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横浜市松風学園

2025年03月24日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 特定非営利活動法人よこはま地域福祉研究センター

② 施設・事業所情報
名称 横浜市松風学園 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 障害者支援施設(施設入所支援+日中活動事業) 定員 施設入所支援 51名  生活介護  59 名
所在地 245-0018
横浜市泉区上飯田町1987
TEL 045-802-0441 ホームページ https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/fukushi-kaigo/ fukushi/annai/shien/matsukaze/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1960年10月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 横浜市
職員数
常勤職員:83 名
非常勤職員:23 名
専門職員
支援員:88 名
看護師:5 名
管理栄養士:1 名
作業療法士:1 名
心理職:1 名
施設・設備の概要
居室:55
設備等:厨房、体育棟、医務室など

③ 理念・基本方針
基本理念
松風学園は、一人ひとりが輝き、尊敬し、支え合う地域社会を実現します。

中期的な松風学園運営方針
1 利用者本位のサービス
 利用者本位のサービスを実現するため、一人ひとりにあった個別支援を追及し、利用者満足度を向上するためのプロセスを大切にします。
2 地域や関係機関との協働
 市民サービス向上のため、松風学園の職員は全員で協力して利用者支援にあたるとともに、自治会町内会など地域の関係機関、関係施設の方々との協働を積極的に進めます。
3 適正な施設運営
 個人情報やプライバシーの保護を徹底します。一方で、業務の透明性を確保するため、情報公開の原則に立ち、運営状況を積極的に開示します。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
横浜市松風学園は、障害者総合支援法に基づく施設入所支援、生活介護、そして短期入所の障害福祉サービスを提供する事業所です。強度行動障害などの理由により、民間他施設での支援が困難な障害者を、行政からの要請により受け入れるなど、横浜市内唯一の市立直営施設として、60年以上に渡り、泉区上飯田町で地域の方々とともに歩みを進めてきました。
施設では、現在再整備事業を進めていて、2022年(令和4年)には新たな居住2棟(東棟)が完成し、全居室が個室となりました。それに伴い、一部の利用者が隣接する障害者支援施設に移行しています。2025年(令和7年)には日中活動棟が完成し、庭に面した家庭的な雰囲気の中で日中活動の充実が図られる予定です。今後も、居住1棟(西棟)、管理棟、体育棟など順次改築されていく予定となっています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2024/06/13(契約日) ~2025/03/12(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 0 回(年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 ◆一人ひとりの利用者の意向を尊重した支援を実践しています
「倫理綱領・職員信条(クレド)」に利用者の意向の尊重を掲げ、年2回の研修で職員に周知しています。職員は日々の関わりの中で利用者の言葉や表情、反応などを丁寧に拾って記録し、利用者の好みや表現方法などを把握しています。利用者の様子を見守り、生活の場面の中で見せる些細な行動などの利用者のエピソードを具体的に記録することで思いを汲み取り、利用者の良さや強みを生かした支援につなげられるようにしています。食事や個別支援での買い物などで自己選択の機会を多く作り、利用者が意思を表出しやすいようにしています。把握した情報は「手掛かりシート」にエピソードとともに担当支援員が領域別にまとめ、複数の支援員によるチーム会議で支援の方向性について検討して個別支援計画に反映し、利用者の意向を尊重した支援につなげています。

◆内部、外部を問わずに専門性を取り入れ、多職種で連携して支援しています
施設は、市内唯一の市立直営施設として、強度行動障害など他施設では受け入れが困難な利用者を多く受け入れています。そのため、強度行動障害や意思決定支援などの園内研修や委員会を通して、専門知識の習得や知識の向上を図り、利用者の課題に対応した支援の実践を目指しています。横浜市の職員であるため、異動により障害だけでなく高齢や児童など様々な部署を経験した職員がいて、幅広い知識や経験が支援にいかされています。
支援にあたっては、支援員だけでなく、必要に応じて、看護師、管理栄養士、作業療法士、心理職など多職種が連携して利用者の課題について検討し、支援方法や環境構成の見直しをしています。また、不適切行動などの行動障害のある利用者に対しては、外部のコンサルテーションを受けて支援実践委員会で検討し、絵カードや写真を用いた視覚に訴えるコミュニケーションツールを取り入れたり、高齢化による機能低下が見られる利用者に対しては、定期的に横浜市総合リハビリテーションセンターの理学療法士に評価を受けるなど、外部の専門家の助言や指導も積極的に取り入れ、支援の充実を図っています。

◆重点項目に掲げる地域移行の取組をさらに進めていくことが期待されます
施設では、事業計画に利用者の地域移行・施設移行の推進を掲げ、地域移行を希望する利用者に対しては、施設外の日中活動先を確保し、地域との関わりを経験してもらうことで地域移行へのきっかけ作りをしています。また、個別支援計画に基づき、自分の物の管理や整理整頓、掃除、洗濯など自立に必要な力が身につくように支援しています。今回の施設の再整備に伴い、隣接する障害者支援施設への移行にあたって、複数回の面談を重ねて本人の意思確認を行い、移行後も毎月連絡会を行うなど丁寧に対応していますが、ほかに地域に移行したケースは少なく、施設では今後も利用者の希望や状況に応じた地域移行の取組を進めていきたいと考えています。地域移行を推進するためにも、地域移行支援計画やアフターケア計画の作成など、地域へ「障害者理解を深めるための発信」をするなど、地域移行のさらなる推進に向けた取り組みが期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
当施設は市直営であり、職員(公務員)の異動が多い中でサービスの品質を維持するという使命を抱えています。また最近では、複数年にわたる再整備事業や感染症拡大の影響で、イベントや利用者の外出が減り、利用者のQOL(生活の質)が制限されるとともに、地域住民の方との関係も希薄化していることが課題となっていました。
そこで、当施設の置かれている状況を客観的に把握し、より良い施設運営を目指すため、第三者評価を受審することとしました。
多くの質問項目に回答し、そのために業務を洗い出すのは骨の折れる作業でしたが、上記の受審理由を考慮すると、やはり受審してよかったと思います。すべての項目で最高評価をいただけたわけではありませんが、それは乗り越えるべき課題と考えています。
これからも人権を尊重し、地域に愛される施設を目指し、施設運営を推進します。そして、公立施設としての役割を果たしていきます。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

