社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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神奈川県立子ども自立生活支援センター 福祉型障害児入所施設

2020年09月23日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 神奈川県立子ども自立生活支援センター 福祉型障害児入所施設 評価対象サービス 障害者・児福祉サービス版
対象分野 障害児入所施設(福祉型) 定員 42 名
所在地 259-1213
神奈川県平塚市片岡991-1
TEL 0463-56-0303 ホームページ https://www.pref.kanagawa.jp/docs/g2n/2018kirari2.html
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2017年03月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 神奈川県
職員数
常勤職員:73 名
非常勤職員:17 名
専門職員
社会福祉士:18 名
介護福祉士:8 名
保育士:8 名
公認心理師:3 名
臨床心理士:1 名
管理栄養士:2 名
その他:50 名
施設・設備の概要
居室:障害児棟
設備:4部門棟他共有建物

③ 理念・基本方針
<理念>
1 温かい生活を提供し、子どもの「生きる力」と「つながる力」を育みます。
2 一人ひとりの子どもに寄り添い、最善の利益を優先した支援を行います。
3 施設の専門機能を生かして地域に貢献します。

<基本方針>
1 心理・医療等の専門的ケアの提供
保育看護・療育・治療等の支援を必要とする子どもに対して、その発達段階や障害特性などの課題に応じて、県立施設として心理・医療等の専門的なケアを行います。

2 心身の健やかな成長と発達等の支援
子どもの人権を擁護し、その主体的な意思決定に配慮して、心身の健やかな成長と発達、自立と社会参加を目指した支援を行います。

3 3つ施設の特色を生かした一体的運営
乳児院・福祉型障害児入所施設・児童心理治療施設の複合型施設として、それぞれの特色を生かした一体的な運営を展開します。

4 多職種連携による支援体制の確立
豊かな人間性と専門性を持ち、常に支援の質の向上を目指す職種を超えた連携による支援体制を確立します。

5 支援のネットワークの拠点としての働き
関係機関との連携を密にし、支援を必要とする子どもへの支援のネットワークの中で拠点としての役割を担います。
6 地域に根ざした施設づくり
地域との交流を進めるとともに、関係機関への後方支援や人材育成を行い、地域に根ざした施設づくりを進めます。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
●神奈川県立子ども自立生活支援センター(きらり)は、福祉型障害児入所施設(ひばり)と、児童福祉施設である児童心理治療施設(ぎんが)、乳児院(みらい)からなる施設で、その他に統括する管理部門、「ぎんが」の子どもたちが通う平塚市立金目小学校、金目中学校の五領ヶ台分校がある複合施設です。施設設立の背景は、①児童虐待件数の増加、虐待を受けた子どもの心のケアの必要性、②知的障害や発達障害などを有する子どもとその家族への専門的ケアの必要性、③児童福祉施設に入所する情緒・行動上に著しい問題がある子どもたちへの専門的な支援の必要性の3つが重なり、既存の児童福祉施設の枠組みでは対応が困難な児童が増加しており、虐待の影響等から様々な課題を抱えた情緒障害、発達障害、知的障害のある子どもに対し、総合的な支援体制を構築するため、中里学園及びひばりが丘学園の機能を統合・強化し、心理、医療等の専門的ケアが出来る入所機能を持った施設をこの平塚市片岡の地に開設しました。建物、施設内容とも充実しており、障害をもつ子どものケアの拠点として福音となるものと期待されています。

●福祉型障害児入所施設(ひばり)は、幼児から高校生年齢までの知的障害のある子どもたちが、日常生活で必要な支援、自立に向けた支援を受けながら生活する施設です。建物は3階建てで、1階(つばめ)フロアには小学生から高校生までの男児が生活し、2階(かもめ・かわせみ)フロアには小学生から高校生までの男児の居室があります。3階(めじろ・つぐみ)フロアでは女児が生活しています。

●福祉型障害児入所施設(ひばり)は、各フロアに1名ずつ配置されている支援担当と、発達障害支援アドバイザーと連携を図り、施設内部に止まらず地域のニーズにも対応し、在宅障害児のレスパイトを目的とした短期入所や、虐待等緊急に一時保護が必要なケースの内、特に、本人対応が難しいケース等、神奈川県立の施設として困難事例を率先して受け入れています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2020/06/05(契約日) ~2020/08/18(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 初 回(年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1.【個別のニーズに応じた余暇活動の提供(つばめ)】
●1階フロアは、個別の生活支援が必要な子どもたちが生活しており、施設生活を楽しく暮らしてもらえるよう余暇活動の充実を図っています。誕生月の個別外出や、グループ外出、フロア全体外出などを企画し、実施しています。週末にはファミレスやドライブ、路線バスを使った外出、夏季休暇中の個別計画、通院の機会を利用した外食等、生活体験を広げられる余暇活動の支援を行っています。

