社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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桜の風

2021年04月21日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 学研データサービス

② 施設・事業所情報
名称 桜の風 評価対象サービス 障害者・児福祉サービス版
対象分野 生活介護, 障害者支援施設(施設入所支援+日中活動事業) 定員 50 名
所在地 211-0035
川崎市中原区井田3丁目16番1号
TEL 044-920-9300 ホームページ
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2013年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 育桜福祉会
職員数
常勤職員:68 名
非常勤職員:19 名
専門職員
社会福祉士:7 名
社会福祉主事:10 名
介護福祉士:8 名
精神保健福祉士:2 名
看護師:3 名
准看護師:4 名
管理栄養士:1 名
施設・設備の概要
建物:鉄筋3階建(平成25年~築8年)
:12㎡/人
部屋:居室:65室(個室)
:食堂(1か所:3.65㎡/1名)
  :作業室(1~4)
:機能訓練室、相談室(1、2)
  :機械浴室、ゲストルーム
:会議室、事務室、研修室

③ 理念・基本方針
■ 障害者基本法の理念に則り、地域での生活への移行を目指す「地域生活支援型の入所施設」と
して、障害の程度に関わらず、地域においてその人らしさを発揮しながら、それぞれの能力に応じた自立した日常生活を営むことができるよう支援します。

■ 意思決定支援の充実を図り、利用者の意思に基づいた主体的な生活を支援し、利用者の望む暮らしの実現を目指します。

■ 利用者の人権を守り、差別の解消に向けて利用者が一人の市民としてふさわしい生活が整えられているか、虐待や差別的な対応がなされていないか、その改善や意識の変革に取り組みます。

■ 地域における包括的な支援体制の中で、入所施設が社会資源として機能するために必要な機能と役割(レスパイト、課題整理のためのミドルステイ含む)を重視します。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
【基本的な考え方】
 従来の入所施設が果たしてきた役割とそのイメージは「地域で生活することが困難な重度障害者が親亡き後も安心して暮らせる安住の場」というものです。しかし、本人にはどこで誰と暮らすかを決める権利が保障されず、障害が重度であるという理由で長期間の入所施設での生活しか選択肢がないという状況は課題です。
 桜の風では、「地域生活支援型(通過型)」を標榜し、入所施設で必要な支援を人生における困難さに直面した場合の一時的な社会資源の選択肢の一つと考え、地域生活に戻ること(地域移行)を前提として支援を提供しています。

【地域移行に向けた取り組み】
・ 入所段階での丁寧な説明と本人の意思確認(説明動画の活用等)
・ 地域生活への具体的な移行支援
・ 地域生活において必要な社会生活力を身につけるためのプログラム「社会生活力プログラム(SFA)」
・ 地域での暮らしをイメージするための取り組み(意思決定支援を重視した住まいへのイメージ作り)
・ 地域移行担当者による地域移行の促進と地域移行後の定着支援

【支援の質を高める取り組み】
・ 虐待防止委員会による身体拘束廃止に向けた取り組み
・ 各種大規模災害対策の充実
・ 標準支援マニュアルの活用による支援の品質管理
・ 人材育成計画に基づく個別の人材育成の取り組み

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2020/06/26(契約日) ~2021/03/19(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(2015年度)

⑥総評
特に評価の高い点 ◆ 利用者の自らの意思による地域移行の支援に努めています
 ノーマライゼーションという福祉の基本理念のもとに、地域移行を施設の理念とし「地域生活支援型入所施設」としての事業を展開しています。重度障害者を多く受け入れている入所施設であり、入所者数の95%以上が最重度・重度の知的障害者です。近隣のグルーブホームと連携し、体験利用を段階を追って繰り返し行うことで、利用者が自身の将来の生活をイメージし地域移行の決定を自らの意思で行います。昨年度は2名の利用者がグループホームに入り地域移行を果たしました。利用者は、地域移行ができた利用者の体験を聞くことで将来への思いを強くします。職員は、利用者が自ら決めた体験の繰り返しが地域移行につながるように見守っています。

◆ 利用者の地域支援ボランティアとしての活発な活動を支援しています
 地域移行を前提とした入所施設であり、利用者が積極的に地域に出かけて地域の人たちと交流を図ることに力を入れています。利用者自らが地域の清掃等のボランティアとして活動することを支援しています。日中活動のクリーン活動作業の一環として利用者は地域のボランティア団体に参加し、緑地の草刈りや草花の植え付け、栗拾い等の里山の維持活動等を行います。地域団体の里山を楽しむ会では、地域の人たちといっしょに季節の変化を楽しみます。職員は、日中活動会議を毎日開催し、利用者一人ひとりの状況に合った作業であることを確認し、利用者が地域支援活動に積極的に参加できるように支援しています。
改善を求められる点 ◆ 職員の作業負荷バランスに配慮した取り組みに期待します
 各ユニットで個別の事情に配慮したシフト表を作成し、夜勤明けの翌日を公休にするほか、年5日以上の有給休暇の取得に取り組むなど働きやすい環境づくりに取り組んでいます。しかし、福祉施設の全体的な人員不足の傾向の中で、職員によって仕事量に大きな違いが生じている現状があります。コロナ禍の職員のストレスに配慮するとともに有給休暇の取得を促進し、また、作業負荷バランスに配慮して休憩室を確保するなどの対応が期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 この度5年前に実施した第1回目の第三者評価のご指摘をもとに改善を進め第2回目の第三者評価となりました。当事業所が掲げる基本理念や方針・基本的な考え方は、単なる理想ではなく具体的な実践を通して実現すべきことと考えています。とりわけ当事業所が独自に掲げて実践する「地域生活支援型」入所施設の取り組みを中心に利用者主体のサービス提供や人材育成を含む組織運営を実践してきた特性について、改めて確認できました。
 今回、第三者評価の機会を得て、施設全体の運営に関することなど様々な取り組みの全体像を振り返る良い機会となりました。その中で、地域ボランティア活動や実習生の受入れに関する仕組みづくりについて、今後より充実させていく必要性を感じました。桜の風では、地域ボランティア活動については、障害のある当事者が常にボランティアを受ける側にいるという視点ではなく、地域のボランティアとして活躍や交流をすすめていくという視点を重視しています。桜の風の利用者が地域のボランティアとして、近隣団体の活動に参加していますが、限定した活動にとどまっている現状もあります。今後更に障害のある当事者が地域で活躍できる機会を作り、地域ボランティアとして、定着・浸透できるように支援していく必要があると考えます。また、実習生の受入れに関して、保育実習や行政職員(社会福祉職)など多くの実習生を受け入れていくなかで、要綱を作成し、オリエンテーションの場面で実習の意義を明確に伝えられる仕組みづくりにつなげます。実習期間での体験が今後の進路などに生かせるようにし、障害福祉分野に関わる次世代の人材育成につなげていきたいと考えます。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

