社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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特別養護老人ホームたんぽぽ

2021年03月08日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 公益社団法人神奈川県介護福祉士会

② 施設・事業所情報
名称 特別養護老人ホームたんぽぽ 評価対象サービス 高齢者福祉サービス版
対象分野 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 定員 29 名
所在地 238-0224
三浦市三崎町諸磯1411番1
TEL 046-881-0167 ホームページ https://www.hamayu-so.or.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2007年08月01日
経営法人・設置主体(法人名等)
職員数
常勤職員:22 名
非常勤職員:3 名
専門職員
介護福祉士:10 名
介護支援専門員:1 名
看護師:2 名
管理栄養士:1 名
施設・設備の概要
3ユニット:個室29室

③ 理念・基本方針
1.私たちは、利用者本位のサービスを提供し、その時代の最高最善をめざします。
2.私たちは、福祉事業を通して「豊かな社会づくり」に貢献します。
3.私たちは、「施設は人なり」をモットーに、自由闊達な職場環境から次の時代のリーダー育成に努めます。
<施設運営方針>
・利用者の皆様の人格を尊重し、お一人お一人の生活を考慮したケアサービスを提供いたします。
・自立した生活が送れるよう、ADL(日常生活動作)の向上を目指すとともに、機能の回復に努めます。
・生きがいのある毎日のために、心のふれあいを大切に、さまざまな活動や行事に取り組みます。
・快適な入所生活のために、QOL(生活の質)の向上をハード、ソフト両面から追及します。
・地域に開かれた施設を目指し、地域社会との交流を積極的に進めます。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
○施設設立時の「医療的ケアが必要な人を受けられる施設でありたい」の思いを継承し、喀痰吸引研修に介護職員を積極的に派遣し、喀痰吸引等事業者登録を行い、受け入れの体制を整えている。現在、介護職員の80%が喀痰吸引研修の受講を終えている。医師の指示の下、看護師と50時間研修を修了した職員が喀痰の吸引を行っている。また、入居者のうち、経管栄養が必要な方が6名、生活している。経管栄養は、医師の指示の下、看護師が対応している。
○身体拘束適正化委員会にて、身体拘束をしないための工夫などの話し合いを行っている。入居者の権利擁護を念頭に置き、「その人らしい生活」を送ることができるよう取り組んでいる。委員会では、「身体拘束の内容」の基礎研修会の他、「スピーチロック(言葉の拘束)」の研修会を職員に向けて開催している。職員から「ちょっと待っててね」などの言葉が聞かれた時は、近くにいる職員がすぐに不適切な声かけであることを伝えている。職員間で注意し合える環境を整えている。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2020/07/17(契約日) ~2021/02/03(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(年度)

⑥総評
特に評価の高い点 ◇事業所の特色や努力、工夫していること、事業所が課題と考えていること等
○小規模特別養護老人ホームたんぽぽは、地域密着型の施設として、市内で生活を送っていた29名の高齢者の介護にあたっている。また、空床利用のショートステイ(短期入所生活介護)の受け入れも行っている。同一敷地内に「特別養護老人ホームはまゆう(定員54名)」があり、近くに介護付き有料老人ホーム「アーブル・ヴェール」がある。施設は4階建てで、入居者は2、3、4階の3つのユニットに分かれて生活を送っている。
○入居者が何をしたいのか、何ができるのかを聴き取り、本人と相談しながら、一日の過ごし方を決めている。自分の部屋で静かに編み物をする方、多目的ホールで皆と会話を楽しんでいる方など、入居者のそれぞれの思いを大切にして、一日を過ごすことができるようにしている。毎日、レクリエーションの時間を設け、入居者がゲームや歌を楽しんでいる。入居者が毎日思い切り声を出し、笑うことができる時間を作っている。
○職員は毎日必ず入居者に声かけをして、本人の思いや希望を聴いている。言葉での表出が困難な方には、ジャスチャ―を交えて声かけしたり、絵や図をいくつか提示したり、文字盤を使ってコミュニケーションをとっている。入居者の表情や笑顔などから、本人の思いや意向を汲み取っている。入居者から相談があった時は、それぞれの居室で、ゆっくりと話を聴くようにしている。
○外部の委託業者が厨房に入り、食事を提供している。施設内の管理栄養士が献立を作成し、入居者の栄養状態の管理や、摂食状況を把握して、栄養ケア計画を立案している。旬の食材を多く使用して、毎日の食卓がにぎわうよう配慮している。毎月の誕生会には、豪華な食事を用意し、入居者はとても楽しみにしている。また、月1回「出前の日」を設け、お寿司や洋食など、地元の店からの出前を皆で楽しんでいる。
○毎食後、入居者に合った歯ブラシを使用して、入居者自身が歯磨きができるよう促している。入居者自身による歯磨き後は、職員が口腔内を観察して、磨き残しがないか確認してフォローしている。歯科医師の指導を受けた歯科衛生士による研修会を開催して、入居者一人ひとりに合った口腔ケアを行っている。就寝前や喀痰の吸引時にも、口腔内のケアを行っている。
○一般浴槽や中間浴槽、特別浴槽を備え、入居者はそれぞれの身体状況に合った浴槽を選んで入浴している。乾燥肌の方が多いため、入浴後に保湿剤を全身に使用することで、入居者の肌はしっとりとしている。また、性別に配慮して、入居者は同性による介助で入浴している。
○入居時、家族に法人の「看取りの指針」を説明して、施設内での看取りの意向を確認している。入居者の状態が低下した段階で、医師から家族に状態を説明し、家族の了承を得た後で、看取りのケアに移る手順をとっている。緩和ケアを中心に、入居者の尊厳を守り、質の高い看取りのケアを提供できるよう努めている。看取り後の遺族への精神的なフォローも行っている。
◇独自項目への取り組み
〇事業所におけるサービスの質の向上のためのシステムを確認する「発展的評価項目」に取り組んでいる。「全職員が他階の業務に入り、業務内容を共有・把握する」をテーマとして、取り組みの過程をPDCA(計画、実践、評価、改訂)に分け、実践を振り返っている。他階の業務に入ったことで、一人の職員に対する負担が減ったこと、残業時間がなくなったことなどの成果が見られている。レクリエーションの活性化を目指し、入居者一人ひとりが笑顔で生活できるよう、取り組みを継続することとしている。今後の成果に期待する。
改善を求められる点

