社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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横浜市錦保育園

2023年02月08日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 ナルク神奈川福祉サービス第三者評価事業部

② 施設・事業所情報
名称 横浜市錦保育園 評価対象サービス 2022~ 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 69(46) 名
所在地 231-0812
横浜市中区錦町5番地
TEL 045-621-5180 ホームページ
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1971年07月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 横浜市
職員数
常勤職員:14 名
非常勤職員:24 名
専門職員
園長:1 名
主任:1 名
保育士:18 名
調理員:2 名
施設・設備の概要
乳児室:2
幼児室:3
事務室:1
調理室:1
トイレ:3
職員休憩室:1
地域子育て支援室:1
教材倉庫:1
鉄筋コンクリート造り 1階建て:建物延床面積 467.55㎡
園庭:650㎡

③ 理念・基本方針
【保育理念】           
・子どもの最善の利益を考慮し、子どもの人権を守り、人格を尊重し、愛情と信頼感を育む。
・子どもの主体性を尊重し、一人ひとりの興味や関心を大切にして、適切な援助を行う。
・家庭や地域の様々な人や社会資源との連携を図りながら、入所する子どもの保護者支援及び地域の子育て家庭に対する支援を行う。

【保育方針】
・子どものありのままの姿を受け入れ、豊かな愛情の中で心身ともに健やかな成長を促す。
・一人ひとりの子どもが自己を十分に発揮し、健康で安心した生活が送れるように環境を整える。
・家庭と保育園が相互の信頼関係を基に、保護者が子どもの成長や子育ての喜びを感じられるように支援を行う。
・多文化、多様性に配慮し、各関係機関と連携しながら地域の特色を理解した支援を行い、共に支えあう関係を築く。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
【立地および施設の概要】    
横浜市錦保育園は1971年に開設された、本牧ふ頭に近い、倉庫や工場の多い臨海地区の本牧ポートハイツ(港湾団地)内に立地した保育園です。天井の高い平屋建ての園舎で園庭やプールがあり、近隣に大小の公園があり、駅伝大会やお馬流し等、地域の伝統行事に参加する機会もあります。現在、定員69名のところ1~5歳児46名が在籍しています。
【園の特徴】
園目標は「元気いっぱい みんな仲良し あふれる笑顔」で、職員は子ども一人ひとりの顔と名前がわかる家庭的な保育園となっています。市立園として、多様なニーズを持つ子どもを受け入れて、「共に育ち合うことの大切さ」が実感できる保育をしています。
コロナ禍で活動に制限はありますが、地域支援として育児支援室「たまごるーむ」、あかちゃんサロン、育児相談、交流保育、一時保育等の活動をしています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2022/05/02(契約日) ~2022/12/26(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 3 回(2017年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 1.一人ひとりの子どものありのままの姿を受け入れる保育
保育方針に沿い、子どものありのままの姿を受け入れています。子ども一人ひとりのペースを尊重できるよう、生活の流れにゆとりを持って活動を組み立てています。手作りの衝立や押し入れの下で落ち着いて過ごすスペースがあります。「~しないで」ではなく「~しようね」と職員は声をかけ、せかしたり制止の言葉は使わないように心がけています。
障がい特性を持つ子どもや外国籍の家庭の子どもに合わせ、情報を減らしシンプルなマークで示すなど、ユニバーサルな環境を提供する工夫をしています。多様な人の目で子どもたち一人ひとりを理解するようにし、クラスでチームワーク良く対応しています。子ども同士も、障がい特性を個性として自然に受け入れて過ごしています。

2.園内研修の充実
今年度、研修、防災、食育、第三者評価等のプロジェクトチームを組成し、各プロジェクトの取組内容につき話し合いをしています。園内研修チームでは研修計画を作り、テーマとしてSDGs、ドキュメンテーション日誌、人権等をとりあげ、研修を実施しています。毎月1回の研修では、研修内容および担当者を決め、1人1回は担当を務めるようにすることで、保育の質の向上を図っています。
SDGsに関しての研修では、自分たちで何ができるのかを話し合った中で作った掲示物「みんなができるSDGsなにかできるかな」を廊下に掲示しています。「洗濯は風呂の水を使う、洗い物のとき油分は拭きとる、プランターで緑を増やす」など多くの意見が掲載されています。

3.保護者への情報提供
保護者向けに今年度の園の事業計画のほか、「錦保育園の保育」として、保育理念、園目標、クラス目標等をわかりやすい文章で図式化したポスターを玄関に掲示しています。職員や第三者委員の顔写真も、玄関や廊下に掲示しています。
園では、園内研修で話し合ったSDGsの考え方が人間を尊重する保育につながるのではないかと考え、園だよりで保護者にも課題を提供して参加できるよう、ペンと付箋を掲示物のそばに置いています。
日々の保育の様子は、1、2歳児は個人連絡票と写真掲示で、3~5歳児はドキュメンテーション日誌(写真とコメント)と子どもの作品を掲示した「キッズギャラリー」で保護者に伝えています。送迎時には、連絡事項のほかに子どものエピソードも保護者に伝えています。また、連絡用アプリを活用して、園運営や子どもの情報を発信して円滑なコミュニケーション作りに努めています。

4.常勤・非常勤職員間の情報および保育の共有
園では、非常勤職員への情報の伝達不足・保育内容の共有不足が明確になり、今年度から月2回(同一内容)の非常勤職員会議の開催を始めました。また、クラス会議、乳児・幼児会議のほか、プロジェクトチームにも非常勤職員が入る体制を作り、常勤・非常勤職員間の意識のくいちがいをなくすことに努めています。会議では、保育について話し合い、食事についての認識の違いが見つかったり、環境コーナーを見直したりしました。

5.ヒヤリハットの積極的収集と傾向分析の実施
園では、横浜市の多くの事例を参考に、ヒヤリハット事例を記録し、クラス日誌の中に挟み込んでいます。収集した事例は、職員会議やミーティングで話し合っていますが、原因や傾向の分析には至っていません。ヒヤリハット事例をより積極的に収集し、原因・傾向を分析し、事故の未然防止につなげることが望まれます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
錦保育園は平成29年度に第三者評価を受審しています。今年度の受審では、前回の受審以降、多くの職員が入れ替っていることもあり、現在の職員全員で、全てのマニュアル等の見直しと確認をしました。評価項目に沿って自園の現状把握をし、課題を抽出し、課題改善に向け具体的な取組みを行い、改善に向かうための筋道を立てました。保育の課題をテーマとした話合いと意見交換は、お互いの保育の共有や理解に繋がり、今後の錦保育園の方向を確認する良い機会となりました。
共通項目45項目については、施設長の園運営と管理、責任、保育サービスの質、地域貢献等、園長と施設に求められる役割を改めて認識しました。内容項目20項目については、第三者評価担当チームを中心に意見を集約し、職員は日常の保育の取組みを一つひとつ確認、共有しました。資料の作成では、私たちの保育を文章にし整理する過程で、日常の保育の意義を再確認することができ、一人ひとりの保育の学びにも繋がっています。
保護者の皆様にはお忙しい中アンケートへのご協力をいただきありがとうございました。皆様に頂いた評価に職員一同感謝し、励みになりました。そして評価機関の皆様には錦保育園の保育を丁寧に評価ご指導いただきありがとうございました。評価結果を踏まえ、ヒヤリハット事例の活用、子ども主体のあそび環境の充実、「錦保育園の保育」の活用等、課題の改善に向けて取組みをすすめ、今後も職員力を合わせて保育の質向上に努めてまいります。
                          錦保育園園長 早川千鶴恵

