社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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Nesting

2024年09月09日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 Nesting 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 自立訓練(生活訓練) 定員 20 (20人) 名
所在地 210-0806
川崎市川崎区中島3-14-7
TEL 044-742-7166 ホームページ https://issha-nesting.info/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2020年12月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 一般社団法人Nesting
職員数
常勤職員:3名  名
非常勤職員:4名 名
専門職員
社会福祉士:2 名
精神保健福祉士:1 名
施設・設備の概要
ミーティングルーム:2
事務所:1

③ 理念・基本方針
広く一般市民に対して、障害者や依存症に関する身体的・精神的・社会的な支援サービスを提供することによって、その生活と回復と社会復帰を支援し、依存症に関する調査研究・予防・相談・啓発を行うことにより、我が国の保健又は福祉の増進に寄与することを目的とする。
① 障害者のための相談及び支援事業
② 障害者のための社会復帰支援事業及び職域開発事業
③ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業及び地域生活支援事業
④ 地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に基づく事業
⑤ 介護保険法に基づく指定居宅サービス事業
⑥ 依存症対策に関する事業
⑦ その他当法人目的を達成するために必要な事業

④ 施設・事業所の特徴的な取組
巣を意味する英語「NEST」に「ING」をつけた「NESTING/ネスティング」とは、自分の居場所「巣」を居心地よくして楽しむライフスタイルを言います。依存症から回復するには今日一日をどう生きるか、「真実を語る、信じる、自己変容をする、夢や希望を追う、楽しむ」を仲間とともに体験する場所が必要です。
その目的のために依存症から回復するためのプログラムを実践してもらい、失敗を恐れずに何度でもチャレンジ出来る場所を提供できるよう取組んでいます。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2024/02/01(契約日) ~2024/09/03(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 回(年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 1)利用者がいつでもやり直せるような支援に努めています
施設では、利用者がアルコールやギャンブル(アディクション)の依存から脱却した生活を続けていけるように支援していくには、粘り強く利用者に寄り添う姿勢が大切だと考えています。失敗や挫折をしても突き放さない、あきらめないで、何度でもやり直して自分に自信が持てるように回復していける支援に努めています。途中で支援をやめて出て行っても、また戻って来る利用者は多く、そういった方を受け止め、受け入れる雰囲気作りをいつも心がけています。

2)一人ひとりの人生目標を丁寧に聞き取り、サポートしています
施設では、一人ひとりの利用者が将来どのように生きていきたいのか、自身の思いや願い、目標等を丁寧に聞き取り、個別支援計画に反映させています。グループミーティングでは、利用者だけでなく職員も、自分自身のこれまでの体験や経験を語り、どのような人生だったのか、どのように生きていきたいのかを伝えています。自らのことを話すことで、利用者が心を開くことができるような話し合いを続け、信頼関係を構築するように努めています。また、職員は障害者手帳の申請手続きや、履歴書の作成支援やハローワークへの同行など、就職活動のサポートも行っています。

3)地域交流や社会参加、利用者満足度向上に取り組んでいます
利用者は毎週、地域の教会での清掃活動を行い、教会関係者と交流をしています。炊き出しの手伝いや、食料品の配達作業を手伝う等しています。連携している他の施設の利用者と野球大会を開いたり、カラオケや日帰り旅行に出かけるなど、地域との交流や社会参加の活動に積極的に取り組んでいます。利用者主体の「ビジネスミーティング」では、プログラムの内容や施設への要望などについての意見を出し合うことができ、利用者満足度を向上させる仕組みが整備されています。

4 )中・長期計画と事業計画の策定が望まれます
施設としては、利用者に寄り添う支援ができる人材をもっと育成したい、高齢になっても利用できるグループホームの設置もめざしたいなどのビジョンを持っています。これらを中・長期計画としてまとめ、事業計画として積み重ねながら目標に近づいていくことが期待されます。また、日々の支援が組織として実効性を検証していくPDCAの仕組みと事業計画の作成が望まれます。

5)業務の標準的実施方法の文書化を進めていくことが期待されます
日々の業務についての手順を、より文書化して共有化できるようにしていくことが望まれます。1日の業務開始から終了に至るまでに多様な業務を行っています。様々な業務の手順、スタッフの動き、注意点を文書化してスタッフで共有することが大切です。支援の柱であるグループミーティングの進め方についても、マニュアル化することは難しいですが、依存症利用者との話し合いにとって留意すべき点等を文書化しておくなど、重要な業務上のポイントをまとめ、職員誰もが一定のレベルで対応できるような工夫が期待されます。





⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
第三者評価で聞き取りはきちんと答えられるか。良く答えないと。と初めての経験でどの様に評価されるのかと心配な気持ちだった。
実際に聞き取りでは、事業所で足りないところ、出来ているところがはっきりと分かった。支援という利用者に直接的なところでは全力でやってきた思いがある。一歩引いて事業所として見ると足りないところがまだまだたくさんあることが分かった。第三者評価を受けたことでもっと良い施設事業所に出来ることが分かった。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

事業所の名称「Nesting」は、自分の居場所「巣」という意味であることをパンフレットに明記し、利用者の居場所となるような施設をめざしています。依存症からの回復のために、アルコールやギャンブルなどのアディクション(嗜癖)なしに、今日一日を仲間とともに生活を続けること、人生の目標を見つけて、生き直しを支援していくことを基本理念としています。スタッフ会議の場で、この理念に照らし合わせて利用者ごとに異なる生き方に寄り添うよう、話し合っています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

「障害福祉情報サービスかながわ」などのポータルサイト等を通じて、社会福祉事業の動向を把握しています。市内の地域活動支援センターの会合などを通じて、潜在的利用者に関する情報などを収集し、地域における経験環境や課題を把握するようにしています。定期的に開かれる理事会等で、コスト分析や利用数、利用率の推移などを把握、分析しています。地域の各種福祉計画の内容の把握、分析までは行えていません。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

依存症回復支援施設のスタッフとして期待される人材とは、利用者を決してコントロールするのではなく、二人三脚で寄り添いながら支援できる、人間力をもった人材であり、こうした人材をより多く育成することが、重要な経営課題と考えています。経営課題は役員間で共有されており、職員間でも認識は共有されています。経営状況は順調ですが、予算、決算などを職員に周知するまでには至っていません。ただし新年度の制度改正の際には、説明会を開いて職員に周知をしています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

事業所のビジョンは、依存症の利用者が行き場を失うことのないように、グループホームのさらなる充実、医療的なサポート、高齢化に向けたサポートなどを進めることだと考えています。また、職員の人材育成も大きな経営課題の柱としています。これらのビジョンを中・長期計画として具体化し、目標を実現できるような取組みに期待します。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

事業内容として、一日の流れ、週間スケジュール例をパンフレットに掲載しています。実際の支援では、これ以外にも多くのプログラムやイベントを実施しています。また、研修や事務管理など実際に行っている業務は多岐にわたりますが、事業計画として体系化されていません。今後は、中・長期計画を見据えたうえで、実施状況の評価を行えるような事業計画を策定することを期待します。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

支援に関する事業内容は、重要事項説明書、契約書、パンフレットに示された「1日の流れ」や「週間スケジュール(例)」に基づいて実施しており、具体的なプログラムやイベントは、スタッフ会議や利用者との話し合いを通じて具体化され、その都度実施状況を見直すようにしています。職員や利用者に内容は周知されていますが、評価可能なように事業計画として書面化することが求められます。また直接的な支援の内容に関してだけではなく、人材育成や事務管理、設備環境の整備などの分野についても事業計画として検討することが期待されます。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

利用者に直接関わる施設の生活訓練と支援事業の内容は館内に掲示されており、初回の面接時に利用者の希望を聞いています。パンフレットには依存症等の説明、そこからの回復への道筋を示しています。事業内容を理解したうえで、利用の有無を決められるようにしています。毎月開かれる利用者主体の「ビジネスミーティング」において、次月のプログラムやイベントの内容を掲示し、自由に意見を出し合って、参加を促したり、要望を汲み取る取組をしています。事業計画は、支援内容やプログラムの予定以外の内容も含めて策定し、主な内容を利用者に周知する取組に期待します。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

利用者の回復をめざすという観点で、スタッフ会議で常にサービスの質の向上や課題についての話し合いを続けています。個別支援計画は原則3ヶ月を目途にモニタリングを実施し、利用者から計画の進捗状況や課題を確認し、計画の見直しにつなげています。利用者支援の内容についてはPDCAサイクルに基づいた取組をしています。施設として年に1回の自己評価の実施は今後の課題です。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画については、モニタリングによる評価を行い、「モニタリング結果記録」を通じて課題が文書化され、課題の解決方法を明確にするようになっています。改善内容はスタッフ会議で情報を共有しながら決めています。ただし、個別の利用者支援にとどまらず、業務全般の評価を実施し、評価、改善の計画的な取組が望まれます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

