社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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社会福祉法人すぎな会すぎなの郷

2022年04月11日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 公益社団法人神奈川県社会福祉士会

② 施設・事業所情報
名称 社会福祉法人すぎな会すぎなの郷 評価対象サービス 2021 障害者・児福祉サービス版
対象分野 障害者支援施設(施設入所支援+日中活動事業) 定員 80 名
所在地 243‐0125
厚木市小野2136番地
TEL 046‐247‐0311 ホームページ http://www.sugina.or.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2004年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人すぎな会
職員数
常勤職員:31 名
非常勤職員:11 名
専門職員
サービス管理責任者:2 名
社会福祉主事任用資格:6 名
看護師:2 名
保育士:8 名
管理栄養士:1 名
介護福祉士:8 名
施設・設備の概要
居室:個室23室 二人部屋33室
食堂:5室
作業室:2室
相談室:1室
医務室:1室
浴室:6室
静養室:1室

③ 理念・基本方針
すぎな会の経営理念
1.人間としての尊厳を重んじる姿勢を貫きます。
2.利用者それぞれのライフステージにおけるケアを目指します。
3.地域と協調し、地域の一員としての役割を果たすよう努めます。
4.経営体としての安定性・積極性・信頼性を追求します。
 本理念に基づき、職員・保護者・理事者が力をあわせて、すぎな会発展のため最善を尽くします。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
1.主な活動内容
①日中活動
・自由手工芸活動: 室内活動(作品作り、手工芸、機織り、散歩、その他)
・ゆったり活動: 訪問音楽、室内活動、散歩 
 ・教室活動: 押し花、茶道、太鼓の会
 ・セラピー活動: 動物介在、音楽療法、おしゃれ教室
②朝の体操
③余暇活動
2.事業所として力を入れて取り組んでいる点
①日中活動の充足
②高齢化・重度化に伴う支援技術習得の取り組み、人材育成
③職員間の情報共有と連携、支援体制の強化

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2021/07/22(契約日) ~2022/03/28(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(2016 平成28年度)

⑥総評
特に評価の高い点 ①安心・安全で楽しい食事提供に努めている
 食支援プロジェクトを立ち上げ嚥下機能が低下した利用者が安心して食事ができるように支援している。個々の利用者の栄養ケアマネジメントを実施し、3か月ごとに栄養スクリーニングを実施し本人に合った食事が提供できていることを確認している。本人状況の変化に応じて医療相談を行い、必要があれば摂食嚥下機能の評価を受けている。毎日管理栄養士、看護師が連携し巡回し利用者に合った食事形態(ソフト食、軟菜食、一口大など)を確認している。「安全な食事介助」マニュアルを作成し勉強会を開催し職員に周知し適切な食事介助に努めている。また、毎月誕生日食のアンケートをとり利用者の希望を食事に反映し、コロナ禍で自粛している面もあるが季節に応じた食事会や夏の流しソーメン、冬の鍋物など豊かな食事を利用者が楽しんでいる。

②高齢化・重度化が進む利用者の日中活動を支援している。
 利用者の高齢化が進み3人に1人は70歳を超えている。日中活動参加への意欲低下が見られる利用者が増え、ADLの低下による介護支援も増えている。排泄や入浴の支援に多くの時間と人員を必要とする状況の中で、生活の中の楽しみや体力維持につながるような支援を考え、毎朝15分間の体操の時間を設けた。サザエさん体操やきよしのズンドコ節など工夫し、短い時間でも朝の体操を毎日行うことで利用者の一日の生活のリズム作りにつながっている。また、利用者の居住しているフロアごとに訪問音楽会を開催し、利用者と職員が一緒に歌い楽しい時間を過ごしている。短い時間でも利用者が声を出すことで自分自身を表現し表情が明るくなっている。大きな声で歌い口を動かすことでスムーズな嚥下機能の維持につながっているようである。

③職員の人権擁護意識の強化に取り組んでいる。
「職員は、『障害を持つ個人が尊厳を持って、その人らしい自立した生活を送れるように支える』責務があること」を職員倫理綱領、職員行動規範の冒頭に明記し利用者の人権擁護に取り組んでいる。年2回人権チェックリストを用いて全職員が自身の人権擁護の取り組みの自己点検を実施している。職員行動規範等を明記したクレドを職員一人ひとりが常時携帯し、日常的に人権擁護について自身の行動を振り返り注意を喚起している。また、人権委員会が2か月毎に人権標語を作成し施設内各所に掲示し職員の人権意識の強化を図っている。
改善を求められる点 ①入所施設から地域移行を希望する利用者への支援の強化が期待される。
すぎなの郷は主に高齢者・病弱者を対象にした入所施設であり、利用者の地域移行を積極的に推進している状況ではないが、近年入所した利用者の中には今後地域移行の可能性がある人もでてきている。法人の取り組みとして、利用者のライフステージにおけるケアを理念に掲げておりその実現に向けて今年度日中サービス支援型のグループホームを開設している。今後地域移行を希望する利用者への適切な支援が期待される。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
第三者評価受審結果を受けて、評価を受けた内容については日頃の取り組みにおいて励みとなり、改善点については課題を共有し取り組む必要があること等確認出来ました。利用者支援の質の向上に繋がるよう、取り組んで行きたいと思います。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

 「人間としての尊厳を重んじる姿勢を貫きます」「利用者それぞれのライフステージにおけるケアを目指します」など4項目を法人の経営理念に掲げホームページに開示している。理念の実践に向けた職員の「行動指針」を作成し、「職員倫理綱領及び職員行動規範」を明文化し全職員に配付し周知している。職員は倫理綱領や行動規範をカードに明記した「クレド」を常時携帯し、理念実践に向けた意識の強化を図っている。また、年に5回開催のすぎな家族の会と理事・施設長参加の三者例会や年3回の家族懇談会で理念や行動指針を説明し、利用者支援に関する施設の方針を示している。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

