社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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YMCAたかつ保育園

2022年02月03日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 学研データサービス

② 施設・事業所情報
名称 YMCAたかつ保育園 評価対象サービス 2021 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 120 名
所在地 213-0001
川崎市高津区溝口1-19-1
TEL 044-281-7833 ホームページ https://hoiku.yokohamaymca.org/takatsu/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2008年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 横浜YMCA福祉会
職員数
常勤職員:20 名
非常勤職員:16 名
専門職員
保育士:25 名
栄養士:3 名
看護師:2 名
調理員:2 名
施設・設備の概要
居室数:保育室8室、調理室、事務室、相談室、園庭
設備等:屋上園庭、エレベーター

③ 理念・基本方針
イエス・キリストの愛と奉仕の精神に基づき、一人ひとりのいのちが輝く平和な社会の実現を目指します

〈子ども〉一人ひとりの子どもが愛されていると感じられるように守り育てます
〈家 庭〉子どもの成長をともに喜び合えるように家庭と手を携えていきます
〈地 域〉地域の人々と、ともに生きる社会の形成を担います

乳幼児期は、人間形成の根っこが育つ大切な時期です。神さま、そして保護者や保育者から「あなたが大事」という温かくて豊かな栄養が含まれた想いを受けながら、様々な人間関係の中で育てられ、育ちます。
YMCAでは見たり、聞いたり、触ったり、匂いをかいだり、味わったりと、子どもたちの五感を用いて、心とからだを動かすことを大切にしながら、仲間とともに育ち合い、太くて長い根っこが伸びていくことを願います。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
 YMCAたかつ保育園は、法人の理念のもと、キリスト教の愛と奉仕の精神に基づき、一人ひとりの命が輝く平和な社会の実現を目ざしています。保育の特徴としては、子どもの主体性をはぐくむ保育として、子どもの気持ちに応じて継続して遊んだり、自分で納得するまで試したりすることができる環境を整え、どのような自己表現も否定しないよう、保育を行っています。また、健康な心と体と豊かな感性をはぐくむために、外気に触れ、体をたくさん動かして遊び、五感を通して豊かな経験をする活動として、散歩や園外保育、キャンプなどを実施しています。子どものやってみたいという気持ちを大切にして、子どもの興味関心に基づき、プール遊びや体操遊び、サッカー遊び、英語遊びなども取り入れています。横浜YMCAの保育の特色として、違うことの大切さを認める保育があります。そのために、世界にはいろいろな国があることや多様な価値観があることを学び、それらは全て尊いことを子どもに伝えています。また、子どもが仲間とともに育ち合えるよう、年齢別、異年齢、選択別など、クラスにとらわれない保育を体験する中で、たくさんの仲間と活動しています。園では保護者との良好な関係作りに努めるとともに、職員同士が協力し合い助け合う風土ができています。また、YMCAのネットワークを生かして、「ピンクシャツデー」(いじめをなくす取り組み)や「被災者支援」にも取り組んでいます。給食は、アレルゲン食材(卵、牛乳、小麦粉)を使用しない献立で提供しています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2021/05/18(契約日) ~2021/11/16(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(2015年度)

⑥総評
特に評価の高い点 ◆ 子どもの主体性を尊重し、他者を受け入れる保育を行っています
 保育目標に「こころ(信じることのできる子ども)」「ちえ(考えることのできる子ども)」「からだ(すこやかな子ども)」を掲げ、子どもの主体性を尊重し、他者を受け入れる保育を行っています。3~5歳児は広い保育室でいっしょに過ごしており、年齢別保育のほか異年齢で活動しています。活動する際には、外遊びと室内遊びなどいくつかのプログラムを用意して子どもが自分で活動を選びます。保育室にはブロック、ままごと、製作など、さまざまなコーナーを設置し、遊ぶ時にも子どもたちが自由に選んで遊ぶことができます。英語遊び、体操、プール、サッカー遊びなども体験しています。平和やSDGsについて考える機会も持っています。

◆ 保育の質の向上と保育内容の充実を目ざし、園全体で取り組んでいます
 園長は、子どもたちの何気ないつぶやきにも耳を傾け、一人ひとりの気持ちを大切に保育にあたることを職員に伝えています。職員は、日々の保育の中で活動の様子をエピソードと写真で記録していき、子どもの思いをどう読み取るかなど意見交換を行いながら、保育のあり方や環境構成について学び合っています。系列園と協同で行っている保育研究会では、子どもたちが安心して探求できる環境づくりなどをテーマに事例検討を行っています。また、子どもたちが生きる力をはぐくんでいけるよう、多文化共生やSDGsなどを保育活動に組み入れて担当職員を中心に実施するなど、保育の質向上と保育内容をより充実させるため、園全体で取り組んでいます。
改善を求められる点 ◆ 保護者とのより良い関係性を構築するための取り組みの工夫を期待します
 園長は、どんなことでも気軽に相談してほしいと入園説明会や保護者懇談会で保護者に伝えており、職員は、話しやすい雰囲気づくりに配慮して、送迎時などの会話を通して保護者の意向を把握できるよう努めています。保護者役員会には園長が出席し、保護者の負担がないよう活動の実施方法などについて意見交換を行っていますが、第三者評価の利用者調査では「子どもの様子をもっと聞きたい」「保護者会の活動が負担」などの意見も寄せられていました。保護者とのより良い関係性を構築するためにも、保護者への情報発信のあり方や、保護者会の活動のあり方などについて検討、工夫されるとなお良いでしょう。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 第三者評価を受審するにあたり、職員間で自分たちの保育を丁寧に振り返る機会となり、多くの学びがありました。
 評価では自園の強みに気付かせてくださり、一層の励みになりました。また、努力をすることでさらに良くなるであろうことにも気付かせていただきました。特に保護者との関係性構築では、情報発信の仕方などの工夫についてご示唆いただきました。
 今年度から導入した保護者アプリなども積極的に活用しながら情報発信をし、保護者の皆さまの満足度が上がるよう努めてまいります。
 この評価を今後に生かし、YMCAたかつ保育園が地域のみなさまに愛される園となるよう努力し続けていきたいと思います。

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評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

 横浜YMCAの教育・保育事業の理念は「イエス・キリストの愛と奉仕の精神に基づき、一人ひとりのいのちが輝く平和な社会の実現を目指します」です。保育目標には「Spirit Mind Bodyがバランスよく成長するこども」を掲げています。保育理念、使命、目標は園のしおりや横浜YMCA保育職員ハンドブック、ホームページ、毎月発行する園便りに記載しているほか、園の玄関や事務室にも掲示しています。職員は年度初めの職員会議で保育理念、使命、目標をハンドブックを読み合わせて確認し、期中の自己評価でも周知状況の確認をしています。保護者には入園説明会や懇談会で園のしおりを基に説明を行っています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

