社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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特別養護老人ホーム すえなが

2021年04月08日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 一般社団法人 アクティブ ケア アンド サポート

② 施設・事業所情報
名称 特別養護老人ホーム すえなが 評価対象サービス 高齢者福祉サービス版
対象分野 特別養護老人ホーム 定員 104 名
所在地 213-0013
川崎市高津区末長一丁目3-13
TEL 044-861-5318 ホームページ http:www.seiwa-suenaga.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1971年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 セイワ
職員数
常勤職員:41 名
非常勤職員:17 名
専門職員
介護職員:40 名
看護師:6 名
生活相談員:2 名
介護支援専門員:2 名
管理栄養士:1 名
施設・設備の概要
居室:個室、2人室、4人室、空調設備
機能訓練室:
食堂:
厨房:厨房設備
浴室:一般浴、リフト浴、機械浴
ホール:
会議室:
事務室:

③ 理念・基本方針
・社会福祉法・老人福祉法・介護保険法等関係法令を遵守します。
・介護、支援、相談等を必要とする利用者の方々の意思及び人格を尊重します。
・利用者に対し良質かつ安全・安心なサービスを提供します。
・高齢社会における地域福祉の拠点施設として多様化・複雑化する地域ニーズに積極的に取り組みます。
・社会的信頼に応える公正で倫理的な施設運営をめざします。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
 高齢者福祉施設すえながは、東急田園都市線溝の口駅・JR南武線武蔵溝の口駅より徒歩10分ほどのところにあり、四季を楽しむことができる高台にあります。同一敷地内に当施設のほか、養護老人ホーム、軽費老人ホーム等があり、介護サービスとして、短期入所【ショートステイ】、通所介護【ディサービス】、居宅介護支援事業、地域包括支援事業等を連携して提供しています。
 1971年(昭和46年)に鷲ヶ峯特別養護老人ホームを開設し、1996年(平成8年)に現在地に移転、以来特別養護老人ホームすえながとして事業を継続しています。当施設の敷地は7,000㎡超、建物は鉄筋コンクリート造3階建てです。個室3室、2人部屋12室、4人部屋19室計34室で、定員は120人(ショートステイ16人を含む)です。
 人権・権利擁護推進委員会を隔月1回開催し、人権・権利擁護に関する啓発及び身体拘束廃止に取り組んでいます。施設独自の接遇マナー推進委員を選出し、見習うべき良い接遇や対応などについても声を掛け合うような環境づくりに取り組んでいます。  
 また、高齢者虐待防止に関する自己点検を全職員が行い、その分析結果についての意見交換会を開催しています。意見交換会に介護職員全員が参加することによって、職員間の介助方法や利用者に対する接遇の質の向上を図っています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2020/08/03(契約日) ~2021/02/23(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 0 回(年度)

⑥総評
特に評価の高い点 ・委員会を中心に徹底した感染症予防策を行い、発生を抑えています
 感染症対策委員会を中心に感染症予防マニュアルの見直しと対策の強化を図っています。各フロアに担当の介護・看護職員を配置し最新情報の共有とマニュアルの実践状況の指導点検を行い、実施状況を毎月委員会に報告しています。感染症予防・実技研修を実施し標準予防策の徹底を図っています。定期的な消毒・検査の実施、対策キットの消毒機材、マスク、手袋等の備品の確認、インフルエンザ予防対策、新型コロナ対策、個室対応の強化など予防策を講じています。徹底した取り組みにより発生を抑えています。
・利用者の健康状態の安定を図り入院日数を減らし、稼働率の改善に繋げています
 利用者の健康状態の安定を図ることを目的に、1日当たり1200㏄の水分提供に取り組みました。1度に多量の水分を補給することができない利用者のために小さな紙コップを用意して夜間も含めて何度でも提供できるよう準備しています。また、水分補給ゼリーにしたり果物味をつけたり、美味しい飲み方を工夫しています。こうした取り組みにより2019年度は2018年度と比較し、入院延日数は1126日減少し成果を上げることができ、稼働率の改善に繋がりました。
改善を求められる点 ・認知症ケアへの取り組みについて組織的・計画的な体制づくりを期待されます
 施設では現在多くの方に認知症症状があります。職員は常に受容的、支持的な対応を心がけ落ち着いた生活ができるよう支援を行っています。認知症への研究や療法が進み、早期の対応で改善されていくといわれています。「認知症介護基礎研修」や「認知症介護実践者研修」はもとより、認知症の対応方法の学習・実践へ向けて組織的・計画的な体制づくりが期待されます。
・将来の大規模修繕等に備えて、中・長期事業計画の策定が望まれます
 施設を取り巻く環境は大きく変化しています。高齢化の進展をはじめとして、社会福祉制度の見直しや支援内容の多様化が求められています。このような中で将来にわたって利用者・家族のみならず、職員や地域の関係者に安心を提供し続けるため、施設が将来に向けての取り組みをしっかりと進めていくことが重要になります。中・長期計画を作成する目的は、施設の将来を見据え、進むべき道を明らかにするための見通しを立てることにあります。中・長期計画により、関係機関や利用者・家族等の信頼を得ることができます。経営資源の配分を明確にし、長期的視点に立った人材育成も可能となります。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 第三者評価の目的である専門的かつ客観的な立場から総合的な評価を受け、更なるサービス向上を図る為、第三者評価の受審を行いました。今年度は新型コロナウイルスが猛威を振るう中、感染防止対策には細心の注意を払いながらの受審となりました。また、評価機関の方々も動画等の工夫を凝らしながら感染防止対策を講じていただけたことに感謝致します。
高く評価された感染防止対策、水分提供については、当施設の長所として受け止め、継続的に実践していきます。いずれもご利用者の健康維持に関る内容として取り組みを進めていきます。
改善を要する点については、今後、施設並びに地域の将来を見据えた長期的運営計画に位置付け、ご利用者の住環境の更なる改善(大規模修繕計画)及び良好な認知症ケアを担う人材の育成などについて、より積極的に取り組みます。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

