社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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紅梅学園

2022年03月29日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 紅梅学園 評価対象サービス 2021 障害者・児福祉サービス版
対象分野 障害者支援施設(施設入所支援+日中活動事業) 定員 80(80名) 名
所在地 243-0201
厚木市上荻野5303番地 
TEL 046-241-1621 ホームページ https://www.koubaikai.or.jp/service/koubai-gakuen
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1954年08月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 紅梅会
職員数
常勤職員:25 名
非常勤職員:44 名
専門職員
社会福祉士:5 名
看護師:3 名
介護福祉士:11 名
保育士:3 名
精神保健福祉士:1 名
施設・設備の概要
一人部屋:15室
二人部屋:34室
本 館:食堂・作業室・会議室・地域交流室
居住棟:居室・デイルーム・浴室・支援員室
作業棟:作業室・ロッカー室・会議室

③ 理念・基本方針
法人の経営理念は「私たちは、利用者の方々が地域社会で明るく豊かな生活が送れることを目指します」と事業計画の冒頭に謳われています。その理念を基に職員の行動規範となる倫理綱領が定められ、運営の基本方針として「人権擁護に配慮した支援体制を整え利用者の意向を尊重した多様な福祉サービスを創意工夫によって提供することで、地域社会で自立した生活を営むことができるよう支援することを目指します。紅梅学園としての基本方針は、利用者の高齢化・重度化に対応し利用者の生活の質の向上、安心・安全を守ることを主眼としています。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
全国で唯一の女性だけの入所施設として、同性介護を徹底しています。                                        女性の心身の健康に配慮した取り組みとして、毎年訪問医による婦人科検診を実施し、乳がん・子宮がん等女性特有の疾病の早期発見早期治療につなげています。障がい特性から、婦人科の外来診療が難しい方にも可能な限り対応しています。また、更年期障害などの相談、治療にも対応しています。                                                     当施設の伝統的な取り組みとして、外部から専門講師を招いた各種「お稽古」を実施しています。種目として、「音楽」「絵画」「生け花」「書道」「手芸」「体育」等あり、近年では、主に心身の健康維持の活動として「ダンス」も取り入れています。希望者の自由参加となっております。また、利用者のADL低下防止と、レクリエーションとして、「介護予防体操」を講師を招いて毎週1回全利用者を対象に実施しています。                                      作業では、本格的な機織りを開所以来継承しています。以前は、絹織物も手掛け、高額な収益を上げていましたが、現在は、機織りができる利用者の高齢化や退所に伴い、綿織物のみ実施しています。織り上げた布は、布巾・ストラップ・携帯ケース・バッグなどに加工して、作業作品として、地元製品即売所に出展したり、行事の際などに販売していますが、新型コロナウイルス感染拡大のため、施設外での販売や出店ができない状況です。昨年は、マスク不足に対応し、織った布でマスクを作製し、職員が職務中に使用できるよう配布したこともありました。今年は、全国功労者表彰の記念品の受注が入り、消毒スプレーボトルストラップを作製、販売しました。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2021/09/13(契約日) ~2022/03/22(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(2010年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1)理念に沿い、同性介護等の女性の特性に配慮した支援を行っています
創設者、菅寿子さんの言葉「今の私にできることは何だろう」「利用者がいとおしい、何とかして幸せな日々を送ってもらいたいと願う」を今日まで支援の精神的支柱として利用者に接し、全国で唯一の女性だけの入所施設として、同性介護を徹底しています。                                        健康診断は年2回、婦人科検診を年1回行う等、定期的な体調管理を実施しています。婦人科検診では、乳がん・子宮がん等女性特有の疾病の早期発見・早期治療、また更年期障害などの相談、治療にも対応しています。日中活動では利用者は絵画・体育・ダンス・手芸・お花・音楽・習字などの「お稽古」の中から自由に選択し楽しんでいます。 

2)利用者の権利擁護に組織的に取り組み支援しています
利用者の権利擁護を第一に取り組んでいます。職員は年2回全体研修を受講し、人権擁護を学び感想文を提出しています。倫理綱領が記載されている「人権手帳」を常に携帯して利用者支援にあたっています。毎朝人権目標を唱和し利用者に目を向け、本人が望む生活に向けた支援を心掛けています。「人権チェックリスト」で自身の行動や学園の取組などを振り返り、「職員会議」で毎月検討して支援の質の向上に繋げています。

3)女性向けの栄養バランスに配慮し、おいしい食事を提供しています
食事は学園内の食堂で調理されています。イベント時には見た目も楽しめる食事を提供しています。利用者に食材や味等の嗜好調査をし、栄養士は食事巡回等により、おいしくて栄養バランスの良い食事の提供に努めています。メニューもご飯やパン、そば、うどん、ラーメンなどいろいろあります。宅配サービス等も利用し多彩な食事が楽しめるように努めています。障がい特性や高齢化、疾病による体力の低下、ADLの低下等の状況に応じて食事の支援方法を変更しています。
改善を求められる点 1)現場の声を重視した運営への転換が期待されます
学園の運営が法人管理部門主体の運営になっています。重層した役職(施設長・副施設長・部長・次長・課長・課長補佐・班長等)、書類への印鑑の多さ(食事メニューやヒヤリハット報告書等に8~10個の押印)、数多くの会議(20)・委員会(8)等、重層した組織形態です。研修体系は体系図作りに注力し、職員の資格取得への意識が組織として希薄にみえます。法人機能の簡素化、フラットな風通しの良い組織形態への転換が期待されます。日々利用者に接している施設長をトップとして、現場重視の事業運営への検討が期待されます。