管理者の職責は、運営規程に「事業所の従業員の管理、業務の管理を一元的に行うとともに、事業所の従業員に対し、法令等を遵守させるための必要な指揮命令を行う」と明記されており、職員にも認識は共有されています。管理者は、スタッフ会議や日々の業務の中で支援の内容に関して積極的に関与し、事業所の理念に沿った支援がなされているかどうかを、把握し、助言等を行っています。近日中に施行予定の「業務継続計画」では有事の際、管理者不在時に、他の理事が権限を代行することが定められています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

施設運営に関わる法令等については、管理者として遵守するように情報収集や研修、研鑽を行っています。虐待防止などを含めた福祉サービス全体の法令遵守には、職員に対しても研修参加をさせており、これからも取り組んでいきたいとしています。環境への配慮等も含む幅広い分野については、今後の課題としています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

依存症からの回復施設として、利用者に寄り添いながら支援することを特に重視していることからも、管理者は常に質の高いサービスを施設全体で行うよう心がけています。会議や日々の業務のなかで積極的に職員と会話し、業務の現状を把握し、必要な指導を行っています。依存症に関する研修が少ないため、国立病院機構久里浜医療センターの依存症回復施設職員研修は、必ず職員が受講するようにしています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

管理者は人事、労務に関しては依存症回復施設として、必要な社会福祉士、精神保健福祉士といった専門職をはじめとした人員配置を行っています。財務に関しては、担当する法人理事と協力しながら、分析しています。依存症利用者が障害者認定の無いままサービスを開始せざるを得ないことも多く、受給者証発行などサービスのスタートから手厚く支援することで、経営の安定につなげています。職員の様々な職歴や経験による多彩な視点、提携している訪問看護ステーションからの声などを参考に経営の改善や業務の実効性の向上を図っています。経営改善や業務の実効性を高めるための組織的取組は今後の課題です。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

人材の確保こそがより良いサービスを継続的に行うために重要だと考えています。運営規程には、必要な人材を明記し、配置基準(常勤換算3名)以上の常勤3名、非常勤4名を配置しています。これまでは、依存症経験のある当事者中心の職員で支援を行ってきましたが、これからは健康管理や栄養管理を行う有資格の専門職の配置も検討したいと考えています。依存症回復施設の支援者として必要な資質を向上させるための育成や、専門職の配置は今後の課題と考えています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

「キャリアパス表」には、5段階の等級別に期待される業務レベル、専門性、職務遂行能力が明示されています。年末に職員に評価シートが配布され、業務や意識に関する30以上の領域について評価を行い、面談を通して評価点をつけて職員の処遇の向上につなげています。キャリアパス表に基づいて、将来の姿を描くことができるような仕組みが作られています。今年度からこれらの仕組みが動き出すので、今後の取組に期待します。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

時間外労働はないようにしており、突発的な休暇や早退にも柔軟に対応しています。年に1回の健康診断やインフルエンザ予防ワクチンの接種補助を行い、職員の健康管理に配慮しています。子育て中の職員の働き方へも配慮し、職員のワーク・ライフ・バランスの実現に取組んでいます。新規採用職員でも、すぐに有給休暇を取得できるよう配慮をしています。今後は、職員の働きやすさを保障していくためにも、労務規程類の充実に期待します。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

「キャリアパス表」には、経験年数に応じて6段階の職階が定められています。職階ごとに職員一人ひとりが目標とすべき期待される業務レベルが明示されています。12月に評価シートを用いて業務領域で20項目、意識領域で12項目にわたって職員が上司とともに評価を行い、評価点をつけることになっています。年末から職員面接を管理者、理事と実施しています。評価点に応じて給与水準に反映する仕組みとなっています。この仕組みは本年度から実施しており、今後は目標の進捗状況を確認するための中間面接の実施などの取組に期待します。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

「キャリアパス表」には、等級別の業務レベルに応じた研修課題が明示されており、「研修計画 資質向上目標」に等級別の研修計画が立てられています。専門的な依存症回復の研修には職員が交代して参加するようにしています。また、他の外部研修にも職員に声をかけて参加を促したり面談を通して研修課題を伝えるようにしています。研修計画の定期的な見直し、研修内容やカリキュラムの評価と見直しは今後の課題と考えています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

