社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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第2松風園

2024年03月05日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 公益社団法人神奈川県介護福祉士会

② 施設・事業所情報
名称 第2松風園 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 生活介護 定員 45 名
所在地 242-0005
大和市西鶴間2-24-1
TEL 046-274-2426 ホームページ http://www.oak.or.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1977年05月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人大和しらかし会
職員数
常勤職員:24 名
非常勤職員:36 名
専門職員
生活支援員:47 名
栄養士:1 名
看護師:4 名
理学療法士:1 名
作業療法士:1 名
嘱託医:6 名
施設・設備の概要
活動室:7
医務室:
食堂:2
トイレ:

③ 理念・基本方針
<基本理念>
障害を有していてもそれぞれの人権は尊重されなければなりません。さらに、人として社会の中で自立した生活を送るため、また地域の成員として、また、共に生きるものとして障害を有するもの自身やその家族、地域、行政それぞれが相互にその役割と責任を理解し協力し合い、心を合わせて支援する体制が必要です。当園が長期にわたり大和市における療育の拠点として支援に当たってきた足跡と使命を継承し、新たなサービスの提供主体として、大和しらかし会を設立し、地域社会の中で暮らし、家族とともに歩み、自らが望む生活を営むことができることを願い、障害を有するもの自身とその家族、地域、行政との協働の拠点となることを基本理念として掲げます。
<基本方針>
①内在する人間性を理解し、社会の一員として成長するよう支援します。
②一人一人の能力を把握し、その能力を活かし、社会の一員として自立した生活が営めるよう支援します。
③社会の一員としての基礎知識の体得、社会適応能力を持てるよう支援します。
また、これらの方針を促進するために
(1) 交流の場、療育の場、活力の場として充実した在宅支援サービスの提供を行います。
(2) 多様なサービスを総合的に捉え、利用者が望むサービスに対して創意工夫した提供体制を整えます。
を基本目標とします。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
○利用者の自律・自立に向け、本人のストレングス(強み)に着目して、一人でできることが増えるよう支援目標を策定している。利用者の障害特性を理解し、得意な部分を活かす支援を、家族と一緒に考え工夫して取り組んでいる。一連の作業工程を、カードや写真など本人の理解しやすい方法で確認し、動機付けすることで、自律的・自発的行動を促している。また、社会性を身に付けることや、経験を積み重ねるために、日帰り旅行など、外出の機会を設けている。社会性を育てることを意識した日課や、行事を取り入れている。自立に向けて、グループホームの体験利用や、他施設の清掃作業(コロナ禍で現在は中止)も提供している。
○事業計画の基本方針に、家族の連携及び家族の支援の充実をあげている。毎日連絡帳を使って、利用者の支援状況や自宅での様子について、家族と情報を交換している。個別支援計画作成前の面談時には、事前面談シートに利用者の生活状況などを記入してもらい、その内容を中心に、家族との意見交換や利用者本人を代弁した情報を得ている。また、家族からの要望、相談については随時面談を行い、思いを受け止めるよう努めている。月に1回家族会、年に1回家族懇談会(各グループ)を開催し、家族との意見交換を行っている。革製品の製作は家族の紹介による仕事で、利用者の就労意欲の一端を担っている。 

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2023/06/26(契約日) ~2024/02/09(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 5 回(2020年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 ◇事業所の特色や努力、工夫していること、事業所が課題と考えていること等
○第2松風園は、大和市障害福祉センター松風園の2階にあり、市の指定管理者として地域における中核的な支援機関の役割を担い、自閉症スペクトラムなど、重い障害を持つ利用者の日常生活や作業、運動、社会生活を支援している。
○利用者は障害特性により、4つのグループに分かれて活動している。ダウン症の方、自閉症スペクトラムのある方、発達障害のある方、身体障害(重複)のある方などで、グループを構成している。自閉症スペクトラムのグループでは、一人ひとりに日課ボードを用意し、カードや絵カード、写真、イラストなどで構造化している。作業や活動は、開始前に心身の状態を確認して、無理強いしないように努めている。一人ひとりの作業スペースを確保し、衝立で仕切り、利用者が安心して作業ができるよう工夫している。大声や不適応行動に対し、クールダウンできる部屋も用意している。
○下請け授産作業(テレビ台の組み立て、部品の袋詰め、革製品など)や、自主制作作品の販売などを行っている。仕事で得た収入から工賃を支払い、就労意欲の向上を図っている。衣類の着脱、整理整頓といった身辺自立など、ひとつひとつの積み重ねを行いながら、地域生活が行えるよう支援している。
○利用者のほとんどが重度の障害を持っているので、日頃の行動や表情、目線などで思いやニーズを受け止めるようにしている。意思確認が十分に行えない利用者には、面談時に一人ひとりの障害に応じた方法で思いを聞き、併せて家族からは本人を代弁する情報を得ている。イラストや写真、カード、ホワイトボード、アイパットなどを利用して、個別支援に取り組んでいる。
○嚥下や咀嚼機能に障害のある利用者は、理学療法士による摂食訓練などを行うほか、歯科医師による指導も受けている。家族と確認し合い、一人ひとりの摂食機能に応じた食形態(ペースト、ミキサー、きざみなど)を提供している。食物アレルギーを持つ利用者には除去食を、偏食のある利用者には代替え食(ご飯をパンに替えるなど)を提供している。また、利用者に合わせた自助具や食器を使っている。食事の開始時間も個人のペースに配慮したり、集団が苦手な利用者にはスペースを区分して個別対応している。
○利用者が主体的に機能訓練や生活訓練が行えるよう、理学療法士や作業療法士が家族と連携を取り、訓練機器を準備して積極的に利用している。作業場面でも、個々の利用者に合わせて作業具に工夫を凝らしている。
○主治医の看護処置指示書に基づき、医療的ケアを行っている。てんかんや医療的ケアを必要とする利用者に対して、緊急時対応一覧表を作成し、園内や送迎車での対応に備えている。また、医療的ケアマニュアルを作成し、職員と情報を共有するため、医療的ケア会議を定期的に行っている。重度の利用者の日帰り旅行には、看護師が必ず同行している。
○鶴間駅前に利用者が立ち、赤い羽根共同募金のボランティア活動を3年ぶりに行っている。高齢者施設でのタオル畳みのボランティア活動はコロナ禍で中止しているが、日々の作業の中でタオル畳みを行い、再開後に継続して作業ができるようにしている。タオルが畳めるようになったら、次はTシャツ、パンツと難易度を上げて、日常生活でできる作業を増やすことを目指している。希望者はあおぞらパーティーに参加し、他事業所の利用者と交流している。自由参加のイベントとして、月数回、園内でリトミックやアートクラブ、音楽クラブ、フラダンスがあり、費用は実費で行っている。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
日頃の支援内容や活動をこのように評価していただき、ありがとうございます。利用者支援にあたり、意思確認や選択の機会をあたりまえ、支援のベースとしているため、改めて評価していただき、やっていることが正しかったと思えました。
利用者にさまざまな経験をしてもらうための行事も、自由参加としており、その日の気分や体調で参加、不参加を決めています。今年度から立ち上がった行事ですが、楽しみにしていてくれる利用者がいるので、継続していきます。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