2.【年齢や障害特性等に応じた個別支援(かもめ・かわせみ)】
●2階フロアでは、生活の自立度、および年齢や障害特性等に応じた個別支援を行っています。入所している子ども、家族等、関係機関(学校、児童相談所、福祉事務所等)の意向を踏まえて他職種協働による入所支援計画を作成し、支援に当たっています。意向の確認や連携は家族、関係機関とのカンファレンスなどを通して実施できています。

3.【一人ひとりに合った地域移行の促進(めじろ・つぐみ)】
●3階フロアは、年齢も障害も様々な女子のユニットとして一人ひとりに合った地域移行への促進を当面の目標として支援しています。高等部1年時から計画的に関係者による定期的なカンファレンスを実施し、地域生活移行に向けて将来的に利用する施設等の見学や体験利用を進めています。また、学校と協働しながら支援方法の確認や将来の生活を見据えた施設利用など地域生活移行への支援プロセスとプログラムを本人が十分理解出来るよう支援に努めています。
改善を求められる点 1. 【退所後のフォロー体制】    
●開所して2年が経過し、施設と児童相談所どちらの責任において退所後のフォローを行うか、その体制についてが、今後の課題として挙げられます。児童心理治療施設(ぎんが)では、復帰に値する家庭環境の確認、乳児院(みらい)では本当に里親制度で運用が可能なのか、福祉型障害児入所施設(ひばり)では就労など将来の保証について等、様々な課題があります。制度の改善なくしては、職員の努力が報われません。アフターケアの方向性を固める旗振り役も是非推進して欲しいと希望します。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
<評価に取り組んだ感想>
 
 開設後初めての第三者評価に臨み、一定の指標に基づいた評価基準により施設の現状を客観的に振り返ることができる貴重な機会となりました。

 当センターは、県民ニーズに的確に応えることができるよう、旧中里学園及び旧ひばりが丘学園で築き上げてきた知識・技術を踏まえ、新たな機能を持った施設として平成29年に開設しました。開設後複数の子どもたちを受け入れてきましたが、入所する子どもたちが抱える課題は、これまでにも増して複雑かつ深刻なものが多くを占めるようになってきています。

私たちは、県立県営という立場からも、こうした難しい課題を抱えた子どもたちに対してより良い支援ができるよう、日々悩み続けているところですが、もっとできることがあるのではないか、と考えると自己評価が厳しくなりがちでした。今回の第三者による評価を通して、自分たちの到達点を客観的に確認でき、今後の方向性を見極めるきっかけとなったことは、私たちにとって大きな収穫となりました。

障害児入所施設においては、入所する際の障害を抱えた子どもに対する保護者の思いは、私たちに非常に重く伝わってきます。そして、障害を抱えながらも、自分らしく生きようとする子どもたちの力にも圧倒されます。当センターでいろいろな経験を積み重ね、多くの方々から支援を受けながら地域での生活に向けて退所していく姿をみると、職員の大きな喜びとなり、励みにつながっていきます。

一方で、保護者からの深刻な虐待により、より重い障害を心身ともに負って入所してくる子どもも少なくありません。こうした子どもたちは、温かく見守ってくれる家族を知ることなく退所していきます。何とか里親を活用できないか、と考えても、障害児を理解してくれる里親はほとんどなく、こうした子どもたちにどのように支援していくのが良いのか、非常に悩むところです。

今回の評価結果を踏まえて、改めてより良い支援につなげていきたいと考えています。

<評価後取り組んだ事として>

1.自己評価の項目に基づき分析した結果について、引き続き職員会議等で共有するとともに、子どもたちをめぐる新たなニーズに的確に対応できるよう、必要な支援の構築に役立てています。

2.第三者評価受審を機に、これまでの3年間の実績をまとめ、次年度の運営計画に反映させました。

3.外部の視点を踏まえた施設運営の重要性を改めて認識し、地域のボランティアをはじめ、苦情解決第三者委員やオンブズパーソン等の更なる活用を進めています。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

●神奈川県立子ども自立生活支援センター(きらり)の理念・基本方針は、児童心理治療施設(ぎんが)と乳児院(みらい)それに福祉型障害児入所施設(ひばり)3施設共通の理念・基本方針として作成され、施設のパンフレット、ホームページで公表しています。理念は、設立の目的に沿い、法人の目指す方向を表しています。職員には研修会や広報誌「きらり通信」等で周知しています。対外関係者及び保護者については、施設紹介の機会において、資料を用意し、施設の説明と併せて理念・基本方針を説明しています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

●施設経営をとりまく環境と経営状況の把握については、神奈川県をはじめ関係する行政機関が参加する会議で動向等を確認し、把握しています。障害関係施設の施設長会が定期的に開かれるほか、地域の社会福祉協議会や湘南西部圏域の自立支援協議会にも参加して情報交換、地域の課題解決等について話し合っています。なお、今後の課題として、県立の施設であるので全体的傾向の把握はできていると思われますが、神奈川県として、また平塚にある施設としての個有の分析が進められることを望むところです。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