国立病院機構久里浜医療センターで厚労省の依存症に関する研修が毎年行われており、新人職員を含め職員は必ず受講するようにしています。職員との面談を通じて課題に応じた研修受講を勧めています。外部研修について、依存症という障害領域は一般的な研修が少ない状況ですが、研修があれば職員に案内をしています。新任職員については、とくに先輩職員のグループミーティングの進め方を見本として学んでもうらようにしています。新任職員はミーティングで利用者の話を聞いて、記録をとり、スタッフ会議で報告するなかで業務の習得を図っています。業務の基本について十分な文書化はされていないため、依存症回復施設ならではの支援の基本やミーティングの留意点など、これまでの知見を文書にまとめ、職員にとっての指針を示し、実践への活用を期待します。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:c】

社会福祉士、精神保健福祉士資格取得のための実習については、実習指導者研修を受講した職員がいないため実施されていませんが、今後は指導者資格の取得をすすめて受入れ体制を作りたいと考えています。学生の見学や研修生の受入れは行ってきましたが、依存症という障害を理解してもらうように、利用者とのミーティングに参加してもらったり、実際にプログラムに参加して体験してもらうようにしています。研修・育成のマニュアルの整備、指導者の育成については今後の課題です。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

ホームページには、事業所の理念、基本方針、プログラム、家族へのメッセージ、当事者の体験談などが書かれており、施設の存在意義や役割が分かりやすく説明されています。「かながわ依存症ポータルサイト」では、基本情報、実施プログラムなどの情報を公開しています。また、福祉保健医療の総合情報サイト「WAM NET」に事業所情報を公開しています。財務諸表などの決算資料の公開については取組み中です。苦情体制については、苦情受付担当者名、かながわ福祉サービス運営適正委員会の連絡先が重要事項説明書に明記されています。苦情解決責任者や第三者委員の設置、苦情体制の掲示も含めた公表が望まれます。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人の定めたルールに基づいて、事務、経理取引を行っています。事業所として小口現金を月に一定額の出納を任されています。担当理事が事務、財務状況を監督し、税理士が経理状況をチェックしています。運営規程には、管理者、サービス管理責任者、生活支援員の職務内容の説明がありますが、抽象的な内容にとどまっています。より業務内容に即した具体的な権限・責任が明確され、職員等に周知されることが期待されます。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

地域との結びつきを重視し、市町村、他の障害福祉サービス事業者その他の保健医療サービス及び福祉サービスを提供する者との連携に努めることが、運営規程に明記され、実施されています。利用者が活用できる自助グループの案内や、コンベンション(関係者が一堂に集まる意見交換や情報収集のイベント)の案内や参加をしています。教会の清掃活動、炊き出しの手伝い等を通じて、地域の人々との交流をしています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:c】

依存症から回復した方の訪問が月に一回程度あり、経験談を話してもらっています。また、グループミーティングの司会進行を、回復して施設での支援を修了した方にお願いすることもあります。ボランティア受入れについての基本姿勢やルールは定めていません。利用者と関わるには、依存症への理解が一定程度必要と考えており、一般的なボランティアの受入れは、これまで考えたことはありませんでした。今後はボランティアが、地域社会との橋渡しのような存在としてどのように施設と関わることができるかを検討したいと考えています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

個々の利用者の状況に対応できる医療をはじめ関係機関は、利用者ごとのデータファイルの中に示されており、職員はオンラインで情報を共有しています。川崎市、依存症施設、自助グループが共同して実施する「川崎アディクションフォーラム」に参加しています。フォーラムでは市民に向けて基調講演、参加型のワークショップ、体験談、トークセッション、個別相談会などを催しています。実行委員会には毎月参加しています。一事業所では解決できない課題を協同で取り組んでいます。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

「川崎アディクションフォーラム」や、「川崎南部協力委員会」に参加することで、依存症を中心とした福祉ニーズの把握をしています。また、家族会との交流を通じて地域の生活課題やニーズを把握しています。利用者とともに取り組んでいる教会の清掃活動、炊き出しへの協力などの活動を通じて、地域と関わりながら福祉の現状や課題の把握に努めています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

「川崎アディクションフォーラム」を中心に、多様な施設が集まる活動に参加して、ノウハウを共有化したり、地域コミュニティの活性化につながる活動をしています。また、様々な理由で活用されない食品を受け取り、必要な方に届けるフードバンク活動に協力し、協力していただく店舗からの食品配送の手伝いをしています。専門的知見を地域に還元したり、地域住民への支援の取組は今後の課題と考えています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

