社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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あぷりこっと保育園エミタス久本

2022年03月29日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 あぷりこっと保育園エミタス久本 評価対象サービス 2021 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 40 名
所在地 〒213-0011
川崎市高津区久本2-8-18
TEL 044-982-9507 ホームページ https://emitus.ed.jp/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2020年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) (株)アプリコット俱楽部
職員数
常勤職員:9 名
非常勤職員:15 名
専門職員
保育士:17 名
看護師:1 名
調理士:1 名
幼稚園教諭:7 名
子育て支援員:5 名
施設・設備の概要
居室:保育室
設備:調理室
設備:食事室
設備:トイレ
設備:多目的室
設備:職員室
設備:相談室
設備:シアター
設備:沐浴

③ 理念・基本方針
<理念>
モンテッソーリ教育を基本とし、家庭的な雰囲気の中で子ども一人ひとりの思いを受け止め、子どもからも保護者からも信頼される居心地の良い園を目指します。

<保育方針>
十分に養護の行き届いた家庭的で暖かい雰囲気の中で、一人ひとりの子どもの個性を大切にしながら、将来を生き抜くたくましい心と体づくりをします。

<保育目標>
「自立していて、有能で、責任感と他者への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢をもった人間を育てる」を目標とします。また知的・道徳的・身体的発達の基礎が作られる、大切な時期の保育を進めていくために、次の3項を保育の軸としていきます。
① 健康で元気に活動する力を育てる
② 自分で考えて行動する力を育てる
③ 豊かでおもいやりのある優しい心を育てる

④ 施設・事業所の特徴的な取組
<あぷりこっと保育園エミタス久本の特徴的な取り組み>
●モンテッソーリ教育の導入
●外部専門講師によるレッスン(英語・リトミック・キッズダンス・体操)
●食育活動(食育アドバイザー)  

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2021/06/03(契約日) ~2022/03/15(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 初 回(年度)

⑥総評
特に評価の高い点 【あぷりこっと保育園エミタス久本の概要】
●あぷりこっと保育園エミタス久本は、株式会社アプリコット倶楽部(川崎市高津区新作)が開設・運営している保育園です。同社は、2015年7月に設立され、不動産の売買、賃貸、管理、保有等を主たる事業としていますが、「地元に様々な人が交流できるような施設を作りたい」という代表の思いから、同一建物内での不動産事業と福祉事業の複合事業を企画しました。実践として、同一建物内にシェアハウスと保育園を配した施設を2017年、高津区溝の口3丁目に開設し、「アプリコット保育園246」(小規模保育事業C型)を開園しました。さらに、0才児から5才児までの保育園を展開し、2020年、高津区久本2丁目に「あぷりこっと保育園エミタス久本」を開設しました。ここでは、地域交流の機能を持たせるため、建物内に保育スペースとは別に、地域開放スペースを配置しています。利点として、建物内を相互に行き来ができるため、保育時間中は地域開放スペースを保育園が利用し、ランチルーム、レッスンルーム、職員用休憩室等としても活用しています。

●あぷりこっと保育園エミタス久本は、東急田園都市線溝の口駅・JR南武線武蔵溝ノ口駅より徒歩7分程度の所に位置しています。園舎付近一体は、第一種中高層住居専用地域であり、マンションが多く建ち並んでいます。とはいえ、東側は浄土宗大蓮寺の敷地であり、また、北側は久本公園であるため、樹木が多く、園からの眺めは季節の変化を感じ取ることができる自然豊かな環境にあります。園には屋外園庭はありませんが、久本公園を園庭のように利用しています。

●川崎市は、児童福祉法による保育所としての認可を受けていない保育施設を「地域保育園」と定義しています。あぷりこっと保育園エミタス久本は、開園した2020年度は、「地域保育園」としてスタートしました。しかし、2020年度中に川崎市が定めた一定の保育基準を満たし、2021年度から「川崎市認定保育園」となりました。園では、引き続き条件整備を進め、児童福祉法が定めた設置基準をクリアし、認可されたことで、2022年度からは「認可保育園」としての運営が始まります。

◇特に評価の高い点
1.【外部専門講師によるレッスンやモンテッソーリ教育の導入】
●園では、リトミック(月2回)、イングリッシュタイム(月2回)、ダンス(月2回)、体操(月2回)、と4つのプログラムを、外部専門講師を招いて開催しています。これらのプログラムは、希望者のみではなく、基本的には全園児を対象にして保育時間中(午前中)に行っています。また、イタリアの教育家マリア・モンテッソーリ(1870~1952)が考案した「モンテッソーリ教育」に基づく学びの時間も設定しています。「モンテッソーリ教育」は、「子どもには、自分で自分を教育する力がある」という自己教育力の考えを基にした教育法です。毎月2回、園長自らが教育に当たっています。

2.【充実した食育活動】
●園では、毎月1回、「食育の日」を設定し、食育に力を入れています。食育の内容として、第一に、食事のルール、マナーの学習を設けています。具体的には、(1)手洗い、歯磨き、虫歯予防といった衛生面、(2)食事開始前後の挨拶、スプーンや箸の持ち方等のマナー面、について学びます。第二に、食べ物について知る学習があります。まず、野菜の実物を見る、それぞれの野菜の断面を見る、匂いを嗅ぎ、触るといったところから始めます。そして、次には、屋上園庭で、野菜の種まきや稲の苗植え等を行い、水やりをしながら成長を観察し、収穫まで行います。第三は、調理の学習です。とうもろこしやそら豆の皮を剥く、きのこをほぐす等から始め、後には親子クッキングのイベントにもつなげています。第四は、楽しめる食べ方の工夫です。おやつのバイキング等を楽しく行っています。このように、食に関する様々な取り組みにより、子どもたちが食に興味、関心を持てる機会を提供しています。

