社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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県立津久井やまゆり園

2023年03月22日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 公益社団法人神奈川県介護福祉士会

② 施設・事業所情報
名称 県立津久井やまゆり園 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 短期入所, 障害者支援施設(施設入所支援+日中活動事業) 定員 66 名
所在地 252-0174
相模原市緑区千木良476 
TEL 042-684-3511 ホームページ https://tsukui.kyoudouka.jp/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1964年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人かながわ共同会(指定管理者)・神奈川県
職員数
常勤職員:78 名
非常勤職員:12 名
専門職員
サービス管理責任者:3 名
社会福祉士:7 名
介護福祉士:22 名
看護師:3 名
管理栄養士:1 名
公認心理師:1 名
施設・設備の概要
居住棟1及び居住棟2:管理棟、厨房棟
:洗濯棟
:体育館、プール

③ 理念・基本方針
<基本理念>
 社会福祉法人かながわ共同会は、誠実と信頼を旨とし、人権に根ざした利用者本位の考え方に立ち、多様なニーズに対応する支援体制の整備、サービスの量的、質的充実につとめ、利用者と地域社会の繫栄に貢献するとともに、社会的な法人としての価値を創造していきます。
<目指すべき姿(ビジョン)>
 社会福祉法人かながわ共同会は、県の指定管理者評価委員会が指摘した法人ガバナンスを改善させる一方、法人悲願である津久井やまゆり園の再生(意思決定支援、安心して安全に生活できる場の確保、地域生活移行の促進)を果たすとともに、秦野精華園・希望の丘はだのの経営基盤を安定化させ、厚木精華園、愛名やまゆり園の次期指定管理申請に向けた準備を始める等、神奈川県が目指す「当事者目線の障がい福祉」の実現に指定管理者として貢献することで、「ともに生きる社会」の実現を目指します。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
○これまで芹が谷やまゆり園と共同で取り組んできた意思決定支援の取り組みを継続するため、SDM-Japan(意思決定支援ネットワーク)の協力を受け、園内に意思決定支援プロジェクトを設置している。プロジェクトチームは、個別支援計画への意思決定支援の位置付けと具現化に向けた取り組みの検討を行っている。
○今年度より「当事者目線の支援会議」を設置し、事業計画に位置付けた6項目に取り組んでいる。地域生活移行及び日中活動「チャレンジ活動」では、利用者がいろいろな社会経験を積み上げることができるよう、グループホームや生活介護事業所の体験利用や、相模湖地区社会福祉協議会のボランティア活動などを行っている。「津久井やまゆり園利用者支援評価委員会」において、「当事者目線の支援会議」で検討した課題や取り組みを報告し、委員会の助言や意見を再度「当事者目線の支援会議」で検討し、今後の計画に反映するよう取り組んでいる。
○「ともに生きる社会かながわ憲章」の普及啓発を図るため、園の正面に設置した「鎮魂のモニュメント」にて、障害を理由とする差別の解消の推進や、人権擁護などの啓発活動(市教育委員会、小中学校などとの連携、福祉教育への貢献など)に積極的に取り組んでいる。地域貢献活動として清掃活動を行い、地区社会福祉協議会の募金活動やボランティアセミナーに利用者、職員が参加している。また、見学者やボランティアの積極的な受け入れや幅広い相談支援、地域の他事業所などへの救急救命の普及活動、地域にも開いた行事やコンサートなどの開催、地域の小学校との交流行事の開催、災害時に備えた避難場所の提供準備や災害物品の備蓄などに幅広く取り組んでいる。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2022/09/20(契約日) ~2023/02/17(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(2010年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 ◇事業所の特色や努力、工夫していること、事業所が課題と考えていること等
○障害者支援施設である津久井やまゆり園は、かながわ共同会が指定管理者として、知的障害者を中心とした重度、最重度の利用者の日常生活を支援している。令和3年8月、新しい園舎が完成し、引っ越して1年が経過している。過去の事件を忘れることなく、園の再生に向けた取り組みを法人全体で行っている。
○利用者は、3つの生活課(男性2、女性1)にて、それぞれ2つのユニット、4つのグループに分かれて生活を送っている。ユニット内は広く、利用者の居室は全室個室で、日中活動や屋外活動、ボランティア活動などに携わっている。
○紐通しやペグ差し、マッチングブロック、紙の型抜き、袋詰めなどの日中活動があり、また、散歩や園芸、野菜作りなどの園外活動がある。利用者一人ひとりの希望に沿い、個別支援計画に基づいて支援している。余暇としては、雑誌を読む、キャッチボールをする、ジュースを買いに行くなど、それぞれが好きなことができるよう支援している。
○年度当初の家族会「みどり会」において、事業計画の主な内容を書面にまとめて、家族に説明している。「みどり会」には、園利用者やグループホーム利用者の家族が、50~60人ほど参加している。利用者には、毎月開催する利用者自治会「ピザの会」で「園長からの便り」文で必要な情報を提供するとともに、利用者の声や希望を聴いている。今年度10月より、園の運営の意思決定会議である「運営会議」に利用者の代表が参加して、当事者目線を大切にした園運営に取り組んでいる。
○生活の中で本人ができること、難しいことを確認し、できるところは職員が見守ることで、利用者の自立支援につなげている。文字や写真を使って、その方に合った方法や、構造化(生活場面において環境設定やスケジュールの提示などで何をすべきかをわかりやすく提示する方法)などにより、見通しが立てられ、自分で管理できるよう支援している。言葉でのコミュニケーションが困難な方には、ジェスチャーや文字、絵、写真などを提示しながらコミュニケーションをとっている。利用者それぞれに合ったコミュニケーション手段で対応している。
○食事は外部業者に委託し、園内の厨房棟で調理している。生活1、2、3課それぞれに温冷配膳車を使用し、温かいものは温かく、冷たいものは冷たい状態で食事を提供している。利用者にアンケートを取り、希望のメニューを献立に反映している。常食や1cm刻み、8mm刻み、極刻み、ペースト、トロミと6段階の食事形態で、食事を提供している。
○月2回、定期的に理学療法士が訪れ、車椅子の方の腕の筋力維持や立ち上がり動作、可動域の維持などの機能訓練を行っている。年齢の高い利用者も増えていることから、歩行状態や筋力維持のため、日々の生活の中で、一人ひとりの状態に応じた生活訓練を行っている。園庭はとても広く、園庭散歩でも十分な歩行訓練ができる環境を整えている。体育館でも身体を動かして、利用者の健康維持に努めている。
◇独自項目への取り組み
〇事業所におけるサービスの質の向上のためのシステムを確認する「発展的評価項目」に取り組んでいる。「地域生活移行に向けたチャレンジ活動に取り組む」ことをテーマにして、取り組みの過程をPDCA(計画、実施、反省、課題の検証)に分け、実践を振り返っている。利用者の地域生活移行に向けた活動を継続的に進めている。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 7年前に発生した事件におきましては、犠牲になられた19人の皆様のご冥福をお祈りいたしますとともに、ご遺族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げます。また、令和3年8月、新しい津久井やまゆり園の運営をスタートすることができました。これもひとえに、神奈川県をはじめ、地域の皆様並びに関係者の皆様のご支援の賜物と深く感謝申し上げます。
 今回の第三者評価結果につきましては、自分たちでは気づいていない点をご指摘いただき、これまで津久井やまゆり園で取り組んできた支援を振り返ることで、改善項目を明確にすることができました。引き続き支援サービスの向上に努めたいと思います。
 今後も津久井やまゆり園の指定管理者として県立障害者支援施設の役割をしっかりと果たすため、意思決定支援を推進し、利用者の「心」の声に耳を傾け、お互いの「心」が輝く支援を目指すとともに、「ともに生きる社会かながわ憲章」、「当事者目線の障がい福祉実現宣言」の普及啓発に取り組み、障がいを理由とした差別のない社会の実現を目指します。

