社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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第1ゆりの木ホーム

2021年04月27日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細

評価結果報告書

評価機関名 株式会社フィールズ
評価対象事業所名 第1ゆりの木ホーム
評価対象種別サービス 共同生活援助
設立年月日 2006年10月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 県央福祉会
③ 理念・基本方針 法人の2つの理念と11の基本方針等のもとで、社会的責任の重要性を自覚し、利用者支援にあたっています。

Ⅰ 法人の理念
① ソーシャルインクルージョン(共生社会)を目指します。
② 先駆的で開拓的な事業を展開します。

Ⅱ 基本方針
① 人権の尊重とサービスの向上を図ります。
② インフォームドコンセント及びエンパワーメントを大切にした利用者さん主体の支援を推進します。
③ 地域との共生を目指します。
④ ニーズの多様性と複雑化に対応します。
⑤ 社会のルールの遵守(コンプライアンス)を徹底します。
⑥ 説明責任(アカウンタビリティー)を徹底します。
⑦ 人材の確保・育成のための研修体制を充実します。
⑧ 柔軟で行動力のある組織統治(ガバナンス)を徹底します。
⑨ 財務基盤の安定化に努めます。
⑩ 国際化への対応に取り組みます。
⑪ 社会貢献活動に積極的に取り組みます。
④ 施設・事業所の特徴的な取組 (1)職員の誰が勤務しても利用者さんに適切な対応ができるように取り組んでいます
平成28年度から取り組んできた業務改善をさらに推し進めると共に、いつ、だれが勤務しても利用者さんが同じような快適さが感じられるように業務の標準化を進め、ホーム作りを行ってきました。特に全職員の複数ユニット勤務体制が定着したことで、全職員が各ユニットの利用者の特性を把握出来るようになっています。また利用者対応で困ったことが起きた時に、他のユニットの職員に相談できる環境が出来ていますので、適切な利用者対応ができる仕組みになっています。更にこの体制によって、職員が一人で抱え込むことがなく、孤立の予防ともなっています。

(2)職員は、利用者支援や業務改善等の研究に取り組んでいます
法人の「実践報告委員会」主催の法人全職員が対象の報告会に於いて、ホームの職員が実践活動について発表しています。昨年度は、<ホーム全体で取り組んだ業務改善と効果(~ホームで出来る働きやすい環境づくり~)>をテーマで発表し、入賞しています。また、今年度は、ホームの3人の職員が報告会に各々が単独でエントリーしています。報告会は、エリアごとの予選を通過した上位の組が報告会に臨むことができ、内容やプレゼンテーション等が勘案されます。このように毎年、職員が利用者支援や業務改善等について研究し、質の高いサービス提供等に取り組んでいます。
⑤ 第三者評価の受審状況 開始:2020年06月22日
終了:2021年04月14日(評価結果確定日)
受審回数:3回(2016年度)
詳細評価PDF

⑥ 総評

特に評価の高い点 (1)職員は、業務手順書を使用し標準化を図りながら、個別支援にも努めています
事業所では、職員の業務標準化のため、「業務手順書」を作成しています。その「業務手順書」は早番、遅番、夜勤、夜勤明け等の職員の勤務形態別及び、平日、土・日・祝日の曜日別等で構成されています。職員は「業務手順書」を使用することで、誰でも、どの勤務形態でも同じように業務を行うことができるようになっていますが、利用者へのサービスが画一的になることが無いように努めています。そのためには、利用者一人ひとりの支援計画を反映したサービスを行っていくように職員間で話し合いながら取り組んでいます。

(2)食材調達を負担がかからないように工夫して、職員の手作りで朝食を提供しています
朝食の食材を地元の商店(精肉店や青果店)から調達(定期配達)をしています。地元の商店に固定の発注リストを予め渡しておいて、発注しなくても食材が届くような仕組みとなっています。また過剰なもの或いは、急に必要となった物は、適宜にファックスで連絡しています。職員の手作りで利用者の好みや健康に留意して提供しています。夕食は同じ法人の事業所から配達してもらっています。タッパーウエアに入った状態で配達されており、利用者一人ひとりに小分けして配膳しています。このように常勤職員のルーチンの業務を削減し、負担の軽減に取り組んでいます。 
改善を求められる点 (1)記録ソフトの活用によって業務の効率化等が期待されます
利用者の個人記録や業務日誌等のサービス提供等に係る記録については、多岐にわたり記録容量と時間を要し、職員の大きな負担となっています。ICT(情報通信技術)を活用した業務については、ホームでは、すでにタブレット端末の運用で連絡事項等について、情報共有が速やかに出来る仕組みとなっています。更に現在取組中とのことですが、サービス提供等に関わる記録についても、記録ソフトの活用によって業務の効率化・省力化の推進が期待されます。 
Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
Ⅰ-1 理念・基本方針