運営方針に「本人の意思、及び人格を尊重して、常に利用者の立場に立ったサービス提供に努めるものとする」と明記し、職員は利用者尊重を共通認識として支援をしています。「倫理綱領」などは、特に策定していません。パンフレット、運営規程、重要事項説明書には、利用者尊重の基本姿勢を明示し、取り組んでいます。利用者との個人情報利用同意書、職員には秘密情報の保持に関する誓約書を交わしています。人権の配慮については、積極的に外部研修に参加し、参加者からのフィードバックや所内研修を行い、日々の支援提供において配慮した取組を行っています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

依存症回復支援施設としてプライバシーに配慮した支援提供を行っていますが、利用者のプライバシー保護に関する規程やマニュアルは策定していません。事業所環境において利用者のプライバシーが守れる場所や設備は、それぞれの状況に応じて確保しています。個人情報取り扱いについては、利用者や家族に周知していますが、プライバシー保護に関する周知は、行っていません。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

事業所の情報は、ホームページでの掲載、地域活動支援センター、市の生活保護課、病院などにはパンフレットを置いています。事業所の紹介資料には、自立訓練事業所として基本的な目標やステップごとに回復を目指して取組む内容をわかりやすく説明しています。また、事業所の写真や一日の活動プログラム、週間のスケジュールなども記載しています。利用希望者には、利用する前に必ず見学や体験を勧めています。現在は男性が利用していますが、女性にも事前の見学・体験を勧め、希望に応じて他の女性専用の施設情報も提供しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

サービス開始前や変更時には、必ず説明をし、開始時には利用契約書を交わし、変更時には、モニタリングで再検討を行います。また、大きな変更のある場合は、アセスメントから再検討し、本人・家族の同意を得たうえで支援を継続しています。意思決定が困難なケースはこれまで無く、特にルール化はされていません。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

他の福祉施設・事業所や家庭への移行には、環境変化による不安誘因を極力取り除くために移行先とのカンファレンスを丁寧に行っています。個々の状況や背景が異なるため、引継ぎの文書は定めていませんが、事業所でのこれまでの支援内容を書面にして渡しています。事業所終了後もいつでも相談ができるように事業所全体で受け入れる体制を整え、周知していますが、終了後の相談方法や担当者を記載した文書を渡していません。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所の基本的な支援は、本人の要望を優先的に取り入れ、日々の支援活動に反映しています。利用者満足度は、個別のモニタリングで把握し、目標達成に向けて本人と共に検討し、支援に反映しています。利用者全体の満足度の把握は、毎月「ビジネスミーティング」を開催しており、新しく取り入れてほしい活動プログラムや事業所への要望など、自由に意見交換できる場を設け、支援環境の改善に取り組んでいます。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:c】

苦情受付担当者を設置していますが、苦情解決責任者と第三者委員の設置は整えていません。重要事項説明書に他の相談窓口として、市の虐待防止相談窓口やかながわ福祉サービス運営適正委員の電話番号などは明記しています。職員には、苦情対応の体制をわかりやすく、フローチャートで示し、周知しています。現在まで、苦情の申出はありません。今後は、苦情受付責任者、第三者委員の設置や利用者・家族が苦情を申し出やすい仕組みなどについて明確にした体制が望まれます。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

相談や意見の申出については、入所時に複数の方法で相談先を選択できることを説明し、配布する重要事項説明書に明記しています。今後は、困ったときにいつでも相談できる連絡先・氏名などを明記した情報を事業所内に掲示することが望まれます。個人的な相談や意見を述べる場合は、プライバシーに配慮したスペースで行っています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

利用者の意見や相談は、個別面談、日々の会話や利用者主体の「ビジネスミーティング」で把握し、迅速に対応を行い、内容はスタッフ会議、議事録で共有・確認しています。また、モニタリングなどで出された意見も必要に応じて記録し、職員間で共有しています。意見や相談については、合理的な調整を行い、より快適な環境づくりに努めています。意見箱の設置やアンケートなどの実施は行っていませんが、いつでもどんなことでも相談や意見が話せる機会を設けています。対応マニュアルは未策定です。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:c】

支援提供中の緊急事態や事故発生・対応についてマニュアルを作成し、責任者や対応手順を定めていますが、委員会の設置や職員の研修の実施までには至っていません。今後危機管理・リスク管理の体制を構築していきたいとしています。現在、BCP(事業継続計画)を策定しており、リスク管理体制を明確にし、利用者・事業所にとって、安心・安全な支援環境にしていきたいとしています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