当施設の基本理念は「松風学園は、一人ひとりが輝き、尊敬し、支えあう地域社会を実現します」としており、横浜市のホームページに松風学園のパンフレットが掲載されています。支援における考え方として利用者の人権を守り、個性を尊重する、利用者本位の質の高いサービスの提供、地域生活移行の支援を掲げています。基本理念、支援における考え方は新採用・転入職員研修で周知しています。利用者、家族へは利用者の自治会が運営する「みんなの会議」、家族会で周知を図っています。事業計画にも基本理念、支援における考え方を記載しています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

横浜市健康福祉局内の管理職会議で社会福祉事業全体の動向について把握しています。横浜市入所施設の施設長会議や泉区障害者自立支援協議会に参加し、横浜ふくしネットワーク(市内障害者施設による団体)にも加盟して福祉サービスのニーズ等、情報収集をしています。泉区地域福祉保健計画は地区ごとにも計画があり、地域の福祉ニーズの現状、課題を把握し、ショートステイの受け入れ、困難ケースの受け入れ等、地域のニーズに対応するよう努めています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

経営課題については健康福祉局等の会議で財務状況、職員体制等、具体的な課題を明確にし、施設内の会議で職員に周知しています。現在、居住棟、日中活動棟など施設の再整備が行われており、入所定員増やショートステイの需要に応じた支援の提供、職員体制の整備などを課題としており解決に向けて取り組んでいます。また、入所者の人権についても意識改革に力を注いでいます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

横浜市の中期計画に障害児・者支援についての政策が明文化されており、障害のある人が安心して生活できるよう松風学園の再整備等、地域での暮らしを望む障害者に対する相談支援等に取り組んでいます。また、横浜市健康福祉局の方針として、分野を超えた包括的な対応により「今日の安心、明日の安心、そして将来への安心」を目標とし、目標達成に向けて障害者の地域生活を支える共生社会推進に取り組んでいます。施設の事業計画には利用者本位のサービス、地域や関係機関との協働、適正な施設運営を目標として掲げていますが、達成するためのより具体的な成果等を設定することが期待されます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

横浜市の中期計画を踏まえ施設の各部署の係長が分担して事業計画を策定しています。令和2年度から人権・虐待防止について障害者の特性を理解し、個別支援を行うことに取り組み、令和6年度の事業計画に取り入れています。事業計画は再整備プロジェクト、人権委員会、利用調整委員会等、日頃から委員会や会議等での職員の意見を集約し事業計画に反映しています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

各部署の係長が策定した事業計画は職員に配布され会議でも周知をしています。事業計画のうち虐待防止取組計画の見直しは4半期ごとに行っており、項目ごとに各部署の係長が振り返りと評価を実施し、園長が見直しをしています。実施状況の把握については毎朝のミーティングや委員会、会議等で把握し、責任者会議で情報を共有しています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

事業計画は利用者自治会が運営する「みんなの会議」や役員会で、家族に向けては家族会で周知、説明をしています。居住棟や日中活動棟など建替えや設備の修繕等、利用者に分かりやすく説明しています。家族会に加入していない家族等には面会のときに説明、広報紙でも日常の活動等施設の取り組みや設備の環境整備等を載せています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

利用者支援、提供しているサービスについて各部署の会議で利用者への対応、声のかけ方、利用者にどのように伝わっているか意見を出し合い利用者支援の振り返りをしています。今年度より事業計画に職員信条(クレド)を取り入れ職員一人ひとりが信条(クレド)を持って支援に従事しています。人権・虐待防止について職員自己チェックを実施し、虐待防止取組計画は4半期ごとに人権委員会で見直し、評価をしています。苦情受付については担当者、解決責任者の顔写真を載せて掲示しており、サービスの質の向上に向けて取り組んでいます。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

人権委員会で見直した虐待防止取組計画は横浜市健康福祉局に提出しています。職員信条(クレド)を事業計画に取り入れたことで人権、虐待防止についてオープンになり、利用者の呼称について議論する場が設けられ職員の意識を高めることができています。また、福祉オンブズパーソンが来訪し、職員と意見交換を行っています。利用者支援、福祉サービスの向上に向けて取り組んでいます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

横浜市が運営管理する施設であり、施設の理念・基本方針は明確に示されています。単年度の事業計画書に利用者の生活がより豊かなものになるよう職員全員が「チーム松風」として果たすべき役割を全うすると表明しています。園長の役割・責任を含む職務分掌は横浜市のホームページで公表されています。有事の際は園長が、園長不在の場合は管理係長に権限を委任しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

園長は横浜市職員行動基準に基づいて人権・環境に配慮し、誠実・公正に行動する等、職員がいきいきと働ける環境づくりに取り組んでいます。取引業者等の関係機関とも適正な関係を保持しています。新採用職員は横浜市職員服務規程や遵守すべき法令等を採用時の研修で学んでいます。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