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
今回、第三者評価を受審したことで、自分たちの介護が本当にこれで良いのか、考えるきっかけとなりました。評価項目を何度も読んで、できているか、できていないかをみんなで話し合いました。できていたこと、到達していることが、思ったより多く、今までやってきたことは正しかったんだ、と思うことが出来、自信となりました。また、到達していないことについては、到達できるようにこれからの目標となりました。
 調査の時には、評価機関の方に色々とお話をいただき、こうすれば良くなるといった助言もいただきました。ありがとうございます。
 最後に、利用者調査の時の、入居者の言葉にドキドキしていましたが、楽しい、ありがたいというお言葉をいただき本当にうれしく思います。

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評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

法人の基本理念や基本方針は、ホームページに掲載している。また、法人のパンフレットに、「ケアは、心のふるさと」を載せ、事業運営の基本姿勢を示している。今年度はコロナ禍で全体の集りは持てなかったが、毎年4月、常勤及び非常勤の職員全員が参加する、法人全体の「全体職員会議」の場で、理念や基本方針を再確認している。新人職員には、「新人職員研修」のファイルを配布して、説明している。年3回、家族会を開催し、家族に基本理念や事業計画の内容を説明している。家族会は最近、参加者が減る傾向にあり、また、今年度はコロナ禍で開催が難しくなったため、毎月の家族への請求書送付時に、入居者の生活の様子がわかる写真や、担当からの状況報告を入れている。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

施設長が、神奈川県高齢者福祉施設協議会や、同協議会の南湘南福祉施設協議会などの施設長会に参加して、社会福祉事業全体の動向について、最新の情報を入手している。ただし今年度は、リモート会議で行っている。また、2ケ月に1回開催する三浦市施設長会にも参加して、地域の状況を把握している。入手した情報で、必要があるものは、朝の申し送りの場で、職員に伝えている。慢性化している人材不足の問題については、技能実習生(外国人雇用)を、法人内の3施設で1名ずつ受け入れている。技能実習生の受け入れは、次年度も継続する予定である。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

経営の課題を把握するため、毎月、経理担当が月次報告書を作成して、人件費比率や法人内の各事業の状況を確認、分析している。技能実習生には、言葉の問題があり、小学1年生の「国語」の教科書を配布したり、同じ国から来て長く日本で暮らしている人や小学校の先生の協力も得て、育成に努めている。次は「社会」の教科書に取り組んでもらう予定である。施設運営の課題は1法人だけの問題ではないことから、地域の三浦市施設長会で課題を共有している。最近は、新型コロナウイルスの対策が話題となることが多く、地域で暮らしている高齢者の家族に陽性反応が出た場合、高齢者をどこが受け入れるかなどがあがっている。施設入居者や職員の理解が必要になるが、その際は、社会福祉法人の使命として、積極的に受け入れていく予定である。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

具体的な中長期計画として文書にはまとめていないが、人材の確保・育成の他、医療的ケアが必要な方の受け入れ体制の整備や、若い人が都市部に流出している地域の中で、高齢者をどう支えていくかなどを視野に入れている。施設設立時の「医療的ケアが必要な人を受けられる施設でありたい」の考えを継承し、喀痰吸引研修に介護職員を積極的に派遣し、喀痰吸引等事業者登録を行い、受け入れの体制を整えている。地域の高齢者のケアについては、毎日のように相談があり、医療との連携も必要なため、地域の医療機関との関係作りにも取り組んでいる。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

感染症対策やメンタルヘルス対策、人材の確保・育成、外国人雇用などの法人の目標のもと、各施設、事業所が、単年度の事業計画を策定している。施設としては、昨年度より事故防止に取り組み、今年度も重点目標として、継続した取り組みとしている。事故防止委員会により、事故報告やヒヤリハット報告、事故件数などを分析し、対策を検討している。具体的な対策として、①皮下出血をなくすこと、②転倒事故をゼロにすることをあげ、①についてはケアのあり方や保湿の徹底、②については、法人全体の事故の発生件数や状況を分析し、防止策につなげることとしている。事故の状況は、事業報告書に細かく記載している。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