3.【清潔でゆとりのある保育スペース】
●園の建物は、保育用のスペースと地域に開放するスペースとを、空間的には分離させつつ、建物としては一体のものとして設計されています。地域開放用スペースは、貸し出す時間帯が、基本的には夜間であるため、保育時間中はレッスンルームやランチルームとして使用することができています。こうしたスペースがあることに加え、保育室自体も広い面積を確保しているので、全体としてゆとりを持った保育活動を行うことができています。建物が完成してまだ日が浅い(2021年12月現在)こともありますが、清掃は念入りに行われており、清潔な状態を保っています。利用者アンケートでも「清潔感」を評価する声が多いことからも裏付けられています。
改善を求められる点 ◇改善を求められる点
1.【優秀な保育人材の確保】
●園は、事業運営上の課題の一つとして、職員確保を挙げています。保育士不足は業界全体的な課題ですが、これに対処するために、運営会社としても、採用ホームページを充実させる、ハローワークや求人サイトに登録する等、採用活動を強化しています。また、職員休憩室やロッカー付き更衣室の設置、給食費や住宅費の補助等、厚生面にも力を入れています。しかしながら、慢性的な保育士不足の状況下においては、求職者が重視する福利厚生を整えることが求められるところです。ある調査では、労働者が希望する福利厚生の上位は、1位-昼食補助、2位-住宅補助、3位-割引制度、となっています。当園では、1位、2位は導入済みですので、今後は、割引制度についても導入が期待されます。川崎市の川崎市勤労者福祉共済(かわさきハッピーライフ)等に加入するのも一案と考えられ、ご一考を期待します。

2.【職員定着率の向上】
●園が、事業運営上の課題としているもう一つの項目が、職員定着率の向上です。職員の定着率については、早期退職者や年度途中の退職者が出た場合、既存職員にとっては、退職者が担っていた分をカバーするという負担が増える等、新たな退職に結びつく要因を回避する対策が求められます。とりわけ、保育士資格保持者で、かつ常勤職員でなければ担えない業務については、既存職員に負担・責任が集中しがちです。こうした負担を減らすには、やはり保育士資格取得者の人員増が必要となります。そのためには、求職者が重視する待遇を整えることも視野に入れながら、求職者から選ばれる保育園となることが望まれるところです。前向きなご検討を期待いたします。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
施設名: あぷりこっと保育園エミタス久本         

<評価(自己評価等)に取り組んだ感想>
   
職員一人ひとりの意見や思いを話す機会が無かったので、調査者の方々に話す事ができ、良かったと思う。
改めて保育理念を確認したり、保育を深く考える時間となり、有意義であった。

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評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

●保育理念(事業運営方針)には、「一人ひとりの思いを受け止め(る)」と記し、また、保育方針では、「一人ひとりの子どもの個性を大切に(する)」と記し、子どもを尊重するという姿勢を明確に打ち出しています。保育理念、保育方針、保育目標は、園のホームページ、入園案内、「入園のしおり」にも掲載し、入園希望者や在園児保護者がいつでも見られるようにしています。職員に対しては、「常勤会議」(園長、クラス担任、看護師、調理師で構成)での読み合わせを行い、周知しています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

●園長は、高津区が主催、開催している高津区園長会、高津区保育施設長研修等に出席しており、そこで、社会福祉事業全体の動向を把握しています。また、会合において、他保育園園長との情報交換も行っています。しかしながら、現状では、情報入手、情報交換の機会が上記会合の場に限られています。今後は、保育士や保育園の全国団体等にも園として加盟し、総会や研修会に参加することで、情報入手や情報交換の機会を増やすと尚良いでしょう。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

●運営会社社長と園長とは、事務室内で執務をしている際に、必要があれば、報告、連絡、相談、協議等を行っています。ただし、「会議」ではないため、記録などは取っておらず、また、他に定期的な協議の場はない状況です。今後は、系列のアプリコット保育園246の園長も加えた「園長会」を設置する等して、定期的に経営状況や改善すべき課題等を共有し、さらに職員にも周知していかれることを期待いたします。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

●運営会社では、3年単位の中期事業計画を策定しています。この事業計画は、会社が営む保育園運営事業以外の事業も含む総合的なものであり、キャッシュフローなど予算計画がメインの計画書になっています。今後は、保育園運営事業に関する、今後3年乃至5年の、会社として考える目標、計画等を定め、文書にまとめていかれると良いでしょう。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

●運営会社は、中期事業計画に基づいて、単年度の事業計画も策定していますが、会社としての予算計画が中心となっています。今後は、保育園運営に関わる部分を抜き出して、園児の定員、職員配置、職員研修、施設設備の増改修、地域交流などについて、年度ごとの実施計画を定め、文書にまとめていかれることを期待いたします。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