◇努力、工夫していること

法人理念・基本方針は、各ユニットの事務所に掲示し、職員に周知しています。法人のホームページに2つの理念と11の基本方針等について明示しています。

◇課題と考えていること

Ⅰ-2 経営状況の把握

◇努力、工夫していること

所長がグループホームの執行役員であるため的確に把握しています。所長会議等に於いて、障がい等の制度の変化や今後の利用者の動向等の情報を把握確認しています。 

◇課題と考えていること

精神疾患を併せ持っている方が4名、また、60歳以上の方が4名いる関係で、長期入院等の予測ができないところがあり、経営状態も大きく変化してしまうことが課題であります。 
Ⅰ-3 事業計画の策定

◇努力、工夫していること

事業所の事業計画は、法人の中長期計画・単年度事業計画等を考慮し、事業所の特色を生かして作成しています。内容については、事業所会議で職員から案を募って最終的に所長がまとめています。 

◇課題と考えていること

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組

◇努力、工夫していること

2018年3月の移転時より、業務の標準化を行なっています。効率的な人員配置とともに情報の共有化を図れる体制としましたので、利用者支援の向上に役立っています。また、グループホームの事業部会でも手順書を作成しており、これを活用しています。

◇課題と考えていること

個別支援計画については、PDCAサイクルにもとづく仕組みによって行っています。その他サービス全体にわたって、PDCAがきちんとできるところまでは成熟していないことが課題であります。 
Ⅱ 組織の運営管理
Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ

◇努力、工夫していること

毎月の事業所会議に職員は、参加必須とし、所長から事業所の経営面、運営面、支援面などを伝達しています。所長の役割と責任を明確にし、職員からの報告・連絡・相談が的確にくる仕組みとなっています。また、所長の考えの下で事業所運営という点も確実に実施できています。

◇課題と考えていること

所長以外に役職者がおらず、常勤職員と経験年数も横並びであることが課題であります。しかし、自ら考えて提案できる職員も出てきていることが今後に繋がっていくと考えています。
Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成

◇努力、工夫していること

離職率が低いため、人材の確保には今のところ困ってはいません。また、複数ユニット兼務してもらっているため、効率的な人員配置ができています。法人の研修計画に基づく事業所対象職員の受講及び、事業所独自の研修、その他関連団体の研修に受講し、職員の専門性・質の向上に取り組んでいます。

◇課題と考えていること

高齢な職員もいるため、疾病などで休みが長期化したりした場合や離職が出た場合などは、採用が簡単ではないので課題と考えています。また、複数ユニット兼務体制を常としているため、新型コロナウイルス感染等が生じた場合の感染対策や事業継続面で課題であると考えています。
Ⅱ-3 運営の透明性の確保

◇努力、工夫していること

グループホームという利用者さんの生活の場である以上、積極的な施設公開などは難しいが、見学の依頼があれば前向きに検討して利用者さんの理解も得ながら進めてきています。事業所における事務や経理等について、法人の総務課による内部監査を受けています。 

◇課題と考えていること

安定した入居があるため、ホームページやパンフレットなどは作っていません。情報を公開しようとすると即利用者さんの個人情報となりがちな事業の特性上どのように透明性を確保するかが課題であり、検討中であります。 
Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献

◇努力、工夫していること

積極的な交流というよりも地域に溶け込むよう努力しています。良い意味で目立たないグループホームであり続けたいと考えています。地域の方々から、客観的に見守ってくれていて、何かあると心配していただけるなど良い関係性が築けていると思っています。

◇課題と考えていること

現在の世情等を考えながら地域と共生するにはどのようなことが必要かを考えていく必要があると考えています。 

Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示

◇努力、工夫していること

事業所会議で人権ツール(法人作成のDVDや倫理綱領、倫理行動マニュアル等)を使用して、利用者の尊重・基本的人権への配慮について職員の意識の浸透を図っています。利用者に関わっている中で、職員の考え方にどのようなばらつきがあるかを確認し、振り返りをしています。

◇課題と考えていること

常に全職員が会議に出られるわけではないので、そのフォローアップが課題であります。 
Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)

◇努力、工夫していること

重要事項説明書・個別支援計画等をわかりやすく説明するように心がけています。サービス開始時にルビを振った利用契約書を用いて、利用者・家族・補佐人などに丁寧に説明し、同意をもらっています。

