社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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逗子市こども発達支援センターくろーばー

2021年02月01日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 逗子市こども発達支援センターくろーばー 評価対象サービス 障害者・児福祉サービス版
対象分野 児童発達支援事業, 放課後等デイサービス 定員 20名 (発達支援事業15・デイサービス5) (利用登録者65名) 名
所在地 〒249-0005
逗子市桜山5-20-29  療育教育総合センター2階
TEL 046-876-5831 ホームページ 療育教育総合センター | 逗子市 (city.zushi.kanagawa.jp) (逗子市療育関係ホームページに統一)
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2017年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人  県央福祉会
職員数
常勤職員:9名 名
非常勤職員:8名 名
専門職員
児童発達管理責任者:1 名
児童指導員:7名(内非常勤2名) 名
保育士:4名(内非常勤1名)  名
看護師:1名(内非常勤1名) 名
施設・設備の概要
指導室:3
相談室:1
事務室:1
児童用トイレ:1
教材倉庫:2

③ 理念・基本方針
【くろーばー基本理念】

・私たちは、子どもと家族と共に、協働しながら、発達支援(療育)を行います。

・私たちは、自立的生活を意識した発達支援(療育)を行います。

・私たちは、想像力(創造力)豊かで、専門性の高い発達支援(療育)を行います。

・私たちは、逗子に根ざし、地域と共にある発達支援を行います。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
・市民に向けた研修会を年3回開催している。

・利用児が所属している幼稚園、保育園、学校等の巡回相談を行っている。

・各部門、各クラスの療育内容について、外部講師による月1回のスーパービジョンを受けている。

・月1回のケース会議は、外部講師の指導を受けて行っている。

・放課後等デイサービス利用児に向けて、自立と社会参加を目指し、月1回土曜プログラムを実施している。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2020/05/18(契約日) ~2021/01/15(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(平成29年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1)一人ひとりの児童に合わせた支援計画とサービスの提供
くろーばーの支援対象児童の発達状況は、軽度の躓きから言語によるコミュニケーションの困難な重度障がいまで様々で、個別支援計画は、送り元のひなたスタッフとの検討結果等を基に親子関係も含め総合的にアセスメントし、保護者との話し合いにより作成しています。
支援は児童の障がいに合わせ個別又はグループの形で、環境にも配慮して行います。放課後デイでの余暇活動は参加の有無と内容を児童自身で決定し、療育の自由遊びも、児童の関心や意思を基に児童が自分なりに選択して活動しています。
支援プログラムは、児童の理解度や特性に合わせてクラスごとに職員がチームで作成し、特にコミュニケーションの取り辛い児童には、絵カードや見本など視覚を利用した道具を使用したり、言語の代わりにリズム楽器を叩いて会話するなどの工夫をしています。

2)利用者が所属している保育所等との情報共有と連携
くろーばーでは、児童の発達の基本は、家庭や普段所属している保育所等の生活場面であると考えており、保護者との情報の共有や児童の所属する幼稚園・保育所・学校への巡回相談による連携を大切にしています。保護者とは個別面談、家族懇談会やアンケート、連絡用紙等を使い意見や希望を聞いていますが、最も重視しているのは日々の保護者とのコミュニケーションで、迎えに来た保護者と児童の情報を直接共有しています
巡回相談も、事前調査から打合せ、相談、保護者へのフィードバックまで丁寧に、親、日中の保育者とくろーばーが一体になっての養育に繋げています。

3)療育サービスの質の向上を目指した人材育成
法人の人材育成システムであるチャレンジシートや「ホメールカード」を活用しています。
事業所としては研修への参加を勧奨し、自己研修についても勤務や費用について負担軽減の配慮をしています。又、毎月外部講師を呼び、ケース会議でのスーパービジョンや療育場面でのモニタリングで、療育の質の向上を目指し職員の意欲向上に繋げています。新人研修は、基本的に先輩の職員がOJTの形で行いますが、独自の新任職員研修資料を作成しています。
改善を求められる点 1)ボランティアの受け入れ体制の整備
事業所として、ボランティアの受け入れは行っていません。又、ボランティア受入れについての姿勢等も明文化したものは作成していませんが、現在事業所では、新しく始めた土曜日プログラムを更に充実させたいと考えています。
ボランティアを活用することは、多様な土曜日活動のプログラムの提供に繋がり、利用者のより自立に向けた社会活動が行えることが期待されます。 受入れを前提に、基本姿勢の整理や受け入れ態勢の整備が望まれます。

2)標準的なサービス実施方法の文書化
巡回相談の記録様式は、福祉サービスの標準的実施方法に添えるものになっていますが、事業所での療育等については文書化されたものがありません。個々の利用者に対する、又は同様の障がい特性のある児童へのサービス提供の方法について、担当者が交代しても対応できるよう、標準的な実施方法の文書化が望まれます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
評価を受けることにより、改めて、我々の事業所を全体的に把握すること ができました。特に、改善点として発見していただいた①ボランティアの受け入れ体制の整備、②標準的なサービス実施方法の文章化 に関しては、今年度から計画的、積極的に改善をしていきたいと思います。
また、逆に高い評価を3点もいただきました。このことは、自分たちでも気づかなかったため、事業運営に自信が持てました。これらの強みを自信につなげ、魅力ある事業づくりを今後も行い続けていきたいと思います。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