 「地域に居住する障害を持つ人に、障害状況や年齢、疾病、経済環境に関係なく、誰でもが安心して暮らせる地域生活を柱とした福祉サービスを展開します」など8項目の法人の基本方針をホームページに掲載しています。基本方針の実現に向けた施設の運営方針を事業計画に明示し、障害者基本法の理念やノーマライゼーションの理念のもとに「地域生活支援型の入所施設」の実現をコンセプトに地域移行を推進しています。年度初めに事業計画説明会で運営方針を職員に周知し、また、施設長通信や広報誌で利用者・家族に説明しています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

 施設長は、川崎市第5次ノーマライゼーションプランの地域移行にかかわる事項を検討するプロジェクトに参加し、事業経営に関する具体的な動向分析を基に施設運営の課題とニーズの把握に努めています。また、社会福祉協議会主催の会議に参加して地域課題の現状の把握に努め、定期的に川崎市障害施設事業協会が主催する定例全体会に出席し施設運営の円滑な推進に向けて情報共有を図っています。利用者の障害支援区分の状況や利用率等の状況を常に点検し、四半期ごとの指定管理者としての行政への報告を行っています。2019年度の平均利用率は80.61%でした。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

 事業計画に年度ごとの事業重点運営項目を明記し、その実現に向けて施設入所支援、地域移行のための支援、地域での定着に向けた支援、及び入所調整等の分野ごとの対策を具体的に明示しています。施設は二つの法人による共同事業体であり、両法人の理事長が出席する桜の風共同事業体運営調整会議を年2回開催し、両法人の管理職等による三役会議を毎月開催し、施設運営にかかわる情報共有を図っています。また、法人(育桜福祉会)内の理事会や管理職会議で施設の運営状況を報告し法人内の情報共有を図り、施設内では月一回運営会議を開催し施設運営の状況や課題対策に関する職員への周知を図っています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

 法人の中期計画を踏まえ、施設の「地域生活支援型(通過型)入所施設」としての独自性に視点を置いた施設独自の中・長期計画の策定に取り組んでいます。施設の中・長期計画は、川崎市の次期ノーマライゼーションプラン(障害福祉計画)に基づいて施設機能の発展、人材育成と専門性の向上及び近隣地域の一部としての施設機能と交流を推進する内容です。川崎市の次期ノーマライゼーションプランに沿った地域生活支援型の入所施設として、中・長期計画の策定とその実現に向けた年度計画の早期実現が期待されます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

 組織目標を踏まえた単年度の事業計画を作成しています。事業計画は、毎年事業内容を精査し、発展させることを念頭に置いて計画を策定しています。2020年度の重点目標に入所調整、地域移行に関する連絡調整機能の強化や職員一人ひとりの人材育成等を掲げ、中・長期計画の目標達成に向けて具体的内容を示した項目になっています。職務分掌表を整備し、職員個々の役割りとチーム編成を明示し、組織的に事業計画の目標達成に向けた業務と責任体制を明確にしています。事業計画は具体的な成果を設定し達成状況の評価を行える内容です。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

 職務分掌表を整備し個々の職員が自身の役割を果たすことで、組織的に事業計画を推進する体制が整っています。ユニットリーダーを配置しユニットごとの運営状況を確認し、運営会議で情報共有を図り事業計画の達成度を評価しています。「年度総括」「次年度方針」を取りまとめ職員間の情報共有を図り、職員の意見を取り入れ次年度の事業計画を策定しています。年度初めに全職員を対象に事業計画説明会を開催しています。説明会は職員の勤務条件に配慮し、5回程度実施して全職員への周知徹底を図っています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

 利用契約時に事業計画に明記した施設の運営方針や支援内容、地域移行に向けた取り組みを説明するための動画を作成し、個々の理解に応じた説明で利用者・家族に周知しています。また、日々の生活支援や日中活動支援の場で事業計画に明記した社会生活力プログラムの内容を利用者に伝えています。総合施設長は毎月発行している施設長通信や広報誌で事業計画の内容をわかりやすく説明しています。年2回発行の広報誌には、地域移行型の入所施設として、事業計画で示した運営方針について説明し、周知を図っています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

 所定の評価項目を用いて全職員を対象にした内部自主点検を実施しています。自主点検で得られた職員の意見等を課題とし、改善に向けた取り組みを実施しています。内部自主点検で挙げられた「事故防止への取り組みの必要性」という意見を基にして、リスクマネジメント委員会を中心に「ヒヤリハット事例集」を作成し、課題改善に向けた取り組みを推進しています。また、職務分掌に利用者満足度調査担当を明記して利用者・家族それぞれに調査票を配付し、利用者・家族の意見や要望をサービスの質の向上に生かす取り組みを推進しています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

