神奈川県立子ども自立支援センターきらり 第二課 ひばり
第三者評価機関名 | 特定非営利活動法人よこはま地域福祉研究センター |
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名称 | 神奈川県立子ども自立支援センターきらり 第二課 ひばり | 評価対象サービス | 2022~ 障害者・児福祉サービス版 |
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対象分野 | 障害児入所施設(福祉型) | 定員 | 42 名 |
所在地 | 259-1213 平塚市片岡991-1 |
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TEL | 0463-56-0303 | ホームページ | https://pref.kanagawa.jp/docs/g2n/ |
【施設・事業所の概要】 | |||
開設年月日 | 2017年04月01日 | ||
経営法人・設置主体(法人名等) | 神奈川県 | ||
職員数 |
常勤職員:64 名
非常勤職員:17 名
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専門職員 |
医師:2 名
看護師:5 名
栄養士:1 名
支援員:62 名
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施設・設備の概要 |
居室数:個室 42室
設備等:食堂5室、浴室5室、宿直室3室など
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<基本理念> (1)子どもを権利の主体者と捉え、その権利を擁護することを基本に、次のことを大切にします。 (2)温かい生活を提供し、子どもの生きる力とつながる力を育みます。 (3)一人ひとりの子どもに寄り添い、最善の利益を優先した支援を行います。 (4)施設の専門機能を生かして地域に貢献します。 <基本方針> (1)心理・医療等の専門的ケアの提供 保育看護・療育・治療等の支援を必要とする子どもに対して、その発達段階や障害特性などの課題に応じて、県立施設として心理・医療等の専門的なケアを行います。 (2)心身の健やかな成長と発達等の支援 子どもの人権を擁護し、その主体的な意思決定に配慮して、心身の健やかな成長と発達、自立と社会参加を目指した支援を行います。 (3)3つの施設の特色を生かした一体的運営 乳児院・福祉型障害児入所施設・児童心理治療施設の複合型施設として、それぞれの特色を生かした一体的な運営を展開します。 (4)多職種連携による支援体制の確立 豊かな人間性と専門性を持ち、常に支援の質の向上を目指す職種を超えた連携による支援体制を確立します。 (5)支援のネットワークの拠点としての働き 関係機関との連携を密にし、支援を必要とする子どもへの支援のネットワークの中で拠点としての役割を担います。 (6)地域に根ざした施設づくり 地域との交流を進めるとともに、関係機関への後方支援や人材育成を行い、地域に根ざした施設づくりを進めます。 |
神奈川県立子ども自立生活支援センター「きらり」は、乳児院「みらい」と福祉型障害児入所施設「ひばり」児童心理治療施設「ぎんが」の3つを一体的に運営する複合施設です。 施設の前身は、児童養護施設・乳児院「中里学園(昭和21年開設)」と障害児入所施設「ひばりが丘学園(昭和24年)」で、知的発達の障害や家庭・家族の問題、医療・心理的ケアなど 様々な課題を抱える子どもに対し、より専門的で総合的な支援を行うことを目的に、従来機能を統合・強化して2017年4月に開設されました。施設名の「きらり」は、「子どもたち一人ひとりがきらきらと輝き、個性豊かに成長できるよう、寄り添い支援する」ことがその所以となっています。組織体制は、子ども第一課(乳児院)、子ども第二課(障害児施設)、子ども第三課(児童心理治療施設)のほか、心理職やソーシャルワーカー等の専門職が各課をバックアップする自立支援課、子どもの診療を行う医務課、管理課の6部門で構成されています。県下の福祉行政の一翼を担う県立施設として、医療的ケア児や強度行動障害のほか、新型コロナ感染症により保護が必要な事例など、一般施設では対応困難なケースであっても、高度な専門性と長年の蓄積ノウハウを活かし、積極的な受け入れを行っています。 福祉型障害児入所施設「ひばり」では、措置及び入所契約に基づき、幼児から18歳までの知的障害のある子どもや、知的障害を伴う発達障害のある子どもを対象に、自立した日常生活を送るための様々な支援を行っています。入所する子どもは、地域の小中学校の特別支援学級や特別支援学校(養護学校)に通学しています。建物は3階建てで、フロアごとの定員は14名となっています。1階は主に男児を対象とした14名×1ユニットの「つばめ」、2階は男児中心の7名×2ユニットの「かわせみ」と「かもめ」、3階は女児中心の7名×2ユニットの「つぐみ」「めじろ」の合計5ユニットで構成され、2022年4月現在、7歳から17歳の子どもが入所生活を送っています。また、一時保護のほかに短期入所も併設し、児童相談所や児童発達支援事業所等の関係機関と連携しながら、地域で暮らす子どもたちの受け入れを行い、各々が安定した在宅生活を送ることができるよう、サポートを行っています。 |
評価実施期間 | 2022/07/29(契約日) ~2023/02/28(評価結果確定日) |
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受審回数(前回の受審時期) | 2 回(2020年度) |
特長や今後期待される点 | 【特長】 ◆センター全体が一丸となり、子どもの意向尊重と権利擁護の推進に取り組んでいます センターでは、「子どもを権利の主体者と捉え、その権利を擁護する」ことを基本理念に掲げ、子どもの権利擁護の推進とともに、子どもが各々の権利を正しく理解し、自尊心や自己肯定感を高めることで、地域で自分らしく自立した生活を送ることができるよう支援しています。「人権擁護委員会」を設置し、子どもの権利擁護を組織的に検討する体制を整備するほか、年間運営計画の重点目標の一つに「人権意識と支援スキルの向上」を掲げ、人権研修の実施や第三者委員の積極的な活用を実施しています。また、オンブズパーソンの導入や、実習生に対する「子どもへの対応に関する聴き取り調査」の実施など、第三者の視点を積極的に取り入れ、権利擁護の浸透・定着を図る取り組みも行っています。職員に対しては、施設独自の倫理綱領を策定し、意識付けと実践を促すとともに、全職員を対象に毎月定例で「日常点検チェック」を実施して、権利侵害防止のための振り返りを行う機会を設けています。 子どもに対しても、フロアごとの話し合いや子ども会等を通じて、各々の尊厳や権利が守られることや意見を自由に表明できること等を丁寧に説明しています。年に一度「人権集会」を開催し、職員と子どもが一緒に人権や権利擁護について話し合うほか、子どもから直接意見を聴取して意向を確認する「安全ヒアリング」の取り組みなど、子ども・職員が一体となり、権利擁護の意識浸透・実践に尽力しています。そのほか、他者交流が苦手な子どもは居室で食事を摂ることを認めるなど、一人ひとりの個性を尊重し、可能な限り自由な環境で生活できるよう配慮しています。 ◆行動障害のある子どもの積極的な受け入れと同時に、「身体拘束ゼロ」に向けた取り組みを推進しています 「ひばり」では、激しい行動障害があり、一般の施設では対応が難しいケースの受け入れを積極的に推進するとともに、「身体拘束ゼロへの挑戦」を運営目標に明示して、身体拘束の縮減と解消にも注力しています。やむを得ず身体拘束を実施する際は、身体拘束取扱要領に基づき、身体拘束適正化検討委員会を開催して実施可否を審議するとともに、県担当課への届出・報告手順等も明確化するなど、組織全体で対応の統一化を図っています。また、センター独自に「身体拘束Q&A事例集」を編纂し、適正な身体拘束のあり方を全職員に周知するとともに、行動制限の最小化に向け、身体拘束取扱要領を定期的に見直すなどの取り組みも行っています。 子どもの支援にあたっては、保護者等や関係機関からの聴取内容や、日頃の関わりや観察の結果などを踏まえたアセスメントに基づき、複数の専門職が参加して支援担当者会議を開催し、要因分析と対策を協議して各々に適した支援方法を模索するとともに、実践を積み重ねて支援の定着化を図るなど、身体拘束等の行動制限を極力廃し、子どもに適した支援を実践するための取り組みに尽力しています。 ◆子どもの自立と地域生活への移行に向け、地域交流の促進と社会体験の機会を多数設定しています 「ひばり」では、センターの基本方針「地域に根ざした施設づくり」の下、子どもの健やかな成長と自立した地域生活の実現を目指して、地域交流や社会体験の機会を数多く設定しています。自立支援課を中心に「きらり☆地域~まち~とつながるプロジェクト」を立ち上げ、地域住民が運営するNPO法人「金目エコミュージアム」と連携し、桜の塩漬けや梅シロップ作り、焼き芋など様々な体験イベントを企画するとともに、地元農家の協力による柿もぎなどの収穫体験、地域の「まちぐるみ清掃」への参加も行っています。地域住民や福祉系大学の学生による通学ボランティアをはじめ、地域の理髪店による散髪ボランティア、歌唱サークルによる「うたのしみ会」など、様々なボランティアとの交流機会も随時設定しています。また、地域の商店が毎月1回来訪し施設内で開催する「出張駄菓子屋」の企画は、子どもにとって大きな楽しみの一つとなっています。子どもの趣味活動に対しても、魚釣りや博物館の観覧等の外出に職員が随時付き添い、充実した余暇を過ごせるようサポートしています。外出の際は、公共交通機関や金融機関のATM操作を説明するほか、近隣店舗等に予め協力を依頼し、現金での買い物や障害手帳を活用した費用減免の手続きなど、子どもが社会経験を積み、生活スキルを高めるとともに、実生活に応用できる体験機会も随時設定しています。 【今後期待される点】 ◆プライバシー保護のあり方を具体化し、職員間で認識の統一化を図る取り組みが期待されます 「ひばり」では、旧「県立ひばりが丘学園」から移行した経緯を踏まえ、豊富なノウハウの蓄積に基づく柔軟な支援を実施するとともに、各種業務マニュアルやフロア・ユニットごとの手順書も整備して、職員間で共有し活用しています。 一方、各マニュアルに子どものプライバシーへの配慮に関する記載がなく、職員ごとの認識や対応に差異が生じています。センターの基本理念の一つである「一人ひとりの子どもに寄り添い、最善の利益を優先した支援」の実践に向け、子どものプライバシー保護に関する配慮事項をより明確化し、職員間の認識統一化を図る取り組みが期待されます。 ◆「子どもの自立を一体的に支援する複合施設」として、さらなるセンター内の連携推進と機能の共有化を図る取り組みが期待されます センターは、全国的にも希少な、乳児院と福祉型障害児入所施設、児童心理治療施設の3つを一体的に運営する複合施設として、「障害や年齢に応じた専門的で切れ目のない支援」の実践を目指した、様々な取り組みを行っています。また、神奈川県の児童福祉推進の一端をなす公立施設として、関係機関との連携及び地域との交流推進、児童・障害児福祉の普及啓発と情報発信、防災機能の提供など、他施設の鏡鑑となる事業展開を進めています。 一方、各施設それぞれの子どもの特性の違いなどから、医療的対応や子どもの権利擁護、地域交流など、施設ごとの取り組み状況に相違が見られています。今後は、各施設間のさらなる連携強化と知識・技術等の共有化促進など、相乗効果を発揮して相互に機能を補完し、専門性向上を図る取り組みに期待します。 |
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当センターは、乳児院と障害児入所施設、児童心理治療施設を併設し、一体的に運営する複合型の施設です。開所からの5年間、(1)温かい生活を提供し、子どもの「生きる力」と「つながる力」を育みます、(2)一人ひとりの子どもに寄り添い、最善の利益を優先した支援を行います、(3)施設の専門機能を生かして地域に貢献します、この3つを基本理念に施設を運営してまいりました。 第三者評価の受審は、これまでの取組みを振り返る貴重な機会となりました。ご指摘いただいた点については、しっかりと受け止め、今後の施設運営に活かしていきたいと考えております。 福祉型障害児入所施設については、県立施設として、被虐待や強度行動障害などにより、地域で生活や支援が難しい子どもたちを積極的に受け入れると同時に、「身体拘束ゼロ」に向けた取り組みを推進していること、子どもの自立と地域生活への移行に向け、地域交流の促進と社会体験の機会を多数設定していることなどを評価していただき、大変嬉しく思っております。子どものプライバシー保護に関する配慮事項をより明確化し、職員間の認識統 一化を図る取り組みなど、今回ご助言いただいたことについては、今後、施設内で検討し、さらに取り組みを進めてまいります。 |
詳細評価PDF |
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評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。 |
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【第三者評価結果:b】 子ども自立生活支援センターの基本理念は、子どもの権利擁護や支援の特性等を踏まえ、目指す方向が明確で職員の行動規範となる内容となっています。理念及び基本方針は、年間運営計画書の冒頭に掲載して年度初めに全職員に説明し、新任職員や転入職員の研修でも説明を行っています。また、「年間運営計画のまとめ」を通じて、前年度の運営状況が理念・方針に沿ったものであったかを振り返り、毎年4月に文書にまとめています。理念や基本方針はホームページにも掲載しています。なお、パンフレットに記載したセンターの理念・方針は、より親しみやすい表現に配慮して記述していますが、理念・方針がやや不明確であることから、より明確な周知と理解浸透に向けた工夫が期待されます。そのほか、各フロアの職員執務室に理念・方針を掲示していますが、玄関ロビーや会議室等には掲示していないほか、子どもや保護者に対し理念・基本方針を説明する文書は用意していません。 |
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。 |
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【第三者評価結果:a】 経営環境の変化や社会福祉事業の動向について、県の「障がい福祉計画」及び平塚市の「障がい福祉計画」により、事業を取り巻く環境を把握しています。「障がい福祉計画」の策定には、当施設を含め、児童相談所など関係機関が情報を提供し、国の施策や人口動態などを踏まえて担当部署が分析し総合して策定しています。経営環境の変化等について、毎月児童相談所が発行する「知的障害児及び知的障害児入所施設の状況」などから児童相談所のニーズや取り巻く状況について把握しています。県立の施設であることから運営コストについては、県へ必要予算を申請し、裁可された範囲で執行しています。 |
【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。 |
【第三者評価結果:b】 「子ども第2課・ひばり」として福祉型障害児入所部門を担い、設立から5年が経過し、入所率はほぼ定員を満たしています。センターの経営状況の改善等の課題は、運営会議や支援検討会議で共有し、協議して取組みを進めています。センター内に各種委員会を発足し、各課から委員を選出して協議を行うとともに、各課へ協議内容や検討結果を周知し共有する仕組みがあります。現在、施設として「事故のない安全な環境の提供」「身体拘束ゼロへの挑戦」「長期入所利用児の安心感のある生活の保障と短期・一時保護のニーズ」「性の課題を持つ利用児への対応」を改善課題に掲げるとともに、地域移行に向けた関係機関と協同した支援を進めています。 |
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。 |
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【第三者評価結果:b】 障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号。以下「障害者総合支援法」という。)第89条第1項の規定に基づく障害福祉計画及び児童福祉法(昭和22年法律第164号)第33条の22第1項の規定に基づく障害児府k水計画を一体として策定された「神奈川県障がい福祉計画」に沿った事業運営を行っています。3施設の一体的運営を通じて、専門性を活かした取り組みを行っていますが、施設独自の中長期的な課題や位置づけは明確化していません。 |