◇課題と考えていること

中軽度の方が中心ではあるものの、説明への理解力が完全ではないこともあり、理解度を確認していく必要があると考えています。 
Ⅲ-1-(3)利用者満足の向上

◇努力、工夫していること

行事等の企画では、利用者からできるだけ嗜好を確認したり、行先のアンケートを取ったりしています。また、日常生活で悩みや不安がある方については、担当又はサービス管理責任者が面談の機会を設けて、可能な限り相談に乗るようにしています。

◇課題と考えていること

幼少期に虐待を受けたことのある方や、ご両親のいない環境で育った方等が多く、そのためか職員への依存度が高い方も多く、求めるものの幅が広いことが課題であります。 
Ⅲ-1-(4)利用者が意見等を述べやすい体制の確保

◇努力、工夫していること

苦情解決制度のポスターを掲示し、第三者委員の連絡先なども記載しています。≪苦情解決に関する規則、クレーム(苦情)対応マニュアル≫等を備えています。利用者が苦情や相談を職員の誰にでも容易に話すことができる環境を大切にしています。

◇課題と考えていること

Ⅲ-1-(5)安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組

◇努力、工夫していること

法令に基づいた避難訓練の他に法人主導の防災訓練を年2回実施しています。また、災害に備えて都市ガス区域ですが、ホームでは、プロパンガスを採用しています。都市ガスが止まった時も、また停電の時にもプロパン用発電機で代替できるようになっています。

◇課題と考えていること

現在防災倉庫の設置と防災備品の充実を図る取り組みを行い3月末に完了予定です。 
Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
Ⅲ-2-(1)提供する福祉サービスの標準的な実施方法の確立

◇努力、工夫していること

業務の標準化を図るため「業務手順書」を作成し、早番、遅番、夜勤等の職員の勤務形態ごとに詳しく業務内容を記しています。「業務手順書」には、利用者の日常生活の一連の流れだけでなく、特に「留意事項」の項目に利用者の特性を考慮した支援方法が記載され、職員間で共有しています。

◇課題と考えていること

時には、利用者の服薬状況の変化がある等「業務手順書」の見直しが必要になってくることがあります。しかし、職員は日々の業務に追われていることもあり、「業務手順書」の更新が直ちに出来ず課題になっています。
Ⅲ-2-(2)適切なアセスメントによる福祉サービス実施計画の策定

◇努力、工夫していること

サービス開始時には、基本情報、健康状態等を確認し、本人、家族等からの意向や日常生活の様子をアセスメントしています。これに基づき職員間で話し合いを行い、個別支援計画書を作成しています。この計画書は、半年ごとに見直され、次年度の計画作成に反映されています。

◇課題と考えていること

Ⅲ-2-(3)福祉サービス実施の適切な記録

◇努力、工夫していること

記録の種類は、「業務日誌」や「引き継ぎノート」、「個人記録」等があります。業務日誌は、事業所全体の一日の様子を記録しています。利用者に関する情報は、引き続きノートを使用し情報共有しています。利用者一人ひとりの服薬変更、排便チェック、人間関係等日々の様子は、個人記録に記載しています。

◇課題と考えていること

法人の各事業所では、現在「統一記録ソフト」がスタートしています。事業所でも導入を進めています。
A-1 利用者の尊重と権利擁護
A-1-(1)自己決定の尊重

◇努力、工夫していること

事業所の利用者の多くは、日常生活において自立しています。起床時間、就寝時間、食事の場所、居室での間食や飲酒並びに、喫煙室での喫煙等について、自由に行ってもらっています。入浴に関しては、利用者同士でのルールがあり、時間を決めて利用しています。居室によって、ユニットバス、トイレ付の部屋もあり利用者は、好きな時間に入浴しています。職員は、障がいの特性を考慮し個別に関わり方を工夫し利用者の自己決定に反映させています。

◇課題と考えていること

本年度はコロナ禍の影響があり、マスクの着用や外出制限、ソーシャルディスタンス等が必要になっていますが、利用者によっては障害特性から感染症対策を理解してもらえないことがあります。利用者への伝え方が課題になっています。
A-1-(2)権利侵害の防止等

◇努力、工夫していること

本年度は、コロナ禍の影響があり、外部研修への参加が困難になっています。そのため、事業所では、法人作成の「倫理行動綱領」等を使用し内部研修を行っています。職員会議の中で、法人作成の「人権ツール」を管理者が変更した「人権セルフチェック」を作成し、職員に現場での人権に関する課題を出しています。正解がない問題を提供することで、職員一人ひとりに人権について考えてもらい、現場で反映できるように努めています。