●運営会社の保育園運営事業計画、会社を取り巻く経営環境等については、必要に応じて、その都度、職員にも伝えています。しかしながら、(1)時期、手順が定められていない、(2)全職員の参画はない、といった点もあるので、まずは、系列の「アプリコット保育園246」の園長も含めた「園長会」を設置する等して、会社の方針や状況を定期的に園長に伝える体制作りが望まれます。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

●園で今後行う予定の行事、地域交流、施設設備の改修等については、保護者に対しては、その都度、必要事項について連絡用アプリケーションシステムを用いて配信してきました。しかしながら、事業計画といった名称や様式は整えていないので、今後は、まずは、保護者に周知すべき項目を確定し、毎年度、継続的に周知していくことを期待いたします。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

●「全体的な計画」では、「自己評価」の項目において、(1)法人による適切な施設運営管理の評価、(2)保育園の評価(全体の反省による計画・教育課程への反映)、(3)保育士等の評価(自己評価と子どもの評価の確立)、(4)自己チェックリストの実施と危機管理マニュアルの作成、習得、(5)第三者評価の理解、の5つを記しています。この内、今年度末には、保育士の自己評価を行う予定です。また、第三者評価は今年度、開園2年目で受審しています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

●園では、保育園の自己評価、保育士の自己評価を行うことを「全体的な計画」でも明記していますが、開園2年目であり、実施するのは、今年度末の予定です。そのため、現時点(2021年12月)では、評価結果が出ていないので、結果分析はできていません。現在は、評価実施後の分析や改善策検討のあり方について検討しているところです。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

●「運営規程」では、「職員の職種、員数及び職場の内容」と題する一条を設け、「施設長」を1人置くこととしています。職務内容については、「…利用する子どもを全体的に把握し、充実した活動ができるよう保育を行うと共に、室全体の園務をつかさどる」と定めています。一方、「重要事項説明書」では、「園長」の職務内容を、「保育園の統括、保育業務、保護者の育児相談」と記しています。「運営規程」と「重要事項説明書」とで、職種の名称や職務内容について相違があるので、今後、統一を図っていかれることを期待いたします。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●園長は、高津区が主催、開催する高津区園長会や高津区保育施設長研修会等に参加し、社会福祉の動向、保育園に関わる制度や法令の改正等の情報を入手しています。入手した情報については、「リーダー会議」(園長、クラス担任で構成)、「常勤会議」(園長、クラス担任、看護師、調理師で構成)でも職員に伝えています。また、個人情報保護、プライバシー保護、秘密保持等については、折に触れて注意を促しています。今後、園内研修の機会を設け、理解を深める取り組みに期待いたします。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

●園長は、保育の質の向上に意欲を持っています。保育の質については、(1)日々の子どもたちの様子、態度、反応、(2)保護者からの意見、要望、苦情、(3)保育士の振る舞い、言動、(4)職員からの意見、提案、等から現状を把握すると共に、課題を見つけた時は、(a)直接、職員に指導する、(b)クラスで話し合ってもらう、(c)「リーダー会議」、「常勤会議」で取り上げる、等の方法により、改善、向上に努めています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

●園では、「リーダー会議」・「常勤会議」という2つの主要な会議を設置しています。園長は、この2つの会議の指導者となって、(1)各クラスの運営、(2)子どもの保育、(3)行事の企画、実行、(4)保護者への対応、等、園の運営全般について方針を示し、また、取りまとめを行っています。園長は、クラス担任の代役を務めることもあるようですが、園長としての職務に専念できるよう、運営会社として職員増を図る対策が望まれます。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

●運営会社では、職員確保のために、採用特設ページの開設、ハローワークや求人サイトへの登録等により、募集活動に力を入れています。また、働きやすい職場作りのために、(1)職員用休憩室、更衣室等の職場環境の整備、(2)昼食費補助、(3)住宅費補助、(4)独身寮提供、等の福利厚生の充実にも取り組んでいます。今後は、採用した職員の定着率の向上のために、職員が自ら将来の姿を描くことができるような仕組み作りに努めると尚良いでしょう。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

●採用特設ホームページの「Q&A」において、「エミタスに求める人材は?」という質問を設定し、その答として、「…学ぶ姿勢が大切だと考えています。『教えてください』と聞くことができる、『これがしてみたい』と提案できる方を求めています。」と記して、期待する職員像を明らかにしています。採用後の人事基準(昇給、昇格、昇進等に関する基準)や、そのための考課制度については、文章化されていない部分もあるので、今後より明確化すると良いでしょう。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

●運営会社では、採用ホームページに、「有給休暇取得率100%」、「残業はほぼない」と記しています。また、職場環境整備や福利厚生として、(1)屋外、屋内の2ヶ所の職員休憩室、(2)シャワールーム、ロッカー付きの更衣室、(3)自社所有の独身寮(シェアハウス)、(4)住宅費補助、(5)安価での昼食提供、等を用意して、働きやすい職場作りに努めています。採用後の定着率向上のために、福利厚生については、宿泊割引等が受けられるサービスも導入すると尚良いと思われます。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●新入職員を対象とした「オリエンテーションブック」を策定しており、その中で、エミタス久本の職員として守るべき、(1)ルール、(2)マナー、(3)身だしなみ、(4)あいさつ、(5)応対、(6)言葉遣い、(7)表情、等について、具体例を交えながら説明しています。採用時には、同ブックを基に職員研修を行っています。また、運営会社の社長は、年2回、職員との個別面談を行っており、面談の場において職員の目標等も聞いています。今後は、キャリアパス、昇任、昇格、昇給の要件等を、より具体化して職員に示すと尚良いでしょう。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