 施設は、社会福祉法人セイワ(以下、「運営法人」という。)の運営する施設です。事業計画に基本理念や運営方針を記載しています。重要事項説明書、パンフレットに施設の思いや運営方針を記載し、利用者や職員にわかり易く説明しています。「社会福祉法等関係法令の趣旨に従い、介護・支援・相談等を必要とする利用者の意思及び人格を尊重しながら、良質かつ安全・安心なサービスを提供する」としています。広報上、パンフレットやホームページに施設の理念の掲載が必要ではないか、検討が期待されます。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

 社会福祉事業全体の動向や地域の経営環境は、行政機関のほか、運営法人施設長会、運営法人内6施設事業長連絡会、福祉新聞等で把握しています。サービスの質向上の一つとして、利用者の一日当たり水分提供量1,200㎖を掲げ、多職種協働で取り組んだ結果年間延べ入院者数を前年比50%以下の900日とすることができました。このことは利用者にとって、安心で健康的な生活の維持に貢献したことになり、一方施設にとっては利用率のアップに、職員には大きな自信とモチベーションアップにつながっています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

 施設長が事業計画について、策定時、中間や決算時に理事会で報告しています。経営課題として利用者数の減少や慢性的な職員の欠員状況等が挙げられています。利用者に対し一日1,200ccの水分提供に努めた結果、健康状態が安定するとともに、稼働率の安定化に繋がっています。一方、ショートスティの稼働率は、近隣の特別養護老人ホームの新設の影響で稼働は伸び悩んでいます。今後、居宅介護支援事業所へ働きかけ、空室情報の提供に努めるとしています。経営状況を職員全体会議等で職員に周知しています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

 中・長期的なビジョンを明確にした中・長期事業計画を策定しています。稼働率の改善を取り上げ、水分補給(一日1,200㏄)の徹底によって、2019年度の入院延べ日数は前年比1,126日減少し、稼働率が改善するとともに、減収要因を抑えています。中・長期事業計画は2021年度に、①自立支援や重度化防止の推進、②すえなが開設25周年記念行事の検討、③主任介護支援専門員2人、介護支援専門員3人の育成等を掲げています。今後、長期の収支を含む計画の検討が期待されます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

 中・長期計画に基づいて、単年度事業計画を策定し、基本理念と運営方針を明示しています。基本理念として、社会福祉法等の関係法令の趣旨に従い、利用者の意思や人格を尊重し良質な安全・安心なサービスを提供するとしています。運営方針として、①法令遵守の徹底、②サービスの質の向上、③効率的な施設運営の推進、④人材育成・職員教育の推進、⑤働きやすい職場環境の整備充実、⑥安全快適な生活環境の整備、⑦地域との連携強化等を掲げています。事業計画の見直しは毎年10月に実施しています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

 事業計画は、職員全体会議やサービス向上委員会等で話し合い、ボトムアップ方式で策定しています。最近は新型コロナ禍のため、事業長(管理者)が職員から個々に聞き取り集約しています。事業計画書から複数の項目、例えば「良質な介護サービスの推進、効率的な施設運営の推進等」を実施項目として取り上げ推進し、毎年10月に見直しています。職員への周知は例年職員全体会議で行ってきましたが、今年度は新型コロナウイルス感染防止対策の一環として会議を中止し、事業計画書を各職員に配付しています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

 利用者には、デイルーム、生活会議や家族懇談会等で事業計画の内容を説明しています。デイルームに集まった各フロアの利用者に事業計画の周知と併せて理解を促しています。生活会議は通常月1回第1金曜日に開催し、事業長(管理者)、相談員、介護職員、栄養士と利用者20人程が参加し、食事や生活全般について意見交換しています。新型コロナ禍のため、最近の生活会議は少人数で行っています。家族懇談会は年1回開催し、利用者家族間や職員との意見交換および情報共有の場としています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

 福祉サービス向上の取り組みとして、2019年3月に積極的な水分補給を計画し、5月ごろより実行し、期末に評価を行いました。この結果年間延べ入院日数を前年度に比較して50%以下、延べ900日とすることができ、利用者の大きな安心につながっています。サービス向上委員会等で水分補給の重要性を話し合い、2020年度の事業計画でも水分補給に力を入れることにしています。水分提供の器や温度、時間帯、嗜好も含め様々な工夫を重ねながらら、1200cc/日を目標値としてさらに進めています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

 重点課題として、取り組んだことは運営会議で話し合い、事業報告書に記録しています。重点課題に、夜間勤務や時間外勤務、有給休暇の取得の平均化を取りあげています。夜間勤務や時間外勤務が特定の職員にかたよるとストレスの原因になり、時には利用者への虐待行為につながる懸念があるとしています。これらの平均化を推進し、前月の実績(手当の支給状況)や有給休暇の取得状況等をチェックするなど特定の職員に偏ることなく、平均的に取得するよう取り組んでいます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