基本理念や基本方針は、ホームページに掲載する他、事業所の玄関正面に掲示し、周知を図っている。また、事業計画書にも記載し、全体職員会議の場で、改めて職員に説明している。家族には、月1回開催する家族会の場で説明している。また、活動室内の見やすい場所に基本理念を掲示する他、家族にも目が触れる機会を増やすよう、2階の壁面にも掲示している。来年度は、支援計画書にもとじ込んで、家族に理念や基本方針を理解してもらえるようにしていきたいと考えている。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

研修会や関係機関の連絡会議に園長が参加し、社会福祉事業全体の動向や地域の課題を把握するよう努めている。また、月1回、法人内の事業所の管理者が参加する運営会議の場で、各事業所の状況や経営状況を把握している。具体的な対応を行うため、部門会議を開催することもある。運営会議の内容は、運営会議録などを通して、主任会議などで報告している。児童発達支援センターとは異なり、成人の障害者が対象のため、出席率に大きな変化はない。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

月1回開催する運営会議で、各事業所の課題や問題点を抽出し、現状分析を行っている。内容は、理事会や職員会議で周知している。月1回、法人全体の安全衛生委員会を開催して、施設設備の改善を行っている。また、人材の育成に関しては、2ケ月に1回、法人全体の人財育成コアチームで、「人財育成実施要綱」(マニュアル)作りなどを行っている。職員には「人財育成コアチーム通信」で内容を報告している。運営会議の内容は、各グループリーダーが参加する月1回開催の主任会議の場を中心に、運営会議録などを通して、職員に報告している。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

指定管理者制度の下での事業運営であるため、時宜によっては数年の範囲での目標になりがちではあるが、毎年度の事業計画に、短期目標と長期目標を定めている。長期目標に目指すべき姿を、短期目標に3年後のビジョンを示し、事業計画に具体策をあげている。短期目標や長期目標は、運営会議で内容を検討している。今後の取り組みとして、職員に事業計画を浸透させること、次年度以降より職員の声を反映させて計画の策定を行っていくことを考えている。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

短期及び長期目標を踏まえ、実行可能な単年度の事業計画を策定している。事業計画は、単なる行事計画ではなく、実施状況の評価を行える内容としている。また、運営会議で事業計画書とは別に、予算における数値目標を掲げ、成果が確認できるようにして、どこの部門にどういう課題があるかを確認している。法人全体で問題点に取り組むことで、風通しの良い職場作りを目指している。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

日頃より職員の声を聞き、12月から1月にかけて、主任会議を中心に検討を行い、事業計画を策定している。2月に園長が基本方針を立てて事業計画をまとめ、3月の理事会に諮っている。事業計画の内容は、3月末の全体職員会議で職員に説明している。数値目標は予算との対比により進捗状況を確認し、状況を職員会議で報告している。事業内容に課題が生じた時は、運営会議で内容を検討し、職員会議などでの検討を加えて対応している。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

事業計画書は玄関に掲示する他、利用者や家族が自由に閲覧できるように玄関に置いている。また、利用者に向け、分かりやすさに配慮して、ひらがなで掲示している。月1回、家族会を開催する他、園だより「第2松風園だより」を発行して、活動の様子を家族に伝えている。「第2松風園だより」は、ホームページでも閲覧できるようにしている。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

利用者の個別支援計画は、年2回(新規利用者は3回)作成している。計画の作成は誕生月に行い、半年後に見直している。また、作成の事前と事後に個人面談を行い、利用者と家族の希望や今取り組むべき課題を確認している。年1回、職員が参加して自己評価を行い、運営会議で内容を点検している。令和4年度より、月2回、臨床心理士が入り、利用者支援のための見立てやフィードバックを行っている。理学療法士や作業療法士も利用者支援のために随時入り、運動プログラムや機能向上のためのプログラムを立て、提供する福祉サービスの質の向上に取り組んでいる。職員研修として、事故防止委員会や虐待防止委員会、身体拘束適正化委員会による研修会を、企画、実施している。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