 園長は高津区の園長会や横浜YMCA(以下法人)園長会などに参加して、社会福祉事業の動向や関係する法令の新設・改正、地域の福祉計画の実施状況などの説明、解説を聞いています。また、高津区の子ども・子育てネットワーク会議などの会合や活動に参加して、他園の園長と情報共有をしています。当地区の福祉計画では総人口は2035年までは増加、若い生産年齢人口は2025年をピークに減少見込みであり、区の整備計画から小規模園を含め保育園は増えている現状です。把握した情報は法人園長会などで報告、分析し、将来の計画に生かしています。園長は区の担当者と連絡を取り合い、待機児童数や園の入園申し込み状況などを把握し、現状分析しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

 園の財務状況などは法人園長会で毎月報告し、内容を四半期ごとに評価分析しています。この内容は法人の経営会議にかけられ、運営上の助言も受けています。また、川崎YMCAの運営委員会に参加して(本年よりオンライン会議)、経営環境や経営状況、課題などを話し合い、共有し、必要な内容は法人の評議員会や理事会でも共有されています。園長は職員会議などで園の課題と取り組みについて職員に周知しています。法人には「YMCA保育事業タスク」という課題解決のグループを作る活動があり、園長や職員は経営や保育、食育など課題ごとに各グループを作り、課題解決に向けて取り組んでいます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

 横浜YMCAは2034年に創立150周年を迎えるにあたり、これに向けた長期の将来計画をVISION2034と名付け、「すべての人の『Spirit』『Mind』『Body』が豊かに育まれ 自ら『Quality of Life』を向上させていくために」など3つの基本方針と8つのゴールを定めています。2034年までを4期に分け、2021~2023年度までを第1期とした中期3か年計画として、「①すべての子どもの豊かな成長を支える機会と環境の充実」などの8つの重点項目それぞれに3項目から成る内容項目一覧を作成しています。園では、この項目に沿って具体的な内容と数値目標のある園の中期3か年計画を作成し、四半期ごとに見直しをしています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

 園の単年度の事業計画は、法人と園の中・長期計画を反映した計画となっています。園の2021年度事業方針・計画の一覧表は、中・長期計画を踏まえた法人の全体運営方針を左端に列挙し、中段にこれに基づく法人の保育事業計画を具体的に記載しています。園の2021年度の事業計画は法人の計画の項目に沿って、その右端に記載しています。例えば「川崎地域の共通点である『多文化共生』『多摩川』をキーワードに、活動を通してSDGs(持続可能な開発目標)についての学びを深める企画を実施する(年2回)」など、目標を数値化し、実施状況の評価を可能としています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

 2021年度の法人の全体運営方針と保育事業計画を、園長は職員会議などで職員に示し、説明しています。また、法人の計画内容に沿って、園の事業計画を策定する際には、園の実情を踏まえた意見を出し合い、園長を中心にまとめ、法人の副主事とも話し合ったうえで、事業計画を決めています。事業計画は今年度より目標の計数化を基本としており、事業計画を基に園の全体的な計画、各クラスの指導計画を作成しています。また、指導計画の評価などを基に、事業計画を四半期ごとに見直しています。事業計画については、3月末と新入職員も参加する4月の職員会議や月案会議で園長から説明し、職員に周知して実施に移しています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

 事業計画の内容を反映した全体的な計画を、年度初めの保護者懇談会で保護者に配付し、当年度の園の方針と事業計画の主な内容を説明するとともに、各クラスの懇談会では全体的な計画に基づくクラス別の年間指導計画の内容を具体的な保育内容の資料を配付してわかりやすく説明しています。また、園で実施しているSDGs(持続可能な開発目標)活動もロビーに解説例を示すなど、保護者の理解を促す工夫をしています。事業計画、園行事の内容などは、園便りやホームページなどを通して保護者への周知と理解に努め、行事への保護者参加を促しています。また、玄関ホール事務所前に情報開示資料のファイルを設置して、保護者がいつでも閲覧できるようにしています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

 園は横浜YMCAの法人傘下でPDCAに基づく保育の質の向上に取り組んでいます。保育内容については、各クラスミーティングや月案ミーティングなどを実施して、毎月事例を基に内部研修を行い、職員全員で話し合い、保育の質の向上につなげています。2020年度は法人の5か年計画の終了年で、園では前年度末に5か年計画と2020年度の事業計画の評価を職員会議などで職員全員で行っています。年度末には職員会議などであがった職員の意見や、保護者アンケートの結果などを基に、法人作成の「保育所の自己評価」を園長と主任とで原案を作成し、職員会議にかけてまとめ、次年度につなげています。第三者評価は定期的に受審しています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

 園では、法人の5か年計画と前年度の事業計画の評価、検討結果を報告書にまとめ、法人に提出しています。法人は系列14保育園などの報告を各テーマに沿って一覧表にして各園に還元しています。園では、職員会議などで、事業計画などの検討結果や園の自己評価結果などから園の課題を明らかにして共有を図っています。また、一覧表で他園の取り組み、状況を知り、自園の保育の改善に役立てています。明らかになった課題の改善策を職員会議などで検討し、改善策を次期の事業計画や法人の長期計画に基づく園の3か年計画の作成につなげています。園長は、法人園長会での現況報告や、園の事業計画の進捗状況評価を踏まえ、必要に応じて計画の見直しを行っています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

 園長は、3月末と4月初めの職員会議で、法人計画に沿った園の今年度の事業計画を説明し、その中で自らの役割と責任を明らかにするとともに、職員に求める役割を伝えています。園長を含めた職員の職務分掌は、法人の職員共通理解ハンドブックに「職務分担表」として明記されており、職員会議などで職員に周知を図っています。園長は平常時のみならず、災害など緊急時の総指揮者として、緊急時の職員の職務分担を決め、職員に明示しています。また、園独自の「洪水時の避難確保計画」を作成し、園長を総括管理者としています。園長不在時には主任がその代行を行うことも定められています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 園長は、児童福祉法、児童憲章、全国保育士会倫理綱領、子どもの権利条約、保育所保育指針など、守るべき法や規範、倫理などを十分理解しています。また、園の運営では行政や取引事業などの利害関係者とは適正な関係を保っています。園長は「川崎市子どもの権利に関する条例」や「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」などの法令遵守にかかわる川崎市の説明会や研修に参加しています。園長は環境などへの配慮から、条例に基づく園のごみ処理や、廃材の工作材料への活用を推進しています。年度初めの職員会議などで、全国保育士会倫理綱領や「川崎市子どもの権利に関する条例」の読み合わせをして、法令遵守について確認しています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

 園長は、日常の保育の様子や月間指導計画、日誌などの確認を通じ、保育の質の現状を継続的に評価、分析しています。個々の職員に対しては、日常保育で気づいた時や期初の個人目標作成時、期末の自己評価後の個人面談時などに指導助言を行い、個々の職員の資質向上を支援しています。園長は、職員会議における園内研修で事例研究を行い、職員間で自由に討論することで、保育の質の向上を図っています。職員には法人の資格級制度上の資格があり、資格に応じた法人の研修が用意されています。園長、主任は、川崎市主催のキャリアアップ研修とともに、職員に積極的な研修参加を促しています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