理事長を中心とした経営者会議で社会福祉事業の動向を把握し法人運営の分析を行っている。全国社会福祉法人経営者協議会の「全国経営協 アクションプラン2025」の資料等を活用し、また、厚木地区知的障害施設連絡会、神奈川県知的障害福祉協会、神奈川県知的障害高齢者問題研究協議会等の定例会に出席し、福祉事業を取り巻く環境の変化の状況把握に努めている。「これからのすぎな」のまとめを作成し法人の新規事業の推進や事業展開にむけた課題等を明記している。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

法人としての中・長期計画を策定している。施設やグループホームの高齢化対策や利用者ニーズの多様化への対策及び相談支援事業所の開設等の経営課題を明確にし、中期計画に明記し具体的な取組を推進している。法人の中期計画の実現に向けてすぎなの郷では平成30年度からの5か年計画に「自立支援棟の再整備と有効活用、デイルームの居室化による支援体制の再編」「夜間体制」「看護師配置」「大規模修繕」等の事業展開の課題を中期計画に掲げている。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

法人の中期計画(平成30年度から5か年)を策定し、中期計画の中心課題は高齢化対策と多様化したニーズを受けとめられる事業であることを明記している。介護保険制度と障害福祉制度の見直しの動向を見ながら、施設サービスのあり方やライフステージにおけるケアのあり方について検討し、法人としての新規事業の立ち上げの必要性等の課題を設定し中期計画に明示している。高齢化対策としては、生活ホームの高齢化対策や日中サービス支援型グループホームの設立を推進し、多様化する利用者への対策としての重度障害者受け入れや、相談支援事業所の設立を推進している。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

中期計画を踏まえて法人としての年度ごとの業務運営方針を定めている。業務運営方針に、施設運営を組織的かつ円滑に進めるための情報共有とフロア間の連携、プロジェクトチーム活動の推進等を掲げている。令和3年度のすぎなの郷の重点実施目標に、「高齢化・重度化に伴う生活支援と併せて、日中活動のあり方について検討の継続」「情報共有と連携による支援体制の更なる強化」「福祉サービス第三者評価の実施」を掲げている。しかし事業計画に当該事業所の計画策定の数値目標や計画達成の評価項目の明示、各種作業の推進に関わる具体策等に関する記述については十分とは言えず工夫の余地がある。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画は、毎年2月に年間の成果を評価し、次年度の事業計画を検討し3月の理事会に報告し決定している。年度ごとにすぎなの郷支援体制を編成し、業務運営方針に掲げた年度目標の達成に向けた推進体制を明示し、役割分担に応じて推進計画を作成している。食支援プロジェクト、支援技術プロジェクト、日中支援プロジェクトの各チームを編成している。プロジェクトごとに年間計画を策定し毎月開催の支援会議で進捗状況を確認し、課題解決に向けて職員の情報共有を図っている。事業計画の策定と達成度の評価については、職員の職務分掌ごとの計画と実績に連動した取り組みが十分に反映されているとは言えず、対策の工夫の余地がある。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

 年3回家族懇談会及び年5回の家族会会員、施設長、理事長の三者例会等を開催し、施設運営に関する家族の意見等の把握に努め、また、事業計画の内容を説明している。年5回発行の広報紙「すぎなだより」に、すぎなの郷の年度ごとの重点実施目標、業務運営方針を掲載し、また、事業報告を掲載し家族等に周知している。また、すぎなの郷だよりを年4回発行しコロナ対策等の施設運営の状況を家族等に説明している。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

 定期的に第三者評価を受審し、第三者評価受審の総括及び分析を行い課題を明確にしサービス向上につなげている。また、毎年2月と7月に人権チェックリストを用いて全職員が人権擁護に関する自己点検を実施している。人権チェックリストは、個人の尊厳の尊重や自己選択・自己決定、人権侵害等50問からなり、人権擁護に関する職員の意識強化につなげている。すぎなの郷職場のルールチェック表を作成し、職場のマナーや利用者の呼称、接し方などのルールを設定している。全職員が毎月ルール表に基づいて自己評価し働きやすい職場環境の整備に努め、利用者へのサービスの向上に向けた注意を喚起している。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

 年1回以上の実施が求められている福祉サービスの質の向上に向けた自己評価については実施していない。年2回の人権チェックリストを活用しての利用者支援の職員の振り返りと人権擁護の意識の強化等に努めているが、加えて福祉環境の変化の中で施設運営や支援体制、地域連携、事故や災害発生時の緊急時の対応等の施設運営全般の自己評価の取組が求められる。施設独自の自己評価項目を設定し定期的評価の実施と課題の整備が求められる。


評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

「すぎな会管理規則」に管理者の役割と責任を明記し規程集に掲載し全職員に周知している。年度始めに事業所の管理職の職務分掌を明示し、また、「すぎなの郷支援体制」を作成し施設の事業方針の実践に向けた個々の職員の業務・役割、勤務形態等を明示し全職員に周知している。
 「危機管理マニュアル」を作成し、有事を想定した管理者の役割と責任について明記し全職員に周知している。毎年防災訓練等を実施し災害等の緊急時に備えている。災害時の事業継続計画を整備し、また、「新型コロナウイルス感染症対応事業継続計画-BCP」を策定し有事に備えている。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 「内部管理体制の基本方針」を策定し、コンプライアンスに関わる業務体制について明記し、職員は確固たる倫理観をもって事業活動を行うことを明示し規程集に掲載し全職員に周知している。管理者は、県社会福祉協議会経営者部会総会研修会のオンライン研修等に参加し、事業運営や職員が遵守すべき法令の改正等について把握し全体職員会議等で全職員に周知している。また、職員は、職員倫理綱領や職員行動規範を明記したクレドを常時携帯し法令遵守の注意を喚起している。


