社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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桜の風 もみの木

2023年05月02日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 桜の風 もみの木 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 自立訓練(生活訓練), 障害者支援施設(施設入所支援+日中活動事業) 定員 自立訓練:20名、 短期入所:5名、体験宿泊:2名 名
所在地 211-0035
川崎市中原区井田 3-16-1
TEL 044-920-9006 ホームページ http://kawasakiseifu.or.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2013年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 川崎聖風福祉会
職員数
常勤職員:14 名
非常勤職員:5 名
専門職員
サービス管理責任者:1 名
社会福祉士:5 名
精神保健福祉士:6 名
介護福祉士:1 名
看護師:1 名
夜勤専従支援職:5 名
精神科嘱託医:1 名
施設・設備の概要
居室:27
相談室:1
支援室:1
作業室:1
事務室:1
食堂:1
研修室:1
会議室:1
リビング:2
トイレ:2(男女各1)
洗濯室:2(男女各1)
キッチン:6
エレベータ:2
浴室:4(男女各2)

③ 理念・基本方針
【法人の基本理念】
1.個人の尊厳 2.地域福祉のネットワーク 3.多様なサービスの開発
4.職員の資質向上 5.社会的責務

【桜の風(施設全体)の基本理念】
①地域における本人の望む暮らしの実現
②ストレングスの活用とエンパワメントの実践
③入所施設からの地域移行の取り組みの推進
④地域生活支援型施設としての社会資源機能の充実 

④ 施設・事業所の特徴的な取組
桜の風もみの木は宿泊型自立訓練、自立訓練、短期入所を運営しています。
 主な対象者は精神障害者の方です。宿泊型自立訓練は長期の入院から地域で生活するため入所し、金銭管理や調理実習、服薬管理などのプログラムで生活力を身に付けています。期間は約1年、グループホームやアパートなどへ地域移行するまでを支援します。
 もみの木入所中に就労支援事業所やデイケアなどの通所先も利用できるよう支援します。支援の中でOG・OB会といってもみの木からアパートやグループホームに地域移行された方を招いて、先輩として入所している利用者の方の地域移行や生活面の疑問などに答えてもらっています。
 短期入所は自宅やアパートで生活しながら利用が出来ます。今の生活環境から一時的に距離を置きたいなど短期入所を利用される理由は様々です。費用はかかりますが、給食を注文できますし、入浴設備もあり利用できます。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2022/09/01(契約日) ~2023/03/31(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(2015年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 1)地域移行の実現と地域生活の維持・継続に向けた様々な取組を実践しています
もみの木では、地域移行のための通過施設として、地域移行・地域定着の支援に力を入れています。自立訓練プログラムでは、基本的生活習慣の確立や金銭・服薬の管理、対人交流等の生活技術の習得を支援するほか、地域行事への参加など社会参加の機会も多数設定しています。また、施設の卒業生によるOG・OB会を発足し、施設の卒業生から地域移行の体験談を聞くことで、地域生活に必要な知識習得と不安解消につなげています。なお、OG・OB会を通じた卒業生との交流は、退所後のアフターケアとしても機能しています。移行の際は各種手続きや福祉サービスの利用調整等を実施し、移行後も相談対応や関係機関との連携を通じたサポートを行うことで、地域生活を維持・継続できるよう支援しています。

2)利用者の主体性を尊重し、意欲を引き出す関わりに努めています
もみの木では、利用者の意見や主体的を尊重した関わりを通じて、利用者の活動意欲を高める支援に努めています。個別支援計画の内容に利用者の希望や意見を積極的に反映し、支援を組み立てるほか、利用者の意思決定の際は、分かりやすい説明と共に、選択肢各々のメリット・デメリットを示して、自分の意思で決定できるよう支援しています。また、月2回開催する「もみの木ミーティング」では、相互に生活ルールや活動内容を話し合い、決定する機会を設けています。利用者の興味・関心に応じて精神科デイケアや地域活動支援センター、就労支援事業所など外部の日中活動も紹介し、見学や体験利用の調整を行うなど、活動意欲を引き出す関わりに努めています。

3 )利用者の健康維持・増進のための知識習得機会のさらなる充実化が期待されます
もみの木では利用者の健康管理に鑑み、月1回健康デーを開催して血圧や体重を測定し、健康状態を確認する機会を設けるほか、運動や健康に関する活動プログラムを実施して、利用者の健康意識を高める支援を行っています。一方、利用者の健康診断は実施していないほか、嘱託医・看護師との健康相談も本人の希望がある場合のみの対応に留まっています。また、生活習慣病予防など、健康維持・増進のための知識習得の機会も少ない状況です。なお、2023年度から健康面のフォローが必要な方や喫煙者を対象に、看護師による健康相談を実施予定ですが、合併症を併発しやすい利用者の障害特性を踏まえ、地域移行のための通過型施設の重要な機能の一つとして、健康教育の機会の充実化を図るなど、さらなる利用者の健康意識向上のための取組に期待します。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
第三者評価の結果を確認すると良い評価の項目もありましたが、課題も明確になりました。情報の共有が出来ていないことや利用者に伝える必要がある事など、自己評価を通して判明したことを含めて改善していきたいと思います。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

