻く家庭や地域の環境に目を向けることを目標としています。近隣には中華街もあり、国籍が異なる子どもを受け入れ、人権や言語に配慮した保育を行っています。
 全体的な計画は、次年度に向け、年度末に職員会議で検討を行っています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:b】

 生活空間はオープンスペースで、作り付けの棚で生活空間を分けています。0歳児は安全面からも最も奥の空間を使用し、他のクラスは、ロッカーや椅子等を用いて子どもの居場所を工夫しています。食事場所と午睡の部屋を分け、食事から午睡の日課の流れが空間上も分かりやすく配置されています。フロアには複数箇所に、温湿度計や加湿器が設置され、随時換気を行うなど、適切な室内環境の保持に配慮しています。夏のテラスでのプールでは日よけネットを工夫し設置します。寝具はリースで定期的に交換します。洗えるおもちゃは毎日洗い、乾燥させ衛生面で留意しています。トイレの照明は明るく、温かみのある木の手すりをつけたり、男子便器は高さの異なるものを複数設置しています。
 スペースを確保していますので、創意工夫により刺激を遮断しクールダウンを要する子どものスペースや、落ち着くことができる雰囲気の検討が課題です。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

 「保育の心得」を基に、子どもを中心とした発想・言動を保育の中軸に据えています。子どもに対して「受容・寄り添う・満たすこと」を基本とし、子どもの名前を呼び捨てにしない、一人ひとりの発達を見極め成長への仲立ちをする、注意するときは肯定的な言葉がけをする、などの関わりをしています。
 中国語を話す子どもの受入れも多く、中国語を話せる職員が通訳となり、保護者、職員、子どもとの橋渡しをしています。また中国語のルビを振った身体の絵を掲示するなど言葉への配慮もしています。職員や子どもたちで中国語の歌を歌ったり、簡単な単語を覚えるなど、コミュニケーションに努めています。
 「保育の心得」や「全国保育士会倫理綱領」は職員会議で読み合わせをします。子どもへの否定的な言葉がフロアに聞こえ始めると、職員会議で振り返りを行い、職員全体で共有します。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

 基本的生活習慣の習得に向けては、一人ひとりの発達や行動、やる気などをみながら、個々に応じた関わりを行っています。子どもは日課の流れを身に着け、自分のペースで主体的に動き、職員は子どものサポート役として、静かに見守ります。
 散歩、食事、着替え、午睡の流れでは、散歩から帰り、排泄、手洗いの後、好きな席で準備が出来た順に「いただきます」をします。3、4、5歳はバイキング形式で見本のお盆を参考にして、自らお盆や食器をとり、食べられる物を選択し、量を加減し、盛り付けます。食事後、「ごちそうさま」を終えた順に片付け、洗面台前で歯みがきをし、保育士に仕上げを依頼します。次に着替え、午睡に移りますが、午睡用の布団には、子どもの顔写真を貼り、子どもが自ら自分の布団を探し午睡に入ります。こうした対応を図るため、常に職員間で子どもの共通理解に努めています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

