社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

かながわ福祉サービス第三者評価推進機構 評価結果検索サイト

阿久和ドムスⅠ・Ⅱ

2022年01月28日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細

評価結果報告書

評価機関名 株式会社フィールズ
評価対象事業所名 阿久和ドムスⅠ・Ⅱ
評価対象種別サービス 共同生活援助
設立年月日 2009年09月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人県央福祉会
③ 理念・基本方針 ●この事業所が実施する事業は、利用者が地域において共同して自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、当該利用者の身体及び精神の状況並びにその置かれている環境に応じて共同生活住居において、相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の日常生活上の援助を適切かつ効果的に行うものとします。

●事業の実施にあたっては、利用者の意思及び人格を尊重して、常に利用者の立場に立ったサービスの提供に努めるものとします。

●サービスの提供にあたっては、地域及び家庭との結びつきを重視した運営を行い、市町村、他の障害福祉サービス事業者等その他の保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との綿密な連携に努めるものとします。
事業の実施にあたっては、前3項の他、関連法令等を遵守します。
④ 施設・事業所の特徴的な取組 利用者一人ひとりの生活を尊重し、施設利用によって利用者の基本的権利や利益が損なわれることがないよう、利用者の人格や行動を受け止め、『利用者一人ひとりの個別ニーズに即応した支援』に努めています。基本的な支援方針は利用者の施設利用前の生活習慣を尊重すると共に利用者の能力に応じて可能な限り自立と社会参加の機会が得られるよう、支援しています。
⑤ 第三者評価の受審状況 開始:2021年04月27日
終了:2022年01月05日(評価結果確定日)
受審回数:2回(2018年度)
詳細評価PDF

⑥ 総評

特に評価の高い点 1.積極的にコミュニケーションを図り情報共有し利用者主体の支援に努めています
利用者と職員、利用者同士、職員同士のコミュニケーションを重要視して支援を行っています。利用者と職員が個別に話をする場面を設け、利用者意向等を確認するとともに、一人ひとりの特性を理解して支援に活かすように努めています。日常の中でも、通院等一緒に出掛けた時はコミュニケーションを取るいい機会ととらえ、利用者の理解を図っています。職員同士でも、日誌や連絡ノートでのやり取りだけでなく出来るだけ顔と顔を合わせて伝達し、率直に意見交換を行い、利用者の様子や支援の経過を共有しています。得られた情報は職員会議等で周知し、支援の方向性を確認するのに役立てています。

2.利用者一人ひとりの個別ニーズに即応した支援を進めています
利用者や家族の困りごとには進んで向き合っています。利用者とは日頃から様々な場面で積極的にコミュニケーションを図り、遠慮なく相談できる、話し合える関係性の構築や維持に努めています。基本的な支援方針は施設利用前の生活習慣を尊重するとともに利用者の能力に応じて可能な限り自立と社会参加の機会が得られるように支援しています。支援はエビデンス(根拠)に基づき、個々の障害特性を鑑みて行っています。
改善を求められる点 1.利用者支援の標準化が期待されます
 世話人や支援員には非常勤職員も多く、シフト勤務で、職員会議や日頃のコミュニケーションで情報を共有していますが、支援の在り方や提供するサービスが統一されていないのが実情です。職員の経験年数も増え、利用者への支援も慣れてきた職員が増えてきています。しかし、それ故に支援の方向性と職員個人の解釈に差異が生じ、結果として利用者に混乱を与えてしまう場面も見受けられるようです。提供するサービスの統一化を図るためには、職員の研修参加が効果的と考えます。研修については、個々の研修内容やねらいを解説し主体的な学びの機会提供が望まれます。また、研修で得られた成果を共有できる機会を設けることも望まれます。今後は常勤、非常勤を問わず研修に参加して、得られた知識を現場の支援に活かし、サービスの統一化を図ることが期待されます。
Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
Ⅰ-1 理念・基本方針

◇努力、工夫していること

法人の理念、基本方針は事務所内の目につく所に掲示しています。職員へは入職時の研修で説明し、周知が図られています。利用者や家族にも入所時に説明しています。

◇課題と考えていること

理念、基本方針を事務所内に掲示してある事は職員全員が認知していますが、研修としては入職時だけなので、職員によって理解に差があると感じています。
Ⅰ-2 経営状況の把握