 職員としての基本に、「管理者とは主幹、副主幹、管理係長、施設長代理、事業長、主査とし、その役割は、次世代を担う役割を自覚し、施設長の示す施設の目標・方針を理解・共有し、自部門の統括責任者・補佐として、健全な部門運営に取り組む。施設長・上司が不在の時は代理者としてその任を果たす。」と明示しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 管理者は、川崎市指定介護保険事業者等集団指導講習会に出席し、遵守べき法令や法令改正等の理解を深めています。受講した管理者は、講習内容を口頭で説明し、配布資料を閲覧することによって職員に周知しています。高齢者虐待防止に関する指針等の理解のため、「高齢者虐待防止に関する自己点検」を全職員を対象に実施しています。勤務が変則になっている施設サービス事業の介護職員に対しては、少人数での研修会を年間延べ29回開催するなど人権権利擁護に対する意識向上に努めています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

 リーダーシップを発揮して取り組んだ事例として、新型コロナ感染防止対策があげられます。職員に対し安心安全な職場環境を提供するよう努めています。手指消毒や毎日の検温の徹底など高い危機意識を持つよう促しています。同時に正しい知識や情報の提供に努め、感染症による”うつ”になる職員はなく(退職につながる場合がある)、同時に利用者においても、陽性者は一人も出ていません。職員と利用者の意見を取り入れながら、看取りの家族との面会を別室で行えるよう配慮しています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

 サービス担当者会議やサービス向上委員会等で話し合うなかで、施設の経営状態を職員と随時共有することによって業務の実効性を高めています。例えば、利用者への1200mlの水分補給を計画・実行し、期末に評価を行い、2019年度の入院延べ日数を1126日減少させています。これは経営課題である稼働率の改善に大きく寄与するとともに、利用者は入院しないで元気で過ごせたことを示しています。職員に実現できたという成功体験を実感させることになり、実効性を高める取り組みになっています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

 障害者の雇用にも積極的で、現在3人勤務していて、今後増やしていく方針です。正規職員は運営法人が採用し、施設は非正規職員を採用しています。採用は難しい状況にありますが、ハローワーク求人票やホームページに求人情報を掲載しているほか、採用のため福祉専門学校を訪問し働きかけています。運営法人の研修体系に基づいた職員個別育成計画とOJTを推進し、職員の育成と教育に取り組んでいます。併せて、自己啓発実行計画を活用し、職員の自己啓発の取り組みを促しています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

 人事管理のために「自己チェック表」と「自己啓発実行計画」があります。職員を6段階の階層に分けています。「自己チェック表」により、職務遂行に求められる能力(知識・技術・取り組み姿勢)の現状について自己分析を行い、以後の課題を見つけています。「自己チェック表」を参考にした「自己啓発実行計画シート」を使って、自分の強みと弱み、3か月後・1年後の重点課題と実行計画を記入し、取り組みます。同シートには管理者のコメントをもらいます。1年後(3か月後)には目標の達成状況や取り組みの結果を振り返っています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

 利用者やその家族から職員へ、または職員同士の感謝の気持ちを伝え合う「ありがとうカード」を活用し、職員のモチベーションアップを図っています。夜間勤務の勤務回数、時間外勤務、業務分担などの負担の公平化に努めています。時間外勤務は2019年度上期と比べて、新型コロナ禍のもとで、夜間の各種委員会の開催や行事の準備等をなくすなど業務改革を進めた結果、53.4%の削減となっています。パワーハラスメント防止のため、5月、全職員を対象に意識調査を行い、意識向上を図っています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 職員一人一人の育成は、「自己チェック表」、「自己啓発実行計画」及びOJT(職場内指導)によって取り組んでいます。「自己チェック表」により、現時点の知識・技術・取り組み姿勢を自己チェックし、以後の課題を見つけています。課題解決のために先輩や上司から指導を受け、3か月後・1年後に振り返り、次の計画に反映していきます。さらに、OJTを重視し、その時の指導、及び長い目での能力向上という二つの着眼点のもと、知識・技能・態度について、階層別に指導者を決め、定期的に面談と指導を実施しています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

 期待する職員像として、①豊かな人格、幅広い見識を備えた福祉職としての自覚と誇りを持つ職員、②時代に合った専門職としての知識・技術を高め、活用できる職員、③福祉職員として自分のビジョン・考えを持ち、発信できる職員、④主体的にチーム活動に参加し、チームに貢献する職員、⑤変化への対応力を持っている職員、⑥創造性や柔軟性を身に付け、前向きに、挑戦するパワーを持つ職員等を明示しています。研修体系に基づき職員個別育成計画を作成するとともに、OJTを実施しています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

 教育研修体系を階層別に本部研修、施設研修、自己啓発の3つに分けています。本部研修には階層別研修、管理者登用時研修、全職員の全体研修があります。施設研修には上司の職場指導研修(OJT)、専門的な職場研修、職種別の派遣研修があります。自己研修には社内外の勉強会、通信教育があります。研修計画は研修推進担当(管理係長)が作成し、施設内研修委員会が定期的に見直しています。主任介護支援専門員養成研修などの外部研修へも積極的に派遣を進めています。今後、OJT実施に関し組織的に行う観点から初級職員(入職1年目及び2年目)に対する指導内容を職種別に標準化しておくことが期待されます。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