障害者施設のサービスの現状について、泉区の自立支援協議会、横浜市の障害者施設の施設長会議等で把握しています。施設内では各種委員会や会議に参加して課題等を把握しています。横浜市で決められている職員面談は年2回ですが、施設では係長との面談を年4回実施して職員が意見を言いやすい環境を作っています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

現在、施設の再整備で職場環境、業務の動線などの効率性があがっています。年次有給休暇や夏季休暇の取得推進のほか、各部署の係長との面談ででメンタルヘルスについても職員の声を聴いています。超過勤務削減にも取り組み、委員会や会議は長時間にならないよう時間配分を決め、可能であれば書面開催も取り入れて職員の負担軽減につなげています。横浜市で行う職員のストレスチェックでは平均を上回り働きやすい環境が作られていることがうかがえます。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

必要な人材の補充、確保については横浜市で採用活動を行っています。正規職員のほか、会計年度任用職員については園で採用しています。産休・育休の取得も柔軟に対応しており、中途退職者はほぼおらず、計画にもとづいて人材管理がおこなわれていることがうかがえます。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

横浜市職員行動基準があり市民に信頼され自ら行動する職員として5つの行動基準が定められています。また、施設には松風学園倫理綱領を、個人の尊重、個別性、意思決定など一つの言葉としてまとめた職員信条(クレド)があり、職員それぞれがそのうちの一つを選び自分の信条としながら従事しています。職員自己評価で個人目標を設定し、係長との面談で異動やキャリアアップについての意向等を聞いています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

係長は職員との面談でシフトの希望やストレスの有無、仕事に関する悩みなどの聞き取りをしています。内部研修にはセルフケアの研修があり、健康に関して不安なことがある場合は、総務局職員健康課が設置する「こころの健康相談窓口」でも相談を受けることができます。委員会・会議は短時間で効率よく話し合いをし、他施設との会議ではオンラインで開催することもあります。有給休暇、産休・育休取得を推進し、超過勤務の削減、利用者支援についての話し合いは少人数のチームで行うなど働きやすい職場づくりに取り組んでいます。職員は横浜市の異動サイクルにより、施設での勤務年数が3~10年となっており、その間に退職することはほぼありません。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

横浜市の職員人事考課実施要領に沿って、職員は担当業務、今年度の業務目標、能力開発・能力活用等に関する具体的な目標を年度初めに設定し、目標共有シートを作成しています。横浜市で定められた係長との面談は年2回ですが、施設では年4回の面談を行い、中間で取り組み状況、目標達成度を確認しています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

施設内研修は新採用・転入職員、全職員、希望者等を対象にした年間の研修計画があります。外部研修、外部から講師を招いての研修も研修計画書に記載があり、開催時期についても明記されています。研修のテーマは感染症、アンガーマネジメント、人権擁護・意思決定支援等、全職員対象の研修や、強度行動障害、暴力防止サポート等、新採用・転入職員対象のものがあり、外部研修では他施設視察研修、絵カードや写真を用いたコミュニケーションの研修等、専門性を高める研修が計画されています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

新採用・転入職員を対象にしたOJT研修のほか、責任職等、階層別・職種別、経験に応じた研修があります。摂食・嚥下機能評価、リハビリ相談等専門職の研修や感染症に関しては感染対策委員と希望者を対象にしています。人材育成については横浜市人材育成ビジョンに基づいて育成・支援をしており,経験が3~5年の職員が新採用の職員を指導するトレーナー制度があります。新任のトレーナーには研修があり、経験豊かな職員からの助言を受けながら新任職員の指導にあたっています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

福祉大学・短期大学から実習生を受け入れています。受け入れ窓口は地域支援コーディネーターが担当し、実際の指導は居住棟の職員がフロアで調整します。地域支援コーディネーターは事前に実習生のプロフィール、実習目的を確認して実習プログラムを作成しています。実習前に、守秘義務、人権、事故防止・回避等についてオリエンテーションを実施しています。実習期間中は自宅で検温、健康管理をすることとしています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

横浜市のホームページに松風学園のページがあり、パンフレット、事業計画書、事業報告書が公開されています。パンフレットには基本理念、支援における考え方が明示されています。事業計画書には事業目標が明記されており、障害特性への適切な支援・地域移行等、利用者本位のサービスについて、地域の関係機関との連携・ネットワークづくり等、地域や関係機関との協働についてなど公立の施設としての取り組み、役割を明示しています。令和6年度からは虐待防止取組計画も事業計画に取り入れ、より良い支援の実践に向けて取り組んでいます。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

施設の組織図があり果たすべき職務や責任が明確にされています。概ね3年に1回横浜市の実地指導があるほか、福祉オンブズパーソンの訪問を受け施設運営、福祉サービス等について意見をもらっています。今年度から義務化された地域連携推進会議を開催しました。虐待防止委員会には地区センターの職員が参加しています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

地域との関わりについて事業計画に基本的な考え方を明記しています。週末は買い物や外食で商業施設を利用しています。地域の中学校の文化祭には利用者の作品を出展し、泉区の福祉施設と協力して区役所のロビーで作品展を行っています。地区センターのお祭りでは利用者が販売員になり染物のハンカチの出店をしています。福祉施設・事業所をまわる泉ふれあいシールラリーの会場にもなっており、地域と良好な関係が作られていることがうかがえます。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