法人理念はホームページで閲覧可能となっており、職員ガイドブック「Smileレシピ」の行動規範との整合性が保たれています。また共同事業体として、桜の風の基本理念を年度の事業計画書に記載しています。「Smileレシピ」を職員に配布し、新人研修での読み合わせを継続しています。契約書やパンフレットに記載した運営方針から、事業所の目指す方向や考え方を読み取ることができます。利用者や家族向けにA4版の三つ折りサイズの案内書を準備していましたが、コロナ禍で中断しているため、その遂行が期待されます。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

社会福祉事業全体の動向や地域ごとの経営環境、課題について、年度始めの理事長挨拶や法人の分析結果を共有しています。毎月開催する所長会議では、法人経理部門の報告から、各事業所の収支報告や半期ごとの収支予測を確認しています。共同事業体との運営形態により川崎市指定管理を受けている事業所でもあり、川崎市地域福祉計画や障害福祉計画の把握を怠らず、厚労省、神奈川県、川崎市など行政が発出する方針などの伝達に努めています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

所長会議での話し合いにより、経営課題や福祉事業を取り巻く社会情勢などへの認識を深めています。理事会や所長会議は、法人事業内容や委員会での取組を報告し、安全衛生、リスクマネジメント、虐待防止などの各委員会が直面する課題共有の場ともなっています。その内容を事業所に持ち帰り、職員会議で周知しています。共同事業体との三役会議では、総合施設長、施設長、所長が施設全体の課題に対して共に取り組んでいます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

これまで3ヶ年実行計画を中・長期計画に位置付けていましたが、コロナ禍や自然環境の変化、経済的逼迫などの現状を考慮して、来年度からは5ヶ年計画の開始となります。理念やSDGsとの整合性を図るとともに、法人のあるべき姿、課題、達成方法、期間、責任者などについて3年を目途に見直し、目標達成を目指していきます。項目ごとに詳細な説明を施すことで実施状況の評価が容易になっています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

中・長期計画を踏まえて法人事業計画を策定しています。自立(生活)訓練、宿泊型自立訓練、短期入所、地域生活体験宿泊事業、それぞれについて基本方針と取組内容を明記しています。また人材育成、建物設備整備、地域社会資源との連携、危機管理、防災についての記載もあり、総合的な事業計画書となっています。月平均の目標利用者数をあげ、実施状況の評価を行える内容としています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

毎年度の事業計画は、職員会議での意見聴取を経て策定しています。事業計画書は毎年2月中、事業報告書は4月中を完成期間としています。策定後には職員会議で報告するとともに、会議欠席者には回覧して周知を図っています。毎月の所長会議で事業計画の進捗状況を確認し、スモールステップで見直しを行い、随時方向性を検討しています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:c】

利用者や家族に事業計画を周知する機会がありません。事業計画は、事業所の提供する福祉サービス内容や施設の居住環境など、利用者の生活と密接な関わりがあります。事業計画について、利用者や家族の周知を図り、理解を促す取組が期待されます。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

新型コロナ感染対策、利用者満足度調査の実施、医療観察法対象者の受け入れなど、事業所が実施する課題への取組は、計画策定→実行→評価→見直しのPDCAサイクルに沿って進めています。事業所は指定管理者制度活用事業を他法人との共同事業体として担っており、川崎市健康福祉局民間活用事業者選定評価委員会の総括評価を受けています。これまで事業所の自己評価は実施していませんが、今回8年ぶりに受審した第三者評価では常勤職員全員が自己評価作成に取り組んでいます。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

指定管理者制度活用事業について、川崎市健康福祉局民間活用事業者選定評価委員会による総括評価を受け、評価結果シートの内容について職員会議で共有しています。「評価の視点」に基づいた事業期間全体の評価、これまでの事業に対する検証、今後の事業運営方針が列挙され、職員間でも学びを深めています。安定した事業所運営により、令和5年4月1日からの次期5年間も川崎市指定管理者の指定を受けています。評価シートの分析や抽出した課題について、話し合った結果を文書化することが期待されます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

事務室に組織図と職務分掌を掲示し、管理者の役割を明確にしています。共同事業体と共に発行する施設の広報誌では、もみの木ユニットの所長として写真付きの挨拶文を載せています。法人の所長会議で話し合った事業状況や法人からの連絡事項を持ち帰り、職員へ周知しています。災害や事故などの緊急時における所長の役割をマニュアルに明記し、不在時の連絡方法や命令経路についても明文化しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の規程集はデータベースに格納し、職員が随時事務室で閲覧できる状況になっています。障害者総合支援法、障害者差別解消法、虐待防止法、労働基準法、安全衛生法などについて、職員会議で折に触れ議題とし、職員の理解を促しています。議事録の回覧により会議欠席者への周知も徹底しています。川崎市SDGsパートナーの登録事業所として環境への配慮も重視するなど、事業所での法令遵守は幅広い分野に及んでいます。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