事業計画は、毎年、12~1月に各部署で話し合いを行ってまとめ、法人本部に提出している。作成にあたっては、職員会議などで前年度の目標の達成状況を確認している。事業計画は、3月の理事会、評議員会に諮り、法人全体の事業計画書としてまとめている。毎年4月、常勤、非常勤の全職員が参加する「全体職員会議」の場で、内容を職員に説明している。今年度はコロナ禍により、各施設の職員会議で説明している。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画書は窓口に置き、いつでも閲覧できるようにしているが、入居者や家族に配布はしていない。ホームページをもう少し活用することを考えている。行事などのイベントは、フロア内に掲示するとともに、家族参加の夏祭りや買い物イベントのお知らせは、家族に送付している。月1回、請求書などを家族に送る際に、お花見やイベントなどの報告を行っている。2ケ月に1回、運営推進会議を開催しているが、委員には家族も入っているので、行事やイベントの報告を行っている。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

事故防止委員会や身体拘束適正化委員会、感染症委員会、給食委員会などで、提供する福祉サービスの質の向上に向けた取り組みを行っている。事故防止委員会では、事故の内容や状況を分析し、事業報告書に記載して、次の取り組みにつなげている。身体拘束適正化委員会は、運営推進会議の中に位置付け、身体拘束をしないための工夫などの話し合いを行っている。入居者の権利擁護を念頭に置き、「その人らしい生活」を送ることができるよう取り組んでいる。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

取り組みの結果や課題については、月1回開催する職員会議の場で、話し合いを行い、内容を職員間で共有している。また、月1回、法人内の各施設や事業所の施設長や管理者、介護支援専門員、看護部、管理栄養士、介護の代表が参加する「定例会」を開催し、法人全体の課題などを共有し、改善策を検討している。「定例会」を幹部会議とし、感染症対策やメンタルヘルス対策、人材の確保・定着、外国人雇用など、法人が今年度の重点目標としてあげた事柄に沿って、話し合いを行っている。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

施設長の役割と責任については、特に職務分掌は定めていないが、職員会議の場などで、職員に表明している。施設の敷地が、土砂災害の警戒区域に一部分入っているため、「土砂災害(風水害)防災計画」を定め、有事の際の施設長の役割を明記している。出張などで施設長が不在の場合は、事務長にその権限を委任している。不在時も、いつでも連絡がとれる体制を整えている。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

神奈川県高齢者福祉施設協議会や、同協議会の南湘南福祉施設協議会などの施設長会に参加して、遵守すべき法令などを理解するよう努めている。把握した情報は、職員会議などの場で、職員に説明している。取り引き業者も、法人の役員や職員と特別な関係がないか留意しながら選択している。職員とは年1回、施設長面談を行っている。面談は必要に応じて随時行い、個人的な問題から子ども同伴で面談することもある。南湘南福祉施設協議会では、県外施設の宿泊視察研修があり、法人内の職員が毎回5名ほど参加している。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

朝夕の申し送りやミーティングには、でき得る限り参加して、入居者の状況を把握するようにしている。また、11:30~13:00はフロアに上がり、入居者とふれあう時間を作っている。施設長は歯科衛生士でもあるので、食事前後の入居者の口腔ケアにも関わっている。施設長が介護現場に入り、職員の声や、入居者や家族の様子を把握する機会としている。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

職員が働きやすい環境の整備に取り組んでいる。小さい子どもを持つ職員は半日勤務などを取り入れる他に、祝祭日は休みにするよう配慮している。また、有給休暇を月1回は取得できるよう働きかけ、できれば連休の休みになるようにしている。有給休暇は年5日以上取得できるよう配慮している。職員が有給休暇で休んでも、スタッフが揃っている体制を目指している。また、障害者雇用にも取り組み、現在、知的障害と高次脳機能障害のある職員が2名いる。本人のできる仕事を見極め、働きやすい環境を整えるよう配慮している。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

福祉人材の確保、定着に関しては、まずは本人を認め、本人を正しく評価して、それに見合った待遇をすることが大切と捉えている。専門職の確保については、職員が必要な資格は、働きながら取得することを奨励している。初任者研修や介護福祉士、介護支援専門員の資格、喀痰吸引の研修については、取得までの費用を法人が全額負担している。実務者研修の参加の際は、法人の車で送迎し、資格取得が職員の励みとなるようにしている。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人が期待する職員像は、特に文書では示していないが、まずは人の痛みが分かる職員であってほしいこと、本人が大切にしなければいけないものを、しっかりと見極めてほしいことを、施設長として望んでいる。そのために、施設はでき得る限り協力することを伝えている。職員の人事考課は4~5年前より取り入れている。主に賞与の評価につなげるようにしている。現場の主任クラスが第一評価を行い、チェックシートに基づき、施設長や事務長が本人に面接して、最終的な評価を行っている。パート職員の時給額にも配慮している。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

施設長と職員の面談は、時期は決めていないが、年1回は必ず行っている。できるだけ重々しい面談にならないよう留意している。施設長面談で職員の話を直接聞き、働きやすい勤務体系となるよう努めている。施設長の携帯電話番号は職員にオープンにし、いつでも相談してよいことを伝えている。介護現場の職員は、どうしても届出なしの残業が多くなるので、介護主任が状況を確認するようにしている。毎年10~11月にかけて、職員のストレスチェックを行い、状況に応じて、産業医につなげるようにしている。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