事業所は、逗子市の委託事業として運営されており、事業所の理念は市の相談機関である「ひなた」と共同で、市の療育理念に基づき策定しています。職員には、法人の理念・基本方針等と併せて事業所内に掲示するとともに園長が年度当初に職員会議で説明をし、利用者や家族には4月の説明会で理念や事業計画等の内容を説明しながら周知しています。
更には、職員に対しきちんとした読み合せを行うことや、利用者に対してより伝わり易くするための工夫が必要と考えています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

逗子市における福祉計画については、事業運営の基礎となるものであり、十分に把握しながら運営しています。しかし実際には赤字が続いており、月次試算表をもとに、毎月の職員会議や朝礼時に園長が職員に経営状況を説明し、改善策についても投げかけています。
職員は、利用率等の分析をし、全体として効率的な運営について努力していますが、今後は分析を更に充実させるともに、消耗品等法人本部で一括購入している支出についても事業所で把握できるとより改善できると考えています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

経営状況については、毎月の月次試算表で本部役員と情報の共有がなされています。課題については、本部役員のコメントが事業所に返されています。事業所としては、職員共々課題について検討し、利用する児童の療育を適切に提供することを大前提にしています。利用者のニーズにも応えて、通所日や開所日を増やし、利用率の向上を図りました。
物品購入の工夫で支出を押さえ、業務を一人で抱え込まず皆で分担することで残業時間を減らすなど、人件費削減にもつながる効率的な運営にも取り組んでいますが、更なる取り組みが必要と考えています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

中・長期計画は、事業の委託元である逗子市や法人全体で策定されていますが、事業所では市の委託事業であり、市の中期計画を基に運営しています。経営的な困難や取り組むべき課題については、単年度の事業計画の中で明記しています。
法人では、2019年度以降の中期プランを策定中で、園長に対しては、中・長期計画を策定するための研修を実施しています。事業所においても中・長期計画を策定し職員への周知を図ることなどにより、改善に向けた取り組みが成果に繋がることを期待します。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

単年度事業計画には、事業所の目的や方針、重点目標、重点課題等が明記され、過年度の事業報告書に記された重点課題の結果を踏まえて、療育サービスの内容、職員が取り組む活動等、項目や回数が具体的に示されています。
しかし、事業所独自の中・長期計画は策定していません。職員には見えにくくなっている市の福祉計画や法人の中期プランを明確に周知した上で、具体的な目標を設定し実施状況の評価が行えるようにすることを期待します。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画は、園長が原案を作成し、2月の職員会議に提出して全職員で内容を検討します。その後、各職員の意見等を集約し、改めて職員会議にかけて策定しています。
事業計画書は、新職員が決定し体制が決まる4月に全職員に配布します。4月の職員会議で職員に周知しており、その年度に確認された課題は、翌年度の事業計画書に反映し、新たな事業計画書を策定していますが、全職員が参画したという認識が十分ではありません。策定過程での工夫を期待します。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画は、年度の始めに、事業所から家族への新年度説明会において説明しています。事業所の療育提供の目的や考え方、活動の主な内容や年間計画、簡単なトピックスなどの内容ですが、十分伝わっているかどうか、確認されていません。
今後、内容等について、より利用者や家族に伝わり易く、理解を深めるための工夫を検討する必要があると考えています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

勤職員は一人ずつ、法人で策定されたチャレンジシートを作成し、自己評価をしています。職員は、業務やそれぞれの成長のための目標を設定し、年間5回、園長と面談をして、進行状況やレベルを話し合います。非常勤職員にも同様の面談を行うことで職員の育成を図り、福祉サービスの向上に繋げています。
各事業については、事業を実施しながら園長が主任と話し合って課題を確認し、職員会議に諮った上で次年度の事業計画に反映させています。更に評価、分析等の事業所内での体制強化が望まれます。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

事業所内部の評価結果を踏まえて出てきた課題と併せて、毎年1回、保護者等がアンケートで事業所の評価をしています。結果は、年度末にアンケートによる評価と職員による自己評価を集計し、法人のホームページで公開しています。改善の必要があるものについては、園長から主任に、主任から職員に伝達して改善に向けた取り組みをします。
取り組むべき課題の改善点は、次年度の事業計画に反映しています。しかし、課題全てについての改善には至らず、引き続き改善の必要がある課題も残されています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

事業所では、業務分担表を作成し、立場や職種を明らかにし、役割分担表で担当業務を明確にしています。管理者は4月の職員会議で、事務分担表を職員に配布し、年間計画の説明と共に方針を表明しています。
管理者不在時の責任体制については、法人として主任が補佐することについて職員に周知されています。保護者等利用者に対しても、4月の説明会で職員が自己紹介を行い、役割や責任を明確に伝えています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