所長は法人の所長会議、施設共同事業体との運営調整会や施設内三役会議、川崎市地域自立支援協議会などに出席し、事業所の提供する福祉サービスを振り返る機会としています。中でも自立支援協議会の精神障害者地域移行・地域定着支援部会では、地域移行を目指した通過型サービスの現状を共有し、精神障害者の住まい探しに尽力しています。障害特性からも個別支援が利用者対応の最重要事項となるため、ケアカンファレンスで話し合うと共に、研修案内の周知や各委員会への参加を通じて、サービスの質の向上を目指しています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

法人の所長会議で配付された資料をもとに職員会議で経営状況を説明し、各事業所の収支状況を伝達しています。経費削減を実施するとともに、新型コロナや災害対策として利用者個室に2ドア冷蔵庫を購入するなど備品の充実を図り、安全確保に努めています。また職員の負担軽減に向けて、有給休暇取得の促しや早期の人員補充を実施しています。人員配置、異動希望の聴取、産業医面談の支援を継続しています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

各事業所の人員補充要望を把握した上で、法人が採用計画を策定しています。ハローワークや新卒採用イベントの活用、ホームページに採用情報掲載など、組織として人員確保に取り組んでいます。外国人実習生の受け入れが採用につながった例もあります。年度ごとの事業計画書に職員配置計画を記載し、福祉専門職配置基準を満たすためにも、職員の資格取得を促しています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

職員ガイドブック「Smileレシピ」に期待する職員像を明文化しています。就業規則の中にある給与規定に、賃金、昇給、昇進昇格、配置などについて具体的に記載しています。支援課長やサービス管理責任者との職員面談は年1回定期的に行い、職員の自己評価をもとに職員の意向やキャリアプランの方向性を確認しています。就業規則は法人のデータベースに格納され、職員はいつでも閲覧可能となっています。事業所では職員個人の処遇を明確に把握していませんが、職員等級からわかる範囲での検討は必要と所長は考えています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

勤怠管理システムを活用して、職員の出勤、残業、有給休暇などを把握しています。健康診断や定期面談、年1回のストレスチェック、年2回のセルフチェックなどにより職員の心身状態の健康管理に努め、早期発見早期治療につなげています。神奈川県福利協会の会員であり、職員の余暇や退職金など総合的な福利厚生を実施しています。また出産休暇や育児休暇、時短勤務の選択肢を用意して、職員のワーク・ライフ・バランスに十分配慮しています。法人内の他部署研修の機会を設定するなど、職員が業務に対し前向きに取り組めるよう支援しています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

所長面談では、職員一人ひとりに今後目指す方向性を確認しています。業務内容、支援スキル、職員間の人間関係などを率直に話し合いながら、個人目標を確認しています。年度初め、8月頃の中間期、また随時状況に応じて面談を重ねています。目標設定に基づいて、外部研修やインターネット研修、他施設見学をスケジュールに組み入れ、職員の育成に取り組んでいます。今後は、目標設定において項目の精査、個別水準の見直し、目標期限の明確化などが期待されます。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

法人の目指す福祉サービスについて、理念に明記しています。「職員の資質向上」の項目では、職員教育や研修について記しています。業務上必要となる、相談支援従事者研修やサービス管理責任者研修の積極的受講を促しています。法人では毎年階層別の外部研修を策定し、外部研修では職員が希望するテーマを選択しています。出席者の報告や意見から研修を評価し見直しに反映しています。また月1回、事業所内で勉強会を実施して、日頃の支援や業務上の知識、対人援助技術の習得に努めています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

職員のキャリアプランについて面談で確認しています。新人職員の現場研修は、支援係長とサービス管理責任者が指導し、全職員が基本的な業務について同等のレベルに到達することを目指しています。また精神保健福祉士や社会福祉士などの資格取得の働きかけもしています。シフトの組み方を工夫して、法人の階層別研修や外部研修などへ出席できるように配慮し、学びの機会を確保しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

実習生は受け入れていますが、基本姿勢の明文化やマニュアル作成は、これからの課題となっています。実習指導者資格をもつ職員がいないため、実習を法人内の別事業所から1日単位で受けていますが、現在、精神保健福祉士が実習指導者研修を受講中です。実習日程とプログラムを作成し、実習の振り返りアンケートを通じて、実習内容の見直しを行っています。また毎年神奈川県委託の精神障害者ヘルパー研修の実習先として、受講生の受け入れを行っています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人ホームぺージに理念や基本方針を記載しています。川崎市ホームページでは指定管理者制度活用事業の総括評価シートが閲覧可能となっており、事業の検証として利用実績と収支計算表を公開しています。また市内の第三者委員会に、利用者や家族からの苦情、意見、要望をまとめて、毎月「苦情解決シート」を提出しています。事業所のパンフレットや施設の広報誌「桜の風」を、見学者や相談支援事業所、行政、病院などに配布して、事業所の業務内容や役割を周知しています。広報誌を地域にも配布するなど、広報活動の広がりが期待されます。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

