社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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小桜愛児園

2024年10月21日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 小桜愛児園 評価対象サービス 2024~ 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 180(173) 名
所在地 〒225-0011
横浜市青葉区あざみ野1-32-6
TEL 045-901-0141 ホームページ https://www.kozakura-hoiku.com/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1963年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 小桜会
職員数
常勤職員:35 名
非常勤職員:13 名
専門職員
保育士:29 名
管理栄養士:2 名
調理師:2 名
看護師:1 名
施設・設備の概要
居室:0歳児室
居室:1歳児室
居室:2歳児室
居室:3歳児室
居室:4歳児室
居室:5歳児室
設備:調理室
設備:調乳室
設備:事務室
設備:医務職員室
設備:幼児用トイレ
設備:園庭

③ 理念・基本方針
<理念>
一人ひとりを大切にした健やかな育成

<基本方針>
豊かな人間性を育める保育や環境の創造

<保育目標>
1. 明るく元気な子
2. 仲良く遊べる子
3. ものを考えつくりだす子
4. 心身ともに健やかな子

④ 施設・事業所の特徴的な取組
<小桜愛児園の特徴的な取組>
●共主体(こども・おとな):こどももおとなも主体的に楽しく過ごそう!
●こどもの人権の尊重:こどもはおとなの未熟な存在ではありません
●発展的な保育:こどもたちの新しい発見や気づきを大切にしよう!
●保護者支援:子育て・日々の生活を楽しもう!
●労働環境の整備:楽しんで保育・仕事をしよう!

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2024/04/09(契約日) ~2024/10/09(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(2019年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 【小桜愛児園の概要】 
●小桜愛児園(以下、当園という。)は、社会福祉法人小桜会(以下、法人という。)の運営です。法人は、児童福祉施設の推進を図り、乳幼児に対し人間形成の基盤を健全に育成することを目的とし、横浜市に3園(青葉区2園・都筑区1園)の認可保育所を運営しています。法人名に因み姉妹園3園には、桜が育つために必要な栄養素を名前(SUN:当園、WATER:中川小桜愛児園、SOIL:たまプラーザ小桜愛児園)に付け「KOZAKURABLOSSOMS」としています。最適な環境の中で、たっぷりと栄養を取り十分に満足して健やかな成長ができるようにとの思いです。また、それぞれの保育園の特徴を生かして、園庭開放、育児相談、一時保育事業等の地域子育て支援事業に取組むと共に、日々の保育の中では子どもの主体性に着目し、一人ひとりに寄り添った保育を提供しています。

●当園は、横浜市営地下鉄ブルーラインと東急田園都市線が交わる「あざみ野駅」の北西約800m、徒歩10分の中層マンションにあります。園は、早瀬川と平行する国道13号線から坂を上り少し中に入ったところで、周辺は住宅・マンション等の住宅地や公園が存在し、良好な環境の中に位置しています。

●在園児は0歳児から5歳児までで、定員は、0歳児が6名、1歳児が34名、2歳児から5歳児までがそれぞれ35名の合計180名で、比較的大規模な保育所です。保育時間は、平日は午前7時30分から午後7時まで、土曜日は午前7時30から午後6時30分までで、乳児保育、延長保育、障害児保育を実施しています。また、法人本部を当園に置いており、当園は法人の統括的な役割を担っています。一方、法人本部としての職員は置かず、系列の3園長と中川小桜愛児園の副園長(事務担当)の合議で法人事務局が運営されています。

●保育の運営のコンセプトに、「共主体」を掲げ、子ども・保育者・保護者の主体的な保育への活動と関わりに配慮すると共に、子ども(主体的・自発的な活動)・保育者(働きやすい職場づくり)・保護者(子育てと日々の生活の両立)のそれぞれの最大限の利益を追求した園運営に取組んでいます。

◇特長や今後期待される点
1.【子ども・保育者・保護者の保育への主体的な活動・関わりを重視した取組】
当園で特に意を用いて取組んでいる課題は、「共主体(こども・おとな)」です。特長的な取組に「こどももおとなも主体的に楽しく毎日を過ごそう!」を掲げています。子どもについては、0歳児は少人数で愛着関係の醸成を図り、1歳児については早く園に慣れるよう入園当初は特に丁寧な関わりを行いますが、その後は、「こどもはおとなの未熟な存在ではありません」と認めて、子どもたちの新しい発見や気づきを大切に、主体的・発展的な保育を心掛けています。日常の行動の選択を始め、コザクラフェスや美術展、おゆうぎ会等、子どもたちの要望や企画を活かした行事が、毎月複数回用意されています。利用者(保護者)アンケートでも「イベントが沢山で遊びのバリエーションも豊か」という評価が多数寄せられています。職員からも行事を通じて子どもたちが確実に成長しているとの言及がありました。保育者については、「こうなるだろうではなく自ら行うべきことを行う」として、権限移譲や年間MVP(職員間での年間MVP者選出)や人材育成により、モチベーションを高めて保育への主体的な関わりをサポートしています。保護者についても、父母の会や、保育参加、子どもフェス等、多様な保育機会への参加や、離乳食・トイレトレーニング・生活習慣作り等を園と連携して育児に取組んでいます。

2.【小桜愛児園ブランドの形成と定着化】
法人系列の3園長の合議で法人運営を図っており、どの園長も見識が高く、かつ保育に関する豊富な知識と経験を有していす。各園長は、園の特長を踏まえ、保育所資源を最大限に活用して、総合力を継続的に高めていくための園のブランド作りに意欲的に取組んでいます。小桜愛児園では、「共主体」のコンセプトを掲げて、子ども・保育者・保護者の保育への主体的な活動・関わりを重視した取組を進めていますが、特に触れておきたいことは、保育者の意識醸成が優れて図られているということです。園長は、園の業務全般が職員の研鑽、研修の場であるとの認識の下、職員指導・育成を図っています。職員にはまず園を知ることを求め、保育や会議、事務、職員や保護者との関わり等、業務のあらゆる場面が研修であるとの意識醸成を図っています。これらの保育環境作り(小桜愛児園の風土づくり=ブランドづくり)が、園長のリーダーシップの下、職員への権限移譲や、キャリアアップ研修、保育所保育指針の配付・徹底、日頃のアドバイス等を通じて、業務のあらゆる場面で実践的に進められており、小桜愛児園ブランド形成がされ、定着化していると認められます。今回の第三者評価の調査で実感したことは、保育で大切にしている事柄が、園長と職員で共通認識化されていること、職員が自分の園を良く知っていることです。その一端として第三者評価においても、運営面・保育面ともに取組内容が膨大な量で記載されており、職員の園に関する豊富な知識や、園をより良くしようとする意欲が伝わってきました。

3.【複合的・実践的な人材育成】
法人・園では、職員を人財として捉え、その定着に向けて、種々の人材育成手法を講じています。1つ目は、人事評価手法に基づくもので、仕事グレード基準概要により職員に求められる保育水準を明示すると共に、職階ごとに求められる業務内容・能力の水準を職務基準表で明らかにし、自己評価と人事考課とを組み合わせて職員のステップアップをサポートするものです。2つ目は研修によるレベルアップで、業務の内容を習得する計画的・定期的な内部研修と、実践的な研修です。実践的な研修には、キャリアアップ研修の受講促進と、他園の取組を知り自園の保育の質を高める系列3園の研究発表を実施しています。3つ目は、日常的な資質向上です。法人・園では日々の業務や会議を研修の機会と捉え、保育所保育指針(本文及び解説書)を職員に配付すると共に、各保育計画の作成時や反省時に活用する等、職員は保育所保育指針を常に意識して、日常の保育に取組んでいます。さらに、4つ目は、職員への権限移譲や、職員の投票による年間MVPの顕彰等のモチベーションアップによる総合力の向上です。多岐に亘る人材育成手法を組み合わせた、戦略的な人材育成が行われ効果を発揮しています。こうした取組を通じて、小桜愛児園ブランドともいえる高質な職員が育成されています。