◇課題と考えていること

利用者には、プライバシーへの配慮から、居室に鍵をかけてもらっています。消防点検の際には、事前に利用者に日にちや時間等を知らせています。しかし、利用者によっては居室内が散らかったりして、掃除ができていない場合があります。職員は、障害特性を考慮した上で、片付けや掃除の必要性を伝える方法、介入の仕方が課題と考えています。
A-2 生活支援
A-2-(1)支援の基本

◇努力、工夫していること

利用者の自立した生活を支えるということを基本にしながらも、利用者のできる部分は行ってもらい、できない部分を補っていくようにしています。職員は、利用者一人ひとりの個別支援計画に沿って意向と課題を把握しているので、障害特性に考慮しながらその人らしく生活できるように支援しています。例えば、「歯磨きをする」、「煙草を1日13本までにする」等の課題解決には、利用者ごとに声かけを行っています。コミュニケーションが苦手な利用者には、表情や態度に配慮する等の工夫を行っています。

◇課題と考えていること

A-2-(2)日常的な生活支援

◇努力、工夫していること

食事は朝、夕に提供しています。朝食は、職員の手作りで行っています。食材は地域の商店に定期配達してもらっています。夕食は同じ法人の事業所から配達してもらっています。掃除、洗濯に関しては、必要な場合、職員が声かけや一部支援を行っています。排泄では排便チェックを行う際にプライバシーに配慮しながら声かけをしています。金銭管理においては事業所での管理、本人管理、週ごとの小遣い制度等利用者ごとに支援しています。

◇課題と考えていること

金銭管理では利用者により適切な使い方ができない等管理が困難な方もいます。利用者の特性に配慮した金銭管理の方法が課題になっています。
A-2-(3)生活環境

◇努力、工夫していること

事業所は近隣には大きな公園があり閑静な住宅街の中に建っています。小高い場所にありハザードマップ上も問題のない地域にあります。各居室は、陽当りも良く明るい雰囲気になっています。居室には、エアコンや広めのクローゼットが設置されています。本年度はコロナ禍の影響があり、共有スペースや居室は、毎日徹底的に清掃や消毒作業を行うようにしています。居室環境は利用者の意向を反映しながらも、週に1回はリネン交換を行う等、居室の衛生面にも配慮しています。

◇課題と考えていること

事業所周辺の住環境は近年高齢化が進み、昔から住まわれている方から、転入してきた方(新規の分譲住宅の増加)が増え始めてきています。近隣住民との関係性に変化が起きています。地域とのつながりが課題になってきています。
A-2-(4)機能訓練・生活訓練

◇努力、工夫していること

50代以上で機能訓練を希望している利用者は個人契約で訪問リハビリサービスを利用しています。主に下肢の機能低下を予防することが目的で筋力トレーニングを行っています。その際職員は、専門家からの意見を聞き、その意見を参考に利用者と一緒に体操を行っています。例えば、足の上下運動やいすからの立ち上がり運動、相撲の四股踏み等、利用者が安全に行えるように見守っています。日により利用者と一緒に近隣の公園を1時間程散歩もしています。

◇課題と考えていること

一人勤務の場合等、職員の業務の関係でPTから聞いたことを恒常的に実施、見守る時間がとれないことがあり課題であります。
A-2-(5)健康管理・医療的な支援

◇努力、工夫していること

毎日夕方に全員が体温、利用者によっては血圧、脈拍を測り、表に記録しています。職員は、利用者の表情や行動等からも健康状態を把握しています。状況変化は、作業所との連絡ノートを通じてお互いに連携しています。月に1回、訪問看護師や協力医療機関医師の巡回によって健康管理を行っています。定期通院には職員が付き添い、服薬の変更等にも対応しています。服薬管理は事務所に名前、日付、時間を記入したケースで管理し、特定の場所に鍵をかけて保管しています。

◇課題と考えていること

通院同行が必要な利用者が多いため、送迎に係る職員の負担が重くなっていることが課題になっています。
A-2-(6)社会参加、学習支援

◇努力、工夫していること

本年度は、コロナ禍の影響があり、外出ができていない状況にあります。昨年度までは、年に1回旅行、月に1回外出レク、平日の夜の外食レク、日曜日には動物園やバーベキューに行く等、利用者に外出サービスを提供しています。利用者によっては、ガイドヘルパーを利用し洋服やバック等の買い物に行っています。また、年に2回は、地区社協主催の祭りに参加しています。そこではカラオケ大会、ゲーム大会等で地域住民との交流を図っています。