●運営課題については、毎年、各部門(自立支援課、子ども第一課(乳児院)、子ども第二課(福祉型障害児入所施設)、子ども第三課(児童心理治療施設)、医務課、教育部門)ごとの運営計画とセンター事業計画(センター全体行事計画以下、令和元年度は20項目)を作成し、年度末には部門ごとに取り組み結果と課題を明確にしてまとめ、報告を行い、次年度につなげています。自己評価の結果を見ると、全体として中・長期計画に沿って上層部で計画を進めている傾向が読み取れました。職員全体が同じベクトルで進めるための施策が望まれます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

●中・長期的ビジョンについては運営計画の冒頭で示されています。令和元年度では大きく4項目に分け、①「仕組み作り」、②「人づくり」、③「地域に根ざした施設づくり」、④「人権に配慮した環境づくり」を計画しています。展開の実施は番号順でしょうが、基本は出来れば同時進行が望まれるところです。組織・会議・委員会構成、人権擁護システムについての枠組みは決めていますが、これらについても実情に即しているかの確認が必要です。今後の課題としては具体的な蓄積データに基づく目標達成が為されているか否かを知る指標(できれば数値計画)が望まれるところです。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

●中・長期計画と前年度事業報告書を踏まえ、前年度未達のものについては今年度の事業計画に反映しながら、今年度の計画を予算も踏まえ、実行可能である計画を具体的に策定しています。予算管理を実施し、期中にもチェックを行っています。福祉型障害児入所施設としての支援の土台は出来つつありますが、退所を目指す子どもの増加により児童相談所との連携の機会も増え、児童相談所との協働を図るモデルの構築が必要となってきています。自己評価の中でトップが牽引する体制はできていると思われますが、職員に対する意欲的な体制作り、もしくは風土の醸成には引き続き取り組みが期待されます。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

●事業計画については、毎年、各部門(自立支援課、子ども第一課(乳児院)、子ども第二課(福祉型障害児入所施設)、子ども第三課(児童心理治療施設)、医務課、教育部門)ごとに事業計画を策定及び、提出を行い、施設全体の運営計画として決定後、各部門で事業計画として展開しています。事業計画は状況の変化に応じて柔軟に修正して運用を図り、年度末に評価・見直しを行い、次年度に反映させています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

●事業計画の利用者等への周知については、系統だった説明は行っていませんが、行事に落とし込んで機会があるごとに説明するようにしています。保護者については、話せる方には入所時や面会等の来所時に説明するようにしています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

●職員の質の向上については、仕組みについては基礎固めの段階であり、完成形に向けて職員の意見を多く聞き取り、組織的・計画的に体制固めを進めています。先ずは職員研修の充実に取り組み、年間研修計画を策定し、職員一人ひとりの資質向上に取り組んで行きます。不適切な対応があった場合は個別に助言・指導を行い、研修への参加を促し、研鑚を図っています。また日々、養育及び支援の基本については指導・声かけを行い、一人ひとりの職員に応じて指導をしています。また、自己評価を実施して日々の業務の振り返りを行い、気付きと共に支援の質の向上につなげています。養育・支援の質の向上は究極は人の問題に帰するので、一人ひとりの熱意が質の向上に相乗し、モチベーションの上る職場の風土作りを進めてほしいと思います。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

●人事評価については「人事考課システムの手引き」に評価の基準等を示し、開示しています。職員一人ひとりの個人目標は「対話シート」や「自己観察書」を作成し、上長に提出しています。「対話シート」と「自己観察書」を基に面接を実施し、評価の基準等を基に評価を行い、業務内容と併せて課題を明確にすると共に、セクションとしての評価・幹部の評価を経て、最終評価とする人事考課の流れが構築されています。さらに、支援計画を施設全体と個人に分けて自己評価を実施し、課題を抽出し、次年度の計画に反映させる体制を構築しています。3年目で基盤作りの途上と思いますが、組織体制の問題を含めた課題の洗い出しが必要です。大きな括りとしての課題は明確になっていると思いますが、その中の一つひとつの細かい要因を解消していく必要があると思われます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

●所長、副所長、部長、副部長の責任部署と業務内容については、事務分担表に明記されています。神奈川県立子ども自立生活支援センターでの各施設(児童心理治療施設、乳児院、福祉型障害児入所施設)全てを所長が責任を持ち、最終責任者としています。所長は、全セクションが参加する所内連絡会や運営会議をはじめとする様々な場や、配布物などのソースを通じて方針を示し、組織を牽引しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●神奈川県立の福祉型障害児入所施設として、法令遵守については同様な民間施設の範となるべき立場にあり、関係法令の熟知と遵守は絶対条件であり、センター内には法令に詳しい管理課、自立支援課もあり、法令については子ども第一課、子ども第二課、子ども第三課の専門分野の法令はもとより、その他の法令について神奈川県立子ども自立生活支援センターとして網羅できる体制があります。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

●所長は福祉サービスの質の向上に意欲をもち、リーダ-シップを取って、現場の長として自らも率先垂範し、職員の模範となるように努め、常に状況を把握し、職員にアドバイスを行うようにしています。また、組織を通して挙がってきた意見については的確に回答しています。課長は施設外の研修に出て、研鑽するとともに施設内研修にも参加し、指導しています。フロアリーダーも課長を補佐し、職員の育成と自らもケアを行ない、福祉、心理の研鑽も深めるよう努力しています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

