社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

かながわ福祉サービス第三者評価推進機構 評価結果検索サイト

水平線

2024年03月05日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 公益社団法人神奈川県介護福祉士会

② 施設・事業所情報
名称 水平線 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 生活介護, 短期入所, 障害者支援施設(施設入所支援+日中活動事業) 定員 50 名
所在地 253-0008
茅ケ崎市芹沢786
TEL 0467-54-5424 ホームページ http://www.syonokai.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1996年05月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人翔の会
職員数
常勤職員:32 名
非常勤職員:24 名
専門職員
理学療法士:2 名
作業療法士:1 名
看護師:5 名
栄養士:1 名
臨床心理士:1 名
施設・設備の概要
個室:30
2人部屋:10
浴室:3
トイレ:10
デイルーム:1

③ 理念・基本方針
◇基本理念
 誰もが地域で暮らせるために
(大切にしたいこと)
 1.一人ひとりをかけがえのない存在として尊重します。
 2.本人を中心として寄り添う支援を行います。
◇基本運営方針
 1.利用者本人を中心とし、本人の意向を尊重した支援を行います。
 2.利用者の人格と性差を尊重した介助を行います。
 3.利用者の権利擁護とサービスの向上を目指して、事故と虐待を防止し、利用者の権利を守ります。
 4.ソーシャルインクルージョンの理念に基づき、全ての人が地域の中で互いの生き方を尊重し合い、交じり合って生活ができる共生社会をめざします。その実現のため多職種他機関との連携を大切にします。
 5.職員のキャリアアップに努め、職員研修の充実を図ります。
 6.職員が安心して働き続けられる職場作りをめざします。
 7.適切な財務管理と会計処理システムに努め、信頼性の高い効果的・効率的な経営体制を確立します。
 8.サービスの質の向上のため、リスクマネージメントの充実やコンプライアンスの徹底、情報公開による透明性の確保を図ります。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
○脳性麻痺や脊髄損傷、脳血管障害など、重い身体障害のある利用者が生活する水平線では、ここでの生活をより良くするために、利用者の会「フレンド会」を月1回開催している。利用者の「思いを形に」というキーワードを大切にした支援を行うため、「フレンド会」から出た希望や意見をできるだけ早く実行に移し、「できた」「うれしい」という思いを実感してもらっている。利用者の思いを実現することは、スタッフの充実感や、やりがいにつながっている。
○利用者の平均年齢は60歳を超え、最高齢者も83歳で利用者の高齢化が大きな課題となっている。そのため、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションに力を入れて、筋力低下を予防している。リハビリ計画を作成して機能訓練を行い、心身の状態の維持、向上を図っている。機能訓練の様子は、ユニット会議やパート会議で報告し、業務連絡簿でも確認できるようにして、全スタッフに周知している。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2023/06/01(契約日) ~2024/02/09(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(2014年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 ◇事業所の特色や努力、工夫していること、事業所が課題と考えていること等
○水平線は福祉総合援助施設「空と海」の1階にあり、脳性麻痺や脊髄損傷、脳血管障害など重い身体障害のある利用者50名が、5つのユニットに分かれて生活を送っている。利用者の8割が車椅子を利用し、利用者の居室は個室と2人部屋で、スタッフは「本人が主体」の生活を支援している。
○日中活動を希望する利用者には、アイロンビーズや自主製品の制作、レクリエーションなどのプログラムを用意して、本人が望む活動に参加できるようにしている。
○利用者20名は2人部屋を利用しているため、居室内をカーテンなどで仕切り、プライバシーを確保している。どの部屋を利用するかは利用者の希望を聞いて決めている。この人と一緒の部屋にしてほしいと、開所当初から同じ利用者と協力し合いながら、2人部屋で生活している方もいる。車椅子用に居室のドアは広く、電動車椅子を操作して出入りしている方は、好きな模様のカーテンを付けてプライバシーを守っている。居室内は、自分の好きな物を、好きなように配置し、住み心地の良い空間を作り上げている。スタッフが入室する際は、ノック、声かけをしてから、利用者と向かい合って用件を伝えている。
○月1回、ユニット会議を開催し、不適切な行動や身体拘束がないか、スタッフ間で確認し、話し合いを行っている。また、3年前より30項目のチェックリスト「水平線あるある」(ノックをしましたか、おむつを置きっ放しにしていませんか、通り過ぎませんでしたかなど、慣れてしまうと起こりがちな「あるある」をまとめたもの)を用いて、スタッフの意識、行動をチェックしている。「水平線あるある」の内容はリスク委員会で話し合い、スタッフにフィードバックしている。
○傾聴と共感を大切にしている。担当スタッフを中心に、日々の生活の中で利用者の話を傾聴し、話の内容によっては、場所を変えてコミュニケーションを取るようにしている。365日、24時間、共に過ごす中で、介助時に話を聞いたり、利用者が話しやすいタイミングを見つけて対応している。言語での表出が難しい利用者には、家族に聞き取りをしたり、日々のケアの中で身振り手振りから感じることを見落とさないように心がけている。
○起床や就寝、入浴など、利用者に合わせて同じ時間帯で行い、生活のリズムを整えている。1ケ月の予定を掲示し、入浴、通所などの曜日を決めている。情報が得られにくい方に対しては、担当から個別に伝えるようにして、早めの連絡を心がけ、スケジュール管理の支援を行っている。利用者一人ひとりの状況に応じて、自力での生活の維持につなげている。外出の希望には、外出ボランティアを活用している。外出されない方の買い物のニーズに対しては、生協の宅配サービスを利用し、カタログから食品や衣類を選んでもらい、利用者が選択できるようにしている。
○毎月1回、食事サービス会議を開き、栄養士、食事サービス委員が委託業者との調整を行っている。毎食ごとに、利用者とスタッフそれぞれが検食し、利用者の意見を聞いて記録している。食事は各ユニットで摂取しているが、一人で居室で食べたいとの希望がある場合は調整し、状況に応じた対応を行っている。現場スタッフの声と本人の状態を見て、一人ひとりに合った自助具を活用している。毎月、体重測定を行い、栄養状態を確認するようにしている。食事サービス会議では、ボリュームやカロリー、形態(ソフト、ペースト、常食)など、利用者の状況を検討し、スタッフで共有するようにしている。開所当初より、毎週金曜日は、肉系か魚系かを選べる選択食に取り組んでいる。目で見て分かるよう写真などを用意している。ご当地メニューやイベント食(ハロウィーン、おせち、クリスマス、年越しそば)を定期的に企画したり、利用者の母親からレシピを聞き、「お母さんメニュー」などを提供して、利用者が楽しんで食事ができるよう工夫している。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 水平線ではあたりまえに行っている事について評価して頂き、スタッフの中でも、自分達が行っている支援について、肯定的なコメントが残されている事に自信を持つと共に、あらたに水平線の中で課題となっている部分に気づく事ができ、意義のある機会となりました。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