【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。 |
【第三者評価結果:b】 年度事業計画書として「年間運営計画」を策定し、冒頭に基本理念と基本方針を掲げるとともに、当該年度の重点的課題として「人権に配慮した支援の実践」と「地域とともに歩む施設の実現」を明文化し、重点目標と具体的取り組みを列記しています。また、施設の現状と課題として、「事故のない安全な環境」「身体拘束ゼロへの挑戦」「長期入所利用児の安心感のある生活の保障と短期・一時保護のニーズ」「性の課題を持つ利用児への対応」を柱に、各フロアの運営目標と具体な取り組みを明示しています。 |
【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。 |
【第三者評価結果:b】 年間運営計画に掲げた課題とその実践内容は、年度の事業報告書として「年間運営計画のまとめ」を策定し、各課の目標に基づく取り組み状況と月別実績、次年度に向けた課題等を整理して明示しています。年間運営計画と年間運営計画のまとめは、各課の会議や各種委員会で総括し、毎年4月に策定しています。「運営計画のまとめ」では、職員の自己評価結果に基づき、より障害の重い子どもの入所や短期・一時保護の受け入れ、支援が困難な子どもの対応のさらなる充実化等を課題と捉えています。なお、各委員会ごとの活動内容や成果についても、「年間運営計画」や「年間運営計画のまとめ」に明示することが期待されます。 |
【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。 |
【第三者評価結果:c】 センターの基本理念に「子どもを権利の主体者と捉え、その権利を擁護する」ことを明示するとともに、センター共通の重点目標として「子どもの意見を反映する機会の確保」を掲げています。一方で、年間運営計画の内容を子ども・保護者に説明・周知する取り組みは行っていません。センター理念及び重点目標を実践し、子どもや保護者等の意見を施設運営に適切に反映するために、年間運営計画等の主な内容を説明するとともに、意見や要望を聴取して事業運営に反映する仕組みの構築が望まれます。 |
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。 |
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【第三者評価結果:a】 毎年自己評価を実施するとともに、3年に1回、福祉サービスの第三者評価を受審しています。自己評価には福祉サービス第三者評価の評価項目を用い、リーダー層と一般職員でそれぞれ集計を行っています。また、項目ごとに「そう思う」「そう思わない」「分からない」の3つに分類して統計・分析を実施するほか、「特に良いと思う点」「特に改善したいと思う点」の2つを自由記述形式で募り、一覧表にまとめて明確化しています。自己評価及び第三者評価は、運営会議の下部組織として「クオリティーマネージメント委員会」を設置し、センター全体で改善に取り組んでいます。 |
【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。 |
【第三者評価結果:b】 前年度の自己評価は「子ども自立生活支援センター 自己評価実施結果報告」にまとめ、共有しています。結果については、前年度の自己評価や各課の結果を比較し、各課から寄せられた内容を集約・検討してセンター全体のコメントにまとめ、公表を行っています。施設の自己評価結果からは、障害者施設の運営について社会的な注目が集まっていることを受け、当事者目線を取り入れた支援の実践を挙げるなど、職員の意識も高くなっていると捉えています。第三者評価や自己評価の結果を受け、直ちに着手すべき事項については、運営会議や各委員会で検討し、改善に着手しています。一方、改善計画に基づく実施状況の評価や見直しの取り組みは今後の課題となっています。 |
評価対象Ⅱ 組織の運営管理
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。 |
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【第三者評価結果:a】 所長の服務は「県職員の職の設置等に関する規則」に定められています。規則に従って施設事務を掌握し、所属職員を指揮監督しています。年間運営計画に「重点目標」と「取り組み」を示し、職務分担表を策定して、不在時の代行を含め、施設の全職員の事務内容等を示し、運営体制組織図で、所長以下の組織、会議・委員会の位置付けを明確にしています。今年度発行の機関紙「きらり通信」の巻頭では、「全ての子どもがきらりとかがやけますように」と題し、自らの所信を表明しています。 |
【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 所長は県の職員服務規程にある「服務の原則」等にしたがって執務しています。また、関係する全国、県内の施設長会等が開催する各コンプライアンス研修に参加しています。毎月運営会議を招集して法令順守を含む施設全般について把握し、現状の課題と県立施設として求められている使命を伝えています。毎月「所長通信」を全職員にメール発信して、日頃感じていることや、幅広く培った知見を披露するなどしており、何を考え、想い、目指しているのか一般職にも理解してもらうことを目指しています。「所長通信」には職員からの返信や相談等も寄せられており、相互の意思疎通に努めています。 |
【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。 |
【第三者評価結果:a】 所長は日々業務日誌に目を通し、朝の打ち合わせや支援検討会議等で、養育・支援の現状を把握して助言しています。フロアリーダー以上の職員で毎月開催する支援検討会議や臨時支援検討会議にも参加し、客観的視点を取り入れた支援や新たな取り組み、困難事例への対応等について意見交換し、結果を各フロアの職員にも伝達して共有しています。センターの基本方針に障害児入所施設と児童心理治療施設、乳児院の3施設の特色を生かす一体的運営などを掲げ、部門間の情報の共有化に努めています。副所長、部長が行っている職員面接で把握した全職員の意見や実態を可能な限り運営に反映させています。「きらり研修計画」に基づき、職員の人権意識とスキルの向上を推進しています。 |
【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。 |
【第三者評価結果:b】 所長は、年間運営計画に各年度の重点目標とその具体的な取り組みを掲載し、職員会議等で説明、周知するほか、年度末に重点目標に沿って実施結果の振り返りを行い、次年度に向けた課題を「年間運営計画のまとめ」に総括して職員に説明し、組織全体で認識の共有化に努めています。管理職と職員とで対話シートを用い、年2回面談を実施するほか、目標管理面接を通じて職員評価を行い、専門職としての学びの方向性や生活の状況を把握して、個別に助言・指導を実施しています。所長は、面接結果などからセンター全体の業務上の課題を導き出し、改善に向けた取り組みを進めています。 |
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。 |
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【第三者評価結果:b】 神奈川県の福祉関係職員の人材育成について「保健福祉エキスパートナビ」を策定し、その目的を県民サービスの向上に向けたプロフェッショナル集団として、組織力の向上を進めることとしています。職員が毎年人事異動で大幅に入れ代わるため、障害児入所施設に特化した人材確保ではないことによる課題があります。一方で、人事異動により多様な経験と能力の持ち主が転入し、幅広い視野から支援に寄与しているとも言えます。さらに関係機関に転出した職員は施設の理解者となり協力、連携を深めることに寄与しています。異動による強みの側面にも着目した運営を目指しています。必要な人材は県総務室に要請し、非常勤職員には採用裁量権を持ち、民間の施設に比べて手厚い職員配置を行っています。一方で「保健福祉エキスパートナビ」には「子ども自立生活支援センターに関わる福祉職を中心とした人材育成については、引き続き検討していく」との記載もあります。 |