 内部自主点検や利用者満足度調査、指定管理施設評価などの評価結果に基づき、サービス改善の課題を整理しています。リスクマネジメント委員会や権利擁護委員会など、各種委員会組織及び分掌業務に反映させることにより、組織的・計画的にサービス改善の向上に努めています。また、年度ごとの組織目標を設定しています。2020年度の組織目標に、利用者満足度を高めるための取り組み、職務分掌及び各種委員会に関する取り組みの充実・促進を推進することを掲げて全職員に周知しています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

 年度初めの事業計画説明会で方針や取り組み、職務分掌表による各職務内容を明確に示しています。職務分掌表は各職務の担当者も職員全体で共有できる表であり、管理者の役割や責任も明示されています。月1回の運営会議等の中でも、内容の理解や周知を図っています。毎月の施設長通信や年2回発行の広報誌の中でも職員の理解につなげています。朝夕のミーティングでは各ユニットからの報告に対し、その役割と責任に基づく意見を発信しています。管理者不在時の権限委任等については、災害時のBCPを作成し、その中で明確に示しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 川崎市の指定管理施設として行政との連携のもとに事業を運営し、取引事業者の定期的な見直し等、適正な関係を保っています。総合施設長は川崎市障害施設事業協会等の施設長会に出席して、情報収集の機会を作っています。「法令順守に係る業務管理体制整備規程」を策定し、法令や条例等の遵守事項を職員に周知しています。特に職員の労働安全、衛生環境の整備については、定期的な職員衛生委員会でのストレスチェックや産業医との連携による労働衛生管理の実施に加え、衛生管理者資格保有者を複数名配置しての毎月の衛生巡視チェックなど、強化しています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

 朝夕のミーティングや運営会議等での報告、支援会議、評価会議、各委員会からの報告等から、サービス課題や改善点について総合施設長と施設長とで日常的に施設運営の方向性について話し合い、共同で運営する法人との調整を図っています。内部自主点検や各種委員会、職員個人目標の取り組みなどを通して、職員の意見を事業に反映させる組織体系を構築しています。利用者の生活水準は地域での生活と同様にしたいという視点から、標準支援マニュアルを作成し、利用者の意思決定による自立支援に日ごろより取り組んでいます。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

 全職員との管理職面談を通して各職員の関心や意向なども把握し、人員配置や働きやすい職場環境に取り組んでいます。施設長補佐とサービス管理責任者を業務の促進者とし、支援については日中活動と短期入所、生活支援(6グループ)の各ユニットリーダーが中核的な役割を担っています。ユニットごとのシフト調整など労務管理や支援内容等の運営状況をリーダー会議で共有し、運営会議で全体化して現場職員の意向を業務の改善や実効に反映しています。朝夕のミーティングでの報告時に、管理者からの発信で方向性を示しています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

 法人本部と連携し、必要な人員確保が実現できるよう努めています。新任職員や異動職員に一週間研修を行い、施設の基本姿勢や業務内容を職員が講師となり研修することで、向上心を持って業務に取り組めるようにしています。人材育成計画では利用者支援の視点だけでなく各職員の専門的知識との連動性が欠かせないとし、職種・立場・経験にあった組織的な育成に努めています。積極的な研修受講と施設長補佐やユニットリーダーを中心にしたOJT、ユニットに2名のサブリーダーを配置した次世代育成に取り組んでいます。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

 法人の人材育成方針に「期待する職員像」を明示し、事業計画の重点項目では職員一人ひとりが主体的な目標・向上心を持って取り組めるよう目標達成に向けた取り組み掲げています。役付登用の自己推薦の仕組みや、同一事業所で3年を経過した職員の意向調査、非常勤から正規職員への登用の機会などの管理職面談で職員の意思を確認しています。個別の管理職面談で職員の個別課題に応じた指導、育成を行っています。ユニットリーダーをスーパーバイザーとし職員が気軽に目標達成の取り組み等相談できるスーパービジョン体制を整備しています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

 職員は管理職との年2回の個別面談を通して勤務に関する意向を伝えています。各ユニットで個別の事情に配慮してシフト表を作成し、年5日以上の有給休暇取得に取り組んでいます。利用者の臨時通院や委員会活動以外に支援が必要な場合は残業が一定の範囲に収まるようにしています。職員の定期的な健康診断を実施しメンタルヘルス推進担当者を配置し健康に配慮しています。職員衛生委員会で産業医と連携し職場環境点検を行っています。コロナ禍の職員のストレスに配慮して、有給休暇の取得を促進し、作業負荷バランスに配慮し休憩室を確保するなどの対応が期待されます。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 職員は個人目標シートを作成し、主体的な目標意識を明確にしています。個別に上司との対話の機会を設け、向上心と意欲を持ってスキルアップを図れるようにしています。各ユニットでリーダーが主体となりOJTを進めています。年度末に目標シートの達成状況を評価し、施設長補佐・サービス管理責任者も情報を共有しサポートします。目標達成に向けた研修等を勧め単年度で達成感を得られるようにしています。管理者は、内部自主点検(自己チェック)の仕組みを整備し、職員が自身のスキルと能力を見極めることができるように支援しています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