 園長は、法人の事業本部長による事業ヒアリングや総主事ヒアリングにより園運営上の相談や助言を受け、園の人材や予算の状況を踏まえ、経営の改善や業務の実効性の向上に向け、園の事業計画を策定しています。園長は職員が働きやすい職場環境作りのため、残業や有給休暇の取得状況に、主任とともに配慮しています。また、個人面談や会議などだけでなく、日常的に職員と話す機会を積極的に設けています。ICT化導入も、連絡帳や週案、月案作成などに徐々に広げています。園長は日常業務の実効性を高めるために、職員の係担当を明らかにするとともに、SDGs(持続可能な開発目標)や多文化共生などの法人タスク活動への参加者の報告も職員間で共有しています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

 法人の教育・保育事業の理念、使命や保育目標のもと、職員の採用は法人の人事部人事委員会、保育事業人事タスクが計画的に取り組んでいます。毎年秋に、職員がインターネットで法人に提出する自己申告書の結果を基に、園では次年度の職員の勤務継続の可否や系列園への転勤希望などを確認しています。また、園長面談も同時期に行い、職員の個人目標の進捗確認や次年度の勤務意向などを確認しています。園長は法人の園長会で採用希望の有無を報告しています。採用活動は、ホームページに求人情報を掲載するとともに、人事部採用タスクが中心となり、川崎市の主催する「就職相談会」に参加したり、法人や園で「採用説明会」を実施したりしています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

 期待する職員像は「横浜YMCA職員ハンドブック」の「横浜YMCA私たちの使命」に明記され、入職者は法人研修で学んでいます。職員は園の勉強会などでも確認しています。職員は入職時に、法人の1~6級までの資格級制度の説明を受けています。これは、職員が昇級により給与が増え、資格級に基づいて園内の役職に結び付く、自身の将来を示すキャリアパスとして一覧表で明示されています。職員の処遇改善に向けて、3級職に上がる時から各級に昇級試験を設けています。園長は、職員との個人面談などを通じて個人目標の達成状況や自己評価結果を確認し、指導するとともに、職員の意見、意向などを踏まえて改善策を検討、実施しています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

 園長は園の労務管理の責任者として、主任とともに、個々の職員の就業状況を勤怠管理システムにより把握し、必要に応じて有給休暇の取得を勧奨するなど、適切な労務管理に努めています。毎年産業医による職員のストレスチェックを実施し、状況に応じて産業医と個人面談を実施しています。園長は毎年9月ごろと年度末に個人面談を行い、職員の悩みなどを聞き、相談に応じています。法人内にワークライフバランス委員会や共済委員会があり、研修会や産休、育休取得者の交流会、遊技場チケットの割引券や野球観戦券配付などを実施しています。園長は普段から職員と会話することに努め、意見を基にした改善策の実施など、働きやすい職場づくりに取り組んでいます。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 職員の質の向上に向けて、「横浜YMCA職員ハンドブック」の「横浜YMCA私たちの使命」に法人の「期待する職員像」を明らかにしています。職員は「保育職員のための自己評価表」の「自己の資質向上のための目標」欄に自己の年間目標を記載して園長面談を受け、目標の確認と、実施上の助言を受けています。9月ごろに再度園長と面談し、目標の進捗状況の確認と年度末に向けての助言を得ています。年度末には自己評価表の目標欄に結果を記入し、ほかの項目とともにa~dの4段階評価を実施して園長に提出しています。園長は目標の達成度と経過を確認し、必要に応じて面談を行い、内容の確認と、次期目標への支援を行っています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

 年度初めの職員会議などで、職員で読み合わせ、確認する、職員ハンドブックの「横浜YMCA私たちの使命」の中に「期待する職員像」を明示しています。法人の「職員研修の目標と内容」には資格等級別に、基礎研修、管理職研修Ⅰ、管理職研修Ⅱを設定し、各研修で学ぶ項目を記しています。また、「職員研修計画」には各階層別の研修目的と法人で実施する研修名を記しています。主任は、神奈川県や川崎市、大学など外部主催の研修案内も回覧し、園の研修計画を作成、実施しています。法人や外部の研修受講者は研修報告を作成して職員会議で報告し、研修内容を共有しています。園長と主任は研修内容を評価して、次年度につなげています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

 各職員の資格等級や経験年数、キャリアアップ資格などの取得状況などは法人で管理し、園長も把握しています。新任職員は配属されたクラスリーダーが主になりOJT(職場内研修)を実施し、フォローアップ研修や法人職員の訪問面接を受けています。研修は非正規職員にも内外の研修受講の機会を設けてあり、AED(自動体外式除細動器)研修は必修としています。園内研修は主任が責任者となり、現在、エピソードによる事例研修を行っています。外部研修も担当する主任は、多くの職員がバランスよく受講できるよう配慮しています。本年もコロナ禍のためWEB研修が増えており、職員は園の勤務時間中の受講が可能となっています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

 実習生のマニュアルには、実習生を受け入れる意義を「未来の保育者を育て、成長を助けることは、保育園で働く者の大切な責務です」と明記しています。実習生は、YMCAやその他の保育士養成校、短大、大学から受け入れています。各学校との連絡は園長が担当し、実習実務は主任が担当しています。実習生受け入れの際は、事前に園便りで保護者に知らせています。受け入れ前のオリエンテーションではYMCAの保育方針や留意事項を説明し、守秘義務の誓約書を受け入れています。また、実習生の希望も考慮した研修プログラムを工夫し、各クラスリーダーが実務指導を担当し、実習最終日には園長も出席して反省会を開き、感想を聞いています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

 横浜YMCA保育園としてのホームページには、系列の保育園名、YMCAの教育・保育の理念、保育の特色を記載しています。園のホームページには園の概要、入園案内、地域子育てプログラム、大切にしていること、保育の特色と内容、公式ブログ、Q&Aなどを記載しています。また、ホームページ内の保育の特色をクリックすると、さらに一日の流れや年間行事予定が写真付きで紹介されています。園玄関の公開用ボックスには、相談窓口のご案内や園のしおり、保育所の自己評価、保護者アンケート結果、事業計画、事業報告などを収録しています。園が高津区に提出した情報を基に、区は区民に向けて保育園・幼稚園の案内を作成しています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