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評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

法人の基本理念は園内に掲示して、職員に周知徹底するとともに、パンフレットにも掲載して外部に発信している。法人の理念は、県の「当事者目線の障がい福祉の推進」と同じ方向を目指している。また、法人内の各園で、非常勤職員を含めた全職員対象の「虐待防止研修」を開催している。全職員が参加できるよう「虐待防止研修」は15回に分けて開催している。「虐待防止研修」では、法人の理念の理解を確認する「効果測定」を実施している。家族には、家族会で事業方針や年度計画を示し、利用者には、利用者自治会「ピザの会」で「園長からの便り」として、事業方針などを示している。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

市の障害福祉事業所協会や、県知的障害施設団体連合会の集まりに園長が参加して、県や地域の社会福祉事業全体の動向やニーズを把握している。月2回開催する法人の運営会議や、月1回開催する園内の運営会議で、情報の周知や分析を行っている。園の運営会議には、課長以上の職員が参加し、すべての職員へ会議内容を周知するため、運営会議の議事録を回覧している。また、運営会議には利用者も参加する取り組みも始めている。情報を収集、分析することで、園の運営に適切に対応するよう取り組んでいる。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

法人の定款、定款施行細則などの運営諸規程に基づき、法令遵守や情報開示の充実強化、外部理事の増設、監事との連携強化に向けて、長年の運営慣行などを積極的に見直している。年数回、理事長などの法人幹部が各園・施設の現場を回り、課長以上の職員との話し合いの場や、一般職員との話し合いの場を設け、職員と直接意見交換を行い、風通しの良い職場作りを進めている。また、昨年度より、外部理事より支援担当理事を選び、支援に関する課題のあった園の支援現場に入り、現場の職員の声を聴き、指導、助言を行っている。県立施設の役割として、地域生活移行への取り組みや、意思決定支援の取り組みを継続して行っている。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

法人として、令和4年度から4年間の「第六期中期計画」を策定している。中期計画は、県の新たな障がい福祉の流れや、SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みなど、新たな社会経済情勢などの変化も踏まえながら、法人のあるべき姿として、取り組みを進めている。園の「第六期中期計画」は、園の再生に向けて、意思決定支援や地域生活への移行、リスクマネジメントの充実強化など、10項目に分けて策定している。県立障害者支援施設として「当事者目線の障がい福祉」の実現を目指し、指定管理者としての役割を果たすことを目的としている。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