 社会福祉士・介護福祉士5人、介護等体験・職場体験20人、看護及び養護学校現場実習25人の実習生を受け入れた実績があります。ところが、実習生の受け入れに関するマニュアルがないため、現状は学校側からの実習依頼に対し職員個人の受け入れノウハウにより対応しています。今後、受け入れ対応マニュアルとして、①受け入れ手順(氏名、連絡先、希望する実習等の確認)、②オリエンテーションの実施(施設と利用者の概要、守秘事務、基本的な利用者との関わり方と留意点等)、③体験後の感想、等を考慮した具体的な実習プログラムの作成が期待されます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

 事業計画に、「施設の取り組み状況をホームページや広報誌等を通じて積極的に発信し、社会福祉施設としての活動の見える化の推進に努める」とし、透明性の確保について明記しています。ホームページには、施設の概要をはじめ、立地、建物(写真)、新着情報、施設案内と写真、サービス利用の流れ等を掲載しています。広報誌「すえながだより」等に行事案内や職員紹介等を掲載していますが、施設の理念や方針は掲載されていません。今後、法令遵守や利用者の意思・人格の尊重、安心・安全なサービスの提供等理念の掲載が期待されます。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

 事務、経理、取引に関するルール等について、運営法人の監事の監査を受けています。運営法人事務局のヒアリングで、必要な帳票類の整備状況の確認も行われています。ヒアリング項目には、事業進捗状況や予算執行状況、経理、労務管理等などがあります。専門家の会計監査人の監査も定期的に受けています。監査で指摘を受けた事項は、会議や委員会で話し合い、経営改善に活用しています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 事業計画書に地域との連携強化を掲げ、福祉啓発を目的に近隣住民を対象とした公開講座を開催しています。公開講座は年1回10月頃実施し、高齢者福祉に関心を持ってもらえるようなテーマを設定し、2019年度は「健腸腸寿 おなか元気教室」で、介護者や近隣住民の31人が参加しています。例年は秋祭りを開催、参加者は200人を超え、屋台等も出るなど利用者と近隣住民が楽しみにしている行事です。施設の取り組みを広報誌等で発信し、社会福祉施設としての活動を見える化しています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

 ボランティアは地域社会と施設をつなぐ柱の一つと考え、事業計画にボランティア受け入れを織り込んでいます。傾聴活動が延280人、居室清掃が延130人、その他音楽活動等延230人、合計延640人という多くのボランティアが活動しています。長年のベテランのボランティアが多く、新規のボランティアが少ないと見られます。現状、整備されたマニュアルがありません。今後、安全にボランティア活動をしてもらうために、登録、申込、配置、職員や利用者への事前説明、実施状況の記録等の手順や方法等を記載したマニュアルの作成が期待されます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

 地域のネットワークとして、川崎市老人福祉施設事業協会主催の施設長会があり、偶数月に開催し、参加者は特別養護老人ホームやデイサービス【通所介護】の施設長、川崎市職員、社協職員、労働基準監督署職員等約60人です。事業内容は行政からの連絡事項および情報交換、求人活動等です。社会資源を明示しているものとして、川崎市発行の「高齢者福祉のしおり」を事務所カウンターに備えています。今後、個々の利用者の状態に応じ、利用や参加できる社会資源を明示したリストや資料の作成が期待されます。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

 福祉ニーズを把握する機会として、川崎市老人福祉施設事業協会主催の施設長会及び介護者と近隣住民を対象とした公開講座があります。施設長会では、介護保険制度の改正点や地域住民の福祉ニーズを把握しています。公開講座を毎年10~11月に開催し、施設の介護サービス等の取り組み状況や健康長寿を主なテーマとした話し、住民からの質疑応答があり、福祉ニーズや生活課題等の把握に役立てています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

 公益的な事業として、①福祉啓発を目的にした公開講座の開催、②福祉活動の見える化のための広報誌の発行、③災害時の当施設の地域住民への対応等を実施しています。当施設は災害時の2次避難所に位置付けられています。災害時の備蓄品として、食料や飲料水、肌掛け等、地域住民分として約50人の2日分を備蓄をしています。いつでも区内住民が困って来所した時に提供できるよう備えています。新型コロナ禍で困った人、例えば学生やアルバイト、さらには生活困窮者等を対象とする公益的な活動を検討しています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 「利用者の方々の意思及び人格を尊重します」と施設の理念・方針を明らかにしています。年1回開催する職員全体会議において、理念・方針の共通理解を図っています。入職時にマニュアル「職員としての基本」の研修を受け、個人の尊重が基本にある社会福祉の理念や職員の行動指針をを学んでいます。「介護マニュアル」には、食事や入浴などの場面で利用者を尊重した介護の手順を明記し、福祉サービスの実践者として日々利用者の介護にあたるよう求めています。職員自らの行動基準を評価する「自己評価」や上司との面談を通して確認しています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

 就業規則・服務規程に、プライバシーに関わる守秘義務について明記し、職員は入職時に誓約書を提出しています。日常の介護業務では、「介護マニュアル」等に基づき利用者のプライバシー保護に配慮しています。トイレ、ベッド、浴室には一部ドア付きで全てにカーテンを設置し、プライバシー保護に配慮した介護に努めています。現状、同性介助はシフトの関係で困難な状況とみられます。地域交流室を使い、オンライン方式で面会を行っています。広報紙やホームページ等への写真掲載については口頭で利用者と家族の了解を得ています。   