管理者は、法令等の情報に関しては、法人本部からの情報や所長研修に参加することで把握しています。又、福祉関係法令の改正等に関しては、神奈川県所管課からのメールや研修により情報を得て、法令遵守に努めています。
管理者が研修等で把握した制度変更などの情報は、必ず職員会議等で職員に周知していますが、更に研修等で法令等の学習をしていくことを考えています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

管理者は、福祉サービスの向上のためには、職員の質の向上が不可欠であると考えており、その方法として法人のシステムであるチャレンジシートを活用しています。
各職員と年間5回の面談を行い、一人ひとりについて目標を掲げ、進捗を確認しています。その他、主任と共同して様々な場面で職員の意見を把握することで、福祉サービスの向上を図っています。併せて、職員会議を有効な情報提供の場として活用し、様々な研修メニューを用意し参加を勧奨するなど、職員が前向きに業務に取り組める環境を作っています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

本事業所は、逗子市の委託事業として運営をしていますが、毎年度赤字経営となっているため、経営や業務の健全な執行に向けて分析し、職員会議においてこまめに財務状況を伝え、経営改善に向けて職員に提案し実践しています。
改善は、利用児にとってより良い療育の提供であることを基本に、開所日や児童一人の通所日数を増やし、受け入れ児童の幅を広げ、保育所まで通所児童を迎えに行くサービスを開始するなど、利用しやすい施設づくりに努めています。更なる職員と協働の工夫が期待されます。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

人材の確保や育成は、法人本部の明確な方針の下、事業所も組織的に取組んでいます。人材育成については、法人で年間の研修計画が作られ、キャリアに応じた研修の他、特に人権や情報管理の研修には力を入れており、事業所でも研修への参加を勧奨し参加し易いよう配慮しています。
事業所では、新卒職員用研修資料を作成し、チャレンジシートを活用した人材育成やOJTなどで、職員のキャリアアップを図っており、今後も継続した取り組みが期待されます。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人では、期待する職員像について、職員倫理行動綱領や行動マニュアル等で具体的に示しています。昇格などの基準は法人の規則で定められ、法人の人材育成のツールであるチャレンジシートが、職務遂行の成果の評価・分析手段として活用されています。
しかし、チャレンジシートがどのように人事管理に活用されているか分かり辛いと感じている職員もおり、管理者は、全職員に対し日常業務を通じてコミュニケーションをとり、更に職員を理解する必要があると考えています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

管理者は、チャレンジシートを活用した各職員との面談の他に、日常的に声掛けをして職員の状態を把握し、希望や意見を話し易い環境作りをしています。休暇や時間外勤務についても日々把握し、職員の過度の負担を軽減するよう配慮しています。又、朝礼でこまめに情報を伝達することを心がけ、「ホメールカード」等を活用して、職場の一体化を図っています。
課題として、職員とは、人員増と資質向上との兼ね合いについて話し合い、理解を得る必要があると考えています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人は、期待される職員像を、理念や使命とともに、職員行動指針や行動マニュアル等で、具体的に周知しています。
法人では、全常勤職員がチャレンジシートを年度初めに作成し、各職員が設定した目標や達成状況を園長が面談によって確認しています。年度途中のモニタリング等複数回の面談で、職員は振り返りの中で自らの成長と課題を確認しています。又、非常勤職員にはこの制度の適用が無いため、園長は、個別に同様の内容で複数回の面談を行い育成を図っています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

法人では、職員に対し期待する職員像を示すとともに、職員研修規程で、研修の目的を明記しています。具体的には、法人全体の年間研修スケジュールが組まれ、人権等全体研修や階層別研修が行われ、年度毎に内容やカリキュラムを見直しています。
事業所では、事業計画で療育の資質向上を重点課題として掲げ、専門職員としての基本的な姿勢や持つべき専門的技術を高める必要性があることから、独自の研修と併せて、法人内外の研修への参加を勧奨しています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

法人による全体研修や階層別研修に関しては、それぞれ対象となる職員が参加しています。
事業所では、個々の職員の成長に必要な研修や、技術的な専門性向上を目的としたOJT中心の研修を行っています。新任職員用研修資料作成、先輩職員から後輩職員への技術指導、療育場面を別室でモニタリングできること、外部講師による月1回のスーパービジョン等で職員の質の向上を図っています。又、外部研修への参加も奨励し、代休処理や費用の負担をして支援しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

実習生は、県内の大学から保育士実習を受け入れています。実習生受け入れマニュアルが整備されており、現場では各クラスリーダーがマニュアルに基づいて、実習生の指導に当たっています。実習中は、個人情報の取り扱いを始め、守るべきことを確実に伝えるとともに、学校側とも話し合いによって実習の効果を上げるよう取り組んでいます。
保育士実習のため、指導者研修は実施していませんが、今後に向けて研修の実施が望まれます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人では、理念や基本方針、財務状況等について、本事業所の状況も含めホームページ等で公開しています。
事業所については、逗子市の療育施策の一環で、市が作成したホームページで公開されています。又、第三者評価事業の受審結果は公表していますが、苦情・相談に関しては個人情報保護に配慮し公開していません。独自に作成したパンフレットは、施設利用の仕組みを考慮し、療育相談を受けている市の障がい福祉課と「ひなた」の窓口のみに配置し、地域全体に向けた広報等は行っていません。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