4.【計画的な福祉人材の確保策について】
第三者評価の取組状況は、全て通常の保育園に求められるレベル以上で、前回の第三者評価受審同様、特段の改善点は認められません。尚、現状では大きな問題はありませんが、これからの園作りを進める上で、計画的な福祉人材の確保策を講じることが期待されます。当園では、保育士の他、栄養士や看護師(非常勤)を確保して、適切な子どもの支援に取組んでおり、現在は、保育士の配置基準も充足しています。一方、事業経営上の課題として、事業所形態(50人以上)への移行を挙げています。将来の認定こども園移行の職員体制整備は元より、早番、遅番を含めたシフト管理や、育休・産休対応に備えるためには、現在でも人員配置が厳しいものとなっていると認められます。園では、研修による資質向上、多様なマニュアルによる業務支援、業務改善やサブスクの導入による省力化等、あらゆる面で職員の負担軽減を図っていますが、職員のトイレ掃除等の、負担軽減改善の難しい課題もあります。また、派遣職員を多く抱えることによる人件費の圧迫や、障害者雇用等の課題もあります。法人・園では十分認識されている課題ですが、50名の壁(産業医・衛生管理者・衛生委員会)を乗り越えて、これらの課題解消に計画的に取組まれることを期待します。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
施設名 小桜愛児園         
         
≪第三者評価を受審した感想・自己評価での取組の感想≫
横浜市内認可保育所のため、5年に一度は必ず受審をしております。それにより、毎回振り返りの良い機会となっております。
自己評価においては、職員全員で取組み、一人ひとりがより園を知り、考え、振り返ることができました。今後、職員の資質向上や園の発展にも大きな効果があるのではないかと思っております。

また、社会が様々な変化を遂げる今日において、その時々のニーズを受け止め、常に地域社会、保護者、何より子どもたちに求められる保育所でありたいとの想いで、私たちの園では保育所運営を行っており、今回の受審を通して、さらに充実した保育所の構築を図っていきたいと感じております。保護者の皆さまからのアンケート結果については、心温まる回答・コメントをたくさんいただき、職員にとっても大きな励みとなりました。

しかしながら、世間一般では不適切保育云々とメディアの報道が絶えません。そういった中でも、真面目に取組んでいる保育士・職員の人権を守る側面を持った第三者評価の在り方を各評価機関で考えていただきたい。また、無記名のアンケートは、現社会において、誹謗中傷を助長する恐れもあるので、今後何か対策を講じていただきたい。

≪評価後取組んだこととして≫
1.職員間での評価結果の確認、振り返り

2.アンケート内改善点の対応

3.次回受審に向けての目標設定

詳細評価PDF 詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

法人・園の理念は「一人ひとりを大切にした健やかな育成」、同じく基本方針は「豊かな人間性を育める保育や環境の創造」です。理念・基本方針は、児童憲章や保育所保育指針の目指す保育目標を、簡潔かつ明快に表現しており、職員は、保育理念・保育方針・保育目標を毎週1回昼礼時に暗唱する等、日常の保育の中で常に意識して取組んでいます。保護者への周知については、入園時のパンフレットや重要事項説明書を用いて説明をしていますが、簡潔な文章にも関わらず、利用者(保護者)アンケートでの「基本理念・基本方針」を「よく知っている」の割合は25.3%と低い値を示しています。素晴らしい理念・基本方針を表した短文ですので、次回の第三者評価での保護者の周知度アップを期して、園内に大きく掲示する、あるいは園だよりに掲載する等、継続的な取組を期待します。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

園長は、日本保育協会横浜支部の青年部部長としての活動を通じて、行政情報を始め保育業界を取り巻く環境動向にも精通しています。さらに、法人の事務局を、系列園を含めて園長3名と中川小桜愛児園の副園長(事務担当)で、合議しながら統括し運営されており、経営状況についても的確に把握、分析しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

経営課題は、認定こども園への移行、収益事業の検討、事業所形態(50人以上)への移行の3課題と捉えており、いずれも将来のさらなる少子化を見据えた重要課題です。認定こども園については多様な補助メニューが魅力ですが、この地域はニュータウンとして若年層が多いため入園児の著しい減少は直ぐには起こりづらく、横浜市の地域福祉政策との調整課題があるため移行時期は見通せない状況です。収益事業の検討は、現在、法人全体としての財政状況は比較的良好ですが、系列園の中で賃料負担の収支を鑑み、法人内の各園で収益の見込める新たな事業への取組を進めています。事業所形態(50人以上)への移行については、現実には、産・育休対応上の必要性がありますが、認定こども園の移行に向けた職員体制の整備からも将来的に求められるものです。法人・園では、既に認定こども園については横浜市と定期的に交渉を行うと共に、新たな収益事業についてもいくつか検討・試行を始めています。こうした将来的な課題や取組は、職員会議等で園内の合意形成が図られています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

中・長期計画は、令和12年度(2030年度)までの計画が策定されています。この計画は、大規模改修等のハード面の計画で、系列3園の事業計画が該当年度に位置付けられ、収支計画を伴う具体性のある計画となっています。さらに、当園では、「実践を重視した保育運営を行い、法人3園で連携をとりながら、地域社会の中で役割を果たしていく。少子高齢化社会の動向を捉え、次世代への発展的な運営をおこなう」ことを目指して、「地域に寄り添う保育」・「保育人材育成」・「これからの保育運営」の3課題としてまとめ、それぞれに2項目ずつ枝を付けた「中・長期事業的見通し」と、これに基づく「短期事業的見通し」を策定しています。「中・長期事業的見通し」の内容は、保育人材育成等継続的に取組んでいくものや、認定こども園への移行等行政の政策との調整を要するものが主で数値目標が設定し難いものとなっており、進捗状況は、「短期事業的見通し」で把握していくシステムとなっています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

当園は、ハード、ソフトを含めた運営面での単年度の事業計画が策定されていますが、この事業計画は法人の中・長期の事業計画の内容に直接関連するものではありません。そこで、施設では、【4】に記載の通り、「中・長期事業的見通し」とこれに基づく「短期事業的見通し」を策定しています。一つ目の課題の「地域に寄り添う保育」では、「コザクラフェス等の新たな公益的事業」、「地域の催事のお手伝いや園庭開放、イベントの企画」が、二つ目の「保育人材育成」では、「養成校のみならず、企業の研修受入れや大学からの研修受入れ」、「全てのキャリアアップ研修対象の4分野終了」が、三つ目の「これからの保育運営」では、「共主体」、「農家連携=野菜販売」が掲げられ、達成状況の把握が可能な事業等が掲載されています。今後は、進捗状況について把握・取りまとめして、公表されることを期待します。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画には、保育理念、保育方針、保育目標を始め、0歳児から5歳児までの子どもそれぞれの保育目標、保育内容、食育、地域保護者支援等、保育所保育指針が求める内容が、園の特長を表しながら適切に記載されています。さらに、社会的責任、人権尊重、説明責任、情報保護、苦情処理・解決、SDGs等、社会福祉法人に求められる使命・責任が掲げられています。全体的な計画の下、クラスごとの月間指導計画、週間指導計画や、行事計画が策定されています。各計画は実施後に関係職員により反省・評価が行われ、次の計画の改善につなげています。各計画はパソコンのシステムに掲載されることにより、全職員が共有できるようになっています。尚、園ではクラスごとの長期的な指導計画の内、年間指導計画を、全体的な計画との重複解消や職員の負担軽減のため廃止し、今年度から月間指導計画に一本化しています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画は園内に掲出すると共に、入園説明会で入園案内に添付して保護者に説明しています。クラスだよりには、クラスごとの毎月の目標を掲げ、クラスの月の保育のねらいや保育内容を分かり易く保護者に伝えています。年間事業計画は前年度末に、毎月の事業計画はその月の園だよりで伝えると共に、園のご案内(折り込み両面リーフレット)には年間行事の他、一日の保育の流れ、英語・体操・柔道教室、食育活動等、園の特長的な保育の取組が一目でわかるよう工夫し掲載されています。また、年間の行事の記録をブログにしてホームページに掲載する他、子育て支援事業等の園の行う事業について、ホームページを活用して積極的に保護者等外部に伝えています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