法人の基本理念「誰もが地域で暮らせるために」や事業計画、取り組みについては、法人内各事業所の代表が参加する3月の次年度説明会や、4~5月に開催する全体研修の場で、スタッフに説明、周知している。家族に向けては、年1~2回、家族懇談会を開催したり、年4回、広報誌「水平線スマイル」を発行しているが、理念や基本方針の説明というよりは、現状の取り組み内容の説明であると感じている。家族懇談会開催の同日に、利用者説明会を開き、家族懇談会で話した内容をそのまま伝えている。利用者の集まりとして、月1回「フレンド会」がある。「フレンド会」には、利用者の有志15名ほどが参加している。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

法人が契約している公認会計士と各事業所の課長以上の管理者が集まり、月1回、月次決算会議を開催している。月次決算会議では、各事業所のコスト分析や利用率の状況などをもとに、今後の方向性を確認している。月次決算会議終了後にはさらに1時間かけて、法人内の1事業所を取り上げ、その事業所の状況を深堀りしている。地域の相談支援施設や支援学校との関わりはあるが、福祉計画の策定や内容の把握までには至っていない。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

月次決算会議や施設長会議、課長会議などで検討した内容は、必要に応じて、理事会にも報告している。現場のスタッフには、光熱水費の節約や物品を丁寧に扱うことなどの声掛けは行っているが、経営に関する細かな内容までは説明していない。70歳代、80歳代の利用者が増え、平均年齢も60歳を超えている。施設での生活を利用者が快適に過ごせるよう健康管理に努めているが、入院者が多いのが課題のひとつである。法人および事業所の会議や委員会が多いため、施設長は管理職会議とチーフ会議に参加し、ユニット会議その他は、課長や主任が参加することとしている。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

法人全体で中・長期計画を策定していたが、高齢・障害・児童と分野が多岐にわたり、制度の改正もめまぐるしいことから、現在はあえて中・長期計画の書面は作成していない。建物が建設から30年を経過し、ハード面の課題~立て直しをするのか、グループホームに移行するのか、エアコンの設置費用は?などに今後どう対応していくのか、また、利用者の高齢化の問題などを視野に入れているが、計画の策定までには至っていない。その他、人材の採用と育成、管理職の育成、食材費や光熱水費の高騰など、いろいろな課題を抱えているため、見直しを行っても対応しきれていない部分が大きくなってきている。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の高齢化が進み、入院者が多いことから、今年度の事業計画の主な取り組みとして、医療・健康を守り、安心できる生活の維持をあげている。昨年度は急変時や死後の希望をうかがうため、利用者全員に「覚え書き」の聞き取りを行ったが、今年度は、後見人や財産管理委託契約など、支援者が必要な方のサポートをし、有事に支援が受けられるよう取り組みをすすめることとしている。また、意思決定支援の取り組みとして、パーソナルプランの作成を計画している。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

単年度の事業計画は実行可能な計画として施設長が策定している。事業計画は上半期の終了に合わせて見直し、上半期の事業報告書にまとめ、法人や理事会に報告している。その後、運営会議、チーフ会議、ユニット会議を経て、スタッフに内容を周知している。事業計画の策定にあたっては、施設長が事業所の状況を鑑みて行っている。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画の内容は、すべて説明しているわけではないが、イベントの内容や成年後見人の活用、利用者の居室変更の件などを、家族懇談会や毎月のお知らせで、家族に伝えている。利用者にも「フレンド会」などを通して、随時、説明している。ただし、説明は不足していることから、見直しが必要で、今後は利用者や家族に対して細かく説明していきたいと考えている。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

利用者の支援や健康状態の把握、リスク管理、余暇活動、環境整備、人材の育成など、事業所内の会議や各委員会で話し合いを行い、サービスの質の向上に向けた取り組みを組織的に行っている。支援内容は、定期的に評価、見直しを行っている。法人全体の権利擁護の取り組みとして、年1回、「自己点検シート」を用いて、振り返りを行っている。提出した「自己点検シート」は法人が分析して、各事業所に返すようにしている。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