事業所では、年度当初に職員体制と業務分担表を作成、全職員に配布して、職務の権限・責任について全職員に周知しており、職場内での報・連・相が日常的に行われています。経理・運営に関しては、法人内部監査を年1回、外部監査法人の監査も定期的に受けています。
監査結果は、所長会議、理事会、評議員会で報告され、指摘された運営課題については、管理者と本部役員等の間で話し合い、改善策を検討しています。内容はその都度職員に報告し、会議で協議をしていますが、更なる改善への取り組みが必要と考えています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

事業所では、理念の一つに「地域とともにある発達支援」を掲げています。地域の活用できる資源情報は、玄関内に掲示しています。
一般市民や療育支援者等に向けた研修会を主催したり、市や社会福祉協議会のイベントで市民の療育プログラム体験や、小・中学校で福祉や発達障害の話をしていますが、利用者と地域との交流を広げる活動については十分ではないと考えています。土曜日プログラムでは、地域の資源を活用した活動を広げる方向で検討、実施しています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:c】

事業所の業務に係るボランティアの受け入れはありません。又、受け入れに関する基本姿勢を示したり、学校教育との連携も行っていません。
今年度から、土曜日プログラムを実施しており、外出を主にした活動で、地域の社会資源を活用して、社会体験を中心としたプログラムを検討しています。このプログラムを実施する上では、ボランティアの協力があるとよいと考えており、今後の課題として受け入れについて検討していく予定です。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

逗子市で実施している自立支援会議に、園長が毎月出席しています。市の障がい福祉等担当課、保健センター、相談支援事業所、その他市内の障がい福祉関係機関が参加し、情報交換を行っています。又、学校でのカンファレンスや要保護児童対策地域協議会にも必要に応じて出席し、困難ケース等共通の課題を協議したり、技術的な情報を交換し、内容は、園長が職員会議で報告しています。
市の療育相談機関「ひなた」との定例会を実施していますが、更に密な連携と相互理解が必要と考えています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

市が福祉計画を策定する際は、市民ヒアリングを行っており、事業所としてもこれを通して、住民の生情報を把握しています。日常的には、自立支援協議会などの定期的な連絡会議等でニーズの確認をしています。通所児の所属する幼稚園や保育所、学校に巡回相談として出向き、療育について協議しながら、幼稚園・保育所等の課題やその他の児童に関する様々なニーズを把握しています。
毎年利用者満足度調査を実施し、通所児やその家庭のニーズの把握に努めていますが、更に幅広いニーズ把握のために、ひなたとの連携強化が必要と考えています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

事業所は逗子市が主催している、市民が障がいを知るイベントに実行委員として参加し、参加者に療育体験をしてもらうなどの活動をする他、市民向け研修会や気になる児童を保育している保育所・幼稚園の支援者向け研修を開催するなど、地域において事業所の専門性を生かした活動を行っています。災害時の福祉避難所としても、役割を認識しています。
その他、法人全体で取り組んでいる、横浜市寿町での生活困窮者対策の炊き出し活動に、職員を派遣していますが、公益的活動全体は不十分と考えています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人の理念・基本方針や事業所の基本理念に、利用者を尊重したサービスの実施について明示しており、園長が年度当初に職員会議で周知するほか、事務所内にも掲示しています。法人主催の全体研修では虐待防止など人権をテーマにし、職員全員の受講を必須としています。県内の園長会では身体拘束をテーマにした研修を行っています。
職員会議では児童版倫理綱領を確認するほか、身体拘束禁止の対象となる行為や、やむを得ず行う時の手続きについて国や県の手引き等の確認を行っていますが、定期的な読み合わせには至っていません。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人の「職員倫理行動マニュアル」や「職員倫理行動綱領」に利用者のプライバシー保護を明記し、職員に周知を図っています。利用契約時には保護者から「写真撮影及び使用に関する同意書」を取得し、療育場面や行事の際の写真撮影等を行っています。
クラス単位で行う活動の振り返りの場面では保護者間で子どもの情報を共有化するため、保護者の不安が生ずる可能性も考慮し、プライバシーへの配慮に留意するように考えています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

くろーばーの利用希望者は、市の方針を受けて必ず市の療育相談窓口「ひなた」の相談を経由して見学につながります。見学は「ひなた」の職員も同席して行います。利用希望者への説明には園の見取り図や写真入りの職員紹介資料などを用いて、分かり易い説明に努めています。同日は療育の体験も行います。
事業所の紹介パンフレットは市が作成し、「ひなた」から利用希望者に渡されますが、公共機関など多くの人が入手できる場所には置かれていない状況です。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

サービスの開始時には利用契約書、重要事項説明書、個人情報の取り扱いや写真撮影や使用等について保護者に説明を行い、同意のサインを各書面に残しています。個別支援計画書については、利用契約前に保護者と面談を行い、計画案について話し合っています。必要に応じて案に修正を加えた上で、利用契約時に同意を得ています。
利用契約に際しては、保護者が困難を抱えサポートを要する状態にある場合、個々に応じた説明を行い、必要に応じて園長もサポートにはいるなど、説明と同意のプロセスにおいて工夫や配慮に努めています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