【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

管理者は、法人の業務運営方針に基づいて職員の役割や具体的な業務を示す支援体制を明示し、施設運営における課題解決に向けた取り組みを推進している。継続的に福祉サービスの改善のための取り組みを実施し、支援会議等で進捗状況を確認し管理職と職員との情報共有を図っている。全職員を対象に目標管理制度を導入している。年3回、管理者と職員が定期面談を実施し目標達成に向けで情報共有を図り、「利用者にとって何が大切か」という視点を大事にし、サービスの質の向上に向けた職員のモチベーションの向上につなげている。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

法人全体の委員会制度を整備している。人権委員会、防災委員会、安全衛生委員会、研修委員会、給食委員会等に事業所の職員が委員会メンバーとして参加し法人全体の業務の実効性を高めている。また、管理者は、フロア毎のチーム制による支援体制を採用することにより、チームごとに職員の育成を図っている。労働環境については「安全衛生管理規程」を整備し、管理者と職員代表が話し合い職員の労働環境の改善を図り、また、「安全点検自主点検表」を用いて毎月定期的にフロアごとに業務面、設備面、職員の健康管理面等重点確認項目のチェックを実施し、業務の実行性に課題がないことを確認している。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

 福祉サービスの提供に関わる専門職の配置等、必要な福祉人材や人員体制について、法人として年度ごとに具体的な計画を策定している。人員配置については、介護職員が不足している福祉業界の状況の中で、フロア間の弾力的人員配置を行い、また、非常勤の支援補助員を採用し人材不足の解消に努めている。 研修規定を策定し専門資格の保有については、職能給アップや奨励金制度を整備し法人として資格取得の奨励を積極的に推進しモチベーションの向上を図っている。また、新採用時から約1か月間は、フロアの基本業務をしっかり身につけられるようフロア内で育成の体制を敷いて新任職員の定着を図っている。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

「人事考課規程」を整備し、常勤職員の業績考課及び能力考課の人事考課基準を定めている。人事考課の実施については評価者研修を実施し、考課の公正性・公平性の維持徹底を図っている。また、非常勤支援員については、年1回4月に業務実績を業績基準書と照合し業績考課を実施している。
 職員が、自ら将来の姿を描くことができるような総合的な仕組みづくりとして、キャリアパスを明示し、また、人事考課の一環として個々の職員の目標管理を実施している。職員は年度初めに「個人目標管理シート」を作成し、自身の年度目標と目標達成の方法を記入している。年3回の管理者との面談を通して目標を共有し、達成状況を評価し研修受講等の対策を実施している。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

管理者は、職員のワーク・ライフ・バランスに配慮し、シフトを組む際や有給休暇の取得については職員の希望を尊重している。育休の取得については、男性職員の取得実績(R2,3年度に各1人ずつ1か月及び3か月の取得)があり、休暇を取りやすい雰囲気づくりに配慮している。時間外労働は少なく支援会議や業務研修で早番を中心に実績がある程度である。産業医の協力のもとに年1回職員のストレスチェックを実施している。例年、身体介助の負担の増加による高ストレスが指摘される傾向があり、安全衛生委員会中心にストレスチェックの結果を分析し職員に周知している。法人内には職員代表制度があり、定期的に職員アンケートを実施し、集計結果を基に労働時間等法人と話し合い、職員の働きやすい職場の整備に努めている。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の「期待する職員像」を明示し職員に周知している。人事考課制度の一環として個々の職員の目標管理制度を実施している。目標設定にあたっては職員の意向を尊重し、年3回の管理者との面談を通して目標達成に向けて情報共有を図っている。職員は、施設の業務運営方針の達成にむけて「何が期待されているか」を認識し、年度目標とその実現方法を「個人目標管理シート」に明記している。目標管理では結果そのものよりも目標達成に向けたプロセスを重視している。目標達成に向けた取組の評価とフィードバックが行われることで職員が現実的な強化点や改善点を明確に認識できるようにしている。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

 「資格取得に関する規則」を定め奨励金制度等を整備し専門資格の取得支援を推進している。法人の研修委員会を立ち上げ、隔月に委員会を開催し年度ごとの研修計画を策定している。研修計画に研修の年度目標や内部研修、外部研修、階層別研修等の実施内容を明記している。職員研修について職位に限らず内外の研修に可能な限り積極的な参加を促している。外部研修については、希望があれば常勤・非常勤の区別なくシフト調整を行い極力希望通りに参加できるように配慮している。研修委員会主催の実践報告会を開催している。昨年度すぎなの郷は、「『食べない』から『食べる』へ新入所利用者への食事支援」の実践事例を発表している。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

管理者は、職員一人ひとりの研修受講一覧を整備し受講実績を取りまとめ、個々の職員の知識・力量、専門資格の取得状況等を把握し職員の能力向上につなげている。階層別研修の受講派遣など支援員への意向を確認し積極的に研修受講の声掛けをしている。新任職員へのOJT研修については、フロア担当(リーダー、中堅担当者)が担当指導員となり管理職が全体を把握する形で行っている。フロアの基本業務については、配属から約1か月で習得できるよう業務を一覧表化し、前半は新任職員とフロア担当が一緒にシフト業務を行い、後半は新任職員が主となって業務を行う形を取っている。また、新任職員の育成役のフロア担当者が、育成の取り組み結果を報告する仕組みである。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

 「実習等に関する規則」を策定し事業所ごとに受け入れ担当者を設置し、実習要領に基づいて実習生を受け入れている。例年5箇所程度の大学や専門学校等の実習生を受け入れている。幼児教育・児童福祉・介護を学ぶ学生の受け入れ実績が多くを占めており、特定の資格等取得を目指すプログラムではなく、施設で生活する利用者の日常の様子と、職員の対応の実際を体験してもらうことを重視する内容となっている。「教育実習生オリエンテーション」「教育実習・単位実習受け入れの流れ」等の実習生受け入れマニュアルを作成し、実習に関わる留意点を明記し実習生の指導に当たっている。今後は、専門職種の実習生育成プログラムの整備が期待される。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