●課長は、課の運営目標達成に向けて計画を立て、進捗をチェックして、毎月行われる課長以上の運営会議に出席し、運営目標の達成状況と課題を報告し、対応策も説明するので、その為の実効性の高い施策を説明し、改善と挽回策を企画し、実施しています。常に新たな改善を意識しながら取り組み、魅力ある施設となるべくして指導力を発揮しています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

●必要な福祉人材や人員体制に関しては、正規職員は県の人事なので、現状の職員の数については、現状の配置人員を満たし、非常勤の方の定着率も良い状態ではありますが、支援の難しい子どもが多い現状を考えると絶対数が足りない状況にあります。採用活動は続けていますが、恒常的に足りない状態であることは変わりありません。さらに、キャリアパス確立も検討し、効果的な人材確保及び、人員体制の充実に努めています。県が運営する施設であるため、子ども自立生活支援センターの取り組みだけで解決する問題ではありませんが、昨今の専門職の人材不足を踏まえ、採用に係わる募集の工夫を一考すると共に、正規職員を中心とした魅力ある職場作りを進める等、視点を変えた検討も必要と思われます。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

●神奈川県の人事評価システムに記載されている「期待する職員像」及び県の給与規定で定められている昇給・給与については、基本的に県の職員であり、明確に定められており、人事管理が行われています。職員のスキルについては専門性に関して助言、相談を行い、研修を推進し、職員のスキルを高めるよう努めています。研修受講後は報告書を作成し、研修報告書は誰でも閲覧出来る体制とし、学びの経緯を知り、学ぶ機会を設けています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

●職員の就業状況、有給休暇の取得等について、定期的な面談等により各職員の意向を把握し、有給休暇の平均的な取得を推進し、必要に応じて随時、相談ができる環境を整えています。人の心を支える仕事なので、業務に負担を感じている職員のケアに努めています。子どもとの距離感の問題では担当者が感情移入し過ぎると見極めができなくなるケースに留意し、他職員の意見も聞きながら全体で支援することも必要であることを指導しています。施設の魅力を高め、職員の心身のケアに配慮し、働きやすい職場作りの取り組みを進めています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●定期的に個別に職員面接を実施し、特に、新規採用職員にはコミュニケーションを図り、目標を設定しています。職員一人ひとりの目標は「対話シート」に明確に記入し、上長と共有し、年度末に目標の達成度の確認を行い、次期につなげています。個人面談の折には出来ていること、出来ていないことを伝えるようにしています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

●神奈川県の人事評価システムに記載されている「期待する職員像等」及び、俸給表に沿った給与体系は明確になっています。研修については、年間教育研修計画を策定し、職員一人ひとりの質の向上に取り組んでいます。外部研修の内容については、受講後、研修報告書を提出し、報告書を回覧して共有化を図っています。研修委員会を設定し、研修の企画・実施を行い、出席者の記録も残しています。全体研修を企画・実施していますが、業務の関係で出席できない職員には研修内容をビデオ撮影し、リモートで研修できるよう工夫しています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

●職員一人ひとりの内部研修の時間確保については、子ども第二課(福祉型障害児入所施設:ひばり)と子ども第三課(児童心理治療施設:ぎんが)は子どもが学校に行っている間を活用するなどして研修機会の確保に努めていますが、子ども第一課(乳児院:みらい)は研修時間の確保により工夫を必要とします。スーパービジョンに関しては心理職を含めて組織内でスーパービジョンが出来る職員を多く有しているので有効活用に期待されます。教育の体制については、課別の実施であれば効果的だと思いますが、セクショナリズムの壁ができ、全体を考えれば各施設での体制に差異が見られる点が課題です。この解決に向け、努力を期待します。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

●実習生受け入れのマニュアルを整え、レジュメを準備し、特に、専門職種の特性に合わせてプログラムを作成し、実習依頼校と連携を図り、継続的に取り組んでいます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

●透明性の高い運営に向けて施設の資料を作成し、ホームページにも掲載し、理念、基本方針、事業計画、きらり通信、各課の案内・業務内容等を詳しく公開しています。事業、財務に関する内容については、神奈川県の内部監査を受けており、決算は神奈川県議会の承認を得る体制になっており、透明性は確保されています。利益、損失は予算管理の中で公正に処理されています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

●前項同様、神奈川県の内部監査で公正に処理されており、公正かつ透明性の高い適正な運営が成されています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●施設開設に当たり、地域に対して開設前に神奈川県として説明会を開催し、施設内容の説明を行い、開所後には自治会と連携を図り、施設行事、「きらり祭」等に地域の方を招いて理解を促す機会を設けています。台風等、災害時には体育館を開放し、地域の方の受け入れを行う事になっています。買い物は地域のスーパーマーケットやコンビニ、食堂等を利用しています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