2)数値や具体的達成目標を明示した中期計画・事業計画の策定が期待されます
法人では中期5ヶ年計画及び単年度事業計画を作成しています。中期計画検討会を毎月実施し、進捗状況を報告し必要の都度、取り組みの見直しを実施していますが、策定された中期計画には、5年先のビジョン・目標が明確になっていません。また、事業計画には数値目標や具体的な成果等の設定が殆どありません。ビジョンや数値目標の設定等により目標を明確にし、中間や年度末で実施状況の評価が明確に行え、職員と共有できる計画の策定が期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
この度、約12年ぶりに第三者評価を受審させていただきました。各評価項目の回答作成については職員全員で取り組み、意見交換を行いました。その過程で、これまでの事業の進め方や利用者支援の内容、また組織の現状などを改めて自覚し振り返る大変良い機会となりました。今回の評価結果を踏まえ、高く評価していただいた点については、維持継続していくだけではなく、さらに検討を重ねレベルアップできるよう取り組んで参りたいと思います。また、改善を求められる点については、早急に検討し、できるところから具体的に改善を図るよう、事業所また法人全体で努力してまいりたいと思います。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

創設者、菅寿子さんの言葉「今の私にできることは何だろう」「利用者がいとおしい、何とかして幸せな日々を送ってもらいたいと願う」を支援の精神的支柱として法人理念が創られ、利用者支援に努めています。理念は事業計画に明記し、職員に配布されると共に、全体職員朝礼等で説明されています。年度初めの家族の会全体会にて家族に対して説明を行い、全家族に事業計画を配布しています。また、利用者には利用者自治会(友の会)の場で、趣旨を説明しています。法人の理念と共に、学園の紹介パンフレットにある「明るく楽しく日々豊かな生活」等の言葉を織り込んだ学園独自の理念づくりが期待されます。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

法人は社会福祉事業全体の動向について、国・県からの通知や市町村の福祉計画の策定動向などから具体的に把握しています。また、地域での特徴・変化については、厚木市主催の「養護学校等の状況に関わる情報交流会」等で潜在的利用者に関するデータを収集するなどしています。学園は全国で唯一女性だけの施設であることが特徴です。定期的に運営状況(収支・予算執行状況等)のチェック、利用率などの確認を行っています。地域での経営環境の動向や課題を把握するよう努めていますが、分析するまでには至っていません。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

理事長や各事業所の施設長などで構成されている「運営会議」や、課長職も加わる「中期計画検討会議」等で、経営環境や実施する福祉サービスの内容、組織体制や設備の整備、職員体制、人材育成、財務状況等の現状分析がなされ、具体的な課題や問題点を明らかにしています。また、「理事会」等において、予算執行状況を理事に説明し活発な意見交換があり、理事からの具体的な助言、提言がなされています。職員へは学園の経営状況・課題について、職員会議にて状況報告・検討を行い周知しています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

法人では中期5ヶ年計画を作成して経営課題や問題点の解決・改善に向けて取り組んでいます。計画策定に当たっては各事業所の課長職以上の職員が参加しています。中期計画検討会は毎月実施され、進捗状況を報告し、必要の都度、取組内容の見直しを実施しています。職員に対しては事業計画書と共に中期計画書を毎年配布し周知しています。理念や基本方針の実現に向けた5年先の明確なビジョン・目標を織り込んだ計画内容の策定が期待されます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

法人の単年度計画には、中期5ヶ年計画の内容を反映した単年度における事業内容が具体的に示されています。学園の計画は部課長が中心となった「調整会議メンバー」が前年度の12月頃から検討を開始して策定し、施設長を交え検討して最終的に纏めます。各事業所の計画は法人として集約され、理事会の承認を得てスタートします。計画は中期計画にリンクして策定されていますが、数値目標や具体的な成果等の設定が殆どありません。数値目標の設定等により中間や年度末で実施状況の評価が明確に行える内容にすることが期待されます。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

法人(紅梅会)の事業計画は各事業所の課長職以上が参加する「調整会議」で策定されています。経営理念や倫理綱領をはじめとして、各事業所ごとに策定された計画が取組項目毎に一本化され、法人としての重点目標や組織図、諸会議、行事などに集約されて計画されています。また合わせて各事業所の重点目標等が策定されています。学園の計画は年度初めの職員会議において、非常勤職員も参加する中で、説明されています。事業計画書は業務マニュアルと共に職員全員に配布し、理解を深めるよう取り組んでいます。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画の主な内容は、利用者には利用者自治会(友の会)で、家族等には毎月の家族の会で説明され周知されています。それぞれの会では行事や日課等の説明をしていますが、要望を聞く場にもなっています。学園内の掲示板の活用や年間行事の予定表も活用しています。細かい説明は、個々の担当者からも丁寧に話をして伝えています。園では利用者への伝え方を、今後更に工夫して伝えることを課題としています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