【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。 |
【第三者評価結果:a】 保健福祉エキスパートナビに県の「期待する職員像」として「高い専門性と使命感を持つ『プロフェショナル』職員」「自ら主体的に課題を発見し解決に向けて行動するチャレンジ精神にあふれた職員」を明示しています。また、施設では「豊かな人間性と専門性を持ち、常に支援の質の向上を目指す職種を超えた連携のできる人材」を掲げています。県として福祉人材の育成を、経験年数などから3期に分けています。すなわち人事異動により幅広い視野と経験を積む時期、エキスパートとして専門を深める時期、管理職への養成期へとステップアップする時期です。県の人事評価基準に基づいて人事考課を行っており、上長との面談などして評価し、本人に開示します。また、施設では職員一人ひとりが「対話シート」を作成し年2回、副所長や部長と面談を行い、自らの学びの方向を明らかにして研修等の支援を受けています。所長は、人事考課や対話シートの面接結果などから業務上の課題を導き出して改善に努めています。 |
【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。 |
【第三者評価結果:a】 労務管理に関する責任は統括責任者である所長が担っています。所長は副所長、部長による職員面接や課長による人事評価の面接等の報告を分析評価して職員の就労・生活状況を把握し、業務遂行上の課題に対応し、各種会議等を通じて就業状況を随時把握し、働きやすい職場作りに取り組んでいます。職員の心身の健康管理や福利厚生制度、休暇制度等は県の規定に従っています。今年度の重点目標に「公正・透明な職場づくりの推進」を掲げ、「センター全体の機能や方向性について職員一人ひとりが理解を深めるとともに、各セクションが抱える課題等を把握し、ともに解決に向けて取り組んでいくため、フロア及び施設間交流の充実・強化を図る」ことを明示し、委員会や研修などで部門間の垣根を越えた交流を進めています。また衛生委員会を毎月開催し、労働災害の原因及び再発防止や職場環境や健康の保持増進に取り組んでいます。 |
【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 県の「期待する職員像」は保健福祉エキスパートナビに示されている「高い専門性と使命感を持つ『プロフェショナル』職員」「自ら主体的に課題を発見し解決に向けて行動するチャレンジ精神にあふれた職員」です。また、施設の期待する職員像は「豊かな人間性と専門性を持ち、常に支援の質の向上を目指す職種を超えた連携のできる人材」ですが職員間で定着、深めていくことが課題です。専門職としての受容的対応力、ケア実践技術、支援計画策定、連携・調整力、リスクマネージメントなど求められる力は保健福祉エキスパートナビに示されており、幅広い分野の職員が施設に配置されています。課長は人事考課を通じて職員と上半期と下半期に最低1回は面接を行い、職員の設定した目標を確認し、助言をしています。さらに年2回、職員は副所長や部長と面談を行い、現状の課題や将来について話し合いをしていてます。 |
【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。 |
【第三者評価結果:b】 研修委員会が中心となり、子どもの支援の専門機関として機能するために、職員研修、公開専門研修などを行っています。職員研修は基礎研修、専門分野研修、公開研修、さらに年1回、各施設と自立支援課、医務課を含めた職員が参加する実践事例発表会を行っています。コロナ禍の対策で公開研修を一部中止して園内研修に振り替えてオンライン・アクセスにより開催するなど対応の工夫が見られました。また外部への派遣研修も中止またはオンライン研修が増えています。毎年度、年間運営計画に研修計画を明示し、年間運営計画のまとめには実施結果と成果、課題を記載しています。 |
【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。 |
【第三者評価結果:b】 人事考課面接等を通じて、専門資格の取得や研修派遣、他施設との交流など、職員が設定した目標達成に向けた助言・指導を行っています。現状は新型コロナウイルスや予算の関係もあり、外部研修は十分に派遣できていませんが、オンライン研修を取り入れるなど、より多くの職員が受講する機会を確保し、職員個々の意識やスキル向上に努めています。なお、個々の職員の障害児支援のスキル向上とともに、センターが目指す支援の方向性の認識共有化や各施設間の連携促進など、一体的な職員教育・育成に向けた体制の整備・充実化は今後の課題となっています。 |
【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。 |
【第三者評価結果:a】 「子ども自立生活支援センター実習生受け入れ要領」に基づいて、保育実習のほか専門里親の認定カリキュラムにある実習など、保育・福祉分野の実習を受け入れ、次代の福祉人材の育成に努めています。新型コロナ感染症により、実習受け入れを中止していたこともありましたが、依頼元の教育機関等と連携し、施設内感染の防止に十分配慮しつつ慎重に受け入れを進めています。2021年度は、センター全体で7校から10名・119日の受け入れ実績となっています。 |
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。 |
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【第三者評価結果:c】 県のホームページにセンターの紹介ページを設け、基本理念や方針、相談の仕方、アクセス方法等のほか、公開専門研修の開催案内を掲載しています。また、地域の福祉向上のための施設の取り組み状況は、年1回発行の機関紙「きらり通信」に掲載するなどして周知に努めています。一方、各施設の機能や年度事業計画及び事業報告、予算・決算等の情報は公開していないほか、苦情・相談の体制や内容についても公表していません。今後は、独自にホームページを立ち上げる等の発信力の強化とともに、3施設の専門機能をはじめ、センター全体で推進する地域交流や災害対策等の取り組みを掲載するなど、積極的な情報発信の取り組みが期待されます。さらに、地域向けの案内文書等にセンター理念や基本方針、事業内容、ビジョン等を明示してセンターの存在意義を広く周知するなど、センターが有する機能を分かりやすく伝えるための工夫が望まれます。 |
【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。 |
【第三者評価結果:a】 センターの事務、経理、取引等に関するルールは県の規程に従って遂行しています。また、職務分掌と権限・責任についても県の規程に準じながら所長の策定した事務分担表で具体的に示されており、職員等に周知しています。県の施設として毎年、内部監査、外部監査を受けており公正かつ透明性の高い組織となっています。監査の指摘事項については、着実に経営改善を行っています。 |
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。 |
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【第三者評価結果:a】 基本方針に「地域に根ざした地域づくり」を掲げ、自立支援課を中心に「きらり☆地域~まち~とつながるプロジェクト」を立ち上げ地域との関係づくりに力を入れています。地域住民によるNPO法人「金目エコミュージアム」と連携した芋ほりや焼き芋、梅シロップ作りなどの交流行事を定期的に行っています。子どもたちは地域の学校に通っていて、学校行事などで地域と交流しています。徒歩通学している子どももいます。フロアの外出行事や担当との誕生日外出、個々の好みに合わせたスポーツ観戦や釣り、買い物、外食などの個別外出を行っています。外出時には公共交通機関に切符を買って乗車する経験をするなどしています。施設では、子どもたちが社会経験を積める機会をさらに広げていきたいと考え、社会資源の情報を収集に意欲的に取り組んでいます。 |
【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。 |