クラスの月間・週間指導計画、行事等の実施後の反省・評価を、子どもの状況や保護者の要望等を把握しながら、クラスごとや関係職員で確認・協議し、内容の改善を図っています。また、子どもの人権の振り返りシートを3か月ごとに、職員の自己評価と園の自己評価を毎年行っています。毎月月末にクラスごとに保育の反省を行い、職員間で意見交換を図り、保育の質の振り返りを継続的に行っています。自己評価は、「保育・子どもの人権」、「職員・保護者との関わり」、「保育事務(制作・行事準備)」、「その他(研修・自己研鑽など自由記載欄)」の各項目の取組を自己評価した上、総合評価し、次のステップに向けた目標・改善点を記して管理者コメントを得、職員、管理者が点数化も行う具体的な評価内容となっています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画を始め保育に関する月間・週間指導計画については、各計画の実施後に反省・振り返りを行い、評価結果に基づいて次期の計画を改善する仕組みがあります。目標・改善点を設定した自己評価を基に本人が自らを振り返り、管理者との面接を通じてレベルアップを図る仕組みや、園実施の保護者アンケートを踏まえた改善策の検討、保育を通じて職員が気付いた改善策の実施等、園では保育や会議、事務等あらゆる場面を自己研鑽、研修の場と捉え、自己評価の評価項目からもその趣旨が読み取れます。こうした仕組みを通じて、職員が課題を意識し、取組む風土作りが実践的に行われています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

園長は、事務分担表の中で、利用者の処遇計画及び施設運営・管理の統括、事務管理の統括、保育士の業務分担の監督・調整、リーダー会議の統制等、自らの内部管理の責任を明確化すると共に、行政、関係機関・団体、保護者、業者との交渉・連絡・調整等の対外的な責任を表明しています。さらに、職員会議やクラス会議等で方針を伝え、職員との共有を図っています。園長不在時には、事務分担表で副園長に権限を委任すると共に、緊急事態発生時に職員が行うべきことを簡易マニュアルで明示し、各クラスに備えることにより、緊急時に管理者不在であっても職員が行うべき事項が明確化されています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

園長は、日本保育協会横浜支部青年部部長としての活動を通じて、行政や他の事業所から遵守すべき法令等を入手すると共に、法人の事務局を運営する中で、系列の園長と情報交換をしています。さらに、委託先の税理士法人や社会保険労務士からも法令改正等の情報を得ています。園長は、これらの情報や、人権・プライバシー・個人情報保護等、遵守すべき事項を業務マニュアルの中から適宜抽出して、職員会議や研修で伝え、コンプライアンスの確保・向上に取組んでいます。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

園長は、業務全般が職員の研鑽、研修の場であるとの認識の下、職員指導・育成を図っています。職員にはまず施設を知ることを求め、自己評価の項目にもみられるように、保育や会議、事務、職員や保護者との関わり等、業務のあらゆる場面が研修であるとの意識醸成を図っています。保育の質を高める上での最重点課題に「共主体(こどもの最善の利益・保護者の利益・職員の利益)」を置き、その実現を図る保育環境作りを推進しています。職員の意識の醸成と保育環境作り(小桜愛児園の風土づくり=ブランドづくり)が、園長のリーダーシップの下、各事務担当への権限移譲や、面接、会議、キャリアアップ研修、保育所保育指針の配付・徹底、日頃のアドバイス等を通じて、業務のあらゆる場面で実践的に進められており、質の高い、意欲的な職員が育っています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

園長は限られた人的資源の最大限の能力発揮を図るため、省力化や業務改善に特に意欲的に取組んでいます。「小桜愛児園の風土づくり=ブランドづくり」に職員の共感を得ながら取組む中で、職員提案により長期指導計画の月間指導計画への集約化や、職員の協議でクラス担任を決める等の試みが生まれる等、組織の活性化が図られています。行事ごとの担当者の任命と全権委任、クラスリーダーへの運営委任、年2回(新年度人事伝達時・上半期終了後)の職員面談による要望・意見聴取、提案募集(用紙記入・会議時等)と採用等、職員の意識・意欲を高め、業務改善につなげる仕組みを多様に用意して、指導力を発揮しています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

当園では、保育士の他、栄養士や看護師(非常勤)を確保して、適切な子どもの支援に取組んでいます。現在は、保育士の配置基準は充足していますが、将来の認定こども園移行の職員体制整備は元より、現在でも早番、遅番を含めたシフト管理や、育休・産休対応に備えるためには、人員配置が厳しいものとなっていると認められます。そのため園では、研修による資質向上、多様なマニュアルによる業務支援、業務改善やサブスクの導入による省力化等、あらゆる面で職員の負担軽減を図っています。一方、人材の確保については、職員の定着に向けた風土作りを進めると共に、新たな人材確保のため、実習生を積極的に受入れ、系列の各園長が協働して、大学やハローワークに働き掛けをしています。さらに、施設を知ってもらうためのホームパージやSNSを活用したPRにも力を入れています。園で作成した実習生等に向けた職員の笑顔満載のピンクのパンフレットが印象的です。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

給与規定の中で、期待する職員像を「仕事グレード基準概要」とし、人事基準を「職務基準表」として明確にし、入職時や自己評価の面談等で職員に周知しています。さらに、職員面談を年2回、管理者が行い、業務を振り返る機会にすると共に、職務上の課題や希望等を確認しています。自己評価と、職務基準等の人事考課に基づき、適切な人事管理が行われるよう取組んでいます。特長的な取組として、「年間MVP」があります。これは、年間を通じて意欲的に仕事をして顕著な成果を上げた職員を、職員の投票によって決めるもので、受賞者には給与アップ・全国的な研修参加等の特典が与えられ、職員のモチベーションアップにつながっています。クラスリーダーや行事担当への権限委任、音楽や美術、運動等で秀でた能力を持つ職員の適所での活用等、職員の意欲の増進を多面的に行い、小桜愛児園のブランド形成を進めています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

自己評価に伴う管理者による職員面接を年2回行う中で、職員の意向や要望を聴取し、極力希望等に沿った働き方に配慮しています。月曜をノー残業デーとすると共に、会議は子どもの就寝時に行う等、残業を極力しないよう管理者、職員間で申し合わせ、取組んでいます。子どもと関わらずに事務処理に専念できるノンコンタクトデイを月1回8時間設けています。新採用職員でもリフレッシュ休暇(3日)を含めて1年間に最低15日は有給休暇を取得できるようにしています。さらに、業務改善やサブスクの導入による省力化等、あらゆる面で職員の負担軽減を図っています。福利厚生制度では、最高82,000円までを対象とした宿舎借り上げ制度や、職員のメンタルヘルス対応として協会健保の活用を図っています。調査での職員面談では働きやすい、職場の雰囲気が良いとの言及があり、園内見学でも職場内の雰囲気も職員の表情も明るく感じられました。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

仕事グレード基準概要により、職員に求められる保育水準を明示し、職階ごとに求められる業務内容・能力の水準を職務基準表で明らかにしています。また、年2回目標を定めた自己評価を実施しています。また、保育理念・保育方針・保育目標を毎週1回昼礼時に暗唱すると共に、保育所保育指針(本文及び解説書)を職員に配付し、各保育計画の作成時や反省時に活用する等、職員は保育所保育指針を常に意識して、日常の保育に取組んでいます。さらに、職員一人ひとりの育成に向けたキャリアアップ研修の受講促進等、戦略的かつ多様な研修による人材育成が図られています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