◇努力、工夫していること

経営環境や実施するサービスの内容、稼働率、利用者動向、組織体制や設備の整備、職員体制、人材育成、財務状況の分析を行っています。県外からの問い合わせ等ニーズがあり、常に稼働率の向上を目指しています。

◇課題と考えていること

Ⅰ-3 事業計画の策定

◇努力、工夫していること

毎年2月頃に1年間の事業計画を策定していますが、残念ながら中長期事業計画はありません。単年度の事業計画は、単なる行事計画ではなく、実行可能な具体的な内容となっており、評価、見直しを行っています。

◇課題と考えていること

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組

◇努力、工夫していること

月に1回職員全員参加の職員会議を開催しています。そこでは支援における課題の明確化や効果的な支援について話し合い、情報共有しています。年に1回自己評価を行い、評価結果を分析し課題の抽出、改善等サービスの質の向上に取り組んでいます。

◇課題と考えていること

短期的な課題には適宜対応できるようになっていますが、中長期的な課題への対応の検討が課題です。
Ⅱ 組織の運営管理
Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ

◇努力、工夫していること

管理者の役割と責任については運営規定に明記しています。管理者はサービスの質の現状について分析し、改善のための具体的な取組を明示して指導力を発揮しています。職員同士のコミュニケーションを重要視しています。

◇課題と考えていること

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成

◇努力、工夫していること

理念、基本方針に基づき「期待する職員像」を明確にし、職員一人ひとりの目標管理のための仕組みが構築されています。常勤職員は法人の年間研修計画に基づき研修を受講しています。外部研修も積極的に受講案内しています。

◇課題と考えていること

職員により研修への参加状況に偏りが見られることが課題ととらえています。
Ⅱ-3 運営の透明性の確保

◇努力、工夫していること

法人はホームページで理念や基本方針、提供する福祉サービスの内容、事業計画、事業報告、予算、決算情報を適切に公開しています。過去2回第三者評価を受講して評価結果を公表し、運営の透明性を確保しています。

◇課題と考えていること

ホームを紹介できるような媒体やパンフレットが無い事が課題と考えています。
Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献

◇努力、工夫していること

自治会に加入しており、地域のイベントや情報等があれば利用者に案内しています。利用者の個別状況に配慮しつつ地域の行事や活動に参加する際は、必要があれば職員が支援を行う体制が整っています。

◇課題と考えていること

地域の避難訓練や清掃活動等、地域一体となって行う行事への参加が必要だと考えています。

Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示

◇努力、工夫していること

理念や基本方針に、利用者を尊重した福祉サービスの実施について明示しています。権利擁護や利用者主体、虐待防止や意思決定を題材とする研修の案内をしています。プライバシー保護等利用者を尊重したサービス提供について共通の理解を持つための取組を行っています。

◇課題と考えていること

職員により研修への参加に偏りがみられることが課題です。
Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)

◇努力、工夫していること

サービスの開始時には、ふりがなをふった「サービス利用契約書」や「グループホームの生活についてだいじなことを説明します(重要事項説明書)」「個別支援計画」等で利用者に分かりやすく説明しています。同意については利用者の自己決定を尊重しています。

◇課題と考えていること

Ⅲ-1-(3)利用者満足の向上

◇努力、工夫していること

職員は出来る限り利用者一人ひとりと話ができる時間を設け、意見や不満、希望の聞き取りに務めています。聞き取った意見や不満、希望等は分析・検討しています。その結果にもとづき具体的な改善を行い、利用者満足の向上に繋げています。

◇課題と考えていること

Ⅲ-1-(4)利用者が意見等を述べやすい体制の確保

◇努力、工夫していること

苦情は苦情解決責任者、苦情受付担当者、第三者委員を設置して苦情解決の体制を整備し、利用者に周知しています。利用者からの相談や悩み事に関しては個別に対応しています。リビングには、「みんなの声BOX」を置いていつでも意見が言えるようにしています。