ボランティア受け入れについてはマニュアル化されており、コミュニティワーカーが担当しています。ボランティア希望者には事前に見学をしてもらい、登録後に利用者の呼称や人権、守秘義務等について説明しています。また、利用者に接する時は利用者の年齢に応じた接し方をしていただきたいことをお願いしています。散歩のボランティアの場合は職員も一緒に行くことを基本としています。また、学校教育にも協力し、中学生のふれあい体験も受け入れています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

地区センター、基幹相談センター、外部の通所施設等、関係機関と地域の団体等はリスト化されています。近隣の障害者入所施設と毎月連絡会をして行事予定などを共有しています。地域ケアプラザ、学校関係、自治会、近隣の福祉施設とは顔の見える関係づくりに取り組んでおり、障害者グループホームに入居された方が話をしに来たり、相談に来たりしています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

泉区自立支援協議会、泉区社会福祉協議会等の部会に出席し、園の状況を報告するとともに他施設の状況等を共有しています。地域の障害者支援のニーズについても意見を出し合い、地域のニーズに対応できるよう努めています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

泉サポートプロジェクトに参加して、地域のヤングケアラーや子ども食堂について検討するなど地域貢献に取り組んでいます。現在、再整備事業が行われているため休止していますが、以前は施設のグラウンドを開放して災害時の炊き出し訓練の場所として提供していました。園の行事には地域住民に声をかけまつりを開催していました。今後は、地域の方に向けて施設の取り組みや障害者支援等について情報を発信したり、障害者理解を深めるための研修を実施するなど、共生社会推進に向けて更なる取り組みに期待します。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

基本理念に「利用者一人ひとりの『人権』を守り、個性を尊重します」と明示し、松風学園倫理綱領の第1条に個人の尊重を掲げています。利用者の尊重を基本姿勢とした業務マニュアルを整備し、全職員で見直し取り組んでいます。新採用・転入職員にはOJTで理解を促しています。利用者の権利擁護を推進するために月に1回人権委員会を開催して、身体拘束事例の検討など、基本的人権に配慮したより良い支援の実践に向けて取り組んでいます。全職員に年2回人権に関する研修を行い、新採用・転入職員には園長の講話で利用者の尊重や基本的人権への配慮について研修しています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

基本理念及び、松風学園倫理綱領に個人の尊重と人権擁護について明示し、プライバシーの保護についても明記しています。基本となる業務マニュアルにプライバシーの保護に配慮した支援を明示しています。利用者の居室は個室になっていて、プライバシーの守られた生活ができるようになっており、職員が必要に応じて入室する際には声掛けやノックなどをすることを申し合わせで確認しています。居室は利用者の意志で必要に応じて施錠できるようになっていて、利用者間でも他の人のプライバシーを尊重するよう支援しています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

理念や基本方針、施設の概要や活動内容が分かるパンフレットを作成し、ホームページに掲載して誰でも見られるようにしているほか、区役所の関係部署や基幹相談支援センターに配布し、市民からの希望や職員が必要と判断した場合に手渡せるようにしています。パンフレットは写真や図を用いてわかりやすいように工夫して作成し、利用希望者に配布する「松風学園のご利用にあたって」の資料は大きめの文字で、利用者の関心事に沿った項目立てになっており、わかりやすい表現で作成されています。施設は再整備工事中であり、工事の進捗など必要に応じてパンフレット等の改定も行っています。施設の見学はケースワーカーを通じて随時行い、体験入所や短期入所なども必要に応じて受け入れています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

福祉サービスの開始・変更に当たっては、意思決定や内容の理解が難しい利用者も多いため、利用者家族等の協力を得ながら、個別支援計画を写真やイラストを用いるなどわかりやすいように工夫して利用者に説明し、個別支援計画策定会議に反映できるようにしています。新規で利用を開始する場合には、短期入所(体験)を行えるようにしています。利用開始にあたっては重要事項事項説明書でサインを交わして、記録を保存しています。居住棟の新設にあたっては、住環境が大きく変化することを見据えて、半年くらいの期間をかけて、利用者に説明したり、体験してもらうなど丁寧に理解、納得を図りました。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の施設・事業所の変更や家庭への移行にあたっては、必要な情報を提供し福祉サービスの継続性に配慮した対応に努めています。個別支援計画書に地域移行の項目を設けて、計画と振り返りが行るようになっています。施設の再整備工事に当たり、隣接する障害者支援施設泉の郷まつかぜに利用者が移行するにあたっては、複数回の面談を重ねて本人の意思確認を行い、利用者家族を含めた説明会・見学会・職員の紹介など丁寧に行いました。今年度は毎月障害者支援施設と連絡会を行い、移行した利用者の情報を共有しました。サービス利用が終了した後もコミュニティワーカーが相談・支援に当たることをパンフレットで知らせています。今後、地域移行の促進を見据えて、アフターケア計画の策定など、さらなる地域移行への取り組みと支援体制の充実が期待されます。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

日常の支援や利用者の活動の状況などを丁寧に記録し、個別支援計画の作成、振り返りを含めて、利用者それぞれの好みや特性の把握に努めており、利用者家族等の意向や希望なども汲み取りながら、利用者満足の向上に努めています。日中活動についても、その日の希望や状況を見ながら、クラブ活動として日々変化のある内容を提供しています。個人の嗜好や好き嫌いを把握する「手掛かりシート」を年1回作成・見直しています。利用者自治会が運営する「みんなの会議」を月1回開催し、毎月の誕生日のお祝いやレクリエーションなどを行っています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