「第六期中期計画」の内容を反映して、単年度の事業計画を策定している。事業計画に事業方針を打ち出し、具体的な事業内容を示している。今年度の事業計画では、10項目の重大プロジェクトから6項目を選択して、具体的な取り組みを示している。今年度の計画の実施状況は、11~12月に上半期の取り組み状況を、理事会及び評議員会で報告している。年間の取り組み状況は、6月の理事会と評議員会で報告する予定である。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

月1回開催する生活課会議において、職員の声や意見を集約し、運営の意思決定の場である運営会議で事業計画の検討をすすめて策定している。策定した事業計画は3月の理事会に諮り、年度当初に各セクションに印刷したものとデータを配布している。事業計画の実施状況は、月1回、運営会議及び当事者目線の支援会議で評価を行い、必要に応じて、見直しを行っている。見直しの内容は、各生活課会議で職員に周知している。当事者目線の支援会議は、10項目の重大プロジェクトから選択した6項目について、それぞれグループを作り、各部会に分かれて項目の達成に取り組んでいる。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

年度当初の家族会「みどり会」において、事業計画の主な内容を書面にまとめて、家族に説明している。「みどり会」は、年10回開催していたが、今年度はコロナ禍により回数を減らしている。園利用者やグループホーム利用者の家族が、50~60人ほど参加している。利用者には、毎月開催する利用者自治会「ピザの会」で「園長からの便り」で必要な情報を提供している。「園長からの便り」文は、ルビを振ったり、やかりやすい内容にするなど工夫している。また、今年度10月より、園の運営の意思決定会議である「運営会議」に利用者の代表が参加して、当事者目線を大切にした園運営に取り組んでいる。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

これまで芹が谷やまゆり園と共同で取り組んできた意思決定支援の取り組みを継続するため、SDM-Japan(意思決定支援ネットワーク)の協力を受け、園内に意思決定支援プロジェクトを設置している。プロジェクトチームは、個別支援計画への意思決定支援の位置付けと書式の検討を行っている。また、横浜市発達障害者支援センターの協力でTEACCHプログラム(一人ひとりの優れた部分を発揮できるように支援していく包括的プログラム)の研修指導を定期的に受ける他、県立障害者支援施設コンサルテーション等事業を活用し、アドバイザーの指導を継続して受けている。園の取り組みを検証する「津久井やまゆり園利用者支援評価委員会」を設置し、昨年10月に第1回目の委員会を開催している。第三者委員やオンブズマン、みどり会役員が委員として参加している。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

今年度より「当事者目線の支援会議」を設置し、事業計画に位置付けた6項目に取り組んでいる。地域生活移行及び日中活動「チャレンジ活動」では、利用者がいろいろな社会経験を積み上げることができるよう、グループホームや生活介護事業所の体験利用や、地区社会福祉協議会のボランティア活動などを行っている。「津久井やまゆり園利用者支援評価委員会」において、「当事者目線の支援会議」で検討した課題や取り組みを報告し、委員会の助言や意見を再度「当事者目線の支援会議」で検討し、今後の計画に反映するよう取り組んでいる。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

園長の役割と責任は、「職務権限規程」に定めている。規程類は法人の共有フォルダーに収め、職員が確認できるようにして周知に努めている。運営会議や全体職員会議の場では、冒頭に園長から話をする時間を設け、園の方針や取り組みを説明する他、支援の課題などについて意見を述べている。また、BCP(事業継続計画)においても、責任体制を明確化し、新型コロナウィルス感染症対策としてBCPも策定し、組織体制の明確化に努めている。園長の不在時は、総務部長に権限を委譲している。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人で階層別研修を整備し、管理職を対象としたコンプライアンス研修に園長と管理職の職員が参加して、遵守すべき法令を正しく理解するための取り組みを行っている。また、市のSDGsパートナー制度に登録し、地域とともにSDGsの達成に向けた取り組みや、SDGsの普及啓発に取り組んでいる。法人内の各園で「虐待防止研修」を開催して、社会福祉法人として遵守すべき人権擁護に関する事柄を明確にしている。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

毎月、各現場を担当する主任を始めとする構成メンバーの「当事者目線の支援会議」には、園長や支援部長、各課長も参加して、支援の現場における課題を検討し、改善に取り組んでいる。また毎朝、園長が支援現場をラウンドして、利用者や職員の状態を確認するようにしている。支援現場から声があがった時や、報告があった時は、すぐに現場に出向くよう心掛けている。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

月次報告により、経営の状態について、常に状況を確認するようにしている。現園舎には昨年度移転したが、利用者が定員に満たない状況が続いていたため、月1回、サービス利用調整会議を開催して、利用者の確保に計画的に取り組んでいる。サービス利用調整会議には、現場の職員以外に、生活介護の担当職員や看護師、心理の専門職など、多職種の職員が参加して、利用者の確保に向けた検討を行っている。運営会議や当事者目線の支援会議など、会議の体制を整え、運営上の課題を園全体で共有している。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