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

・保育理念、保育方針は、重要事項説明書やパンフレット、ホームページに記載されています。
・横浜市の方針に沿った園の保育理念は、「子どもの最善の利益を考慮し、子どもの人権を守り、人格を尊重し、愛情と信頼感を育む」など、園が目指している方向を読み取ることができます。
・保育方針・姿勢は、職員の行動規範となるような具体的なものとなっています。
・年度始めの職員会議で理念・方針を読み合わせています。非常勤職員には回覧して、全職員に周知しています。
・保護者にもわかりやすいように、保育理念、園目標、クラス目標を図で表した「錦保育園の保育」を玄関に掲示しています。クラス懇談会でも伝え、保護者アンケートからも理念が周知されていることがわかります。
・保育理念・保育方針・保育姿勢について、職員の周知状況を把握することが期待されます。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

・横浜市や中区の各種事業計画・地域福祉保健計画の文面から、社会福祉事業全体や中区の福祉保健動向について把握しています。
・中区地域子育て支援会議には園長が出席しています。そこで、地域子育て支援拠点「のんびりんこ」、子育て広場の主催者、中区こども家庭支援課、中区のネットワーク専任保育士や育児支援担当保育士から情報を得て、地域での特徴や課題について意見交換をしています。
・園が把握した地域の人のニーズとして、園児と一緒に遊びたい、離乳食やほかの子どもの食事形態が知りたいなどがあります。
・利用申請数を横浜市こども青少年局に月1回報告しています。隣接するポートハイツは空き部屋が増え、子育て家庭も減っているため、園児の確保が必要があることを認識しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

・園の経営課題としては、安心安全な保育の提供とともに、障がい児、要保護家庭、外国人家庭の受け入れ・支援となっています。
・園の現状と改善すべき課題について園長は「行動計画・評価書」を作成し、職員会議やミーティングで職員に伝え、書面で回覧しています。
・経営課題の一つである人材育成に向けて、園内研修、外部研修を進めています。コロナ禍でオンライン研修が増えたため、非常勤職員も受けやすくなっています。外国籍の保護者のために、コミュニケーションツール(翻訳機)のタブレットを預かっています。
・経営状況や改善すべき課題について、非常勤職員へも十分な説明が期待されます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

・横浜市は、「横浜市子ども・子育て支援事業計画」を策定し、現在第2期(令和2~6年度)「こども、みんなが主役、わくわくプラン!」を策定しています。中長期の収支計画は、横浜市こども青少年局で策定しています。
・横浜市の方針・事業計画をもとに、今年度、園長が園の中長期事業計画を作成しました。目標と課題を3つ挙げています。さらに「保育の充実」等の5つの項目に分けて、2024年度までに実施する内容を記しています。
・各年度の内容は、リズム遊び・週1回定期実施、園内研修・年12回実施、配信ツールの利用開始等、数値目標や具体的な成果の設定をしています。
・年度別評価・反省欄があり、今年度末には見直しをすることになっています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

・園の中長期計画を実現するために、今年度の事業計画と収支計画を策定しました。
・「お互いの顔が見える関係作りを構築します」「コドモンを活用します」「トイレの大規模修繕を行います」「職員の学びの機会を持ちます」の4つの項目を挙げています。さらに、具体的事業・保育内容の中に、数値目標、担当者のほか、上期下期で実施状況の評価、見直し、反省欄を設けています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

・職員の意見や保護者アンケートを基に、昨年の年度末に行った園の自己評価の課題・改善点を反映して、事業計画を策定しています。
・事業計画には、具体的項目ごとに上期・下期で振り返り欄を設けています。
・上期の実施状況を評価し、振り返りに基づいて、事業計画の見直しをしています。
・事業計画は、3月および4月の職員会議で周知しています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

・保護者向けに、今年度の園の事業計画をわかりやすい文章にしたものを掲示しています。理念やクラス目標等を含めてさらにわかりやすく図で表した「錦保育園の保育」を玄関に掲示し、連絡用アプリで配信しています。
・入園説明会やクラス懇談会で、行事予定や事業計画の主な内容を説明しています。「お互いの顔が見える関係づくりを構築します」に関しては、定期的に保育の写真の掲示、幼児ではドキュメンテーション日誌、職員の顔写真の掲示をしていることを説明しています。トイレの大規模修繕のことや、「職員の学びの機会を持ちます」では第三者評価についても触れています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

・全体的な計画に基づいて各指導計画を立案し、それに沿って保育を実践し、カリキュラム会議で振り返りを行って、次の指導計画に反映しています。
・毎年度末に園の自己評価を行い、保護者アンケートの内容も取り入れて、「保育所の自己評価の結果について」をまとめています。
・第三者評価では、まず職員一人ひとりが自己評価を行い、その後グループを作って話し合い、第三者評価プロジェクトチームを作って検討しました。
・今年度は特に、会議その他の場所で、保育について職員同士で話し合うようにしています。幼児・乳児会議に非常勤職員も出席するようにしました。そこで食事についての認識のずれが見つかったり、環境コーナーを見直したりすることになりました。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

・毎年度末に園の自己評価を行い、次年度の課題・改善点を記入した「保育所の自己評価の結果について」にまとめています。また、今年度の事業計画に、課題として取り上げています。
・自己評価は園長・主任で作成して、職員会議で職員に周知しています。
・課題については、事業計画の項目に落としています。また、第三者評価の自己評価をまとめる過程で、認識にずれがあることを確認し、第三者評価プロジェクトチームがそれぞれの課題ごとに他のプロジェクトチームに投げかけました。その結果マニュアルの見直し等をしています。
・今年度の事業計画は、項目ごとに実施状況の評価、計画の評価見直しをすることになっています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

・園長は、中区運営方針を基に、「行動計画・評価表」を作成して園の運営方針を明確にしています。
・毎月の園だよりには、園長として挨拶文を掲載しています。入園説明会やクラス懇談会でも、園長が責任者として園運営に関わる説明をしています。
・「保育所課長園長、副園長の役割分担」で園長・主任の役割を明確にしています。職員それぞれが役割を担っていますが、最終的な責任は園長にあることを、職員会議やミーティングで説明しています。
・「災害対応マニュアル」に、災害・事故時の園長の役割と責任を明記しています。日常のコミュニケーションや報告連絡相談を確実にすることが、緊急時に生きることを職員間で確認しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

・園長は、利害関係者とは適正な関係を保持しています。
・園長はコンプライアンス、不祥事防止に関する研修を受講し、遵守すべき法令等を把握しています。
・不祥事防止・コンプライアンスに関する資料は職員に回覧しています。人権擁護、環境保護等の研修を全職員が受講し、園内研修も行っています。
・SDGsに関して自分たちで何ができるかを園内研修で話し合った中で作った掲示物「みんなができるSDGsなにかできるかな」を廊下に掲示して、保護者も見られるようにしています。園では、SDGsの考え方が人間を尊重する保育につながるのではないかと考え、保護者にも展開するため、園だよりに載せ、廊下の掲示物にも参加できるようペンと付箋を置いています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