職員は年2回の法人全体研修等を受講し、「人権手帳」を常に携帯して利用者支援に努めています。「人権手帳」には利用者支援に対する職員像が記載されています。振り返りは毎月「人権チェックリスト」で自分自身の行動面や学園全体の取組などについて行っています。チェックの結果は「職員会議」で毎月検討し、支援の質向上に繋げています。個別支援計画にもとづき、利用者ニーズに合わせた課題を実践、評価、改善しています。検討会は定例の他、必要に応じて開催しています。また、各担当(課長、課長補佐、班長)が出席する「ファミリー会」を月2回以上行い、支援内容の検討を行っています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

毎月の人権チェックリストは非常勤職員も参加し、職員自身が利用者の人権に配慮できているかをフィードバックする機会としています。改善が必要などの意見を出しやすいように無記名にしています。職員会議、ファミリー会等の各会議では課題を共有し、検討、改善までを行っています。会議に参加できない職員には会議録を閲覧できるようにし、また、日々の申し送り簿にて職員全員が把握に努めています。職員の提案で労働衛生環境の改善に繋がる事例もありました。業務マニュアルも必要に応じて会議で検討し変更しています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

施設長は学園の経営・管理に関する方針と取組を明確にしています。学園の運営方針については、毎年事業計画を全職員に配布し、全体職員朝礼にて説明しています。また、法人の広報誌「紅梅だより」にも掲載しています。自らの障がい者支援に対する理念・方針については個々の利用者の支援検討場面や、事業の進め方を検討する場面を通じて表明し浸透を図っています。また、職員一人ひとりの意見を引き出し、傾聴する姿勢を持つよう意識し努めています。有事の際の管理者の役割や、不在時の権限委任について明確に定めています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設長は、遵守すべき法令等を十分に理解しており、行政関係者ほか利害関係者との適正な関係を保持しています。リスクマネジメント管理者として、法令遵守の観点から、リスクマネジャー養成研修を履修しています。また、弁護士を外部講師として依頼し、職員研修を実施しています。自らも法人研修の講師として、苦情解決等をテーマとした研修を行い、職員に対し遵守すべき法令等を周知し、遵守するための具体的な取組を行っています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

施設長は、福祉サービスの質に関する課題を把握し、改善のための具体的な取組を明示して指導力を発揮しています。実施している福祉サービスの現状について、身体拘束検討委員会等の委員会活動を立ち上げ、職員の意見には常に意識を向け、定期的、継続的に評価・分析を行っています。利用者一人ひとりの人権が守られ尊重され、命と安全が守られると共に、少しでも幸福と満足を感じる生活が送れるように支援することを目標として、その実現のために尽力しています。     

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

施設長は、理念や基本方針の実現に向けて、人員配置、職員の働きやすい環境整備等、具体的に取り組み、実行可能な事柄は迅速な対応を心掛けています。施設設備の改修や職員の労働環境改善、利用者の安全確保に繋がる介護物品の導入等を実施しています。女性だけの施設で、同性介護を運営の基本としていることから、求人の多くが女性であり、人材確保が著しく困難であり、人員配置の改善に繋がっていないことを課題としています。 

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

中期計画・事業計画をもとに、福祉人材の確保・育成に関する方針が確立しています。新入職員に対しては、新人研修を行い、約3ヶ月間のOJTを実施し、育成に取り組んでいます。職員に対しては各職員の経験等に即し、必要な研修計画を年間計画で立てて取り組んでいます。就職相談会をはじめ、各方面に採用活動を展開していますが、人材確保を課題としています。各種養成学校との連携強化や、職員紹介制度等の内容を、今日の業界動向に照らし見直しをする等、取組の強化が期待されます。     

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人の理念・基本方針にもとづき、「期待する職員像」を明確にしています。採用・配置・異動・昇進・昇給等に関する人事基準は、規程倫理綱領に定められており、明確にされています。しかしながら人事管理の取組は職員に十分に理解されていません。支援員室に掲示し、職員一人ひとりに配布してある人権手帳にも倫理綱領・人権目標として職員像の記載があります。人事考課規則が定められており、内容は職員等に周知されています。考課は自己申告された役職別の「人事評価票」にもとづき実施されています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

職員の就業状況や意向の把握等にもとづく労務管理に関する責任体制を明確にしています。年度初めに職務分担表を配布し、職員個々の責任体制を明確にしています。職員の有給休暇の取得状況や時間外労働の実績データは、毎月、次月の勤務シフト作成時に確認し、職員の就業状況を把握しています。職員とは、定期的に面談を実施し、非常勤職員についても、年度更新前に面談を実施しています。ライフワークバランスに配慮して、個人の事情に応じた働き方に対応するよう努めています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

役職別に作成されている「人事評価票」には、それぞれの役職に応じて期待する職員像が示されています。職員の育成に向け、目標管理が適切に行われています。職員は目標項目、目標を達成するために行う具体的方策や手段を明確にして、目標の設定をしています。年度末には、努力による成果並びに業務への反映等をまとめて記載しています。学園では年度当初・年度末には評価者が職員面談を実施して目標達成度の確認をしています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人が目指す福祉サービスを実施するために、基本方針や倫理綱領の中に、「期待する職員像」を明確にしています。学園では職員の教育・研修に関する基本方針が策定されており、事業計画書に階層別の研修体系図にもとづいて研修が実施されています。研修後の受講報告書をまとめ、次年度の研修に反映させています。
職員に必要とされる専門資格の取得に対して補助制度を設けていますが、職員に資格取得への意識が弱く、今後組織として専門資格取得を目指す指導が期待されます。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