園全体の「自己評価」は、家族の「事業所評価」の内容も組み込み、サービス提供側との齟齬を確認して、改善に向けた取り組みにつなげている。個別支援計画の作成においても、検討会議を開催する他、家族からの意見を踏まえて課題を抽出し、職員間で内容を共有して改善を図っている。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

管理規程を整備して、管理者の役割と責任を明確にしている。各事業所に、「事務分担表」を含め、閲覧用規程集を置き、職員がいつでも内容を確認できるよう配慮している。管理者としての責務などは、統括園長と園長が職員会議や法人全体職員会議に出席して表明している。また、有事を想定して、「危機管理対応マニュアル」や「リスクマネジメントマニュアル」、「防災マニュアル」を整え、管理者の役割と責任を示している。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

統括園長や園長が、遵守すべき法令を理解するため、BCPや虐待、身体拘束などの研修会に積極的に参加している。また、県の知的障害福祉協会の総務委員を園長が担い、速やかに情報を入手して対応する体制を整えている。「法令遵守規程」も整備している。法令などの遵守で課題が明確になった時は、諸規程の改廃を行い、理事会で報告するとともに、職員会議で内容を職員に周知している。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

統括園長や園長が運営会議に参加して、提供するサービスの質の向上について検討している。改善に伴う具体的な取り組みについては、職員会議や主任会議に諮り、検討している。職員に意向調査を実施し、職員の意見を反映する仕組みを設けている。第1松風園と合同の安全衛生委員会や、虐待防止委員会、事故防止委員会、身体拘束適正化委員会を定期的に開催して、質の向上に取り組んでいる。職員の教育や研修参加の充実を図り、自己研修の意欲を高めるために、自主研修補助の制度を設けている。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

統括園長や園長が運営会議に参加して、経営状況などを分析して、必要に応じて部会を設置し、人事や労務、財務について分析、検討を行っている。職場環境の整備については、安全衛生委員会に提起して、改善に向けた取り組みを行っている。必要な会議や委員会を開き、統括園長や園長も参加して、職員の意識の統一を図っている。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

職員の採用担当を統括事務長とし、統括園長と園長・統括事務長が面接を行っている。福祉人材の確保・計画は、市に提出する「指定管理企画書」に、「職員採用の考え方」や「求める人材」、「人材育成の考え方」を明記して、計画に基づいた人材の雇用や育成に取り組んでいる。専門職員の配置についても、同様の考え方を基本としている。採用にあたっては、ホームページや求人広告、ハローワークなどを活用している。若年層の職員雇用が年々厳しくなっており、また、職員の産休や病欠、中途退職者があると、人材確保に多くの労力がさかれる現実がある。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

採用職員基準や人事考課において、期待する職員像を示している。また、「人事考課の手引き」により、昇格や昇給の基準を定めている。運営委員会で、職員の処遇水準の検討を行い、職員に意向調査を実施して、改善や見直しを行っている。職員自ら将来の姿の見える化に取り組み、令和2年度から職員の常勤化や勤務時間の短縮を実行している。職員の常勤化は、同一労働同一賃金を目指して3段階で取り組み、嘱託職員の多くが常勤職員に替わっている。また、勤務時間をこれまでの8時間から7.45時間に短縮するなど、働き方改革を進めている。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

年1回12月頃に定期的な個別面談を行い、職員の就業に関する意見や意向の把握、確認に努めている。主任やサービス管理責任者による個別面談も、必要に応じて行っている。また、10月に職員の「ストレスチェック」を行い、看護師を中心に職員のメンタル面のチェックを行い、状況に応じて専門機関につなげている。事業計画の策定や人員配置など、職員の意向や意見を反映し、誕生日休暇の創設や永続勤務者に対する休暇の付与、空気清浄機の設置、送迎者の増便の取り組みなどの提案を具体的に反映している。働き方改革では、職員の勤務の統一化や常勤化を図っている。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

採用職員基準や人事考課において、期待する職員像を示している。研修担当者を配置し、外部研修の参加や内部研修を企画している。外部研修は、階層別または職員の経験やスキルに合わせ、参加者を決めている。研修後は研修報告を提出している。外部研修は、株式会社Lean on Meと契約し、special Learningで動画視聴できるようにしている。職員は参加したい研修を選び、視聴後はレポートを提出している。研修報告書はファイルし、職員がいつでも内容を確認できるように事務所に置いている。研修に参加した職員による報告会と研修会を行っている。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

教育・研修に関する基本方針は、法人人事考課及び採用基準に明示している。内部研修は、研修担当の園長及び職員が企画している。年度の研修計画に基づき、外部研修に参加している。自主研修補助制度を設け、職員が参加を希望する研修会の参加費などを補助する仕組みを設けている。外部研修の内容は、研修報告書や研修報告会にて、職員全体が周知するよう取り組んでいる。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

階層別、職種別研修は、神奈川県社会福祉協議会が主催する研修会など、外部団体が開催する研修会に積極的に参加している。職員研修報告会や、日々のグループ別反省会にて、OJTを行っている。本年度より、株式会社Lean on Meと契約し、special Learningで動画視聴を用い、障害のある方を支援するうえで必要となる知識を学ぶことができるインターネット動画を活用している。自主研修補助制度を設け、職員が参加を希望する研修会の参加費などを補助する仕組みを設けている。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

主任を受け入れ担当として、実習生指導担当職員を置き、実習生の受け入れを行っている。指導要領に基づき、学校との日程調整や健康状況の把握、実習前のオリエンテーションを行っている。昨年度は、介護福祉士を目指す学生など、大学や短大から、10人程度の実習生を受け入れている。実習生の受け入れは、担当職員の負担もあるが、職員は熱心に対応している。後進の指導を使命として受け止め、今後も実習生の受け入れは前向きに捉えていきたいと考えている。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