 法人の職員人材育成計画に基づき、社会人としての基礎、組織人としての行動力、専門的な知識・技術・経験を蓄え、支援の想像力を養い質の高いサービスに結びつく職員の育成を目ざしています。今年度事業計画の組織目標において、個人の目標設定や目標達成に向けた取り組み、利用者支援を通じたOJTを活用したスキルアップ、研修受講内容の実践展開などを掲げ、取り組んでいます。法人が主催する年次研修への参加や当事業所への新規入職者などを対象とした「一週間研修」、外部研修受講の実践報告などを積極的に行い、人材育成に努めています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

 職員の資格や経験等を踏まえ、強度行動障害支援者養成研修やサービス管理責任者研修などを受講し、専門的な知識や技術の習得を目的に取り組んでいます。また、法人が主催する年次別研修を該当職員が受講しています。桜の風の職員として基本的な知識と技術を身につけるために新入職員、異動職員は一週間研修を受講し、各ユニットに配属後はユニットリーダーが指導責任者として日常的にOJTを進めています。個別支援会議に多くの職員が参加して活発な意見交換や質疑応答を通じて、また、実践報告の機会を設け職員の発表を通してより理解を深めるようにしています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

 川崎市の福祉職の現場実習のほか、専門学校保育実習や教員免許の介護体験実習生の受け入れを行っています。例年は20名以上ですが、今年度コロナ禍において4名の実習を行いました。実習受け入れ担当を配置し、実習のプログラムについては各ユニットリーダーなど実習指導に当たる職員と共有しながら取り組んでいます。実習担当者と実習生で日々振り返りの時間を確保し、学校からの巡回指導には実習時の様子などを伝えています。実習に対する基本姿勢を文書化し、福祉専門職の育成や実習指導者への研修体系を整え、受け入れ体制の強化を期待します。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

 法人のホームページには、基本方針や事業報告、資金収支予算書、施設ごとの第三者評価受審結果等を開示しています。また、四半期ごとに指定管理者として施設の運営状況を川崎市に報告しており、評価結果を川崎市がホームページに掲載しています。パンフレットや施設案内に、「桜の風」が地域生活を支援する施設であることを明示し、利用者支援の基本的な考え方を示しています。また、年2回400部ほど広報誌を発行して関係者に配布し、事業所の存在意義や役割及び利用者支援内容を利用者・家族、地域の各関係機関に伝えています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

 法人としての会計監査人を設置し、毎年定期的に会計監査を実施しています。年度ごとの収支状況はホームページに開示しています。また、指定管理者としての行政評価を毎年実施するほか、2年ごとに行政の指導監査を受審、3年ごとに法人の内部監査を実施し、利用実績や収支実績、サービス向上の取り組みなどをホームページに公表しています。物品の購入等に関する取引については決裁のルールを明確にし、職務分掌で責任体制を明記して、法人本部事務局とのダブルチェックの仕組みを整備しています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 竹の子掘りや夏の花火会などの季節行事や近隣地域で開催される各種行事に利用者が参加して、社会参加・地域交流の機会を活用し利用者と地域の交流を広げる取り組みを推進しています。地域移行後の生活を見据え、近隣のスーパー、ドラッグストアなど、また、地域の歯医者や理・美容院など利用者が行きつけの社会資源・地域資源を積極的に活用できるように支援しています。コンビニエンスストアなど身近な店には職員が利用者に同行し、店員が障害のある利用者に好意的に対応してくれる関係づくりを支援しています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

 地域移行を前提とした入所施設ということもあり、利用者が積極的に地域に出かけて地域の人たちとの交流を図ることに力点を置いています。利用者自らが地域の清掃などでボランティアとして活動できることを支援しています。そのため地域のボランティアを施設に受け入れる活動には力を入れていないのが実情です。利用者は、「市民健康の森」等の地域のボランティア団体に参加し、神庭緑地の草刈り、草花の苗の植え付け、栗拾い等の里山の維持活動を行い、また、井田山緑地や平台緑地清掃ボランティアに参加し活動しています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

 地域の関係機関と連携し、利用者の地域移行に向けた支援体制の整備に努めています。川崎市社会福祉協議会主催の「地域生活支援SOSかわさき事業」に参加し、生活課題に取り組む社会資源の地域ネットワークの構築に努めています。また、川崎市自立支援協議会の新たな地域移行部会の令和3年度創設に向けた準備活動に参加し、地域移行に伴う環境整備対策を検討しています。川崎市障害福祉施設事業協会に参加し、入所施設分科会活動を推進し災害時の防災や避難対策について情報交換を図っています。「井田地域福祉関係施設防災対策に関する協定書」を締結し、災害発生時の二次避難場所等を提供しています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

 「桜の風」の地域生活支援型施設としての実績が評価され、川崎市より「地域移行プロジェクト」への参加を依頼され、行政機関と連携し利用者の地域移行を推進しています。また、地域移行に興味を持つ県内外の施設見学者の受け入れを行っています。川崎市社会福祉協議会や川崎市障害者施設事業協会などと定期的に連絡会を開催し、地域の福祉ニーズの把握に努めています。地域生活の継続が困難になっている場合に、空床状況に応じて地域のケースを対象にしたミドルステイの制度を設けるなど、地域ニーズに応じた施設運営を推進しています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

 空床状況に応じて一時的・集中的に利用者の入所を支援するミドルステイの制度を設けるなど、地域ニーズに応じた施設運営を推進しています。川崎市社会福祉協議会主催の「地域生活支援SOSかわさき事業」に参加し、福祉課題・生活課題に取り組む社会資源の地域ネットワークの構築に努めています。また、施設のグループ活動としてのクリーン作業の一環として利用者は、「市民健康の森」等の地域のボランティア団体に参加し、神庭緑地の草刈り、草花の苗の植え付け、栗拾い等の里山の維持活動を行い、井田山緑地、平台緑地清掃ボランティアに参加しています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 事業計画説明会や新任職員研修で権利擁護に関するカリキュラムを設け、利用者主体・意思の尊重の基本方針を周知しています。毎月管理職や各ユニット委員で構成する権利擁護委員会で、利用者の権利と支援の質について考える場を設けています。「普段使っている言葉遣いに関するアンケート」「意思決定支援に関するアンケート」を実施し、「利用者支援標準マニュアル別紙(用語事例集)」を作成し、日々の支援の基本にしています。また、権利擁護に関するスローガンを掲げ3か月ごとに見直しを行い、職員の人権意識の向上に努めています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