常勤職員の定期採用は、法人本部の人事課が担当している。年度途中の欠員や非常勤職員の採用は園が行っている。求人は人材紹介会社などを活用して行っているが、人材の確保は厳しい状況にある。県へ提出した指定管理申請における事業計画書に基づき、人員配置を適正に行っている。職員が紹介した求職者を採用し、条件を満たした場合は、謝礼として手当を支給する制度を設けている。また、有資格者の確保のため、介護福祉士などの資格の取得には、ほう賞の制度も設けている。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人の人事考課制度により、人事管理が行われている。職員の階層ごとに、求められる行動を示し、取り組みの状況を自己評価し、上司の評価とともに法人に提出し、給与のアップ率などに反映している。介護福祉士や社会福祉士などの有資格者は、特定処遇改善加算などで差をつけている。園長と常勤職員との個人面談は、年1回、9月に意向申告を行う際に希望を聴き、希望者と面談している。非常勤職員には、意向調査を行っている。園長との個人面談は、希望があれば随時行っている。また、気になる職員には、園長から声を掛け、面談につなげている。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

衛生委員会主催のメンタルヘルス研修の開催や、ノー残業デーの実施、外部の精神科医を招いた個別相談会「よろず相談」の実施など、職員の心身の健康に配慮した取り組みを行っている。労使で時間外勤務に関する協定を結び、基準を上回る勤務は行わないこととしている。各園に労働者の代表である労務委員を置き、法人本部の事務局長や人事部長と定期的に意見交換を行っている。有給休暇の取得は、法定の日数はクリアしているが、どうしても取得にばらつきが出る現実がある。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員一人ひとりが組織の一員として、自らの行動に責任と自覚を持つことができるよう、「かながわ共同会職員行動の指針」を定めている。職員の発揮した能力などを公正、客観的に評価して、職員の能力開発や人材育成、職員の適正配置、処遇の適正化などに役立てるため、人事考課制度を取り入れている。職員がそれぞれの階層で業務を遂行するため、法人として求める職員像(役割、能力)を示している。人事考課は、階層別に「人事評価のポイント」として、10の項目をあげている。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

法人の企画研修課により、常勤職員を対象にして、新採用者研修、フレッシュマン研修、中堅Ⅰ・Ⅱ研修、監督者研修、管理者研修など、階層別の研修を企画、開催している。コロナ禍でオンラインの開催になることも多いが、職員に研修への参加を義務付けている。非常勤職員は、各園もしくは地域生活支援部主催の非常勤職員研修を受けている。園内研修は、各委員会の企画を研修委員会がとりまとめ、虐待防止研修や強度行動障害の研修などを行っている。また、法人がオンラインコミュニティ「サポーターズ・カレッジ」に加入していることから、職員はいつでも動画視聴することができる。市や事業団の福祉研修センターの研修にも積極的に参加している。また、職員を研修の講師として、外部に派遣している。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

外部研修に参加した職員は研修報告書を提出し、報告書は回覧して周知を図っている。新人職員のOJT(実務を通じての指導)は、最初は勤務を加配で組み、毎月のグループ会議やモニタリング会議を通じ、チームとしてフォローする体制を整えている。外部の研修情報は外部機関とも連携し、情報を職員に発信している。職員ができるだけ外部研修に参加できるよう、勤務調整などを行っている。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

以前は年に5~6名、専門学校や大学からの実習生を受け入れていた。令和3年8月に新園舎が完成し、引っ越してきたが、半年間では体制が整わなかったことやコロナ禍により、今年度の実習生の受け入れは見送っている。ただし、日中活動支援センター「ファンファン」では、福祉系の高校生の実習の受け入れを行っている。今後は、積極的に学校や関係機関に働きかけ、実習生の受け入れを行っていく予定である。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

ホームページに、法人の福祉サービスの内容や予算、決算などの運営状況を掲載する他、パンフレットに園の活動の様子を掲載して、運営の透明性を確保する情報の公開を行っている。また、園長がfacebookを管理して、活動状況を知らせている。広報誌「こだま」を年4回発行し、地域や家族、関係機関に配布している。広報誌「こだま」は、正面玄関入口の掲示板にも掲示して、訪問者も確認できるよう配慮している。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人の経理規程や職務権限規程に基づき、事務や経理、取引などに関するルールや職務分掌と権限、責任を明確にしている。また、パソコンの管理システムで、職員がいつでも内容を確認できるようにしている。会計事務所が月次報告書の内容を確認し、年6回、リモートにて園の状況を確認している。また、法人の事務局を通じて、顧問弁護士や社会保険労務士に相談することもできる。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

地区社会福祉協議会の「ちょこっとボランティア」に登録して、園の利用者が職員と一緒に、広報誌を配布したり、募金活動に参加している。また、地区の防災訓練に参加している。園を通過型施設として位置付け、利用者が園の中で生活が完結しないよう、グループホームや通所事業所の見学や体験利用などをすすめる「チャレンジ活動」に取り組んでいる。園長が自治会の集まりに参加したり、2ケ月に1回行われる地区清掃に職員が参加している。地域に向けては、民生委員などの見学を積極的に受け入れ、園の「交流ゾーン(グラウンドや広場)」の開放を始めている。コロナ禍により、開放は始めたばかりだが、地域住民との交流や地域の憩いの場としての活用を目指している。また、地元自治会の災害時における一時(いっとき)避難所としての活用など、拠点施設としての役割を進めている。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

日中支援課を受け入れ担当とし、コロナ禍のため状況を確認しながら、ボランティアの受け入れを行っている。現在、衣類の補修や散歩の外出付き添い、日中活動の補助、イベントの手伝い、車椅子清掃などのボランティアが活動している。オンラインにより、ジャズ歌手から歌のレッスンも受けていた。また、女性保護司会からボランティア活動の希望が出ている。コロナ禍前には、年1回、ボランティア懇談会を開催して、ボランティアとして活動している方々と意見交換を行っていた。コロナ感染症の状況を確認しながら、ボランティア懇談会を再開したいと考えている。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