事業報告書や事業計画書、収支の状況などをホームページに掲載して、運営の透明性を確保する情報の公開に努めている。また、活動内容は必要に応じて更新している。年2回、地域の福祉団体や家族会、人権擁護委員などで構成する運営協議会を開催して、事業内容や苦情、相談の状況を説明している。地区民生委員・児童委員協議会が実施する「ふれ愛のつどい」の訪問時には、基本方針やビジョンを明示して説明している。また、年3回程度、「会報しらかし」を発行し、家族に配布する他、ホームページへの掲載や事業所の玄関に掲示している。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

経理規程を整備し、管理規程や業務分担表と併せて、権限や責任を明確にして職員に周知している。内部監査については、法人の監事が公認会計士であることから実施していないが、今後の課題として捉えている。法人の監事による指導により、改善すべき点に取り組む体制を整えている。市の指定管理事業所であるため、定期的に、市の監査を受けている。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

基本理念に地域との関わりを明記し、社会資源や地域の情報は、掲示板や広報誌で知らせるようにしている。地域の行事や活動に利用者が参加する時は、職員が付き添って支援している。10月の赤い羽根共同募金や、12月の年末助け合い募金活動に参加して、地域交流を図っている。コロナ禍により、「松風園まつり」の開催を中止しているが、令和6年度は再開する予定である。地域に開かれた施設として、地域住民を招待する事業を展開していく予定である。また、グループホームで生活する利用者だけでなく、在宅での休日の余暇を充実させるために、移動支援の積極的な活用を促している。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

ボランティアの受入要綱を整備して、主任が受け入れを行っている。オリエンテーション時に研修を行い、ボランティア活動が活発に行われるよう、環境を整備している。コロナ禍で受け入れを中止していたが、利用者支援や送迎の添乗、音楽療法支援のボランティアが活動しており、順次再開している。また、これもコロナ禍で受け入れを中止しているが、小学校の教員教育の社会体験研修も受け入れている。「松風園まつり」は、ボランティア活動のきっかけ作りのための受け入れとして、地域教育活性化会議に協力してきたこともあり、令和6年度は再開の予定である。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

関係機関の住所録を作成し、必要に応じて、有効活用している。近隣施設の施設長会を定期的に開催して、情報交換を行い、情報を共有している。必要な情報は、主任会議などで職員に伝えている。また、近隣施設協議会(県央東地区幹部職員会)に担当職員が参加して、他施設との情報交換を行っている。利用者が住み慣れた地域で自立した日常生活や社会生活を営み、安心して豊かに暮らすことができるよう、情報を共有し、地域の問題解決を目指している。利用者支援にあたっては、相談事業所と密に連絡を取り合い、利用者のニーズを共有している。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

月1回、運営会議を開催し、法人内事業所との連携を深める中、地域の福祉ニーズを把握する取り組みを進めている。また、運営協議会から提案された課題については、その都度検討して、実施の可否を決めている。地域の課題として、女性が利用できるグループホームが不足していること、日中の一時支援の場所がないことなどがあがっている。地域からの意見についても真摯に受け止め、対応できるものは実行するよう努めている。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

事業計画に具体的な地域貢献活動を明記し、自閉症療育講座や地域生活支援公開講座、臨床心理士による勉強会などを開催している。また、成年後見制度の講座も開催している。地域の社会福祉法人と連携して、災害時の連絡体制を強化し、事業所の防災意識の向上や、災害対策として、防災備品や防災保存食の備蓄に努めている。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

「人権マニュアル」や「苦情解決に関する規程」を整えている。玄関入り口正面に理念や基本方針を掲示し、利用者や家族、来訪者が確認できるようにしている。人権擁護は法人の基本理念であり、「人権マニュアル」に明示している。年1回、人権研修を顧問弁護士を講師に全職員参加で開催している。新採用の職員は、神奈川県知的障害福祉協会主催の人権研修に参加している。中堅職員に対しては、外部研修への参加を推奨している。令和5年度からは年1回のオンライン学習(Lean on Me)も加えて実施している。人権に関する事案が報道された時には、朝夕の申し送りで速やかに報告し、また、直近の職員会議で資料を配付し注意喚起を行い、人権擁護に関する意識の周知徹底を図るようにしている。苦情解決の第三者委員は大和市人権擁護委員を選任して対応している。月1回、オンブズパーソンによる面談を行い、利用者の悩みや要望を聞いている。県知的障害施設団体連合会人権委員会作成の「あおぞら宣言」を全職員に配布し、個別支援計画の検討会で読み合わせを行い、人権擁護について周知している。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

「人権マニュアル」や「個人情報保護規程」を整備し、全職員に周知している。利用者が不安定な時は、一人で過ごせる空間を確保し、クールダウンできるよう配慮している。一人ひとりの特性や個性に応じ、安全で安心して過ごせる場所を設定できるようにしている。排泄時、てんかん発作のある利用者など、支援が必要な場合は、本人、家族の同意のもと、個室内の見守り支援を行っている。おむつ交換は更衣室を使用し、対象利用者が一人の時に行っている。体調変化により看護師が対応する場合には、医務室やトイレなど、極力、遮断した空間で対応するよう心がけている。個別支援計画書など個人情報の記載がある書面は、家族に個別に手渡すようにしている。利用者に関する記録は個々のファイルにまとめ、鍵付きのキャビネットで管理している。個人情報に関する書類は、必要最低限の情報を外部に持ち出す以外は、園内のみで使用している。園だよりなど、個人情報が記載されている配布物については、配布範囲に配慮している。園内のロッカーや作品などへの氏名の記載は、利用者、家族の同意のもと、フルネームで記載している。実習生の受け入れ時には、実習前のオリエンテーションにて、園内で知り得た個人情報を外部にもらさないという誓約書を提出してもらっている。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