職員一人ひとりの知識や技術、専門資格取得状況等を把握しています。新任職員をはじめ職員の経験や習熟度に配慮した個別的なOJTが実施されています。OJTはシフト勤務の為、指導員は特定のプリセプターを設置するのではなく、担当グループのベテラン職員がチームで指導し育成に取り組むなどしています。担当業務を経験年数で組分けし、実践の中で人材育成を行っています。職員研修は階層別の研修が計画され、立場に見合った研修を行っています。外部研修等に参加する際は業務に配慮し参加を支援しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

実習生等の福祉サービスの専門職の研修・育成についてのマニュアルが整備され、取り組まれています。また、学校側と連携し、看護師や保育士にも研修の門戸を開き、多数の研修を実施してきました。看護学生の実習においては、障がい者研修の機会は少なく貴重な体験として喜ばれています。実習にあたっては、実習期間中の実習内容を調整し、実習中は紅梅学園の様々な日課に沿った実習指導を行っています。今後、研修・育成に対する基本姿勢を明文化し、研修指導者に対する研修の実施等が期待されます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

ホームページやWAM NET等の活用により、法人や学園の理念や基本方針、事業内容や財務等に関する情報が適切に公開されています。また合わせて、法人の各事情所の福祉サービスの内容等が紹介されています。時代の環境変化やニーズをふまえ、地域や社会から信頼される事業者として、経営内容を明確に伝えています。地域等に向けて、自治会や紅梅会後援会等に学園で行っている活動等を記載した「紅梅だより」を配布する等、経営改善や情報開示に積極的に取り組んでいます。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

学園における事務・経理・取引等に関するルール、職務分掌と権限・責任が明確にされ、職員等に周知されています。地域や社会から信頼される事業者として、施設長の責任を明確化しています。施設長のリーダーシップのもと、法令等を遵守し、経営改善や情報開示に積極的に取り組んでいます。法人の担当部署には会計監査や経営コンサルタントが定期的に訪問しています。指摘事項に対しては改善に向け直ちに取り組んでいます。法人総務が定期的に学園内の金庫の確認を行うなど、内部監査で金銭の流れの透明化を図っています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

40数年にわたり事業所の地域交流の大きなイベントとして認知されている「納涼祭」と「秋祭り」があります。「納涼祭」ではチケット700枚を来場者に配布し、花火大会などを実施し、「秋祭り」にはバザーなどを開催しています。文化交流にも参加し、利用者の作品を「文化芸術祭」や「パラアート」に出展しています。また地域少年とのふれあい交流の機会として、小学生の施設見学や中学生の職場体験等を行っています。地域貢献活動として、地域のタウンミーティングにて、非常時に災害用備蓄品の活用を申し出ています。地域交流の基本的な考え方の文章化が期待されます。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

ボランティア受け入れについては「実習生 ボランティア受入れ要綱(マニュアル)」 があり、マニュアルに沿ってボランティアを受け入れています。コロナ禍の現在は受け入れを中止していますが、以前は中学生の職場体験学習や大学生の職場実習の場を提供してきました。また、ボランティア登録をした人には各種行事ごとに来園してもらっています。ギターや太鼓、能楽、フラダンスなどのボランティアが来所し利用者に楽しんでもらった経験もあります。コロナ収束後の再開が期待されます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

Aネット2006(あつぎ福祉ネットワーク)では、厚木地区知的障害者施設の利用者やグループホームの入居者の権利擁護を行っています。学園も加盟し情報収集しながら地域の関係機関や団体との連携を図っています。施設長はサービス管理責任者研修会でファシリテーターとして支援したり、中学校で障害者福祉の仕事の説明や、特別支援学校や支援学級で保護者に対し講演をするなど地域支援に尽力しています。地域の関係機関・団体について、個々の利用者の状況に対応できる社会資源を明示したリストや資料の作成が期待されます。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

学園では関連事業「指定特定相談支援事業所こうばい」の機能を強化し、地域で障害サービスを必要としている人のコーディネーターとして、相談支援事業の拡充を図っており、専任担当者の設置やスキルアップの取組を進めています。また、神奈川県知的障害福祉協会や厚木地区知的障害施設連絡会等に定期的に参加し、関係機関との連携を図っています。法人(紅梅会)主催で地域の住民を招き、各事業所の紹介をスライド等で実施したり、自治会や地区の会合に参加し、地域住民と交流していますが十分に達成できていません。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人は夏の納涼祭や秋祭りを毎年開催し、地域住民を多数招待してきました。コロナ禍のため現在は中止していますが、地域の祭りとして定着し、喜ばれています。地域美化清掃活動に参加したり、地域のイベントにマイクロバスやテントなどの貸し出しをして、多様な形で地域と連携しています。災害時用備蓄品を地域住民の一時避難分まで保管しています。今後、学園が持つ福祉サービスの提供に関するノウハウや専門的な情報を、地域に還元する取組の実施が期待されます。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

理念や基本方針に、利用者を尊重した福祉サービスの実施について明示し、職員が理解実践する為の数々の取組を行っています。職員は常に倫理綱領が記載されている「人権手帳」を携帯し、毎月の人権目標を毎朝、職員朝礼時に唱和しています。月末には全職員が人権チェックを実施し、その際出た疑問や課題、意見は解決改善に向けて話し合い、職員会議で共有し、結果を全職員が確認できるよう、議事録をファイルし、フロアノートにも書き込みを行って伝えています。コロナ禍の中で、人権研修はオンラインにより実施しています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