「情報公開等に関する規程」を策定し、法人が健全な社会福祉法人として地域の信頼と協力を得るように事業運営の透明性を図っている。ホームページでの情報公開に努めている。ホームページに法人の理念や年度ごとの業務運営方針、事業報告書、決算報告書等を開示している。また、年5回広報誌「すぎなだより」を発行し、業務の運営方針、決算報告、各施設・事業所の状況、その時々のトピックス、新人職員の挨拶などを掲載している。広報誌は毎回620部を印刷し家族や後援会、地区の関係機関、自治体等に配付し施設運営の情報開示に努めている。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

毎年外部の監査機関による会計監査を実施している。また、税理士が毎月施設を訪問し施設会計の事務手続きが正常に実施されていることを確認している。今年度5月には税理士に委嘱し、法人の財務会計に関する事務処理体制の向上に対する支援業務の適切性を評価している。「内部管理体制の基本方針」を策定し、監事の監査業務の適切性を確保するための体制を規定している。毎年5月に法人監事による内部監査を実施し、会計年度に関わる事業報告、会計帳簿等に関する資料調査を実施している。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 コロナ禍の中で利用者の地域での活動を制限している状況にあるが、地域の納涼祭や祭り、ふれあい行事、運動会に利用者と共に参加している。毎年12月に実施の法人主催のすぎな祭には50名程の地域住民が参加し総勢300人ほどの人たちで賑わい利用者と地域住民との交流を図っている。3年前より地域の児童見守り活動に参加し、法人内の3施設が連携し毎週月曜日年間を通して地域の交差点での児童の見守りを行っている。また、お中元・お歳暮の時期には、日頃からお世話になっている病院、コンビニ等の店舗、ボランティアに挨拶を兼ねて、手ぬぐいや和紙カレンダーなどの利用者の手作り作品を配布して地域の人たちとの関係づくりに努めている。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

「実習等に関する規則」にボランティアの受け入れについて、施設の方針を明記している。ボランティア名簿を整備し利用者の日中活動や余暇のために積極的に受け入ている。コロナ禍で活動を制限していることもあるが、例年ボランティアが施設を訪れ月2回の茶道教室や月1回の押し花教室などを開催し、20名程度の利用者が参加している。ボランティア行事の一環として、厚木市の人形劇サークルが施設を訪問し人形劇を披露している。また、地域ふれあいの会を開催しボランティアへの感謝を伝える会を開催している。今後はボランティア受け入れマニュアルを整備し、地域のボランティアの育成に向けた活動の推進が期待される。


【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

 神奈川県知的障害高齢者問題研究協議会、厚木地区知的障害者施設連絡会施設長会、神奈川県知的障害福祉協会施設長会等に出席し、コロナ対策等地域の関係機関との連携を図り、職員会議等で職員に説明し周知している。法人が運営する相談支援事業所が中心となって関係機関や団体との調整・連絡を行っている。嘱託病院が主催する連携施設運営会議に出席し、感染症予防の取り組み等の情報を共有しながら他業種を含む地域施設との連携を図っている。今後は、個々の利用者の障害特性に応じた地域関係機関のリスト化を進める等関係機関との連携の一層の強化が期待される。

 

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

神奈川県知的障害高齢者問題研究協議会、厚木地区知的障害者施設連絡会施設長会、神奈川県知的障害福祉協会施設長会等に出席し、地域の関係機関との連携を図り施設運営に関わるニーズの把握に努めている。コロナの影響で開催を控えている状況にあるが、例年地域ふれあいの会を開催し、自治会など地域の人たちやボランティアを招待して、地域の人たちに施設の活動について説明し施設への要望等の把握に努めている。また短期入所では、地域で生活している障害者と家族のニーズに応え、緊急やレスパイト目的の利用に対応している。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

平成26年度より厚木市生活困窮者自立支援事業やライフサポート事業を法人として推進し、コロナの影響で失業している人など昨年は10件の生活困窮者の相談に応じている。また、3年前より地域の児童見守り活動に参加し、法人内の3施設が連携し毎週月曜日年間を通して地域の交差点での児童の見守りを行っている。また、厚木市地域防災協定を締結し、災害発生時の「避難行動要支援者」の受け入れ要請に応じている。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

経営理念の冒頭に、「人間としての尊厳を重んじる姿勢を貫き通します」と明記し、また、職員倫理綱領に「私たちは利用者一人ひとりの人格を尊重し、その経験や個性を大切にし、安心と誇りをもって暮らせるように支援します」と明記している。その実現に向けた具体的行動を職員行動規範に示し、規定集に掲載し全職員に配布し周知している。また、職員倫理綱領や職員行動規範をカードに明記したクレドを職員が常時携帯し注意を喚起している。法人は人権委員会を設置し人権擁護に関する研修会の開催や人権標語の2か月ごとの見直しを実施している。年2回の人権チェックリストの定期的自己点検の実施等を通じて、全事業所が共通して人権意識の強化に取り組んでいる。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

「職員倫理綱領」及び「職員行動規範」にプライバシー保護に関する具体的行動を規定し、全職員に周知している。2人部屋はカーテンで仕切りをしている他、利用者の居室への入室・介助、私物の確認等は利用者の了解を取った上で行うようルールを徹底している。職員は、利用者の入浴やトイレ支援などプライベートスペースに対しては特に注意している。「入浴時の留意点」の支援マニュアルを作成し個々の利用者の障害特性に配慮している。利用者・家族アンケートではプライバシーの満足度は70%台となっている。利用者が他の入居者居室に入室してしまうケースがあり、職員が利用者にプライバシーを守ることの大切さを説明している。プライバシー保護の取り組みの一層の工夫が求められる。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