年1回、施設長との面談で職員の話を聴いているが、職員の個人目標は立てていない。職員は施設の目標に沿って、動いている。資格の取得は個人の問題だが、初任者研修や介護福祉士、介護支援専門員の資格、喀痰吸引の研修については、取得までの費用を法人が全額負担して支援している。実務者研修の参加の際は、法人の車で送迎し、資格取得が職員の励みとなるようにしている。資格取得など、本人が立てた目標に協力して、勤務を調整するなど、環境を整えている。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

毎年1月、事業計画の策定時に、「定例会」のメンバーで、次年度の研修計画を立てている。年間のスケジュールに沿って内部研修を開催しているが、内部研修は、外部から講師を招くのではなく、職員が内容を企画し、講師の役も担うようにしている。コロナ対策で今年度は不定期になるが、内部研修は、月1回開催している。外部研修には、できるだけ職員が参加できるようにしている。外部研修参加後は、参加者が施設内でフィードバック研修を行っている。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

外部研修の情報は、各フロアにあげ、職員に情報を提供している。外部研修の参加者は、主任クラスが決めている。男性の入居者や認知症の方も増え、職員が入居者からきつい言葉を言われることもあるが、職員は研修などに参加して、研鑚している。外部研修には、職員ができるだけ参加できるようにしている。新型コロナウイルス対策で、南湘南福祉施設協議会が開催する研修会も、今年度はリモートでの研修会となっている。介護以外の職員の専門資格も入職時に把握して、配置部署に配慮して、できるだけ資格が活かせるようにしている。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

法人本部の課長を、実習生の受け入れ担当に決め、「研修心得」や「研修オリエンテーション」、「健康チェック表」を整備して、受け入れを行っている。専門学校などからの受け入れはあまりなく、中学生の職場体験や市の職員研修、民生委員児童委員の現場を知ろう研修などを受け入れている。ただし今年度はコロナ禍で受け入れを中止している。実習生の受け入れは、職員にとっても、自分の施設を説明したり、あらためて自分を知る機会になるので、今後も受け入れを続けていく予定である。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人のホームページに、役員名簿や役員報酬規程などを掲載し、運営の透明性を確保するための情報を公開しているが、不足する情報もあるので、ホームページの内容を見直すこととしている。地域柄、昔から住んでいる地元の人が多く、ここにずっと住んでいないと仲間ではないという傾向があるため、地域のお祭りなどには積極的に参加し、地域との関係作りに努めている。その中で施設の役割なども説明している。市内4施設の話し合いを定期的に行い、地域のニーズを把握するようにしている。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

取り引き業者は、法人の役員や職員と特別な関係がないか留意しながら、発注先を選択するなど、ルールを定めている。法人監査などで指摘事項があれば、迅速に改善して、理事会や評議員会に報告することとしている。顧問弁護士を置き、何かあればすぐに相談できる体制を整えている。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

小規模のユニット型の施設のため、職員数にも限りがあり、外出行事は多く行うことができないが、入居者から買い物などの希望があった際には、できるだけ同行するようにしている。また、お花見の時季には、入居者と一緒に外出している。地域の小学校の福祉学習では、子どもたちが施設を訪れ、笛を吹いてくれたりして、入居者と交流している。地域密着型の特別養護老人ホームで、入居者はすべて市内で暮らしていた方である。入居者から地域のお祭りに参加したいとの希望が出た時は、家族のところまで、施設の車で送迎している。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

法人本部の課長が、ボランティアの受け入れを担当している。現在は新型コロナウイルスの対策で受け入れを中止しているが、「ボランティア登録カード」に登録して、華道やハーモニカ、アルトサックスなどのボランティア活動を行っている。今後はボランティアコーディネーターを置き、施設の透明性を図る上でも、ボランティアの方々の受け入れを、さらに増やしていきたいと考えている。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

各フロアに、「介護タクシー一覧」や「近隣スーパー一覧」などを掲示して、入居者が活用できる社会資源を紹介している。地域の団体と連絡会などは行っていないが、民生委員児童委員と協力し、昨年と今年、「健康チャレンジ」に入居者が取り組んでいる。昨年は、地域の小学校の運動会に招待され、入居者数名が見学している。今年度は地域のお花見やお祭りに参加する予定であったが、コロナ禍で地域の行事が中止になり、参加することができなかった。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

現在は書面での開催となっているが、運営推進会議を開催する中で、民生委員児童委員より、地域の情報を入手している。一人暮らしの高齢者が増えていること、高齢者と未婚の子どもの二人の世帯が増えていること、医療的ニーズの高い高齢者が地域で暮らしていることなど、併設する地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の情報を含め、地域のニーズを把握している。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

現在は地域に向けた公益的な活動は行えていないが、災害発生などの有事の際には、社会福祉法人の使命として、地域の方々を積極的に受け入れていくことを決めている。今年度は開催を中止したが、毎年、法人全体で「夏祭り」を開催し、施設の駐車場にステージを設置して、カラオケ大会を行っている。「夏祭り」では、模擬店や金魚すくい、似顔絵描きなどがあり、入居者が楽しむとともに、地域の方々数百人や入居者の家族が参加している。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