利用者のプライバシー保護については、規定・マニュアル等にもとづいた福祉サービスが実施され、職員は研修を通して保護について学び支援しています。車いす用トイレの内側にカーテンを設置し、排泄中のプライバシーに配慮しています。2人部屋の居室では、夜間帯はスタンドライトやランタンを使用して安眠妨害が無いよう支援しています。利用者の名前の表記が必要な掲示物は、ローマ字表記にして利用者には名前が分からないような配慮もしています。写真の掲示等については文書で露出範囲を確認しています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

理念や基本方針、実施する福祉サービスの内容や施設の特性などは、法人のホームページやパンフレットで紹介しています。ホームページやパンフレットには、写真や絵、図を用いて分かりやすく資料を掲載することで、多くの人が施設の情報を入手できるよう配慮しています。利用希望者に対しては、パンフレットでの説明と共に、施設内の見学を実施しています。また、短期利用等については、説明を個別に丁寧に実施し、実際に体験することを支援しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

サービスの開始及び変更時の福祉サービスの内容に関する説明と同意にあたっては、利用者の自己決定を尊重しています。説明にあたっては、利用者や家族等が理解しやすいようルビをふった資料を使うなどの工夫や配慮をしています。入所に際しては、短期間の体験入所を必ず行い、利用者や家族等の同意を得たうえでその内容を書面で残しています。本人による契約が困難である場合には、家族に契約をお願いしています。また、家族との契約ができない利用者に関しては、成年後見人制度の利用を勧めています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

福祉サービスの内容の変更や他の福祉施設や家庭等への移行にあたり、福祉サービスの継続性に配慮しています。平日に就労継続B型支援事業所へ通っている利用者に対し、土日の日中に、平日に行えない居室整理や身だしなみ、ベッドメーキング、近隣への外出等を実施しています。医療面の問題で他施設に移行する際は、医師の意見をもとに医療的ケアが行える施設への移行の検討と、引き継ぎを行っています。利用終了後も情報提供等必要に応じて支援しています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設満足度調査(利用者向け及び家族・後見人向け)は、約4年に一度行っています。直近では令和2年度に実施し、調査結果は友の会(利用者全員が参加)で利用者へ伝えています。利用者の自治会(友の会)は1~2ヶ月ごとに開催し、利用者の意向を聞いたり決議を取りたい場合には都度、開催しています。利用者の希望で、「栄養ケア担当会」など委員会への参加や、話しのしやすい場所での個別面談などで意向の聞き取りを行っています。毎月の「家族の会」に支援員も参加し、家族への連絡や家族からの要望等を聞いています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

苦情解決の体制は、苦情解決責任者・受付担当者・第三者委員が整備され、重要事項説明書に記載されています。共有スペースに「苦情解決委員」や「オンブズマン(電話相談受付)」「第三者委員(電話連絡先付き)」等を記載したポスターを掲示、利用者へ周知しています。苦情内容を検証し、経緯の説明等を必ず利用者へフィードバックしています。苦情申し出者の名前は伏せ、苦情内容と苦情解決委員会の回答を掲載しています。事業所では、受付内容の記録・保管と共に、相談内容の検証と今後の対応内容を共有し、再発防止に努めています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

廊下やデイル―ムなどに、「苦情解決委員」と「オンブズマン(写真付きで紹介)」等があることをポスターとして掲示し、興味を持った利用者には説明を行っています。「かながわ福祉サービス運営適正化委員会」のパンフレットも掲示して相談窓口として紹介しています。利用者には、話したい事は支援員に気軽に話をしてほしいことを日頃から伝えていますが、利用者によっては、理解が難しい場合もあります。「相談スペース」もありますが、相談や話をしたいとの要望があった際は、話しのしやすい本人の居室や、プライバシーに配慮したスペースなどで話しを聞く環境を整えています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

職員は利用者が相談しやすく意見を述べやすいように配慮しています。声を掛けられた際に、その場ですぐに聞くことができない時も、時間を約束し必ず話を聞いています。話の内容は、上長に報告し解決策を相談し、利用者に提案をしています。話を聞く際は話のしやすい居室やフリースペースを利用しています。相談や意見の内容によっては、職員会議やファミリー会の場で速やかに対応するよう努めています。相談内容等は日中活動日誌に記録していますが、記録方法や対応策の検討等を定めたマニュアル等が無く、今後の整備が期待されます。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

防災保守委員会を設置するなど体制を整備しています。毎月、事故届とヒヤリハット報告書の集計を行い、内容を職員朝礼で報告し、申し送り簿で周知しています。事故発生時はオンコールのフローチャート及び事故・ヒヤリハットの判断基準モデルを用いて、状況を把握するよう努めています。防災保守委員会や職員会議で検討・検証を行い、勉強会では外部講師を招いて事故等の検証も行っています。事故やヒヤリハットの対策に場所と時間を組み合わせた解析や、利用者ごとの傾向を把握するなど、多角的な再発防止への取組が期待されます。 

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

医療食生活担当者会議にて、感染症対策について日常的にできる予防や対応について話し合いが行われています。最近では、新型コロナウイルス感染予防対策会議が、管理職員、看護師中心に定期的に実施されています。会議で話し合われた内容は、書面にして直ぐに職員に配布され、朝礼や申し送り簿で周知徹底されています。インフルエンザ予防接種や施設内の消毒、コロナワクチン接種、全職員への定期的なPCR検査等が行われています。医療食生活担当者会議は定期的に開催され、感染症対応策やマニュアルの検討見直しが適切に行われています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