 法人の職員としての職務分掌と権限・責任は、施設長、主任保育士、保育士、看護師、栄養士、事務職員などの職位ごとに「職務分担表」に記載し、職員共通理解ハンドブックに収録され、入職時や職員会議などで確認しています。園の経理の取引情報については、入力内容を法人の財務担当が随時確認しています。また、法人の理事会や評議員会で財務状況の確認を行っています。決算期には、法人監事による監査を行い、理事会、評議員会で報告を受けています。園の運営、会計などについては、法人が委託している公認会計士や社会保険労務士から、必要に応じて指導、助言を受けています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 教育・保育の使命として「地域の人々と、ともに生きる社会の形成を担います」を掲げ、地域に向けた園としての取り組みを事業計画に明示しています。保護者向けに、病児保育施設や子育て支援団体などのチラシを置いたり、ニーズに応じて療育機関や高津区の相談窓口の情報を提供するなど、地域の社会資源を利用できることを知らせています。コロナ禍のため地域との交流が難しい状況ですが、例年は、6月の園行事「花の日」に子どもが高齢者施設を訪問して花を贈り、合唱を披露してお礼に折り紙をもらったり、近隣の商店に花の種を買いに出かけてお店の人に育て方を教わったり、世代間交流や社会体験を通して子どもと地域とのつながりを深められるよう取り組んでいます。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

 法人では、大学生などを対象に、さまざまなボランティア経験を通してより良い社会を築いていく担い手となれるよう、地域で活動するボランティアリーダーの育成に取り組んでいることをホームページなどで明示し、保育園のボランティア参加につなげています。園の事業計画には、地域の学校教育と連携し中高生の保育体験を積極的に受け入れることなどを明記して、中学生の職場体験や高校生のインターンシップの受け入れを実施しています。また、地域ボランティアの協力のもと、おもちゃの広場という催しを実施しています。ボランティアの受け入れ時には、マニュアルに沿ってオリエンテーションを行い、守秘義務や子どもへの対応方法などを説明しています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

 地域の関係機関や医療機関のリストを作成して事務室に掲示するとともに、各機関の機能や連携体制について、職員会議で確認しています。行政の担当部署とは園長や主任が窓口となって連携を図り、対応内容について職員に周知しています。幼保小連携推進事業の会議や研修に参加した職員は、入手した情報や研修内容を職員会議で報告しています。障がいのある子どもの保育について川崎市中央療育センターや民間の療育機関よりアドバイスを受け、ケース会議を行うなどして発達段階を共有し保育実践につなげています。虐待など権利侵害が疑われる子どもの対応については、必要に応じて川崎市中部児童相談所と連携を図り、継続性を持って対応を行っています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

 地域の保育園をはじめ学校関係、子育て支援団体、民生委員、児童委員などで構成される高津区の子ども子育てネットワーク会議に園長が出席しています。会議では、さまざまな立場から意見や情報を交換し、高齢化や子どもの貧困など、地域の福祉課題を抽出して改善に向けて協議を行っています。育児相談は随時受け付けており、子どもの健康面や栄養面など、看護師や栄養士が専門的な立場から対応できるよう体制を整えています。園見学や園庭開放などに訪れた地域の保護者からの相談や、区が主催する子育てフェスタに参加した保護者と会話を通して、子育て世代の福祉ニーズを把握するよう努めており、園内で情報の共有化を図っています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

 園では、把握した地域の福祉ニーズに基づき、お茶やお菓子を準備して地域の人が気軽に立ち寄れるよう施設を開放するなどの活動を発展させ、在園児も含めた地域の保護者や子どもたちを対象に、夕食を安価で提供する親子食堂を園の事業計画にも明示して取り組んできました。コロナ禍の影響により、今後の実施方法を検討しています。法人では、アプリ使用のオンライン子育て支援プログラムに取り組んでおり、看護師が手洗いや咳エチケットをテーマにエプロンシアターを行うなど、子ども向けの保健講座をアプリを使用して配信しています。災害時における地域住民への支援として簡易トイレなどを備蓄しているほか、状況に応じて施設を提供する体制を整えています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 法人が定めている保育の理念、使命、方針には、子どもを尊重した保育の実施について明示されています。年度初めに、職員ハンドブックや行動規範の読み合わせを行っているほか、法人が実施する人権研修や、事例検討を通して保育実践の振り返りを行う園内研修などで、子どもを尊重した保育のあり方について学び合っており、職員個々の自己評価で定期的に状況の把握と評価を行っています。担当職員を配置した多文化共生に関する取り組みでは、留学生と園児がアプリを使用してオンラインで交流するなどして、文化の違いや互いを尊重し合うことについて学ぶ機会を設けています。基本的人権に配慮した園の方針や取り組みについては、懇談会などで保護者に伝えています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:a】

 職員ハンドブックや行動規範には、保育士としての倫理観を常に持ち、保育にあたることについて明記されています。看護師が、プライベートゾーンについてイラストを使って子どもにわかりやすく保健指導を行っているほか、着替えやトイレなどの場面では、職員が子どもたちにマナーを伝えるなど、子どもたちが意識をもって生活できるよう、日々取り組んでいます。プール活動の際は、シートを用いて外部からの視線を遮るようにしています。プライバシー保護に配慮して保育を実践することについて職員会議で話し合い、確認事項を会議録に記載して職員間で共有して実践につなげています。取り組みについては、懇談会などで保護者に伝えています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

 園のホームページには、保育の理念、使命、方針とともに、園として大切にしていることが明記されています。ホームページのほか、法人の系列園が共通で使用している冊子や園単体のパンフレットが準備されており、保育の特色と内容、延長保育、一時保育などの提供サービスの内容、給食、行事に関することなど、利用希望者が知りたい内容を写真やイラストを用いてわかりやすく掲載しています。園見学は、利用希望者の都合に合わせて個別に受け入れており、冊子とパンフレットに沿って、ていねいに説明を行っています。ホームページや冊子、パンフレットは、法人の担当部署で適宜見直しを行い、常に最新の情報を提供できるようにしています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

 保育の開始にあたり、重要事項が記載されている入園のしおりを配付して、入園説明会及び個別面談で説明を行っています。慣れ保育は、園の方針を伝え、保護者の都合に配慮しつつ、子どもの状況を見ながら、ていねいに進めることを伝えています。延長保育や土曜保育、園生活における確認事項などについても、わかりやすく説明しています。保護者からは、重要事項説明に対する同意書を受領しています。在園児の保護者に対しても、進級時に重要事項説明書(入園のしおり)を配付し、変更事項について説明を行っています。日本語のコミュニケーションが難しい保護者には、通訳を依頼したり、翻訳アプリを利用するなどして、個別に対応することとしています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