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

 施設の情報は、運営法人及び施設、市老人福祉施設事業協会、介護情報かながわのホームページに掲載し、パンフレットや広報誌は区社協や老人福祉センターに常備しています。介護支援専門員からの紹介も多いことから広報誌やパンフレットを配布し、利用希望者等に有効に届くよう努めています。ホームページは毎月更新するとともに、広報紙は年3回発行し、施設内の様子がわかる動画や行事に集う利用者の明るい表情などを紹介しています。見学は随時受け入れ、施設内を案内し利用費用等の質問に答えています。体験入所はショートステイ【短期入所】の利用で対応しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

 サービスの利用開始・変更時は利用者と家族等と面談し、契約書及び重要事項説明書を用いて丁寧に読み上げながら説明、了解の上、互いに署名捺印をとり交わしています。利用料金については利用者向けに「利用料金説明書(換算)」を作成し、実際にかかる費用を算定し提示しています。個人情報保護については事業所内外でのサービス提供に関わる利用目的を明記し、関係者以外に流出しないよう最小限の範囲で使用することとし、同意書をもらっています。意思決定が困難な利用者には、家族や身元保証人等の了解を得て対応しています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

 入所にあたり必要に応じ説明会を開催し、利用者と家族や身元保証人に利用者の生活や健康状況を説明しています。複数の職種の職員からの報告や意見をもとにサービスの継続性に配慮した文書を作成しています。入院など医療処置が必要な場合は入所の継続が難しくなりますが、状況が改善した場合3か月以内であれば再入所が可能であることを説明しています。入所契約書に、「退所する際には、利用者と家族等の希望や退所後の利用者の環境等を勘案して、必要な相談・円状に」応じると明記しています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 利用者満足に関わる定期的な取り組みとして、毎月1回生活会議を開催しています。利用者と事業長、相談員、栄養士、介護職員が出席し、行事予定や感染症予防対策など生活や運営に関する連絡のほか、利用者の要望を聞いています。昼食後の会合でもあり、料理メニューへの要望が多く出ます。会議での意見はその場で回答し、他の改善が必要なものについては関係する会議で検討しています。給食委員会で希望のあった料理について献立やおやつに反映しています。家族懇談会を毎年4月に開き、家族の要望を受けています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

 マニュアル「相談・苦情解決の手順」にて苦情解決体制を整備しています。施設の相談員、外部の第三者委員、介護保険相談窓口等の外部関係機関の名称、電話番号、住所を重要事項説明書に明記しています。エレベーター入り口には第三者委員を含めて掲示されています。ご意見箱を各フロアに設置し意見を述べやすい環境を整えています。苦情は職員が受け入れ、苦情解決委員会で協議検討し、経過と結果を記録し、苦情申し出者に伝え公表する仕組みになっています。出された苦情は事業報告書に掲載し、施設内に閲覧できるよう設置しています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

 相談や苦情がある場合、施設をはじめ、担当の介護支援専門員、自治体、国民健康保険団体連合会に対しいつでも申し出ることができることを重要事項説明書に記載しています。施設のお客様相談窓口と外部の第三者委員、公的機関の電話番号、対応時間を記載しています。苦情解決制度の、大きな文字で分かりやすいポスターをエレベーター入り口の壁面に掲示しています。利用者が一堂に会する生活会議で意見や要望を聞き、個別相談は地域交流室や居室を使用するなど話しやすい環境に配慮しています。 各フロアに、意見箱を設置しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

 苦情の未然防止策として利用者満足度調査の実施を計画しています。日常の業務の中で利用者とのコミュニケーションに気を配り、意見を出しやすいよう配慮しています。生活会議で出された意見はその場で回答できるものは説明し、食事に関わるものは給食委員会に、他はサービス向上委員会で検討するなど解決・改善に向けて取り組んでいます。要望や苦情には個人または全体に関わるものがあり、関係職種・職位によって適切な対応を図っています。解決への経過と結果を記録し、申し出者へ回答するとともに、年度事業報告で公表しています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

 事業長がリスクマネジメントの責任者を務めています。事故防止対策委員会を偶数月の第三火曜日に開催し、類似事故の分析や再発防止策を検討・立案し、職員に防止策を周知しています。委員会には、施設長、管理係長、事業長、相談員、介護職員、看護職員、栄養士、事務員が参加しています。ヒヤリハット発生時は関係職員に速やかに報告し、情報を共有しています。事故発生時は、関係職員と協力して速やかに対処し、被害の最小化に努めるとともに、被害をうけた利用者に誠意ある対応に努めています。事故報告書を作成しています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 感染症対策委員会を中心に感染症予防マニュアルの見直しと対策の強化を図っています。各フロアの介護・看護職員と最新情報の共有を図り、マニュアルの実践状況の点検・指導を行うとともに、実践状況を委員会に報告しています。5月には感染症予防・実技研修を実施し、スタンダードプリコーション(標準予防策)の徹底を図っています。定期的な消毒と検査の実施のほか、対策キット・消毒器材・マスク・手袋等の備品の確認、さらに、インフルエンザ予防対策、新型コロナ対策、個室対応の強化など様々な予防策を講じています。こうした徹底した取り組みによって感染症の発生を抑えています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

 災害発生に備え、職員に「大地震発生時の初期対応指針」を配付しています。指針の目的は「大地震発生時に利用者と職員の身体生命の安全確保、被害の最小化と二次被害を防止する」ことです。指針には、災害発生時の職員の取るべき行動指針や職員の参集基準、災害時の職員体制、災害時の応急活動などを記載しています。当施設は、川崎市ハザードマップ(洪水、土砂災害地域)では対象外地域に所在しています。備蓄品として、食料及び飲料水を1日2食として6日分備蓄しています。その他、発電機、ヘッドライト等を整備しています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