・園長と主任は、各種会議に出席し、各指導計画や日誌の記載を確認して、保育の質の現状について評価・分析をしています。また、園長はできるだけ保育室内に入って観察をすることで、職員とコミュニケーションをはかり助言をしています。
・園長は、職員同士で保育について話をし、確認する時間を作るように指示しています。
・園長は職員の意見により、子どものプライバシー保護のためにトイレの中に脱衣所を作るなど具体的な環境改善をしています。
・主任も入った園内研修チームで研修計画を作り、毎月1回の研修では、研修内容および担当者を決め、1人1回は担当を務めるようにすることで、保育の質の向上を図っています。
・研修、防災、食育、第三者評価等のプロジェクトチームを組成し、各プロジェクトの課題、取組内容につき話し合いをしています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

・園長は、チーム力が発揮でき職員が意欲的に働けるように配慮して、職員の人数の割り当てと配置を行っています。
・園長は、乳児クラス、幼児クラス、フリー、福祉員、調理職にリーダー(連絡係)を置いて、リーダーが中心となって話し合い、全体で集約することで課題解決への取組ができる体制を作っています。
・非常勤職員への情報の伝達不足・保育の共有不足が明確となり、4月より非常勤職員会議を月2回(同一内容)実施することにしました。また、クラス会議、乳児会議、幼児会議のほか、プロジェクトチームにも非常勤職員が入ることになり、常勤・非常勤職員間の意識のずれをなくすことに努めています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

・横浜市こども青少年局は「保育士分野人材育成ビジョン」を策定し、人材育成の基本方針、求められる職員像、専門職の配置、人材育成等を規定しています。「横浜市保育職人材育成計画」では、保育士に期待する役割・姿勢、必要とされる知識・技術、職場での育成(OJT)、職場外研修・実践研修が、職位ごとに記載されています。
・正規職員は横浜市で採用しています。
・新採用職員にはトレーナー制度があります。異動職員には主任が業務内容を説明してフォロー体制をとっています。
・横浜市こども青少年局は、保育士資格取得促進のために、無資格者の非常勤職員を対象に講座を実施しています。錦保育園では、昨年度は2名が保育士資格をとり、今年度は9名が講座を受講しています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

・「横浜市職員行動基準」に期待する職員像として「ヨコハマを愛し、市民に信頼され、行動する職員」を示して、5項目の行動基準を示しています。
・人事考課制度は昇級と連動しており、職員は制度の主旨やねらいの説明を受けています。
・園長は、職員が作成した「目標共有シート」に基づいて面談を行い、評価を行っています。
・職員は「職員意向調書(保育士異動)」を提出し、面談を受けます。職員の意向や把握した評価・分析に基づき、処遇改善策を実施しています。
・「保育士分野人材育成ビジョン」によって、職員は将来のあるべき姿を描くことができるようになっています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

・横浜市就業規定による労務管理体制があり、園長は職員の有給休暇取得状況や超過勤務について勤務実績データを毎月確認しています。
・職員は毎日検温と体調を記録し、体調不良の場合は休暇取得ができるような体制をとっています。
・横浜市の健康講座を全職員が受講しています。希望があればカウンセリングを受けられ、予防と健康指導が行われています。
・園内の相談窓口は園長・主任で、様子が気になる場合は園長から声をかけて面談することもあります。
・休暇取得予定表を作成し、年次休暇の取得の少ない職員には園長から声をかけています。
・超過勤務を減少させるため、事務時間確保の体制、効率的に事務作業を行う意識作り、会議を午睡時に行う取組をしています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

・「保育士キャリアラダー」に職員職位Ⅰ~Ⅲに応じた目標水準が定められています。職員はこれと、今年度の「行動計画・評価表」を参考に、目標、具体的取組事項・達成時期、能力開発・能力活用に関する目標等を明確にした「目標共有シート」を作成しています。非常勤職員も、簡単な書式ながら「目標共有シート」を作成しています。
・園長は日常的に職員に声をかけ、職員が掲げた目標や行動計画の達成に向けた支援をしています。年度末には職員と面談し、目標の達成度や職務の自己評価を確認し、次年度に向けた課題の設定の方向性について話し合っています。
・9月の中間面接は、職員への声かけのみになっているため、適切に進捗状況の確認をすることが期待されます。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

・「横浜市職員行動基準」に期待する職員像を示し、「保育士分野人材育成ビジョン」で職位ごとに求められる保育士像が明確に示されています。
・「保育士分野人材育成ビジョン」の中に、職員に必要とされる専門技術や専門資格を明示しています。
・局や中区の研修のほかに、園内研修は4名の園内研修プロジェクトチームが中心となり、毎月の研修内容や担当者を決めて、年12回実施しています。
・園内研修については、園内研修プロジェクトチームが年度の終わりに職員の意見を踏まえて評価をし、来年度の研修に向けて見直しをしています。局や区の研修は、事後にアンケートをとり、来年の計画に反映しています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

・個人ごとの「キャリア自己分析表」を見ると、求められている研修項目が客観的にわかるようになっています。
・新採用職員には新採用職員向けの研修のほか、トレーナー制度等のOJTの仕組みがあります。
・外部研修は、職員研修計画表にまとめて記載しています。ZOOMによる外部研修は、短時間勤務や週1、2回勤務の非常勤職員も参加しています。
・中区消防署北方出張所による救急救命研修や中区役所の虐待防止研修のほか、園内研修としてSDGs研修、ドキュメンテーション日誌、第三者評価内容等を計画にあげ、毎月実施中です。
・園内研修は非常勤職員も参加していますが、朝夕勤務の非常勤職員は資料提示にとどまっているため、園内研修に参加できることが期待されます。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

・「実習生オリエンテーション資料」「実習をスムーズにすすめるために(実習生用)(担当者用)」には受け入れの意義、守秘義務と人権擁護ほか基本姿勢が明文化され、マニュアルとして整備されています。
・実習オリエンテーションでは、実習の目的、実習内容、注意事項、持ち物等を説明し、実習生や学校側の意向を汲んで実習計画をたてています。
・学校とは協定書を交わし、実習指導書を受け取って確認しています。実習中に学校職員が来園して、進捗状況等、情報交換をしています。実習後の実習反省会では、質問に答え、評価を行っています。実習中に子どもたちと心を通わせた経験が、保育士としての未来へつながるように言葉を送っています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

・インターネット上では中区ホームページや内閣府の「ここdeサーチ」のほか、横浜市と協定を結んだ「働くママ応援し隊」に、園の概要、園目標、保育理念、保育の基本方針、食育への取組等を公開しています。横浜市のホームページには、「第2期横浜市子ども・子育て支援事業計画」、予算・決算の情報を公開しています。
・地域の子育て支援の実施については園の掲示板に掲示しています。
・苦情・相談の体制について重要事項説明書に明記し、入園説明会で説明し、第三者委員の顔写真と名前、連絡先を掲示しています。
・中区の広報誌や、地域支援機関紙(ぴよぴよ)に育児支援活動を載せています。育児支援年間予定表、各育児支援活動のチラシを配布しています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