苦情解決責任者を園長とし、5名の係長を相談窓口として、更に外部から2名のオンブズパーソンを設置して、苦情解決の仕組みを確立しています。苦情や相談の内容は記録し、オンブズパーソンの活動は毎月報告され、苦情や相談については年1回は横浜ふくしネットワーク総会で報告しています。家族会を毎月行い、家族からの相談や苦情を受け付け、状況の報告も行っています。書面での相談や苦情については、玄関ポストや施設宛ての封筒を入り口に設置していつでも受け付けていることを示しています。家族会では、コロナワクチン接種や服薬に関する相談なども自由に出されています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

「松風学園の皆さんへ」として苦情解決の仕組み、窓口を担当者の顔写真を入れ、わかりやすく作成して、居住棟などに掲示して利用者が相談できる体制を表示しています。相談窓口は5人の係長や2人のオンブズパーソンも掲載しています。かながわ福祉サービス運営適正化委員会のポスターなども掲示し、複数の相談窓口や方法があることを知らせています。また、相談には主に各居住ユニットの係長が対応し、出された相談や意見については園長に報告しています。相談に際しては、管理棟の相談ブースや個別に話せる場所を確保し、プライバシーに配慮した環境を提供しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

職員は利用者の様子を丁寧にとらえて、日々の変化や様子を記録して職員間で共有し、困りごとや相談に対応できるよう努めています。言葉になりにくい利用者の要望や相談事も受け止めて、福祉サービスの提供に活かせるようにしています。食事場面などでは喫食状況や利用者の好みなども受け止め、メニューや形状に反映できるようにしています。最近では家族に利用者の様子を伝える「みんなの新聞」に掲載する個人の顔写真の表示に関するアンケートを実施して、意向の把握に努めました。職員は相談や意見を聞いた際は個人記録に残し、ユニットの係長に報告し、必要に応じて園長の判断を仰いで速やかに対応するようにしています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

セーフティマネジメント委員会を設置し「事故報告書」「ヒヤリ・ハット事例報告書」を作成・共有して、安心・安全な福祉サービスが提供できるよう努めています。外出時の救急対応や誤嚥、所在不明時、感染症など様々な状況を想定して各種対応のマニュアルを整備し、職員に向けて年1回リスクマネジメント研修を行い周知しています。月1回セーブティマネジメント委員会を開催してリスク原因の分析を行い、再発防止策を検討しました。今後、利用者の高齢化に伴う機能低下も予想されるため、高齢化レベルの判断シートによる評価を取り入れるなど予想されるリスクへの対応の準備に取り組んでいます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

日常的な衛生管理や安全対策は安全衛生委員会を中心に行っていますが、感染症予防や発生時の対応に関して、「横浜市松風学園感染対策指針」を制定し、責任者を園長とする感染対策委員会を設置し、職員の役割分担を明示しています。感染対策委員会は原則月1回開催し、感染症に関する最新の情報の把握に努め、定期的に指針や対応マニュアルの見直しを行うこととしています。職員に対しては年1回の研修と年2回以上の訓練を実施し、発生時に全職員で適切に対応できるよう努めています。ノロウィルスなど感染症の対応に関してわかりやすいマニュアルを作成し、発生時には医療機関や泉区福祉保健センター、健康福祉局障害施設サービス課等と連携して対策を講じることとしています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

災害に対処するために、横浜市危機管理指針、地域防災計画及び事務分掌に基づいた「横浜市松風学園防災マニュアル」を策定しています。人命保護を最優先に、資産の保護、業務の早期復旧、近隣住民等への協力を基本方針として、災害時には松風班防災本部を設置し園長を責任者(班長)とし全職員に役割を分担し担当ごとの責任者を定めて、組織的に機能できる体制を作っています。安否確認のための緊急連絡網、情報収集と提供、応急救護・初期消火・避難等、復旧対策、災害予防対策、防災訓練・防災啓発の各章を設けて詳細に定めています。食料や備品類等は3日分の備蓄を行い、管理係が管理・整備しています。施設の再整備工事完了を見据えて事業継続計画を策定中ですが、今後地域との協力体制や地域への支援体制を含めて早期に策定されることが期待されます。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

施設における標準的な実施方法を「標準業務マニュアル」にまとめ新人および転入職員に配付し、研修で説明しています。「標準業務マニュアル」は、パソコン上でいつでも確認できるようにしています。倫理綱領・職員信条(クレド)に、個人の尊重や人権擁護の姿勢が明記されています。利用者ごとの個別の配慮事項については、チーム会議を通じて個別支援計画に沿った支援対応マニュアルや手順書を作成し、それに基づき個別支援をしています。また、防災や虐待防止などについては、担当する各委員会が中心となってマニュアルを作成し、それに基づき取り組んでいます。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