法人ではホームページを充実させており、理念や基本方針の他、各施設や事業所の紹介も写真を使うなどして分かりやすい情報開示に努めている。入所を前提とした施設利用については、空き状況によっては複数名の利用受け入れを実施し2泊3日程度の宿泊体験を受け入れている。施設見学も複数名を受け入れており、11月末には養護学校の生徒・教諭を対象に見学を設定している。福祉行政に居室の空き情報を提供し、施設連絡協議会でも共有し利用者の受け入れに備えている、また、地域の方からの直接の問い合わせも随時応じている。本入所に向けての利用については、2週間程度の宿泊体験を実施し段階的に宿泊期間を伸ばし、本人が納得のうえで入所を決定している。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

施設利用のサービス開始・変更時には、契約書と重要事項説明書を作成し、利用者と家族等に説明し同意を得ている。サービス変更時には、個別支援計画書についても併せて変更対応を実施し、利用者と家族等の同意を得るようにしている。重要事項説明書等にルビはなく利用者に分かりやすい資料とは言えない状況である。また、サービス利用開始に際し意思決定の困難な利用者に選択肢を提示するなどより分かりやすい説明の工夫が望まれる。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたっては、同じ法人が運営する相談支援事業所と連携していつでも相談できる体制を整えている。施設移行に際しては個別支援計画等の支援内容を引継ぎ利用者支援に支障がないようにしている。また、福祉サービスの終了後も、施設の窓口として管理職が対応しているが、法人としてのアフターケアの窓口も設置している。長期入院者や家族等に対し福祉サービスを終了した場合を想定して説明を行っている。サービス終了後も対応窓口を設け相談支援事業所と連携しアフターフォロー相談に応じている。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人全体の利用者満足度調査を5年ごとに実施している。直近では平成30年度に行っている。利用者への聞き取りは公平を期すために異なる事業所の職員が実施している。アンケートの質問項目は、「職員について」「生活について」「健康について」等に関する24項目に及んでいる。調査結果を分析しグラフ化してわかり易くまとめて職員に周知している。家族懇談会で利用者満足度調査結果を報告している。また、利用者の状況や支援について説明し、満足度について確認している。 

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

「苦情解決規程」を作成し苦情解決責任者及び3名の苦情解決第三者委員、苦情受付担当の設置及び苦情解決の手順について規定している。苦情解決責任者、第三者委員等が出席し苦情解決委員会を半期ごとに開催し、虐待事案の有無、家族や地域からの苦情等について一覧表を用いて分析し、苦情対応が適切であったかを検証している。苦情解決ポスターを施設内各所に掲示し、苦情解決責任者、苦情受付担当者、第三者委員等を写真付きで紹介し連絡先を明示している。法人の広報誌「すぎなだより」に半期ごとの苦情受付の件数や苦情内容について公表している。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

フロアごとに担当職員制を採用し利用者の話を聞く機会や時間を作り、利用者が身近な存在の職員に何でも相談できる雰囲気づくりに努めている。職員は「利用者面談記録」に利用者の生活全般の要望、日中活動や健康面での要望等を書留めて職員間の情報共有を図っている。また、厚木地区の権利擁護機関のオンブズマン活動に加盟し、オンブズマンが年10回施設を訪問し利用者の相談に応じている。利用者は直接職員に言えない苦情や悩みについてオンブズマンに相談している。「みんなの声」ボックスを玄関に設置し、また、「気軽に相談してください」と明記したポスターを施設内に掲示しいつでも電話相談に応じることを周知している。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

支援技術プロジェクトチーム主体にグループワークを実施し「すぎなの郷職場のルールチェック表」を作成している。ルールチェック表には相談したら記録に残すこと、及びフロア内確認事項はリーダーを通すことが明記されている。また、緊急性を要する医務に関することの対応手順等の注意事項を明記し職員に周知し利用者の相談への迅速対応を心掛けている。意思表示の難しい利用者については、職員側の視点や想定ではなく利用者の日頃の表情やリアクションを観察し支援の統一に努め職員会議や支援会議で職員間の情報共有を図っている。また、「苦情解決規程」において、対応の迅速化を図るために苦情申出手続きと対応についてフローで説明し、手続きの流れと責任者を明示している。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

「リスクマネジメント実施要綱」を整備し、施設の安全管理、事故防止等に関するリスクマネジメント体制を規定しリスクマネージャー制度を整備している。施設運営に関わるリスクの内容を明示し職員に周知している。また、「危機管理対応マニュアル」を作成し、毎月リスクマネジメント推進会議を開催し、事故発生時の対応や災害発生時等の緊急時の対策及びコロナ禍対策等を明示している。日々の利用者支援に関わる事故報告書、ヒヤリハット報告書を運用し事故防止に努めている。昨年度は転倒・転倒の恐れ、服薬、危険行為等287件のヒヤリハット報告があり、年度ごとに事故報告・ヒヤリハット報告をまとめ、事故の内容を分析し、事故防止について明示し支援会議で職員に周知している。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

衛生健康委員会及び安全衛生委員会を中心に法人全体としての新型コロナウイルス等感染症予防対策を実施している。 「感染症・食中毒予防対策について」「食中毒予防マニュアル(衛生管理マニュアル)」「ノロウイルス感染予防対策」「新型コロナウイルス感染症への対応について(マニュアル改定版)」等の感染症予防・蔓延防止に関するマニュアルを整備している。全職員を対象にノロウイルス感染予防や嘔吐物処置の実務訓練及び感染症のガウンテクニック手順研修等を実施している。また、新型コロナウイルス対策としての利用者、職員の検温、マスク着用、手洗い・消毒の周知徹底を図っている。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