玄関正面に理念及び基本方針を掲示し、事業所の概要を記載したパンフレットを、玄関脇カウンターに常備している。パンフレットはカラー印刷で、わかりやすいものになるよう工夫している。また、第1松風園入り口前に、契約書や重要事項説明書を掲示している。ホームページにて、園の取り組みの内容をわかりやすく記載し、情報提供を行っている。ホームページは定期的に内容を更新している。市障がい福祉課と支援学校などの関係団体との事業合同説明会に参加し、本人や家族に情報を提供している。利用を希望する支援学校3年生を対象として、5日間の実習を受け入れている。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

年2回(新規利用者は年3回)、個別支援計画を作成し、利用者本人と家族の面談を行っている。利用者の行動や表情を観察し、ニーズを受け止め、利用者の自己決定を支援している。本人、家族との面談をもとに、各グループ(A~D)代表の担当職員が参加して、ケース検討会議を行い、利用者の思いを反映できるよう取り組んでいる。健康状態や心身の変化、環境の変化など、必要に応じて、個別支援計画の見直しを行い、本人、家族の同意を得ている。意思表出が難しい利用者に対しては、相談支援事業所や精神科医などの関係機関や家族が参加するカンファレンスを開催し、支援方法を検討している。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

サービスの継続性を考慮し、相談支援事業所と連携して、移行先に引き継ぎを行っている。契約書にサービス終了後の援助を明記し、相談方法や担当者についても説明している。移行先の事業所を訪問したり、介助確認票など必要な書類を使用し、情報提供を行っている。家族の高齢化などで移行する際には、本人の様子をみながら、移行先の職員と連携を密に取って対応している。情報提供などの資料提供については、その都度、利用者や家族の同意を得るようにしている。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

年2回、個別支援計画作成時の個別面談にて、利用者の希望やニーズを把握するよう努めている。毎月、家族会を開催する他、年1回、グループ別懇談会を開催し、家族の悩みや意見を聞く場としている。利用者の健康面や心身の状況の変化、家族の心身の状況など気になる変化があった場合には、家庭訪問を実施して支援している。重度の障害を抱える利用者が多く、全員対象は難しいが、利用者アンケートを行い、満足度を確認する取り組みをすすめていきたいと考えている。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

「苦情解決に関する規程」を整備し、事務室入り口の廊下に、苦情解決の仕組みを掲示している。苦情受付担当者名、苦情解決責任者名、苦情解決第三者委員名、かながわ福祉サービス運営適正化委員会の連絡先とともに、苦情の申し立てのポスターを掲示し、周知を図っている。玄関に意見箱も設置している。匿名での意見や、郵送による意見も受け付けている。サービス内容や職員の対応について、意見や要望、苦情があった場合には、適切に対応できるようにしている。また、大和市障がい福祉課やすくすく子育て課でも苦情を受け付けていることを説明している。苦情内容については、申し送りノートや個人の記録に残し、朝夕の申し送り時や職員会議で検討し、経緯を含めた記録を整備し、苦情を申し出た家族や家族会に報告するようにしている。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

連絡帳を通して、家庭や園の状況の確認を行い、家族との情報交換を行っている。朝夕の送迎時、睡眠時間の確認など、家族と直接会話できる機会を利用して、意見や相談など活発にやり取りを行い、支援につなげている。必要に応じて、電話での情報交換も行っている。利用者や家族から相談を受ける際は、相談室を使用して、話しやすい環境を整えている。家族の高齢化により、兄弟が親に代わって支援を担うこともあり、兄弟への支援も重要な課題と捉えている。利用者や家族が相談しやすいよう、相談支援事業所を設置している。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

利用者や家族からの相談や意見は随時、受け付けている。相談の際は、相談室や空いている部屋を使用するなど、相談場所に配慮して傾聴している。意見箱を玄関脇と研修室の2ケ所に設置する他、郵送での受け付けも行っている。受け付けた意見や要望は記録し、担当職員が検討を行い、迅速な対応に努めている。課題が発生した際は、マニュアルなどの見直しも行っている。受け付けた意見は個別支援計画にも反映している。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

事故防止マニュアルや医療的ケアマニュアル、個人情報保護規程を整備して、職員に周知している。事故やヒヤリハットが発生した場合はマニュアルに基づき、速やかに対応するとともに、夕方の引き継ぎなどで周知している。事故やヒヤリハットの報告書は、デジタル化し、各グループで共有している。月ごとに一覧表にして、見直しを行うことができるようにしている。事故防止委員会で要因、改善に向けた検討を行い、グループ会議で振り返りを行い、継続した取り組みを行っている。法人の安全衛生委員会では、毎月、危険予知訓練レポートを作成し、想定できる事故や実際の事故の検証を行い、改善を図っている。第2松風園では、事故防止委員会を設置して、定期的に対策を検討し、事故に関する情報誌を年2回作成し、情報の共有を行っている。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症マニュアルを作成し、勉強会や職員会議などで周知している。看護師が参加する感染症対策委員会にて、コロナウイルス感染症に対するマニュアルを作成し、勉強会も行っている。業務で使用する物品は、感染症マニュアルに沿って消毒し、非接触型の検温器を使用して、感染の予防に取り組んでいる。利用者には、手洗いの仕方などをわかりやすく掲示している。登園後は看護師による視診や聴診、全身観察を行っている。また、着替えの際には職員がボディチェックを行い、体調を確認している。感染症が発生した場合は、家族に周知文書を配布するとともに、メールを配信している。感染症罹患者と家族が不安を抱かないよう配慮し、治癒するまで状況を随時、確認して支援している。感染の状況は、事業所間で報告を行っている。マニュアルは必要に応じて、見直している。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