 川崎市の個人情報保護条例及び法人のプライバシーポリシーにのっとり、利用者のプライバシー保護に努めています。利用者は完全個室で個人の趣向に合わせてソファーやマットを設置するなど環境面に配慮しています。入浴、排泄等同性介助を前提に利用者のプライバシーに配慮した支援を利用者支援標準マニュアルに明記し実施しています。障害特性によりドアや戸棚の戸を開けておく必要がある場合にパーテーションを活用するなど工夫しています。利用者・家族にもプライバシーについて毎年の契約更新時に説明し理解を得ています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

 施設リーフレットには地域生活への移行を目ざす通過型の入所施設であることを明記し、写真を使って日々の暮らしや余暇、社会生活プログラム、日中活動、短期入所について紹介しています。見学は積極的に受け入れ、「施設の概要」や「施設の紹介映像」を使って説明し、施設内の見学時間を設けています。「施設の紹介映像」は職員が手作りで利用者の声も載せています。利用者がイメージをつかみやすいことに視点を置いて作成し、高齢になった家族や関係者等にもわかりやすいと好評で、地域生活支援型入所施設の理解につながっています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

 サービスの利用に際して、居室等の見学を行うとともに施設の方針等を事前に説明する機会を設定しています。そのうえで、利用者・ご家族に利用の可否を伺い同意を得て、利用を開始するようにしています。利用者本人の同意を得るにあたって、「施設の紹介映像」を使用しわかりやすく説明し、よく理解したうえで同意してもらうようにしています。サービス内容の変更時は、変更内容を写真等を使って本人用にわかりやすい説明書を作成し、また、重要事項説明書等や個別支援計画など書面による説明を行い同意を得るようにしています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

 サービスが終了した後も一定期間アフターケアを行い、本人をバックアップする仕組みを整備しています。サービス利用契約は1年契約で、サービス利用継続の意向を確認して更新しています。地域移行にあたってはていねいに見学を重ね体験を繰り返し、本人と事業所の合意を踏まえて関係機関との綿密な連携のもとに進めています。退所後の本人の地域での生活状況を伝え、関係機関で共有します。地域移行担当者を配置し、スムーズな移行やカンファレンスへの参加、支援方法の共有等移行後も利用者・家族が困ることがないように支援しています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 利用者満足度調査担当職員を配置し家族懇談会を年1回開催し、利用者・家族にそれぞれに調査票を配付しサービスへの感想、満足度の把握に努めています。食事アンケートは利用者に年1回行っています。「利用者の気持ちアンケート」調査では透明性を考慮し他のユニット職員が聞き取りを行っています。苦情受付窓口を事前に利用者・家族に周知し、意見のある利用者・家族については個別に説明しています。アンケート調査で聞き取った内容については、記録を権利擁護委員会で確認し、次年度の事業運営に反映するようにしています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

 苦情解決対応マニュアルを整備し、苦情解決責任者、苦情受付窓口、第三者委員を明示して苦情対応の流れをフローで説明しています。苦情対応に関する相談窓口を明示したポスターを掲示しています。重要事項説明書には、事業所以外の苦情対応の連絡先も明示し利用者・家族に周知しています。年3回第三者委員が施設を訪問し利用者の苦情・要望の把握に努めています。利用者・家族等の苦情の内容を月次報告書に記載し、苦情対応第三者委員会に報告しています。利用者の苦情に関する内容は「こういう声があった」という事例として開示されています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

 入所契約時に苦情や意見の申出の方法について説明しています。また、重要事項説明書に職員以外の相談窓口があることを明記し、利用者がいつでも職員に相談できることを利用者・家族に説明しています。年3回第三者委員が施設を訪問し、直接利用者と面談して利用者の意見や要望、苦情等の把握に努めています。利用者ごとに正副2名の担当職員を配置し、職員は相談ノートを用いて利用者に耳を傾ける姿勢を大切にしています。利用者が気軽に相談できる雰囲気づくりに努めています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

 玄関に苦情箱を設置して、いつでも利用者・家族からの苦情の申し出を受け付けています。家族からは、部屋の掃除や歯ブラシの管理などに関する職員の支援についての要望がありました。利用者ごとに2名の担当職員を配置し、利用者が気軽に相談できる関係性の維持に努めています。利用者・家族の苦情や相談事、意見を苦情解決月次報告書に記録し、毎月第三者委員会に報告しています。また、利用者・家族との日常的なコミュニケーションの充実を図り、施設での生活の様子をまとめた「暮らしの様子ご報告」を用いてコミュニケーションの円滑化を図っています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