◇課題と考えていること

Ⅲ-1-(5)安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組

◇努力、工夫していること

感染症が発生した場合には適切に対応しています。ヒヤリハットや事故に対しては都度職員会議で振り返り、対策や検討を行っています。事例の収集も積極的に行われています。

◇課題と考えていること

どこからがヒヤリハットに該当するのか等、職員の認識にばらつきが見受けられます。常勤職員への報告が無いままになっていることもあるのが課題となっています。
Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
Ⅲ-2-(1)提供する福祉サービスの標準的な実施方法の確立

◇努力、工夫していること

利用者に対して特別な対応が必要な場合や、期間を設定して対応することが必要な場合は職員会議や職員伝達ノート等で周知しています。



◇課題と考えていること

Ⅲ-2-(2)適切なアセスメントによる福祉サービス実施計画の策定

◇努力、工夫していること

利用者のニーズや希望については、日常でのやり取りやモニタリング面談時等で随時聞き取りを行っています。6ヶ月に1回モニタリングが行われています。毎月全員参加で行う職員会議で、アセスメントが行われています。

◇課題と考えていること

それまでの経験や根拠に基づいた支援計画を策定するとともに、客観的な評価ができるようになることが必要と捉えています。
Ⅲ-2-(3)福祉サービス実施の適切な記録

◇努力、工夫していること

業務日誌に記録しています。個別に日々の記録が記録されています。

◇課題と考えていること

職員により視点や表現方法、添削にばらつきが見られます。
A-1 利用者の尊重と権利擁護
A-1-(1)自己決定の尊重

◇努力、工夫していること

権利擁護や利用者主体、虐待防止や意思決定を題材とする研修の案内を行っています。
事業計画では、「現場力の向上」として、取組が記載されています。

◇課題と考えていること

職員により研修への参加状況に偏りが見られることが課題です。
A-1-(2)権利侵害の防止等

◇努力、工夫していること

権利擁護や利用者主体、虐待防止や意思決定を題材とする研修の案内を行っています。
やむを得ない場合の身体拘束もなく、個室でのプライバシーが保障されています。


◇課題と考えていること

研修参加の偏りがあることが課題と考えています。
A-2 生活支援
A-2-(1)支援の基本

◇努力、工夫していること

利用者一人ひとりの特性や希望に応じて必要な支援を行っています。職員は利用者との関係性を丁寧に構築しています。特に付き添い等の際には、コミュニケーションの機会ととらえて接しています。

◇課題と考えていること

職員により特性の理解や受け止め方にばらつきが見られるため、客観的な評価による共通した認識や支援が必要と考えています。
A-2-(2)日常的な生活支援

◇努力、工夫していること

利用者一人ひとりの特性や希望に応じて必要な支援を行っています。小遣いの使い方や買い物、食事の配慮等、一人ひとりに対応しています。

◇課題と考えていること

職員により特性の理解や受け止め方にばらつきがみられるため、客観的な評価による共通した認識や支援が必要と捉えています。
A-2-(3)生活環境

◇努力、工夫していること

利用者一人ひとりの特性や希望に応じて必要な支援を行っています。居室の環境を整える事を手伝いながら一緒に進めています。

◇課題と考えていること

A-2-(4)機能訓練・生活訓練

◇努力、工夫していること

利用者一人ひとりの特性や希望に応じて必要な支援を行っています。
現在は特に訓練の必要な利用者はいません。

◇課題と考えていること

A-2-(5)健康管理・医療的な支援

◇努力、工夫していること

利用者一人ひとりの特性や希望に応じて必要な支援を行っています。月に1回、訪問看護師によるバイタルチェック等を受けています。必要に応じて通院の同行も行っています。毎日の歯磨き指導を行っています。