 室内にマットや鉄棒を設置し、子どもが進んで身体を動かす時間を設けたり、「コーナー遊び」を取り入れるなど、子どもの自発性・自主性を育んでいます。また朝の会ではみんなの前で自分の言葉で話す機会も設けています。
 午前中はクラス毎に公園(山下公園・港の見える丘公園・山手公園)などに散歩に出かけ、季節の草花を見る、落ち葉を踏む、木の実を拾うなど自然と触れ合うほか、公園の砂場や遊具で遊びます。また、交差点では信号の待ち方など交通ルールを学びます。
 地域の文化の中での育ちを大切にし、中華街の春節や獅子舞、元町商店街のハロウィン、山手地区の洋館のクリスマスの装飾など、観光地ならではの行事や風景等にも親しんでいます。5歳児については、町内会の交通安全教室や消防の起震車の体験に参加したり、「人形の家」で開催されるのピアノコンサートの鑑賞により社会的ルールやマナーを身につける機会としています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 入園時の慣れ保育の期間は概ね1週間程度とし、毎日同じ保育者が関わることで、新しい環境の中で不安や緊張が高まる子どもも、早い時期に保育園に慣れることができています。
 0歳児については、オープンフロアを棚で区切った最も奥まったエリアで保育を行っています。壁面には鏡やつかまり立ちができる横棒を設置し、鏡で自分が立ち上がる姿をみながら遊ぶ姿もみられます。おもちゃは感触を楽しむもの、押すと音が出るもの、指先を使う型はめパズル、引いて歩くものなど、月齢に応じ歩き始めに至るまで、一人ひとりが自由に選び遊べるおもちゃを準備しています。
 家庭とは連絡帳を用い、睡眠、排泄、食事等について連絡を密にしています。お迎えの時間には出来るだけ担任が保護者と直接話をする機会を持ち、離乳食の進め方や未食食材の確認、断乳についてなど、保護者の不安を受け止めながら、情報共有と連携に努めています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 1歳以上3歳児未満の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 1、2歳児はコーナー保育を行い、キーボート、プラレール、大型ブロック、ミニカーなどを配置し、子どもが自発的な遊びができる環境を用意しています。オープンスペースを活かしマットでつくった滑り台や鉄棒を配置し、サーキットトレーニングで思い切り身体を動かして遊びます。朝の受入れ時やおやつ後の時間帯は異年齢保育を行い年上の子どもと一緒に遊び、その姿に憧れたり目標とします。
 排泄自立に向けては排泄のタイミングを見極め、声掛けをしながらシール貼りで意欲を高めます。1歳児はトイレに座ると1枚、2歳児はトイレで排尿できると1枚、シールを壁に貼ることができます。
 子どもはクラス担当以外の保育士とも頻繁に接し、外部から週1回来園する体操教室の先生、散歩や行事で出会う様々な大人などと交流を図っています。
 家庭とは連絡帳を用い、毎日、睡眠、排泄、食事、その他連絡事項や相談などのやりとりをしています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 子どもの発達や興味関心、季節に合った保育を行っています。コーナー保育では、子どが自発的に遊ぶ様々なコーナーを配置します。切る、貼る、塗るなどで遊ぶアートコーナー、重箱、クリスマス装飾、浴衣など季節の物、おままごとセット、マグフォーマー、乗る車などがあります。異年齢保育の時間では、年上の子の遊びを見て年下の子どもが学ぶ機会となり、成長への期待を高めています。週1回の体操教室も楽しみにしており、5歳児の組体操はスポーツフェスティバルで披露し、子どもの大きな自信につながっています。
 家庭との連携では、3、4、5歳児は「出席ブック」(シール帳)と「おたよりぽすと」(連絡ノート)を用います。排泄、食事、睡眠が安定する年齢で、「おたよりぽすと」は、保護者から用件がある時のみの記載です。但し急な変化を避けるため、3歳の初めの1ヶ月間は、食事、排泄、睡眠について毎日記載し合うこととしています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

 以前、障害児が在籍時には、個別支援計画を作成し、他児と共に成長ができるように取組みを行いました。
 言葉の遅れや多動傾向など配慮を要する子どもについては、言葉を短く分かりやすく伝えたり、絵カードを用いて日課の誘導の助けとするなどの対応を図っています。
 年1回、療育センターの職員を招き、職員全員参加により、専門的な助言を受けています。 相談内容のうち、保護者に専門機関の情報提供が必要と判断した場合は、子育て相談の窓口をパンフレットを渡し、紹介しています。支援困難な事案については、職員が適切に対応できるように、当該児童の名前を伏せて園医や区役所、保健師、療育センターから専門的助言を受ける場合もあります。
 環境面においては、オープンスペースであるため、個別の環境設定に苦慮した経緯を踏まえ、クールダウンや落ち着くスペースの確保など、可能な対策検討が課題となっています。

【A10】A-1-(2)-⑨ 長時間にわたる保育のための環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 全体的な計画では、長時間にわたる保育の留意事項として、生活リズムや心身の状態の配慮、家庭との連携、職員の協力体制などを挙げ、各クラスの月案等に反映させています。
 17時半から全クラス合同保育としており、開始から30分程は絵本や手遊びパネルシアター、紙芝居などをゆったりとした環境で行います。18時からは自由遊びとし、コーナー保育を行い、折り紙や塗り絵、マグフォーマーなど好きな遊びにじっくり取り組める環境としています。希望に応じて夕食・補食の提供も行います。
 早番職員から遅番への引継ぎは16時から30分間行い、食事など日中の様子、連絡事項の申し送りや「登降園時チェックリスト」の確認も行います。保護者から相談がある場合は、担任が残り、必要に応じて園長同席の下、面談を行います。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