事業所の組織図には出納員の事務作業として、経理や総務の事務全般を明記しています。経理マニュアルを整備し、事務処理ルールを可視化しています。経理や事務が適正に処理されているかについて、年1回定期的に内部監査を行っています。共同事業体と共に川崎市から指定を受けた指定管理者として事業を運営しており、毎年川崎市の評価を受審しています。評価結果に基づいて、サービス提供記録の徹底や困難事例支援のあり方について改善を重ねています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

運営規程のサービス内容の項目に「地域定着と維持、地域移行支援」を明記しています。朝ミーティングやポスターにより、近隣施設との交流会、地域の花火大会、バスハイクなどの情報を提供しています。職員が買い物に同行したり、ボランティアと一緒に調理する支援体制を築いています。近隣の市民団体からタケノコ堀りの誘いや七夕の笹の提供を受けていましたが、コロナ禍で中断しています。ウィズコロナの時代に向けて、事業所からの働きかけが期待されます。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

ボランティア受け入れ手引きに沿って、登録手続きや事前説明、ボランティアの配置を行っています。利用者とボランティア、双方の個人情報や肖像権保護にも留意していますが、受け入れに関する基本姿勢の明文化はしていません。定期的に調理実習の手伝いや絵画教室にボランティアを受け入れています。障害特性から学校教育への協力は難しい面もあり、今後の課題としています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

法人理念「地域福祉のネットワーク」「多用なサービスの開発」の文言の具体化を目指しています。地域の社会資源として、通所先事業所、グループホーム、相談支援事業所などの一覧を作成しています。新規の事業所やグループホームの空き状況などは職員間で共有して支援に結び付けています。川崎市障害福祉課や地区の健康福祉ステーションをはじめ、精神科病院、相談支援事業所、就労継続事業所、地域移行・地域定着支援部会などの会議に参加し、顔の見える関係性を築き、地域の課題や障害者支援について協働しています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

川崎市自立支援協議会の地域移行・地域定着支援部会において、同様のサービス提供を行う事業所との連携を密にし、精神障害者の実家からの自立、退院や施設退所時の支援をしています。精神障害者の地域移行と定着支援を担う中で、受け入れ可能な物件数の拡大に取り組んでいます。不動産会社や家主に障害特性についての理解を図りつつ、川崎市自立支援協議会の地域移行・地域定着支援部会の取組みにも関わり、精神障害者の住まい探しに尽力しています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

施設の共同事業体とともに、地域の二次避難所としての取組を継続しています。具体的な防災対策について近隣の福祉施設と情報共有する場として、井田地域福祉施設等防災対策会議に参加しています。他にも、川崎市障害者福祉施設を対象とした防災無線の使用による防災訓練に参加しています。事業所がこれまで培ってきた利用者支援のあり方や専門知識を地域に還元することは地域住民の精神障害に対する理解にもつながります。できるところから一歩一歩進めていくことが期待されます。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

理念第一項目として「個人の尊厳」をあげています。職員ガイドブック「Smaileレシピ」の中で利用者尊重や基本的人権への配慮について記載すると共に、身体拘束排除や虐待防止の周知徹底も掲げています。「職員の心得」の章では平易な言葉で倫理綱領を伝えて、利用者支援の基本姿勢としています。権利擁護を考える契機として職員会議や外部研修を位置づけ、職員のセルフチェックを年2回定期的に行っています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

利用者のプライバシー保護については職員ガイドブックや接遇マニュアルに記載しています。居室のドアが開け放しであれば声がけする、室内が見えないように暖簾をかける、バイタルチェック表に個人名を載せないなど配慮しています。また、もみの木ミーティングではプライバシー保護に関する環境整備について意見交換を行っています。一例として、事務所前の外出簿の名前を伏せる目的でノートクリップを作成するなどしています。また契約時に利用者や家族に利用ルールを周知し、写真画像の肖像権使用について承諾の可否を確認しています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

事業所のパンフレットは関係機関に配布し、見学時には配布と説明を行っています。宿泊型自立訓練と短期入所を分けて、サービス利用の手順や利用対象者、利用期間、費用などをわかりやすく説明しています。利用希望については、医療機関や行政からの問い合わせで受けています。見学、初回面談、体験利用とステップを踏むごとに本人の意向を確認し、利用するか否かの自己決定を支援しています。事業所パンフレットは料金表以外の更新をしていないため、今後、理念や施設内写真の掲載など、内容の充実が望まれます。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

利用開始時には契約書と重要事項説明書、もみの木ルールの書面などを用いて説明し、利用者の自己決定を尊重して進めています。事業書パンフレットも含め、利用開始時や変更時の資料、説明の仕方に工夫の余地があると所長は考えています。利用開始や変更時には、その理由や利用者の心身状態変化を記しています。難聴の方にはメールや筆談での対応を実施しています。意思決定が困難な利用者への配慮はまだルール化されていません。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

「金銭管理、服薬管理、SOS発信ができる」ことを地域移行への目安と考え、事業所の利用終了時には、行政、相談支援事業所、医療機関などとカンファレンスを行っています。事業所利用時からデイケアや通所先を探し、地域移行後時には引き継ぎ文書を送るなど、サービス利用継続を支援しています。また新たにホームヘルプや訪問看護、ショートステイの利用提案もしています。地域移行後にも相談を受けていますが、書面を用いた対応はしていません。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