マニュアルや手順書は、年度当初に関係する各委員会や係で見直しをし、職員に周知しています。また、ヒヤリハットなどが起きた時には係ごとに手順の方法を見直しています。全体に関わることについてはセーフティマネジメント委員会で検討し、マニュアルの見直しを随時行っています。個別の支援対応マニュアルは年1回の個別支援計画の更新時に、チーム会議でモニタリングをし、計画の内容を反映して見直しています。手順書の見直しにあたっては利用者の意向も反映しています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画の責任者は園長です。職員は日頃の支援の中で利用者の意向を把握して「意思決定支援に関わる手掛かりシート」に領域別に記載してチーム会議で計画の方向性を検討し、担当支援員が個別支援計画シートを作成しています。個別支援計画は、担当支援員、計画相談事業所、区役所のワーカー、家族や後見人などが参加する策定会議で検討して計画案を作成し、園長、係長、サービス管理責任者が承認してしています。利用者も策定会議に参加することがあります。参加できない場合にはあらかじめ利用者に見てもらって同意を得ています。必要に応じて看護師や管理栄養士、作業療法士など専門職の意見も反映しています。支援困難ケースについては、外部のコンサルタントのアドバイスや指導を受けて支援実践委員会で検討しています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画は年2回、チーム会議で振り返りをし、実施状況のモニタリングをしています。個別支援計画の更新は年1回実施していて、見直しが必要な場合には、関係者による個別支援計画策定会議を開催し、計画を策定しています。健康状態が著しく変化したなど、計画を変更する場合には、チーム会議の中で対応について話し合い、個別支援計画の支援対応マニュアルや手順書を変更しています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

利用者のエピソードを具体的に個人記録に記載することで、利用者の好きな物や嫌いな物、コミュニケーション方法などを把握し、利用者の意向に沿った支援につなげるようにしています。記録・意思決定支援委員会が中心となって利用者の個別記録をチェックし、統一性を図るための検討やルール作りをしています。新採用・転入職員に対しては、先輩職員がOJTの中で指導やアドバイスをしています。チーム会議、フロア会議、委員会などがあり、主な検討事項は園長および係長による責任者会議に報告して決定し、決定事項がおろされる仕組みとなっています。日々の利用者の様子は毎朝のミーティングと申し送りファイルで共有しています。ICT化に関しては来年度から記録システムを導入することになっています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

記録管理の責任者は園長です。「横浜市情報取り扱いの基本ルール」を踏まえ、利用者の記録の保管、保存、廃棄、情報の提供などについて定められています。漏えい時の対応については「個人情報漏えい事故防止マニュアル」に規定されています。個人情報に関わる書類は施錠できる棚に保管されています。パソコンはパスワードを用い、アクセス制限をかけています。職員に対しては、年1回個人情報保護の研修を実施しています。利用者および家族等には、利用開始時に重要事項説明書を用いて説明し、同意書を取っています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

倫理綱領・職員信条に自己選択・自己決定の尊重を掲げ、利用者一人ひとりの意思決定支援に取り組んでいます。職員は日々の関わりの中で利用者の言葉や表情、反応などを丁寧に拾って記録し、利用者の好みや表現方法などを把握しています。家族等からも情報を得ています。職員は利用者の様子を観察し、個別外出時での姿をその後の支援に生かすなど、利用者の意向を尊重しながら強みや良さを伸ばせるように支援しています。利用者の自主的な組織である利用者自治会があり、利用者、園長、係長、職員が参加する月1回の「みんなの会議」を運営しています。利用者役員会では職員の支援のもと「みんなの会議」の議事や今月の歌などを決めています。自分から意思を発しない利用者に対しては、職員は、日頃の行動や仕草などを丁寧に記録し、試行錯誤しながら意向を探っています。日々選択の機会を積み重ねることで、利用者が自分の意思を表出できるように支援しています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

虐待防止取組計画を作成し虐待防止推進に計画的に取り組んでいます。虐待防止マニュアルを整備し、虐待の定義や防止に向けた支援体制を整えています。倫理綱領・職員信条に個人の人権、人権擁護、自己選択・自己決定の尊重などを明記し、年2回、園長による研修を実施しています。また、外部講師による人権擁護研修やセルフチェックリストを用いた自己点検を行っています。自己点検の結果を受けて、利用者の呼称について話し合いをするなど、職員の気づきを大切にしています。家族に対しては、入所時に説明するとともに、毎月の家族会でも園の取組を説明しています。年1回園長、係長、オンブスパーソン、利用者家族などが参加する虐待防止委員会で、利用者の人権擁護、虐待防止および身体拘束の適正化などについて話し合うとともに、部会である毎月の人権委員会で具体的な事案をあげて話し合っています。マニュアルに一時的に身体拘束を実施する場合の手続きと実施方法を明確化し、緊急やむを得ない場合以外は、身体拘束をしないことを明記しています。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

支援員は、利用者のできること、できないことを見極めて見守り、自分でできることは自分で行ってもらい、できないことを援助しています。支援員は利用者の様子を観察し、その人の生活の流れやルールに合わせて服の置き場所を決めることで、利用者が自分でできるようにするなど、環境を整えています。地域移行を希望する利用者に対しては、居室の掃除、整理整頓、洗濯など、身辺の自己管理ができるように支援しています。公共交通機関を利用して買い物に出かけるなどの機会を設け、社会性が育まれるようにしています。支援員は、社会的ルールを守ることの大切さについて利用者が納得できるよう分かりやすく説明しています。日中活動先での工賃を含む日常的な金銭管理は、支援員が利用者の意向を確認しながら一緒に行っています。区の担当課と連携し、障害手帳の更新申請や成年後見制度の利用に繋げるなどの支援もしています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者一人ひとりの特性に合わせて、言葉だけでなくサインやジェスチャー、絵カードなど様々な方法を用い、利用者とコミュニケーションを取っています。意思疎通が難しい場合には、日常場面を通じて利用者の表情や行動、反応、身振り手振り、視線等を観察して、利用者の思いを探り、その人なりのコミュニケーションの方法を把握するようにしています。複数の選択肢を提示して利用者が選べるようにするなど選択の機会も多く作っています。支援員は利用者の様子を観察し、些細な行動や仕草なども記録し、チーム会議等でそれぞれの気づきを共有して利用者の思いやコミュニケーション方法を探り、支援に生かしています。話し合いの結果はミーティング等で共有し、皆が同じ対応をできるようにしています。困難ケースについては外部のコンサルタントからアドバイスを基に支援実践委員会で話し合い、支援に生かしています。個々の利用者に合わせた絵カードや写真などのコミュニケーションツールを用いるとともに、居室や活動場所を本人に分かりやすいように表示するなどしています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