 「アプローチカリキュラム」を作成し、無理なく就学できるように保育を行っています。4月の保護者会では就学に向けての相談を受けています。また保護者から、卒園までに「なってほしい姿」を聞き、子どもへの関わり方についての共有に努め、共に成長を見守っています。
 入学に向けては、5歳児に小学校との交流の機会を設けています。11月の中区駅伝大会には区内の保育園の5歳児全員で園対抗のたすきリレーを行い、終了後は近隣の公園で入園予定小学校の校長や先生、児童との交流会に参加します。10月から12月にかけては3回ほど、小学校で幼保小交流会が行われ、ドングリ拾いや学校探検を楽しみます。小学生との交流を通じて入学への期待感や安心感を高め、学校生活への見通しを持てるように努めています。保育士と小学校教員は、子どもの情報共有を行い、電話での情報交換や必要に応じて教員の来園により連携を図っています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

 「保健業務・衛生管理マニュアル」等に基づき、看護師を中心に健康管理を行います。夏の散歩については、屋外の温湿度計を確認し、暑さ指数(WBGT)で熱中症の危険度を勘案の上、実施の可否判断をします。子どもの体調悪化や怪我の発生時は、園長と看護師で情報共有の上、保護者に連絡し必要な対応を図っています。職員会議では、看護師が感染症対策、熱中症対策、嘔吐処理等について、周知や研修を行っています。マニュアル類は事務室に置き、職員はいつでも閲覧可能です。
 保護者には毎月発行の「マンスリーニュースレター」(園便り)にて、風邪の予防法など保健・衛生に関する情報提供や注意喚起を図っています。0、1、2歳児については乳幼児突然死症候群(SIDS)防止のため、午睡時は、「呼吸確認表」にて、5分に1回、睡眠中の顔色・呼吸・体温・あおむけ寝等を確認しています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科検診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

 小児科園医による健康診断及び、歯科医師による健診を年2回ずつ実施するほか、3、4、5歳児の検尿、3、4歳児の視聴覚検診を行っています。内科健診、歯科健診の結果は記録し、健診日の降園時に、保護者に結果を書面で伝え、受診の要否も記載されています。
 保育では、内科健診が近づくと、コーナー遊びの中にお医者さんごっこのセットを置くなどの工夫をしています。歯の健康保持に向けては、歯垢染色液(赤染め)を使用した歯みがき指導を行い、子どもは鏡を見て、みがき残しの有無を確認しながら歯ブラシの練習をします。
 

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

 食物アレルギーは完全除去を基本とし、保護者から主治医の意見書(食品除去の指示書)の提出を求めます。食物アレルギー疾患を有する子どもについては、ガイドラインに基づき、職員全員がアレルギー疾患の子どもの情報や対応の方法を知っており、適切な対応を図っています。食事の提供時はテーブルを分け、お盆、皿、コップ、スプーン、フォークなどの食器も他児と異なるものとしています。配膳時には当該児の名前を呼ぶ、顔の確認をする、など複数の職員でダブルチェックを行っています。保護者には、1ヶ月毎に事前に献立表のチェックを依頼し、書面で確認を取っています。
 2019年2、3月にガイドラインをもとにして職員研修を行い、知識を深めました。また、緊急時の救急車対応の手順を壁に掲示しており、対応方法を職員で共有しています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

 調理士、栄養士、看護師、保育士の連携の上、今年度から全社共通の献立の導入と、未使用だった卵、乳、小麦の使用により献立の充実を図りました。また年齢に応じてスプーンやフォークのサイズを変え、箸の使用も発達に合わせた援助を行っています。
 食育を保育の計画に位置付けています。ベランダではピーマン、きゅうり、枝豆、オクラなどの野菜を育て、子どもは種の購入、水やり、収穫、調理など発達に応じたプロセスに参加し、食への関心を高めています。また、3、4、5歳の食事では、バイキング形式で見本のお盆を参考に、自分で食べられる物を選択し、量を加減し、盛り付けています。
 保護者には、毎月の「マンスリーニュースレター」(園だより)にて食育の取組等を発信しています。月の食育のねらい、七五三や千歳飴など季節の食について、野菜を用いたクッキーづくりの報告、おすすめレシピなどを掲載し、家庭の理解と協力を仰いでいます。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