●ボランティアについては、受け入れマニュアル・受け入れのレジュメを整備し、受け入れ窓口の担当職員を定め、ボランティアへ事前説明を行う体制を整え、実施しています。ホームページや広報紙にボランティア登録について周知したところ、100名程のボランティアの登録がありました。登録された方のジャンルは環境整備、学習ボランティア等が多くありました。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

●福祉型児童入所施設では神奈川県立として、いかなる児童も受け入れる方針とし、在宅障害児のレスパイトケアとしての利用も多くあります。他の福祉機関、他県のグループホーム等と幅広く連携を取りながら、助け合いつつ適切に努めています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

●広報活動としては自治会に加入し、回覧板を通して近隣と交流を持ち、自治会の会合に年数回出席して地元の情報を得、連携を図っています。地域の防災については平塚市との協定の下、体育館を災害時の広域避難場所として地域に開放しています。福祉施設と地域については地域融合とセキュリティ等、特に入所者のプライバシーの問題等が挙げられます。しかし、「融合」に拘ず、「行う・行わない」の分類を明確にして取り組んで行かれることを期待いたします。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

●地域のニーズ把握のため、地域自治体や自治会との連携を図っています。地域の公民館が福祉講座を開催する際は、専門職員の派遣ができることを伝えています。また、神奈川県立子ども自立生活支援センターの公開講座では、今年のテーマに知的障害分野の「自閉症」に関する講座を予定し、関係領域の専門職だけでなく、家族や一般市民向けにも開催しています。災害時には避難場所として平塚市との協定の下、体育館を災害時の広域避難場所として地域に開放しています。センターとして「出来る」、「行う意味」があり、地域に無いノウハウを有する内容について、より一層地域のニーズを把握し、地域に提供、公開していくことが望まれます。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●理念は、子どもへの温かい生活の提供、子どもの最善の利益を優先し、一人ひとりの子どもに寄り添う支援を明示し、理念の実現に向けて子どもを尊重した支援を実践しています。一人ひとりに自立支援計画を策定し、カンファレンスを行い、児童相談所の担当者を交えて話し合っています。親との対話についてもサポートしています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

●子どものプライバシー保護・権利擁護についてはマニュアルを整備し、職員には研修で周知しています。職員は、プライバシー保護に最善を尽くしています。子どもの居室は個室であり、入浴も個浴でプライバシーを確保し、子どもや保護者に対してプライバシーを遵守していることを伝えています。また、大人は頼れる存在であることを感じてもらえるよう支援にあたっています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

●入所に際して施設の説明については、保護者が一緒に来所する場合は施設の紹介を行い、保護者が一緒に来所しない場合は入所後の様子やエピソードを伝えるようにしています。音信の無い家庭については連絡が付けられるよう努力しています。必要な情報は施設紹介のパンフレット、図等を含めた視覚的にわかりやすい資料も準備しています。希望に応じて、子ども達の生活に支障のない範囲で施設内見学、質問も受けるようにしています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

●サービスの開始・変更に当っては、子ども本人の意見を聞き、退所時にも本人の希望を聞くようにしています。サービスを変える場合には見学先のパンフレット等を手渡し、変更時には情報を伝え、選択肢を示して選択できるようにしています。変更手順については医療機関等に対する手続きも併せて行っています。契約で入所するケースについては保護者に十分な説明を行っています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

●支援の内容や措置変更があった場合は、子どもの支援内容に不利益が無いよう十分配慮し、移行先への支援の継続性を保つためにアフターフォローを重要と考え、ケースごとに丁寧に検討しています。退所後の子どもを支える機関に対して、通所時に話し合いで決めています。福祉型障害児入所施設(ひばり)としては、お茶会の招待状を出したり、家庭のフォローをしたりしていますが、担当機関である児童相談所との連携が重要であると考えています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●子ども一人ひとりの満足度については、担当職員が直接的に把握に努め、フロアごとの子どもの集まりの会で話し合いを通して把握し、また、意見箱を設置して満足度を把握する機会を設けています。長期的には体制固めとともに、子どもの意見をどのように拾い支援に活かす体制をつくるかを課題としてとらえ、オンブズパーソンなども活用しながら仕組みの整備に取り組んでいます。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

●苦情解決の体制については、第三者委員を設置し、組織内に苦情解決責任者を定めて体制を整備しています。苦情解決の仕組みは掲示にて周知を図り、意見箱を設置して、子どもや保護者から意見が言いやすい環境作りを整備しています。但し、保護者の意見は少なく、子どもの意見・苦情等である現状において、子どもの苦情(要求)と教育的・治療的な指導とが相反する面がある場合には希望を述べることを尊重しつつ話し合う中で折り合いをつけていくことも学べるよう支援するようにしています。解決するためにユニットごとのルールを作り、子ども会議を通して考える機会を設けています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

●子どもが相談や意見を述べやすいよう、職員は言いやすい雰囲気作りを心がけ、相談しやすい環境作りと体制を整えています。通常は、担当職員が子どもの意見を聞いていますが、子どもが相談しやすい職員に相談してもいいことを伝えています。個別に相談したい子どもに対しては、他人に知られないよう別室を用意し、プライバシーにも配慮しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