年1回利用者満足度調査を実施し、結果を利用者へ配布するなど公表しています。利用者の個別面談は月2回以上行い、心身状態の確認や利用者意見や要望を個別に聞き取っています。もみの木ミーティングでは利用者と職員が、利用者意見や意見箱投函内容について改善策を話し合っています。居室の安否確認用ドアスコープの設置目的を共有したり、事務所前に置いた提出物の個人情報部分を伏せるなど、利用者の疑問や不安の解決・改善に向けて取り組んでいます。今のところ、利用者会や家族会といった集まりの予定はありません。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

契約時に、重要事項説明書や契約書を読み合わせ、苦情解決について説明しています。事業所入口の苦情解決制度ポスターにより苦情受付担当者、苦情解決責任者、第三者委員の設置について周知するとともに、川崎市の第三者委員会についても伝えています。意見箱投函への返答を掲示したり、朝ミーティングでも苦情を聴取するなど、丁寧な初期対応に努めています。苦情解決ガイドラインのフローチャートに基づいて即時の対応を心掛け、苦情解決記録への内容をリスク委員会や川崎市障害福祉施設事業協会の苦情解決窓口に報告しています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

利用者の担当職員を決めてはいますが、利用者は職員の誰にでも相談や意見を述べることができます。利用者には月2回以上の定期面接を実施して、個別課題の進捗状況や困っている事、今後の予定などを確認しています。状況によっては臨時面接も行っています。面接の場所は相談室や空室などを使用し、プライバシー保護の確保を徹底しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

利用者からの相談や意見は、毎日の申し送りや毎週開催の職員会議で共有し、対応を検討しています。月2回のもみの木ミーティングでは、冷暖房の切り替え温度設定、ご意見箱投函への回答、テレビ番組の選択方法など具体的内容を検討し、皆で対応策を話し合っています。利用者個々の相談や意見の検討結果はケア記録の「統一事項」に記載し、個別対応マニュアルとして随時更新しています。回答までに時間がかかる場合や個別的な内容については、定期面談で担当職員が本人に伝えるようにしています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

所長をリスク管理の責任者とし、施設のリスク委員会に委員を派遣して、月次会議を通じて施設全体の安全管理に関する協議を行っています。事故・ヒヤリハットの基準を5段階を明確化し、事例を積極的に収集して傾向・対策を協議しています。事例は各々の報告書に記録し、リスク委員会で全体の統計・分析を実施するほか、もみの木ユニットでも独自に職員会議を通じて再発防止策を検討し、実務に反映する仕組みとしています。一方、事故防止に関する職員研修は未実施であり、事故防止策への定期的な検証・評価は今後の課題となっています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

看護師を衛生管理の担当者に位置づけ、嘱託医の助言・指導等を取り入れながらユニット内の感染対策を実施しています。法人共通の業務マニュアルや行政通知、職員会議の検討結果等を踏まえて感染防止策の周知を図るほか、看護師を中心に季節性疾患や嘔吐処理、手洗い等の勉強会を定期的に開催しています。手指消毒や検温、衛生管理の備品導入・活用及び随時の換気など、設備・備品の活用と環境整備の徹底に努めています。今後、マニュアルの定期的な見直しや実務に即した内容整備などの、さらなる充実が望まれます。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

施設共通の災害時の対応体制を構築し、リスク委員会へ参加しています。防災訓練を毎月実施するほか、もみの木ユニット独自の職員緊急連絡網を整備しています。川崎市の指定管理施設として二次避難所の機能を整備し、「井田地域福祉施設等防災対策会議」にも参加して、地域の防災体制の充実化に協力しています。一方、防災訓練や災害備蓄を含む防災体制の整備は、共同運営の法人に委任し、ユニットとして防災に関するマニュアル等は策定していないほか、利用者の安否確認手段の整備は今後の課題となっています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

施設共通の災害時の対応体制を構築し、リスク委員会へ参加しています。防災訓練を毎月実施するほか、もみの木ユニット独自の職員緊急連絡網を整備しています。川崎市の指定管理施設として二次避難所の機能を整備し、「井田地域福祉施設等防災対策会議」にも参加して、地域の防災体制の充実化に協力しています。一方、防災訓練や災害備蓄を含む防災体制の整備は、共同運営の法人に委任し、ユニットとして防災に関するマニュアル等は策定していないほか、利用者の安否確認手段の整備は今後の課題となっています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

年度ごとに各種マニュアルの作成及び見直し・改訂を実施しています。マニュアルの改訂・変更にあたっては、制度改正や感染症対策など最新情報を盛り込むほか、職員からの提案や職員会議の検討内容等を踏まえ、随時修正や追記を行っています。また、年度末に定期の見直しを実施しています。利用者支援に関するマニュアルや支援に使用する各種様式等についても、利用者の意見や個別支援計画の内容を反映して随時修正を行っています。具体例として、利用者の要望やプライバシーに配慮し、入浴予約表や外出簿の様式を変更した事例があります。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