「ともに生きる社会かながわ憲章」の普及啓発を図るため、園の正面に設置した「鎮魂のモニュメント」にて、障害を理由とする差別の解消の推進や、人権擁護などの啓発活動(市教育委員会、小中学校などとの連携、福祉教育への貢献など)に積極的に取り組んでいる。また、市自立支援協議会内の緑区課題検討部会や、市障害福祉事業所協会、市の障害者支援施設部会に参加して、関係機関との連携に努めている。地域の社会福祉協議会や養護学校とも連携している。今後は、近隣の小学校や中学校とも交流を深めていきたいと考えている。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

関係機関や団体と連携し、地域の各種会合への参加や、地域住民との交流活動を通じて、地域のニーズの把握に努めている。コロナ禍により、地域交流や地域貢献の機会が減少しているが、盆踊りや公民館祭り、近隣小学校の行事、地域の総合防災訓練などに、利用者と職員が積極的に参加して、顔の見える関係作りに努めている。市内のニーズとして、重度心身障害者の受け入れ先がないことがあり、応えられる限り、短期入所の受け入れ体制を整えることが重要と捉えている。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

「ともに生きる社会かながわ憲章」の普及啓発を図るため、園の正面に設置した「鎮魂のモニュメント」にて、障害を理由とする差別の解消の推進や、人権擁護などの啓発活動(市教育委員会、小中学校などとの連携、福祉教育への貢献など)に積極的に取り組んでいる。地域貢献活動として清掃活動を行い、地区社会福祉協議会の募金活動やボランティアセミナーに利用者、職員が参加している。また、見学者やボランティアの積極的な受け入れや幅広い相談支援、地域の他事業所などへの救急救命の普及活動、地域にも開いた行事やコンサートなどの開催、地域の小学校との交流行事の開催、災害時に備えた避難場所の提供準備や災害物品の備蓄などに幅広く取り組んでいる。災害用の備蓄品は、利用者用以外に、地域住民用として5日分を備蓄している。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の基本理念や職員行動指針、重要事項説明書は玄関に提示する他、各セクションにも掲示して職員の意識統一を図っている。基本理念は園長の名刺にも掲載している。利用者の権利侵害防止の取り組みとして、第三者委員やオンブズマンの定期訪問を受け入れ、あおぞら委員会が活動のサポートを行っている。また、第三者を構成員とする「津久井やまゆり園利用者支援評価委員会」を設置し、日常生活や社会生活場面における利用者の意思を支援に反映している。過去の事件を風化させないため、人権研修(フレッシュマン研修)を園内の体育館で行っている。毎年、法人研修(虐待防止基礎研修)を実施し、その中で人権や法人理念の再確認や効果測定などを行い、職員の意識を高めている。園の正面には、過去の事件を忘れないために「鎮魂のモニュメント」を設置している。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

利用者の居室は全室個室で、個人のプライバシーに配慮している。毎月、不適切な支援を防止するため、職員一人ひとりが支援の振り返りを行い、プライバシーの保護について確認している。写真などの使用についても配慮している。法人研修(虐待防止、事故不祥事防止研修など)の中で、個人情報の配慮義務について説明し、職員の理解に努めている。居室の施錠は、鍵の管理ができる方には鍵を預けて自己管理している。職員が出入りをする際には、必ずノックをしてから居室に入るようにしている。外部との扉は、外からは入ることができないようにしているが、利用者は外に自由に出ることができる。プライバシー保護のマニュアルを整備している。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

法人の基本理念や職員行動指針、重要事項説明書を玄関などに掲示している。掲示物は利用者に配慮し、確認しやすい高さに掲示している。利用希望者や家族、後見人に対しては、見学及び説明会の時間を充分にとって、丁寧に対応している。コロナ禍で内部を詳しく案内できないため、園内の生活や設備などをまとめ、わかりやすい紹介動画を用意している。日帰りの体験入所、宿泊体験入所など、それぞれのニーズに沿った利用を提案し、実施している。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

サービスの開始時や変更時には、イラストなどを使用した書面を用意して、わかりやすい言葉で利用者に説明している。また、変更後の場所やサービスを実際に見学や体験をすることで、理解しやすいよう努めている。モニタリングや個別支援計画は、利用者に確認、同意の上で運用している。地域への移行についても、利用者や家族にわかりやすく説明している。意思決定支援の取り組みを通じて学んだ知識を活かし、利用者目線に立った個別支援計画の作成に努めている。利用者一人ひとりの望む生活の実現に向け、家族と適時連絡を取り合っている。
"