事業所の利用終了時は、一時利用の説明、相談支援事業所や「ひなた」など相談機関の情報提供を行っています。サービスの継続性に配慮し、関係機関との連携にも努めています。「ひなた」とは相談員・心理・OT・PT・ST等の専門職を交え週1回定例会議を行っています。
特に配慮を要するケースについては要保護児童対策地域協議会に出席し関係機関と情報共有を図っています。就学に向けては保護者の同意を得て、学校に個別支援計画に関する情報提供等を行っています。サービスの継続性に配慮した業務の手順書は未作成です。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

毎年1回、利用者満足度調査を実施し、園長が取りまとめた結果を踏まえ、各クラスの主任や関係職員と共に、必要な対応を図っています。利用者の意見や対応策は公表しています。今後に向けては利用者参画の下で調査結果の分析・検討を行う会議等の設置により更なる利用者満足の向上が期待されます。
個別支援計画の作成及びモニタリング時に行う保護者との個別面談の機会や、職員同席で行うクラス懇談会、母親懇談会、父親懇談会など、様々な場面で利用者満足の把握を行っています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

「苦情解決に関する規則」に基づき、苦情解決の仕組みを整備・運用しています。苦情解決責任者、苦情受付担当者、第三者委員の設置については、重要事項説明書を用いて利用契約時に保護者に説明しています。各担当の顔写真や連絡先を掲載した苦情受け付けポスターは、常時廊下に掲示しています。
その他に利用者満足度調査や、「みんなの声ボックス」の設置など、様々な方法で苦情を申し出しやすい工夫をしています。利用者満足度調査で出された意見と対応は公表していますが、苦情・相談については、個人情報保護に配慮し公表はしていません。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

年2回の定期面談のほか、希望に応じて随時個別面談を行い、利用者が相談したり意見を述べることができます。面談には相談室等を用い、プライバシーにも配慮しています。年度初めには、保護者が相談や意見などを自由に記載できるA4版の「連絡用紙」を全員に配布し、連絡帳にはさんでいつでも提出ができる旨周知しています。
苦情受付ポスターには、苦情に限らず「困ったことがあったら」施設長や担当者、第三者委員に相談するように、と相談相手を選択できる旨を分かりやすく説明し、廊下に掲示しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

利用者からの相談・意見については、個別面談、連絡用紙、利用者満足度調査、家族懇談会等で把握に努めています。「連絡用紙」が提出された場合は、担当から回答期日を保護者に伝え、園長、主任と共有の上、回答しています。相談対応マニュアルは未作成です。
一日のプログラムが終了後、クラス毎に活動や児童の様子を振り返り、職員が保護者にフィードバックしています。保護者から相談や質問が出されれば、職員が回答するほか、保護者からも経験談等が話され、相互交流を図りながら、保護者の相談や意見を把握する場となっています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

ヒヤリハットはヒヤリハットシートに記入し、朝礼で報告後、速やかに対応策の検討・共有を図ります。利用者送迎時の事故防止には「運転チェックシート」を活用しています。事故報告については、理事長をはじめ法人幹部から文章でコメントをもらい、フィードバックしています。
ヒヤリハットや事故報告のデータは、法人全体で共有し、リスクマネジメント委員会がデータ分析を行います。園長は必要な情報を閲覧し、職員に周知するなど事故防止に役立てています。分析データに基づき事業所内の事故防止策の検討や実施・評価の取り組みが期待されます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

業務分担表において看護師が園内の保健衛生に関する事務分掌を担うことを明示しています。看護師を中心に感染症対策に取り組んでおり、新型コロナウイルスの予防、手洗いの方法、ノロウイルス対応に係る嘔吐処理の手順などについて資料を作成し、職員会議にて研修を行うなど、職員に周知徹底を図っています。感染症の予防と発生時等の対応マニュアル等は定期的に見直していません。
入職時、職員全員に配布する法人作成の職員ハンドブックにも、感染症対策のマニュアルを掲載しており、個々の職員がいつでも確認することが可能です。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

消防計画等に基づき年6回以上の避難・防災訓練を実施しています。通報訓練では消防署の協力を得ています。災害時には園長が緊急連絡用の電話、日誌、名札、緊急時対応マニュアルを持ち出します。マニュアルにはハイリスクの児童の疾病や症状、医療機関などの連絡先、急変時の対応の手順などをまとめています。災害時の職員の安否確認はNTTとの契約で、メールにより行っています。
一時避難場所としては、急傾斜地に面していることが課題です。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

保育園、幼稚園、学校への巡回相談の記録様式は、順序だてて実施項目を明示していることから、標準的実施方法としての機能を備えています。保護者への確認項目として、保護者のニーズ、巡回相談実施の許可、くろーばーの様子を伝えることの許可、保護者からの情報を園に伝えることの許可などを設けています。
説明と同意に基づく実施により、プライバシー保護に配慮する内容となっています。巡回先との調整の段取りも確認項目として盛り込んでいます。担当者への事前の指導や事後の記録の園長決裁により実施状況を確認できる仕組みとしています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:c】