 入園のしおりに、住所や保育要件などに変更があった際の手続きについて記載しており、転園が生じる場合は、提出書類や手続き方法などについて説明を行って、高津区児童家庭課に報告しています。児童票や経過記録など、個別に整理されている書類の記載内容を基に、川崎市で定められている方法で転園先への引き継ぎを適切に行っています。個人情報使用同意書には、転園先との必要な連絡調整を行うことを明示して、入園時に説明を行い、保護者から承諾した旨の署名捺印を受領しています。転園や卒園時には、入園のしおりに記載されている相談窓口にて、いつでも相談を受け付けることを保護者に伝えており、転園、卒園後も行事のお知らせなどを送付しています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 日々の保育の中で、子どもたちの表情やしぐさを注意深く観察し、何気ないつぶやきなどにも耳を傾け、活動を楽しんでいるか、夢中になって遊び込めているかなど、子どもの気持ちを把握できるようにしています。運動会やクリスマスなどの行事後アンケートはそのつど実施しており、また、園運営の節目の時期などに満足度アンケートを行っています。アンケートの集計結果及び改善策については掲示するなどして保護者に公表しています。職員は、送迎時の会話のほか、個別面談や保護者懇談会で保護者の意向をくみ取るよう努めています。保護者役員会には園長が出席し、保護者の負担がないよう、活動の実施方法などについて意見交換を行っています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

 苦情解決責任者を園長、苦情受付担当者を主任とし、第三者委員を2名設置して、苦情解決の体制を整備しています。要望や苦情を解決するための仕組みについては、入園のしおりに掲載して入園説明会及び保護者懇談会で説明を行っており、また、苦情受付から解決までの仕組みがわかりやすく示された文書を掲示して保護者に周知しています。インターネットシステムで保護者が意見や苦情を申し出て保護者会で集約し、園に伝える仕組みがあります。苦情内容に対する対応策や解決結果については、申し出た保護者と面談を行って伝えており、申し出者の了解を得て園便りなどで公表しています。受け付けた苦情は所定の書式に内容と解決までの経過を詳細に記録しています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

 「相談窓口のご案内」の文書が作成されています。文書には、園長、主任、第三者委員のほか、法人本部の福祉サービス利用者相談センター、川崎市や高津区の相談窓口担当部署の連絡先などが明記されており、保護者に配付するとともに園内に掲示して、電話や口頭、文書など、複数の方法で受け付けていることを伝えています。健康面や栄養面など、専門的な相談内容の場合は、看護師や栄養士が同席して対応できるよう体制を整えています。相談を受け付けた際は、保護者の都合に応じて日時を設定し、事務室内の医務コーナーや面談室を使用するなどして、落ち着いて話が聞けるスペースを確保し、保護者が安心して相談ができるよう配慮しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

 園長は、どんなことでも気軽に相談してほしいと入園説明会や保護者懇談会で伝えています。職員は、話しやすい雰囲気づくりに配慮しており、送迎時などの会話を通して保護者の意向を把握できるよう努めています。行事後などにアンケートを実施して保護者の意見を集約し、より良い開催方法などを協議して改善につなげています。相談や意見を受け付けた際の対応は、法人が作成している「意見・要望・苦情・不満を解決するための仕組みに関する規程」に沿って適切に行っており、検討に時間を要する場合には、状況を速やかに説明しています。相談や意見の内容や対応策などを所定の書式に記録して、職員間で共有し、園全体で対応できる体制を整えています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

 法人に安全対策本部が設置されており、法人内各事業所の施設長や園長を責任者とする法人全体としての対応体制が整備されています。安全マニュアルには、けがや急病時の対応や不審者対応、通報、調査、記録などについて明記し、マニュアルを基に法人研修を行っています。また、プールや散歩の活動における事故防止について、職員会議で確認し合い、実践につなげています。園内外の場所や備品などの安全点検は定期的に実施し、園内のヒヤリハットマップを作成するなど、事故を未然に防ぐ取り組みを行って、子どもたちが安全に活動できるよう努めています。事故報告書には、発生から対応の経過、原因、対応策を詳細に記録し、再発防止に向けて改善策を話し合っています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 感染症対策及び対応マニュアルがあり、新型コロナウイルス感染予防に関しては、川崎市のガイドラインと法人が作成したガイドラインに沿って適切な対策を行っています。感染予防に関する実務や職員への指導を看護師が行っており、園長、主任が中心となって園全体で感染症予防に取り組む体制を整えています。職員は、保健衛生に関する外部研修に参加しているほか、園内研修で嘔吐処理方法などを学んでいます。看護師は、法人の看護担当者会で感染症に関する最新情報を入手し、職員に速やかに周知を図るとともに、マニュアルの見直しを適宜行っています。感染症が発生した場合は、状況を掲示して二次感染予防を保護者に呼びかけています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

 災害時の対応マニュアルには、緊急時の職務分担組織図と基本行動が明記され、園の対応体制を確立しています。避難訓練実施計画を作成し、毎月、火災や地震などさまざまな場面を想定して訓練を実施しています。立地条件から洪水時の避難確保計画を作成し、洪水を想定した訓練も組み入れています。保護者及び職員の安否確認は、一斉メールと災害伝言ダイヤルで行うこととしており、利用方法について保護者に周知しています。また、アレルギー対応の食料を備蓄して栄養士がリストを作成して管理しており、備品の備蓄管理は園長が行っています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:a】

 保育の場面ごとの標準的な実施方法が定められている各種マニュアルが整備されています。職員ハンドブックには、子どもを尊重した保育の実施や使命を実現するための行動規範が明示されています。法人で行われる研修や園内研修で、マニュアルや職員ハンドブックに基づいた研修を実施し、保育の方向性を共有化しています。職員会議や月案会議では、マニュアルに基づく保育実践が行われているか、子どもの状況に応じて対応しているかなどを、職員間での意見交換を通して振り返りを行っています。また、職員個々の自己評価や園長との個別面談などで、保育実践のあり方について定期的に確認を行う仕組みが構築されています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

 保育の標準的な実施方法についての各種マニュアルは、日々の保育実践を通して職員の気づきを報告し合い、改訂が必要な事項があれば、随時見直しを図るとともに、行政からの通達や情報に基づいて、適正に改訂を行っています。年度末の職員会議では、マニュアルの読み合わせを行いながら、全体的な検証を実施し、新年度に向けて見直しを行っています。マニュアルの見直しにあたっては、指導計画で示された保育の内容や活動方法などとの整合性を図りながら、実施しています。また、保護者の意見や要望を通して、標準的な実施方法及び保育の現状を再確認し、より良い保育実践につながるように取り組んでいます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:a】

 入園時には、保護者が記載する児童票や健康調査票、食事調査票のほか、個別面談などを基に子どもや保護者の情報を得ています。得た情報は職員間で共有し、全体的な計画を基に作成する各クラスの年間指導計画、月間指導計画、週案や、0~2歳児クラスで作成の個別の月間指導計画などに生かしています。また、送迎時の会話や連絡帳などで保護者と連携し、個別の指導計画に反映しています。3~5歳児クラスの配慮を必要とする子どもに対しては、療育機関とのケース会議や保護者との面談を通して、個別の支援指導計画を作成しています。各指導計画は、クラス内で行われる保育実践の振り返りを基に担当保育士が作成し、主任が確認後、園長が最終確認を行って完成させています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