当園の「中・長期事業的見通し」の柱に「保育人材育成」を掲げ、実習生等次世代人材の育成と共に、質の向上(職員)を位置付けています。「質の向上」について、「職員の研修参加による資質向上、自己評価と人事考課の活用等を積極的に行い、スキルアップを目指す」と明記しています。中・長期事業的見通しを受けた短期事業的見通しの「質の向上」では、「キャリアアップ体制の充実」として「全てのキャリアアップ研修対象職員が4分野(※)を終了できるよう充実を図る」と明記しています。年間研修計画が策定されており、実践的な園内研修が図られており、外部研修については、キャリアアップ研修を重視して、希望者の受講促進を図っています。さらに、系列3園の研究交流を図ることで、相互の園の保育の状況を知り、互いを高め合う機会としています。※キャリアアップ研修8分野の内4分野の履修が処遇改善給付適用の条件

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

常勤職員については毎年の研修の受講状況が管理され、外部研修等研修の機会が確保されています。一方、保育の質の向上に向けた課題の中では、職員間の技術供与、短時間パート間の情報共有を課題と認識しています。特に、短時間勤務の職員については年収130万円の壁もあり、研修機会の確保・拡充が難しい状況です。園内の実践的な研修の受講を全職員に義務付けると共に、外部研修に関する研修報告会への参加促進や、研修報告書の回覧、ベテラン職員とシフトを組むことによるOJT、簡易マニュアル等の活用等、パート職員の質の確保・向上に努力しています。当園では、約3割の職員が非常勤職員であり、非常勤職員が貴重な戦力となっているため、今後とも、オンライン研修の活用等、パート職員の研修機会の確保・創出を工夫し、取組まれるよう期待します。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

実習生については、全体的な計画をはじめ、中・長期、短期のそれぞれの計画に位置付けて、福祉人材の育成と新採用職員の確保につながる機会として捉え、積極的に受入れています。実習生の受入れに関するマニュアルを整備し、横浜市の実習指導者研修を受講した副園長を受入れ担当とし、職員にも予め周知しています。実習プログラムは、0歳児から5歳児までの各クラスを経験できるよう配慮しています。当園の特長として、「責任実習」を取入れています。これは、実習生に現場を学ぶと共に楽しんで実習を経験してもらおうとの趣旨で、実習の注意事項を最初に渡した後は最後に自己評価を行うまで、実習生が自ら実習のクラスを選ぶ、実習ノートに捉われずに実習を行う等、自主的に実習を進める試みです。こうした自主的な実習は、それを経験した実習生が、希望して園に入職する機会にもなっています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人の情報は、経営の概要を、「現況報告書」や各種計算書類から把握できるよう、WAM NET(全国社会福祉協議会の福祉・保健・医療情報)に掲載し、法人のホームページに、定款や第三者評価結果等を掲載しています。苦情解決結果については、公表を前提としていますが、保護者への適切な対応により近年の公表事例はありません。法人の情報公開に加えて、園のホームページでの保育情報の内容が充実しています。保育目標や、施設概要の他、保育内容や年間の行事内容がブログにより時系列で掲載されています。また、医師の意見書や登園届、園案内パンフレット等の必要な書類がダウンロードできるよう利便性が図られています。園の情報は、地域子育て支援拠点や、青葉区等関係機関に積極的に提供されています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

第三者評価結果や行政の監査結果は、職員間で共有が成され、改善に向けた取組が即時に図られています。服務規程・事務処理規程・経理規定・職務分掌等の管理規定も整備され、職員がいつでも確認できるようパソコンのシステムに掲載されています。税理士と社会保険労務士と委託契約を結んでおり、適宜アドバイスを得られると共に、税理士が毎月法人事務局を訪問することにより、経理面の確認・指導を得ています。また、系列園の副園長が法人事務局の事務を担っており、適時に当園に来所することにより、経理や事務の執行状況の確認を行っています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもたちと地域との交流については、全体的な計画に位置付けられ、交流の機会が、多岐に亘り用意されています。子育て支援事業での園庭解放等での地域の子どもや保護者との関わりをはじめ、地域の保育園とのドッジボール大会や、保育園・小学校との交流、広域避難場所(あざみ野中学校)への避難訓練、コザクラフェスや芋掘り等を通じて定期的な交流が図られています。また、地域の商店やスーパーでの買い物体験や、交番、消防署等の社会見学、公共交通機関の利用等の社会体験も行っています。日常でも、近隣の公園への散歩を多く取り入れて、地域住民との交流が図られています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

ボランティアの受入れについては、全体的な計画内の保護者・地域等への支援に位置付け、中・長期事業的見通しに体験学習の受入れを明記しています。ボランティアの受入れマニュアルは整備され、近隣の中・高・大学生を継続的に受入れています。卒園児の来園も歓迎しています。前回の第三者評価で提示された、同マニュアルへの個人情報保護の記載については改善されていました。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

当園は、保育技術を生かした地域課題への貢献に意欲的に取組んでいます。地域の虐待防止ネットワークに参画し子どもの権利擁護に取組むと共に、地域イベントでの子育てや家庭相談等を行うことにより、家庭の貧困や不適切養護の課題への対応を図っています。障害児の受入れを行うこと等を通じて、医療・福祉・行政との連携が図られています。また、第三者委員を民生委員、青少年指導員等に委嘱して連携を図り、保育の中でも、地元警察署による交通安全教室の開催、消防署による防災指導、資源循環局リサイクル教室の開催、郵便局での暑中見舞いの掲出等を通じて、関係機関との関係作りが行われています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

地域の福祉ニーズを把握するためのツールは多岐に亘り用意されています。前述の地域の虐待防止ネットワークや子ども家庭相談、医療、福祉、行政連携を通じてのニーズ把握、よこはまこどもフェス等、地域イベントや、子育て支援事業に参加する保護者等からのニーズの把握、園長が参画する日本保育協会横浜支部の活動を通じて福祉行政や保育ニーズの把握、地区の民生委員・青少年指導員等からなる第三者委員との意見交換等により、多面的に地域ニーズの把握に努めています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

地域の子育て家庭への支援として、子育て支援事業を実施しています。子育て支援事業は、毎週土曜日の園庭開放をはじめ、親子体操教室、年2回給食体験会等を行い、保護者の相談にも応じています。また、虐待防止ネットワークへの参画や、地域イベントでの子ども家庭相談等、地域課題への取組も行っています。育児相談は何時でも受入れる体制を整えています。大学の研究(言葉と視覚)にも継続的に数年間協力しています。さらに、小規模保育園への園庭開放や、近隣の若手農業グループへの野菜等の販売場所の提供、園が入所するマンションの総会や、近隣自治会の会合等に園を提供する等、地域コミュニティの活性化をサポートし、災害時にはマンション住民の避難場所としての支援も想定しています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は日々の保育、会議等全ての業務が研修であるとの自覚をもって子どもの保育に取組んでいます。ドキュメンテーションを通して日々の振り返り、各保育計画の反省、昼礼や会議・研修等での保育姿勢・方法の反省と共有化に努めています。人権研修・人権チェックリストを併せて定期的に行うと共に、自己評価の中でも意識して取組み、振り返りを行っています。子ども同士の関わりについても受容し、主体的な関わりに配慮しつつ適切なフォローを行うことで、子どもが互いに尊重する心が育まれるよう取組んでいます。性差への固定的な対応を避けて、子どもの呼びかけを「〇〇さん」に統一しています。また、障害児や外国籍児童を受入れることを通して、インクルーシブ保育や、多文化の中での共生を大切にしています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:a】