●相談や意見を受ける方法や手順等については、マニュアルを整備し、苦情受付の書類を準備して記録しています。マニュアルは定期的に見直しています。子どもの相談は職員会議で共有し、子どもに対して丁寧な対応に努め、把握した内容は記録に残しています。意見箱は週1回開けて朝の会議で報告し、職員間で共有しています。また、各セクションの課題を共有し、担当者を定め、課別の課題も組織として共有するようにしています。集団の良さと個人の良さは異なることを踏まえ、例えば、献立におやつを増やして欲しい意見の事例では、メニュー・リクエストボックスを設置して栄養士に直接届くよう工夫を行い、栄養士から4コマ漫画で回答のフィードバックを得る等、良い事例も生まれています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

●安心・安全な支援については、基本的に事故報告書、ヒヤリハットの記載、蓄積をベースとしています。職員はヒヤリハット(実際に事故が生じた場合は事故報告書)を記載して上司に提出し、上司はコメントを付けて戻し、ヒヤリハットを基にリスクマネジメント委員会を開催して対応策を検討し、実施する文化は福祉の現場で定着し、提出件数も増えています。自由と安全に配慮しながら常に問題の解決に取り組んでいます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●感染症に関してもリスクの1つであり、感染症の予防と蔓延の防止を重要視して対応しています。発生時等の対応マニュアルを整備し、職員は感染症に関する研修を実施して徹底を図り、集団生活の中で立ち入り範囲等を定める等、感染症防止に十分に注意しています。医師、看護師が常駐し、医療・保健面で万全の体制を取っていますが蔓延の防止ができなかった他施設での事例を踏まえ、今後も感染症の予防と蔓延の防止として手洗い・うがいの励行を進めて行きます。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

●昨年度は地震・火災を想定し、年12回の避難、消火訓練を実施しました。災害時の避難体制、経路、避難先を明示し、施設全体で避難訓練を実施しています。体制では、災害時の備蓄類はリスト化し、食料品の備蓄は最低3日分を保有し、水も備蓄しています。電気は自家発電装置を備え、停電しても連続16時間は確保できる状態にあります。平塚市との防災協定で避難所として体育館の提供を約束しており、正面玄関の外の門扉を開放すれば車での避難が可能です。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

●標準的な実施方法(マニュアル)については、何が重要かについて基本のまとめを行っています。職員研修はセクションごとに実施するものもあり、ミーティングで申し送りを行いながら、全員で検討する機会を設けています。これらをまとめる研修委員会があり、施設全体での研修を企画して実施しています。外部研修参加者の伝達研修も企画し、職員が業務上の悩みや困っていること等を共有する場の設定もしています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

●標準的な実施方法(マニュアル)に関しては、自立支援計画の内容に沿って年度末に見直しを図り、反映する仕組みを構築しています。見直しに際しては子どもの意見等も加味して行うようにしています。標準的な実施方法については職員個々に解釈の温度差の調整を図っています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

●アセスメントについては、福祉型障害児入所施設としての体制を構築しています。児童相談所とは入所後定期的に打ち合わせを行っています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

●自立支援計画は1年毎に見直しを図り、その為のアセスメントを行っています。見直し、加筆した自立支援計画を職員会議等で全職員に周知して確認しています。計画を緊急に変更する際の仕組みに関しては、現場で対応を図る事例が多々あり、都度、会議等で話し合い、職員間で共有を図り、支援に反映させています。年1回は児童相談所に提出しています。児童相談所とも見直しの会議を行い、課題を抽出して方向性を検討しています。会議の内容は支援計画の個人票に記録し、記録を残しています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

●子どもの身体状況や生活状況等については、パソコン上の養育記録に記載し、全職員が確認・共有が図れるようにして子ども一人ひとりの情報、必要な情報を的確に確認できる仕組みを構築しています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

●子どもに関する記録類の保管、保存、廃棄、情報の提供に関しては規定で定め、個人情報規定を遵守しています。個人情報の取り扱いについては、入所時に説明し、肖像権等については同意書を得ています。個人情報の管理は、管理責任者を定め、鍵のかかる書庫で管理し、不適正な利用、漏洩の対策を講じ、個人情報取扱いについて全職員に徹底しています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●入所児童は、措置と契約の児童が混在し、入所している児童は日常生活に必要な支援、自立に向けた支援を受けながら生活しています。学校は地域の学校(特別支援学校、小中学校特別支援学級)に公用の通学バスを利用して登下校しています。但し、徒歩や路線バスを利用して通学したい希望のある児童には可能性を検討しています。個別対応のルールでは、基本ルールを決めた上で児童一人ひとりの希望に向き合い、具体的に検討して決めるようにしています。外出、買い物等については適宜出かけていますが、児童に応じてルール等を決めています。施設としてのルールに則り、障害の特性に応じて個別の希望に適切に向き合い、満足に至るよう今後の課題として期待されます。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利侵害の防止等に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:b】