担当支援員は、日々の関わりの中で、利用者とコミュニケーションを取り、相談に応じています。自分から意思表示が困難な利用者に対しては、言葉や表情、行動などを記録して、好きなことや楽しめること、苦手なものなどを把握するように努めています。おやつの時に複数の選択肢から選べるようにしたり、複数の活動の絵カードを提示して選択できるようにするなど、利用者の特性に合わせた情報を提供することで、選択・決定できるように支援しています。把握した情報は、エピソードとともに手掛かりシートに記載し、チーム会議で話し合い、個別支援計画の作成に生かしています。意思決定支援を推進するため、自分の思いを表出できる利用者は個別支援計画策定会議へ参加するようにしています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画を踏まえ、利用者の好みや希望、特性に合わせた日中活動や支援を実施しています。日中活動としては、スヌーズレンや運動、楽器などの集団活動を行う「ゆうゆうクラブ」、個別の課題に取り組む「たくみ」、散歩、園芸、外部講師による染物など多様なプログラムを用意しています。余暇活動として、利用者一人ひとりのニーズに合わせた散歩や買い物などの個別活動を実施しています。土日や休日などには、ボーリングやサッカー、居室でテレビやDVDを見るなど、それぞれの好みや趣味に応じて過ごしています。近くのショッピングモールに外出することもあります。レクリエーション活動として、縁日や花火大会、収穫祭、ふれあい牧場などを実施しています。地域のお祭りに参加したり、中学校の文化祭に作品を出展するなどし、地域住民と交流しています。利用者の高齢化に伴い、作業療法士や外部の理学療法士も関わり、支援の見直しをするなど、多職種で連携して高齢化対策をしています。なお、現在整備中の日中活動棟の完成後には、昼食もユニットの枠を超えて一緒に行うなど、さらなる日中活動の充実が図られる予定です。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

強度行動障害や意思決定支援などの園内研修や委員会を通して、専門知識の習得や知識の向上を図っています。担当支援員を中心に複数の支援員でチームを作り、利用者の特性や課題を共有し、支援の方向性について話し合っています。行動障害のある利用者に対しては、外部のコンサルテーションを受けて支援実践委員会で検討し、絵カードや写真を用いた視覚を通じたコミュニケーションツールを取り入れたり、環境の見直しをしたりしています。利用者がなぜ不安定になっているかを分析した結果、食事提供の仕方を見直したら落ち着いた、かかりつけ医に相談して服薬の量を調整したらよくなったなどの事例があります。他の利用者の様子が気になって食事ができない利用者に対しては、時間をずらしたり、椅子の位置を変えたりパーテーションを設置するなど、個々に合わせた対応をしています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

献立は管理栄養士と外部の委託業者が利用者の好みを踏まえて作成し、施設内の厨房設備で調理しています。看護師、管理栄養士、担当支援員、作業療法士など多職種が連携して、利用者の嚥下機能や摂食機能に合わせて常食、全かゆ、ミキサー、きざみなどの食形態を決めています。食事は、厨房で盛り付けたものを、ユニットの支援員が食形態をチェックして利用者に合わせた食具を用意したり、小分けにするなどし、配膳しています。食事はユニットのリビングで家庭的な雰囲気の中でしています。他人が気になる利用者にはパーテーションを設置したり、時間をずらすなど個々に合わせて調整し、落ち着いて食事を楽しめるようにしています。利用者が食を楽しめるよう、年3回のお楽しみ昼食会、毎月の誕生膳、季節の行事食なども提供しています。利用者の希望や状況により対応し、家庭的な個浴でゆったりと入浴できるようにしています。作業療法士が評価をし、個々の状況に合わせて一般浴や介助浴、機械浴を提供しています。入浴支援や排泄支援は同性介助とし、個々に合わせた支援をしています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

居室は全て個室で、広々として明るく、ベッドとエアコン、棚を設置しています。テレビやCD、趣味の物などの私物を持ち込み、利用者は思い思いに居室で落ち着いて過ごすことができます。居室を施錠することもでき、プライバシーへの配慮がされています。ユニットごとにテレビやソファーが設置されたリビングがあり、食事をしたりゆったりとくつろいだりできるようになっています。各ユニットには、2つの浴室とトイレ、洗面所が設置されています。共有部分の清掃は委託業者が行っていて、清潔に保たれています。居室は支援員が利用者と一緒に清掃しています。月1回業者による布団乾燥を行い、シーツは毎週交換しています。利用者の状況や希望により、ベッドでなく床に布団を敷いて眠ることもできます。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者のコミュニケーション能力、対人関係、ADLなどについてアセスメントし、個別支援計画を作成して日常生活の中で生活動作の訓練や生活訓練を行っています。利用者の意向や状況に合わせて、体操やストレッチ、散歩などを日中活動に取り入れています。利用者本人のやりたいことを重視し、散歩が好きでない利用者には、郵便を出しに行くお手伝いを頼むなど、自分から行きたいという気持ちになるように働きかけています。支援員による生活訓練のほか、作業療法士が評価して、車いすや椅子の選定をしたり、心理職が面接してアドバイスをするなど、多職種が連携して支援をしています。高齢化による機能低下が見られる利用者に対しては、定期的に横浜市総合リハビリテーションセンターの理学療法士に評価を受けて助言や指導を受け、個別機能訓練計画を作成して、個別に歩行訓練や運動などをしています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