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

グループホームなどへの地域移行に際しては、利用者の特性や支援内容について文書にまとめ、移行先に提出している。同一法人が運営するグループホームへの移行は、移行後も継続して連絡を取るようにしている。グループホームからの問い合わせには、できるだけ直接支援していた職員が説明するよう配慮している。園に入所した利用者に関しては、家族や関係機関から、利用者の特性や普段の様子、支援内容、生育歴など、入所前の情報を入手して記録に残し支援に役立てている。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者に満足度調査を実施している。満足度調査は絵文字などを使用したわかりやすい内容としている。アンケートは、あおぞら委員会の中で、結果の振り返りを行っている。調査に協力を依頼した方には分析結果と、取り組んでいくことや改善点を報告している。利用者の自治会「ピザの会」でも報告を行っている。「ピザの会」は毎月開催し、利用者の声をあおぞら委員会に報告して、実現につなげている。利用者から喫茶店を開きたいとの希望があがり、利用者自治会「ピザの会」にてプリティカフェとして開催している。また利用者の希望で、アイスクリームなどの販売を行っている。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

苦情解決体制は重要事項説明書に明記し、契約時に利用者や家族に説明している。また、園内に第三者委員やオンブズマンの写真を掲示し、顔の見える関係作りを行っている。苦情解決のポスターも、見やすい位置に掲示するなど、利用者に配慮している。利用者には、園長や職員から利用者自治会で直接説明を行うなど、身近な関係を築いている。園内に利用者意見箱を2つ用意し、利用者の意見や声を聴き、迅速に対応するよう取り組んでいる。苦情があがった時は、すぐに園長へ報告し、速やかに対応するとともに、運営会議にて対応や解決策を検討している。また、県へ内容を報告している。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

月1回、定期的に園全体で利用者自治会「ピザの会」を開催している。「ピザの会」には、園長や各課の担当職員も参加して、利用者の意見を聴いている。また、「園長からの便り」を毎月配布している。イベントなどは、具体的に使用する現物を提示し、利用者が分かりやすいように伝えている。「ピザの会」の役員(会長、副会長)は、利用者が立候補して、選挙で選任している。「ピザの会」の役員は園の運営会議にも参加し、毎月、職員と意見交換を行っている。園の方針「当事者目線の障がい福祉の推進」を実践している。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

「ピザの会」を通じ、利用者の声や意見を聴き、利用者の希望を実現すべく、園長や担当職員で内容を検討している。自治会参加が難しい利用者も、支援の中で気持ちを汲み取り、職員が代弁している。また、オンブズマンの活動を通じて、個別に面談できる機会を設け、利用者の声や意見を聴き取っている。園内に2ケ所、正面玄関と利用者の活動室前に意見箱を設置している。利用者からアイスクリームの販売機の設置の希望が出たが、県立施設のため設置が難しく、「スーパーなかみせ」の移動販売の日に購入できるようにしている。オンブズマンは相談室だけでなく、利用者の身近な場所でも話を聴いている。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

園内は空間を広くとり、利用者の安全に配慮している。設備や環境について職員が気付いた点は、危機管理委員会に報告し、修繕が必要なところは速やかに修繕している。各セクションの委員を中心に、事故防止対策の情報共有を行っている。併せて、迅速に対応する体制を構築している。そのためのマニュアルや事故対応のフローチャートなどを整備している。ヒヤリハット報告を含め、事例の検証を行い、事故発生の防止に努めている。部外者の来訪時のフローチャートは、過去の教訓を活かして作成している。リスクマネジャーは園長とし、月1回、危機管理委員会を開催している。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症の予防や安全確保に関する勉強会を開催し、各生活課の会議に感染予防のデモンストレーションを行っているが、全員参加が難しいため、病院や医療物品メーカーの動画配信の活用を検討している。ノロウィルスに関するガウンテクニックや物品の準備は、カラー写真のリーフレットを各生活課に置いている。感染症の予防と発生時の対応マニュアルは、厚生労働省の方針に従い、必要に応じて、内容を改訂している。新型コロナ感染症のワクチン接種は、園やグループホームの利用者、職員に行っている。また、通所利用の方も接種できるようにして、感染予防対策を進めている。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

園所在地の千木良地区は、山間部に位置し、様々な風水害、土砂災害が想定されるため、「災害は起きる」という前提のもと、被害をいかに少なくするかを目標として、防災・減災対策に取り組んでいる。また、グループホームなどの災害を想定し、災害発生時の応援体制を整えている。防災訓練はコロナ禍により当初の計画通りの実施が難しかったが、大地震想定の訓練を4回、火災想定の訓練を6回、通報訓練を1回実施している。総合防災訓練においては、無線通信訓練を実施し、防災備品や非常食の保管場所などの説明を行っている。消防署にも訓練の協力を依頼している。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

園の基本指針は、法人の「職員行動の指針」によりまとめている。そして、「職員行動の指針」の内容を、サービスの標準的な実施方法としている。過去の不祥事からの信頼回復に全力で取り組み、意思決定支援を通じた「利用者目線に立った支援」に率先して取り組むため、法人の基本理念を最上位の概念に掲げている。基本理念の具体化として、事業計画に運営方針を定めている。また、各課で重点目標を定め、職員の行動を明確化している。
"

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

意思決定支援の取り組みから、利用者目線に立った個別支援計画を作成している。レインボーネット(法人共有の支援システム)を活用し、職員間で情報を共有し、利用者一人ひとりの望む生活の実現に向けた取り組みを行っている。契約更新時は、重要事項説明書にてサービス提供の方針やサービス内容を、利用者や家族に説明している。地域移行支援などで、家族とは適時連絡を取り合っている。地域移行に不安のある家族に対しては、丁寧な説明を心掛けている。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