災害時の対応体制を決めています。地震、豪雨、火災等の災害に対して、利用者の安全確保のため、毎月1回、災害(地震・土砂・火災)を想定した避難訓練を行っています。消防署とは通報訓練のほか、消防車が来所しての訓練も実施しています。消防団とは警備ボランティア活動等も含めて連携しています。不審者対策の夜間警備には監視カメラのほか人感センサーも活用しています。緊急事態時におけるBCP(事業継続計画)を策定しています。緊急連絡網訓練として、メール一斉送信を実施し、返信により安否確認をしています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

福祉サービスについては標準的な実施方法が支援マニュアル集として文章化されています。マニュアルには、利用者の尊重、権利擁護、プライバシーの保護に関わる姿勢が明示されています。支援は業務マニュアルに沿って実施されています。マニュアルの内容は、研修と共に主にOJTで個別指導のもと、現場で伝えられています。利用者の尊重や権利養護の姿勢は事業計画や、日々携帯している人権手帳にも明示されています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画書は年2回(前期・後期)、利用者一人ひとりに対する支援内容の検証と見直しが行われいます。また、毎月の職員会議においても報告し、必要に応じて支援内容の検討を行っています。福祉サービスの標準的な実施内容は、個別支援計画策定時期に検証し見直しを行っています。また、課長と担当する職員で構成されている各ファミリー会において、担当する一人ひとりの利用者に対する業務マニュアルの検討を行い、随時更新しています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

サービス管理責任者は、支援計画作成会議で、管理職員・看護師・担当者等の参加のもと、多面的に検討し、支援計画を策定しています。アセスメントシートにより利用者の現在の状況を把握し、支援計画書ニーズ欄には利用者自身が話した内容をそのまま記入するようにしています。利用者の意見や希望にできるだけ沿いつつ、生活が楽しくなる計画となるよう努めています。支援困難なケースへの対応については、毎月の職員会議や勉強会で取り上げ、支援について検討を重ねています。計画書は利用者本人、または家族に説明し同意を得ています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

半年ごとの個別支援計画の見直し会議には職員の他、家族、利用者本人も参加出来ます。作成にあたっては、利用者の意向を確認し、計画作成に反映するために聞き取りを実施しています。これまでの支援内容の振り返りを行うと共に、課題を明確にして次の計画内容を検討していきます。また、緊急の変更が必要な場合は随時会議等を行って対応しています。業務マニュアル等を見直し・変更を行い、提供できるサービスの質が向上するよう取り組んでいます。個別支援計画の内容は、見直しや変更も含め居住棟各階支援員室に一覧表を置き、関係する職員に周知しています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の日々の心身状況や生活状況等を、毎日パソコンでケース記録ソフトを使って記録しています。通院時の情報等も記録し、記録した情報は施設内のどのパソコンからでも閲覧可能です。新入職員には、記録する上での注意点等を班長以上の職員が指導しています。ICTソフトで作成された申し送り簿には、常に最新の情報が記載され、毎朝更新しています。毎月、利用者の状況を共有する為、生活課・地域支援課・医務の職員が出席し、職員会議を実施しています、出席出来なかった職員は職員会議録で内容を確認しています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

個人情報保護規程により、利用者の記録の保管、保存、廃棄、情報の提供に関する規定が定められています。また、個人情報保護規程の運用指針には、不適正な利用や漏洩に対する対策と対応方法が規定されています。記録の管理に関する研修は、外部研修で実施されています。個人情報保護に関しては、情報保護に関する職員マニュアルに規定されています。保護者に対しては、施設利用開始時の契約書にて個人情報保護規定を明示し、説明しています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画作成は、利用者の意向や、希望、個性を尊重し、必要な支援を行っています。飲食では寿司を食べたい希望を叶えたり、ビールや日本酒が飲みたいなどの希望も週1回叶えるなど対応をしています。品物を購入する際は、一人ひとりの趣味嗜好や希望に沿うものを丁寧に聞き取り購入しています。学園は伝統的な取組として、外部から専門講師を招いた各種「お稽古」を実施しています。種目として、「音楽」「絵画」「生け花」「書道」「手芸」「体育」等があり、更に、心身の健康維持のための活動として「ダンス」も取り入れています。希望者の自由参加としていますが、中には4~5種類の「お稽古」に参加して楽しんでいる利用者もいます。生活に関わるルールについては、定期的に「友の会」で利用者同士話し合い、イベント等の内容も「友の会」で希望を募り、利用者の意向を反映して実施しています。 