策定責任者であるサービス管理責任者と共に、支援係長、担当職員が協働して個別支援計画を策定しています。関係機関からの情報に基づき、症状や障害特性など利用者の状況把握を行うほか、独自のアセスメントシートを用いて、生活能力と支援の必要性を評価しています。計画策定にあたっては、職員会議で協議し、課題に応じた目標と具体的な支援内容を明確化して全職員で共有しています。困難事例は、区の担当課や地域リハビリテーションセンター、相談支援事業所等の関係機関と連携し、各々の専門的意見を反映して支援しています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

サービス管理責任者と担当職員が協働し、個別支援計画の進捗確認と管理を行っています。個別支援計画の内容は、3ヶ月に1回モニタリングを実施して課題の達成状況を確認しているほか、利用者の意向等を踏まえて修正計画を策定し、利用者に説明して同意を得たのち、支援を行う仕組みとなっています。利用者の心身の状態に変化が生じた際は、随時計画の見直し・変更を行っています。個別支援計画作成に必要な資料は、PCの共有フォルダに記録すると共に、各々のケースファイルに原紙を綴り、いつでも確認できるようにしています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

利用者に関する情報はケースファイルに集約して職員間で活用しています。PCを活用した情報共有システムを導入し、情報共有の円滑化を図るとともに、IDやパスワード、情報の重要度に応じた閲覧制限の設定など、情報の漏洩防止に配慮しています。川崎市の個人情報保護条例及び法人の個人情報保護方針等に基づいて、情報書類の帯出や公用のUSBメモリ以外の記録媒体の使用を禁止し、厳正な情報管理に配慮しています。所長や支援係長が随時記録内容を確認していますが、記録要領の策定や記録に関する研修等は行っていません。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

川崎市の個人情報保護条例や法人の個人情報保護方針を全職員に周知しています。所長を記録管理の責任者とし、法人共通の業務マニュアルや内部研修等を通じて職員教育を行っています。全職員から守秘義務・個人情報保護に関する誓約書を取得し、年2回セルフチェックを実施して振り返りの機会としています。利用者に対しては、重要事項説明書等を通じて説明し、書面で同意を得ています。個人情報に係る書類やデータは帯出禁止とし、情報漏洩防止策を講じていますが、具体的なルールを明記したマニュアルの策定は今後の課題となっています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設の基本理念の一つに「ストレングスの活用とエンパワメントの実践」を掲げ、利用者の特技や長所に着目し、個性を伸ばす関わりに努めています。利用者の自己決定にも配慮し、意思決定が必要な場合は選択肢の長所・短所を説明し、利用者が自分で意思決定できるよう支援しています。利用者の信条や価値観を尊重し、衣服や髪型、趣味活動は自由で、所定のルールを順守可能な場合は喫煙も認めています。月2回「もみの木ミーティング」を開催して、利用者同士で約束事を話し合う機会とし、利用者の主体性を尊重しています。掲示物や配布書類にふりがなをつけたり、交換ノートを用いて日々の行動を利用者と一緒に振り返り、自己洞察を深める支援を行うなど、全体・個別それぞれで利用者の特性に配慮し対応しています。日々の業務引き継ぎや職員会議、カンファレンス等を通じて職員間で利用者の権利について話し合い、認識の共有化にも努めています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