利用者本人や家族を中心としたモニタリング会議を開催し、その後、関係職員による個別支援計画策定会議を開催している。また、意思決定支援を通して、利用者本人を知るための「手がかりシート」を作成し、個別支援計画の作成につなげている。利用者の状況を把握して、個別支援計画を作成している。計画の作成にあたっては、心理担当職員のアドバイスも参考にしている。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画は、法人情報システムのレインボーネットで一括管理し、支援の手順はフローチャートで示している。利用者目線に立った個別支援計画の作成に努めるとともに、利用者一人ひとりの望む生活の実現に向けて取り組んでいる。家族とは適時連絡を取り合い、支援内容を変更する場合も事前に連絡している。個別支援計画の作成や検証、見直しは、定期的に行っている。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の身体や生活状況、個別支援計画書及び評価、アセスメント表などは、すべて法人共有の情報ネットワークシステム(レインボーネット)で管理し、職員の共有化を図っている。組織内の情報は、レインボーネット内でそれぞれに分類して伝達するシステムとしている。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

記録の取り扱いに関しては、運営規程や文書規程に定め、職員に周知している。個人情報の不適切な利用や漏えいに対する対策と対応方法、記録管理の責任者は、法人の「個人情報保護要領運営指針」に明記している。個人情報の取扱いについては、契約時に家族に説明しているが、利用者への説明は行っていないため、今後の検討課題としている。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の基本理念である人権に根差した利用者本位の考えに基づき支援をしている。特に意思決定支援に力を入れている。年2回、意思決定支援担当者会議を開催し、利用者が何がわかって何がわからないか、何に興味を示したかなど、利用者の行動や表情を確認して、ヒアリングシートに記入している。さらに本人シートに落とし込み、その中から本人の好きな物や希望することなど、ニーズを明確にし、支援の仕方を検討して実施している。言葉や何らかの方法で、自分の意思を伝えられる利用者は約8割いる。その他の利用者は、職員が投げかけたことについて理解しているかを見極め、写真や現物を見せて、表情や態度から思いを汲み取るようにしている。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の権利擁護については、マニュアルや園規程に明示している。年1回、権利擁護の全体研修を開催している。生活課のグループ会議の中で、支援に対して困り感が出た時には、権利侵害が起きないよう、支援の方法を具体的な例を出して検討している。園外からは中に入れないが中からは外に出ることができる、ガチャガチャと扉を開ける音が他の利用者の迷惑になるなど、具体例をあげて検討している。どこにでも行ける自由な生活ではあるが、権利にはルールを守る義務があり、それが守れない、理解ができない場合どのように関わるか、どのような声掛けが適切かなどを、検討し合っている。権利侵害が起きた時のフローチャートがあり、職員に周知している。ユニットには、見守りカメラを5台設置している。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

生活の中で本人ができること、難しいことを確認し、できるところは職員が見守ることで、利用者の自立支援につなげている。文字や写真を使って、その方に合った方法や、構造化(生活場面において環境設定やスケジュールの提示などで何をすべきかをわかりやすく提示する方法)などにより、見通しが立てられ、自分で管理できるよう支援している。日中活動には紐通しや袋詰めなどがあり、利用者は何に取り組むか自分で決めて行っている。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

会話ができない利用者がほとんどであり、言葉でのコミュニケーションが困難な方には、ジェスチャーや文字、絵、写真などを提示しながらコミュニケーションをとっている。言葉でのコミュニケーションが困難で、コーヒーが好きな利用者が、園の外に出ていってしまうことがあった。スーパーの前で見つかったり、自動販売機の近くで発見されたりした。グループ会議で対応方法を検討し、1週間の予定を利用者と一緒に考え、曜日ごとに、自動販売機でコーヒーを買う日、お店で飲む日、ユニットで飲む日などを決めている。曜日は色分けして、本人が理解できるか確認しながら行った結果、外に出ることは解消している。また、別の利用者には、本人の思いを確認するため、笑顔の顔マークや困った顔マークを提示して指差しで選んでもらっている。利用者それぞれに合ったコミュニケーション手段で対応している。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

意思決定支援の担当者会議を開催し、利用者一人ひとりが望む暮らしの実現に取り組んでいる。利用者は生活の中で、担当職員に希望を直接話すことが多い。利用者自治会の「ピザの会」を開催し、会長や副会長を中心に、利用者の希望などを聴く機会を設けている。「ピザの会」には、あおぞら委員会の委員も参加し、利用者の声や希望を園の運営会議に報告し、内容を検討している。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

紐通しやペグ差し、マッチングブロック、紙の型抜き、袋詰めなどの日中活動があり、また、散歩や園芸、野菜作りなどの園外活動がある。利用者一人ひとりの希望に沿い、個別支援計画に基づいて支援している。余暇としては、雑誌を読む、キャッチボールをする、ジュースを買いに行くなど、それぞれが好きなことができるよう支援している。また、タオルやシーツたたみの手伝いを積極的に行っている利用者もいる。支援内容は個別支援計画書に落とし込んで、計画に沿って実施している。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

大声やパニック、破壊行動、他害、自傷などの行為が見られる利用者がいる。壁を叩く、物を投げる、蹴るなどの行動障害がある利用者に対しては、不適切な行動は利用者にとって必ず原因があると捉え、毎日の支援の中で原因を探っている。今年度コンサルテーション事業を利用し、チェック表により、何ができるか、何ができないかを確認している。分析の結果から、支援方法が提示される予定である。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