個人情報保護に関する基本方針、個人情報管理規程が整備され、毎年のプライバシーを含めた人権研修・人権チェックリストによる職員意識の醸成が図られています。トイレや、オムツ替え、水遊び時の着替え等もマニュアル化され年齢に応じたプライバシーが確保されると共に、トイレやオムツ交換の場所は、ハード面でも開放的な明るい空間とされる一方、光は入るが透視できないレースカーテンの使用や、トイレの間仕切りの意匠等により、個々に外からの視線が遮蔽されるよう工夫されています。子どもの生活スペースは可動棚等の間仕切りで、簡単に区分できるようにされており、子どもが一人になりたい時に、一人で過ごせるスペース作りや、子どもと保育者が個別対応できる空間としています。また、特長として、子どものクールダウン等、場面を替えるため、クラスから離れた玄関ホールに恐竜等の玩具を備えたスペースを設けています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

法人のホームページは系列各園のホームパージとリンクしており、園のホームページは、園案内パンフレット等の情報が必要に応じてダウンロードでき、情報を入手し易くなっています。また、園の情報は、地域子育て支援拠点や、青葉区等関係機関に積極的に提供されており、青葉区では、区の広報誌にドッジボール大会や5歳児交流の様子を掲載してもらっています。見学は随時受付けており、保育に支障のないよう園長と副園長が分担して、「にゅうえんのごあんない」や園のパンフレット、ブログ等を用いて丁寧な対応を行っています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

入園説明会を開催して、簡潔な「園のごあんない」や、分かり易く必要事項をまとめ、重要事項説明書を組み込んだ「にゅうえんのごあんない」等の冊子やデジタル資料等を用いて、全体説明とクラス別の保育内容を分かり易く説明し、質問にも丁寧に答えています。年度の初週に開催する「にゅうえんしんきゅうおめでとう会」でも各クラスの保育内容を説明し、保護者の理解を深めています。保育内容の変更については、園だよりや専用アプリ配信、あるいは文書により伝え、重要な事項は、必要に応じて承諾書を徴しています。外国籍の保護者等、配慮が必要な説明では、ひらがな表記や簡単な英語を使用して意思疎通を図っています。また、園の方針や保育についての分からないことや心配事については、気軽に声掛けするように努め、「にゅうえんのごあんない」の末尾に大きく記載すると共に、重要事項説明書でも同様に案内しています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

保育所の変更に当たっては、個人情報の取扱い上の課題もあり、引継ぎ文書や手順等は定めていません。転園先からの問い合わせがあれば、個々に応じた配慮を伝えています。卒園児の保護者からの相談や問い合わせがあれば、園長が窓口となって対応していますが、特段、退園後の相談方法等を記載した文書を保護者に渡すことはしていません。文書にしておくと尚良いでしょう。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

日々の保育の中で、子どもを受容し、主体的な行動をサポートしつつ、応答的な対応を心掛けています。また、子どもの意見や意思を取り入れた指導計画の策定を行い、子どもの興味を取り入れながらの日々の活動内容の検討、スポーツデイ、おゆうぎ会の役や振り付け、美術展のテーマ決定等、子どもの興味や主体性を尊重して保育を行っています。さらに、毎日夕方に3・4・5歳の幼児クラスの子どもミーティングを行い、自発性を育んでいます。保護者へは保育参観や保育参加時や行事ごとにアンケートを実施すると共に、父母会や保護者懇談会等、多様な機会を活用して意見・要望を徴しています。また、日々、職員と保護者とのコミュニケーションを大切にし、専用アプリでの連絡帳を活用した相互の情報交流を行っています。保護者からの要望・意見等については、クラスで検討し、管理者に相談して、専用アプリ等を通じて速やかに対応するよう努めています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

重要事項説明書や園内掲示で、園内の苦情相談窓口を始め、第三者委員の連絡先、園外の苦情相談窓口として横浜市福祉調整委員会を明示しています。苦情解決マニュアルが整備されており、苦情があった場合は、第三者委員に報告し、対応結果を公表することとしています。一方、園、職員が保護者との関係作りに取組んでおり、かつ速やかな対応に努めていることから、苦情として第三者委員まで上がる案件がないため、近年は公表に至る案件はありません。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

園と保護者との連携については、「にゅうえんのごあんない」及び重要事項説明書にも位置付け、心配なこと、分からないことは何時でも職員に尋ねるよう案内しています。「入園のごあんない」では、育児相談等、個別に調整することも可能と明示し、重要事項説明書では面談、電話、メール等での受付も教示しています。職員も保護者とのコミュニケーション作り・関係作りに意を用いて保護者が相談等しやすい雰囲気を醸成しています。相談場所は、カーテンで仕切れる園長室と0歳児室を用意し、送迎のない時間帯は園長室で対応する等、保護者が相談等をしやすい環境の整備を図っています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

保護者からの相談は、昼礼時等に伝達し全職員に周知を図り、管理者に報告して対応方法を確認し、出来るだけ速やかに保護者に回答する手順が定まっています。アンケートの意見・要望や、苦情については職員会議で対応策を協議し、園だより、クラスだより、専用アプリの連絡ノートにより、速やかな対応を行い、必要に応じて面談を行い、保護者の理解を得るよう努めています。園長等管理者がクラスの外から日々の保育を見て、問題があった際にはクラスリーダーに伝え、迅速な解決に努めることにより、苦情につながらないよう取組んでいます。利用者(保護者)アンケートでは「相談ごとへの対応」について、概ね十分を含めて十分が94%と高い数値を示しており、コメントでも「連絡帳でとてもきめ細やかに対応してくれる」、「子育てで困ったときアドバイスを得て精神的に助かった」等の意見が多くみられました。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

リスクマネジメントについては、保育の場面に応じた多様なマニュアルを備えて事故防止に取組んでいます。業務マニュアルの中に、「園児のための環境整備や乳幼児における留意点」を始め、衛生管理、安全管理、防災・災害対策を位置付けると共に、個人情報保護に関する基本方針、アレルギー児誤飲・誤食マニュアル、感染症防止マニュアル、園外保育手順、水遊び手順、暑さ対策ガイドライン、嘔吐処理マニュアル等を備えて対応に努めています。また、「重大事故防止のための検証と事故防止等のためのガイドライン」や、バス送迎・安全管理徹底マニュアル、119番通報の覚書、「大規模地震発生時の行政への連絡方法の見直し」等を整備しています。職員は、ヒヤリハット事例を記録し、職員間の共有を図り、定期的に園内外の点検整備を行うと共に、ケガ等の状況を写真に記録し、保護者へ適切な情報提供を図る等、事故の予防、再発防止に努めています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症の予防や蔓延拡大を図るため、業務マニュアルに衛生管理、安全管理に係る対応手順を示し、感染症蔓延防止マニュアルや嘔吐処理マニュアルを備えて、予防や発生時の対応を図っています。また、毎年、感染症拡大防止に関する研修を実施しています。室内は換気と適当な湿度管理を図り、子どもの手洗い・うがいの励行や、職員が消毒液を携行して日常の衛生管理に努めています。さらに、嘔吐処理のセットがクラス等各所に配置されており、浄水器やおしぼり器を設備して衛生管理の徹底に努めています。感染情報は、必要に応じて保健所に報告すると共に、ホワイトボードにより保護者に即時に伝達しています。感染症予防・対応に係るマニュアルやガイドラインは、保健所や嘱託医等からの情報を得て、複数のマニュアル担当職員(毎年交代制)が適時に見直しを行っています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