 リスクマネジメント委員会を設置しています。施設長補佐が中心となり月一回リスクマネジメント委員会を開催し、防災計画や防災訓練、事故防止、ヒヤリハット、安全環境整備等にかかわる業務を推進しています。毎月防災訓練、危機対応訓練を実施するほか、危機対応マニュアルを整備して非常時はマニュアルに沿って行動できるようにしています。ヒヤリハット・事故報告をそのつど作成し、全体ミーティングで職員間の情報共有を図り事故防止と再発防止に努めています。ヒヤリハット事例集を作成し、リスク管理につなげる仕組みを整備中です。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「感染症対応マニュアル」「感染症予防対策危機管理レベル」「新型コロナウイルス予防のためのチェックリスト」を整備し、感染症の予防と罹患したときの蔓延防止に努めています。感染症の予防については標準的予防措置策(スタンダードプリコーション)に基づき、手洗いやうがい、定期的消毒などの徹底を図っています。また、加湿器が感染源にならないように適切な湿度管理を図っています。新型コロナウイルス感染症対策としては桜の風危機管理レベルを7段階に設定して、状況に応じて発令し、全職員に利用者のコロナ禍対策の注意を喚起して周知徹底を図っています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

 年9回の防災訓練のほか、救命講習会など年2回の防災学習を実施しています。訓練は火災発生時の日中初動体制訓練など目標を設定し、利用者全員が参加して実施しています。消防署と連携して「夜間想定火災避難訓練」を実施し、歩行ができない利用者を運び出すロールプレイを行うなど臨場感のある訓練を実施しています。大規模災害を想定して、職員への一斉メール通信訓練を実施しています。また、事業継続計画書(BCP)を整備し、自然災害及び感染症等危機対応時の事業継続に備えています。3日分の食料・飲料水等を備蓄し、災害発生に備えています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

 利用者支援標準マニュアルを整備し、全職員に配付して利用者の意思の確認・尊重に視点を置いた支援の標準化を図っています。支援現場で言葉を適切に使うための用語集を利用者支援標準マニュアル別紙として作成しています。また、利用者の障害特性に配慮し「障害特性アセスメント」を実施し、「支援計画シート(支援手順書)」作成して支援の統一性を図っています。また、記録管理システムの電子化を推進し、アセスメントシート、個別支援計画、モニタリング記録、ケース記録等利用者支援のケアマネジメントの標準化を図っています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

 利用者支援標準マニュアルを作成し、毎年見直しを実施しています。「施設の普通」が一般的な生活水準を保障したものであるかの視点で見直しを行い、入所施設特定の生活様式の強要になっていないかを点検しています。職員が支援の現場で感じることについて話し合い、必要に応じて追加項目を作成しています。ケアマネジメント推進の標準化を推進し、従来の個別支援計画の年度末の一斉見直しの方式を、利用者の誕生月見直しのサイクル方式に変更し、プロセス管理の仕組みを変更することで業務の平準化を図っています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

 個別支援計画の見直しに合わせて年一回アセスメントを実施しています。アセスメントの結果を所定のアセスメントシートに記録し、利用者支援ニーズを明確にしています。自閉症の障害特性に特に配慮し、「自閉スペクトラム症特性アセスメントシート」等を用いて利用者支援課題を明確にして個別支援計画に反映しています。誕生月に個別支援会議を開催し、看護師・栄養士等の専門職も参加して情報共有を図っています。一人ひとりの日常の生活支援に加え、地域移行の視点での「社会生活力」を重視した個別支援計画を策定しています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

 毎年誕生日に合わせて個別支援計画を策定しています。個別支援計画は、利用者の意向・希望及び支援ニーズと支援方針を明記し、支援目標ごとに支援内容や支援期間等を明示しています。また、半期ごとのモニタリングで、個別支援計画の目標に沿って取り組みの内容と現状を評価し、「支援見直しのための記録表(モニタリング)」を作成し課題を明確にしています。アセスメントやモニタリングの結果等を個別支援計画の見直しに反映しています。個別支援計画及びモニタリングの結果を利用者・家族に説明し同意のサインをもらっています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

 記録システムを活用し、アセスメントや個別支援計画、ケース記録等の個々の利用者支援情報をパソコンで入力しています。各種会議録や委員会議事録、ユニット日誌、看護記録、栄養士記録等もパソコンで入力し、職員間の情報共有を図っています。日誌や会議録等は年度ごとにファイリングし保管しています。また、日々の職員の支援が個別支援計画の目標に沿った支援であることをパソコンに入力したデータで検索し、確認する仕組みを整備しています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

 事務分掌に文書管理担当者を設置し、法人としての文書管理規定の順守に努めています。個人情報保護規定を整備し、個人情報の目的以外使用の禁止や個人情報の漏洩防止を図っています。施設に入職後、一週間研修のカリキュラムに個人情報の保護に関することを設定して、個人情報の取り扱いについて周知し注意を喚起しています。パソコンは、職員一人ひとりのパスワードと閲覧権限を設定し、情報の漏洩防止を図っています。パソコンデーターの廃棄については法人全体としてのセキュリティ規定に基づき実施しています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 入所時の利用者の意思確認を重視し、自己決定が自立につながる事を利用者自身が理解するように支援しています。入所時説明では入所者の生活や活動に関する動画で、生活のイメージを把握してもらい、本人の決定を待つようにしています。日常生活のできる事は自分で実施し、できそうな事には挑戦して方法や道具などを工夫します。そのうえで難しいことは支援の求め方を身につけられるように支援しています。支援の柱である社会生活力プログラムの中で生活する力を身につけるための「テーマ」を設けて取り組んでいます。地域移行を見据えて地域での生活様式に対応できる力を養う支援に取り組んでいます。
 職員は、退所後の本人の地域生活をスムーズに行うために、日常的には衣類・嗜好品等の購入の選択、食事場面のメニューやドレッシングの選択、地域の理美容店へ一人で出かけて事前に決めた髪型を伝えて髪を整えてくること、などの経験を積むことを大切にした支援に努めています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利侵害の防止等に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