利用者の支援や健康状態の把握、リスク管理、余暇活動、環境整備、人材の育成など、事業所内の会議や各委員会で話し合いを行い、サービスの質の向上に向けた取り組みを組織的に行っている。支援内容は、定期的に評価、見直しを行っている。事故防止委員会では、法人内の事故を集計し、各事業所の傾向をまとめている。薬に関する事故が多かったことから、今年度の12月の法人研修では、薬をテーマに取り上げて、薬に関するスタッフの意識を高める取り組みを行う予定である。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

特にスタッフに向けて話はしていないが、施設長の役割と権限、責任については諸規程に定め、スタッフがいつでも確認できるよう事務室に置いている。災害時の避難計画や感染症計画にも、施設長の役割を明記している。施設長不在時の権限は課長に委譲しており、新型コロナウィルスに対する対応も、初期対応から適切に行えたと捉えている。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

身体障害者施設協議会の研修には参加しているが、人権に関する研修や虐待防止研修、等級別の研修などに参加する機会は少ない。もう少し外部の研修に参加して、遵守すべき法令などを学ぶ機会を作っていきたいと考えている。利用者の身体的拘束に関しては、車椅子ベルトの着用などを利用者が望むケースもあり、同意書を入手しているが、今後どのように対応していくか課題もあると考えている。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

法人全体の施設長会議や、担当する各種委員会もあるため、事業所の会議は主要なものにしぼって参加している。その日の人員配置の関係から、入浴や食事介助の場面に入ることもある。多い時は週2~3回、現場に入ることもあった。支援現場で利用者と関わり、また、スタッフと話し合いながら、気になることはその場でアドバイスすることにしている。利用者の体調によって、夜間の緊急通院を対応することもある。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

職員の定着やモチベーションの低下、腰痛などの身体的な負担、夜勤業務の大変さ、利用者の高齢化、物価の高騰など、経営の改善や業務の円滑化に向けた課題が多くあげられている。それぞれの課題に対して改善策を立てて取り組んでいるが、防戦一方になり、思ったようにいかないもどかしさを感じている。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

必要な福祉人材の確保や定着については、法人の労務職員が担当している。非常勤職員の採用は各事業所が行うこともできるが、新規職員の採用も、主に法人の採用担当が担っている。採用担当が県外の学校巡りを積極的に行い、オンラインによる施設説明にも対応している。サービスの質の向上と、しっかりと加算が得られるように、人員の配置と育成に取り組んでいる。サービス管理責任者や相談の研修会に積極的にスタッフを参加させるとともに、法人が実施する実務者研修では、各事業所の管理職が講師を担っている。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

人事規程については法人が人事基準を定め、職員がいつでも確認できるようにしている。階層別に求められる職員像も、倫理綱領に定めてはいるが、明確ではない部分もある。スタッフが自分の将来の姿を思い描くことができるかは、性格や資質によって異なると感じている。施設長とスタッフの面談においても、施設長が期待する職員像はあえて呈示していない。スタッフ個々の思いはさまざまなので、自らが成長できるように後押ししている。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

常勤のスタッフを対象にして、毎年11月頃より、職員に意向調査のアンケートを実施している。意向調査では、次年度の働き方や意向を確認し、併行して、施設長、課長との面談を行っているが、全員に面談するところまでには至っていないので、今後は全員面談を維持できるようにしていきたいと思っている。常勤のスタッフは、「重点課題シート」にて、年度当初に目標を立て、半期ごとに見直しを行っている。福利厚生については、コロナ禍前は懇親会費用の助成などを行っていたが、コロナ禍で休止している。同じ事業所全体での懇親会などはリスクも高いため、法人内の各事業所に所属する職員の同期会などを開催できたらと思っている。人員体制については、思ったような配置までには至らず、長期休養職員への対応や、女性職員の配置に苦慮している現実がある。利用者からも、安心して介助をお願いできるよう、スタッフを増やしてほしいとの声がある。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

職員一人ひとりの育成に向けた取り組みとして、「重点課題シート」を活用して、スタッフ一人ひとりが自己の目標を立てているが、目標の立て方がばらばらで課題があると捉えている。目標が具体的でないために、評価ができず、成果もはかりにくい状況にある。施設長や課長との面談を通して、目標の立て方について話をしているが、今後の課題としている。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

スタッフの資格取得の状況は、法人の労務担当が把握、管理している。法人全体で研修計画を立て、キャリアアップや等級別研修、人権研修を企画、実施している。研修内容は多岐にわたり、研修委員会も3グループに分かれている。新人職員の入職時には、事業所でも入職時研修を行っている。入職時研修の内容は、事業所内の各チーフが組み立てている。法人研修や外部研修、内部研修など、スタッフが必要な研修に参加することができる体制を整えている。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

外部研修の情報は、スタッフに内容を案内している。参加について管理職員から指名せず、スタッフの希望を優先して参加できるようにしている。外部研修参加後は報告書を提出し、スタッフ全員が内容を閲覧できるようにファイルしている。新人職員にはチューター制を取り入れ、1年間、ベテランの職員が、そのスタッフに合わせたOJTを行っている。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