新人職員には、入職後1ケ月以内に新人研修を行っている。また、「社会福祉法人啓生会マニュアル」を各フロアに置き、職員がいつでも内容を確認できるようにしている。身体拘束適正化委員会では、3ケ月に1回、「身体拘束の内容」や「スピーチロック(言葉の拘束)」の研修会を職員に向けて開催している。嘱託医からも「入居者の尊厳」の研修を受け、虐待の防止に努めている。たんぽぽでは後見人がついている入居者はいないが、同一敷地内の「特別養護老人ホームはまゆう」では、後見人がついている入居者が2~3名いる。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

「プライバシー保護マニュアル」を整備して、契約時、入居者や家族に個人情報の取り扱いやプライバシーの保護について説明している。職員には入浴介助時の配慮などを説明して、入居者のプライバシーの保護を徹底している。法人のホームページにも、プライバシーポリシーを掲載している。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

施設の入居希望者に対しては、パンフレットを用意して、申し込み時や見学時に提示している。電話での問い合わせに対しては、パンフレットを送付するとともに、ホームページを閲覧してもらっている。ホームページの情報は、見直しを予定している。入居希望者の訪問時には、部屋の様子も見てもらっていたが、現在はパンフレットの写真で説明している。見学時に、おおよその費用負担を説明し、やむを得ず身体拘束を行う場合の3原則を伝え、「入居申込書」に記入してもらっている。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

サービスの開始にあたっては、「重要事項説明書」により、施設での対応を説明し、同意をもらっている。また、サービス内容の変更の際も、入居者と家族に変更内容を説明して、同意を得るようにしている。説明の際には、入居者が理解しやすいよう、図やシートなどを用いて説明している。転倒のリスクが高い入居者に、「一人での歩行は駄目」と口頭で伝えるのではなく、歩行不安定な時の転倒の様子や、職員が車椅子を押している場面を絵で示し、視覚から訴え、入居者が理解できるようにしている。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

別の施設への変更や、家庭への移行などのケースは、ほとんどない。施設移動の希望があった場合は、負担する費用がどう変わるかを説明し、相談内容を記録するようにしている。移動に際しては、入居者のADL(日常生活動作)表の提出が必要と捉えている。当施設の緊急の短期入所を利用し、他の施設に入居が決まった利用者に対しては、短期入所利用時に気を付けた点などを、引き継ぐようにしている。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

日々の会話の中で、入居者の思いを確認している。2ケ月に1回、担当職員がモニタリングシートの「利用者満足」の欄に、入居者の声を記入している。入居者満足に関するアンケート調査は特に行っていない。今年度はコロナ禍で開催できていないが、家族の意見は家族会の中で聴いている。家族会が再開できれば、家族の声を聴く予定である。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

苦情受付担当者や苦情解決責任者など、苦情解決の仕組みを「重要事項説明書」に記載して、入居開始時に、入居者や家族に説明している。「利用者から相談を受けた時の手順」を定め、苦情などの対応手順を、職員に伝えている。苦情を受付けた職員は、担当者に連絡し、施設長を含めたカンファレンスを開いている。苦情受付から苦情解決までの記録も保管している。また、エレベーター前に「意見箱」を設置しているが、「意見箱」の利用は少ない。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

入居者の居室はすべて個室なので、入居者からの相談や意見は、居室でゆっくり聴くことにしている。入居者には、いつでも相談ができることを伝えている。入居者からの相談は、テレビの位置を変えてほしい、個人的に服用している薬がなくなりそう、手がこわばるのでマッサージしてほしい、食事のスプーンが重いなど、日々の生活の中での困りごとが多い。相談内容は、主任や介護支援専門員、施設長に報告している。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

入居者からの相談は、テレビの位置を変えてほしい、個人的に服用している薬がなくなりそう、手がこわばるのでマッサージしてほしい、食事のスプーンが重いなど、日々の生活の中での困りごとが多い。相談内容は、主任や介護支援専門員、施設長に報告して、対応策を検討して、回答を返している。解決までに時間がかかる事柄は、その旨を入居者にわかりやすく、丁寧に説明している。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

昨年度より事故防止に取り組み、今年度も重点目標として、継続した取り組みとしている。事故防止委員会により、事故報告やヒヤリハット報告、事故件数などを分析し、対策を検討している。具体的な対策として、①皮下出血をなくすこと、②転倒事故をゼロにすることをあげ、①についてはケアのあり方や保湿の徹底、②については、法人全体の事故の発生件数や状況を分析し、防止策につなげることとしている。事故の状況は、事業報告書に細かく記載している。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「感染症マニュアル」を整備して、感染症の予防と発生時の対応を、職員に周知している。感染症委員会を定期的に開催するとともに、ノロウイルスに対して飛沫の範囲や状況、嘔吐物の処理方法など、実践的な研修会を定期的に開催している。「感染症マニュアル」には記載していないが、新型コロナウイルスの対応は、フローチャートで示し、職員に周知している。「感染症マニュアル」を改訂した際には、見直した結果を職員に周知するようにしている。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

法人全体で防災委員会を組織している。たんぽぽからは、ユニットリーダークラスが委員会に参加している。月1回、行政や消防署と連携して、避難訓練を定期的に実施している。備蓄品や発電機なども備えている。市や地域とは、福祉避難所としての協定は結んでいないが、災害発生時には、社会福祉法人の使命として、地域の方を積極的に受け入れていく予定である。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