災害時緊急マニュアルを整備して事務室内に置き、いつでも内容を確認できるようにしている。「大和市障害福祉センター松風園消防計画」に、火災や震災など緊急事態発生時の防火、防災や避難方法、及び内外への連絡方法を記載している。家庭への連絡は緊急時引き渡し票にて連絡を行っている。また、災害時伝言ダイヤルについての情報を周知している。緊急時の連絡方法として、ジャクエツメール(緊急時などのメール配信)を導入し、一斉送信する取り組みを行っている。年間防災計画により、地震や火災を想定した避難訓練を月1回、実施している。避難訓練では、大和市の「グラリ3分一斉避難訓練」行動を行っている。車椅子の方の支援の研修を行い、確実に避難できる方法を検討している。また、消火訓練(新任職員は必須)を年12回実施する他、通報訓練も定期的に行っている。また、全職員を対象にした、緊急召集訓練を年1回実施している。AEDを設置し、園内外の緊急時に対応できるようにしている。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:b】

標準的な実施方法については、勉強会や職員研修会を通して、周知徹底している。グループ会議の中で、支援について情報を共有し、振り返りを行い、統一した支援が提供できるようにしている。支援の中で利用者を制止してしまうことや、次の行動を促す方法など、職員間で検討を行い、実際の支援につなげている。個別支援計画検討会議などを通して確認している。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画は、心身や環境の変化などにより、必要に応じて見直しを行っている。内容は職員に周知し、支援の向上に努めている。緊急時や課題に応じて、家族との面談や情報交換を通して適切な対応ができるよう努めている。日常生活動作支援(食事、排泄、整容)や、日中活動支援(作業、運動、余暇、地域交流)、社会支援(コミュニケーション、社会的ルール、集団性、協調性)について目標を設定し、個人面談で家族に確認している。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:b】

サービス管理責任者を中心に、個別支援計画を策定している。計画策定の研修会を開催し、アセスメントの視点や意識の共有に取り組んでいる。理学療法士や作業療法士などの専門職も含め、家族や職員、相談支援事業所の相談員が連携して計画を策定している。家族から食事の際は箸を使用して欲しいという希望に対し、バネ箸を使う作業を取り入れるなどの支援を行っている。策定した計画は、日々の支援の中で確認し、必要に応じて、修正している。重度の障害のある方や、てんかん発作のある方、また、特別支援学校卒業後に長期在宅生活を送っていた方など、支援が難しい利用者を積極的に受け入れている。受け入れに際しては、個々の特性について、家族から情報を得て、支援方法を協議している。主治医とも連携し、個別支援計画を作成して、家族の同意を得て受け入れを行っている。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画の見直しは、定期的に年2回行う他、必要に応じて行っている。利用者の送迎時や連絡帳にて、家族の意向も確認している。短期入所など他事業所の利用や受診の結果についても内容を確認している。利用者の状況に変化があった時は、家族と面談し、必要な情報を収集するとともに、支援内容を変更して適切な対応ができるよう配慮している。緊急時の変更については、利用契約書や重要事項説明書に明記している。登園できていない利用者への支援については、課題があると捉えている。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

身体状況や生活状況などは、ブルーオーシャンアプリ(障害者支援事業所の記録管理)により、デジタル化し統一した書式で記録している。全職員がIDをいれ、共有できるようにしている。記録についての指導は、毎月の記録をもとにクラスリーダーが行っている。各クラス会議やケース会議、支援検討会議、個別支援計画検討会議を通して、記録を的確に行っている。会議録や懇談会録の回覧により、職員間で情報を共有している。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

「大和市個人情報保護条例」に基づき、個人情報の保護を遵守し、平成19年、「社会福祉法人大和しらかし会が保有する大和市障害福祉センター松風園の管理に関する業務の個人情報の保護に関する規程」を作成し、職員の個人情報保護についての意識化を図り、文書などの管理を適切に行うよう取り組んでいる。平成27年施行の「社会福祉法人大和しらかし会個人情報保護規程」により、法人が保有する個人情報の取り扱いについての基本的事項を定めている。管理運営規程や利用契約書、就業規則、雇用契約書などに、守秘義務について定めている。関係書類及びパソコンは各自で保管せず、鍵の掛かる書庫に保管している。鍵の管理は園長が行い、個人情報が安全に管理されるよう努めている。ケース検討会、事例検討会、緊急時に利用する協力病院や嘱託医による健診、教育委員会など関係機関への情報提供については、保護者と「施設サービスに係わる情報提供同意書」の締結を行い、書面で提出する文書などは、事前に家族から同意を得て、必要最低限の情報提供に努めている。記録や引き継ぎ、行事への参加文書などは個人情報保護の重要性を念頭に入れて取り組んでいる。ホームページや不特定多数が閲覧できる内容の配布物には、個人が特定されないようにイニシャル、または無記名で掲載している。作品展など外部での対応も同様に配慮している。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者のほとんどが重度の障害を持っているので、日頃の行動や表情、目線などで思いやニーズを受け止めるようにしている。意思確認が十分に行えない利用者には、面談時に一人ひとりの障害に応じた方法で思いを聞き、併せて家族からは本人を代弁する情報を得ている。イラストや写真、カード、ホワイトボード、アイパットなどを利用して、個別支援に取り組んでいる。お楽しみ会では、自分の好きな菓子が買えるよう配慮したり、活動グループ(A・B・C・Dグループ)ごとに、日々の日課を選択できるよう、話し合いの場を設けている。利用者や家族の思いやニーズを個別支援計画に反映させるため、連絡帳や電話での確認、随時の面談を行い、利用者の意思を尊重した計画策定に活かしている。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