施設長が実習生の受け入れを行い、受け入れマニュアルや基本姿勢を書面で用意し、実習担当者と内容を共有している。実習の依頼は多いが、現在、専門学校や大学の社会福祉士の取得を目指す学生を、年3~4人、受け入れている。スタッフ一人ひとりが、ソーシャルワーカーとしての自覚を持ち、実習生に対応している。それぞれのスタッフが一所懸命教えることが、スタッフの学びの場となっている。実習生の受け入れは今後も継続していきたいと考えている。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人のホームページに理念や事業計画、事業報告などの内容を掲載し、運営の透明性を確保する情報を公開している。また、法人の広報誌「ニュース翔」でも、法人内事業所の状況を報告している。地域に向けては、福祉総合援助施設「空と海」として自治会に加入し、自治会の集まりに参加して、施設の運営状況や利用者の状況を説明して理解を促している。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

「諸規程」により、事務、請求、医事、労務などの役割を明確にしている。内部監査を行い、監査人からの指摘を受けて、改善に努めている。法人内の施設長と他事業所の課長がペアを組み、年1回、法人内の他事業所を回り、現金の管理や収納場所、出納帳の印などを確認し、公正で透明性の高い運営が行われているかチェックする取り組みを行っている。労務などの問題は、社会保険労務士に相談する仕組みを整えている。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設内の掲示板に、文化会館や地域の催し物の案内を掲示して、利用者が参加できるようにしている。コロナ禍前は、家族やボランティア、移動ヘルパーなどの付き添いで、利用者が地域の行事に参加していた。また、ボランティアや移動ヘルパーを活用して、散歩や買物に出かけている利用者もいる。9月の納涼祭は、地域の方々の招待はできなかったが、ほぼ平常通りの規模で開催することができた。法人が開催する地域との交流行事「フィエスタ翔」には、希望した43人の利用者が参加している。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

余暇係のスタッフを窓口として、ボランティアの受け入れを行っている。新しいボランティアの受け入れ時には、オリエンテーションも行っている。現在、月に7~8人の個人ボランティアが活動している。「フィエスタ翔」などのイベント開催時には、市の社会福祉協議会を通し、ボランティアを募集している。買物をしたい、外出をしたいなど、利用者の希望は多く、ボランティアにはもっと来てほしいとの声もあがっている。会議室や車椅子の清掃などには、法人内の就労継続支援B型事業所「グランマ」の利用者が活動している。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

各相談支援事業所とは必要時に、支援学校とは定期的に、打ち合わせや情報交換の場を設けている。利用者の高齢化に伴い、病院との連携にも努めている。法人全体で、年数回、救命救急講習会を開催し、消防署に協力を仰いでいる。地域の社会資源の情報は、必要に応じて、スタッフに伝えている。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

年2回、法人の運営協議会を開催して、地域の当事者団体など諸団体の方々から意見を聞いている。運営協議会には施設長が参加して、地域の福祉ニーズの把握に努めている。また、自治会に加入して、スタッフが地域の防災訓練に参加している。地域の老人会のイベントに参加して、地域のニーズを把握している。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

事業所としての取り組みは不足しているが、法人全体では、小和田地区での調理イベントや鶴が台団地での子供食堂の協力、買物難民の方々のためのお出かけワゴンへの車両の提供など、地域に向けた活動を行っている。また、地域の災害拠点として、防災倉庫に備蓄品を備えている。利用者用として、非常食を3日分備蓄しているが、状況に合わせて、地域にも対応していく予定である。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人理念の「大切にしたいこと」に、「一人ひとりをかけがえのない存在として尊重する」ことを第一にあげている。脳性麻痺や脳血管障害、脊髄損傷など、重度の身体障害がある利用者に対し、思いやニーズを具現化して、楽しい生活を送ることができるよう、スタッフは支援している。法人全体で人権のマニュアルや倫理綱領などを整備し、一人ひとりの利用者の思いを受け止め、解決する体制を作っている。スタッフの人材育成として、大切にしていることを話し合い、「水平線の心得」を作成し、廊下に貼り出している。より良い生活を送るため、自分たちでルールを決めて生活を送っている。利用者は仲間を尊重し、大事な家族と考えている。訪問調査時、スタッフが一人ひとりに丁寧に昼食の内容の説明をしながら関わり、利用者を大切にしている様子を確認することができた。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

プライバシーの保護について規定し、スタッフは研修や会議を通し内容を共有している。30名の利用者は個室で生活し、20名は2人部屋をカーテンなどで仕切り、プライバシーを確保している。利用者の居室は、希望を聞いて決めている。この人と一緒の部屋にしてほしいと、開所当初から同じ利用者と協力し合いながら、2人部屋で生活している方もいる。車椅子用に居室のドアは広く、電動車椅子を操作して出入りしている方は、好きな模様のカーテンを付けてプライバシーを守っている。居室内は、自分の好きな物を、好きなように配置し、住み心地の良い空間を作り上げている。スタッフが入室する際は、ノック、声かけをしてから、利用者と向かい合って用件を伝えている。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

ホームページやパンフレットなどに、水平線のサービス内容を明示している。また、利用希望者には口頭でどのようなサービスが受けられるか、施設内でも栄養士や看護師、理学療法士、臨床心理士の専門的相談も可能であること、水平線の生活の様子などを丁寧に説明している。地域の方からの相談にも、同じように情報を提供している。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