権利擁護に関する規程を始め、提供する福祉サービスのマニュアルを整備している。施設サービス計画の作成にあたっても、アセスメント表にて、介護支援専門員が入居者の状況を把握し、「課題整理総括表」に整理して、本人の思いや課題を分析している。それを基に、施設サービス計画書案をまとめ、サービス担当者会議において、最終的な施設サービス計画書を作成している。一人ひとりの状態やニーズを把握して、具体的な計画を立てている。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

年1回、施設全体で事業報告を行い、職員間で話し合い、標準的な実施方法を見直している。施設サービス計画は、基本6ケ月ごとに見直しているが、入居者に身体的な変化がみられた場合などは、すぐに看護師や栄養士、介護職でカンファレンスを開催し、内容を変更している。施設では看取りケアを行っているので、看取りの体制に入った時には、施設サービス計画書の内容を変更し、医療や介護、栄養士が連携して、手厚い介護を提供している。「最近残業が多くなった」などの課題があがった時は、職員間で話し合い、職員の配置数などを確認して、残業をしないで業務を遂行できるよう検討している。職員の疲弊は、入居者へのケアのマイナスになるため、職員がいつも笑顔で入居者に接することができるよう努めている。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

アセスメントにより、入居者本人の思いや身体状況などを把握している。リウマチの疾患がある入居者がおり、トイレ誘導時に身体の痛みを訴えている。ただし、本人は「トイレに行って排泄できることが唯一自信につながるので、痛みは我慢します」と話している。本人の思いを汲み取り、看護師や介護職、相談員でカンファレンスを開き、できるだけ痛みの少ない方法での介助を考え、常に2人介助でトイレ誘導をするようにしている。施設サービス計画書を作成し、職員全員で共有し、痛みをこらえている入居者に寄り添いながら、ケアを提供している。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

施設サービス計画の評価、見直しは、特に変化のない方の場合は、6ケ月ごとに定期的に見直している。入居者に変化があった場合は、随時、評価、見直しを行っている。リハビリパンツの材質が合わず、肌がかぶれている入居者に、数種類のリハビリパンツを試したが、それも肌に合わず、布パンツの使用に変更した例がある。布パンツもなかなか肌に合わなかったが、ようやく肌に合うものが見つかり、現在は快適に過ごすことができている。また、排泄時間を把握して、その方に合った時間に声をかけ、失敗がなく、気持ちよく過ごしている入居者がいる。職員間や業者との話し合いを行い、入居者が快適な状態で日々を過ごすことができるよう配慮している。入居者一人ひとりに合ったケアを提供するため、施設サービス計画は何回も見直しを行っている。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

施設サービス計画書や24時間シートなど、入居者の記録はパソコンに入力している。入力した記録は各フロアで確認することができ、職員は出勤時に、必ず内容を確認している。また、日々の申し送りノートも必ず確認して、職員は閲覧済みの印を押している。「入居者の状況に関する情報」に、日々の状況、留意すべき事項、変化などを個別に整理し、一目で確認できるように工夫している。A3サイズの用紙に食事や水分の摂取状況、排泄状況、入浴状況などを記録している。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

施設長を記録類の全体的な管理者としている。重要事項説明書や契約書などは、介護支援専門員が保管し、個人情報に関する書類は、鍵のかかるキャビネットに保管している。パソコンは各ユニットのカウンターの中に置き、内容が見えないようにして、情報の漏えいを防止している。個人情報保護に関する研修会も開催している。


評価結果内容評価

A-1 生活支援の基本と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者一人ひとりに応じた一日の過ごし方ができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

入居者が何をしたいのか、何ができるのかを聴き取り、本人と相談しながら、一日の過ごし方を決めている。自分の部屋で静かに編み物をする方、多目的ホールで皆と会話を楽しんでいる方など、入居者のそれぞれの思いを大切にして、一日を過ごすことができるようにしている。多目的ホールでは、お茶の後のコップ洗いや、タオルたたみなど、自分で役割を決めて活動している。「麻痺があるので、わたしにはできない」と、皆の様子を見守っていた方も、今は活動に参加している。毎日、レクリエーションの時間を設け、入居者がゲームや歌を楽しんでいる。入居者が毎日思い切り声を出し、笑うことができる時間を作っている。

【A2】A-1-(1)-① 利用者の心身の状況に合わせて自立した生活が営めるよう支援している。

【第三者評価結果:c】

特別養護老人ホームのため、評価外とする。

【A3】A-1-(1)-① 利用者の心身の状況に応じた生活支援(生活相談等)を行っている。

【第三者評価結果:c】

特別養護老人ホームのため、評価外とする。

【A4】A-1-(1)-② 利用者一人ひとりに応じたコミュニケーションを行っている。

【第三者評価結果:b】

担当制をとり、毎日必ず入居者に声かけをして、本人の思いや希望を聴いている。言葉での表出が困難な方には、ジャスチャ―を交えて声かけしたり、絵や図をいくつか提示して選んでもらっている。入居者の表情や笑顔などから、本人の思いや意向を汲み取っている。文字盤を使ってコミュニケーションをとっている方もいる。難聴が進み、職員の弾くピアノの音を聞こうとして、毎回ピアノの側に寄り、耳に手を当てている方がいる。それを見た他の入居者が、カレンダーを丸めてピアノに近付けて聴いてもらったり、糸電話を作って聞いてもらったりと、入居者同士も助け合っている。その日のコミュニケーションの様子は、毎日引き継ぎで申し送り、職員間で対応の仕方を共有している。