 年2回全事業所合同の日中想定避難訓練、大地震避難訓練、年4回施設の夜間想定の避難訓練・通報訓練を実施している。「すぎな会消防計画」を策定し、火災・震災・その他災害に関する法人全体の人命の安全と被害の防止について明示し、防火管理責任者の設置、自衛消防組織の編成、避難場所等の対策を明記している。「社会福祉法人すぎな会BCP」を策定し、災害発生時の事業継続について明記している。「新型コロナウイルス感染症対応事業継続計画ーBCP」を作成し、有事の対策本部の設置やコロナ禍のステージに応じた現場レベルの対応について規定している。また、厚木市と地域防災協定を締結し、避難行動要支援者の受け入れを行い、災害発生時の5日分の食料等を備蓄している。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

「基本業務表(業務内容と支援員の動線)」を作成し、フロア別に起床から就寝援助までの一日の支援の流れに沿って個々の利用者の障害特性に配慮した支援マニュアルを整備している。また、食事介助や与薬、入浴、移乗支援等の日常業務の「業務手順書」を作成し利用者支援の標準化を図っている。また、個別支援計画策定のガイドラインとしての個別支援計画記述事例を作成し、個別支援計画の作成から実践の状況の評価、見直しに関する標準化を図り、個別支援計画策定の質の向上に努めている

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

 支援マニュアルや業務手順書は支援会議やフロア会議及び支援技術プロジェクト会議で検討し、必要に応じ随時見直しを行っている。改定の日時を支援マニュアルに明記し職員間の情報共有と支援の統一性を図っている。直近の見直しでは2021.9.12に改定したことが明示されている。個別支援計画書作成とモニタリング、最終まとめの年間実施計画を整備し、各フェーズごとの検討会議を開催し作業手順の見直し等についての職員間の情報共有を図っている。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

 個別支援計画の見直しに際し毎年2月にアセスメントを実施している。アセスメントの前に利用者ごとに面談し「利用者面談記録」を作成し、また、年度末に家族に「個別支援計画書 要望受付票」を記入してもらい利用者の要望・希望の把握に努めている。アセスメントは、利用者の日常生活動作、生活技術・健康管理、デイ活動での活動状況、社会参加、対人関係等項目ごとに70項目に及び、項目毎に5段階評価を行い、利用者支援のニーズの把握に努めている。アセスメントの結果を分析し、課題一覧を作成し個別支援計画に反映している。利用者ニーズは、中間・年度末のモニタリング時に見直しを行い、課題の見直しを行っている。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画は年度ごとに策定し、半期ごとに個別支援計画の目標に沿ってモニタリングを実施し、個別支援計画の実績を評価し個別支援計画の見直しに反映している。個別支援計画は、支援会議で看護師や管理栄養士の個々の利用者支援の意見等を確認し、また、利用者の状況の変化に応じ個別支援計画検討会議で情報共有を図り随時見直しを行っている。また、個別支援計画に本人の要望を明記し、目標ごとに半期毎の支援の方法について明記している。個別支援計画は策定後利用者及び家族に説明し同意のサインをもらっている。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

法人全体で仕様を統一し日々の利用者支援の状況をPCのケース記録に入力している。職員は必要な情報を随時検索して参照できる仕組を整えている。また、勤務形態に応じた支援員のPCへのデータ記録の所定の時間を確保し、職員の職務環境の整備に努めている。ケース記録に日常・医療・特別・ヒヤリハット等分類して記録し情報検索で必要な情報を参照できるようにしているが、個別支援計画の目標に沿った記録については十分とは言えず記録の取り方の工夫が求められる。



【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

法人の文書管理規程が整備され、管理責任者は施設長である。「個人情報保護規程」を策定し、利用者支援に関わる個人情報の利用目的の特定や目的外利用禁止、個人データの開示等について規定している。また、個人情報保護規定の運用について漏洩・減失及び毀損等の防止に関わる安全管理対策について文書化し、職員に周知し注意を喚起している。PC上の個人データについては、パスワードを職員や管理者等職域ごとに設定し情報の不正アクセスの防止を図っている。PC上の廃棄データは年度ごとにチェックし情報漏洩防止に努めている。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「職員倫理綱領」に、「利用者中心のサービス提供に努め、利用者自らの選択と決定を尊重すること」を明示し職員に周知している。職員は、利用者の主体的な活動や、趣味・衣服・理美容・嗜好品等について、利用者の意向をできる限り尊重した支援を心掛けている。利用者自身が何をしたいかを伝えることができる場合、趣味活動など個別に意向を確認している。意思の表出が難しい利用者については、その利用者の表情・態度を見ながら意向をくみ取るようにしている。どの利用者についても、先ず本人が体験しやってみる機会を提供し、「好き・嫌い」や「快・不快」の反応を見て支援するようにしている。普段の様子との差異に注意し、職員の価値観や先入観で一方的に考えることの無いよう留意して取り組んでいる。
 職員は、アセスメントの実施に合わせて利用者と面談し、また、家族に「個別支援計画書要望受付票」を作成してもらい、利用者の思いや要望を生かし自己決定を尊重した利用者ニーズを個別支援計画に反映している。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

 「職員倫理綱領」や「職員行動規範」に、人権擁護に関する職員の行動指針を明示し、また、「人権侵害防止規定」や「虐待対応マニュアル」等を整備し、虐待等が疑われる状況についてフローで明示し、職員に注意を喚起し迅速な対応に努めている。また、職員倫理綱領や職員行動規範を明記したクレドを作成し、常時携帯し職員一人ひとりが日常的に人権擁護について自身の行動を振り返るようにしている。
 また、新任者研修で「あおぞらプランⅢ」を用いて障害のある利用者の思いを大切にすることを職員に周知している。「支援者のための利用者虐待防止ハンドブック」の活用や、年2回実施の人権チェックリストの活用、及び人権研修の定期実施等を通じて、全職員が常に利用者の権利擁護を意識し業務にあたることができるよう取り組んでいる。法人の人権委員会が2か月ごとに「人権標語」を決めて全事業所への啓発を行っている。また、事業所独自の「すぎなの郷職場のルールチェック表」を作成しており、職員相互に「くん・ちゃん付け」を正す等の環境づくりに取り組んでいる。