法人基本理念の一つに「個人の尊厳」を掲げ、中期計画「第5次3ヶ年実行計画」の重点事項に「権利擁護の取り組み」を盛り込み、組織全体で利用者の権利擁護を推進しています。施設の運営規定に虐待防止のための措置、虐待防止指針を明示して、不適切行為防止の徹底に努めています。利用者に対しては、利用契約時に重要事項説明書を用いて、虐待防止の取組を説明しています。虐待防止マニュアルを整備し、身体拘束に関する職員間の認識の統一化を図るほか、虐待防止委員会を設置して、利用者の権利尊重と適正な対応を協議する仕組みを構築しています。原則として身体拘束は実施しない方針とし、利用者の障害特性を踏まえ、金銭管理などやむを得ない制限を実施する際の要件を独自に作成し、検証を行っています。全職員を対象に、年2回セルフチェックを実施するほか、職員会議等の場面を通じて、職員が相互に支援の振り返りを行う環境を設定しています。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設の基本理念に「入所施設からの地域移行の取り組みの推進」を掲げ、地域で生じる様々な困難さや障壁の軽減を目指して支援を推進し、「チャレンジ・安心・選択できる地域移行の取り組みを推進する」ことを明示しています。利用者の心身の状況に合わせて、基本的な生活習慣の確立を促すとともに、生活訓練を通じて掃除や片づけ、整理整頓など、身辺の自己管理に向けた支援を行っています。また、集団生活を通じて、協調性や社会性など社会生活に必要なスキルを身に付けられるよう支援しています。支援にあたっては、利用者の希望を尊重し、主体性を大切にした関わりに努めるほか、各々の生活課題に対して達成しやすい小さな目標を組み合わせることで成功体験を重ね、達成感や自己肯定感を高めることができるよう配慮しています。地域移行後の安定した生活の維持・継続に向け、医療・福祉制度の利用手続きや障害福祉サービスの利用調整等の支援も実施しています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の自立と地域移行、社会参加に向け、利用者の特性や心身の状況に応じて、コミュニケーションスキルの向上を図り、より豊かに意思を表現できるようにするための支援を実施しています。アセスメントを通じて、利用者の状態を把握すると共に、医療・福祉関係機関や家族からの情報も加味して、より正確な障害特性の理解に努めています。生活訓練プログラムにSST(社会生活技能訓練)を取り入れ、ストレスとの向き合い方や他者との上手な関わり方について学習する機会を多数設定し、状況に応じたコミュニケーション方法の習得を支援するほか、必要に応じて地域リハビリテーションセンター等の専門機関と連携し、心理士等の専門家からの助言を支援内容に反映しています。聴覚障害の利用者に筆談で対応するほか、外国籍の利用者や漢字が苦手な利用者に対しふりがなをふるなど、利用者の状況に合わせて柔軟に対応しています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者ごとに担当職員を配置し、月2回以上の定期面談を実施して支援に対する意見や生活状況等を聴取するとともに、意見交換を行っています。また、利用者の希望や必要性に応じて、随時相談対応も行っています。聴取した内容は、支援係長やサービス管理責任者に伝達し、適宜個別支援計画に反映して、支援全体の調整を行うとともに、業務引き継ぎや職員会議等を通じて全職員で情報を共有し、実際の支援場面に応用しています。日中活動や退所後の移行先など、選択や意思決定が必要な場合は、選択肢ごとの利点や短所について詳しく説明し、本人の自主性を尊重した関わりに努めています。本人の心身の状態や理解状況など、個々の状況変化や障害特性等に応じて説明の仕方を工夫するなど、利用者の最大の利益の確保と共に、より主体的な意思決定に配慮した対応に尽力しています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画を作成し、個々の自立に向けた支援目標を明示しています。個別支援計画には「利用者の意向・希望」を明記すると共に、「支援者から見たニーズ」も併記し、利用者・職員の意見を踏まえた支援方針を明示して相互の認識に齟齬が生じないよう工夫しています。利用者の嗜好や特長にも着目し、個性を伸ばす関わりに努めるほか、支援目標と支援内容をより具体的に記述して、支援の一貫性にも配慮しています。日中活動の内容は、調理や清掃、服薬・健康管理など自活に向けた生活訓練プログラムをはじめ、絵画や創作、スポーツなどの活動も実施し、利用者の希望に応じて、自治体や関係団体等が主催する絵画展覧会やスポーツ大会などにも参加しています。活動内容は都度見直しを行うほか、利用者の要望を反映し、感染症対策やスマートフォンの使用方法、SNSでの対人交流のあり方など、利用者のライフスタイルに合わせたプログラムも実施しています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

川崎市の指定管理施設として、様々な課題があるため他施設での受け入れが難しいケースでも積極的に受け入れを行うと共に、研修の機会を多数確保して、適切に支援できるよう、体制整備と職員の資質向上に努めています。年度の研修計画に沿って、様々なテーマで毎月研修会を開催するほか、外部研修の伝達講習等も実施して、職員間で情報・知識の共有を図っています。コロナ禍により機会は減っていますが、法人系列の他施設や神奈川県内の宿泊型自立訓練事業所との交流研修を実施するほか、関係機関の職員を講師に招き勉強会を開催するなどの取組も行っています。利用者のケース検討を通じて、各々の障害特性や生活状況等に応じた支援のあり方を協議し、支援に反映しています。利用者の状態に合わせた居室の提供をはじめ、利用者間のトラブルにも即時対応し、関係修復のための支援を実施するなど、利用者の個別性に配慮した関わり・支援を行っています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の食事は、共同で施設運営を行う社会福祉法人育桜福祉会と同じ献立で、希望者に提供しています。栄養やバリエーション豊かな献立を準備し、季節のメニューや季節のフルーツデー、スイーツデーなど様々な企画を準備し、2種類の主菜から選択可能なセレクトメニューも用意しています。施設では自立に向けた生活訓練の一環として、食材購入から調理までの一連の流れを支援する調理プログラムを実施するほか、居住ユニットの調理スペースを活用し、利用者が自分で食事を準備できるようにしています。浴室は男女それぞれ2ヶ所ずつ設置し、使用時間内に順番を決めて毎日自由に入浴できるほか、菖蒲湯やゆず湯などの季節感も大切にしています。利用者の障害特性から、食事や入浴、排泄等の介助を要するケースはありませんが、体調不良等で必要な場合は、お粥や刻み等の対応のほか、同性の介助を実施しています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の居室は全室個室で、ベッドと照明器具、エアコン、冷蔵庫を設置しています。宿泊型自立訓練のうち2室はバス・トイレ・キッチン付きで、一般のアパートなど実際の地域生活の模擬体験が可能となっています。危険物を除き、スペースの許す範囲で私物の持ち込みが可能であり、もみの木ミーティングを通じて利用者同士で生活環境について話し合う機会を設けるなど、快適性とともに利用者の主体性を尊重した居住環境の提供に努めています。共有スペースは男女別にそれぞれキッチン付きのラウンジを設置し、医務室や静養室、相談室も配置しています。清掃は、共同運営の社会福祉法人が派遣するユニットキーパーと、障害者雇用のクリーンキーパーが担当し、平日は毎日実施するほか、職員も随時行っています。随所に手指消毒用アルコールを設置し、手すりなどの消毒を随時実施すると共に、空気清浄機や加湿器を設置して感染防止と生活環境の清潔保持に努めています。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