・「横浜市予算、決算および金銭会計規則」で事務、経理、取引等に関するルールが明確になっています。
・物品の購入、委託、修繕は物品担当職員を定め、協議の上で管理し、購入先を決定しています。
・横浜市こども青少年局の監査課の書類監査と訪問監査を受けて、乳幼児突然死症候群(SIDS)および長時間保育の書類への記載について指摘を受け、早速改善しました。
・横浜市が、民間の外部監査人による包括外部監査を受け、監査結果はホームページで公開しています。
・保育所における事務、経理、取引等に関するルール、職務分掌と権限・責任について、職員への周知が期待されます。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

・育児支援マニュアルには育児支援事業の基本的ルールや受け付けの手順等を記載しています。
・社会資源や地域の情報のチラシを、保護者が手に取れるように設置しています。
・「中区はないっぱい運動」で中区土木事務所より配付されたチューリップの球根から花を咲かせたりする活動に子どもが参加しています。
・園庭開放、交流保育で地域の子どもや横浜保育室の子どもとの交流、本牧地域ケアプラザでの「一人暮らし高齢者食事会」の集会に参加する機会がありましたが、コロナ禍で休止になっています。その中で、3年ぶりに3組の地域の子どもと運動会ごっこで交流ができました。また、本牧神社「お馬流し」が3年ぶりに復活し、お祭りの一環としてケアプラザに飾るペットボトルランタンの一部を、子どもたちが手作りしました。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

・ボランティア受け入れの目的、受け入れ姿勢、配慮事項を明示した「受入れ留意点(全職員用)」を、職員は読み合わせています。
・「ボランティアをスムーズにするために(ボランティア用)(学生用)」「職業(福祉)体験をスムーズにするために」や保育園のしおりに沿って、園長が保育園の概要、ボランティアの心得、留意点、守秘義務、人権について説明しています。
・コロナ禍前は、地域の「おはなし会」や楽器演奏等のボランティアを受け入れていました。
・コロナ禍前は、本牧中学校の職業体験、高校生のインターンシップ、学生のサマーボランティアを受け入れていました。その際には保護者には園だよりや掲示で知らせています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

・行政、小学校、中学校、警察、医療機関の連絡先をリストにしています。緊急連絡先は電話近くに掲示しています。
・横浜市中部地域療育センター、児童家庭支援センター みなと、民間の発達支援機関と情報交換をして助言を得ています。職員には、カリキュラム会議で情報を共有しています。
・要保護家庭の状況に応じて、区の保健師、ケースワーカー、虐待支援チーム、児童相談所、警察に相談報告をしています。職員には通報の必要があることを確認しています。
・中区育児支援会議に参加して、情報交換や地域の課題解決に向けた取組を行っています。
・要保護児童対策地域協議会に参画して、中区虐待支援担当、小学校、地域担当、児童相談所と協議をしています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

・園庭開放、育児支援室「たまごるーむ」(以下「たまごるーむ」)開放、赤ちゃんサロン、年間登録者9組の一時保育の中で福祉ニーズの把握に努めています。
・民生委員とは年2回会合を持ち、年4回行事等で訪問を受けています。職員がポートハイツの「親子遊び」に参加したり、本牧原地域ケアプラザ、児童員、民生委員と地域交流事業で話し合う中でも、地域の福祉ニーズの把握に努めています。少子化、高齢化に加えコロナ禍のため、出かける場所がなく閉じこもる傾向が増えていることを課題として認識しています。
・育児相談では、食事のことや親の就労についてなど様々な相談を受けています。必要により関係機関につなげることもできます。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

・園庭開放、「たまごるーむ」開放、絵本貸し出し、赤ちゃんサロン、一時保育のほか、ポートハイツの「親と子のつどいの広場」に職員が出向いて歌や遊びの紹介をしています。
・地域支援事業については、「育児支援担当 年間計画」に明示しています。育児講座、交流保育、親子の保育体験等があります。
・小学校が遠いため、園舎を国政選挙、地方選挙の投票会場として提供しています。
・「中区はないっぱい運動」で中区土木事務所より配付されたチューリップの球根から花を咲かせたり、矢車草、ひまわりの種を苗に育てる活動に、職員の支援により子どもが参加しています。
・「保育・教育施設班活動マニュアル」に基づき、災害発生時の一時避難場所として園を開放することになっています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

・保育理念や方針に「子どもを尊重した保育の実施」を明示し、「全国保育士会倫理綱領」をもとに職員会議で確認しあい、各指導計画やマニュアルに反映しています。
・職員は、中区が主催する人権テーマの研修に参加し、統括園長や主任保育士による人権擁護や個人情報保護について園内研修も実施しています。
・保育士は子ども一人ひとりの良さを認め、肯定的な言葉かけをしています。合同保育や縦割り活動により、互いへの思いやりの心を育んでいます。
・色や遊び、服装や行動において、性差による先入観で固定的な対応をしないようにしています。
・保護者には、子どもの人権や互いを尊重する園の方針を入園説明会や懇談会、ドキュメンテーション日誌で説明しています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:a】

・子どものプライバシー保護について、マニュアルをもとに全職員に研修し、保育内容を確認しあっています。
・オムツ替え・着替え・プール活動等は、カーテンや衝立を使用しプライバシーに配慮しています。4~5歳児には巡回看護師が「プライベートゾーン」について説明しています。
・子どもが、一日を気持ちの負担なく過ごせるように、保育室の一角に大小の手作り衝立を作るほか、「たまごるーむ」を活用したり、事務室の職員のそばに衝立を置き、気持ちを落ち着かせるスペースを作るなど工夫しています。
・園の取組は、園だよりや懇談会、ドキュメンテーション日誌で、保護者に伝えています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

・園のパンフレットに理念や基本方針、園の概要や特色、保育内容を分かりやすく記載し、中区役所・「たまごるーむ」・子育て支援拠点「のんびりんこ」に置いています。中区のホームページにも掲載があり、入所時の選択資料となっています。
・利用希望者には、園内見学と説明の後、個別の質疑応答の時間を設けています。保護者の意向に合わせて、必要な情報を提供しています。
・パンフレットは定期的に見直し、今年度はバス停の名称の変更を修正し、枠組みをカラーにして見やすく更新しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

・保育の開始・変更時の入所面談で、園の利用案内(重要事項説明書)をもとに、一人ひとりの意向に沿って丁寧に説明しています。利用契約書に同意して押印した書面を、双方で保管しています。
・入園説明会では、パワーポイントを用いて分かりやすく説明し、入園後の保護者の就労状況に合わせて慣らし保育の時間や日程の一覧表を添えています。
・配慮が必要な保護者へは、複数の職員が同席し、状況に応じて区の保健師、関係機関が同席しています。外国籍の保護者には、自動翻訳機や横浜市国際交流協会のiPadを借りるほか、通訳を依頼することができます。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

・保育所の変更の際は、転出先および転入先の区役所のこども家庭支援課や関係機関と連携を取り、保育の移行に必要な引継ぎをしています。
・横浜市では、個人情報保護の観点から、保護者の要請や転園先の要請があって保護者が同意した場合に限り、引継ぎ書の作成をする場合があります。
・保育所の利用終了後に保護者からの相談があった場合、園長や主任、担任が対応していますが、転入先で、子どもがスムーズに生活できるように、また、終了後の相談体制について、文書を作成することが望まれます。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