【第三者評価結果:b】 「きらり☆地域~まち~とつながるプロジェクト」にボランティア受け入れの基本姿勢を明記し、マニュアル「ボランティアに関する要綱」を作成し、衣服の補修、通学、外出、理容などのボランティアを受け入れています。地域の商店による「出張駄菓子屋」は子どもたちの楽しみとなっています。ボランティア登録時には施設の役割や配慮事項等を説明し同意書を得ています。年1回ボランティア懇談会を開催して意見交換していて、現在30団体ほどが登録しています。学校教育への協力としては、高校生のインターンシップを受け入れていますが、今後は受け入れの基本姿勢を記載した文書を作成していくことが期待されます。 |
【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。 |
【第三者評価結果:a】 関係機関連絡先一覧があり、職員間で共有しています。職員は、児童相談所課長会議・所長会議、自立支援協議会会議、知的障害児施設協議会等の各種会議などに参加し、連携しています。子どもたちが通学している学校とも密に情報交換し、連携しています。ケースに応じて、児童相談所や市町村が開催するネットワークミーティングに参加し、退所後の地域の学校や放課後等デイサービスなど関係機関や移行先の施設と連携し、アフターケアに努めています。また、退所後必要となる地域の社会資源を調査し、地域で子どもを見守るネットワークづくりに取り組んでいます。 |
【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。 |
【第三者評価結果:a】 知的障害福祉協会、児童相談所課長会議・所長会議などの関係機関との各種会議に出席し、地域の福祉に関する課題やニーズを把握しています。地域の情報等は、子どもたちが通学している学校とのやり取りや所属している2つの自治会の広報誌や会合、ボランティア連絡会などから把握するように努めています。 |
【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。 |
【第三者評価結果:b】 県立施設として、県所管全体の課題に対応し、他施設では対応が困難なケースを受け入れています。県域を対象に登録制で短期入所事業も実施しています。子どもたちと職員は、平塚市の「まちぐるみ大清掃」に参加して通学路を清掃しています。また、地域の団体に向けてグラウンド、体育館等の貸し出しをしています。地域の支援者等を対象に公開研修を実施し、専門的な支援に関する情報を発信しています。コロナ禍のため、オンラインでの研修を企画するなど工夫しています。外部の研修への講師派遣もしています。非常時には、地域住民の緊急時避難場所として体育館を提供する協定を平塚市と交わしていて受け入れ実績もあります。福祉にとどまらない地域の課題解決に向けて連携して取り組むまでには至っておらず、施設としても課題ととらえています。 |
評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。 |
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【第三者評価結果:a】 基本理念に「子どもを権利の主体者と捉え、その権利を擁護すること」を掲げ、運営計画に明記しています。センターとしての倫理綱領があり、職員に周知しています。毎年、人権擁護委員会による人権擁護についての研修を実施しています。職員は毎月「日常点検チェックリスト」を用いて支援の振り返りをし、結果を各施設で集計し、センター全体の管理職による運営会議で検討しています。フロア会議でも倫理綱領の読み合わせをし、指導方法や言葉かけ、記録など具体的な事例をあげて振り返りをしています。 |
【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。 |
【第三者評価結果:b】 倫理綱領にプライバシー保護の姿勢が明記されています。フロアは男女別になっていて、居室は個室で、2階と3階は中からカギをかけることができます。入浴は一人ずつ入浴し、集団が苦手な子どもは希望により居室で食事することもできます。介助は同性介助を徹底しています。思春期の問題や入浴方法などケースに応じて、フロア会議で子どものプライバシーや羞恥心について話し合っていますが、支援のマニュアルに反映するなどはしていないので、今後は記載していくことが期待されます。子どもには、入所時にプライバシーの保護について説明しています。 |
【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。 |
【第三者評価結果:a】 ホームページ、パンフレットでセンターの情報を提供しています。ホームページには、施設の特色や日課、余暇、各フロアの様子が写真とともに掲載されています。短期入所の利用希望者には、自立支援課が相談に応じ、施設の説明をして見学してもらっています。入所の決定は児童相談所が行っていますが、利用前には本人と保護者に見学してもらっています。子どもの個性やケースに応じて、体験入所や保護者面談を実施しています。ホームページ、パンフレットは適宜見直しています。 |
【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。 |
【第三者評価結果:b】 利用開始時には、重要事項説明書を用いて施設の概要や支援内容、費用などについて子どもと保護者に説明し、同意を得ています。保護者からは「適切な医療行為を受けるにあたっての同意書」と「個人情報に関する同意書」も得ています。子どもに対する説明資料は作成していませんが、施設内を案内したり、実物を見せたりなどの工夫をし、年齢や障害特性に応じた分かりやすい説明を口頭でしています。今後は子ども向けの資料も作成していくことが期待されます。サービスの変更時にもその都度説明し、同意を得ています。 |
【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。 |
【第三者評価結果:b】 グループホームなど他施設への移行にあたっては、子どもの意向を確認しながら情報提供や見学などを行い、本人にとって最善の場所へ移行できるように支援しています。保護者へは子どもの意向を伝えて共有し、意向を確認しています。移行の際には引き継ぎをし、移行後も職員からの問い合わせに応えたり、子どもと面会して相談にのったりなどのアフターケアをしています。家庭復帰の際には、学校や放課後デイなどの地域の主な関係機関と引き継ぎをする機会を作っています。困ったことがあった時にはフロアに連絡するように口頭で伝えていますが、相談方法や担当者を記載した文書などの作成は今後の課題となっています。 |
【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 職員は、日々の子どもとの関わりの中で、子どもの言葉や表情、反応などを観察し、子どもの満足度を把握しています。担当職員による個別タイムでも子どもの思いを聞き取り、満足度を把握しています。また、年2回、聞き取りによる利用者アンケートを行っています。各フロア子ども会を開催し、生活上のルールや行事の内容などを決めていて、話し合いを通して子どもの意向や要望、困っていることなどを把握しています。把握した意見や要望はフロアで話し合い、改善につなげています。 |
【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。 |
【第三者評価結果:b】 苦情解決責任者は所長、苦情受付担当者は管理課長と自立支援課長で、第三者委員2名を定めています。苦情解決の仕組みを玄関に掲示しています。入所時に重要事項説明書を保護者に配布し、保護者と子どもに口頭で説明しています。子ども向けの文書は今後作成していく予定です。フロアの入り口に意見箱を設置するとともに、年2回の利用者アンケートを聞き取りで実施しています。把握した意見や要望は記録し、職員間で検討しています。個別の問題については本人にフィードバックしています。全体に関わることについては子ども会で説明するなどしていますが、公表するまでには至っていません。 |
【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。 |