地震等の災害時には、業務マニュアルの防災・災害対策編に沿った対応を図っています。火災・地震・不審者を想定した子どもを交えた避難訓練を消防署や警察の指導を受けながら定期的に実施しています。また、火災対応として、防炎カーテン・マットを採用し、布類は防炎加工されたものを使用しています。保護者の緊急連絡先を一覧にして備え、地震・火災等の緊急時には、専用アプリやメールにより、職員・保護者との連絡方法を確保しています。広域避難場所への避難訓練も毎年行っています。非常用持ち出し袋を各クラスに備え、防災用品や備蓄品を整備して備防災用品の一覧表をファイル化しています。さらに、マンション管理組合に参加し、災害時の協働した取組を図っています。「事業継続計画」についても、感染症・災害を想定し策定されています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:a】

保育については、全体的な計画、月間指導計画、週間指導計画に、それぞれの保育のねらいと実施内容が明示されています。また、職員は保育所保育指針を携行し、その内容に沿った保育を行うよう職員相互で確認しながら保育の提供を行うよう標準化を図っています。さらに、保育の各場面を想定した業務マニュアルや、業務マニュアルの要点をまとめた簡易マニュアルが用意され、職員の取組をサポートしています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

保育に係る各種計画は、期間終了の都度、反省、見直しが行われ、改善策が次の計画に反映されています。業務マニュアル、簡易マニュアルについては、毎年複数のマニュアル担当を決め、実施上不都合な点や、行政等の指導や情報提供を受けて見直しを行っています。さらに、ドキュメンテーション等を活用して日々の保育の振り返りを行い、他クラスの職員がクラスに入り多面的に子どもを見ることによって、保育の実践が画一的なものになることがないよう取組んでいます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:a】

入園前に保護者から成育歴や生活状況を書面で提出してもらい、それに基づいて保護者との面談を行い、保育内容を定め、一定期間、子どもの状況を見ながら保育内容の適否を職員間で協議し、次の保育内容の策定につなげています。1・2歳児や障害児は、生育状況や障害の特性を観察しながら毎月、個別指導計画を見直しています。配慮の必要な子どもについても個別支援計画を策定し、概ね四半期ごとにケース会議を開催して計画の見直しを図っています。子どもの個別支援計画については、医療機関や療育機関の指導や協議により保育内容を策定し、適宜見直しを図っています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

指導計画は、クラスの職員で評価し、見直しを行った上で園長等管理者の承認を受け、実践されています。全体的な計画は、前年の実施状況や課題を踏まえて園長等管理者が見直し、協議を行った後、原案が策定され全体会議に諮り、策定されます。全ての計画の策定過程に関係職員の参画が図られています。評価の課程では、ブログ等を用いて日々の保育を評価し、子どもたちの遊びや成長につながるよう配慮されています。また、保育内容の急な変更の場合にも、職員間で合意形成を図ると共に、職員配置を工夫して対応できるよう努めています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

児童記録等、保育の記録の様式が統一され、記録された実施状況は、パソコンのシステム上で職員間の共有が図られています。記録は、子どもの育成状況を中心に、必要な支援方法等、職員間で共有すべき内容を時系列で簡潔に記載しています。記録の書き方は、記載のポイントを全体会議やクラス会議で管理者が伝達・指導を行い、システムに掲載された内容は管理者や職員間でアドバイスをすることにより、記載内容の統一化やレベルの向上を図っています。また、月反省等の会議で、個々の子どもの情報共有やケース検討を行い、記録を残し、給食会議の協議内容や健康診断結果についても記録して、適切な保育実践につなげています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

個人情報保護に関する基本方針や個人情報管理規定、特定個人情報の取扱い、コンピューター運用管理規程等を整備し、個人情報の管理・利用方法を定め運用しています。個人情報の取扱いについては、研修や会議を通じて、事故防止に努め、保護者に対しても、入園説明会等で写真撮影のルールの説明を行い、園配信の写真・動画の管理を専用のID、パスワード、クラスのパスワードを用いた専用アプリで行っています。個人情報に関わる情報は極力パソコン上で管理し、紙ベースでの書類作成を行わないようにしています。人事管理上必要な書類は園長の執務室の鍵のかかるロッカーで保管し、クラスに鍵のかかるロッカーを備え、保育に関する備忘録等必要最小限の書類を保管しています。個人情報は外部への持ち出しを禁止すると共に、個人情報の廃棄は園長室のシュレッダーで処理し、業者による溶解処理を行う等、徹底しています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画は、児童憲章の理念を表す施設の保育理念・保育方針の下、保育目標を掲げ保育所保育指針の保育のねらいと内容に沿って、0歳児から5歳児までの子どもの保育目標、養護と教育のねらいを記載し、同指針第3章の健康及び安全に位置付けられた健康支援、食育等の各事項に対する取組計画を明らかにしています。保育の目標・ねらいは、それぞれの成長発達を捉えて、年ごとに振り返りながら、年間を通して子どもたちの成長の見通しを立てて策定しています。全体的な計画には、保育所保育指針に位置付けられた子育て支援や職員の資質向上の他、小学校との連携、地域との交流計画も明示しています。さらに、社会的責任、人権尊重、説明責任、情報保護、苦情処理・解決、SDGs等、社会福祉法人に求められる使命・責任を掲げています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:a】

0歳児から5歳児までの各保育室は広く、窓が大きく採られており、採光・通風に恵まれています。さらに人工芝で、可動式の大きな遊具を備えた広い園庭を有しています。0歳児と1歳児は玄関近くの隣り合った部屋で、2歳児から5歳児までは間仕切りが可能で連結している広い空間を確保しています。1歳児の保育室は園庭に面しており、2歳児から5歳児までの各室は一体化しテラスに出られるようになっています。また各保育室には空間洗浄システムが常時稼働し、空間除菌がなされており、清掃や次亜塩素酸水消毒により清潔に保ち、空調も適切に使用され、子どもたちは快適に過ごしています。また、園長が環境整備について定期的に注意を払っており、職員の係を決めて園舎内外を常に清潔に保っている他、各室に浄水器とおしぼり器が設備され衛生管理に配慮がなされています。遊びと生活空間は区分され、遊びの空間は可動式の棚やボール紙の間仕切りで簡単に仕切ることができ、小グループでの遊びや、一人で過ごせるスペースを設けることができます。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

応答的な関わりを大切にして、子どもの主体的な行動に配慮するよう取組んでいます。子どもの気持ちを汲み取った上で、そのまま全てを容認するのではなく、子どもの気持ちを代弁しながら、選択肢や先の見通し(楽しみ等)を伝えることで、次の行動につなげられるよう支援しています。保育活動では、子どもの興味や意見を取り入れながら活動内容を決める等、子どもに寄り添い、子どもが言葉や気持ちを職員に届けられるよう丁寧な語りかけに努めています。子どもの関わり方については、クラス会議で定期的に保育方法を見直し、共有して取組んでいます。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもの成育に個人差があるため、無理強いせず、職員のさりげない援助の中で達成感を得て、基本的な生活習慣が自然に身に付いていくように支援しています。個々に合わせたタイミングでの声掛けや援助を行い、子どもの気付きや行動をサポートすることを大切にしています。オムツやズボンを引き上げる際の「ぐんぐん」等、分かり易く楽しい声掛けをする、手洗いやうがいの意味の大切さを、絵本等を用いながら伝えることを通じて、自立への支援を行っています。日々の生活では、午前中にしっかり体を動かす→食事→睡眠のパターンが確立できるよう午睡時に音楽を掛け、照明の明るさを調整しています。一方、午睡時でも、午睡の有無を子ども主体で選択できるようにし、休息や活動のための個別にスペースを確保して、子どもが自分のペースで生活習慣を身に付けていけるように配慮しています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