・日々の保育の中で、子どもの表情や言葉、姿から、安定した気持ちで意欲的に過ごせているかを観察しています。
・保護者には行事後と、年度末にアンケートを実施し、園の自己評価に反映しています。集約した結果は、掲示で保護者に伝え、職員会議で話し合っています。
・懇談会(年2回)と個人面談(年1回)を実施しています。保護者からの要望があったり、園が必要と判断した場合は随時、面談を行っています。
・保護者会総会(年1回)には園長と主任が参加しています。行事の際の写真撮影は、感染症予防の観点から園側の写真撮影に限るなどの調整や、1~2歳児の保護者に配慮して平日の活動の中で運動会ごっこを実施するなど、より良い保育活動につなげています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

・苦情解決の責任者は園長、受付窓口はクラス担任もしくは主任で、第三者委員は2名です。
・重要事項説明書をもとに、入所時に苦情解決の仕組みを説明しています。第三者委員の連絡先は写真付きで廊下に掲示しています。
・アンケートは匿名で受け、廊下に意見箱を置くなど、保護者が意見を言いやすい配慮があります。
・苦情内容は記録し、施錠できる書庫で保管しています。結果は、必ず保護者に口頭で返しており、改善事例以外に、申し出た保護者の同意を得ずに全体に公表した事例は今までありません。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
・保護者の意見や要望は、職員会議で話しあい、保育の質の向上につなげています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

・朝夕の送迎時に保護者と挨拶や言葉を交わし、日々の関わりの中から、相談しやすい雰囲気を作っています。
・相談を受ける際はプライバシーに配慮し、「たまごるーむ」や事務室で個別に対応しています。
・相談窓口が複数あることを重要事項説明書に明記し、入所時に説明しています。重要事項説明書は廊下に常備し、かながわ福祉サービス運営適正化委員会や、横浜市福祉調整委員会のポスターを掲示しています。
・第三者委員2名は、名前と連絡先を写真付きで掲示板に掲示し、地域の民生委員・児童委員でもあり、行事等で顔なじみとなっています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

・行事後と年度末にアンケートを実施しています。今年の運動会のアンケートを配信アプリで実施したところ、回答率が高く満足度の高い結果が得られました。結果は記録に残しています。
・受けた相談内容により検討に時間がかかる場合も、園長が速やかに対応しています。
・「プールの用意のお知らせ」や「運動会の日の駐車場」について保護者から意見がありました。園は「例年実施していることから思い込みがあり、不十分な対応であった」として保護者に謝罪し、より丁寧なお知らせができるよう職員会議で話しあいました。
・対応マニュアルは、定期的に振り返る機会を持っています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

・リスクマネジメントの責任者は園長です。マニュアルをもとに安全確保・事故防止策について職員会議で確認し、年度末に見直しています。
・職員は、外部研修に参加して職員会議で共有し、マニュアルの見直しなど、園全体の改善につなげています。
・横浜市の多くの事故報告やヒヤリハット事例を参考にしています。園の令和3年度の事例報告は、4クラスで19件でした。クラス日誌に綴じたヒヤリハット用紙に記録し、職員会議やミーティングで話し合っていますが、原因や傾向の分析には至っていません。事故の未然防止のためにも、体制を見直し、積極的なヒヤリハット事例の収集が望まれます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

・感染症対策の責任者は園長です。年2回の巡回看護師から感染症の知識を学び、ガイドラインに沿って管理しています。
・職員の健康チェック表、清掃・消毒チェック表があり、全職員に周知しています。手洗いや換気、食事席の配置、寝具の乾燥(業者委託)等、適切に行われています。子どものマスク着用は、5月から家庭の判断に任せています。
・発生時には掲示や配信アプリで保護者へお知らせし、一定数超の感染者が発生した時は、中区に報告しています。
・廊下には「重要事項説明書・コロナ・感染症に関する情報」のファイルを置き、タイムリーな情報を提供しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

・横浜市の防災計画にもとづいた園の対応を、重要事項説明書に明記しています。
・立地条件から、津波・土地の液状化を想定した避難場所を確保しています。職員は参集訓練を行っています。
・保護者への緊急連絡は、保護者向け配信アプリと災害伝言ダイヤルがあり、職員には電話連絡網を周知しています。
・緊急時の食料や備品リスト(子どもと職員の3日分を目安)があり、防災担当職員が管理しています。備蓄食料はアレルギーのある子ども対応食料と、誤食防止の個人マークとアレルゲンを明記したビブスを備えています。
・毎月の想定を変えた避難訓練計画のほか、関係機関連絡先リストがあり、地域の民生委員や本牧ハイツの管理事務所と連携しています。例年は、消火訓練や煙体験があります。昨年は「自家発電機」の作動訓練を行いました。不審者侵入対策として警備会社が24時間管理しています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:a】

・標準的な実施方法として39のマニュアルを作成しています。標準的な実施方法については、園内外の研修やzoom会議を有効に活用し、周知しています。
・今年度は「錦保育園の保育」(手引き)を独自に作成しました。標準的な実施方法は、園の理念や方針に基づき、子どもの尊重、プライバシー保護、権利擁護に関する姿勢を示しています。
・園長や主任は保育日誌等に目を通し、園内を巡回して、課題を示し助言を伝えています。職員同士で気付きを伝え合うこともあります。
・保育士はマニュアルにとらわれず、一人ひとりの子どもの姿を観察しながら、子どもと家庭の最善の利益に立ち返るよう心がけています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

・保育の標準的な実施方法に関するマニュアルは、クラス会議・職員会議・ミーティング等で定期的に見直し、次期指導計画に盛り込んでいます。保護者の意見や提案についても検討し、改善すべき点を指導計画に盛り込み、マニュアルにも反映しています。
・保育の標準的な実施方法として保育に関わる39のマニュアルは、必要な期間を定めて定期的に見直しをしています。今年度は、第三者評価受審を機に、「よこはまの保育」「よこはま☆保育・教育宣言」「全国保育士会倫理綱領」をもとに、独自の取組として「錦保育園の保育」(手引き)を作成しました。理念を実現する保育の実践について職員が思いを共有できるよう、マニュアルを示しながら24ページの小冊子にまとめています。今後、園内研修によって読み合わせを行い、理解を深めていく予定です。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:a】

・指導計画は各クラスの正規職員が作成し、主任がまとめ、園長が確認しています。
・入所時の聞き取り、児童票、健康台帳の情報、経過記録をもとに、保育士と調理師のほか、専門機関の意見を聞いてアセスメントを実施しています。
・全体的な計画にもとづき、クラスごとの指導計画を作成し、1~2歳児全員と特別支援の必要な子ども、障がいのある子どもの個別支援計画を盛込んで、子どもと保護者の具体的なニーズを明らかにし、配慮事項を一覧表にしています。
・指導計画は定期的に振り返り、次期計画に反映しています。
・支援困難ケースは複数の専門職員や、必要に応じて区役所や関係機関で家庭全体のニーズを検討し、専門性に応じた役割を分担し保育に役立てています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

・指導計画の見直しにあたっては、全体的な計画は後半期の職員会議、月間指導計画は毎月のカリキュラム会議、週案や個別支援計画はクラス会議で話し合っています。保護者の意向は、懇談会や個人面談で把握し、同意を得ています。
・見直しによって変更した内容は、クラス会議や職員会議等で周知し、緊急に指導計画を変更する場合は、ミーティングや引継ぎノート、職員会議で周知しています。自然環境や社会環境の影響で指導計画を緊急に変更する場合は、園長が他園と調整しています。指導計画の評価・見直しは、園長・主任が「子どもと保護者の最善の利益としてのニーズ」に合うか確認し、課題を明らかにしています。
・各指導計画の自己評価は、PDCAサイクルに従って、次期計画の作成に生かしています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