コロナ禍以降、体調を崩して長期入院し、療養型医療施設に移行するケースが多い。そのため、新しい利用者の受け入れがある。家族や本人へは重要事項説明書を使用して、細かな説明を行っている。本人にわかりやすい書面になっていないことから、実際の生活の様子を見てもらったり、日中の活動を体験をしてもらったりして、説明するようにしている。日中活動やリハビリテーションなどへの興味を確認し、家族からは本人の趣味などを聞き取っている。本人の意思でここでの生活を希望した時に、入所を決める方法をとっている。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

家族の高齢化や支援の困難さなどから、在宅での生活が難しくなった方が、ここで生活している。そのため、再び地域での生活を希望する利用者は極端に少ない。入所時には、地域移行の希望を確認しているが、家族によってはそのことに不安を感じてしまうケースもある。10年以上前に、利用者1名がグループホームに移行したが、その後に地域生活を希望した方はいない。グループホームに移った方は、同じ法人内のグループホームだったので、今までの生活の引継ぎなどスムーズに行うことができ、本人は混乱もなく、現在も元気に生活を送っている。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人全体で利用者全員に満足度調査を行い、内容をまとめ、入所施設や通所施設、グループホームなど、すべての事業所の傾向を分析している。水平線では、利用者1人が発起人となり、他の利用者が命名した「フレンド会」という仲間の会を立ち上げている。「より良い水平線になるために」をテーマに、月1回利用者が集まり、話し合いを行っている。自分の思いや希望、要望、苦情など、利用者からは様々な声があがっている。水平線はひとつの家族という意識を持ち、より良い生活、より楽しい生活ができるよう、自分たちで考えている。「フレンド会」からの提案は、すぐに解決できるものはスタッフが解決し、時間が必要な内容の場合は、グループ会議などで検討している。高齢になり、水平線での「看取り」を希望した方がいた。家族や関係機関の協力、スタッフや利用者の見守りを受け、全員に見守られながら逝去された。他の利用者から「私もここで死にたい」という言葉が聞かれている。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

苦情窓口として、苦情解決責任者や受付担当者を置き、第三者委員やオンブズマンも活動している。苦情解決の仕組みは、入所時に説明するとともに、玄関に掲示している。玄関にはご意見箱も設置しているが、利用はほとんどない。利用者は、話をしたい人を自分で選んで、直接話をしている。「フレンド会」からの要望や苦情は、できるだけ早く解決するようにしている。「フレンド会」の開催を月2回にしたいという希望が出ているが、スタッフの体制などで待ってもらっている。衣服の忘れ物など、短期入所の苦情が時々あり、その都度、対応している。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

「フレンド会」からは様々な意見が出るが、「○○へ行きたい」「○○が食べたい」などの希望が多い。利用者の希望を受け、担当者と相談して必ず実行するようにしている。「思いを形に」を支援の柱とし、一人ひとりの思いを実現して、「できた」「良かった」という思いが残るようにしている。言葉での意思表示が難しい方には、できるだけ時間を取り、一対一で写真や絵、ジェスチャーなどで思いを汲み取っている。家族からも、本人の好きなこと、できることなどを聞き取っている。利用者の希望を実現することは、スタッフの仕事のやりがいや充実感にもつながっている。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

利用者個人や「フレンド会」からの意見は、できるだけ早く対応するため、食事のことは栄養士に、身体や健康のことは看護師や理学療法士、作業療法士に相談しながら解決している。他の利用者とのトラブルや、他の人に聞かれたくない話などは、相談室や居室など、利用者の望む場所で落ち着いて話を聞くようにしている。利用者の1人から、母親の作る料理が大好きで他の利用者にも食べさせたいという相談があり、母親、栄養士、厨房と相談し、母親の作ったものを提供したことがあった。課長や主任もできるだけ時間を作り、利用者の思いを聞いている。昔は?幼少期は?など話を掘り下げながら、今の気持ちを探っている。言葉は出ないが目線で思いを伝える利用者には、その様子から何が言いたいのか探り出している。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

法人に事故防止委員会、リスクマネジメント委員会を置き、各施設・事業所からスタッフが参加している。委員会の活動内容は、各施設・事業所に周知し、全職員が共有している。また、水平線に「リスク防災会議」を置き、各ユニットのスタッフが参加して、ユニットごとに起きた事故の報告、発生の原因などを検討し、内容をチーフ会議にあげている。ヒューマンエラーに関しては、グループワークなどで検証し、再発防止に努めている。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症対策マニュアルを整備している。法人に看護師を中心にした衛生管理委員会を設置し、各施設・事業所からスタッフが参加して活動している。感染症が発生した場合は、対応の手順や指示などを決めている。新型コロナウィルスに対するマニュアルは、これまで3回、内容を修正して使用している。コロナ感染症は、30人ほどの利用者が感染した。スタッフは完全防備で対応にあたり、感染者は個室に隔離して対応した。隔離状態のストレスからドアを叩いたり、蹴ったりする行為があり、スタッフは対応に苦慮した経験がある。家族への感染を防ぐため、駐車場での車中泊を長期にしているスタッフもいたとのことである。コロナ感染症により長期入院し、療養型の医療施設に移った方や、現在も入院中の方がいる。感染症が好発する時期には、スタッフが感染症の研修に参加している。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