●園では、園内研修と外部研修等を組み合わせて、研修体系を構築しています。外部研修については、新型コロナウイルス感染症が流行して以来、オンラインによる研修が増えたため、園内で受講できる環境を整え、受講を奨励しています。外部研修を受講した職員には、報告書作成を課しており、配付された資料と共に「常勤会議」で報告してもらうことで、全職員が共有できるようにしています。内部研修については、人的な制約から十分な開催ができていないとのことなので、まずは、職員の増員が望まれます。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

●保育士を対象とする研修を開催している行政機関、大学、保育関連団体等から研修案内が届いた際は、職員に知らせて、受講を促しています。外部研修の内、オンラインによる研修については、園内で受講できる環境を整えた結果、受講希望者が増えました。今後は、職員ごとの研修受講履歴を作成し、とりわけ、(1)障害、(2)アレルギー、(3)虐待、(4)感染症、(5)事故、については、伝達講習も含め、全職員が毎年受講できるような体制を整えていかれることを期待いたします。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

●園は開設2年目であり、これまでに保育士養成校の学生から保育実習受入れの申し込みはありません。そのため、現状では、実習生受け入れに関する明確な方針はなく、マニュアル類も作成していません。実習生を指導することは、中堅保育士、ベテラン保育士にとっては、保育の方法について改めて振り返る機会ともなり、また、新卒保育士に教育、研修をする際にも応用できるので、今後、受け入れを検討され、受け入れ方針、マニュアルの作成を期待します。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

●園のホームページ、入園案内には、保育理念、保育目標、保育方針を掲載し、一般の方でも見られるようにしています。また、ホームページでは、地域交流のページを設け、親子クッキング教室や絵本の貸し出しについて、テキストと写真で内容を伝えています。第三者評価の受審は今回が初めてですが、評価確定後はかながわ福祉サービス第三者評価推進機構、WAMNETにおいて、評価結果を公表する予定です。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

●「運営規程」では、「職員の職種、員数及び職務の内容」と題する一条を設け、職種ごとに担うべき職務の内容を規定しています。園の総務、経理、人事労務といった事務については、運営会社の取締役が担っています。運営会社では、公認会計士や弁護士に委嘱し、納税や法律に関わる部分のチェックを行ってもらっており、必要に応じて指導、助言を受けています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●園が開園した2020年4月は、新型コロナウィルス感染症の流行が拡大し始めた時期であり、地域交流に新たに取り組めるような状況ではありませんでした。しかし、今年度においては、濃厚接触にならない形での地域交流を少しずつ増やしてきました。例えば、(1)警察署に来てもらい、パトカーを見せてもらう、同様に、(2)消防署には、消防車を見せてもらう、(3)川崎市環境局には、ゴミ収集車を見せてもらう等、地域の行政機関の協力を得て、子どもたちに社会の仕組みを知る機会を提供しました。また、ハロウィンの際は、近隣住民にお願いして、訪問してお菓子をいただく「トリック・オア・トリート」のイベントを行いました。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

●園が開園した2020年4月は、新型コロナウィルス感染症の流行が拡大し始めた時期であり、ボランティアを受け入れられる状況ではなく、現時点(2021年12月)においても、 外部者の園内立ち入りについては、慎重な姿勢を取っています。園としては、ボランティアを受け入れたいという思いは持っており、新型コロナウイルス禍(以下、コロナ禍という)において、どのような形であれば受け入れられるのか検討しているところです。さらなる検討及び実施に期待されます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

●園に関わりのある行政機関としては、川崎市こども未来局、川崎市中部児童相談所、川崎市中央療育センター、川崎市児童虐待防止センター、高津区児童家庭課、高津区地域みまもり支援センター、高津区保健福祉センター、高津警察署、高津消防署などがあります。また、嘱託医、緊急時の受診医療機関等も重要な関連機関です。嘱託医、医療機関については、「入園のしおり」や「重要事項説明書」に名称、電話番号を記しています。今後は、関連機関を全て掲載した一覧表を作成し、職員にも周知していかれることを期待します。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

●園の建物内には、地域開放スペースが組み込まれており、実際に、ダンス教室や会合の場として貸し出されています。但し、こうした利用者と保育園との直接的な関わりはありません。今後は、地元町内会に加入する等して、まずは、地域の実状やニーズを把握すると良いでしょう。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

●コロナ禍の中、地域交流はこれといった活動はできていません。しかしながら、今年度末には、「第三者評価委員会」(保護者代表3名と地域の有識者3名とで構成)を開催する予定にしており、同委員会において、地域のニーズについても話題になると思われます。その場合は、コロナ禍でも園としてできることを検討する考えでいます。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●保育理念では、「一人ひとりの思いを受け止め(る)」と記し、また、保育方針でも、「一人ひとりの子どもの個性を大切に(する)」と記し、子どもの思いを尊重することを大原則にしています。さらに、「重要事項説明書」及び「運営規程」でも、「施設の目的及び運営の方針」として、「当園は、保育の提供にあたり、利用する子どもの最善の利益を考慮(する)」と記しています。職員に対しては、入職時にこの原則を説明しています。また、「リーダー会議」、「常勤会議」においても、定期的に確認を行っています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:b】