 献立は子どもの健康に配慮し、半調理の物は避け、添加物の多い食品の使用を控えています。食材は主に国産品を使用しています。О‐157など食中毒対策として、果物やプチトマト以外は全て加熱処理をしています。素材の味を活かす調理を心がけ、塩分糖分を控えめにし、動物性脂肪の摂りすぎに注意しています。
 管理栄養士と調理士の密な連携により、発育に応じた献立(離乳食)づくりや、季節感のある食材の使用に努めています。行事食は月1回の誕生日会や子どもの日、七夕、クリスマス、節分、ひなまつりなどに取り入れています。
 季節に合わせて野菜や日本の文化に親しめる環境づくりに配慮しています。冬には給食室の壁面にほうれん草、里芋、白菜など野菜の写真や、「かがみびらき」「はるのななくさのひみつ」などの日本文化にまつわる内容を写真付きで掲示するなど、子どもの興味をひく内容に工夫を凝らしています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

 0、1、2歳児は複写式の連絡帳、3、4、5歳児はシール帳と連絡ノートを用い、家庭との連携を図っています。担任は記載内容等を確認し、返事を要する場合は速やかに降園時に個別対応を図っています。園では保護者との日々のコミュニケーションを大切にしています。
 クラス別懇談会は年2回、個人面談は年1回行います。その際に、子育てを共有したいという思いを伝えると共に、気になること、心配なこと、子育てで苦慮していることなどは、連絡帳や連絡ノートに書くか、声をかけてほしい旨発信しています。また、約1ヶ月間、保育参加の期間を定め、昼食やおやつを含めた半日、保護者と共に過ごします。希望があれば年間を通じて受入可能です。
 運営委員会は、クラスの保護者代表や第三者が出席の下、年度末に年1回開催しています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

 保護者からの相談には、同日中に担任や園長が保護者と面談等を行います。子どものイヤイヤ期の対応方法や、言葉の発達面の相談などが寄せられ、保育士は家庭での子どもの様子や親の困り感に耳を傾けます。職員会議でも情報共有や対応の検討を図り、家庭と園で課題の共有に努めています。
 相談内容のうち、保護者に専門機関の情報提供が必要と判断した場合は、子育て相談の窓口をパンフレットで紹介しています。支援困難な事案については、相談を受けた職員が適切に対応できるように、当該児童の名前を伏せて園医や区役所、保健師、療育センターから専門的助言を受けることもあります。
 相談内容は園長に集約し、必要な判断の下、対応を図ります。面接記録は園長がメモとして保管し、閲覧も園長限りとしています。今後、園長の引継ぎ時や不在時等の速やかな情報共有に向けて、記録のあり方の工夫が望まれます。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:b】

 傷、あざのチェックは、「登降園チェックリスト」により、朝の受入れ時に行います。チェックリストでは子どもの健康状態、顔色、皮膚の異常、外傷を記入し、職員間で共通認識を図ります。身体の異常発見時には、写真を撮影し記録します。保護者に確認後、不審な点がある場合は中区こども家庭支援課保健師に連絡し情報を共有しています。保健師とは、日頃から連携を図り、顔の見える関係を構築しています。虐待や不適切な養育等で子どもの権利侵害の恐れがある場合は、保護者と面談を行い、改善が困難と判断した場合は児童相談所へ通告します。関係機関との連絡調整は園長が行っています。
 今後に向けては、虐待対応について、マニュアルに基づく職員研修を予定しており、虐待予防や早期発見・対応に向け更なるスキルアップが課題となっています。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:b】

 年度末に保育士は自己評価を行います。年2回、10項目の他者評価も実施し、互いの職務向上を目指しています。年度末には職員で保育所全体の自己評価を行い、結果を玄関に掲示しています。
 園長はよりよい園にするために、職員全員で取り組む方向をめざしています。そのためには、職員が保育の改善に向けて意識の向上を図り、課題や問題点を自ら解決したいと意欲を持つことが大切であると考えています。取組みの端緒として、第三者評価受審を契機に、職員全員で園の理念を確認し、実現に向けてどのような保育が必要か、を話し合いました。また職員一人ひとりが、「やりたい保育」を自分の言葉で語る機会を持ち、職員全体で互いの願いを共有しました。
 今後に向けて、保育士の自己評価と園全体の実践の評価を一体とした取組みの推進が課題となっています。