室内を可動式の棚等で区分することにより、子どもたちが好きな遊びやグループで過ごせるよう活動環境を自由に設定しています。乳児クラスでは子どもが取り易い高さに玩具や教材を設置し、シールで種類分けの表示を行い、幼児クラスでは玩具箱にシールや写真を貼って可視化し、遊びの選択や片付けができるように工夫しています。また、制作物を次の日まで残し、遊びが継続・発展できるようにしています。自由遊びでは、各クラスの空間、あるいは異年齢児クラスを連続した空間等、多様な空間設定をすることにより、子どもの年齢や発達に相応しい環境設定をしています。近隣には公園や緑地があり、子どもたちが行きたい公園を選び、天気の良い日はできるだけ外に出て四季を感じながら、自然物を取り入れた遊びや造形を楽しむと共に、近隣住民との交流の機会にもなっています。他にも、リサイクル教室、防災指導、交通安全教室や、年長児のスーパーでの買物等、子どもたちは様々な地域の大人との関わりや社会体験ができる機会を持っています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

0歳児のクラスは定員6名と少人数のクラス編成とし、愛着関係の醸成と安全な養育を図っています。
子どもたちは職員が皆で同じように支援することとして保育の担当制は採っていませんが、入園時や子どもの状況によって個別に丁寧に関わっています。安全な大きさの手作りの型はめ等の玩具や、絵本を発達段階に合わせて興味・関心が湧くよう考慮して導入しています。また、子どもの喃語をその場の状況に合わせて代弁し、優しく応答しています。子どもの体調面に注意して、睡眠調整を図ると共に、健康観察記録や、一日の生活の留意点が記載されたホワイトボード等で、記載内容を職員が共有して適切な対応を図っています。離乳食移行の時期には家庭の離乳食の状況を聴取し、家庭と連携を取りながら発達に合わせた調理や食材の提供を行っています。職員のヒアリングでも、体調の確認の励行と、言葉は不十分でも受け止める姿勢を意識して取組んでいるとの発言がありました。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

1歳児は、クラスを2つに分けて、早期に園生活に慣れ安定的な生活を過ごせるよう配慮しています。園長も5歳までの長い園生活を過ごす上で、1歳児は特に初動(初めの関わり方)が大切であると言及していました。月間指導計画や週間指導計画を立てる際には、子どもたちが全身を使って様々な遊びを楽しめるように、職員がアイデアを出し合い計画を立て、体操教室や大型積み木、かけっこや鬼ごっこ等の簡単な集団遊びを取り入れています。また、間仕切りを使用して、子どもが興味を持った遊びができるような環境作りを行い、テラスや園庭を活用して戸外での気分転換にも配慮しています。子どもの遊びは、見守りながら応答し、危険やケンカの場合には、必要最小限の範囲で仲立ちします。トイレトレーニングは1歳児から行い、食事後や遊びの切れ目を捉えて、踏み台を置く等自分で便座に座り降りできるよう配慮し、成功体験を得ることで、自分でトイレの意思表示ができるように支援しています。また、異年齢児や、実習生、保育参加の保護者、散歩途中の大人等、保育士以外の関わりを大切にしています。さらに、送迎時や連絡ノート(携帯アプリ)で職員が代弁したトラブルの様子や、保育の様子を保護者に伝え、保護者の質問や不安に丁寧な対応を行い、保育内容の共有を図っています。職員ヒアリングでも、応答的な対応に心掛け、一人ひとりに合わせた遊びの環境作りに努めているとの発言がありました。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

幼児クラスは、特に保育のキーワードに主体的・主体性を置いて取組んでいます。3・4・5歳児の縦割りの日や期間を設けて、年少児に対する年長児の思いやりの心が育つよう配慮し、年少児は年長児にあこがれ、見習い、成長しています。月間指導計画や週間指導計画に集団を意識した活動を取り入れ、各クラスの子どもの発達に応じて、廃材遊びや美術展等共同制作の機会を設けています。また、体操教室や柔道教室、朝の体操、近隣公園への戸外活動等、十分に身体を動かす時間を確保し、ごっこ遊び等を通して、創造性の育みや、文字や数量に興味を持てる環境を作っています。また、玩具の量や置き方を工夫して子どもたちの主体的な行動をサポートしています。夕方には毎日子どもミーティングを行い、子どもの自発的な意見表明の機会としています。子どもたちが企画した夏まつりや、コザクラフェス、発表会、美術展等で子どもの成長を保護者に伝えています。特に美術展は、一年を通した子どもたちの姿を記録して保護者に提供しています。職員ヒアリングでは、子どもたちは行事ごとに自信が付き、著しい成長が見られているとの言及がありました。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

個別的な支援が必要な心身に障害を持つ子どもについては、インクルーシブ保育を取り入れ、他児と一緒にできる活動と個別の活動を発達に合わせて行っています。個別指導計画を毎月作成し、専門的な研修の受講や、療育機関への訪問や助言を受けながら、必要な配慮を職員間で共有しています。重度の障害を持つ子どもには専任の保育士がサポートし、発達に合わせて自立を支援しています。障害のある子どもが先の見通しを持てるよう、絵や写真カード等視覚的コミュニケーションで様々な方法を実践して園生活に慣れるよう配慮しています。こだわりのある子どもは、安心できるものを家庭から持ってくることも認めて、心の安定化を図った後に、次の活動に移れるようサポートしています。周りの子どもたちも段々と障害を理解し、思いやりながらも普通に関わっています。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

1日の生活を見通したタイムテーブルが用意され、保育活動の他に適宜、自由遊びの時間を設けて子どもの体調に合わせてゆっくりとできるように配慮をしています。給食後午後2時30分まで午睡の時間を設けて休息を取っています。1・2歳児は午前・午後に、3・4・5歳児は午睡後におやつの時間としてそれぞれ手づくりのおやつを食しています。午後の延長時間には夕食に支障がない程度で無添加のおやつが提供されています。延長保育の時間は、子どもたちの疲れを考慮して、自由遊びや寛げるスペースを用意すると共に、絵本や紙芝居の読み聞かせにより静かに過ごせる時間としています。保護者対応は、各クラスの伝達ノートによる職員の引継ぎを行い、保護者への伝達が必要な事柄は、子どもの登降用のICポケットに札を入れ、伝達漏れを防いでいます。さらに、夕方の0歳児担当職員は1年間同じ職員を配置して、夕方の睡眠時間や排便、ミルク量等を保護者に伝達して保育の連携を図っています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

5歳児クラスは、小学校生活を見通してアプローチカリキュラムを導入し、午睡の時間をなくすと共に、交通ルールの理解、小学校訪問や、小学生との交流等を図っています。就学が近付いた時期には、小学校の給食に慣れるよう袋入のパンや紙パックの牛乳等の提供をしています。また、幼保小交流行事への参加や、卒園した小学生や、近隣の小学校生訪問等の交流ボランティアを活用して年長児の小学校への進学の意欲醸成を図っています。第三者評価の訪問調査の折にも、教諭に引率された1クラス程度の小学生の訪問がありました。職員と小学校職員との電話や相互訪問等交流の機会を設けると共に、保育所児童保育要録を小学校に提出することで、小学校入学後の子どもの円滑な小学校生活への移行につなげています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

非常勤の看護師を配置し、業務マニュアルに衛生管理編を位置付け、感染症蔓延防止マニュアル、嘔吐処理マニュアル、SIDS手順を定め、年間保健指導計画を策定して、子どもの健康管理体制を整備しています。朝の受入れ時に視診や検温、服用している薬の確認を行い、子ども一人ひとりの体調を把握しています。年度初めに家庭状況調査票に既往歴の記入を保護者に依頼し職員間で共有を図り、子どもの既往歴や予防接種等の変化があった場合は、保護者からの連絡を依頼しています。子どもの体調変化やケガ等については、保護者に速やかに連絡を行い、事後の状況確認をしています。また、健康診断や身体測定で子どもの健康状態を把握し、頭髪検査によりシラミの有無を確認しています。SIDS(乳幼児突然死症候群)については、手順に沿って0歳児は5分ごと、1歳児は10分ごとにブレスチェックを行い、就寝状況を観察し、うつ伏せの体位を仰向けに直しています。また、感染症の蔓延が懸念される時期には、園だよりや、ほけんニュースで予防や対応方法を記して、保護者に伝えています。看護師のヒアリングでは、健康診断等の結果表や成長曲線を保育士と即時に共有して、個々の子どもに応じた健康管理が進められるよう、保育現場の支援に取組んでいるとの発言がありました。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