精神障害と知的障害を重複している方対象に、自立訓練事業と宿泊型自立訓練事業を昼夜一体の支援として実施し、日常生活能力の向上を目指しています。また、地域定着に向けて退所後も相談対応を行い、個別の状況に応じた地域資源の活用と関係機関との連携体制の構築、在宅からの自立訓練の受け入れ推進などを事業計画に明示して実践しています。訓練実施にあたり、関係機関からの情報提供や本人からの聴取内容のほか、アセスメントシートに沿って、生活リズムや金銭管理、対人交流、食生活、整容、清潔保持等の生活能力を詳細に確認し、本人の希望や意欲にも着目して課題を明確化しています。必要に応じて地域リハビリテーションセンター等の専門機関と連携し、理学・作業療法士など外部の専門職による機能評価の結果を個別支援計画に反映しています。活動プログラムの内容や実施状況は、毎月開催のSFA会議で確認し、3ヶ月に1回個別支援計画の見直しを行っています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の健康管理として、食事や感染予防、嘱託医による面接等を事業計画に明示し、実践しています。毎朝検温するほか、平日活動前に「朝ミーティング」を開催し、利用者から自身の体調について申告してもらい、利用者一人ひとりの状態把握に努めています。利用者が自分から心身の不調を職員に伝えることで、利用者が自身の病気を正確に理解し、症状に対処する力をつけると同時に、自分の意思を明確に表明することで、他者とのコミュニケーションの円滑化を図ることを目的としています。健康管理をテーマに、各々の基礎体温やBMI、生活習慣等を振り返り、健康増進について話し合う活動プログラムを設定するほか、月1回健康デーを設け、自身で体重や血圧を測定して状態を把握し、健康管理の意識付けを図る取組も行っています。一方、利用者の健康管理に関する職員研修は行っていません。看護師による健康相談は次年度から実施予定としています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:非該当】

非該当

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の自立と社会参加に向け、地域社会との交流機会の提供に注力しています。地域行事の開催案内を施設内に掲示するほか、活動プログラムを通じて、自治体や関係団体等が主催する絵画展覧会やスポーツ大会など、地域のイベント情報を伝達し、利用者に参加を呼び掛けるほか、地域の障害福祉サービス事業所などの関係機関と随時連携し、他施設と合同のバスハイクやもちつき交流会等の行事にも積極的に参加しています。外泊・外出は特別な事情がある場合を除き、所定のルールに沿って原則自由とし、家族や友人等との関係性を踏まえ、適切な交流を保つことができるよう支援しています。工場見学など社会勉強の機会を設けるとともに、利用者の希望や興味・関心などに応じて、精神科デイケアや地域活動支援センター、就労事業所など、外部の日中活動に関する情報提供を随時実施し、見学や体験利用の調整を行うなど、利用者の活動意欲を高める関わりに努めています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

基本理念「入所施設からの地域移行の取り組みの推進」の下、「チャレンジ・安心・選択できる地域移行の推進」をテーマに、自立に向けた様々な支援を行っています。規則的な生活習慣の獲得や清潔保持、金銭・服薬の管理など、自活のためのプログラムを実施するほか、感染予防や健康管理、対人交流など、実生活に必要な知識習得の機会も提供しています。日中活動系の福祉サービスや地域行事等の情報を積極的に伝達して参加を促すなど、利用者の活動性向上にも尽力しています。施設の卒業生によるOG・OB会を発足し、地域移行の体験談を聞き、意見交換する機会を定期的に設けて、利用者が自立や地域移行の意欲を高めることができるようにしています。地域移行を進める際は、市・区の担当課や地域リハビリテーションセンター、医療機関、相談支援事業所等と連携し、福祉サービスの利用調整を行うなど、利用者が安定した地域生活を送れるように取り組んでいます。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設の基本理念に「地域生活支援型施設としての社会資源機能の充実」を掲げ、長く暮らし続ける入所施設ではなく、地域移行の取組や地域での生活を支える「地域生活支援型施設」として、地域の関係機関や家族等と連携して支援することを明文化し、家族等との連携・交流と家族支援の推進に努めています。なお、身寄りがないケースや家族との関係性に課題のあるケースが多い一方、入院対応や住まいの確保など、家族等の協力が不可欠な場合も多く、利用者や家族等の意向を尊重しつつ、双方にとって過度の負担とならないように配慮しています。担当職員を中心に、利用者の状況を定期・随時で報告し、電話連絡や個別面談、関係機関を交えたカンファレンス等も実施しています。入所前に予め家族等の意向を聴取し、必要な協力要請を行うほか、契約締結時には利用契約書等に基づいて連絡方法や具体的対応等を説明して同意を得るなど、対応をルール化しています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外