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の権利擁護については、理念や基本方針に明示し、職員の理解が図られています。法人の経営理念「私たちは、利用者の方々が地域社会で明るく豊かな生活が送れることを目指します」をもとに、職員の行動規範となる倫理綱領が定められています。職員は年2回の法人全体研修等を受講し、倫理綱領が記載されている「人権手帳」を常に携帯し支援にあたっています。毎朝、職員朝礼時に毎月の人権目標を唱和しています。振り返りは毎月「人権チェックリスト」で自分自身の行動面や学園全体の取組などについて行っています。チェックの結果は「職員会議」で検討し、支援の質の向上に繋げています。その際出た疑問や課題、意見は解決・改善に向けて話し合い、職員会議で共有し、結果を全職員に周知しています。身体拘束検証委員会を毎月実施し、身体拘束の内容を常に検証しています。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の一人ひとりに目を向け、日頃からコミュニケーションの機会を増やし、本人が望む生活を聞き取って個別化した支援ができるよう心掛けています。日常生活の中で自身で出来ることは基本的に自身で行ってもらい、支援が必要な時は手伝いながら、本人が出来ることを一つでも多く増やして行けるよう支援しています。学園内の自販機での飲料等の買い物や、本人が一人で外出してのコンビニでの買い物など、代金を支払うことで金銭管理が出来てきている利用者もいます。利用者の高齢化が進む中で、車いす利用者が今後増えることが予測され、洗面台等の設備を見直し、車いす対応に改修して利用者が生活の自己管理が出来るように設備面での支援の実施も計画しています。利用者の支援では、通所の障害福祉サービス事業所利用の支援も実施しています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

学園では利用者の心身の状況に応じて、さまざまな機会や方法によってコミュニケーションを図っています。絵やカードによるコミュニケーションは少なく、言葉かけを重視したコミュニケーションに取り組んでいます。手話の表を掲げてお互いが表を使ってコミュニケーションを取るようにしているケースもあります。職員の出勤ボードは写真付きカードになっていて、今日の早番・遅番の出勤者が誰かが利用者に良くわかるよう工夫されています。職員は個別的な対応をしている間、他の利用者を待たせてしまう事がありますが、利用者には順次行うことをその都度伝えています。意思表示が困難な利用者の思いや希望は、お稽古(絵画・体育・ダンス・手芸・お花・音楽・習字)や介護予防体操、様々な行事、心理の先生との面談等、利用者が他者と関わる機会は多く、色々な表情を見て観察できています。それらの機会を通してコミュニケーション能力が高められて行くよう支援しています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者が職員に話したいことを話せる機会を個別に設けています。利用者は様々な相談を持って話に来ています。学園の利用者は全員女性ですが、利用者同士のことで話を聞いて欲しいという事が多く、話は長くなることが多い状況です。その場にいる職員が対応することが多いのですが、時間を決めて対応することもあります。悩みがある様子が見られた際は、個別に話せる時間を設けています。友の会等の終了後に話せる場を設けています。個別支援計画書をもとに、利用者個々に聞き取りを行い、要望を反映できるよう半年ごとに担当者等とサービス管理責任者による見直し会議を行っています。日々の記録を取ることで情報の共有を行い、利用者の意思決定支援に繋げています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画にもとづき、利用者の希望やニーズにより選択できる日中活動の多様化を図っています。学園では伝統的な取組として、外部から専門講師を招いた各種「お稽古」を実施しています。「お稽古」は絵画・体育・ダンス・手芸・お花・音楽・習字が実施され、利用者は自由に選択して参加し、楽しんでいます。「お稽古」に多く参加している利用者は4、5種類の活動に参加しています。学園では、介護予防体操や季節の行事、買い物外出、旅行等、様々なレクリエーション・プログラムがあり、利用者の意見・希望を聞いて、個別で選択できる機会を設けて実施しています。実施予定日や内容についての情報提供の仕方も配慮しています。現在はコロナ禍で、外出やレクリエーションは中止しています。お稽古もリモート実施などの工夫をして実施しています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は、これまで専門知識等は内部研修や外部研修に参加して習得し、支援の向上を図ってきました。新型コロナウイルス感染症が流行してからは、研修の参加を自粛していましたが、現在はオンライン研修を取り入れて専門知識や技術の向上に努めています。日々の利用者の状況に応じて、職員間で報告、連絡、相談を行い、情報共有しています。また、状況に応じて、支援の見直し、環境整備を行っています。利用者本人や他の利用者に危険が及ぶ行動が見られた場合は、マンツーマン対応をし、場所の変更等をしてクールダウンを図るなど、職員が個別の対応をしています。職員が勤務時間を変更して、利用者に対応する等、きめ細やかな支援に努めています。支援の内容については、職員会議、ファミリー会、勉強会等で検討し向上に努めています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の心身の状況に応じて食事の提供や入浴支援、排せつ支援等を行っています。食事は学園内の食堂で調理して提供され、イベント時には見た目からも楽しめる食事を提供しています。利用者に、食材や味等の嗜好調査をしています。栄養士は定期的な食事巡回等により、美味しく栄養バランスの良い食事の提供に努めています。メニューも、ご飯やパン、そば、うどん、ラーメンなどいろいろあります。宅配サービスを利用し多彩な食事を楽しめるように努めています。障がい特性や高齢化、疾病による体力の低下、ADLの低下等の状況に応じて食事、入浴、排せつ、移動、移乗の支援方法を変更しています。立位保持等が困難な利用者に対しては2名で介助する等、安全面に配慮しています。機械浴等介護機器を導入し、利用者、職員の負担を軽減するようにしています。心の変化にも着目し、状況に応じて利用者が落ち着いて食事が出来る場所での提供を行っています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:b】