 日常の介護に関する「介護マニュアル」を作成し、移動介助、健康観察、食事介護、排泄などそれぞれの意義、利用者の尊重やプライバシー保護に配慮した介護の方法及び手順等を分かりやすい絵図を用いて説明しています。「安全介護ルールブック」には、移動・移乗、食事、排泄など介助全般についてプライバシー保護や権利擁護の視点からルール違反となるやってはいけなことを明示しています。新規入職者には、これらのマニュアルを用いた運営法人の研修後、施設の各フロアのチーフがOJTを行い、実際の手順や習熟度の確認を行っています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

 感染症マニュアルや防災関係マニュアルについては流行する季節の到来前や計画実施前に検討や見直しを行っていますが、組織として定期的な見直しの時期や方法は明確に定められていません。事故や苦情、介護などはそれぞれの委員会やワーキングチームにより、必要に応じ適宜見直しや改善が図っています。マニュアルの見直しにより、該当する利用者の介護については介護方法の変更を行っています。褥瘡予防対策チームやケア検討ワーキングチームの各会議で、職員・利用者からの意見や提案を反映する取り組みを行っています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

 相談員による入所面接を始め、介護職員、看護職員、栄養士等の多職種の職員が参加してアセスメントを行い、利用者の意向の把握やニーズ・課題分析を行っています。これらを基に居室担当及び介護職員が個別の施設サービス計画書を作成しています。施設サービス計画書には利用者及び家族の生活に対する意向をはじめ、総合的な援助方針、生活全般の課題に基づく長期・短期目標を設定しています。日々のケース記録によって利用者に対する介護状況や状態を把握しています。支援困難なケースがあったことを振り返り、認知症の行動・心理症状(BPSD)などで困難な事例への対応については研修を行い、サービスの質を高める必要があると考えています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

 施設サービス計画の見直しは基本年1回実施していますが、介護認定更新時や入退院時に実施することが多いとみられます。その際、関係職種の職員で協議し検討・見直しを行い、新たに計画を策定しています。居室担当職員により、月末に介護の実施状況を確認し、状態の変化に合わせて介護支援専門員が見直しを行っています。変更後の計画は関係職種・職員へ伝達し、個別ファイルに整理しています。PC上のソフトにも記載され閲覧できます。緊急の場合は関係職員により変更が行われ連絡ノートに記載し、他職員へ口頭で連絡しています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

 入所面接調査票、アセスメントシート、施設サービス計画書、モニタリング記録表、栄養ケア計画、褥瘡ケア計画書、ケース、日誌など統一した様式を定め、パソコン上の介護ソフトで記入しています。利用者一人一人に専用ファイルがあり、パソコン上の記録も含めペーパー化していて、それぞれの情報を把握できます。利用者の状況は朝・夕のミーティングに報告し、情報の共有を図っています。複数の委員会組織やワーキンググループがあり、部門横断での取り組みを実施しています。パソコンや回覧から各種の情報を共有する仕組みを整備しています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

 「個人情報に関する保護方針」を定め、個人情報の取り扱い、利用目的、安全確保、開示・訂正・更新等への対応を定め、職員意識の向上を図っています。個人情報管理の責任者は施設長とし、職員に対し個人情報の取り扱いと情報共有において決められた管理・保管方法を共通認識のもとに遵守するよう徹底しています。SNS等を利用した利用者と職員間、職員同士の個人情報の発信を禁止しています。12月には個人情報に関する職員自己点検を実施し、未達成事項の検証・課題の抽出を行う予定です。利用者と家族には重要事項説明書や契約書に記載し、説明しています。


評価結果内容評価

A-1 生活支援の基本と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者一人ひとりに応じた一日の過ごし方ができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

 アセスメントで捉えた利用者の心身状況や意向をもとに、その人に相応しい施設サービス計画を作成し、職員はそれに基づいて日々支援を行っています。通常は、クラブ活動でカラオケや民謡踊り、音楽活動、囲碁将棋等を楽しんでいますが、今年度は新型コロナウイルス感染症予防で密集を避けるため生花を除きクラブ活動を中止しました。食事、入浴以外は各自の居室やデイルームでテレビや新聞を見たり、他の利用者と談話するなど自由に過ごしています。日常生活での軽い仕事としてタオルたたみや植木の水やりなどの役割や楽しみが持てるよう工夫しています。

【A2】A-1-(1)-① 利用者の心身の状況に合わせて自立した生活が営めるよう支援している。

【第三者評価結果:c】

評価外

【A3】A-1-(1)-① 利用者の心身の状況に応じた生活支援(生活相談等)を行っている。

【第三者評価結果:c】

評価外

【A4】A-1-(1)-② 利用者一人ひとりに応じたコミュニケーションを行っている。

【第三者評価結果:a】

 利用者の思いや希望を十分に把握できるよう日常の生活や活動の中で一寸した声掛けや会話をするよう心がけています。「接遇マナー行動基準」を使って、接遇やコミュニケーションに関わる研修を行い、利用者への接し方や言葉遣い、相手の思いをくみ取る技術を学んでいます。ケース記録に利用者の日々の生活から捉えた特徴を記載し、職員間で共有しています。認知症の利用者にはその人に合わせた呼び名を使い、耳の遠い人にはマイクを使って聞こえるように話し、意思表示が困難な人にはその人が伝えたい思いをくみ取るよう努めています。