 月間指導計画と週案は、計画終了時期に日々の保育日誌に基づいて、クラス内で意見交換を行いながら振り返りを行っています。各クラスで話し合われた内容や子どもたちの様子などを月案会議で報告し合い、職員間で共有しています。年間指導計画は、毎月の振り返りを基に、4半期ごとに振り返りと見直しを実施し、年度末に総合評価を行っています。週案の活動内容などを緊急に変更する場合は、職員間で情報共有を速やかに行うこととしています。指導計画の評価及び見直しにあたっては、各種マニュアルに反映すべき事項や保育実践のあり方、保育の質の向上にかかわる課題などを明確にして評価内容を記録し、次の計画作成につなげています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

 子どもの発達状況や日々の生活状況は、個別の日誌や経過記録など、法人が定めている所定の書式に記録を行い、個別にファイリングして職員間で共有しています。3歳未満児と特に配慮が必要な子どもの個別指導計画があり、保育実践に対する評価、振り返りを記載しています。記録すべき内容や記載方法などについては、園長と主任が職員に指導を行うほか、外部研修などでも学んでおり、研修内容は研修報告書や職員会議で共有しています。指導計画などは各クラスに常備しているタブレットなどを用いて作成し、データを共有できる仕組みとなっています。紙ベースの記録類は、施錠できる場所に保管され、必要な職員が確認できるようにしています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

 法人作成の個人情報保護規程には、利用目的、管理、保存期間、廃棄のほか、第三者への提供や開示請求などが定められており、不適正な利用や漏えい防止について明示されています。法人のホームページでは、プライバシーポリシーとして個人情報を適切に管理することが社会的責務であることを明示しています。記録管理の責任者を園長として、規程に沿って適切な運用管理を行っています。行動規範には、個人情報保護に関する法令遵守や守秘義務について明記され、法人研修を実施するとともに、職員より誓約書を受領しています。保護者には入園時に個人情報の取り扱いについて説明を行い、個人情報使用同意書とホームページなどへの写真掲載に関する承諾書を受領しています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

 全体的な計画は、法人の園長・主任会で討論して骨子を作成しています。作成にあたり、法人の保育理念や保育方針及び保育所保育指針、児童福祉法などを参考にしています。園としての計画部分は、地域性や保育の特徴を加味して作成しています。園が立地する地域は子育てをしている家庭が多く、待機児童が多いことを踏まえ、子育て支援として、園庭開放、交流保育、離乳食試食会や育児相談を全体的な計画に入れています。保育の特徴としては、子どもの主体性を尊重した保育を行うことを軸に、一斉に活動するのではなく、子どもが食べたい時に食べることができるよう、また、少人数で活動し子どものやりたいことができるよう心がけて保育を行っています。全体的な計画は、全職員に配付している「横浜YMCA保育職員ハンドブック」に掲載し、年度初めの職員会議において説明しています。年度末には、職員会議などで振り返りを行い、次年度の計画の参考にしています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:a】

 保育室は窓が大きく明るく、また、全保育室に温湿度計を設置し、季節ごとに適温を定めて温度管理をしています。空気清浄機を設置するとともに、定期的に換気を行い、感染症の予防に努めています。床や壁、棚、テーブルは定期的に消毒し、おもちゃの消毒は午前と午後に行っています。園の1階にはウッドデッキのある園庭があります。3階には屋上園庭があり、乗って遊ぶ車のおもちゃで遊ぶことも可能です。保育室では、かばんや道具を入れる棚を一箇所に設置し、遊んだり活動する場所を広く設定しています。フリースペースや絵本のコーナーのほか、物入れの下に空間があり、子どもたちに人気です。子どもがくつろいで過ごしたい時にも活用しています。全クラスで食事と午睡の場を分け、食べたい子どもから食べることができるようにしています。3~5歳児のクラスでは昼食時にランチルームを設置しています。手洗い場とトイレは定期的に清掃するとともに、汚れたつどに清掃し、清潔が保たれています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

 入園前の子どもの発達過程や家庭環境は、入園時に提出してもらう児童票や面談を通して把握しています。その後は、日ごろの会話や個人面談、連絡帳などを通して情報を得ており、子どもの個人差を尊重して保育を行っています。子どもが安心して自分の気持ちを表現できるよう、職員は「いやなことや助けて欲しいことがあったら大声で泣いても怒ってもいいよ」という気持ちでかかわり、ありのままの子どもを受け入れるように心がけています。気持ちを表現することが十分でない子どもには、子どもの気持ちを代弁するようにしています。子どもの人権を尊重する取り組みとして、毎年、年度初めに共通確認事項と横浜YMCA行動規範の読み合わせを行い、子どもとのかかわりについて確認しています。また、月案会議において事例検討を行い、子どもの気持ちを尊重するということについて職員間で理解を深めています。子どもへの対応に気になることがある時には、園長及び主任が話をするほか、職員会議で話し合うようにしています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

 子どもが生活に必要な基本的な生活習慣を習得できるように、職員は子どものやる気を尊重し、個人差に配慮しながら働きかけています。3~5歳児には、大人が手本を見せながら、身のまわりの整理整頓を自分でできるよう指導しています。トイレトレーニングでは、子ども一人ひとりが無理なく身につけていけるように、子どもの発達に合わせて、保護者と連絡を取りながら進めています。遊びの後にはくつろいで過ごす、外遊びの後には水分補給をしてほっとできる時間を設けるなど、子ども一人ひとりの状態に合わせて、ゆとりを持って生活するようにしています。食事、睡眠は一斉に行うのでなく、0歳児から一人ひとりの生活リズムを大切にし、食べたいと感じた子どもから食べる、眠りたい子どもから寝るというスタイルにしています。また、基本的生活習慣の大切さを身につけることができるよう、看護師が手洗い指導や健康についての話をする機会を設けています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