●園では、新入職員を対象にした「オリエンテーションブック」を策定しており、その中で、子どものプライバシー保護について、着替えの際は全裸にしないこと等を記しています。これ以外には、プライバシー保護に関しての文書化はされていませんが、テラスにおいて水遊びを行う場合は、シートで覆う等して、外部から見えないようにする等の配慮をしています。3階保育室では、中央にトイレが配置されており、構造上ドアの設置はありませんが、今後は目隠しカーテンを設置する予定です。プライバシー保護に関わる配慮内容は、全て書き出して、マニュアル化されることを期待いたします。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

●園では、「入園案内」を作成し、(1)エミタス久本の概要、(2)理念と基本方針、(3)1日の流れ、(4)年間行事予定、(5)食育、(6)習い事、(7)入園までの流れ、(8)よくある質問、の8項目で、園の保育内容や入園までの手続きを分かりやすく説明しています。また、園の建物がキッズデザイン賞を受賞した際に作成した「ストーリーブックレット」には、現在地(高低差のある狭小地)に保育園を建設するまでの経緯や設計思想等が記されており、この小冊子も園の施設設備の案内書として活用しています。園の見学は、毎週、曜日を決めて受け入れ、30分位の時間をかけて丁寧に説明しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

●入園が決定した子どもの保護者には、保護者と子どもとで来園してもらい、「入園前個別面談」を行っています。面談の場において、子どもや家庭の状況に関する簡単なアンケートに答えてもらいます。アンケートを基に、園としての対応方針の説明後、保護者の意向を確認しています。2月には「入園説明会」(全体会)を開催し、そこで、改めて園の保育内容を説明しています。その上で、3月末に入園式を行っています。4月1日からの慣らし保育においては、子どもの様子を詳しく保護者に伝えると共に、再度、保護者の意向を確認しています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

●園児が他の保育園に転園したケースにおいて、転園先の保育園から問い合わせがあったことは、今までのところありません。今後、問い合わせがあった場合には、園児及び保護者の、とりわけ個人の事情に関わる部分については、慎重に検討した上で、差し支えない範囲で回答する方向で検討しています。卒園後の窓口については、まだ卒園児が出ておらず、第1回卒園式は、2024年3月(見込み)のため、現時点では詳細は未定としています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●園は開園2年目であり、利用者満足を把握するためのアンケート調査は、これまで実施されていませんが、今回、第三者評価に伴う利用者アンケート(2021年7月~8月)が、初めての満足度調査となりました。アンケート調査以外では、年2回(6月と2月)、個人面談を行っており、面談の場において、意見、要望、苦情等も聞いています。また、「第三者評価委員会」(保護者代表3名と有識者3名とで構成)を、今年度末に開催する予定にしており、その場でも、保護者代表から意見や意向を把握する予定です。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

●「入園のしおり」において、「苦情・要望等に係る窓口相談」と題する一項目を設けています。そこで、「当園相談窓口」として、「苦情受付担当者(運営会社取締役)」、「苦情解決責任者(園長)」の氏名を記しています。また、「苦情・要望等のご相談は、直接又はお電話にて担当までお申し出ください」と促しています。入園のしおりでは、加えて、「第三者評価委員会」として、委員3名の氏名(保護者代表を除く)、肩書きも記されています。しかし、同委員会は苦情の申し出先であるのかどうかが記されていないので、その役割、権限等を明記すると良いでしょう。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

●入園のしおりで、「苦情・要望等のご相談は、直接又はお電話にて担当までお申し出ください」と記し、これを基本としながらも、園長は、入園式や懇談会の場において、(1)相談、苦情等の申し出は、電話、FAX、メール、文書、口頭等、いずれの方法でも良いこと、(2)相談、苦情の申し出相手は、園長、クラス担任、担任以外の保育士等、誰でも良いことを伝えています。園内でじっくりと苦情、相談等を受ける場合は、事務室等他の保護者から見えない場所で対応しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

●保護者からの相談、苦情等を保育士が受けた時、その内容が、当該保育士にとっては返答が難しいものである場合は、「わかりません」とは言わず、「すぐに確認してきます」と答えるよう指導しています。保育士は、そのような相談、苦情等を受けた時は、速やかに園長に報告することとしています。園長は、保育士の話を聞いた後、保育士と協議して、適切な回答を保育士もしくは、園長自らが保護者に回答するかを判断し、適切な対応に努めています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

●園では、川崎市の「川崎市公営保育園健康管理マニュアル」を基本としつつ、園においても、「不審者侵入対策マニュアル」、「事故発生時対応マニュアル」等を策定しています。また、事故及び事故までには至らないヒヤリハットについては、「事故発生書」、「ヒヤリハット報告書」を定めており、(1)発生内容、(2)発生状況、(3)原因、(4)対応方法、(5)改善策、等を、その都度記入しています。そして、「リーダー会議」、「常勤会議」で取り上げ、園全体で再発防止に取り組んでいます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●園では、厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン」や、川崎市の「川崎市公営保育園 健康管理マニュアル」に依拠して感染症対策に取り組んでいます。また、園でも、独自に「保健・衛生マニュアル」を策定しています。同マニュアルでは、感染症防止のために、とりわけ玩具消毒について細かく定めています。具体的には、(1)口に触れるようなものは、毎日、消毒液で拭く、(2)布製の玩具等は、週に1回洗濯し、日光消毒する、(3)洗えるものは水道水で洗い、自然乾燥、日光消毒する、等と定め、徹底消毒を心がけています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