玄関前に、知的障がい者施設利用宣言「あおぞらプラン」を掲示している。人権マニュアル(虐待防止、身体拘束、事故防止など)を策定し、利用契約書に明示して職員も周知している。自分の頭を叩くなど、自傷行為があった場合も、職員1人で対応できなければ職員2人で対応する、クールダウン室で落ち着くまで付き添うなど、身体拘束などの不法行為を行わないよう努めている。作業や運動への参加も無理強いせず、参加できる範囲や参加できるような支援を工夫している。年1回、職員全員参加の人権研修を実施し、人権意識を高めている。人権侵害のニュースがあった場合は、職員会議や打ち合わせで、口頭や新聞記事のコピーなどの文書配布、掲示で周知している。ケース会議では、毎回あおぞら宣言の読み合わせを行い、人権意識を再確認している。職員は定期的に施設内外の権利擁護の研修会に参加している。オンライン学習も導入し、職員は空き時間に学んでいる。ヒヤリハットを職員間で共有して、次につなげていく、隠さない、成長につなげていく仕組みを大切にしている。重要事項説明書にルビを振ったり、利用者が分かりやすい文章表現になるよう職員間で検討している。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の自律・自立に向け、本人のストレングス(強み)に着目して、一人でできることが増えるよう支援目標を策定している。利用者の障害特性を理解し、得意な部分を活かす支援を、家族と一緒に考え工夫して取り組んでいる。一連の作業工程を、カードや写真など本人の理解しやすい方法で確認し、動機付けすることで、自律的・自発的行動を促している。また、社会性を身に付けることや、経験を積み重ねるために、日帰り旅行など、外出の機会を設けている。社会性を育てることを意識した日課や、行事を取り入れている。自立に向けて、グループホームの体験利用や、他施設の清掃作業(コロナ禍で現在は中止)も提供している。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者54名のうち6名が会話が可能である。利用者の心身の状況に応じて、手話やカード、絵カード、写真、ジェスチャー、タッピング、クレーン動作、筆談、福祉機器など、さまざまな方法により、コミュニケーションを図るよう努めている。トイレに行きたい時は、職員にオムツを手渡している利用者もいる。意思確認が難しい利用者は、日頃の行動や活動状況、表情、反応を観察し、思いを受け止めるようにしている。個別面談では、家族から補足情報を得たり、情報交換や情報共有を行っている。利用者や家族の思いやニーズを個別支援計画に反映させるため、連絡帳や電話での確認、必要に応じて随時面談を行い、計画策定に活かしている。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者のほとんどに重度の障害があり、本人の思いを十分に確認できないことが課題となっている。意思決定支援として事前面談を行う他、利用者の行動や表情、反応を観察し、思いやニーズを受け止めている。面談時の質問は、「はい」「いいえ」のカードを用いたり、ひらがなで表示したりしている。個別面談では、家族からの情報提供を受け、情報交換、情報共有を図っている。個別面談の内容は、個別支援計画に反映し、年2回見直している。また、状況により随時見直しも行っている。利用者の登降園時には家族から相談を受けることもあり、内容は記録に残し、朝夕の申し送りなどで職員間で共有している。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の希望やニーズにより、さまざまな日中活動を用意し、一人ひとりが自由に選ぶことができるようにしている。個別支援計画は、事前の個別面談で利用者や家族の思いやニーズを受け止めるとともに、日々の記録も反映している。検討した支援内容は、事後の個別面談で説明して、同意を得ている。意思確認が難しい利用者は、面談時に可能な限り意思を引き出し、日頃の行動や活動状況などから意思確認を行っている。併せて、家族から利用者本人を代弁してもらい、情報を入手している。家族や利用者が求める情報は、障がい福祉課や近隣施設、相談支援事業所など、園独自のネットワークを活用して提供している。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者は障害特性により、4つのグループに分かれて活動している。ダウン症の方、自閉症スペクトラムのある方、発達障害のある方、身体障害(重複)のある方などで、グループを構成している。自閉症スペクトラムのグループでは、一人ひとりに日課ボードを用意し、カードや絵カード、写真、イラストなどで構造化している。作業や活動は、開始前に心身の状態を確認して、無理強いしないように努めている。一人ひとりの作業スペースを確保し、衝立で仕切り、利用者が安心して作業ができるよう工夫している。作業部屋の他に、ゆっくり過ごすことができる部屋を用意し、廊下にはソファーや椅子を置いて自由に過ごす場を設けている。スーパーバイザーとして心理士を配置し、パニックの時などアドバイスを受けている。大声や不適応行動に対し、クールダウンできる部屋も用意している。法人全体での勉強会を年1回行い、また、園内や園外の研修会にも積極的に参加している。他市の通所施設と情報を交換して、園での支援を見直す機会を作っている。強度行動障害を含む重度障害者の支援に向けて、行動障害への支援手順を作成している。利用者の新たな行動など、職員間で情報を共有し、環境整備を行っている。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