利用者の居室や日中活動の場等は、安心・安全に配慮されています。学園の清掃は休日以外は法人の指定障害福祉サービス事業所「紅梅園」の清掃班が掃除に入っています。一部居室のベッド下など掃除が行き届かない場所があり、ハウスキープ職員による清掃も実施しています。ハウスキープ職員は洗濯物の仕分け業務や包布交換、行き届かない部分の掃除をし、利用者が快適な生活を送る事が出来るように努めています。空調設備は、大規模修繕を実施し改修しました。建物の構造上2人部屋が主体ですが、スタンドライトや居室の境にカーテン等を設置して、プライバシーの確保が保てるよう、居室環境の改善に努めています。利用者の体調を考慮し、個室対応が望ましいと思われる場合は早急に検討し、居室移動をしています。また、利用者同士の関係性にも考慮しながら、安心して生活出来る環境を整えています。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者が主体的に機能訓練・生活訓練行えるよう工夫し、日中活動のプログラムの中で、歩行やお稽古事の体育ダンスや介護予防体操等、身体を動かす機会を増やし機能維持に努めています。利用者の障害の状況に応じて、地域リハビリテーションセンターのOTやPTのアドバイスをいただきながら日々の支援向上に努めています。介護予防体操やマッサージ、体操の先生からのアドバイス等を活かして利用者の機能訓練、生活訓練を実施しています。利用者一人ひとりの個別支援計画を定め、個別に機能訓練・生活訓練を行っています。マンツーマンで散歩を実施したり、日光浴や外気浴も取り入れています。個別支援計画の聴き取り調査を前期、後期の年2回実施していますが、必要に応じて都度利用者と共に検討し、見直ししています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の健康状態や体調変化等を、入浴や排せつなど支援のさまざまな場面を通じて把握に努めています。入浴時には、排便の確認、身体の状態(皮膚の状態や傷等)の確認を行っています。排せつ状況については、1日を通して利用者のトイレ誘導時や、支援員に自分で伝えられる利用者からは自己申告で確認を行っています。自分で伝える事が難しい利用者については入浴時やトイレ誘導時に、排泄記録表を用いて確認を行っています。また必要に応じて看護師が利用者の相談を聞いて対応し、往診時に医師への相談が行われています。日々看護師が利用者の体調管理を行うとともに、支援員からの報告で状態の確認を行い、状況に応じて医療機関に繋げています。利用者全員を対象に栄養ケアマネジメントを実施しています。また生活の中で、歩行や外気浴等健康維持・増進に繋がるよう支援を行っています。健康診断を年2回、婦人科検診を年1回行う等、定期的な体調管理を実施しています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:b】

医療的な支援の実施についての考え方が明確であり、実施手順や個別の計画が策定されています。医療的な支援については、日常的なケア(胃ろう等)が必要なケースは実施していません。日常的ではない医療的な支援(医師の判断での学園内での点滴や導尿など)については看護師が実施しています。医療的ケアが必要な利用者については、管理者、看護師、支援員で話し合い、医療機関と連携し対応しています。服薬等の管理は看護師が行い、服薬支援については、看護師・支援員で行い、誤薬がないよう取り組まれています。薬をセットする際は、必ずダブルチェックを行い間違いのないようにしています。慢性疾患やアレルギー疾患等のある利用者へのケアについては定期的に受診を行い、医師と連携して支援を行っています。必要時は通院の支援を実施し、医師の助言を仰いでいます。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の希望と意向を把握し、社会参加に資する情報や学習・体験の機会を提供するなど、社会参加への支援を行っています。Aネット2006(あつぎ福祉ネットワーク)主催の「利用者研修会」や「あおぞらパーティー」等に参加しています。参加する時は利用者は名刺を作成し持参しています。研修会では神奈川県内の工場見学等の実施や、パーティーでは、意見交換で交流したり、共同してうどん作りなどに挑戦して楽しんでいます。近隣農家の芋ほりの手伝いに参加する事で、施設内では見られないような利用者の意欲が発見できるケースもあります。コロナ禍の現在は、地域の関係機関や団体との連携に、リモートで参加するなど、随時最新の状況で判断し対応しています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の希望と意向を把握し、利用者の社会生活力と地域生活の意識を高める支援や工夫を行っています。法人が運営する就労継続B型事業所に通うことで、生活に必要な知識を得たり、生活の意欲を高めることが出来ている利用者もいます。また、個別支援計画書作成時には利用者との面談を通じて、本人の意思や希望を把握しています。利用者本人の希望を尊重して、関係機関等と連携を取り、地域移行の為の支援を行っています。希望に応じて、グループホーム等の事業所見学も実施し、地域生活への移行に向けた生活環境の情報を提供し支援しています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

コロナ禍の現在は様々な工夫をして、利用者の意向を尊重しつつ、家族等との連携・交流や家族支援を行っています。新型コロナウイルス感染症対策に伴い、家族等とはオンライン面会や電話等を使って連携してきました。緊急事態宣言が解除されている時期は、別棟に面会室を設置し、予約制15分の時間制限付き対面面会を工夫してきました。利用者の生活状況等については随時情報共有できるような対応をしています。家族等からの相談は、家族の会の時の面談や、電話、手紙等での助言等の支援を行っています。利用者の体調不良や、急変時は早急に家族等に連絡を入れ、情報共有できるように努めています。利用者の生活と支援に関する家族等との連携や、家族等への支援については、個別支援計画作成時等に、家族等に報告し連携しています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害児施設ではないため評価外

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

就労支援施設ではないため評価外

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

就労支援施設ではないため評価外

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

就労支援施設ではないため評価外