【第三者評価結果:b】 第三者委員2名を定め玄関に写真と氏名を掲示し、紹介しています。担当やフロアリーダー、オンブスパーソン、意見箱など意見を申し出る場を複数用意しています。意見箱を見せたり、権利ノートを用いたりして分かりやすく説明していますが、説明文書などは作成していません。意見箱は各フロア入り口に設置し、フロア職員でなく自立支援課長が回収し、回収後には回収した日付を掲示するなど工夫しています。また、オンブスパーソンが年6回訪問し、希望する子どもと面談しています。相談室を設置し、保護者との面接に用いています。 |
【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。 |
【第三者評価結果:a】 苦情解決要綱を整備し、定期的に見直しています。各フロアに意見箱を設置するとともに、フロアの子ども会で、子どもの意見や要望を聞いています。子どもから相談を受けた職員は、記録し、フロア会議等で対応について話し合い、質の向上に生かしています。具体例として、子どもの声を反映し着任式の新任職員紹介で子どもが自分と関わる職員が分かるよう説明方法の見直しを行った事例のほか、リクエストメニューの導入や駄菓子屋さんに要望を伝えるための意見箱を設置した事例などがあります。 |
【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。 |
【第三者評価結果:a】 事故及びヒヤリハット発生時の把握と対応、事故再発防止に向けた取り組みについて記載した「事故・ヒヤリハット対応要綱」があり、定期的に見直しています。リスクマネジメントの責任者は所長です。事故やヒヤリハットは報告書に記録し、各フロアリーダーによる毎月のリスク検討委員会で集計・分析し、具体的な事例検討や要因分析をし、再発防止策を検討しています。検討結果は、全職員に周知しています。事故報告書、ヒヤリハット報告書はパソコン上に保管されていて、職員間で共有しています。また、研修委員会による救命救急法などの研修も実施しています。 |
【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 感染症対策の責任者は所長で、医務課が中心となり、連携して取り組んでいます。感染症対応マニュアルを整備し、各フロアに置き、職員に周知しています。マニュアルは、ガイドラインの改正時など必要に応じて見直しています。新型コロナウィルス感染症については、県の方針に沿って危機対策会議で対応を検討・決定し、職員に周知しました。職員に対しては、医務課による手洗い指導、感染症予防などの研修を実施しています。感染症が発症した場合は、罹患した子どもの隔離やエリア分けのほか、感染リスクの高い子どもを逆隔離するなど、様々な対策を実施しています。 |
【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。 |
【第三者評価結果:a】 災害時の対応や消防計画、非常食の取り扱いなどが記載された防災マニュアルを整備し、職員に周囲しています。事業継続計画(BCP)も作成しています。緊急時に備え、緊急参集者名簿や緊急連絡系統図を整備しています。子どもの通う学校とは緊急メールで連絡が取れる体制を築いています。毎月、夜間や通学路、学校にいる時、休みの時など様々な想定をした避難・消火訓練をしています。非常食と備品の備蓄リストを作成し、管理課と管理栄養士が管理しています。防犯訓練や所在不明等を想定した緊急時対応訓練も行っています。 |
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。 |
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【第三者評価結果:b】 文書の作成方法や事務手続きなどは、業務マニュアル「2課の仕事」にまとめ、職員に周知しています。倫理綱領に人権尊重についての姿勢を明記しています。早番や遅番の仕事、日課、登校時や服薬、食事、医療など支援の場面ごとの手順書や注意事項などは、各フロアやユニットごとに作成して掲示し、職員間で共有しています。新任職員に対してはOJTの中で伝えています。嘔吐処理など衛生面、安全面については、フロア会議で読み合わせをし、確認しています。一方、業務マニュアルに人権への配慮やプライバシー保護の姿勢を明示するまでには至っていません。 |
【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。 |
【第三者評価結果:b】 業務マニュアルは不都合があった場合などに随時見直しをしていますが、標準的な実施方法の検証・見直しに関する時期やその方法などを定めた仕組みはありません。支援の手順書などは、子どもの状況に変化があった時やヒヤリハット事例など、必要に応じてフロア会議で検証し、見直しています。また、個別支援計画の見直し時にも検証・見直しをしています。検証・見直しにあたっては、子ども会や意見箱などで把握した子どもの意見も反映しています。 |
【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。 |
【第三者評価結果:b】 児童発達支援管理責任者を設置し、業務マニュアルに基づき個別支援計画を作成しています。入所後1か月以内に児童相談所からの情報を基に暫定的な計画を作成し、入所後3か月後に、担当職員がモニタリングをして、アセスメント票を用いてアセスメントをし、計画案を作成しています。それを基に課長やフロアリーダーによるミニカンファレンスで個別支援計画を策定し、フロア会議で共有しています。計画の策定にあたっては、心理職や作業療法士などの専門職の意見も反映していますが、様々な職種との検討をさらに深めていきたいと考えています。支援困難ケースについては、管理職による支援検討会議でケース検討し、計画策定に反映しています。 |
【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。 |
【第三者評価結果:a】 個別支援計画は6か月ごとにモニタリングをし、必要に応じて見直しをしています。計画は、ミニカンファレンスやフロア会議で職員間で検討し、評価、見直しをしています。担当職員が子どもと話し合って目標を設定し、支援計画の中に一つは組み込むようにしています。策定後には子どもに分かりやすく説明し、同意を得ています。保護者の意向は事前に確認し、計画を交付して署名を得ています。子どもの状況に変化があった時には、随時フロア会議で話し合い、計画の見直しをしています。計画の評価・見直しにあたっては、必要に応じてユニットの入れ替えなどの環境の見直しをしたり、手順書の見直しをしたりするなどしています。 |
【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。 |
【第三者評価結果:a】 子どもの記録は、アセスメント票、個別支援計画、モニタリング票、ケース記録などに記録して個人別にファイルし、回覧をして職員間で共有しています。その日の支援の様子はフロア日誌に記録しています。課長による記録の書き方の研修を実施し、第三者が読んでもわかるものとなるように指導しています。子どもの情報は、毎日の申し送りや月1回の課会議、フロア会議で共有しています。個別支援計画などは施設のサーバー、会議録や事故・ヒヤリハット記録などはセンターのサーバーで共有しています。 |
【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。 |
【第三者評価結果:a】 個人情報の保管、情報の提供、開示、不適正な利用や漏洩時の対応などについて定めた県の個人情報保護条例があります。記録管理の責任者は所長で管理課長が文書取扱主任となっています。職員に対しては入職時に周知するとともに、折に触れて会議等で取り上げ、注意喚起しています。個人情報に関わる書類は施錠できる棚に保管し、パソコンはアクセス制限がかけられています。子どもと保護者には入所時に説明し、同意書を得ています。 |
評価結果内容評価
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。 |