事業所独自の感染予防と発症時の対応マニュアルを作成しています。特に事業所はコロナ禍時に開設したため、最重要事項として全職員で注意喚起し、感染予防に取り組んでいます。活動プログラムやグループミーティングなど、集団で行動する場合も多く、感染予防対策の強化や理解を深めるためにさらにマニュアルを基にした学習会も設けていきたいとしています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

災害発生時の対応体制を定めています。事業所は、洪水・浸水地域に指定されており、有事には3階の事務室に垂直避難を行うとしています。災害時に必要とする備蓄品や保管場所を確保し、訓練を行っていますが、さらにBCP計画(業務継続計画)、避難確保計画や災害行動基準の体制を整備し、適切かつ確実に取り組めるように現在、構築中です。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:b】

基本的業務の標準的実施方法は、パンフレットに示されたデイリープログラム、週間スケジュール(例)、運営規程、重要事項説明書や利用契約書に示されているとしています。また、運営規程には、「利用者の意思、人格を尊重すること」、個別支援計画作成の記載要領には、「利用者本人の意向がしっかりと反映されているか、等を確認、検討すること」と利用者尊重の姿勢を明示しています。今後は、開所から閉所にいたる、様々な活動場面ごとの手順や留意事項を整理して業務マニュアルとして文書化することが望まれます。ミーティングの進め方等支援についても、依存症施設ならではの大切にしている点など、これまでの知見をまとめ、誰でも一定の水準の支援ができる仕組みを作ることを期待します。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

プログラム内容や実施方法の見直しについては、定期的にスタッフ会議の中で話し合われています。ミーティングの時、司会者や進め方を変えたり、テーマをアディクションの種類(アルコールなど物的刺激、ギャンブルなどの行動刺激)に分けて話し合ったり、工夫をしています。支援の標準的方法であるミーティングを通した集団指導とは別に、心身のリフレッシュにつながるヨガを取り入れるなど工夫しています。利用者本人の課題に関係するときは、個別支援計画に反映させています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

初回の面接からアセスメントを行い、目標からそこに達成するための課題を抽出しています。個別支援計画作成はサービス管理責任者の役割ですが、インテークは精神保健福祉士の専門スタッフが実施しており、その基本情報が支援計画を作成するうえで非常に大切になっています。インテークから目標設定、その目標を達成するための課題抽出した内容は、その人それぞれによって異なっています。アルコール、ギャンブルといったアディクションは同じでも、出口支援については就労や居宅環境についてもその人ごとに異なるため、それぞれの希望が叶うよう、具体的な課題が出せるように意識して支援しています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

3ヶ月ごとに実施状況を記録してあるモニタリング表を基に、本人と話し合いながら個別支援計画の追加や変更をしています。モニタリング時だけでなく、相談支援専門員との面談をきっかけに計画内容変更することもあり、サービス管理責任者以外のスタッフの会話からやスタッフ会議をきっかけに変更することもあります。その際は、速やかにアセスメントを行い、計画作成をしています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

日々の業務記録は「全体記録」という書式に、当日の出席者、プログラム内容、利用者状況、来所者、相談者、入退院などの情報を記録しています。利用者の個人情報や、利用者のケースを話し合ったスタッフ会議議事録は、クラウド上で職員間で共有化されています。サービス内容だけでなく、利用者の日々の変化に焦点をあてて記録するように留意しています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

運営規程内で記録類は5年間保存と定めています。5年を超えた記録については、シュレッダー処理をしています。職員は秘密情報の保持、秘密情報保持の報告と法人帰属、退職後の秘密保持の誓約を入職時に行います。個人情報については、事業所が利用する目的と方法についての説明を利用者へ行い、同意書を提出してもらう仕組みとなっています。個人情報の漏洩防止について、職員の意識向上や方途の充実に向けてさらに検討したいと考えています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

インテーク時に本人の不安や依存の誘因とする問題を明確にし、どのようになっていきたいか、どのように生きていきたいかを聞き取り、本人の思いを優先した個別支援に取り組んでいます。アセスメントやモニタリングを重ねながら依存に頼らず一日を過ごせるように毎日のグループミーティングや好きな活動プログラムを提供し、個別支援を行っています。グループミーティングには職員も参加し、テーマを基に今の思いや希望を話し合っています。自分だけではなく、同じ思いの人たちとのつながりがあることで、孤立を避け、回復へのプロセスを重視し、あきらめない・あきらめさせない支援環境に努めています。毎月、「ビジネスミーティング」を開いており、事業所に対する小さな事から支援内容に至るまで、事業所環境に関する意見交換を行っています。また、利用者一人ひとりへの合理的配慮として、事業所と利用者の個別状況に応じて対話を重ね、共に解決策の検討・調整を行いながら取り組んでいます。取組は必要に応じて柔軟に執り行われています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