A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 個々の利用者の障害特性に配慮した支援マニュアルを作成し、利用者の状態や意向をふまえ、利用者が自力でできることは自身でやってもらうことを基本に据えた支援を実践している。食事支援の場面では利用者が自力で行えることを見守り、利用者の様子を観察し声かけ・介助の対応をしている。利用者の食事状況の評価に基づき支援方針を検討する食支援プロジェクト会議を毎月定期的に開催し、利用者の能力に応じた支援方針をフロア担当へフィードバックしている。給食業者とも連携を密にし、利用者が経口栄養摂取を可能な限り継続し、食を楽しめるよう取り組んでいる。
 利用者が自力で行える生活動作について、脚力維持が必要と判断された方は手引き歩行に取り組み、必要に応じて車いすを利用して怪我につながらないように配慮している。怪我や体調不良の際はなぜ静養が必要かを繰り返し説明し、本人自身が生活の自己管理を行うように支援している。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は、一日の流れを絵カードや予定表によって確認する方法、筆談でやり取りする方法、ジェスチャーで伝える方法など活用し、一人ひとりに合ったコミュニケーションの方法を工夫している。
 職員は、利用者が聞いてほしい時に納得してもらうまで利用者の話を聞くようにしている。逆に話をすることに消極的な利用者へは職員の方から声をかけ、利用者が気軽に話ができるように配慮している。職員は、利用者が「ハイタッチ」を求めている時はそれに応じたり、日頃から挨拶を必ずするよう心がけておりその雰囲気が利用者との良好な関係につながっている。
 職員は、一人ひとりの利用者の「好きなこと」「できること」「おもしろいと感じること」を把握し他の職員と共有し支援の統一性を図っている。精神的に不安定な利用者は、自身の気持ちをなかなか伝えられず、朝から不穏で落ち着かないことがある。職員は、利用者の様子を把握し1時間くらいかけて本人が納得し落ち着くまで傾聴し、不安な気持ちが他の利用者に影響しないように配慮している。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は、利用者の意向に応じて随時利用者の相談に応じている。利用者に寄り添い利用者がどう反応するかを見守り、利用者の意思を尊重する支援を心掛けている。個々の利用者に合った声掛けや話し方に努め、居室等を活用し話しやすい環境にも配慮している。個別対応の必要な利用者については、申し送りを周知徹底し、個別の行動記録を作成している。記録を基に今後の対応改善に努めている。保護者からの要望は要望受付票に記録し、利用者要望は個別支援計画の支援内容に反映し、半年ごとに見直しを行っている。
 また、オンブズマンが年10回施設を訪問し利用者の相談に応じている。利用者は直接職員に言えない苦情や悩みについてオンブズマンに相談している。「みんなの声」ボックスを玄関に設置し、また、「気軽に相談して下さい」と明記したポスターを施設内に掲示しいつでも電話相談に応じることを周知している。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画の策定にあたり、利用者個々に面談し要望を聞き取り個別支援計画に反映している。個別支援計画に日中活動における利用者の希望・要望の支援目標を設定し、日々の日中活動の様子をケース記録に記録し活動の状況を振り返り、個別支援計画にもとづく日中活動を支援している。日中活動プロジェクトチームを中心に年齢や利用者の状況に合わせた日中活動について検討し実施している。体操などの朝の活動、音楽活動、創作活動などの他にセラピー活動の音楽療法やおしゃれ教室など、また、ボランティアの協力を得てカラオケや体操などを実施している。定期的に訪問美容院やコンビニ販売を行っている。利用者の嗜好に合わせてラーメン屋台や納涼祭(焼き鳥屋・アイスクリーム屋・花火)、敬老会であんみつを振舞うなどのイベント行事も開催している。活動のスケジュールやポスター等については誰もがわかるように工夫し絵や写真を取り入れ掲示している。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

あおぞらプランⅢに基づき障害のある利用者の思いを大切にし、利用者が一人の人間として生きていくことを支援することを全職員に周知している。利用者一人ひとりの障害特性に応じた支援マニュアルを作成し、利用者の状況に配慮した支援に努めている。食支援プロジェクト、日中活動支援プロジェクト及び支援技術プロジェクトチームを編成し、高齢化・重度化が進む利用者支援のあり方を検討し個々の特性に応じた支援を行っている。 
 日々の利用者支援については申し送りや日誌、個別のプリント、支援会議を通して支援方法を検討し職員間の情報共有を図り利用者支援の統一性を図っている。個別的に配慮の必要な利用者については、個別の行動記録を作成し、支援の振り返りや分析・原因追求など支援改善に努めている。居室や食席については、利用者の関係性をみて安心・安全に生活できるよう柔軟に対応している。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の高齢化が進む中で、食支援会議や食支援プロジェクトチームで利用者支援のあり方を検討し、また高齢者支援チームを設置し個々の利用者が楽しく・安全に食事ができるように支援している。職員は、個々の利用者の嚥下能力に配慮しソフト食、軟菜食、一口大など利用者にあった食事形態で食事を提供し、利用者がおいしく・安全に食事ができるように支援している。また、栄養ケアマネジメントを実施している。3か月毎に栄養スクリーニングを実施し、個々の利用者の栄養リスクや栄養ケアの課題を明確にし栄養ケア計画の見直しを行っている。
 個別支援計画の策定に際し利用者・家族の意見や要望を把握し、アセスメントを実施し洗面、食事、排泄、入浴、移動等日常生活の支援ニーズを明確にしている。利用者の強みを生かして支援目標を設定し個別支援計画に反映している。入浴、トイレ介助、外出・引率留意点マニュアルなどの日常生活支援マニュアルを作成し、夜間のトイレ誘導や衛生用品の使い分けなど個々の障害特性に配慮した支援を心掛けている。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:b】