災害時用BCP(緊急事態発生を想定し、早期復旧のために何をするかをまとめたもの)に基づいて対応することとしている。水平線の建物自体が、地域の避難場所になっている。自治会に加入し、地域との連携や、消防署との連携を行いながら年2回の避難訓練、年1回の消防訓練を行っている。また建物各階にある発電機は、年2回作動して、使い方の確認をしている。市の防災用倉庫に備蓄品などがあり、法人では厨房管理の防災食を保管している。賞味期限を確認しながら、常時入れ替えを行っている。災害発生時の職員体制もBCPの中に記載されており、震度6以上で全員が参集することにしている。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

各種マニュアルを整備している。利用者のニーズは、担当スタッフや日中活動のスタッフが、日々の生活の中で聞き取っている。また、「フレンド会」からの希望や、グループ会議の中で職員間で情報を提供し合い、「ニーズ整理表」に落とし込んで、個別支援計画を作成している。個別支援計画は、半年ごとに評価、見直しすることを決めている。個別支援計画作成の流れを決め、スタッフに周知している。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

各種マニュアルは、法人全体で見直しを行っている。個別支援計画も、マニュアルに沿って、半年ごとに見直しを行い、その時点の利用者のニーズに沿った内容としている。麻痺、痙縮のある利用者から、手を使い料理をしたいという希望があり、入院し、ボトックス注射による治療を受けたケースがある。治療の結果、指先が動くようになり調理ができるようになっている。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

独自の「ニーズ整理表」に本人のニーズを落とし込み、身体状況や精神状況を確認し、リハビリテーションのスタッフや栄養士、看護師と連携して個別支援計画を作成している。「思いを形に」というキーワードのもと、本人のニーズを第一に考えた個別支援計画を作成し、「友だちを呼んでお茶会をしたい」などの利用者の思いを計画に反映して実行している。一人ひとりの楽しい思いの実現は、他の利用者の楽しみに広がっていくことが多い。「自分たちは計画は文章にすることはないが、自分で考え、希望したことを実行するのが普通の人の生活である」と捉え、「利用者のやりたいことを実現し、楽しい生活を送ることができる個別支援計画」を立てるのがスタッフの役割と考えている。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画は、半年に1回、見直しを行い、必要な内容をフタッフ間で共有している。コロナ感染症が出てからは、県身体障害者施設協議会での卓球大会やローリングバレー大会、文化祭などが中止になっているため、水平線でできる楽しみを利用者は自主的に考えている。利用者の楽しみが実現できるよう、スタッフは常に話し合い実行に移している。今回の第三者評価の内容評価項目は、スタッフ全員で自己評価に取り組み、スタッフ間で認識の異なる項目については、それぞれが振り返りの機会としている。評価結果は今後の支援のための「指標」に活かしていきたいと考えている。自分の強み、弱みを確認し、支援の質の向上につなげていきたいと考えている。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の平均年齢は60歳を超え、最高年齢者は83歳、最低年齢者は44歳という構成であるため、身体状況の変化などが見られる中、その時々の思いを実行していくため、フェースシートから個別支援計画、日常生活の記録を細かくとり、パソコンや書面で管理している。パソコンの情報は、どの部署からもアクセスでき、共有できるようにしている。記録類のICT化により、利用者と接する時間が多く取れるようになっている。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

個人情報保護規程を整備し、記録類の保管責任者は施設長としている。記録類は、総務の鍵のかかるキャビネットに保管している。過去2年間の記録類はすぐに取り出せる場所に保管し、5年までの記録類は別ロッカーに保管している。職員は入職時に、個人情報保護の誓約書を法人に提出している。全スタッフが記録類の適正な取り扱いを意識して行動している。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

日々の生活を通し、スタッフ全体で、利用者の思いを傾聴している。聞き取った利用者の声は担当スタッフに伝え、内容は業務連絡簿や引き継ぎ簿に残して、日々の支援に反映している。利用者同士が話し合う会「フレンド会」を月1回(16:00~18:00)設けている。廊下のホワイトボードを活用し、開催のお知らせをしている。今年度は司会を利用者が担当しており、事前に利用者の意見を聞くなど、積極的に取り組み、自分たちで運営しているという意識のもとで活発に行われている。また、翌日の服装を利用者とともに選ぶ時間があり、衣服の選択を楽しみにしている方もいる。月1回、美容師2~3名が訪れている。お願いしたい美容師を指名するなど、利用者の希望を優先している。日常的に利用者が自分で選択できる機会を設けている。新聞を2~3紙取り、利用者が自由に読めるようにしている。テレビやインターネット環境を整え、自室やフロアで、利用者のニーズ合わせた使い方ができるようにしている。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

月1回、ユニット会議を開催し、不適切な行動や身体拘束がないか、スタッフ間で確認し、話し合いを行っている。また、3年前より30項目のチェックリスト「水平線あるある」(ノックをしましたか、おむつを置きっ放しにしていませんか、通り過ぎませんでしたかなど、慣れてしまうと起こりがちな「あるある」をまとめたもの)を用いて、スタッフの意識、行動をチェックしている。「水平線あるある」の内容はリスク委員会で話し合い、スタッフにフィードバックしている。身体拘束については、マニュアルに基づき対応して記録に残している。ベッド柵の本数を調整したり、落下の危険対策で大きなクッションをベッド下に敷き、本人も安心できる形を作り、拘束に代わる方法を工夫している。権利擁護や権利侵害について、オンブズマンと話す機会を設けている。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