標準的な実施方法の文書化や、定期的な検証・見直しのしくみが十分でありません。職員の違いによるサービスの水準の差異をなくすため、リーダーや担当の交代や不在時においてもサービス提供の水準確保の一助となる標準的実施方法の更なる文書化の検討が期待されます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

児童発達管理責任者は園長です。アセスメントでは、障がい特性や発達課題など子どもの見立てと共に「保護者の願い」を重視し、計画に明示しています。1月半ば位には個別支援計画(案)を作成し、個別支援計画作成会議での検討、保護者への説明と同意を経て3月末に計画を確定します。必要に応じて看護師や、「ひなた」の専門職の協力も得ます。
個別支援計画の実施にあたっては園長が日々の活動場面を巡回して職員指導にあたるほか、スーパーバイザーを定期的に招き、活動場面の観察を経て事例検討を実施するなど、専門性の向上に努めています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

モニタリングは6か月に1回実施し、7~8月から開始します。児童発達支援管理責任者である園長は担当と共にアセスメントを実施し、ニーズや現況の確認、目標、支援内容等の振り返りを行い、必要があれば計画の見直しを行います。個別支援計画作成会議で協議・検討の上、9月末には保護者への説明と同意により計画を確定し、職員に周知します。
定例のモニタリングの時期以外でも、個別支援計画を緊急に変更する必要があれば、モニタリングと同様の対応を図り、計画変更のプロセスを実施します。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

ケース記録は手書きで、統一した様式に記録しており、個別支援計画にもとづくサービスが実施されていることを確認することができます。園長はケース記録を3か月に1回、確認することとしています。職員により記録の書き方に差異が生じないように、ケース記録の書き方のポイントを資料に作成し、事業所内で研修を実施しました。
毎朝の朝礼や、月1回の職員会議の場も、サービスの実施状況等の情報共有の機会としています。園内におけるパソコンのネットワークシステムによる情報の共有は今後の課題です。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

法人作成の「個人情報保護規程」において、記録の収集、保存、廃棄、情報提供、個人情報の漏洩等に対する対応方法などを規定しています。利用契約時には、保護者に対し契約書に基づき守秘義務についての説明を行っています。個人情報の提供について、目的、情報の範囲、提供先などを説明し、書面による同意を取っています。記録管理の責任者は設置されていません。
プライバシーの保護や守秘義務については、法人の「倫理行動マニュアル」及び「倫理行動綱領」にも定めており、職員は内容の確認や遵守に努めています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

児童発達支援では、単独もしくは親子の少人数のグループで子どもの「楽しい」という気持ち、「おもしろい」という興味や関心、「やってみたい」という意欲を大切にし、遊びや活動を行っています。2、3歳児の親子グループの例では「いろいろな楽器に触れよう」、「いろいろな遊具でからだを動かそう」などのテーマで、自由に遊べる環境を作ったり、自由遊びの時間にはコーナーにオモチャを準備し、主体的な遊びの発展を促しています。
放課後等デイサービスの余暇支援では、利用者の希望や意向を尊重しながらプログラムを決めています。月1回の土曜プログラムでは、ボーリング、カラオケ、電車で外出、レストランでの食事などのメニューの中で利用者が参加・不参加を決めるなど自己決定を尊重しています。支援の環境設定においては、個々の障がい特性に応じた合理的配慮に努めています。 職員は法人の全体研修の参加により人権への理解を深めています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利侵害の防止等に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:c】

利用契約書には、「緊急かつやむを得ない場合を除き、本人の行動を制限するような行為を行わない」旨を明示しており、契約時に保護者に説明し、同意を得ています。療育の活動室入り口の施錠は、療育機関として生命や安全を守る目的での使用として行政の承認を得ています。
権利侵害の防止に向けて 職員は法人主催の虐待防止研修等に出席し理解を深めています。身体拘束の取扱いについては園長会で研修テーマとした機会を捉え、園長が職員会議や朝礼、回覧等により職員への周知を図っています。また職員会議では児童版倫理綱領の確認も行っています。
現在は身体拘束を行っていませんが、今後に備えて、車いすの座位保持に伴うベルトやテーブルの使用など、緊急やむを得ない場合に一時的に実施する際の具体的手続きと実施方法の明文化や、関連様式の作成は課題です。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

基本理念には「自立的生活を意識した発達支援(療育)」を明示しており、子どもが一連の活動を自立して主体的に取り組める様に、個々の発達や障がい特性をアセスメントし、活動のプログラムづくりや環境設定を工夫しています。具体的には、くろーばーではできないが、家ではできたり、外では食べないが家やくろーばーでは食べられる理由を探ったり、幼稚園ではどうか、新しい人とはどうかなど、どのような相手、場所、状況であればできるのかなどを詳細にアセスメントし、支援を組み立てています。また、自立に向けた動機づけには、「強みを活かす」ことを大切にしています。既成概念に捕らわれず、例えば、キャラクターが大好きで数十個のキャラクターの名前が言えることも強みとして支援に活かします。保護者も気づかなかった「強み」を見出し、保護者とも共有化することで、保護者の視点にも変化が生まれてきます。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