常勤看護師が日中常駐し、利用者の健康管理をしています。看護師は、毎朝のミーティングで利用者の状況について聞き取るとともに、ユニットを回って利用者の様子を確認し、支援員の相談に応じています。全利用者を対象に1日2回の検温、月1回の血圧測定、体重測定をし、健康状態を把握しています。年1回の健康診断、耳鼻科検診、月1回の内科検診を利用者全員に、年1回の乳がん検診を女性利用者全員に実施しています。また、月3回精神科医、月2回皮膚科医の往診のほか、必要とする利用者への通院支援を看護師が実施しています。年3回横浜市歯科医療保健センターの歯科医と歯科衛生士による嚥下評価を受け、食形態や食具の選定に反映しています。また、利用者の高齢化に伴い、横浜市総合リハビリテーションセンターの理学療法士によるレベルチェックを実施し、連携して身体機能が維持できるように支援しています。体重が減少した利用者には栄養補助食品を提供したり、散歩や体操などを活動に取り入れるなど、個々の利用者に合わせて健康維持・増進のための支援をしています。毎月の「みんなの会議」には看護師が季節ごとの健康や感染症、熱中症対策などの話をしています。利用者の体調変化時などには、看護師にいつでも連絡して相談し、指示を仰げる体制があります。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:b】

健康管理やアレルギー対応等のマニュアルを策定し、看護師が中心となって、医療的な支援をしています。服薬管理マニュアルを整備し、薬は利用者ごとに医務室で一括管理しています。定時薬については、看護師が2週間分を利用者ごとの袋に配薬し、ダブルチェックしてフロアに渡し、各フロアで管理して夜勤者が翌日分をセットしてダブルチェックし、与薬の際にも複数の職員でダブルチェックしています。頓服薬については医師の指示に従って投薬しています。薬の情報はミーテイング等で職員間で共有しています。てんかんなどの慢性疾患を持つ利用者については、主な症状と緊急時の対応を支援対応マニュアルに記載し、職員間で共有しています。現在必要とする利用者がいないため、医療的ケアは実施していません。利用者の高齢化や重度化が進んでいることもあり、施設では医療的ケアを必要とする人の受け入れを課題ととらえています。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

日々の関わりの中で、利用者の好みや希望を把握し、近隣の散歩や買い物、外出などの個別支援を実施しています。近隣のショッピングセンターに買い物に行くなどしています。公共交通機関を利用する経験をすることで、社会性を身につけられるようにしています。また、地区センターのお祭りで利用者が販売員となって接客をしたり、地域のお祭りに参加したり、中学校の文化祭に作品を出展するなどし、地域住民と交流しています。ふれあい牧場では近隣の施設の利用者や保育園児と交流しています。家族等と外出や外食をしたり、外泊する利用者もいます。利用者の課題に沿った個別活動を取り入れることで、利用者の良さを伸ばせるように支援しています。なお、利用者の高齢化や重度化などで、遠くまでの外出や社会体験などは難しくなっています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

地域移行を希望する利用者に対しては、本人や家族の意向を丁寧に確認し、個別支援計画書に基づき支援をしています。施設外の日中活動先を確保し、地域との関わりを経験してもらい、地域移行へのきっかけ作りをしています。また、計画に基づき、自分の物の管理や整理整頓、掃除、洗濯など自立に必要な力が身につくように支援しています。土日にはおやつ作りも経験しています。今まで地域移行した際には、計画に基づきグループホームの見学や体験利用をして具体的なイメージが持てるようにするほか、計画相談員との定期面接、地域の相談機関の相談などを実施し、移行後も相談にのるなどの支援をしました。地域移行を推進するためにも、今後は地域移行支援計画やアフターケア計画の作成など、地域移行のさらなる推進に向けた取り組みが期待されます。なお、今回の施設の再整備に伴う隣接する障害者支援施設への移行にあたっては、複数回の面談を重ねて本人の意思確認を行い、利用者家族を含めた説明会・見学会・職員の紹介など丁寧に行い、移行後も毎月連絡会を行うなど丁寧に対応しています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

毎月、家族会を実施し、意見交換しています。家族会では、事業報告や事業計画、利用者の生活の様子など、施設の取組を説明しています。家族の高齢化に伴い参加者も少なくなっていて、家族によるボランティアなどの交流はなくなっています。家族以外の後見人等は、年1回、施設の再整備事業など施設運営に関する説明会に参加しています。新しく居住棟が完成した時には、内覧会も実施しています。年1回の個別支援計画の策定の際には計画案を家族や後見人に送付して意向を確認しています。策定会議へ参加も呼びかけていて4割ほどが参加しています。入院などの際には家族等に連絡して同意を取ったり、新型コロナウィルス感染症やインフルエンザなどのワクチン接種の際には、家族等の意向を確認するなど、必要に応じて家族等に連絡し、意見交換しています。家族等が面会に訪れた際には、フロアの担当職員が利用者の様子を伝え、意向を聞いています。利用者とは居室で落ち着いて過ごせるようにしています。利用者の様子を写真とともに掲載した「みんなの新聞」を年4回発行し、家族等に送付しています。家族等からの相談にも対応し、成年後見人制度を紹介するなどしています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】