・子どもの発達状況・生活状況は、「児童票」「児童健康台帳」「経過記録」「保育所児童保育要録」「個別指導計画」に記録しています。
・個別の指導計画は、乳児クラス全員は毎月、特別支援の必要な子どもと障がいのある子どもは年4期ごとに作成し、自己評価により実施状況を確認することができます。
・毎年、年長の担任は「保育所児童保育要録研修」を受講しています。保育の記録は、OJTとカリキュラム会議によって書き方の統一を図っています。
・事務室内のパソコンに共有フォルダーを設け、職員は必要な記録がいつでも確認できます。個人情報を含むファイルは事務室内で閲覧できます。
・保育所内の情報は、ミーティング、カリキュラム会議、職員会議で共有しています。欠席者は議事録を閲覧し確認サインをしています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

・記録管理責任者は、園長です。
・「個人情報保護規程」に沿って、パソコンに個人のID・パスワードを設定し、施錠のできる書庫で管理しています。
・規程をもとに職員会議で研修し、園の個人情報をチェックリストで点検しています。
・保護者には入園説明会で説明し、「写真等の使用に関する同意書」で意向を確認しています。園だよりで、園内の写真撮影の制限やSNSの扱いについて説明しています。
・子どもの個人情報に関する記録の取扱いに関しては、「個人情報取り扱いマニュアル」(中区こども家庭支援課)、「横浜市個人情報の保護に関する取り扱いについて」が定められています。記録の保管・保存・廃棄については、「横浜市個人情報の保護に関する条例」に従って処理していますが、子どもの情報に関する情報開示については特に定めがありません。今後、開示請求が申請された場合のマニュアル作成が望まれます。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

・全体的な計画は、「人として尊ばれ、良い環境の中で育てられるべき存在であること」等、児童憲章、児童の権利に関する条約、児童福祉法、保育所保育指針の趣旨に基づき作成しています。
・全体的な計画は、保育理念、保育方針、園の保育目標、保育姿勢をトップに掲げ、それらに基づいて作成していることがわかるようになっています。
・1~6歳まで切れ目のない成長になるように立案しています。地域の特色や養育支援家庭が多いことを考慮して作成しています。
・全体的な計画の作成は、全職員が関わっており、年度末に全職員で見直しを行っています。今年度は、監査からの指摘もあり、長時間保育への配慮を明記することにしました。非常勤職員には、回覧や非常勤職員会議で周知しています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:a】

・各クラスに温湿度計を置き、エアコン・扇風機・加湿器・霧吹きで調整しています。換気は排煙窓を開放し、サーキュレーターや空気清浄機を使用し、保育室の採光は十分です。一部天井が高い構造で、広々とした空間があります。4歳、5歳児の保育室は隣接しているため、活動を妨げないよう活動内容や時間を調整しています。
・毎朝、遊具の安全点検と環境整備を行っています。家具と玩具は毎日1回消毒(乳児室は2回)し、寝具は隔月乾燥(業者委託)しています。
・家具は木製の温かみの感じられるもの、遊具は消毒しやすいものを選んでいます。家具の配置換えで子どもの活動と生活を分け、感染症予防のためのゆとりを持たせています。
・クッションマットや棚、手作りの足台や大小のパーテーションで子どもがほっとする空間を作っています。個別対応には「たまごるーむ」を活用しています。
・午睡時は、ゴザやマットを敷き、カーテンを引いています。
・幼児・乳児トイレはドライ化改修工事を終え、清潔で快適です。奥にカーテン付きシャワールームが設置され、プライバシーに配慮したスペースになっています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

・「児童票」「健康台帳」「経過記録」をもとに、一人ひとりの子どもの発達や家庭状況を把握しています。
・職員は、子どものありのままの姿を受け止め、子どもが自分の思いを表し力を十分に発揮できるよう、応答的に関わっています。
・子どもが言葉で気持ちを表現できない時に、子どもの動きやその表情から汲み取っています。
・子どもの欲求を受け止め、気持ちに寄り添いながら辛抱強く対応しています。
・分かりやすい言葉を使い、日本語が分からない子どもにも身振り手振りを交えながら、穏やかに笑顔で話しかけています。
・子ども一人ひとりのペースを尊重し、生活の流れにゆとりを持って活動を組み立てています。「~しないで」ではなく「~しようね」と声をかけ、せかしたり制止の言葉は使わないように心がけています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

・食事や着替え、睡眠、排せつ、手洗い等、発達に合わせた基本的な生活習慣が身に付くように保護者と連携を取り、無理なく進めています。
・手洗いは手順をイラストにして掲示し、トイレの立ち位置に足マーク、座席やロッカーには統一した個人マークを表示することで、どんな子どもにも分かりやすくしています。5歳児になり先を見通して積極的な生活ができるようになると、それを見て年少児が真似をするという、良い循環が生まれています。職員は、機を見て「〇〇して良いですか~」「〇〇しましょうか~」と、気持ちを損なわないような声かけをしています。
・一日の保育は、午前中に身体を動かし午後に休息をとる流れですが、保護者の就労状況や子どもの状況を見て、活動内容や対応の仕方を変えています。
・「手洗い」「食器の置き方」「着替え」「歯磨き」に関心を持てるよう、絵カードや紙芝居、絵本等の教材を用いています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:b】

・一人ひとりに個人の統一マークを決め、上履きや道具の場所が分かるようにしています。
・乳児には手の届く棚に遊具を並べ、探索活動ができるスペースを作っています。幼児室では、コーナーを作れる大小の蛇腹衝立を手作りし、好きな遊びができるようにしています。虫やメダカを飼育しています。
・室内遊びは、パラバルーンやバランスストーンのほか、家具を寄せてマットを敷き、安全に配慮しています。
・気候に合わせて戸外遊びを多く取り入れています。園庭にはプール、鉄棒やジャングルジムのほか、芝生や畑、草花のプランターがあります。
・「おさんぽ まっぷ」があり、散歩では消防車を見学したり、自治会館で菊の花を分けてもらうなど、地域の方と温かい交流があります。
・集団生活に必要な挨拶やマナー、ルールは保育士が手本となるように心がけ、交通ルールは、交通安全指導や散歩、絵本から学んでいます。
・4歳児室には「今週やること」として、日別に「うんどうかいごっこ、えんそく」等と書いた予定表を掲示しています。また5歳児室にはお昼寝、おやつ等、一日の流れを知り自ら遊びを組み立てられるように時計に印をつけスケジュールカードに活動予定を書くなどして、見通しが立てられるよう工夫しています。
・子どもの想像力を触発し、遊びがさらに豊かになるように、様々な種類の玩具・材料が身近に置かれていることが望まれます。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:非該当】