【A5】A-1-(2)-① 利用者の権利侵害の防止等に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

「虐待防止対応マニュアル」を整備し、入居者の権利侵害の防止に努めている。また、虐待発生時の対応はフローチャートで示している。「身体拘束等適正化のための指針」に基づき、「緊急やむを得ない身体的拘束に関する説明書」を整備している。身体拘束適正化委員会を設置して、法人全体で年3回、たんぽぽでは3ケ月に1回、身体拘束や権利擁護に関する研修会を開催している。職員から「ちょっと待っててね」などの言葉が聞かれた時は、近くにいる職員がすぐに不適切な声かけであることを伝えている。職員間で注意し合える環境を整えている。

A-2 環境の整備
【A6】A-2-(1)-① 福祉施設・事業所の環境について、利用者の快適性に配慮している。

【第三者評価結果:a】

入居者が生活するユニットは、2、3、4階に分かれ、ユニットごとに異なる明るい色を使っている。入居者の居室は、大きな窓があり、明るく、四季折々の草花を眺めることができ、鳥の声も聞こえ、落ち着いた雰囲気を保っている。居室には、今まで家で使用していた、使い慣れたタンスやテレビを持ち込むことができ、これまでの生活環境を大切にするようにしている。多目的室も明るく清潔で、常に皆で集い、笑いの絶えない空間として、入居者の憩いの場となっている。施設内外の清掃は業者に委託しているが、食事の後やトイレの使用後などは、職員がこまめに掃除をしている。おむつなどの汚れ物はすぐにダストシュートで降ろし、フロアに臭いが届かないよう配慮している。

A-3 生活支援
【A7】A-3-(1)-① 入浴支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:a】

一般浴槽や中間浴槽、特別浴槽を備え、入居者はそれぞれの身体状況に合った浴槽を選んで入浴している。入浴前に看護師が健康状態をチェックしてから、入浴している。認知症がある方などで入浴に誘導しても拒否をする方には、違う職員が声かけをしたり、時間を置いて声かけをしたり、午後の時間帯に入浴できるようにしたりと、対応方法を工夫しながら、入浴してもらっている。自宅で長い間入浴をしていなかったため、強い拒否があった方には、嘱託医が入浴の効果を説明し、職員が一緒に入ることで、入浴するようになった例もある。今ではとても清潔になり、ここでの生活を楽しんでいる。乾燥肌の方が多いため、入浴後に保湿剤を全身に使用することで、入居者の肌はしっとりとしている。皮膚疾患や表皮剥離の事故報告も、とても少なくなっている。また、性別に配慮して、入居者は同性による介助で入浴している。

【A8】A-3-(1)-② 排せつの支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:a】

各居室にはトイレが付いており、また人によってはポータブルトイレを使用している。ドアが開いても、直接便器が見えないよう配慮している。便器には、両脇に手すりを設置している。入居者全員の排泄リズムを確認するため、「チェック表」を活用し、入居者一人ひとりに合った時間にトイレに誘導している。認知症があり、自分では立位が困難な方には、カンファレンスを開き、2人での介助を決めている。立位を支える職員と、ズボンの着脱を介助する職員の2人で対応している。その方に合った時間帯にトイレに誘導することで、現在はおむつをはずすことができている。

【A9】A-3-(1)-③ 移動支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:a】

自力や杖の使用で歩行できる入居者は5人と多くはないが、入居者が歩行しやすいよう、動線に合わせて手すりを配置している。他の入居者は、車椅子などを使用している。新型コロナウイルス対策で、現在は中止しているが、マッサージ師により、全体での体操や個別の訓練を受けている。現在は看護師が、歩行訓練など、その方の身体状況を見て訓練を実施している。入居者には毎日の生活の中で、できる限り役割を持ってもらい、身体を動かすことをすすめている。入居してからADLが下がった入居者はいない。車椅子の自走が危ないと思われる方には、職員が一緒について、移動している。

【A10】A-3-(2)-① 食事をおいしく食べられるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

外部の委託業者が厨房に入り、食事を提供している。温冷配膳車により食堂に運び、温かいものは温かく、冷たいものは冷たい状態で提供している。施設内の管理栄養士が献立を作成し、入居者の栄養状態の管理や、摂食状況を把握して、栄養ケア計画を立案している。入居者の入居時に、本人や家族から、好きな食べ物や嫌いな物、アレルギーのある物などを聴き取り、本人に合った食形態で、食事を提供している。旬の食材を多く使用して、毎日の食卓がにぎわうよう配慮している。食欲がない入居者は、食事時間を遅らせたり、食形態を工夫している。残食は少なく、皆が完食することが多い。毎月の誕生会には、豪華な食事を用意し、入居者はとても楽しみにしている。また、月1回「出前の日」を設け、お寿司や洋食など、地元の店からの出前を皆で楽しんでいる。