嚥下や咀嚼機能に障害のある利用者は、理学療法士による摂食訓練などを行うほか、歯科医師による指導も受けている。家族と確認し合い、一人ひとりの摂食機能に応じた食形態(ペースト、ミキサー、きざみなど)を提供している。食物アレルギーを持つ利用者には除去食を、偏食のある利用者には代替え食(ご飯をパンに替えるなど)を提供している。特別食カードを作成し、食形態や除去食の有無について記載して栄養士に報告している。また、利用者に合わせた自助具や食器を使っている。食事の開始時間も個人のペースに配慮したり、集団が苦手な利用者にはスペースを区分して個別対応している。食事は施設内で調理し、作りたての温かい食事を提供している。排泄の場面では、人権に配慮し、自分でできることは自分で行ってもらっている。排泄に失敗した場合は、その都度温水シャワーで清潔を保ち、衛生面に配慮している。利用者の心身の状態に合った送迎方法を検討し、事前に自宅前の道路事情や乗降時の注意点を確認している。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:b】

利用者一人ひとりが、より自律、自立して活動できるよう、活動室内の環境整備を行っている。年度末には、レイアウトの変更(スペース作り、食事の席を変えるなど)を行い、利用者には事前に変更点を伝えている。利用者の写真や絵などの掲示は破られないよう、透明のビニールで覆っている。気分が不安定な時は、一人で過ごすクールダウン室を用意しているが、空き部屋が少ないため、確保が難しい場合もある。支援終了後、専門の清掃員によって事業所内の清掃を行い、清潔を保っている。個別支援計画書に、利用者のリスク回避を記載し、個別面談や朝夕の登降園の際に、家族から生活面の改善や整備に向けた意見を聞いて対応している。また、玄関前に意見箱を設置し、生活面の改善、整備に取り組んでいる。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者が主体的に機能訓練や生活訓練が行えるよう、理学療法士や作業療法士が家族と連携を取り、訓練機器を準備して積極的に利用している。作業場面でも、個々の利用者に合わせて作業具に工夫を凝らしている。嚥下や咀嚼機能に障害のある利用者には、理学療法士や看護師が摂食訓練などを行う他、作業療法士が自助具を作成している。栄養士は一人ひとりの摂食機能に応じた食形態(ペースト、ミキサー、きざみなど)を提供している。嘱託の歯科医とも連携している。心身の変化に対応するため、年間を通して随時、個別支援計画の変更を行っている。必要に応じて、専門職が健康面や身体機能面の状態を把握して、個別支援計画に反映している。避難訓練は月1回、総合防災訓練は年1回行っている。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

送迎サービスを利用している方は、自宅到着前に電話連絡をし、体調(気分の高揚や家庭での状況)や体温の確認を行い、各コースのファイルに記載している。その他の利用者は、園玄関で健康チェック表に基づいて体調をチェックしている。登園前に検温して、異常を早期に発見するよう周知している。登園後は作業着に着替える際、視診や触診を行っている。年1回、定期健診を行い、結果は看護師から家族に報告している。緊急時の対応として、玄関前にAEDを設置し、職員は緊急時に使えるよう訓練を受けている。もちつき大会の前には、ハイムリック法(上腹部圧迫法)も学んでいる。経管栄養や胃ろう、喀痰の吸引などの手順書を作成し、職員へ周知している。園内で感染症が発生した時は、家族に「感染症のお知らせ」を配布したり、メールで状況を伝えている。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:b】

主治医の看護処置指示書に基づき、医療的ケアを行っている。てんかんや医療的ケアを必要とする利用者に対して、緊急時対応一覧表を作成し、園内や送迎車での対応に備えている。また、医療的ケアマニュアルを作成し、職員と情報を共有するため、医療的ケア会議を定期的に行っている。看護師が薬を管理し、服薬を支援している。約半数の利用者が昼の薬を飲んでおり、誤与薬の防止のため、名前を記載した容器に1回分用意して、看護師が服薬の介助を行っている。重度の利用者の日帰り旅行には、看護師が必ず同行している。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

鶴間駅前に利用者が立ち、赤い羽根共同募金のボランティア活動を3年ぶりに行っている。高齢者施設でのタオル畳みのボランティア活動はコロナ禍で中止しているが、日々の作業の中でタオル畳みを行い、再開後に継続して作業ができるようにしている。タオルが畳めるようになったら、次はTシャツ、パンツと難易度を上げて、日常生活でできる作業を増やすことを目指している。希望者はあおぞらパーティーに参加し、他事業所の利用者と交流している。自由参加のイベントとして、月数回、園内でリトミックやアートクラブ、音楽クラブ、フラダンスがあり、費用は実費で行っている。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

下請け授産作業(テレビ台の組み立て、部品の袋詰め、革製品など)や、自主制作作品の販売などを行っている。仕事で得た収入から工賃を支払い、就労意欲の向上を図っている。衣類の着脱、整理整頓といった身辺自立など、ひとつひとつの積み重ねを行いながら、地域生活が行えるよう支援している。他の入所施設やグループホームに移行できるよう支援している。神奈川県知的障害福祉協会や、県央東地区施設長会、県央東地区オンブズパーソンネットワーク、近隣施設連絡会などに職員が参加して、定期的に情報を交換している。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

毎日連絡帳を使って、利用者の支援状況や自宅での様子について、家族と情報を交換している。個別支援計画作成前の面談時には、事前面談シートに利用者の生活状況などを記入してもらい、その内容を中心に、家族との意見交換や利用者本人を代弁するという形で補足の情報を得ている。また、家族からの要望、相談については随時面談を行い、思いを受け止めるよう努めている。月に1回家族会、年に1回家族懇談会(各グループ)を開催し、家族との意見交換を行っている。革製品の製作は家族の紹介による仕事で、利用者の就労意欲の一端を担っている。家族から直接、統括園長やサービス管理責任者、担当者に伝えられた思いやニーズは、速やかに検討し対処している。 

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害者の生活介護事業所のため、評価外とする。

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害者の生活介護事業所のため、評価外とする。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害者の生活介護事業所のため、評価外とする。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害者の生活介護事業所のため、評価外とする。