・認可保育園で0歳児の受け入れを実施していません。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

・子ども一人ひとりの意欲やタイミングを見ながら援助しています。せかさず、できた時に誉め、意欲に繋げています。
・乳児室は、つかまり立ちのできる棚に布カバーを被せて安全に配慮し、探索活動ができるようにしています。
・保育士は危険の無いよう見守りながら、機を見て排せつを促しています。子どもの興味関心により玩具を入れ替え、お散歩で拾ってきたドングリや落ち葉を材料にして話題作りをしています。
・気持ちの折り合いのつかない子どもの思いを受け止め、一緒に考えながら寄り添っています。子ども同士のトラブルは、「怒ってるんじゃないよ。○○だから言ってるんだよ。」と代弁し、気づきを促しています。
・1,2歳児の合同保育や縦割りの活動を設けています。年少の子どもは模倣から活動の幅を広げています。他のクラスの保育士とも自然な形で交流しています。
・保護者とのコミュニケーションは、個人連絡票のほか、送迎時の挨拶や申し送りを大切にし、家庭での子どもの体調や様子を聞き取っています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

・3歳児は、ダンゴムシやメダカの飼育を通して観察し、ダンゴムシの赤ちゃんの誕生にクラスで感動を共有しています。後日、ダンゴムシの動きを真似して遊ぶ姿がありました。
・4歳児は、リズム運動を多く取り入れています。活動後、円座になって一人ひとりの意見を述べる機会をもったところ、友達の共感の声を聞き、保育者からも認められたことが自信につながりました。
・5歳児は、大きなこいのぼりや地図を共同制作しました。お店屋さんごっこやロボット作りは、準備から話しあいを重ね、「みんなで作った達成感」は貴重な体験となりました。子どもと等身大の3体のロボットがクラスに飾ってあります。保育士は、一人ひとりの子どもの成長を実感しました。
・日々の活動や取組はドキュメンテーション日誌にして、保護者に伝えています。廊下の「キッズギャラリー」には、子どもの作品を展示しています。就学先の小学校には、「保育所児童保育要録」「幼保小交流」で子どもの様子を伝えています。本牧原地域ケアプラザには、子どもの作品を展示する機会があります。毎月の園だよりは、就学先の小学校と第三者委員2名へ届けています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

・園には2台分の駐車場があり、園内に手すり、車いす用トイレがあります。平屋作りで段差のないバリアフリー構造です。手作りの衝立の中や押し入れの下段の空間で一人になれるパーソナルスペースを作っています。
・市立園として、障がいのある子どもを多く受け入れ、インクルージョン保育を基本としています。
・障がいのある子どもの個別支援計画は、Ⅳ期に分けて配慮と援助内容を明記しています。計画は現況に合わせて見直しをし、子どもの健康や喫食状況、活動の姿を個別日誌に記録しています。
・発達特性を持つ子どもや外国籍の家庭の子どもに合わせ、情報を減らしシンプルなマークで示すなどの環境への配慮があります。
・横浜市中部地域療育センターの年2回の巡回訪問、医療機関の摂食相談指導、臨床心理士の訪問があり、必要に応じて、中区こども家庭支援課や、民間療育機関とも連携しています。
・担当職員は外部研修や関係施設への見学に積極的に参加し、報告書を回覧しています。
・保護者には、入園説明会で園の理念や方針を説明していますが、保護者にも子ども同士の関りや障がいへの理解に関する情報を提供し、インクルージョン保育への理解と協力を得ることが期待されます。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

・一人ひとりの子どもの在園時間や家庭状況を把握.して、無理のない遊びと生活のバランスに配慮しています。
・マットを敷きくつろいだり、手作りの高い衝立のそばでひっそり過ごしたり、丸テーブルで少人数でゆったり遊ぶ姿を職員は見守っています。
・子どもが落ち着かない時には膝にのせて絵本を読んだり、場所を移し、気持ちが変わるまで寄り添っています。
・朝夕の合同保育では、誤飲防止に注意しています。小さい子どもへの気遣いを伝え、ケガが無いよう見守っています。
・在園時間の長い子どもに配慮して腹持ちの良いおやつが増える傾向ですが、お代わりにも応えています。
・複数の職員が関わるため、ミーティング、引継ぎノート、口頭で引き継ぎをしています。今年度から非常勤職員会議を開催したところ、紙面だけでは共有できないきめ細かな情報伝達が可能になり、理解度が深まりました。
・日々の細かな申し送りの引継ぎノートでは、タスクが完了しているか確認できない項目がありましたので、今後、さらに書き方の工夫が望まれます。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

・全体的な計画の中の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿10項目」を踏まえて保育計画を作成し、アプローチカリキュラムを実践しています。朝の会で一日の流れを説明し、見通しをもって行動するよう助言しています。年度末からは午睡をしない子どもが増えますが、家庭状況や子どもの身体状況に合わせて柔軟に対応しています。
・2年前は、小学生のグループが小学校の紹介動画のCDを園に持参してくれました。園では皆で喜び、後日、子どもが小学校へ出向いてお礼を述べ、手作りの「栞」を渡しました。
・職員は、幼保小連携研修に参加しています。年度末に、小学校教諭が保育園に来園した折に子どもの情報を園長・担任から伝えています。
・5歳児クラスの保護者には、懇談会で年間予定と就学に向けた取組を伝えています。日々のドキュメンテーション日誌で、子どもたちの就学に向けた活動の様子を紹介しています。
・保育所児童保育要録はクラス担任が記載し、園長が確認して小学校へ提出しています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

・「年間保健計画」を作成し、マニュアルと児童健康台帳をもとに子どもの健康管理を行っています。
・健康診断(年2回)、歯科健診(年2回)、尿検査(3~5歳児年1回)、身体計測(乳児/毎月・幼児/隔月)、看護師巡回訪問(年2回)、視聴覚検査(3歳)、看護師健康指導(年2回)を実施しています。
・子どもの体調悪化・ケガ等があった場合は、マニュアルに従って保護者に連絡しています。
・入園時の児童健康台帳の情報は、毎年の懇談会・個人面談の場で保護者に再確認のうえ追記していただき、更新しています。
・保護者には、懇談会、面談、園だより、保健だより「すくすく」(季刊)と日々のドキュメンテーション日誌を通して、子どもの健康情報と園の取組をお知らせしています。
・乳幼児突然死症候群(SIDS)は「安全管理マニュアル」をもとに、職員に周知しています。睡眠中の姿勢や顔色を観察し、1歳児クラスは10分毎、2歳児クラスは15分毎のブレスチェックを記録しています。廊下に乳幼児突然死症候群(SIDS)に関するポスターを掲示しています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

・健康診断や歯科健診の結果は一人ひとりの健康台帳に記載して、職員に周知しています。
・健診結果は「おおきくなあれ」に記載して、保護者の確認サインをもらっています。歯科健診結果は、個人情報の封筒に入れて保護者に渡し、封筒の返却時に裏面に受領サインをもらっています。今年、園では少数の子どもに虫歯が見つかりましたが、現在、食後の歯磨きは行っていないため、頻回にお茶を飲む習慣をつけ、家庭にも推奨しています。職員会議では、虫歯は食習慣(文化)に問題があるのではないかと話し合いました。歯の健康、虫歯に関する紙芝居を用いて、子ども自身が気付けるよう工夫しています。
・職員は健診結果を見て、かき壊しになりやすい子ども、とびひになりやすい子どもを把握し、皮膚疾患の予防に努めています。必要な場合は受診を勧めています。また、子ども自身が健康に気づけるよう、絵本や紙芝居を教材にしています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