【A5】A-1-(2)-① 利用者の権利侵害の防止等に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

 身体拘束の禁止及び虐待防止、個人情報保護等、権利擁護に関わる内容を重要事項説明書に記載しています。人権・権利擁護推進委員会を設置し、人権・権利擁護に関する啓もう並びに身体拘束廃止に取り組んでいます。報道される様々な事件に関し職員間で共有し人権意識の徹底を図っています。毎年高齢者虐待防止に関する自己点検を全職員を対象に実施し、集計結果をもとに少人数に分かれグループワークで意見交換を行い課題を共有しています。接遇マナー推進委員が中心となり、スピーチロック(言葉による身体拘束)の防止に力を入れています。

A-2 環境の整備
【A6】A-2-(1)-① 福祉施設・事業所の環境について、利用者の快適性に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 施設は最寄り駅から徒歩10分の緑豊かな高台にあり、3階建てL字型の建物です。広くゆったりとした明るい空間のデイルーム、車いすがすれ違うことのできる幅広い廊下、機械浴、リフト浴、一般浴の浴室やバリアフリーのトイレが各階にあります。無駄なものはなく清掃が行き届き、彩光も十分、換気・温度も適正に管理しています。居室のリフォーム、照明のLED化を進め、トイレ、ベッド、床の破損や劣化がないかを確認するなどきめ細かに改良や補修をしています。居室内ではカーテンによって利用者のプライバシーを保つようにしています。

A-3 生活支援
【A7】A-3-(1)-① 入浴支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:a】

 入浴は機械浴、リフト浴、一般浴を揃え、安全に配慮して手すり、滑り止めマット、椅子を設置しています。利用者の尊厳や羞恥心に配慮した具体的な支援方法を示すマニュアルを作成しています。ケア検討入浴ワーキングチームが入浴時の移乗介助と洗身・着脱介助の実践研修を行っています。入浴は基本週2回で、入浴前に看護職員がバイタル検査を、介護職員が心身状況の把握をそれぞれ行い、入浴の可否やシャワー浴などを判断しています。入浴を拒む利用者には、日程を変更したり、清拭に変えたりしています。菖蒲湯やゆず湯で季節感を味わっています。

【A8】A-3-(1)-② 排せつの支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:a】

 排泄支援は、ケース記録や排泄チェック表を用いて利用者の身体状況を把握して行います。排泄時には声掛けや体を支えるなど安全に配慮し、尿や便の観察結果を記録しています。排泄介助マニュアルは、プライバシーの確保、羞恥心への配慮を促しています。排泄ワーキングチームが排泄介助とスキンケアの研修を行っています。トイレは改修工事を行い、壁紙や床の張替え、転落防止のアームレストの設置と、安全性と清潔感のある環境を整えています。自立への働きかけとして立位でトイレを使い現状維持を保てるよう介助しています。

【A9】A-3-(1)-③ 移動支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:a】

 移動について、手すりや補助器具、車いすを使い自立で移動できるよう支援を行っています。理学療法士が福祉機器や福祉用具を用いた支援方法を介護職員に助言し、自立に向けた援助・介助を行っています。グループや個別で筋力をつけ、拘縮予防に取り組んでいます。移乗ワーキングチームが持ち上げない介助方法の研究と実践研修を行っています。ベッドから車いすへの移乗にはスライディングボードの使用や腰痛ベルトの着用で職員の負担を軽減しています。環境整備ワーキングチームが車椅子、センサーやフットコールの点検を実施しています。

【A10】A-3-(2)-① 食事をおいしく食べられるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

 献立では、食べる楽しみを感じてもらえるよう行事食をはじめ、郷土料理、選択食など季節感や話題性のある食事を工夫しています。生活会議・食事委員会で出された利用者の意見を反映した献立を作成しています。温冷配膳車を使用し、提供直前まで適温に保つとともに、器に蓋をし、食事の取り置きを可能にしています。テーブルの席の位置を変えたり、音楽を流したりするなど、落ち着いた雰囲気づくりに気を配っています。季節感に配慮した食材で盛り付けるほか、彩りや味付けに配慮しています。「大量調理施設管理マニュアル」に基づいて厨房内外の衛生・食品管理及び調理を行っています。

【A11】A-3-(2)-② 食事の提供、支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:a】

 栄養ケア計画書に基づき、多職種の職員が連携して栄養ケアマネジメントに取り組んでいます。計画は3か月ごとに評価し、見直しを行っています。利用者の嚥下能力や栄養面に配慮し、機能に応じた6種類の主食と副食の形態を用意しています。食事は利用者の嚥下状況に合わせ、水分補給・栄養補助食品を複数タイプ用意し、味や口当たりに変化を持たせています。食べる楽しみに加え、1日の目標1200ccの水分補給や栄養の摂取に努めています。利用者のタイミングで食事が摂れるよう自助食器やスプーンを活用しています。

【A12】A-3-(2)-③ 利用者の状況に応じた口腔ケアを行っている。

【第三者評価結果:b】

 口腔ケア・マネジメント計画書のもとに、誤嚥性肺炎や虫歯の予防などのため毎食後の口腔ケアに取り組んでいます。歯科医師が月4回来所し、利用者の口腔状態及び嚥下機能を定期的に診察しています。一人一人の診察結果を記録し、「口腔ケア助言指導ファイル」に纏めています。歯科衛生士が月1回以上の歯磨き等の定期指導、咀嚼や嚥下が困難な利用者の食事状況の観察を行っています。これをもとに利用者の状況に応じた口腔ケアを実施していますが、自分で口腔清掃をしている利用者の口腔内の状態については充分な確認ができていない状況です。