●権利侵害の防止については、職員は、児童が暴力を振るった場合でもそれを拘束することの是非について厳正に検討しています。基本な対応の流れを定め、拘束については十分話し合う体制を持ち、朝の申し送り時に職員間で情報の共有を図っています。身体拘束については、6か月を限度として実施方法について見直すこととし、家族の了解を得て三要件を満たす場合にのみ実施しています。施設としては、拘束について十分話し合う体制を設ける他、支援システムの検討の中で身体拘束の削減について継続的に取り組み、拘束の理由を明らかにし、拘束をしないで済む可能性を検討しています。障害による児童の暴力等、阻止する目的で拘束せざるを得ない現状がありますが、虐待防止委員会の活用等により、支援方法に関するPDCAサイクルの実施が必要と考えます。また、委員会での話し合いを形骸化させることなく、施設全体の実効性のある取り組みをしていかれることを期待します。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

●児童の自律・自立のための支援を検討し、児童一人ひとりのストレングスを伸ばした形での自立を考えています。行動障害、発達障害を持つ児童については、課題を細分化して整理を行える支援を考えています。職員は、人を頼り、制度を頼りながら生活して行けるよう対応を行っています。また、心理士をはじめ多職種チームでの支援を考え、大人たちが丁寧に接することを心がけています。生活支援の基本として、低学年では身辺的自立に向けて具体的に日常的なことができるよう支え、ある程度の年齢になると誰かに頼ることを教えていく必要があると考えます。誰かに頼りながら自分の人生を主体的に生きることが「自分で決めること」につながるという視点もあると思いますので、肯定表現を大事にしながら必要に応じて誰かに頼ることが生活していく術と教え捉える視点等、現状のさらなる取り組みに期待いたします。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

●言語的な情報の受信に困難がある知的障害児に対して、コミュニケーションの手段としては、言語コミュニケーションでの理解の限界を回避し、写真、絵カード、表示の活用により出来るだけ意思疎通が図れるよう配慮しています。また、非言語チャンネルを通しての情報のやりとり、好悪等の伝達に関して非言語コミュニケーションで情報の理解等を図っています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

●職員は、常に児童と話す機会を持つよう心がけ、相談等があれば時間を取って丁寧に対応するよう努めています。児童が選択・決定が出来るような情報を提供し、意思決定をサポートし、児童発達支援管理責任者及び関係職員と一緒に支援計画を検討し、理解・共有が出来る体制の実現に努めています。利用者個別に特化した対応について、個別性に着目したケアの方向性が必要なケースも考えられます。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

●長期入所の児童については、個別支援計画に基づいて過ごし方を検討し、就学前の児童については施設内で日中活動プログラムを提供しています。短期入所の児童については、自立支援課が日中活動を組んで対応を行い、幼児の場合では開放保育への参加や、療育センターの療育へ参加、興味のあるビデオを見る等、支援しています。年間行事計画については、年齢の低い児童、発達障害児等は時間の概念が理解できないので工夫をしながら対応に努め、クラブ活動も設けていますが、出来るだけ地域の活動を活用するようにしています。また、東海大学サッカー部の練習公開の見学や、事業所の作業場面を下校時に見学する等、重度の児童にも少しでも楽しんでもらえるよう工夫をして支援をしています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

●職員は、利用者の障害の状況に応じて適切な支援に努め、障害に関する専門知識の習得と支援技術の向上のための研鑽をしています。障害による行動や生活の状況等を把握し、職員間で支援方法等の検討と理解・共有するよう努め、児童の不適応行動等の行動障害については個別的に適切な支援を行うよう努めています。個別的な配慮が必要な児童については支援記録等に基づき、支援方法の検討や見直しを図り、生活の環境整備等を行っています。また、障害の状況において児童間でトラブルがある場合は必要に応じて調整等を行っています。個別的かつ適切な対応については、現状としてはまだ課題が残され十分とは言えず、さらなる取り組みが望まれます。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

●日常的な生活支援では、食事については、落ち着いておいしく食事ができるよう静かな空間作りに配慮しています。例えば、食事中に他人の食事に手を出すケースでは、禁止用語に反応を示す児童には言動に注目し、理解できるよう促し、BGMにより刺激を受ける児童には環境に留意する等、様々な特性を持つ児童一人ひとりにあわせた適切な支援を行っています。また、満腹中枢障害を持つ児童は食べ過ぎてしまうので、本人に納得させて自分の部屋や人のいない食堂で食事をするよう支援しています。入浴に関しては、個別に支援を行い、風呂の鍵は自分用と共通の鍵を2つ用意して自分の鍵を持って安心して入浴できるようにしています。水中毒の児童には、職員が見守りを行い、安全に配慮しています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

●生活環境の安心・安全を保障し、居室、食堂、浴室、トイレ等は、清潔さと適温を保ち、明るい雰囲気作りが成されています。児童が思い思いに過ごせるよう、また安眠(休息)できるよう生活環境に配慮しています。生活の中で他児に影響を及ぼすような児童の状況がある場合には、一時的に他の部屋を使用する等の対応を行っています。常に生活環境について児童の意向等を把握し、改善の工夫に努めています。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:b】