障がいや発達など個々の状況に応じて、様々な方法によりコミュニケーション支援を行っています。例えば重度の障がいのある児童の場合には、打楽器の大太鼓を正しく叩くことを支援の目標にするのではなく、手で触る、口で触れるなど、個々に応じた打楽器のリズムでコミュニケーションを楽しみます。
自閉症など障がい特性などから言葉による指示の理解が苦手な子どもについては、実物、写真、絵カードなどを活用した視覚的な支援によってコミュニケーションを図り、自立的な活動を支援しています。毎月の身長・体重など身体計測の際には絵カードを用い、何をするのか子どもに分かりやすく伝える工夫もしています。
現在はコミュニケーション機器を利用する児童の在籍はありません。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

保護者については、個別支援計画とモニタリングのための定期面談を年2回行うほか、希望に応じて随時個別相談を行っています。年度初めには、保護者が相談内容を記載できるA4版の「連絡用紙」を配布し、連絡帳にはさんでいつでも提出できることとしています。「連絡用紙」は受け取ってから一週間以内を回答期限の目安としています。個別支援計画の策定にあたり、「保護者の願い」を聴取の上、計画の冒頭に記載しています。支援の出発点を「保護者との願い」とし、子どものアセスメントを保護者と共有しながら、計画の目標や支援内容に反映させています。
放課後等デイサービスでは、子ども本人の相談内容によっては、学校や、児童発達支援センターとも連携し、情報共有や、支援方針の確認などの対応を図っています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:b】

児童発達支援では、障がいや発達など個々の状態に応じてクラス分けをし、月毎に目標を決めて活動を行っています。4、5歳児の単独通園クラスのプログラムでは、自由に遊ぶ時間と課題に取り組む時間を組み合わせて活動を行っています。自由遊びの時間は、コーナーのオモチャを自由に選び、主体的に遊べる環境としています。
放課後等デイサービスの余暇支援では、本人の希望やニーズに基づく支援を行っています。月1回の土曜プログラムでは、ボーリング、カラオケ、電車で外出、レストランでの食事などのメニューの中で利用者が参加・不参加を決めています。地域に関する情報提供については、市主催の「ふれあいフェス inずし」など催し物の開催を周知しています。今後には、障がい者雇用に積極的な大手ハンバーガーショップでの接客や調理などの職場体験を土曜プログラムに導入する計画も進めています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画に基づき、個々の障がい特性や発達に応じた支援を行っています。支援方法は個別支援計画作成会議で検討し理解・共有しています。
支援の質の向上に向けては、職員は専門知識の習得に向けて、法人内外の研修会に出席しています。スーパーバイザーを講師に招き月1回ケース会議を開催し、支援困難ケース等の事例検討を行っています。スーパーバイザーは事例検討に先立ち活動場面に同席し、子どもや職員の支援場面の観察を行います。一か月後にケース会議に参加し、子どもの見立てを職員にフィードバックしたり、アセスメントや支援方法についてのスーパービジョンを行っています。ケース会議を定期的に行うことで、日々の療育内容の振り返りの機会にもなっています。
ハード面では、活動室内の支援の様子を観察できるモニター室を設置しており、活動場面の観察により、子ども理解や支援方法の共有が可能な環境整備を図っています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

給食は提供していませんが、持参した昼食を摂る親子の場合、昼食時間を使って保護者から食事に関する相談を受けたり情報共有を図る機会としています。個々に応じたスプーンやフォークの形態の見立て、障がい特性からくる感覚の過敏さと偏食との関係、子どもが食べやすい調理方法についてなど、必要に応じて保護者への助言も行っています。
排泄支援については、個々の心身の状況に応じて排泄自立に向けた支援を行っています。障がい特性から音への過敏さがトイレでの排泄を困難にしている例もあり、個々の障がいや発達を理解し、支援方法の工夫に努めています。
歩行器の使用など移動の支援については、市の療育相談室「ひなた」のスタッフであるPTの協力を得て行っています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

活動の場はバリアフリーとし、安心・安全に配慮しています。現在コロナ禍という状況の中で、衛生面に留意し、清掃方法等を見直し、部屋の消毒の仕方などについて整理を図りました。自閉症などの障がい特性により、周囲の刺激に敏感な子どもが落ち着ける空間をつくるため、部屋のコーナーにパーテーションを設けるなど生活環境の工夫を行っています。
利用者の意向等を把握する取り組みとして年1回、利用者満足度調査を行い、意見や対策を公表しています。環境については活動スペースの十分な確保、本人にわかりやすい構造化された環境、設備のバリアフリー化、清潔で心地よい環境設定についてなどを評価の項目としており、直近の結果でも回答者の9割程度が適切である旨回答しています。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画に基づき、市の療育相談室「ひなた」の専門スタッフである理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の助言・指導のもとに、子どもの状況に応じた機能訓練等を実施しています。
利用者一人ひとりの計画を定めて機能訓練・生活訓練を行っています。利用者ニーズに対して実施頻度は低いことなど、訓練の実施のあり方は課題です。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