健康診断や歯科健診の結果は、子どもたちの育成記録に記載し、パソコンのシステムに搭載することにより即日に職員間の共有を図り、速やかに保護者にも伝えています。健康診断等で、経過観察や処置、受診が必要と判断された場合は、医師・園長と協議して、保護者への過度な精神的ストレスとならないよう配慮しながら保護者に伝えています。また、個々の子どもの成長曲線を把握してデータを栄養士に伝えることにより、カロリー計算にて食事量や栄養価を調整する等、適切な支援に努めています。それぞれの子どものかかりつけ医とは、生活管理指導表や、与薬の主治医意見書、登園許可書、登園届等を介して看護師が連携を図っています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

食物アレルギーについては、除去食を提供しています。アレルギー誤飲・誤食マニュアルや、アレルギー(除去食)手順や医師の指示に沿って、事故のないよう丁寧な対応に努めています。入園時に、栄養士と共に食物アレルギー対応について保護者に説明し、除去や除去食等の対応を相談しています。アレルギーの状態に変化があった場合は、医師の所見の下で、園長、担任、栄養士、調理師が保護者と面談を行い、対応方針を決定した後、職員の情報共有を図っています。アレルギー児の食事は、個別調理を行い、管理栄養士が事前に確認して個別の専用トレイに入れ、複数の職員で確認後、対象児が個別の机で食し、配膳から食事終了時まで担当の職員が誤食等のないよう見守っています。栄養士と担当保育士は誤食防止のチェックシートを用いて二重に確認を行い、アレルギー児の個別記録を作成しています。職員は、アレルギー疾患についての研修を受講し、エピペンの使用法も履修しています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画に、食育を、養護・教育と並列して掲げて一体的に展開されるよう取組んでいます。年齢に応じた食育の年間計画を栄養士と保育士で作成し、就学までを見通した一貫性のある取組を行い、野菜の栽培・収穫、クッキング保育、三色食品群栄養素表示や、栄養士の指導等、様々な面から子どもが食に興味が持てるように取組んでいます。手指の発達等を考慮して成長に合わせた食器の使用等の援助を行い、食事の量を加減して完食の達成感を得られるよう援助の仕方も個別に変える等、子どもの主体性を育む食事援助を心掛けています。子どもの喫食意欲を高める工夫として、メニューの彩り、食材の形状、ランチルームの設置等を行っています。特徴的な試みとして、メニュー名を例えば、「しまじろう炒め」や「ガチャピンスープ」等、子どもに人気のあるキャラクター名を用いて食事への興味を高めています。昼食とおやつは日々カラー写真で玄関に掲出を行い、今回の利用者(保護者)アンケートの要望を受けて、早速、保護者用に分かり易いメニュー名を書き添えています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

食事は、園内調理で、手づくりの昼食とおやつが提供されています。子どもの発達に応じたメニューや、乳児にはきざみ食やとろみ食の提供等、年齢に応じた調理方法を工夫しています。子どもの日や七夕、クリスマス等、季節に応じた行事食を取り入れ、郷土料理や多国籍料理等様々な食体験ができるメニューを提供しています。さらに、誕生会等機会を捉えて人気メニューを取り入れています。季節の旬の食材や地域の食材の使用、季節に応じた適温の献立等、食事の提供にも配慮がなされています。毎日、栄養士と調理員が昼食時に巡回を行い、子どもの喫食状況を把握すると共に、子どもに食材の説明や喫食援助をしています。毎月、給食会議を開催し、園長、クラス担任、栄養士が参加し、味付けや献立、残食状況等を話し合い、献立の改善・工夫につなげています。衛生管理は、HACCP(微生物や異物の混入を防ぐ工程管理を重視した最新の衛生管理手法)を採用しています。人気メニューのレシピや食育内容等を掲載した「給食だより」も毎月保護者に配付し、食育の連携を図っています。管理栄養士との面接でも、出汁に布袋に入れた煮干しを使う等、和食の本物の味を子どもたちに伝えるよう意識して取組んでいるとの話を聞くことができました。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

日常の送迎時の保護者との会話や、連絡ノート(専用アプリ)での情報交換等により、子どもの状況を保護者と共有すると共に、登園時に保護者から聞いたことやお迎え時に保護者に伝えたことを記した伝達簿を利用して、子どもの状況を職員間で周知し、どの職員も同じ対応を行っています。日々の保育は、専用アプリのドキュメンテーションを利用して保護者に分かり易く伝えています。また、懇談会、個人面談、保育参観、保育参加等、保護者との交流の機会を定期的に設け、保育内容を伝え、家庭での子育てに関するアドバイスを行い、子どもの健やかな成育に向けて共通理解と取組をサポートしています。また、各種おたよりを定期的に保護者に届けることにより、子どもの家庭での生活環境の向上を図っています。特に生活習慣については家庭での協力が重要なため、離乳食やトイレトレーニング等、家庭と連携した取組を行っています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

送迎時の保護者との会話を子どもの保育を行う上で重要な情報入手ツールと捉え、保護者とのコミュニケーション作りに、園・職員は特に意識的に取組んでいます。気軽に相談ができるよう、その旨を重要事項説明等に記載し、面談期間だけでなく随時相談を受付けることを職員からも保護者に伝え、保護者の都合を考慮した体制を整えています。相談内容は、園長に報告すると共に、クラス会議で話し合い、内容によっては全体的な会議や昼礼で検討し対応しています。必要に応じて青葉区や関係機関に連絡し助言を求めています。重要な相談内容は記録に残し継続的なフォローを図りますが、現時点では継続する案件はありません。園長からは、保護者対応はこうなるであろうとの推測では動くのではなく、職員自らやることはやるとの気構えで行うよう指示しているとの話がありました。また、子育て相談受付を園内に掲示して、保護者や地域の家庭への呼びかけを行っています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:b】

現在は、虐待が疑われる子どもの在籍はありません。虐待防止マニュアルを備え、人権研修や人権マニュアルにより、定期的に、虐待の内容や対応手順を確認しています。虐待や不適切な養育について子どもや家庭に徴候が見られた時は、昼礼や職員間で共有し、管理者に報告し今後の対応を図ることとしています。また、毎朝の視診や着替えの際、健康診断等でケガの有無を確認し、ケガ等が見られた場合は子どもや保護者に確認し、上記同様の対応を図ります。また、保健所や児童相談所等、必要な機関と連携できる体制を整えています。保護者に気になる様子が見られた際は、早めに声掛けし、面談の時間を持ち、専用アプリの連絡帳でもコミュニケーションを図っています。また、管理者が地域の虐待防止ネットワークに参加して、関係機関・団体と意見交換を行うことにより、地域社会全体で適切な対応がとれるよう体制を整えています。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:a】

職員は、ドキュメンテーションを利用して日々保育を振り返り、今後の保育の実践に生かしています。また、昼礼でドキュメンテーションを活用して他クラスの職員と意見交換を図ることにより、互いに学び合うことで、保育意識の向上につながっています。クラス会議や全体会議、昼礼は研修の場と心得て意見交換を図ると共に、毎月末に保育の反省を行い、職員間で話し合い共有しています。年1回の自己評価は、保育業務の取組を振り返り、管理者のアドバイスを得て、管理者・職員の共通の理解により、次の取組を高質化する良い機会となっています。また、年4回人権チェックシートによる振り返りを行い、保育日誌や、個別の保育計画等は自己評価を必ず行うこととしています。職員の自己評価結果等を基に、園の自己評価を毎年実施し、結果を園内に公表しています。