・食物アレルギーのある子どもには、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」に沿って、医師からの生活管理指導表と保護者提出の食物アレルギー対応表・緊急時個別対応表に基づき、除去食対応をしています。
・保護者からは家庭での様子を丁寧に聞き取るようにして連携を密にしています。除去食提供については、園長・担任・調理員が保護者と翌月の献立表で食材の確認をしています。アレルギー児の食事には専用のトレイ(クラス・個人名・除去する食材のシールを貼った物)を使い、当日朝、調理時、検食時、調理からの受け渡し時、クラスでの配膳時に声に出して確認しています。個人マークのついたテーブルで、職員が1人ついて食事をします。災害時には、アレルギー児用ビブス(ベスト)を着用して、誰にでもわかって安全をまもれるようにしています。
・保育士や調理員はアレルギー疾患や慢性疾患の研修に参加しています。
・クラスの他の子どもも、アレルゲンが付いた手で触らないように食後に手を洗っています。またアレルゲンの付いた衣服の着替えにも気を付けています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

・年齢ごとの年間食育計画を作成し、年間指導計画や月間指導計画に反映しています。
・子どもの発達に応じた椅子や足置き、高さ調節のできるテーブルを用意しています。介助スプーンで職員がさりげなく援助しながら1歳児もスプーンで食べています。成長に合わせて食具の持ち方を伝えたり、箸を使ったつまみ遊びをしたりしていますが、保護者と相談しながら箸・スプーン・フォークを用意しています。
・規定量を盛り付けた上で、一人ひとりの思いを受け止めて量の加減をしています。自分で満足して食事を終えることを第一に考え、無理に完食させることはありません。好きなものから食べてもいいし、ほかのものが残っていてもお代わりはできるようにしています。
・クッキング保育の取組としては、5歳児が栽培した野菜を包丁で切って、ホットプレートで焼いたり、ポップコーンを作ったりしています。
・幼児クラスには栄養素を色分けした分類表や、栄養士作成の「パクパクだより」をクラスに掲示しています。
・玄関に、給食サンプルを置くとともに、子どもに人気のレシピを置いています。保護者からのリクエストによるレシピもあります。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

・入園前の面談や入園初日に保護者にきざみの大きさや食材の形状を確認したり、日々の観察で子どもの発達、嚥下や咀嚼の状況を把握して職員間で共有しています。すりおろしや刻みの両方を用意する、野菜や果物をスティック状やスライス状等切り方を変えるなどの配慮をしています。体調がよくないときには、牛乳をお茶に変えることもしています。
・横浜のサンマーメン、七夕ソーメン、七草がゆ等、季節感や行事食を取り入れています。
・残食の記録をとり、残食が多い場合はサイクルメニューの2巡目の時に調理の仕方を変えています。コロナ禍の前には調理員がアレルギー児のそばに付いたり、食事の様子を見に来てました。現在は、食材を見せたり魚の解体ショーのときや、調理室で子どもから「おいしかった」と声をかけられるときに触れあっています。
・毎月横浜市の献立検討会があり、園長が出席して子どもの様子や希望を伝えています。
・HACCP(安全性確保のための衛生管理の手法)をもとに衛生管理計画をたてて、まな板・包丁の殺菌や水質チェックをしています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

・1、2歳児は毎日連絡票で、体温、睡眠、食事、その他欄で情報交換をしています。1、2歳児は毎月保育内容の写真を掲示し、3~5歳児は毎日ドキュメンテーション日誌を廊下のテーブルの上に置いています。送迎時には口頭で情報交換をしています。
・乳児は引継ぎ表で体温、食事、睡眠等を記入し、幼児はクラス別のノート(引継ぎノート)に引継ぎ事項を記入しています。
・朝夕、常勤職員が必ず一人はいて、子どものエピソードを伝えるようにしています。担任が居ない場合は、夕方の様子や、担任からの口頭での引継ぎで聞いたことを伝えています。
・3~5歳児は運動会を保護者に見てもらいましたが、1、2歳児は保護者に見てもらう運動会ができなかったため、2月中旬~3月上旬のクラス懇談会の中で「親子ふれあい遊び」を行い、成長を共有してもらうことにしています。
・保護者からの情報は、乳児は連絡票、幼児はクラスノートに記載し、経過記録や面談記録に記録しています。
・理念、クラス目標等をわかりやすく図にした「錦保育園の保育」を今年度新たに作り、玄関に掲示して保護者に伝えています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

・朝夕、常勤職員が必ず一人はいて、昼間のエピソードを伝えるようにしています。担任が居ない場合は、夕方の様子や、担任からの口頭での引継ぎで聞いたことを伝えています。職員は、保護者が話しかけやすいように心がけています。
・年1回個人面談期間に担任と面談をしています。それ以外にも、保護者から相談がある場合は、早急に面談を行うようにしています。乳児の個人連絡票の記載内容や送迎時の様子から不安が感じられるような場合も、話を聞く機会をつくっています。
・保護者の就労状況に合わせて、面談期間以外の日やきょうだいを同日にするなどの配慮をしています。
・相談内容によっては、療育センター等の関係機関につなぐような支援を行っています。その場合は園長、または主任が一緒に対応しています。
・個人面談、相談の内容は、1、2歳児は個人面談相談記録表に、3~5歳児は経過記録のその他欄に記録しています。
・相談を受けた職員は、園長・主任に報告し、必要に応じて嘱託医、中区保健師、看護師、臨床心理士から助言を受ける体制があります。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:a】

・職員は、子どもの体調やケガ等の健康面だけでなく、表情、しぐさ、態度、服装、親子の様子等をよく観察しています。
・子どもにあざや傷があった場合は写真をとり、速やかに園長、主任に報告し、職員間で正確な情報を共有しています。
・保護者の話を傾聴し、相談しやすい関係作りをしています。保護者の負担が軽減するように一時保育の利用を勧めたり、支度の手助けをしたりしています。保護者の様子に変化を感じた時には声かけをして、必要に応じて区役所、保健師、児童相談所と連絡をとることになっています。
・「虐待の疑いがある場合の対応についての流れ」というマニュアルがあり、中区のケースワーカーによる虐待防止研修に全職員が参加しています。特徴的なケガや態度のほか、保護者との関係性が悪くなっても子どもを守ることが第一であることを学んでいます。
・昨年度は、児童相談所、区役所の保健師やケースワーカー、小学校、療育センター、児童家庭支援センター等とカンファレンスを行って、見守り・支援を行っています。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:a】

・毎月の職員会議、クラス会議、乳児・幼児会議で、職員は日々の保育を振り返っています。
・保育日誌には「自己評価・考察」欄があり、ねらいや内容が適切だったか、子どもの取組の過程や心の動きについても言及しています。計画を立てる際には、子どもの発達過程、心の育ち、意欲、興味をよく観察した上で立案するようにしています。
・職員は、次期の指導計画を作る際には必ず自己評価をした上で計画をたてています。
・職員は自己評価をする際には、ほかの職員に確認や相談をして、知識の向上に努めています。課題と思われることは園内研修で取り上げ、非常勤職員も含めた園全体の質の向上に取り組んでいます。
・年度末に自己評価のプロジェクトチームを作り、職員の自己評価チェックリストを基に、チーム内で話し合って、園の自己評価をまとめました。チームで取り組むことで職員同士の気付きにつながり、意識の向上につながっています。