「安全衛生点検表」を用いて設備環境面の自主点検を定期的に実施している。フロアごとに施設内各所の整理整頓、危険な段差や滑りやすい所、照明・換気・室温等をチェックし問題がないか点検し、快適な設備環境の保全に努めている。コロナ禍の中で窓の開閉やエアコンの不調には特に注意している。居室は、利用者の相性や特性に配慮し関係性を重視ししている。トラブルや要望に対しては迅速に対応をし部屋替えを行っている。また、パーテーションや私物の施錠等を工夫しプライバシーの保護に配慮している。
 前回の利用者満足度調査では、生活空間の清掃に関する満足度が60%台と低い結果であった。ハウスキーパーが食堂や廊下、トイレ等の共用フロアの清掃を行っているが、居室やトイレなど日常的に汚れがちな所についてはフロア担当職員の適宜対応等工夫の余地がある。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の高齢化が進む中で日中活動に毎日朝・昼の体操や散歩を取り入れるなど利用者が楽しみながら積極的に体を動かすように支援している。週2回訪問看護を受けている利用者は理学療法士と連携しベッド上の姿勢保持、拘縮予防のためのリハビリを行っている。また、訪問マッサージを受けている利用者は膝や腰の関節運動に重点を置いたリハビリを行っている。現状では身体機能を維持するためのリハビリ対象者は少数に限られているが、今後高齢化の中で利用者の脚力低下等身体能力の低下が進むことが考えられる。利用者が主体的に機能訓練・生活訓練が行えるように環境を整備し、医師・理学療法士等と連携し専門性を生かした機能訓練・生活訓練の推進が望まれる。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

年に2回春と秋に定期健康診断と嘱託医による内科検診を実施している。年1回定期歯科検診を実施している。また、毎月隔週水曜日に嘱託医が往診しカンファレンスを実施している。精神科は毎月受診し報告相談している。年4回季節ごとに衛生健康委員会が利用者健康相談を実施し、皮膚病や食中毒、アレルギー等の相談に応じている。毎日朝・夕検温・血圧測定を実施し、また、バイタル表に水分や食事量、排尿、排便の状況を記録している。看護師が毎朝巡回し利用者の体調を確認している。衛生健康委員会、安全衛生委員会を開催し法人全体のコロナ対策等について話し合い、感染予防対策を明示したポスター等を掲示し感染予防の注意を喚起している。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:b】

医師の指示のもとに現在バルーンカテーテルや喘息治療薬の吸入、糖尿病のインスリン注射などの医療的ケアを行っている利用者がいる。常勤の看護師2名を配置し、「医務マニュアル」「常勤看護師の業務の流れと役割分担」を作成し、医療的ケアを必要とする利用者への適切な支援に努めている。また、服薬の「業務手順書:与薬」を作成し、翌日分の朝・昼・夕の処方箋との確認、配薬時の薬袋と氏名のチェック、与薬時の注意事項の確認、飲み終わったあとの空袋チェック等を行い誤薬と飲みこぼし防止対策を徹底している。医療的ケアを要する利用者ごとに巡回時の注意事項を明記した資料作成し職員間の支援の統一性を図っている。また、夜間緊急時対応マニュアルを作成し救急車の手配等現場の職員の行動を明示している。現在日中は看護師2名が常駐しているが、今後利用者の高齢化・重度化の状況が想定されることから、医療的支援に関する職員研修や医療的ケアの夜間の支援体制を含めた対策の推進が期待される。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

現在コロナ禍でイベントを取り止めることも多いが、通常日中活動の一環として利用者への社会参加を目的とした各種支援を行っている。地域の盆踊り大会や地区の運動会や公民館祭り、敬老会などの地域イベントに参加している。また、外出サービス事業者と契約し、毎月自身の希望するところに外出を楽しむ利用者がいる。地域のコンビニエンスストアが毎月2回訪問販売のために施設を訪問している。利用者は地域住民の1人としての思い思いの買い物を楽しんでいる。しかし、利用者の意欲低下もあり社会参加の機会は極めて限られている。利用者が社会活動に参加するための広報誌など自由に閲覧できる工夫がされているとはいえない。利用者の社会参加や学習の意欲を高める対策の工夫が期待される。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:c】

すぎなの郷は主に高齢者・病弱者を対象にした入所施設であり、利用者の地域移行を積極的に推進している状況ではないが、近年入所した利用者の中には、今後地域移行の可能性がある人もでてきている。法人の取り組みとして、利用者のライフステージにおけるケアを理念に掲げておりその実現に向けて今年度日中サービス支援型のグループホームを開設している。今年度は男性向けのホームを開設し、来年度は女性向けのホームを開設する予定である。現状は地域移行の支援は進んでおらず、今後は地域移行について可能性のある利用者の支援の強化が期待される。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

入所している利用者家族に年4回の定期通信と「すぎなの郷だより」を配付し、コロナウイルスの対策の注意を呼びかけるとともに利用者の生活の様子や連絡事項、行事に参加している本人の写真、医療に関する情報等を連絡し家族等とのコミュニケーションを図っている。家族会会員、理事長、施設長が参加し年5回三者例会を開催し、また、年3回家族懇談会を開催し、施設運営に関する家族の理解と家族からの施設運営に関する要望・意見の把握に努めている。また、高齢化が進む家族のレスパイトに関する相談に応じている。コロナ禍のなかで家族懇談会は滞りがちであるが、リモート面会等工夫し家族の要望に対応している。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外