●園では、「消防計画」、「避難訓練年間計画」を策定しており、これに基いて、毎月1回、避難訓練を行っています。訓練では、火災、地震、不審者侵入等、毎回、想定内容を変えて行っています。「入園のしおり」には、「非常災害時の対策」と題する項目を設け、(1)避難場所、(2)警戒宣言発令時及び大地震発生時の対応、(3)洪水警報発令時の対応、について記しています。緊急時の保護者への連絡は、(a)連絡用アプリケーションシステム、(b)一斉送信メール、(c)災害伝言ダイヤル、を使うこととしています。備蓄品については、食料(3日分)等を保管しています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:a】

●園では、「オリエンテーションブック」と題する、新入職員向けのマニュアルを策定しています。同ブックでは、職員として、また、保育士として守るべきルール、マナー、言葉遣い等について、具体例を交えて詳しく記しています。これに加えて、「保健・衛生マニュアル」、「禁止用語~子どもの権利を守る~」等、保育の場面ごとの方法、手順、注意点等を記したマニュアルも複数策定しています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

●園では、「リーダー会議」、「常勤会議」、「クラス会議」という、3つの主要な会議を開催しています。各々の会議においては、マニュアル類に定められた保育方法、手順等について、気づいた点があれば議案として出してもらい、話し合っています。そうした話し合いの結果は、再度、「リーダー会議」、「常勤会議」で検討し、必要があれば、マニュアルの追加、削除、修正を行っています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:a】

●入園が決まった子どもの保護者には、子どもと一緒に来園してもらい、「入園前個別面談」を行います。面談では、「児童票」、「生活記録表」等の記入用紙を渡すと共に、(1)離乳食の状況、(2)アレルギーの有無、(3)緊急時のお迎え、等について、その場でアンケートに答えてもらいます。このアンケート用紙を基に面談を行い、家庭での様子、保護者の意向、要望等を聞くと共に、子どもを観察して状況を把握しています。その後、「個別指導計画」を策定して、全職員で情報共有し、保育に生かしています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

●次年度の「年間指導計画」の策定は、1月に、今年度の「年間指導計画」を振り返り、見直すところから始めます。まずは、クラスごとに「クラス会議」を開き、自クラスに関わる部分について振り返り、修正、追加、削除等が必要な部分があれば、まとめて園長に提出します。園長は、それらを集約して、それまでに出されていた、(1)保護者の意見、要望、(2)「リーダー会議」、「常勤会議」で出されていた職員の意見、等も踏まえ、次年度「年間指導計画案」を策定しています。その後、「リーダー会議」での検討を踏まえ、正式な「年間指導計画」として確定させています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

●園では、子どもの成長、発達等に関する記録は、川崎市が策定している「健康診断記録」、「発達個人票」を用いて行っています。日誌等、園で様式、書式を定められるものについては、各保育士が記入したものを園長がチェックし、助言、指導を行うことで、園全体として統一が取れるようにしています。その日ごとの子どもの様子については、早番保育士が、「引継ぎ手帳」に書き込んでいくと共に、引き継ぎの際は、口頭伝達も行っています。この2つの手段により、遅番保育士に確実な情報共有、及び伝達漏れのないよう努めています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

●就業規則では、「遵守事項」と題する一条を設け、そこで、「園が所有する機密情報(個人情報など)を、正当な理由なく開示したり、漏洩したりしてはならない」と定めています。また、新入職員向けの「オリエンテーションブック」においても、「個人情報」という項目を設けています。そこで、(1)「個人情報」には、名前等のデータに加えて、身体的特徴、発達的特徴、家庭内のことなども含まれること、(2)子ども、保護者に加えて、職員の情報も含まれること、を記し、「立ち話などにおいても外部に漏らしてはならない」と注意を促しています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

●「全体的な計画」には、保育理念(事業運営方針)、保育方針、保育目標を記載しており、それらに基いて計画が策定されていることが伺えます。また、事業の目的も掲載されており、そこでは、「全ての子どもに保育所保育指針に基づいて、乳児及び幼児の保育事業を行う」と記されています。保育理念では、モンテッソーリ教育を基本とすることが記されており、園の目指す方向が読み取れます。次年度の「全体的な計画」は、1月頃、今年度の「全体的な計画」をクラスごとに振り返り、見直すところから始め、3月中には次年度の「全体的な計画」を正式に決定しています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:a】

●保育室には、エアコン、空気清浄機、加湿器を設置しています。2階の保育室(3歳児~5歳児用)では、中央に開放型のトイレを配置していますが、天窓に採光と換気の機能をもたせ、匂いがこもらないよう設計されています。床はコルク材を使用し、また、床暖房を設置しています。なお、0歳児室には、畳のスペースも設置しています。1階保育室、2階保育室とも、全体として広い空間を確保し、クラスごとに活動する場合は、可動パーテーションや家具により区分けすることを前提にしています。寝具は、0歳児は布団を、1歳以上児はコットを使用しています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