看護師を中心に、バイタルチェックや、活動場面の観察、保護者からの連絡帳等を通じた子どもの健康状態の把握に努めています。看護師は感染症予防など健康管理に必要な情報の資料づくりや職員会議での研修などを実施し職員に健康管理・増進に係る情報を周知しています。直近では、朝礼の時間を活用し、看護師がコロナ禍におけるインフルエンザの流行と予防接種について職員にレクチャーを行いました。
子どもの体調変化時の迅速な対応のため、ハイリスクの児童の既往症や症状、医療機関などの連絡先、、急変時の対応の手順などをまとめた「緊急時対応マニュアル」を作成し、緊急時に備えています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:b】

事業所では医療的な支援を要する児童について、特段の制限を設けず受け入れています。入所時には、児童状況調査票により、予防接種、通院先、主治医、連絡先、定時薬の確認を行っています。必要に応じて定時薬や発作時の頓服などの服薬管理も行っています。利用契約書には、病状の急変が生じた場合、速やかに家族に連絡すると共に協力医療機関又は家族の指定する機関での診療を依頼する旨明記しています。
医療的な支援については、看護師を中心に、職員、保護者と連携して取り組んでいます。子どもの体調変化など緊急時に備えるため、ハイリスクの児童の既往症や症状、医療機関などの連絡先、、急変時の対応の手順などをまとめた「緊急時対応マニュアル」を作成し、看護師を中心に安全管理に努めています。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

放課後等デイサービスは、自立への支援や集団生活への支援を柱としています。自立への支援では、家事や調理などの生活スキルの経験を通じ、自立に向けてのスキルアップを目指しています。集団生活への支援では作業活動、創作活動、地域資源を利用しての余暇活動などを通じて社会生活スキルを学んでいます。プログラムは利用者の希望を確認しながら進めています。
社会参加の取り組みとしては、月1回行う土曜プログラムで、ボーリング、カラオケ、電車を利用する外出やレストランでの食事など興味関心を広げる多様なメニューを工夫しています。参加・不参加は利用者の選択を尊重しています。
今後に向けては、将来的な就労をイメージし、社会参加の意欲を高めるプログラムとして、障がい者雇用に積極的な大手ハンバーガーショップで接客や調理を行う就労体験を土曜プログラムに導入する計画を進めています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

放課後等デイサービスでは、買い物や外出など本人が希望するプログラムへの参加を通じて、地域生活に必要な社会資源の理解につなげています。今後に向けては地域生活への意欲を高めるプログラムとして、障がい者雇用に積極的な大手ハンバーガーショップで接客や調理を行う就労体験を土曜プログラムに導入する計画も進めています。
児童発達支援では、子どもが在籍する幼稚園・保育園・学校などに巡回相談を行っています。これは「集団生活にのれない」「席に座っていられない」など、保護者や所属の相談ニーズに基づき、職員が訪問し、個々の障がいや発達を理解し、子どもの「強み」に着目していくことなどを話し合っています。巡回相談は保護者の同意の下で実施し、結果は保護者と情報共有を図っています。巡回相談の実施により、子どもの所属先の環境把握や教職員等との連携の契機となり、くろーばーでの療育の充実にもつながっています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

年2回の個別面談で保護者に支援の状況等を報告しています。活動の振り返りは保護者と共にクラス単位で行い、放課後デイでは保護者が迎えに来た時点で、子どもの様子などを保護者に報告しています。保護者からの質問等には職員が回答するほか、他の保護者からも意見が出され、相互交流を図りながら子どもへの理解を深める機会としています。
クラス毎の懇談会、母親懇談会、父親懇談会なども実施しています。父親懇談会は園長ほか出席者全員が男性職員という設定とし、話をしやすい雰囲気づくりにも努めています。家族支援の工夫としては、年度初めにA4版の「連絡用紙」を配布し、、保護者から相談があればいつでも何度でも提出できることとし、速やかな対応に努めています。子どもの病状の急変時の家族への報告は利用契約書に明記し、同意を得ています。
今後に向けては、保護者向けの勉強会を検討中です。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

児童発達支援では2、3歳児の親子通園クラス、4、5歳児の単独通園クラス、4歳児クラス、5歳児クラスなど、障がいや発達を勘案したクラス編成とし、個別支援計画に基づいた発達支援を行っています。活動は、子どもの「楽しい」という気持ち、「おもしろい」という興味や関心、「やってみたい」という意欲を大切にし、自立的生活を意識した発達支援(療育)をめざしています。
4、5歳児クラスでは、「魚釣り遊び」で、順番を守るルールを覚えたり、「粘土遊び」で指やはさみを使って切る・ちぎる手先の操作を覚えるなど、個別活動と集団活動を取り入れたプログラムを工夫しています。また1日の流れでは、集団でのプログラムを終えて、個々が主体的に遊ぶ自由遊びの時間へと移ります。
プログラムはチームで作成し、活動の振り返りや見直しも図っています。巡回相談等の機会を活用しながら保護者や保育園・幼稚園などの所属先とも連携を図っています。

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

就労支援以外の事業所のため評価外

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

就労支援以外の事業所のため評価外

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

就労支援以外の事業所のため評価外