●生活動作や行動の中で、必要に応じて機能訓練(総合療育相談センターの理学療法士(PT)や作業療法士(OT)による訓練指導)・生活訓練や支援を行っています。児童一人ひとりの計画を決め、関係職種が連携して機能訓練・生活訓練を行い、障害の状況に応じて専門職員の助言・指導と共に、機能訓練・生活訓練を実施できるよう工夫しています。また、定期的にモニタリングを行い、機能訓練・生活訓練計画や支援の検討・見直しを行っています。児童相談所のOTに協力をいただいていますが、センターとしての機能訓練の体制が整うことを期待します。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

●入浴、排泄等の支援や様々な場面で児童の健康状態の把握に努め、医師または看護師による健康相談や、健康面での説明の機会を定期的に設けています。また、障害の状況に応じた健康の維持・増進の為の工夫(1対1のケア対応等)を行い、グラウンド、体育館、プール等を活用して健康増進を図っています。体調変化等における迅速な対応では手順を定め、医師、看護師や医療機関との連携・対応を適切に行い、健康管理等についての職員研修(医師、理学療法士(PT)、看護師による指導)や職員の個別指導等を定期的に実施しています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:a】

●医療的な支援については、医務課の医師・看護師が実施し、夜間緊急時のマニュアルも整備しています。与薬については、看護師が誤薬のないよう該当児のセットを行い、1日分を置き、誤薬チェック、服薬チェックを空き袋により確認しています。定期通院の際は、事前に担当医に質問できるよう相談事項をまとめて持参し、薬局と契約して配薬まで依頼しています。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

●施設では、家族との交流制限のない児童の外出・外泊は認められており、家族との交流制限が認められていない児童の外出・外泊は制限されています。児童や家族等の希望と意向を尊重して学習支援を行っており、学習ボランティアも取り入れています。実習生、転勤した職員、退職した職員はボランティアの希望領域を書いて申請できるようになっており、水泳のインストラクターにも来所してもらう等、児童の希望、学習等の支援に努めています。利用者の外出外泊について、家庭と交流制限がある児童についての対応に、児童相談所との協議により何らかの条件を付して実施を試みる等、改善の余地があると思われます。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

●地域移行の管轄は児童相談所であるため、施設としての主体的な支援が難しい面がありますが、子ども自立生活支援センター(きらり)では、子どもたちが地域生活に慣れるための支援を行っています。一方で、地域交流の目指す姿を決め、目標の見える化を図ることにより、より一層地域移行が円滑に展開するよう取り組みを進めていく必要があるように思います。具体的には、平塚市片岡の祭礼や自治会のお祭りに参加したり、(福)進和学園の利用者等が「きらり祭り」に参加する等、職員以外の大人と交流する機会を設けています。また、地域の自治会とも良好な関係を築き、施設の理解に向けた取り組み等に積極的に努めることにより、障害のある子どもと地域が共に生きる社会の実現に向けて取り組んでいます。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

●入所に際し、家族等との連携・交流については児童の意向を尊重して対応を行っています。定期的に家族へ、児童の生活状況等について報告を行い、生活や支援について家族等と意見交換を行う機会を設けています。短期入所の場合は、入所時に情報を伝え、家族等からの相談、助言等の支援を随時、行っています。また、意見箱を設置し、意見等を受ける場合もあります。措置入所が大半を占め、契約入所は僅かという現状から見れば、家族との連携については児童相談所との役割分担についてしっかりと協議しておく必要があると思われます。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

●発達過程に応じた個別支援については丁寧に行い、障害の程度に合わせた支援を行い、アセスメントを活用して支援計画を作成し、ユニットごとに児童の状況を見ながら支援を行うようにしています。活動プログラムについては、概ね日課で決めていますが、体調や作業の内容によって個人別に作成しています。職員は、発達障害、自閉症等について施設での公開研修や、学校、福祉施設に出向いて講習を行っています。

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

●就労支援は、個人の能力、特に、ストレングスを伸ばす支援を継続しており、強みのターゲットを挙げて伸ばす試みを行っています。アフターケアはフォロー体制であり、何気ない日常の中で笑える流れが作れることだと考えています。福祉型障害児入所施設ひばりは、他の成人施設へ移行する児童が多い状況です。アフターケアについては共助を途絶えさせないフォロー体制を取っていますが、障害の度合いが重い入所者が多いため就労支援という面ではやや不十分な面もあります。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:c】

●福祉型障害児入所施設ひばりは、障害のある児童(18歳未満)が入所し、日常生活の指導や自活に必要な知識や技能の付与を行う施設であり、自立または地域移行を目指します。この項目は評価外です。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:c】

●福祉型障害児入所施設ひばりは、障害のある児童(18歳未満)が入所し、日常生活の指導や自活に必要な知識や技能の付与を行う施設であり、自立または地域移行を目指します。この項目は評価外です。