 子どもが主体的に遊ぶことができるよう、おもちゃなどを種類ごとに棚にしまって、遊ぶ時にはやりたいものを自分で選んで自由に遊べる環境を整えています。遊びの中で体を動かす楽しさを感じられるよう、運動遊び、集団遊び、リズム遊び、散歩など、子どもの状態に応じて活動を選んでいます。自然豊かな公園に行くほか、裏庭やプランターで栽培をしたり、かぶとむしやおたまじゃくしを飼うなど、子どもたちが身近な自然と触れ合う機会を持っています。3~5歳児クラスでは毎週、0~2歳児クラスでは毎月、礼拝を行い、神様に愛され守られていることを伝えています。また、近隣の商店に買い物に行くなど、地域とのかかわりを大切にし、園行事の「花の日」には日ごろの感謝を込めて花束を持って地域の交番や商店を訪ねています。さまざまな表現活動として廃材を使って自由に作品を作っています。4、5歳児クラスでは月1回、3歳児クラスでは10月ごろから、英語とプール、体操、サッカーの時間を設けています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 0歳児の保育にあたっては、子ども一人ひとりの生活リズムについて保護者と相談しながら保育を行い、穏やかに優しい言葉かけをして、子どもの要求を受け止め、安心して保育者に甘えられるよう配慮しています。生活リズムに合わせて子どもがいつでも寝ることができるよう、仕切りを使って活動の場を分けています。また、ハイハイをしている子どもにはたくさん動くことができるようスペースを広くしたり、つかまり歩きをしている子どもには狭い空間を設定したり、歩ける子どもには巧技台を使ってでこぼこを作ったり、少人数で階段の上り下りに挑戦したりするなど、子どもの発達や体調に合わせて柔軟に保育を組み立てています。子どもの喃語にはゆったりと答え、授乳は抱っこをして行っています。保護者とは、毎日連絡帳を通して、食事や排泄、睡眠、体調などについて情報交換しています。また、月4回ブログを更新するほか玄関に写真を掲示して、子どもの生活の様子を保護者に伝えるようにしています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 1、2歳児の保育にあたっては、子どもたちの意欲を大切にし、小さな達成感を積み重ねていけるように心がけています。子どもの自我の育ちを肯定的に受け止め、安心して自己表現できるようにしています。また、子どもが探索活動などを十分できるよう配慮しています。室内では自分の好きな遊びを十分行えるよう遊びの種類や数を複数用意し、戸外では砂や土、草花、水などの自然物との触れ合いや、思い切り体を動かして遊べるよう工夫をするなど、子どもたちが興味を持って活動できるように環境作りを心がけています。保育士がいっしょに遊びながら、表現の仕方を伝えたり、気持ちの切り替えを手助けしています。けんかの時には子どもの気持ちを受け止め、保育士が互いの気持ちを伝えるようにしています。3~5歳児といっしょに遊ぶ機会を設けて頼ったり甘えたりすることで、気持ちが満たされる様子が見られます。保護者とは、毎日連絡帳や登降園時の会話を通して、食事や排泄、睡眠、体調などについて情報交換しています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 3歳児の保育では、さまざまな人やものへの理解を深め、自分で遊びを見つけられるように保育士がかかわっています。4歳児の保育では、子どもがさまざまな葛藤を経験しながら周りへの関心が広がるように配慮しています。5歳児の保育では、仲間と協力しながら創意工夫して遊べるよう心がけています。遊びが継続できる場所や時間を確保し、子どもが満足するまで取り組めるよう配慮しています。3~5歳児では年齢ごとの活動も行いますが、基本的には異年齢で活動しています。室内遊びや屋外遊びを設定し、子ども自身がやりたいことを選択して、そのグループで活動しています。毎年、4歳児はお泊り保育を行い、5歳児は夏と冬に富士山にキャンプに行っています。昨年度はコロナ禍のため、お泊り会の代わりに4歳児は夜まで遊ぼう会、5歳児は三浦の海でデイキャンプを行いました。子どもたちの仲間意識の深まる体験となりました。5歳児では平和やSDGsについて考える機会を設けています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 園内は、障がいのある子どもも利用できるよう、床に段差のない造りとなっており、エレベーターと多目的トイレを設置しています。障がいのある子どもの保育にあたっては、担任保育士が個別支援計画を立て、月案会議において子どもの状況を全職員に周知し、共通認識を持って保育を行っています。全ての子どもたちがともに成長できるよう、できるだけいっしょに活動し、子どもが静かに過ごしたい時には別室で対応しています。保護者には園での様子をていねいに伝え、保護者からも家での様子や専門機関での様子などを細かく報告してもらっています。専門機関からの訪問も受け、子どもにとって良い支援ができるよう連携しています。法人のYMCAオルタナティブ事業部の定期巡回訪問があり、発達において気になる子どもへのアドバイスを受けています。また、障がいのある子どもの保育に関する研修に参加しており、参加した職員は職員会議において、ほかの職員に報告し情報共有しています。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 保育時間の長い子どもへの配慮として、外遊び、室内遊びを一斉に行うのでなく、自分でやりたい遊びを選んで遊べるようにしています。3~5歳児クラスでは年齢で保育室を区切らず、異年齢で生活をしています。また、食事や午睡も一斉に行うのでなく、大まかに決められた時間の中で、子ども自身が「おなかがすいた」「眠りたい」と感じた時に、子どものペースで無理なく行動できるよう配慮しています。延長保育においては、19時からは合同で過ごしており、職員といっしょにおしゃべりをしながら絵を描くなど、家の茶の間にいるような環境設定をしています。18時半以降利用する子どもには補食としておにぎりを提供しています。連絡板ファイルを用意し、早番から遅番職員へ子どもの体調や伝達事項を記載して伝えています。保護者へ伝達漏れがないよう、伝達事項がある場合には「お知らせカード」を保護者用のウォールポケットに入れ、職員に声をかけてもらうように工夫しています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

 全体的な計画に、小学校との連携と就学に向けての取り組みについて記載し、幼児期の終わりまでに育って欲しい姿10項目と小学校との連携に関して記載しています。年間指導計画や月間指導計画においても、小学校との連携について記載しています。子どもが小学校入学以降の生活について見通しが持てるよう、5歳児は4月からハンカチを使用し、年明けから午睡をなくしています。また、同じ小学校に行く予定の近隣の保育園の5歳児とアプリを使ってオンライン交流をしています。保護者が就学以降の子どもの生活に見通しが持てるよう、保護者懇談会で就学について話し合いをしたり、小学校に行っている子どもの保護者に質問できる機会を設けたりしています。高津区年長児担当者連絡会の幼保小連携推進事業において、職員間で情報交換しています。担当保育士が保育所児童保育要録を作成し就学先の小学校に提出するとともに、就学先の教員の訪問を受けたり、電話で引き継ぎをしています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

 川崎市健康管理マニュアルに基づき、ケガや病気の対応マニュアルを作成しています。朝の受け入れ時には視診を行い、子どもの体調について保護者に確認しています。また、年間保健計画を立て、子どもの健康管理を行っています。既往歴や予防接種の情報は、入園時に保護者に健康調査票に記載してもらい、看護師が一覧表を作って管理しています。園での子どもの健康に関する方針や取り組みは、園のしおりに記載し、新入園時の説明会で保護者に伝えています。園内には保健のお知らせコーナーがあり、保護者に向けて保健に関するお知らせを掲示しています。また、毎月、保健便りを発行し、その季節に流行する感染症についてのお知らせや生活面で大事にしたいことなどを伝えています。乳幼児突然死症候群(SIDS)については、保護者に入園時に説明しています。職員には年度初めに説明し、午睡時に0歳児は5分おき、1歳児は10分おきに呼吸や体の向きなどについてチェックしています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