 権利擁護委員会と虐待防止委員会を毎月開催し、職員の人権意識の強化に努めています。各ユニットに委員を配置し職員アンケートを実施して、職員同士日常の支援の気づきを伝えやすい風土が醸成されています。利用者支援における言葉使いが適切であるかをユニットごとに話し合い、「利用者支援標準マニュアル別紙(用語事例集)」を作成し職員に周知しています。
 「やむを得ない身体拘束三要件記録および拘束内容記録シート」を作成し、行動障害の利用者の不調時の対応について具体的支援を明確にしています。職員は、不調の原因を作らないように日ごろから利用者の状況の変化に配慮することで、また、早期対応に努めることで拘束をしないケアの実践に努めています。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 職員は、個別支援計画に本人の要望や希望を記載し、その目標に沿って支援しています。利用者自身が自分でやってみようと思うことができるだけ多くなるように配慮し、困った場面では利用者本人が「どうして欲しいか」の意思表示を行い、職員とのコミュニケーションがとれるように支援しています。職員は、見守りの姿勢を基本として困った場面では自分の状況を認識し“どうして欲しいか”を引き出すよう意思確認とコミュニケーションに努めています。職員は事前に本人に確認して利用者の障害特性に配慮し、目標までの1段階ずつていねいに見通しを持てるよう進めています。利用者ができるための合理的配慮に努め、介助を一部分ずつ一人で行えるように条件を整えて置き換えていくことで、自立を目ざしています。家族や関係機関に自立的に取り組めるようになった様子について個別支援計画面談やサービス担当者会議で説明し、共通理解に努めています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 ユニットの担当者を主体にして利用者に応じたコミュニケーションの工夫を図り、利用者の意思の把握に取り組んでいます。ユニット会議で職員間で共有して日中活動との整合を図ることで、利用者のコミュニケーション能力の向上に向けた支援に努めています。社会生活力プログラムでは利用者ごとに支援のテーマを設定し、他者との適切な意思疎通の方法を学ぶ機会を持ち、体験を重ねることで利用者自身のコミュニケーション力の向上を図っています。障害の特性に応じて視覚情報(写真やカード、身振り等)も併用し、トーキングエイドやゲーム機のタイピング機能、文字盤、絵カードなど使いやすい機器などを活用して、利用者の理解が深まるように支援しています。職員の促しに応じた行動が言葉で伝わったのか、職員の身振りで理解したのかなど状況をていねいに検証し、1つの支援を他の場面の支援に反映したり、他の利用者の支援にもつながったりしています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

 ユニットの担当職員は、個別に利用者にかかわる時間(いっしょに片付けをするなど)を大切にして、利用者が話しやすい雰囲気作りを心がけ、また、担当者だけでなくサービス管理責任者や施設長補佐も相談を受けるようにしています。サービス担当者会議では緊張しやすい利用者の発言を事前にビデオ撮りにして、当日利用者が自分の意思で思いを伝えることができるように支援しています。支援者が不合理と感じる意思表示であっても、職員は本人の意思を尊重し個別支援計画に反映しています。利用者の意思を実現に向けるための支援を展開し、過程において当初と異なる選択をする事の自由も大切にしています。利用者は、地域移行ができた利用者の体験を聞くことで将来への思いを強くします。職員は、利用者が自分で決める体験を通して、自身の意思を表出できるようにその人に合った方法で生活の質を高めるように支援しています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

 ユニットで行う生活場面での支援と利用者の状態に合わせた日中活動グループでの支援を図っています。生産活動や機能維持、運動量確保を目的に提供する日中活動は、数社の受注作業や畑仕事、洗車作業、清掃作業、運動プログラム、スヌーズレン、音楽レクリエーションなど多様です。季節を感じたり年間の流れを捉える全体での行事のほか、ボランティアとして地域の清掃活動や緑地の自然保護活動に参加したり、地域団体の里山を楽しむ会でともに季節を楽しんだりしています。毎月日中活動職員の会議では支援内容の検討・見直しを行い、一人ひとりの状態に合わせた作業内容に調整しています。休日は趣味などに応じた個別外出プログラムやユニットでの季節を感じる外出、各種の行事を行っています。スポーツ観戦やスポーツ大会、作品展への出品などを行っています。今年度はコロナ禍でユニット交流は控えており、個別性に配慮したユニット内での支援に努めています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 法人の年次別研修や外部研修に積極的に参加し、利用者の障害特性についての専門知識に基づきOJT等で職員の習得を図り、利用者支援の向上を図っています。「強度行動障害の特性アセスメントシート及び支援手順書」を利用者の場面ごとに作成し、利用者が混乱なく過ごせるようにしています。「やむを得ない身体拘束三要件記録および拘束内容記録シート」を作成し、個別の適切な支援や拘束しなくてすむ支援に取り組んでいます。職員は、「わかりやすく」「辛い刺激をなくす」という視点で強度行動障害の利用者の支援に取り組んでいます。社会生活力プログラムでは外部専門機関との評価会議に多くの職員が参加し、グループワークなどで実践的支援技術の習得を図っています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 温冷配膳車の使用により適温の状態で食事ができるように工夫しています。生活に合わせ朝夕食はユニットのリビングで、昼食は食堂で摂っています。誕生日リクエストや厨房の自信作を工夫し、四季を感じる甘味イベント「季節のスイーツデイ」や行事を意識したメニューを実施しています。栄養ケア計画に基づきそれぞれの摂食状況に応じて食形態や量に対応し「とろみ」「きざみ食」の提供を行っています。アレルギー対応食は、食札の色を変えることで、安全に食事提供が行えるようにしています。毎日入浴できるようにし、体調に応じて清拭やシャワー浴対応をしています。日中活動後18時ごろまでに入浴し、利用者によって利用日数は異なっています。排泄では心身の状況や介助の必要に対応し、看護師との連携でコントロールが必要な方への処置等含め、快適に過ごせるよう支援しています。車椅子利用者等の移動・移乗ではリフトなどで安全と職員の腰痛予防を図っています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