事業所策定の「障害者虐待防止・権利擁護・身体拘束」に関する規定・マニュアルを整備しています。身体拘束と虐待防止委員会を年に1回以上開催しています。委員会での議事録は職員全員に配布し、権利擁護に関する理解を深めています。新入職員の入職時には必ず全員で所内研修を行っています。また、外部研修に年2回参加する職員が、受講資料を配布し、スタッフ会議でフィードバックを行います。事業所の取組は、運営規程・重要事項説明書に明記し、利用者や家族に周知しています。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所の基本的な支援は、利用者がアディクション(依存)に頼らずに地域に戻り、自信をもって日常生活が過ごせるように一人ひとりの自律・自立生活に向けた支援を行っています。入所時に依存症を克服した先、どのようになっていたいか、どんな生き方をしていきたいか、本人の将来のイメージを丁寧に聞き取り、イメージに向けて体得する日常の生活訓練の場を個別の対応で提供しています。個別支援計画には、本人の意向・要望を優先的に組み入れ、日々の生活行動の観察・確認から、インテーク、アセスメント、モニタリングを重ね、あきらめさせない・あきらめない支援に努めています。依存症回復・克服は、本人の申告をもって事業所での利用を終了としますが、利用期間内に克服(自立)できない場合は、依存症地域活動支援センター、精神保険福祉センター、医療精神科、訪問看護師など、利用者の状態に応じて繋げています。中には、途中で挫折し、支援をやめていく利用者も多く、行き場をなくした人たちを常に受け入れる体制も整えています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

アセスメントやインテーク時に利用者の日常的な能力や心身の状況を把握し、最も伝わりやすい方法を職員間で検討し、支援につなげています。口頭でのコミュニケーションがスムーズにいかない場合は、文字にして残したり、交換日記的にコミュニケーションを図るなど、その人に応じて確実に伝わる方法を探し出し、意思疎通を行っています。利用者のコミュニケーション能力を高めることに特化した支援は行っていませんが、孤立しやすい利用者には、こまめに声掛けを行い、仲間と共に活動に参加できるように配慮しています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者からの相談はいつでも受け入れています。また、信頼関係を深め、話しやすい環境を作るために、日常的に会話を交わし、話しづらい利用者には、孤立することのないように職員から一人ひとりに声を掛け、利用者の今の思いや状態を把握しています。また、些細なことも含めどんな内容であっても職員間で共有し、必要に応じて支援計画に反映させています。計画内容は、依存症回復に向けて一人ひとりが歩むプロセスのため、必ず利用者本人に確認をとり、計画を進めています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

アディクション(依存症:アルコール、薬物、ギャンブルなど)に頼らない日常生活の支援として、多様化する利用者の意向に向けたアクティビティなプログラムやレクリエーションの選択の枠を広げ、本人が選択し、尚且つ、仲間と一緒に楽しめる体験や社会参加の場を設けています。基本的なプログラムとして週間・月間スケジュールを作成し、グループミーティング、調理実習での昼食会や教会の炊き出し参加、買出しなどの社会参加や地域交流の場を提供しています。また、他の施設との野球大会、サーフィン、ヨガなど、それぞれの意向に沿ったアクティビティやレクリエーションの支援体制も整えています。事業所では、一人ひとりの日常的な生活訓練を第一と考え、次の段階として地域の活動へステップアップ支援を進めているため、地域情報は、多岐にわたり、提供しています。利用者の自立の定義が異なるため、利用者のその時の状態やニーズにより、支援計画の見直しを行っています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

依存症に関する専門的な知識、必要な資格取得や研修受講の機会を設け、職員の自己研鑽・自己啓発のバックアップ体制を整えています。また、生活訓練として取り組むアクティビティプログラムに必要な資格や研修なども受講し、より専門性を高めた支援方法を職員間で共有しています。行動障害のある利用者は、基本的に事業所を利用できないこととしています。配慮の必要な利用者への対応は、アセスメント・モニタリングで確認し、個別支援計画にそった支援を行っています。利用者間の関係は、その都度、状況を見ながら対応をしています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