食事は外部業者に委託し、園内の厨房棟で調理している。生活1、2、3課それぞれに温冷配膳車を使用し、温かいものは温かく、冷たいものは冷たい状態で食事を提供している。利用者にアンケートを取り、希望のメニューを献立に反映している。常食や1㎝刻み、8mm刻み、極刻み、ペースト、トロミと6段階の食事形態で、食事を提供している。約半数の利用者は自力摂取が可能であるが、見守りが必要な方や、むせこみや嚥下状態が困難な方もいる。また、全介助の方も数名いるが、利用者個々の食事手順書の作成までには至っていない。入浴は一部介助を行う方がほとんどである。入浴用車椅子を使用する方や機械浴利用の方も数名いる。こだわりが強く、長湯をしてのぼせてしまう方もいる。排泄を失敗する方などには、その都度片付け、清潔に生活ができるよう支援している。個別支援計画に沿って支援を行っている。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

園内はゆったりとしたスペースをとり、利用者の居室は全室個室で、明るく快適な居住空間を作っている。利用者は自由に園内を行き来することができる。リビングやトイレなど、共有のスペースは業者が清掃を行っている。ユニットには、ソファーやテレビ、ラジカセなどを備え、利用者がくつろげるよう配慮している。どうしても掲示場所は高いところになるが、廊下には季節感のある装飾品や、思い出の写真、利用者が描いた絵などを飾っている。利用者の高齢化もあり、前のめりに転倒する危険性があるため、テレビ台などの角を保護して、安全を確保している。各ユニットに見守りカメラを設置している。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

月2回、定期的に理学療法士が訪れ、車椅子の方の腕の筋力維持や立ち上がり動作、可動域の維持などの機能訓練を行っている。年齢の高い利用者も増えていることから、歩行状態や筋力維持のため、日々の生活の中で、一人ひとりの状態に応じた生活訓練を行っている。園庭はとても広く、園庭散歩でも十分な歩行訓練ができる環境を整えている。体育館でも身体を動かして、利用者の健康維持に努めている。機能訓練のため、平行棒なども揃えている。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の健康状態は、毎日の検温や顔色、表情、行動などから、状態に変化がないか、ユニットの担当職員が確認している。食事量や排泄の様子からも、変化を見逃さないようにしている。食事量が減ってきた時は栄養士と連携し、栄養マネジメントにより、好きな食べ物、食べられるものを提供して、利用者の健康維持に努めている。排便のコントロールが必要な方には、看護師と連携し、緩下剤などで対応している。利用者の健康状態は、「健康記録表」や「生活記録」に記録している。体調急変時の対応は、フローチャートで手順を示している。コロナ感染症に対しては、本人はなぜ部屋にいなければいけないのか理解できず難しい面もあったが、個室での隔離対応を行っている。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:a】

看護師に、いつでも連絡が取れる体制を整えている。利用者が怪我をしたり、具合が悪い時など、医療処置が必要な時は、看護師が対応している。また、看護師が感染症の予防などの助言や指導を行っている。園内に診療所があり、利用者は内科や精神科、皮膚科に受診している。服薬している利用者は多く、ユニットの夜勤者が翌日分の薬をセットし、次の日、早番の職員が配薬トレーに薬を入れている。与薬時は職員2人でダブルチェックし、口内、コップの中、床などを確認している。薬の空き袋はトレーに戻し、服薬が完全に済んだか確認している。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

地元自治会に加入し、地域のイベントや避難訓練に利用者が参加している。地域の公民館のお祭りには、園もブースを出し、刺しゅうやコースターなどの自主製品を販売している。また、ボランティア活動として、「社協だより」を地域の事業所や商店に配布している。意思決定支援の中で、県の働きかけにより、大学生と利用者との交流「おともだちプロジェクト」を行っている。参加人数は多くはないが、話をしたりゲームをしたりして交流を深めている。絵を描いたり、字を書くことが得意だったり、パソコンができる利用者に、得意な活動ができるよう支援している。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

「チャレンジ活動」を通して、地域の生活介護事業所やグループホームの見学及び体験利用を行っている。本人の希望を聴き、本人と話し合い、どこで生活したいかを決めている。希望先と連携を取りながら、まず見学や体験利用をしてみて、生活が可能であることを確認してから移行を決定している。今後、高齢化にともない、介護を必要とする利用者の地域生活移行をどのように進めるか、課題として捉えている。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

家族や後見人には、園での様子や変化などを、直接担当職員が電話や文書で連絡している。家族会は、コロナ禍で中止をする場合もあった。感染防止対策として、今年度は参加人数を減らし、午前と午後の部に分けて、「祭りだ!やまゆり」を開催して、家族と一緒に楽しんだ。家族の意見や要望は随時受け付け、利用者の支援に反映している。現在、状況は落ち着いてきたため、面会は再開している。声を聴かせてほしいと電話で利用者と話をしている家族もいる。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

"
障害者の入所施設のため、評価外とする。"

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

"
障害者の入所施設のため、評価外とする。"

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

"
障害者の入所施設のため、評価外とする。"

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

"
障害者の入所施設のため、評価外とする。"