 食堂、トイレ、浴室、廊下等の共用空間は清掃が行き届いて清潔です。平日は毎日パート職員のユニットキーパー、障害者雇用のクリーンキーパーによる清掃・美化作業を行い、年4回専門業者がワックスをかけています。居室は利用者全員が個室で利用者の趣向に応じてテレビやソファーを設置しています。居室は毎日担当職員と利用者本人が清掃しています。居住空間の衛生管理や設備管理、安全性の管理についてはユニットごとに担当者を決めて職務分掌に明記しています。月一回、担当職員2名が職場巡視チェックリストにより施設内を巡回しています。チェックリストは、オフィスの室温や湿度管理、備品の安全性、通路に躓き・滑りやすい箇所はないかなど、全部で69項目のチェックにおよびます。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

 日中活動の一環としてグループを編成し機能訓練に取り組んでいます。歩行訓練、車椅子自走訓練、座位訓練等の生活動作に必要な身体機能維持訓練を実施し、また、障害特性に応じたリラクゼーションを目的とした感覚刺激空間(スヌーズレン)、音楽レクリエーションなどを実施しています。嘱託のリハ科医師及び作業療法士が月2回施設を訪問し、利用者ごとの訓練プログラムを設定しています。訓練プログラムを個別支援計画に反映し、職員が日々の機能訓練を支援しています。プログラムは利用者の状況の変化に応じて定期的に見直しを行っています。また、リハ科医師や地域の更生相談所と連携し、身体面での診断、評価、車椅子や補装具等に関する相談を通して、利用者の心身の状況に応じた支援・介助に努めています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

 毎年定期的に利用者の健康診断を実施しています。年2回内科検診、年1回胸部レントゲン、年1回生活習慣病予防検診を実施しています。検温、体重、血圧等のバイタルチェックを毎日実施し、利用者の体調の変化の把握に努めています。また、入浴、排泄介助の機会を利用者の健康観察の機会と捉え、職員と看護職員が連携し利用者の体調の変化を把握し日常的な健康管理に努めています。季節性インフルエンザの予防接種を行い、新型コロナウイルス予防のためのチェックリストを作成しコロナ禍の中で利用者の体調の変化に特に注意しています。定期通院に職員が同行し主治医の診断による指示を職員間で共有し、月2リハ科医、精神科医が施設を訪問し利用者の健康相談に応じています。また、24時間の看護体制を目ざし利用者の身体状況の変化に常時対応する体制を整備しています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:a】

 24時間365日の看護体制を整備し医療的ケア支援体制を目ざしています。主治医の指示のもとに、胃ろうからの経管栄養、留置カテーテルからの尿破棄など日常的に医療処置が必要な利用者を支援しています。また、喀痰吸引等特定医療処置の資格を持つ支援員4名を配置し、看護職員が対応しきれない状況の補完体制を整えています。喀痰吸引等業務安全委員会を毎月開催し、施設長、看護職員、担当職員が参加し医療的ケアの安全のための情報共有を図っています。また、医療ケアミーティングを毎月開催し、入所利用者の健康面・医療面に関する支援内容について支援員と看護師との情報共有を図っています。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 季節行事や地域交流の機会を活用し、日常的な社会参加や余暇の機会を創出する支援を行っています。外出イベントではバスに乗車する練習や目的地までのルートを確認することを目標に目的地を設定します。馴染みの店のルートに病院を探し一人で受診できるようになった利用者がいます。自動販売機での買物や訪問理美容ではなく床屋や美容院に通っての散髪、少人数での外食など可能な限り公共交通機関を利用し、利用者の社会参加の機会を多く経験できるように支援しています。職員は、社会生活力プログラムの取り組みを通して利用者個々の障害特性に応じた支援プログラムを個別支援計画に反映し、利用者の目標に沿った社会参加の支援に努めています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 地域生活移行を施設の理念と位置づけて全職員が理念の実践に努め、地域生活支援型の入所施設として具体的な実践に取り組む体制を構築しています。地域移行や定着のための担当職員を職務分掌に明記し、職員に周知しています。社会資源としての入所施設の機能を基に「地域生活支援型入所施設」として事業を展開しています。法人内の近隣のグループホームと連携しホームの体験利用を繰り返し行うことで、利用者がグループホームでの生活を具体的にイメージし、地域移行への意思決定を自らの意思で行うように支援しています。移行先のグループホームを見学して体験・宿泊を段階的に実施し、そのつど本人の意思を確認しながら推進しています。区役所や更生相談所など関係機関と連携し、カンファレンスを行って関係者の情報共有を図り、移行後のフォロー体制について確認して地域移行後の定着支援に取り組んでいます。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 家族とのコミュニケーションを図り、施設は通過施設であることや地域移行を目ざすことを伝えています。入所中及び地域移行後の本人の生活設計において、家族が利用者の支援体制の一員として役割を果たしてくれるように側面からの家族支援に取り組んでいます。毎月、「暮らしの様子ご報告」を作成して家族に送付し、施設のイベントや利用者の施設における生活の様子や表情を伝えています。また、毎月「施設長通信」を家族に送付し、施設運営に関する方針や施設長の思いを家族に知らせています。今年度4月の施設長通信では、「事業計画に入所調整・地域移行に関する連絡・調整機能の強化を図ることを重点目標として掲げていること」などを明記し、家族に伝えています。そのほか毎年2月に家族懇談会を開催し、毎年実施している利用者満足度調査結果についての施設の取り組みについて説明しています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】