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【第三者評価結果:a】 「神奈川県立こども自立生活支援センター職員倫理綱領」を策定し、人権や自己決定の尊重、生活空間及び教育、社会参加の保障など権利擁護の指針を明確化しています。また、苦情対応や職員の意識のあり方についても明文化し、全職員の周知徹底と理解浸透に努めています。子どもの支援にあたっては、アセスメントを通じて子どもの特性や個々の意向の把握に努めるほか、子どもの趣味趣向から長所に着目し、個性や特長を伸ばす関わりを行っています。絵画や創作等の活動をはじめ、鉄道や魚釣りなど個人の趣味活動を尊重するほか、通学先の校則の範囲内で、保護者の意向も尊重しながら衣服や髪型の自由を認めています。日常会話や面談等で個別に生活のあり方を話し合い、フロアごとに子ども会を開催して、子ども同士でルールを話し合う機会も設けています。職員は、日常場面を通じてお互いの苦手なこと・嫌なことなどを話し合い、交流を通じて相互理解を深め、支え合う関係性を構築できるよう働きかけを行っています。個別支援計画にも子どもの意見を取り入れ、支援目標に位置付けています。全職員を対象に「自己点検チェックリスト」を用いて毎月定期的に自身の行動を振り返る体制を構築し、組織全体で権利擁護の意識醸成に努めています。 |
【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。 |
【第三者評価結果:a】 「子どもを権利の主体者と捉え、その権利を擁護すること」を基本理念に掲げ、センター全体で権利擁護を推進しています。職員の倫理綱領を策定し全職員に周知するほか、人権擁護委員会を設置して、子どもの権利擁護と虐待防止に向けた取り組みを行っています。子ども全員が参加する「人権集会」を毎年開催するとともに、子ども会やフロア・ユニットごとの話し合いの機会等を通じて、権利の保障と意思の尊重について分かりやすく説明しています。虐待防止マニュアルに基づき、虐待の定義や防止に向けた支援体制、環境整備等について職員教育を行うほか、全職員を対象に「日常点検チェック」を毎月実施して、相互に確認する体制を整備しています。身体拘束を行う際は、身体拘束適正化検討委員会を開催して実施可否を審議するとともに、身体拘束取扱要領に基づき適正かつ最小限とし、県担当課への届出・報告手順等も明確化するなど、組織全体で対応を統一化しています。なお、2021年度の「身体拘束Q&A事例集」の策定を機に身体拘束取扱要領の見直しを行い、今後さらなる適正な運用を目指すこととしています。 |
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。 |
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【第三者評価結果:a】 子どもの年齢や成長過程に合わせて、基本的な生活習慣の獲得を促すとともに、掃除や片づけ、整理整頓など身辺の自己管理が出来るよう支援しています。また、施設の集団生活を通じて、社会性や協調性を身に付け、地域や学校生活に適応できるよう支援しています。釣りやスポーツ観戦など、利用者の趣味活動に職員が同伴して外出し、併せて公共交通機関の利用方法や金融機関のATMの操作を説明するなど、子どもが社会経験を積み、生活スキルを高めることが出来るよう支援しています。お金の管理方法も、子どもの学齢等に合わせて一緒に相談しながら使い道や金額等のルールを個別に設定し、子どもの主体性を尊重して、適切に金銭管理できるよう支援しています。近隣店舗や公共機関等に予め協力を依頼し、現金での買い物や、障害手帳を提示して費用減免を受けるなど、実生活に活用できる体験機会も随時設定しています。 |
【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 センターの基本方針に「子どもの人権擁護と主体的な意思決定に配慮し、心身の健全な成長・発達と自立・社会参加を目指す支援を行う」ことを明示し、子ども一人ひとりの特性に応じたコミュニケーション方法を育み、より豊かに表現するための支援を行っています。児童相談所や保護者等から子どもの詳細な情報を聴取し、日常場面を通じて子どもの表情や行動、反応等を観察して意向把握を実施するほか、意思疎通が難しいケースに対しては、分かりやすい言葉がけやジェスチャーを交えた説明も行っています。写真やイラストを貼付したカードの活用や、Yes/Noなど選択肢を提示して選べるようにするなど、子どもの思いをより正確に理解できるよう配慮しています。子どもの支援内容は、心理職や各種療法士等を交え、多面的な視点から検討するとともに、特有の意思表示のサインやキーワードは、施設及び保護者等、児童相談所などの関係機関の間で相互に情報を共有し、一貫した対応に努めています。障害の状況に応じて補聴器等の機器も導入・活用しています。 |
【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。 |
【第三者評価結果:a】 年度運営計画に「子ども主体の支援」をテーマに掲げ、子どもの年齢や居住フロア・ユニットに関わらず、「子ども中心の支援計画の作成」と「子どもの意思を反映した日常生活支援を実践する」ことを明示し、職員間で認識を共有し、施設全体で取り組みを推進しています。また、子どもの年齢や発達段階を踏まえ、信頼関係の形成にも配慮し、担当職員と一緒に過ごす時間を設けるとともに、個別面談も定期的に実施して、相互の絆を深めるための関わりを行っています。日常場面の関わりを通じて、随時子どもの話を傾聴するほか、相談等の希望がある場合は、個別に面談を実施して意見を聴取し、子ども一人ひとりの意向把握に努めています。子どもの意見は個人記録に記載し、職員間で情報共有を行うほか、サービス管理責任者でもあるフロアリーダーと認識を共有して支援計画の内容に反映し、支援全体の調整も行っています。 |
【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 個別支援計画を作成し、生活面や家族との関わり、各々の障害特性に応じた具体的な支援内容等を明確化して、職員間で共有し支援を行っています。また、子どもの意向・要望に沿って日中活動の支援内容も記載し、個々の生活スキルの向上とともに、趣味活動を通じ個性・長所を伸ばす関わりにも力を入れています。新型コロナ感染防止に配慮し、集団でのレク活動は休止していますが、博物館等の公共施設の利用やスポーツ観戦、魚釣りや鉄道の利用など、子どもの個別活動に職員が同伴外出してサポートを行い、各々が充実した余暇を過ごせるよう支援しています。 |
【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 施設では、強度行動障害など他施設での受け入れが難しいケースの積極的な受け入れを推進し、子どもの発達や障害、被虐待児の理解など様々な研修を開催して、適切な支援を行うことが出来るよう体制整備を図っています。また、年度運営計画の中に「発達障害・行動障害支援計画」を明示し、専門機能を活かし個別性に配慮した支援を行うことを基本方針に掲げています。入所中の子どもをはじめ、在宅のケースに対しても、一時保護や短期入所等の受け入れを通じて支援のあり方を検討し、各々の家庭や関係機関にフィードバックするなど、安定的な地域生活の維持・継続に向け支援しています。支援の内容は、保護者等からの聴き取りや日々の関わりを基に詳細なアセスメントを実施するほか、支援担当者会議を開催して医師や心理職、各療法士など専門的職の意見を踏まえて課題行動の発生要因の分析と対策を協議し、個別支援の実践の積み重ねを通じて、一人ひとりに適した支援方法の定着化を図る取り組みを行っています。 |
【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。 |
【第三者評価結果:b】 施設の食事は管理課の栄養士が献立を作成し、委託業者が施設内の厨房設備で調理して適時・適温で提供しています。子どもの心身の健全な成長・発達に必要な、栄養豊富で美味しい食事の提供に努めるほか、子どもの誕生日や季節のイベントに合わせて、ケーキや特別メニューの提供も行っています。また、調理室前に大型の窓ガラスを設置し、調理風景を眺めたり調理員と交流できるようにしたほか、メニューのリクエスト用意見箱を設置するなど、食をより楽しむことができるよう、様々な工夫を取り入れています。 |
【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。 |