起床や就寝、入浴など、利用者に合わせて同じ時間帯で行い、生活のリズムを整えている。1ケ月の予定を掲示し、入浴、通所などの曜日を決めている。予定に変更がある場合には掲示し、情報が得られにくい方に対しては、担当から個別に伝えるようにして、早めの連絡を心がけ、スケジュール管理の支援を行っている。利用者一人ひとりの状況に応じて、自力での生活の維持につなげている。外出の希望には、外出ボランティアを活用している。外出されない方の買い物のニーズに対しては、生協の宅配サービスを利用し、カタログから食品や衣類を選んでもらい、利用者が選択できるようにしている。通院支援も行っており、次回の通院日に合わせ本人がスケジュールを立てやすいようにしている。また、一人ひとりに合わせてケアマニュアルを作成している。トイレまで歩いて行ける方には、転倒防止のため、動線の配慮や居室環境を整えている。食形態は、栄養士に相談し、利用者の状態に合わせてトロミの状態やペースト食、ソフト食などに変更している。車椅子の姿勢について理学療法士に相談するなど、専門職と連携し、スタッフ間で内容を共有している。利用者の高齢化に対し、機能を維持すること、今の生活を豊かにすることを中心に支援している。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

傾聴と共感を大切にしている。担当スタッフを中心に、日々の生活の中で利用者の話を傾聴し、話の内容によっては、場所を変えてコミュニケーションを取るようにしている。365日、24時間、共に過ごす中で、介助時に話を聞いたり、利用者が話しやすいタイミングを見つけて対応している。言語での表出が難しい利用者には、家族に聞き取りをしたり、日々のケアの中で身振り手振りから感じることを見落とさないように心がけている。活動の記録を毎月のユニット会議で確認し、利用者のベストインタレスト(最善の利益)を探すようにしている。文字盤や意思表示カード、文字カードなどを車椅子に取り付けたり、身近に置くなど工夫し、分からない部分を作らないようにしている。利用者が選ぶことができるよう写真などを示し、表情や反応でコミュニケーションを取り、利用者の思いを理解するようにしている。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

年2回、個別支援計画の作成、評価、見直しの際に、利用者と面談している。今年1年何をしていきたいのか、今後どうしていきたいのか、本人の希望を聞いて個別支援計画に反映している。面談の内容は、各ユニット会議で共有し、支援につなげている。利用者の相談ごとは、いつでも対応できるように、スタッフルームや所課長の部屋の扉を開放し、傾聴できる環境を整えている。気軽に話ができる雰囲気を作っていることから、利用者から家族への電話の依頼などが毎日ある。月1回、フレンド会を開催し、「住みやすい水平線になるため」をテーマに、利用者が主体的に話し合いを行っている。相談内容によっては、地域の担当事業所や行政と連携して調整している。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画の確認をユニット会議で行い、本人の希望や楽しいこと、やりたいことを継続できるようにしている。パソコンのボランティアの協力で、イベントのポスターを作成するなど、利用者のやりたいことを実現している。余暇活動についてはアンケートを実施して、利用者が参加したいイベントを聞き取っている。第1希望から第3希望までを伺い、希望するイベントに参加できるようにしている。一人ひとりの状態や意向に合わせ、必ず参加できるよう調整している。コロナ禍の影響で活動に制限があり、現在は中止しているが、以前は近くの大学の文化祭や地域のお祭り、浜降り祭などにも参加していた。「空と海納涼祭」は地域に案内し、地域との関わりを持つ活動も行っていた。利用者からは外出の希望が多く聞かれるため、コロナ禍は、園内の散策などを企画して、利用者の思いを支えている。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人全体で障害の特性についての研修や、看護師の指導のもと、胃瘻の対応や喀痰吸引の研修を行い、専門技術の向上に取り組んでいる。問題が起きた時は、ケア会議を開き検討している。コロナ禍で会議の設定が難しく回数が減ることもあったが、現在は戻りつつある。利用者がわかりやすく、理解しやすく、嫌なことは無理強いしない支援を心がけ、スタッフが統一して関われるよう努めている。パニック状態になった方には、スタッフを変えて対応するなど、支援を受け入れてもらえるような関わり方をしている。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

毎月1回、食事サービス会議を開き、栄養士、食事サービス委員が委託業者との調整を行っている。毎食ごとに、利用者とスタッフそれぞれが検食し、利用者の意見を聞いて記録している。毎食後は、口腔ケアの支援を行っている。食事は各ユニットで摂取している。一人で居室で食べたいとの希望がある場合は調整し、状況に応じた対応を行っている。現場スタッフの声と本人の状態を見て、一人ひとりに合った自助具を活用している。毎月、体重測定を行い、栄養状態を確認するようにしている。食事サービス会議では、ボリュームやカロリー、形態(ソフト、ペースト、常食)など、利用者の状況を検討し、スタッフで共有するようにしている。開所当初より、毎週金曜日は、肉系か魚系かを選べる選択食に取り組んでいる。目で見て分かるよう写真などを用意している。ご当地メニューやイベント食(ハロウィーン、おせち、クリスマス、年越しそば)を定期的に企画したり、利用者の母親からレシピを聞き、「お母さんメニュー」などを提供して、利用者が楽しんで食事ができるよう工夫している。フードトラックに来てもらい、本格インドカレーを提供したこともある。利用者の心身の状況に変化があった時には、個別支援計画を見直し、適切な介助が行えるようにしている。入浴は一般浴や機械浴を用意し、車椅子からの移動を介助するなど、一人ひとりが安心して入浴できるよう支援をしている。排泄も一人ひとりの状況により、定時、時間ごと、声かけなど、細かい対応を行っている。ADLが著しく低下した際には、理学療法士や作業療法士、栄養士、看護師と連携し、スタッフ間で情報を共有して支援につなげている。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