【A13】A-3-(3)-① 褥瘡の発生予防・ケアを行っている。

【第三者評価結果:a】

 利用者全員に「褥瘡対策に関する計画書」を作成し、栄養ケアマネジメントと連携し栄養状態やリスクを踏まえ3か月毎に更新しています。多職種の職員が共同で褥瘡予防を実践し、発症者には改善に努めています。排泄や入浴の介助時に好発部位の皮膚状態の観察を行い、発赤等の変化が見られた場合は速やかに看護職員へ連絡し、必要に応じ医療機関の受診を行っています。褥瘡ができてしまった場合は患部の適切な処置、除圧、栄養状態の確認を行っています。褥瘡予防、管理について外部講師による研修会を実施しています。

【A14】A-3-(4)-① 介護職員等による喀痰吸引・経管栄養を実施するための体制を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

 喀痰吸引の必要な利用者には看護職員が対応し、喀痰吸引の実施前にタッピングや口腔ケア、体位交換で排痰を促しています。経管栄養を行う際には利用者から目を離さず状況の観察をしています。医療ケア安全対策協議会が中心になり、喀痰吸引や胃ろう接続に関する医療的ケアの安全対策に関する意見交換、技術研修の実施を担当していますが、業務整理の見直しが必要と感じています。喀痰吸引等研修修了者に対し喀痰吸引や胃ろう接続に関する安全介護技術研修の実技研修を行い、実施体制の充実・強化に向けて取り組み中です。

【A15】A-3-(5)-① 利用者の心身の状況に合わせ機能訓練や介護予防活動を行っている。

【第三者評価結果:a】

 理学療法士が週1回機能訓練を行っています。理学療法士の専門的個別指導やグループ訓練のほか、利用者の持っている能力に配慮した日常生活機能訓練を行っています。希望者には在宅訪問マッサージを導入し、上下肢の拘縮予防や可動域の維持・向上の支援を行っています。理学療法士の日常生活の中で行える機能訓練動作の指導のもとに、介護職員が歩行訓練や関節の稼働に関わる訓練を行っています。理学療法士による機能訓練はリハビリ日誌等に記録しています。下肢機能の向上により車椅子からU字型歩行器、シルバーカーを使用して歩行が可能になった利用者が生活しているということです。

【A16】A-3-(6)-① 認知症の状態に配慮したケアを行っている。

【第三者評価結果:b】

 アセスメントの結果、90パーセントを超える利用者に認知症状があります。職員は常に受容的、支持的な対応を心がけ、ソファーや椅子、テーブルなどを用意し、落ち着いた生活ができるよう支援を行っています。行動や心理症状の出る利用者には症状に応じた対応を心がけていますが、現状、認知症状への専門的な対応や進行予防策など認知症介護の組織的な取り組みは見られません。「認知症介護基礎研修」や「認知症介護実践者研修」へ職員の派遣を検討しています。認知症に対する対応方法の学習・実践へ向けて速やかな体制づくりが期待されます。

【A17】A-3-(7)-① 利用者の体調変化時に、迅速に対応するための手順を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 「緊急時対応マニュアル」を作成し、事故や体調急変に対し、どの職員でも対応ができるようにしています。緊急に受診が必要な場合は嘱託医あるいは協力医療機関に連携し対応しています。日常的にはケース記録、看護日誌等で利用者の健康状態を記録・把握し、体調変化や異変は日中活動時や入浴時の観察で捉えています。日常の健康管理について看護職員を通して学んでいるほか、認知症や救急法に関する研修会を実施しています。利用者個々のリスクに応じた介護方法はミーティング等で話し合い、職員間で確認・共有しています。

【A18】A-3-(8)-① 利用者が終末期を迎えた場合の対応の手順を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 看取り検討委員会を年6回開催し、看取りケアへの理解を深めるとともに、取り組み方を検討しています。利用者が元気な時に延命措置の可否を確認し、「看取り介護に関する同意書」を提出して貰い、実施体制に入ります。利用者と家族の意向を大切にし、家族と協働して、利用者が安心して穏やかに終末期を過ごせるケアに努めています。施設で最後を迎えた利用者について、支援を振り返り、ケアを通して経験したことや家族の思いを共有しています。約3分の1の利用者が施設での看取りを希望しているということです。

A-4 家族等との連携
【A19】A-4-(1)-① 利用者の家族等との連携と支援を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

 家族と良好な関係を保つため、日常的に家族が話しかけやすいよう心がけ、利用者の情報共有に努めています。年4回家族に対し利用者の生活記録の報告を行い、面会時や変化が見られた際は経過を伝え、信頼関係を築いています。広報誌を年2回発行し、施設情報を伝えています。家族懇談会は年1回開催し、利用者、家族及び職員と意見や情報の交換を行っています。本年度は感染症防止のため中止となりましたが、毎年「看取りケアに関する指針」を配布しています。新型コロナウイルス感染防止のため、施設の地域交流室を使い家族とのテレビ電話で面会を行っています。

A-5 サービス提供体制
【A20】A-5-(1)-①  安定的で継続的なサービス提供体制を整え、取組を行っている。

【第三者評価結果:評価外(訪問介護以外の福祉施設・事業所)】

評価外