◇課題と考えていること

利用者の高齢化が進んでいる状況にあり、今後、介護サービスの提供を考える必要性が出てきた場合の対応に課題があります。
A-2-(7)地域生活への移行と地域生活の支援

◇努力、工夫していること

現在、利用者によっては地域生活への移行が可能な方も数名いますが、利用者が地域移行を望んでいない状況です。事業所では地域での自立した生活に向けた支援を行う体制はできており、職員は相談を受ける用意はあります。以前には、一般就労を行っていた利用者がシェアハウスに移行した例があります。現在も本人との繋がりがあり、引き続き相談支援等行っています。

◇課題と考えていること

現在も利用者に対しての職員からの働きかけは行っていますが、事業所での生活に満足されており、地域生活への移行は進んでいません。
A-2-(8)家族等との連携・交流と家族支援

◇努力、工夫していること

毎週帰宅する利用者には連絡ノートを通じて、事業所での様子を家族に知らせています。家庭からは休日の様子を連絡ノートに記入してもらい、職員は把握しています。必要時にはその都度、家族等とは電話やメールで連絡を取りあい、情報を共有しています。また、年に2回の個別支援計画作成時には本人、家族と面談を行う等意向や課題の確認を行っています。

◇課題と考えていること

その他特記事項:第三者評価機関として今後、特に課題として取り組みを期待したい事項

評価対象 第三者評価機関からのコメント
分類 すべての業務にPDCAサイクルの適用
個別支援計画については、PDCAサイクルにもとづく仕組みによって行っています。このPDCAサイクルをサービス全体にわたって、適切に実施することが期待されます。
分類 地域との関係について、引き続き良好な関係の保持・努力
地域との関係は、積極的な交流というよりも地域に溶け込む努力をしてきています。ホームで何かあった時に心配していただけるような良い関係が築けています。この場所に移転して、3年程になりますが、分譲住宅が出来て新たに転入してくる方もいるようですので、引き続き良好な関係の保持・努力の積み重ねが期待されます。
分類 マニュアル、手順書等の定期的な見直し
利用者の服薬等において、変更がある等「業務手順書」の見直しが必要になってくることがあります。しかし、職員は日々の業務に追われていることもあり、更新ができていないものも一部あります。年度ごとに定期的に、見直す機会を設けるなどが期待されます。
利用者調査の結果
①ヒアリング調査(本人) <ヒアリング対象者>
利用者本人 2 名(男性 1 名、女性 1 名)

<ヒアリングの方法>
利用者のリビングに於いて、利用者1名に調査員1名が(同様に別の利用者1名には、別の調査員1名が)面談し、ヒアリングしました。 

<調査結果の意見>
利用者2名からは、次のとおりホームや職員に対して概ね好意的な意見が聞かれました。
① 職員は、丁寧な言葉で話してくれます。
② 部屋に入る時は、ノックしてくれます。洗濯物をたたんでくれます。
③ 職員は、意見を聞いてくれます。食事は、美味しいです。朝食が美味しいです。
④ 目標や計画は、わからない。一緒に考えてくれます。
⑤ お金を使っていない。お金についてわからない。
⑥ 困った時に、職員は、相談にのってくれます。
⑦ 弁護士さんが相談にのってくれます。職場の方が相談にのってくれます。
⑧ 具合が悪い時には、すぐ対応してくれます。
⑨ 自由に出かけられます。今は、控えめにしています。最近、タウンヒルズへ出かけた。 
⑩ ホームの生活は、好きです。職員から大切にされています。

評価後(評価結果を受け取った後)のグループホーム「コメント」
2018年に第三者評価を受審した際、すべての調査を終えた後に評価機関の不正(評価者資格がない方が調査)があり、結果を知ることができませんでした。今回、㈱フィールズさんに調査をお願いして、日常的に繁忙に流されて完全にできていなかった手順書の更新が課題として挙げられ、変更がない時でも定期的に見直す必要があることに改めて気づかされました。
利用者調査では満足度の高い結果が出ましたが、コロナ禍でなかなかできていなかった行事等を感染状況や感染対策などの安全性を考えたうえでできることを考えて実施することで、さらに満足度が向上するように取り組んでいかねばならないと感じました。
職員調査では、日ごろの事業所会議の成果もあり法人や事業所の方針や考え方がある程度浸透委していることが確認できました。業務の標準化をはじめとする様々な取り組みから、働きやすい職場環境を実現し離職率の低い職員集団ですので、今後もこの点については継続していくことが利用者支援にプラスになると考えています。