 園医による健康診断は、0、1歳児クラスは2か月に1回、2歳児以上は年3回実施し、歯科健診は全クラスで年1回実施しています。身体測定は全クラスで毎月実施しています。健診の結果や身体測定の結果は健康調査票に記入し、園生活を通して子どもの健康について把握しています。保護者には「すこやか手帳」に記載して伝えています。歯科健診の結果は、看護師が用紙に記載して保護者に渡しています。身体測定後、肥満や痩せた状態が続く場合には、看護師が保護者に話をしています。健診の結果で気になることがある時には、職員会議などで全職員に周知しています。歯科健診の時には、看護師が子どもに歯磨きの仕方を指導したり、ジュースに入っているお砂糖の量を示して飲み過ぎると虫歯になりやすいことなどを話したりしています。また、定期的に看護師が子どもに目や耳の話をするほか、体の中の構造について伝え、おなかはパンチしないようにすることなど健康にかかわる話をしています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

 アレルギー疾患のある子どもには、厚労省による「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」を基に対応しています。また、園として、除去食対応マニュアルを作成し、職員会議において職員に周知しています。栄養士がアレルギーについての研修に参加し、職員会議で報告をしています。法人系列の全保育園において、アレルゲンの卵、牛乳、小麦粉を除去した食事を提供しています。食物アレルギーのある子どもについては入園前に保護者と面談を行い、医師の生活管理指導表を提出してもらっています。その後、毎月面談を行い、食材のチェックやアレルギー負荷試験の結果を確認しています。食事の提供時には、誤食することがないよう、個別のトレーと専用の食器を使用し、席を固定し、必ず職員がそばにつくようにしています。災害時用にアレルギーのある子どもの食材を記したビブス(ベスト状の衣服)を用意し、避難リュックに入れています。園のしおりに、園での食物アレルギーの対応について記載しています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

 子どもが食に関する豊かな経験ができるよう、法人全体としての年間食育計画があり、それに基づいて3~5歳児クラスの年間食育計画を記載し、食育を実施しています。子どもが食材に興味が持てるよう、0歳児からその日に使用する食材の下準備を栄養士とともに行っています。また、オープンキッチンのように子どもの目の前で、果物を切ったり、ポップコーンを作ったり、ホットプレートで栄養士がおやきを焼いたりするなど、子どもがにおいを感じ、温かいうちに食べることができる取り組みをしています。全クラスで、おなかがすいた子どもから食事をするように配慮しています。食事の時間に3~5歳児クラスではランチルームを設けています。食べる量も自分で決めることができ、食べきれた時には誉め、完食した喜びを感じることができるようにしています。食器は、年齢に応じた形体で磁器の食器を使用しています。保護者に向けて、毎日給食のサンプルを展示し、献立表と給食便りを配付しています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

 献立は、系列園の栄養士が担当制で立てており、全園共通の献立となっています。離乳食は、家庭と連絡を取り合いながら、個々に合わせて進めています。園長及び主任が検食して、子どもに適した調理になっているか確認し、栄養士が残食を記録しています。園内では毎月給食会議を開いて、子どもの喫食状況について話し合っています。また、系列各園の栄養士が定期的にミーティングを行い、残食の有無や調理方法について話し合い、次回の献立作成の参考にしています。栄養士が食事の介助や配膳に携わり、子どもたちの好き嫌いを把握したり給食の感想を聞いています。5月にこいのぼり型のハンバーグ、8月にはかに型のケチャップライスやすいかゼリー、クリスマスにはツリー型のケーキを出すなど、行事食を工夫しています。年度末には5歳児のリクエストメニューを提供しています。食材加熱時の中心温度測定や調理器具の適切な消毒などについて、大型調理マニュアルに沿って衛生管理を行っています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

 0~2歳児では毎日の連絡帳を通して、保護者と子どもの様子や睡眠、排泄、食事などについて情報交換しています。3~5歳児では気になることがあった時に連絡帳を使用し、また、毎日ホワイトボードにその日の子どもの活動の様子を記載したり、写真を玄関に掲示したりしています。活動の様子を伝えるブログは月4回更新しています。保育の意図や保育内容については入園時に保護者に説明するとともに、年度初めの保護者懇談会において説明しています。また、毎月クラス便りに月のねらいを掲載しています。懇談会は年2回、年度初めと年度末に実施しています。昨年度と今年度はコロナ禍のためリモートで行いました。保護者との個人面談は年1回、10月~12月に期間を設けて全クラスで実施し、面談の内容などは児童票に記載しています。保育参観は、例年、5月~2月の保護者の希望日に来園してもらい、半日を子どもたちと過ごし昼食の試食をしてもらっていましたが、現在コロナ禍のため中止しています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 登降園時の会話や連絡帳のやり取りなどで、保護者と日々のコミュニケーションを取り、信頼関係を築いています。保護者から担当保育士が相談を受けた時には、園長及び主任に報告し、担当保育士だけで返答できない時には、園長や主任が対応することもあります。職員会議などにおいて、職員間で話し合って解決策を導き出すこともあります。保護者からの相談に応じる場合は、プライバシーに配慮して相談室や事務所で対応し、保護者の就労に合わせて時間も調整しています。保育所としての特性を生かした保護者への支援として、育児の悩みについては保育士が、食事の悩みについては栄養士が、健康や体調についての相談については看護師が対応しています。また、育児のヒントになる内容を園便りで伝えたり、連絡帳で伝えたりしています。相談内容は個別対応ファイルに記載し、継続して支援できるようにしています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:a】

 虐待など権利侵害の兆候を見逃さないよう、登園時の視診をしっかり行い、傷やけががある時には、その場で保護者に確認するようにしています。保護者が子どもの対応に困っていると感じた時には、職員が手助けをしています。また、子どもに不自然な傷が見られた時には、写真に撮り、職員間で情報共有しています。虐待の恐れのある家庭については、子どもや保護者の様子に変化があったり保護者から相談を受けたりした場合に、高津区役所の担当者に相談し、その後、児童相談所などと連携を取る体制ができています。園長は、要保護児童対策地域協議会に出席し、情報収集及び情報交換しています。毎年、年度初めに、法人において人権に関する研修を実施しています。虐待が疑われる時の対応については、虐待対応マニュアルを整備しており、年度初めの職員会議で虐待など権利侵害の発見についてのチェック方法などについて研修を行っています。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:a】

 保育の年間指導計画については、期ごとに保育実践に関する自己評価を行っています。また、毎月クラスごとに月間指導計画を立て、月末に自己評価を行い、次月の計画を作成しています。週案は週の半ばに立て、保育日誌に自己評価を記載しています。0~2歳児では、毎月、個別計画を立てて、作成時に先月の子どもの様子や保育士のかかわりについて振り返りを記載し、それを基にその月のねらいや配慮事項などについて記載しています。保育士の自己評価としては、年度初めに、個々の職員が「YMCAの保育園職員の自己評価」の資質向上のための自己目標欄に年度の目標を記載し、園長が9月に個別面談を行っています。2月には「YMCAの保育園職員の自己評価」を記載し、それに基づき園長が個別面談を行っています。保育士個々の自己評価の結果は、園長がまとめ、保育所としての自己評価につなげています。保育所の自己評価は、園長が骨子を作り、全職員が目を通し、職員会議で話し合って完成させています。