●保育理念(事業運営方針)では、「子ども一人ひとりの思いを受け止め(る)」と記し、また、保育方針では、「一人ひとりの個性を大切に(する)」ことを謳っています。保育士が、この姿勢で保育に当たるよう、言葉がけについては、「禁止用語」のマニュアルも策定しています。具体的には、(1)命令口調(例:早くしなさい!)、(2)否定する言葉(例:なんでできないの?)、(3)上から目線(例:~してあげた)、(4)怒鳴る、(5)ため息混じり、等の言い方は控え、子どもが安心して保育士の言葉を受けとめられるような、穏やかに分かりやすい言葉遣いをするよう指導しています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

●子どもに生活習慣を身に付けてもらうための第一歩として、保育士は、まずは「泣かなくても大丈夫だよ」、「安心していいよ」という思いが伝わるよう、信頼関係を築くことに注力します。その上で、その子のリズムに合わせつつ、食べる、お散歩に行く、といった生活リズムを徐々に整えていき、いずれはクラスのみんなが同じリズムで行動できるよう育んでいます。他方、子どもの、自分からやろうとする気持ちを引き出すために、例えば、靴下履きの場合であれば、まずは8割ぐらいを手伝い、残りの2割を自分でできるようにして、できたら褒めます。そして、手伝う割合を徐々に減らしていき、やがて靴下を全て自分で履けるように支援しています。この時も、「全部できるようになったね!」と保育士は褒めています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

●屋外園庭は有していませんが、園の敷地の目の前には久本公園があり、公園を園庭のように活用しています。他にも、周辺には末長久保台公園、久本鴨居町公園等があり、天気の良い日は積極的に出かけています。子どもたちに社会的ルールを身につけてもらうために、1歳頃から、例えば、(1)お部屋から出ない、(2)お部屋の中で走らない、(3)他の子の玩具を取らない、(4)玩具遊びでは順番を守る、といったことを諭しながら、徐々に他の子との関わりがうまくできるよう保育に当たっています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●0歳児用の保育スペースは、コルクの床(床暖房設置)と畳スペースとで成っています。両スペース間には段差はなく、ほふくや歩行をつまずかずに行うことができます。また、ベビーベッドや椅子も用意しています。今年度は、担当制にはしていませんが、どの保育士も、子どもとの愛着関係を築くよう努めています。保育士は、子どもの月齢に応じて、(1)抱っこ遊び、(2)絵本の読み聞かせ、(3)玩具遊び、等を使い分け、子どもが興味を持てるように工夫しています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●2歳位になると、何でも自分でやりたがるようになる一方で、できなくて癇癪を起こすことも出てきます。そういう時は、保育士はあたかも自分でできたかのように、そっと手助けをしてあげて、達成感を味わってもらうと同時に、褒めてあげます。このようにして、子ども自身でやれる領域を増やしていきます。また、他の園児とのトラブルも出始める頃ですが、保育士は、噛みつくといったトラブルが起きないよう、見守りながら援助しています。玩具の取り合い等は、子どもの間に入り、双方の言い分を聞くと共に、取ってしまった子には、「少し待とうね」、「順番だよ」等と言葉をかけ、取られた子には、「終わったら貸してもらおうね」等と伝えることで、友だちとの関わり方を教えています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●今年度は、4歳児及び5歳児は在籍していませんが、3歳児については、集団行動を多く取り入れて、みんなで一緒に遊ぶことの楽しさを伝えています。その一つが、外部専門講師によるレッスンであり、(1)リトミック(月2回)、(2)ダンス(月2回)、(3)イングリッシュタイム(月2回)、(4)体操(月2回)、の4つのプログラムを提供しています。また、モンテッソーリタイム(月2回)は、園長自らが担当しています。この他にも、食育活動や夏祭り等において、役割を割り振る等、皆で協力する、みんなで一つのことを成し遂げる、といった機会を提供しています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●園の建物は4階建てですが、エレベーターがあり、階ごとでは、フラットフロアになっています。また、車椅子が入れる広さのトイレも設置しています。園は開設2年目であり、これまで、特別な配慮を要する園児は在籍していません。しかし、障害のある子どもが入園した場合は、みんなと一緒に活動、行動する「統合保育」を行えるよう、体制を整えています。保護者との連携についても、例えば、子どもの特性に気づいていないと思われる保護者に対しては、「専門家に見てもらうことは、親御さんが安心できる材料の一つになりますよ」といった形で伝える等、支援のあり方についても想定して準備を進めています。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●長時間、園で過ごす子どもに対して、子どもに疲れが出ないよう、また、気分転換もできるような工夫を取り入れています。例えば、(1)夕方以降は遊ぶ場所(保育室)を変える、(2)好きな玩具で遊べるようにする、(3)コーナーを作る、(4)ゴロ寝できるマットを敷く、等の配慮をしています。また、夕方には、手作りのおにぎり等を提供しています。遅番保育士への引き継ぎは、「引継ぎ手帳」と口頭伝達を併用しています。この2つの手段により、遅番保育士は、保護者のお迎え時に子どもの様子をしっかりと伝えることができています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:b】

●園は開園して2年目であり、今年度においては、4歳児及び5歳児は在籍していないので、現状では、小学校就学を見据えた保育活動等は行っていませんが、2023年度からは実践できるよう、内容の検討を進めているところです。「全体的な計画」では、「小学校への接続・連携」として、(1)アプローチカリキュラム、スタートカリキュラムの推進を図ること、(2)園児と児童との交流、(3)保育園職員と教師との意見交換や合同研究、を掲げています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