◇課題と考えていること

A-2-(6)社会参加、学習支援

◇努力、工夫していること

利用者一人ひとりの特性や希望に応じて必要な支援を行っています。地域のサークル等に参加したり、ほとんど全員が就労支援、企業等に通所や通勤をしています。

◇課題と考えていること

ホームが閉ざされた環境とならないよう、外部の社会資源の活用を増やしていきます。
A-2-(7)地域生活への移行と地域生活の支援

◇努力、工夫していること

利用者一人ひとりの特性や希望に応じて必要な支援を行っています。自立を目指す利用者には、相談にのり、モチベーションとなるように支援しています。

◇課題と考えていること

集団生活の場でもあるため、一人暮らしのような生活を体験できる環境を提供することが難しい状況です。
A-2-(8)家族等との連携・交流と家族支援

◇努力、工夫していること

利用者一人ひとりの特性や希望に応じて必要な支援を行っています。連絡帳や電話、送迎の際等に情報交換を行っています。

◇課題と考えていること

利用者と家族との、関係性や距離感を適切に設定することが必要な場面が多くあります。

その他特記事項:第三者評価機関として今後、特に課題として取り組みを期待したい事項

評価対象 第三者評価機関からのコメント
分類 日常生活の中での感染症予防や、衛生指導
帰宅時の手洗いうがい、検温等の日々の感染症防止策にはマニュアルもなく、取組も見られませんでした。夕食の調理では、三角巾、手袋は使用されていませんでした。家庭的な雰囲気の中でも、施設としての標準化や職員の意識向上といった取組が図られることを期待します。
分類 研修等で提供するサービスの統一を図る
世話人、支援員には非常勤職員も多くシフト勤務です。職員会議等で情報共有されていますが、支援の方向性と職員個人の解釈に差異が生じ、支援の在り方や提供するサービスが統一されていないのが実情です。今後は常勤、非常勤を問わず、積極的に研修に参加することが望まれます。研修で得られた知識を、提供するサービスに反映して全体的なサービスの統一に努めることが期待されます。
分類 専門性を生かした障害理解に基づく支援
障害者の支援を長く担ってきた法人として、専門性の高い障害理解をベースに支援を実践していくことが望まれます。法人として蓄積されたノウハウを活かして、利用者の自立やQOL(生活の質)の向上に向けての更なる取組の実践を期待します。
利用者調査の結果
①ヒアリング調査(本人) <ヒアリング対象者>
利用者本人 5 名(男性 3 名、女性 2 名)
<ヒアリング方法>
事務室で職員の立ち会いなく調査員と利用者が1対1で面談しました。
<ヒアリングで確認できたこと>
①・丁寧じゃない。出来ない人として見ている。対等に見て欲しい。
・スタッフとはよく話をしています。
・気の合わないスタッフがいる。帰ってくると必ず顔を合わす。
②・声をかけてくれる。居ない時、部屋の換気をしてくれる。
・あまり入ってこないです。
・女性で部屋をきちんと片付けることができているため
③・非常勤がいる時は顔を合わせたくないので外にいるか部屋にいる。
・潔癖症で手を何度も洗うことを注意されたことが不本意
・人間関係で困っている。相談はしているが自分ががまんすべきなのか。
④・はい、そうですね。
・自立したいのでスタッフにも相談している。
 ・一緒に考えてくれる。
⑤・職員にコンタクト取りながらやっている。問題無い。
・お金は家族が管理しています。
 ・小遣い帳を付けている
⑥ 現在抱えている悩みとして
・人間関係に困っている(2名)相談したが解決できない
・両部屋が男性なので嫌
⑦・職員に相談している。職場の人に相談している。
・家族がいるので相談している
・1階の人とは仲がいい
⑧・すぐ対応してくれる。我慢する。
・持病があり、入院した。
・通院や服薬が必要
⑨・間違いなくフリーに動ける。空手や歌を習っている。
・DVDを見たり、人形を買いに行ったりした
・趣味がないが、仕事に行くときに駅前のコンビニに行く
⑩・常勤には大切にされている。楽しいです。好きです。
・自立したいとスタッフにも言っている。
・家にも帰ることができる。
評価後(評価結果を受け取った後)のグループホーム「コメント」
今回第三者評価を受けさせていただいて、改めて事業所の強みとこれからの課題を再確認する事ができました。より明確になった課題を真摯に受け止め、一つずつ丁寧に改善していきたいと思います。ホームの魅力となる点についてはさらに伸ばしていけるように努めます。
職員間での共通認識や周知等、全員が同じ方向を向いて日々の業務に努め、事業所全体のレベルアップを目指していきたいと思います。