【第三者評価結果:b】 子どもの居室は全室個室で、ベッドとLED照明、ルームエアコンを設置しています。スペースの許容範囲内で私物の持ち込みを可能としているほか、子ども会議や個別面談を通じて子どもと生活環境について話し合うなど、より快適な環境の整備に努めています。居住スペースは、各フロアに7名の小規模ユニットを2基配置し、各ユニットにキッチンと食堂、リビングのほか、ボールやボードゲーム等の遊具があるプレイルーム(多目的室)とクールダウンスペース(観察室)を設置しています。センターの共有部分は清掃業者に委託し毎日清掃を実施するほか、各フロアは職員がユニット内の清掃を毎日行っています。センター内の随所に手指消毒用アルコールを設置し、手すりなどの消毒も随時実施して、感染防止と生活環境の清潔保持に努めています。季節等の状況に応じて空気清浄機や加湿器も設置しています。なお、1階のユニットおよび居室は、行動障害のある子どもの受け入れを想定し、より安全性の高い素材やレイアウトを採用していますが、一部に壁紙の剥がれ等の損傷が散見されるなど、居住空間の快適性と耐久性のバランスを今後の課題と捉えています。 |
【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 身体的・心理的課題のある子どもに対し、各種療法士等の専門的助言に基づく機能回復・向上のための支援を行っています。年度の運営計画に「心身機能支援計画」を明示し、総合療育相談センターから、年間スケジュールに沿って理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の巡回指導を定期的に受け入れるほか、各専門職の意見を個別支援計画の内容に反映し、移動や食事など様々な日常場面に応用して、機能訓練や生活訓練を実施しています。補装具の装着や使いやすい食具の導入、椅子の高さ調整等をはじめ、子どもの移動のしやすさに配慮した動線の確保や、ピクチャ―カードの活用など、子どもの特性に合わせた設備・環境の整備を図っています。個別支援計画は6か月ごとに見直しを行い、モニタリング結果を各療法士と共有して、内容の修正や更新を行っています。また、フロア職員が巡回指導の内容を適切に実践できるよう、理学療法・作業療法の研修会も定期的に開催しています。 |
【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。 |
【第三者評価結果:a】 健康管理マニュアルを策定し、利用者の健康管理と医療的ケアの対応手順を明確化しています。毎朝検温を実施して施設内感染防止に努めるとともに、各種チェック表を用いて食事摂取及び睡眠・排泄等の状況を個別に確認し、職員間で情報共有しています。センター内の診療所(医務課)に小児科医・児童精神科医が常駐し、必要時は医師や看護師に連絡して対応指示を得るとともに、随時診療が可能な体制を確保しています。また、医務課の看護師が毎日各フロアを巡回し、直接利用者の健康状態を確認するほか、随時健康に関する助言や相談対応も実施しています。外部の医療機関に通院するケースに対しても、看護師や心理職、ケースワーカー等が先方の医療機関と随時連絡を取り合い、必要な対応を行っています。 |
【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。 |
【第三者評価結果:a】 保安管理体制実施要綱を定め、子どもの安全管理に関する方針とともに、所長以下管理監督者の責務を明確化しています。健康管理やアレルギー対応等のマニュアルを策定し、基本的な対応手順を明確化するとともに、個別対応が必要な子どもには、手順書を作成して対応の統一化を図っています。センター内に診療所(医務課)を設置し、小児科医・児童精神科医が常駐するほか、委託の皮膚科・歯科医師による診療が可能な体制を整備しています。処方薬は調剤薬局と連携して医務課の看護師が配薬を行い、各フロアで職員が与薬しています。処方薬の管理や与薬手順は健康管理マニュアル等で統一化し、複数職員でダブルチェックするなど、事故防止に努めています。医療的支援に関する基礎及び専門分野研修を開催するほか、ケースカンファレンスや実際の支援場面を通じて、職員の個別指導も行っています。新型コロナウイルス感染症対策は県のクラスター対策班と随時連携し、最新の情報に基づく対応を行っています。なお、子どもの医療的ケアは医務課の看護師が実施し、直接処遇職員は行わない方針としています。 |
【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 子どもの健やかな成長と自立した地域生活の実現に向け、地域交流や社会体験の機会を数多く設定しています。自立支援課を中心に「きらり☆地域~まち~とつながるプロジェクト」を立ち上げ、地域のNPO団体等の協力による農作物の栽培・収穫体験や、地域の商店が毎月来訪し開催する出張駄菓子屋、まちぐるみ大清掃への参加など、様々な場面で地域住民と交流しています。なお、子どもの趣味活動にも職員が同伴し、個別で外出支援を行っていますが、施設として今後さらなる充実化が必要と捉えています。 |
【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 年間運営計画の「入退所調整計画」に子どもの円滑な地域移行の推進を明文化し、児童相談所や地域の関係機関等と連携しながら、子どもの意向に沿って自分らしい地域生活を実現できるよう支援しています。日常場面での関わりや個別面談等を通じて子どもの意見を聴取し、より正確な意向の把握に努めるほか、子どもの年齢や発達段階、理解の度合い等に応じて具体例や選択肢を示すなど、子どもが自分の将来像をイメージできるようにしています。日頃から県内全域の施設・グループホーム等の移行先の情報収集を行い、必要に応じて子どもにも状況を伝えるとともに、退所後の方針がある程度明確になったケースに対しては、随時見学や体験利用の調整を行っています。障害福祉制度等の申請手続きや成年後見制度の利用支援も実施しています。 |
【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 センターの年度運営方針の重点目標に「関係機関との連携強化」を掲げ、家族との情報共有の推進と家族が相談しやすい環境整備、養育支援に必要な情報提供に努めることを明文化しています。また、年度ごとに個別支援計画を策定し、家族との適切な関係継続と家族再統合への支援、役割・連携方法の整理を通じた支援の充実化を基本方針に明示しています。保護者・家族との交流は児童相談所の方針や子どもの意向に沿って、双方の関係性に配慮しながら実施することとしています。 |
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。 |
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【第三者評価結果:a】 心理判定及び発達検査等の結果や、児童相談所等の関係機関から得た基本情報に加え、センター内の医師や各種療法士などの各専門職による診療・評価の結果等を踏まえて、情緒面や運動機能、集団適応など子ども一人ひとりの状態把握を行っています。また、心身の機能改善やコミュニケーション力の向上など、個々の支援目標を明確化して個別支援計画に反映し、職員間で情報共有して支援にあたっています。日常場面を通じて掃除や調理等の基本的生活動作の習得に向けた支援を実施するほか、自立支援課の心理職が日中活動に関わる機会を多数設定し、スヌーズレンなど子どもの発達課題に応じた集団・個別のプログラムを実施して、各々の心身の活性化と発達課題に応じた対応を行っています。養護学校や特別支援学校、相談支援事業所等の関係機関とも随時連携し、必要に応じて往訪・来訪及び連絡調整を行うなど、相互に情報共有して支援しています。 |
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。 |
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【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】 |
【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。 |
【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】 |
【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。 |
【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】 |