基本的に毎日の食事提供は行っていませんが、週に3回ほど、食事当番の利用者が献立を考え、職員と一緒に食材の買出し、調理、配膳、片付けなどの調理実習を行っています。この取組は、健全な食生活の支援として調理の手順を覚え、仲間や職員たちと一緒に食事をすることで仲間意識を育み、尚且つ、食生活の改善につながる自立支援としています。入浴、排せつ、移動・移乗については、自立している利用者がほとんどのため実施していませんが、必要な場合は計画にもとづいた支援をすることとしています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

事業所内の活動場所や手洗い場、食堂などの共有空間は、清潔に保つことを心がけ、毎日の清掃や定期的に駆除剤を使用するなど、衛生管理に努めています。利用者が、思い思いに過ごせる場所については、特別に部屋を確保していませんが、事務室のソファや空いている部屋などで自由に過ごすことができます。月に一回、「ビジネスミーティング」を開いており、利用者側の意向や要望を聞く機会としています。新たに活動プログラムに取り入れてほしいイベント、改善してほしい共有部分や備蓄品の補充などについて、話し合います。最近では手洗い場の使用方法や外出希望のカラオケ、日帰りツアーの意見が挙げられています。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

依存症を克服した先のイメージを聞き取り、本人の自己実現に向けた個別のアセスメントを丁寧に作成しています。自立に向けて精神的、社会的、職業的な能力を養い、同じ問題を抱える仲間たちと共に依存症に頼らない日々の生活訓練の積み重ねを行っています。利用者一人ひとりの状況に応じて、事業所の月間のスケジュールを作成し、個別の活動や仲間と共に活動するアクティビティなプログラムを提供しています。定期的に確認するモニタリングから、さらに必要な取組などの検討・見直しを繰り返しながら、本人がより意欲的に行える生活訓練の提供に努めています。また、必要に応じて、カウンセラーやPSW(精神科ソーシャルワーカー)など、医療関係者と連携したサポート支援も行っています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

医療体制を整えた健康管理は行っていませんが、毎日、健康チェックリストで血圧や体温、体調を確認しています。入浴、排せつなどは自立しているため支援は行っていません。毎週行うスタッフ会議には、訪問看護師が同席し、利用者の健康状態の確認や個々に必要な指導・助言をもらっています。体調の変化やその他の緊急事態が生じた場合は、個別のアセスメントで確認しており、事業所では、速やかに主治医に連絡、また、連絡が取れない場合は医療機関への緊急搬送など、措置対応の体制を整えています。利用者の健康管理について定期的な研修や職員の個別指導は行いませんが、毎週訪問の看護師から基本的な健康管理について学んでいます。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:非該当】

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

ほとんどの利用者が社会参加をすでに経験しており、事業所では依存症克服を目指して日常的な生活訓練と地域への移行訓練を受けています。ケースごとに必要に応じた社会参加や学習体験に参加する機会も設けています。中には、アルバイトをしながらこの事業所を利用している人もいます。利用者とハローワークに同行し、パソコンによる求人検索の仕方、履歴書の書き方や面談に向けての姿勢など、個別に自立訓練を行っています。食事提供はしていませんが、食生活に関する訓練として週に3回、職員と一緒に食事を作り、皆で食べる機会を設けています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所を利用するにあたって、まず、本人が今後どのように生活していきたいか、どのようになっていきたいか、しっかり意向を確認し、意向に向けた生活訓練と地域生活を継続していける支援提供を行っています。アセスメントシートを丁寧に作成し、モニタリングで一つ一つ確認しながら本人の弱点や自立生活に足りない部分を自覚させたうえで移行支援を進めています。また、事業所内で対応できない医療関係には、訪問看護師など、地域でのサービス機関の支援も取り入れながら最後まで突き放さず、あきらめさせない・あきらめない支援をもとに取り組んでいます。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の状況は、3ヶ月に1回の割合で家族に報告しています。また、家族からの意見や問い合わせなどへも丁寧に対応しています。本人と家族の関係が疎遠になる場合もあり、利用者・家族双方の意向を尊重し、状況をみながら慎重に行っています。事業所内で支援対応が難しい場合は、行政などの家族相談会や家族支援センターにつなげています。また、必要に応じて専門的な病院と連携を図りながら支援を行います。体調不良や急変時の手順は、アセスメント時に明確にし、定められた連絡ルートに従って適切に対応をしています。地域への移行時には、家族の協力が必要とされるため、ケースごとに本人や家族環境に合わせた支援を確認し、本人が不安なく、移行できる方法を検討しながら行っています。事業所は、依存症の回復施設であるため、本人を取り巻く、すべての支援が、個々のニーズや家族等の信頼関係を築きながら行うことを基本として取り組んでいます。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】