利用者が安心して、安全で住みやすい生活環境の確保を目指し、住環境会議を開催してユニットや浴室、トイレなどの整備に取り組んでいる。共有スペースに物がないようにし、より住みやすく、動線を保つ環境を整えている。目の見えない方に対して、廊下に何もない、事故の元にならない、物を決められた場所に置くなど、慣れた場所がすぐに分かるように工夫し、動線に配慮した対応を行っている。間接業務専門の非常勤スタッフが、ゴミの回収や共有スペースの掃除などを担当し、車椅子や廊下の掃除は就労継続支援B型事業所に委託し、清潔を保つようにしている。2人部屋が10室あり、個室との不平等を緩和するために、利用者の意向を伺い、3年に1回、居室変更を行っている。2人部屋を希望する利用者もいる。フレンド会で居室変更案について、利用者の意見を聞き、利用者が楽しんで生活できるよう配慮している。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

リハビリ計画を作成して機能訓練を行い、心身の状態の維持、向上を図っている。機能訓練は、個別支援計画と連動して実施している。午前中の理学療法士や作業療法士による機能訓練とともに、専門業者が自助具や車椅子の調整を行っている。利用者の心身の状況や意向に合わせ、不具合や見直しを行い、担当のスタッフに報告している。利用者の9割が外部のマッサージ師と個人契約をしており、週2~3回、20~30分のマッサージを受け、拘縮を予防している。機能訓練の様子は、ユニット会議やパート会議で報告し、業務連絡簿でも確認できるようにして、全スタッフに周知している。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

食事やバイタル、排泄など、チェックリストを使用して、介助に対応したスタッフが必要な情報を記入し、確認できるようにしている。利用者の1日の健康状態は、責任者(日直など)をきめ、引き継ぎを行っている。毎朝のミーティングで看護師に状態を報告し、情報を共有している。夜間に急変があった場合は、夜間緊急時のマニュアルをもとに、看護師の指示を受け、対応している。健康状態を維持すること、規則正しい生活を送ることを目指し、日々の生活の中で健康増進に繋がようにしている。排便のコントロールは、利用者の状況に合わせて、嘱託医や看護師と連携を取り対応している。日々の生活の中で利用者の反応をよく観察し、熱中症対策などにも取り組んでいる。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:a】

服薬の事故が発生しないよう、薬ゼロプロジェクトを立ち上げている。服薬時はエプロンを着用したり、服薬後は口腔内のチェックなどの対応を行い、落薬などをゼロにするよう取り組んでいる。毎月、リスク会議を開き、薬の事故やヒヤリハットの情報を共有している。アレルギーのある方には食札を使用し、目で見て分かるよう対応している。嘱託医との医療面談を、看護師や家族、専門職と相談しながら、必要に応じて、スタッフが行っている。喀痰吸引の研修を受けるなど、医療的ケアを適切に実施できるようにしている。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

コロナ禍では、外出や外泊、家族の面会など、外部との接触の機会を制限してきた。状況を確認しながら、牛乳やヤクルトの配達員の出入りなど、少しずつ緩和している。1日外出や旅行も現在は実施していないが、今後は行って行く予定である。法人として、成年後見制度の研修や市民向けの地域セミナーなど、家族や地域の方を対象にした取り組みを実施していたが、コロナ禍で現在は実践発表のみとなっている。大学や専門学校へのボランティア活動の募集も再開する予定である。法人の活動内容を地域の方々に知ってもらう取り組みとして、利用者が作成したチラシを配布することを予定している。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

一人暮らしの不安や加齢などにより、地域移行への希望は現在のところ全く出ていない。グループホームの話をすると、ここを出なければいけないと思う方も多く、積極的に話はしていない。本人の意向を尊重し、希望があれば、グループホームへの移行支援を行うこととしている。月1回、かながわ身体障害福祉ネットワーク(Kーフレンズ)の障害のある当事者委員が来所し、グループディスカッションや個人面談を行っている。それにより、タクシー券の利用などに興味を示す利用者もいるが、あくまでもここでの生活の継続を望んでいる。フレンド会で、住みよい水平線になるための話し合いを継続しながら、利用者の住まいへの希望や意向を支援していくこととしている。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

年4回、広報誌「水平線スマイル」を家族に送り、利用者の生活の様子が分かるようにしている。来所できない家族には、電話にて面談やイベントの誘いを行っている。コロナ禍以前は、利用者の食事介助などで家族が訪れ、スタッフや他の利用者と交流を持つことができていた。面会を制限した期間があったが、現在は元に戻りつつある。面会の際には、家族と情報交換を行い、相互理解を得られるように取り組んでいる。利用者主体の支援を行っているが、一人ひとりの状況に応じて、家族にも相談している。年1~2回、家族懇談会を開き、日中活動や水平線の取り組みを報告し、意見交換を行っている。法人の主催するイベント「フィエスタ翔」への参加も案内している。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害者の施設入所支援、生活介護の事業所のため、評価外とする。

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害者の施設入所支援、生活介護の事業所のため、評価外とする。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害者の施設入所支援、生活介護の事業所のため、評価外とする。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害者の施設入所支援、生活介護の事業所のため、評価外とする。