●園では、川崎市こども未来局が策定している「川崎市公営保育園健康管理マニュアル(2019年3月)」に依拠して、子どもの健康管理に取り組んでいます。加えて、園としても「保健・衛生マニュアル」を策定し、(1)登園時には、顔色、体温等を確認する、(2)保育中は、咳、鼻水、食欲、機嫌、便等を確認する、を定め、実践しています。SIDS(乳幼児突然死症候群)については、0歳児は5分おきに、1歳児~3歳児は10分おきに呼吸確認を行っています。なお、呼吸確認について、0歳児は、保育士確認に加え、センサー感知システムも導入し、より確実な取り組みとすると尚良いと思われます。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

●内科健診を年6回(奇数月)、歯科健診を年1回(5月)、実施しています。また、身長、体重測定を毎月行っています。健診の日時は、連絡用アプリケーションシステムにより保護者に連絡しています。健診結果は、何か問題があった場合にのみ書面または口頭で伝えることとしています。身長、体重測定結果も、連絡用アプリケーションシステムにより保護者に知らせています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

●アレルギー児の対応については、「川崎市公営保育園健康管理マニュアル」及び「川崎市立学校におけるアレルギー疾患を有する児童生徒への対応マニュアル」に基づいて適切な対応を心がけています。現状では、アレルギー対応食を提供できるだけの人的、設備的余裕を課題とし、卵アレルギーを持つ子どもには、卵料理提供日にお弁当を持参してもらっています。その上で、全ての日において、(1)トレー、食器、テーブルを別にする、(2)アレルギー源を含むメニューを、調理師と保育士が一緒に確認する、等の取り組みをしています。今後、卵以外のアレルギーを保持する子どもが入園する可能性もあるので、調理担当者の増員、調理設備拡充などの体制強化が望まれます。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

●子どもたちが食に関心を持ち、また、食を楽しめるよう、食育に力を入れています。例えば、(1)野菜の断面を見せる、(2)野菜の匂いを嗅いでもらう、(3)野菜や稲を屋上園庭で育てる、(4)とうもろこしやそら豆の皮を剥く、(5)育てた野菜を食材として使用する等、食材に親しむ取り組みを行っています。加えて、(a)ランチルームで食事を取る、(b)ハロウィンやクリスマスの時には、その絵柄の皿や紙コップを使用する等、楽しく食事を取れるための工夫を取り入れています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

●園では、川崎市統一献立を使用しています。統一献立には、季節食、行事食等もあらかじめ組み込まれており、毎月1回は特別メニューを提供できるようになっています。なお、園独自のメニューとして、子どもたちの誕生月には手作りケーキも提供しています。食材は、地元の米穀店、八百屋、肉屋、魚屋等で調達しており、信頼できる食材を新鮮・安全に提供するよう努めています。調味料も、調理師が自ら安心できるものを購入しています。調理室の横にランチルームがあり、調理師は日々、子どもたちの食べる様子を確認し、調理の工夫に生かしています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

●園では、2歳児までは、連絡帳を用い、今日一日の子どもの様子を保護者に伝えています。連絡帳に加えて、連絡用アプリケーションシステムを導入しており、様々な情報を保護者のスマートフォンに配信しています。例えば、(1)園だより、(2)給食だより、(3)食育だより、(4)保健だより、(5)本日の給食の写真、(6)本日の活動の様子(テキスト、写真)、(7)園からの連絡事項、等を細かに配信しています。こうした配信に加え、個別面談(年2回)、「先生体験」(子どもの誕生日の時)等も開催し、保護者との情報交換の場としています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

●連絡用アプリケーションシステムにより、保護者は、お迎えに向かう途中でもスマートフォンを見ることで、(1)本日の活動の内容、(2)子どもの様子、(3)本日の献立、等をテキストと写真とで確認することができます。そのため、お迎え時には、保育士は、こうした内容以外の子どもの様子を伝えられる上、保護者からのちょっとした意見、要望、質問、相談等を受ける時間的な余裕も持てます。このように日々のコミュニケーションを重ね、保護者との信頼関係を築いています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:a】

●「運営規程」では、「虐待等の防止のための措置」と題する一条を設け、(1)必要な体制の整備を行うこと、(2)職員に対し、研修を実施する等の措置を講じること、を定めています。そして、規定に基づき、「児童虐待防止・対応マニュアル」を策定しています。同マニュアルでは、(a)子ども、保護者の様子などから気づくべき具体的なチェックポイント、(b)兆候を発見したときのその後の手順、(c)行政機関等との連絡、について定めています。万が一の相談・通告先は、中部児童相談所、川崎市児童虐待防止センターとしています。これらの手順については、A4判1枚の用紙にまとめ、事務室にも掲示し、常に意識できるよう職員に啓蒙しています。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:b】

●園は開園して2年目であり、これまでは保育士の自己評価を実施していませんでしたが、今年度末の実施に向けて準備を進めています。自己評価は、全国保育士会の「保育園・認定こども園等における人権擁護のためのセルフチェックリスト(2017年)」を用いて行う予定です。また、各保育士の自己評価を総合集計した結果を、園としての自己評価の一部とすることも検討しています。今後さらに、保育実践の向上、体制作り、サービスの向上、改善に向けて努めていかれることを期待いたします。