【A11】A-3-(2)-② 食事の提供、支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:a】

入居者の状態に合わせ、常食からゼリー食までの食形態を整え、管理栄養士が栄養ケア計画を作成している。身体の不自由な入居者には自助具を用意して、自力で食事を摂ることができるよう見守っている。食事や水分の呑み込みが悪い入居者や、むせ込みが多い入居者は、注意深く見守り、誤嚥などがないようにしている。各フロアの食堂には、電磁調理台と流しが付いており、火を使わずに、お湯を沸かしたり、洗い物ができるようにしている。必要に応じて、水分の摂取量も記録している。

【A12】A-3-(2)-③ 利用者の状況に応じた口腔ケアを行っている。

【第三者評価結果:a】

毎食後、入居者に合った歯ブラシを使用して、入居者自身が歯磨きができるよう促している。入居者自身による歯磨き後は、職員が口腔内を観察して、磨き残しがないか確認してフォローしている。施設長も歯科衛生士であることから、昼食時は、施設長も入居者の口腔ケアに携わっている。歯科医師の指導を受けた歯科衛生士による指導や研修会を開催して、入居者一人ひとりに合った口腔ケアを行っている。就寝前や喀痰の吸引時にも、口腔内のケアを行っている。

【A13】A-3-(3)-① 褥瘡の発生予防・ケアを行っている。

【第三者評価結果:a】

入居者の皮膚の状態を、入浴時などに常に観察して、褥瘡の発生予防に努めている。保湿効果の高いクリームなどを使用して、現在、褥瘡のある入居者はいない。関係する職員が連携して、褥瘡ケア計画を作成している。褥瘡ができやすいと思われる入居者には、看護師の指示のもと、2時間おきに体位変換を行っている。褥瘡が発生した場合には、医師や管理栄養士と連携し、栄養の管理も行うこととしている。

【A14】A-3-(4)-① 介護職員等による喀痰吸引・経管栄養を実施するための体制を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設設立時の「医療的ケアが必要な人を受けられる施設でありたい」の考えを継承し、喀痰吸引研修に介護職員を積極的に派遣している。現在、介護職員の80%が喀痰吸引研修の受講を終えている。医師の指示の下、看護師と50時間研修を修了した職員が喀痰の吸引を行っている。また、入居者のうち、経管栄養が必要な方が6名、生活している。経管栄養は、医師の指示の下、看護師が対応している。施設も喀痰吸引等事業者登録を行い、医療的ケアが必要な方の受け入れ体制を強化している。

【A15】A-3-(5)-① 利用者の心身の状況に合わせ機能訓練や介護予防活動を行っている。

【第三者評価結果:a】

週1回、機能訓練士が携わっていたが、新型コロナウイルスの影響で中止している。入居者の身体機能の低下を予防するため、現在は生活中心のリハビリテーションを行っている。施設独自の「梅干し体操」やボールを使った体操、歩行の継続などを行うとともに、手を動かして作品を作ったり、洗濯物をたたむなど、日常の生活の中で、身体を動かす機会を多く作るようにしている。入居者のADLが低下しないよう、日々、工夫している。

【A16】A-3-(6)-① 認知症の状態に配慮したケアを行っている。

【第三者評価結果:a】

入居時及び入居後も、入居者本人や家族から生活歴や、本人の気になる行動などを聴き取っている。BPSD(行動・心理症状)のある入居者については、24時間の行動観察記録を取り、本人の思いを汲み取るよう努めるとともに、医師にも相談し、支援内容を検討している。支援内容は職員全体で共有し、認知症の症状のある入居者が、毎日、安心して、施設での生活を送ることができるよう取り組んでいる。

【A17】A-3-(7)-① 利用者の体調変化時に、迅速に対応するための手順を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人全体で「緊急時マニュアル」を整備して、入居者の急変時や異常事態発生時に、迅速に対応できるようにしている。嘱託医に、24時間連絡が取れる体制を整えている。入居者の体調の変化に早期に気が付くことができるよう、夜勤者のラウンド時には、入居者の呼吸状態を確認するなど、丁寧な見廻りを行っている。

【A18】A-3-(8)-① 利用者が終末期を迎えた場合の対応の手順を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

入居開始時に、家族に法人の「看取りの指針」を説明して、施設内でのターミナルケアの意向を確認している。「ターミナルケア」のマニュアルも整備している。入居者の状態が低下した段階で、医師から家族に状態を説明し、家族の了承を得た後で、看取りのケアに移る手順をとっている。緩和ケアを中心に、入居者の尊厳を守り、質の高い看取りのケアを提供できるよう努めている。看取り後の遺族への精神的なフォローも行っている。

A-4 家族等との連携
【A19】A-4-(1)-① 利用者の家族等との連携と支援を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

入居者の身体状況や生活面に変化があった時は、介護支援専門員や看護師が家族に連絡して、状況を報告している。現在はコロナ禍で開催を中止しているが、家族会を定期的に開催して、家族の意見や希望などを聴いている。月1回、家族に利用料の請求書を送る際には、入居者の日頃の様子を担当が記入した書面も送るようにしている。

A-5 サービス提供体制
【A20】A-5-(1)-①  安定的で継続的なサービス提供体制を整え、取組を行っている。

【第三者評価結果:評価外(訪問介護以外の福祉施設・事業所)】

特別養護老人ホームのため、評価外とする。