社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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ぶどうの実 久地園

2022年03月25日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 ぶどうの実 久地園 評価対象サービス 2021 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 60 名
所在地 〒213-0032
川崎市高津区久地4-24-5 4階
TEL 044-829-6550 ホームページ https://budou-ki.co.jp/kuji/index.html
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2017年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 株式会社ぶどうの木
職員数
常勤職員:15 名
非常勤職員:17 名
専門職員
保育士:20 名
看護師:1 名
栄養士:2 名
調理士:3 名
幼稚園教諭:5 名
社会福祉主事任用:1 名
施設・設備の概要
居室:乳児室
居室:ほふく室
居室:保育室
設備:医務室
設備:調理室
設備:事務室
設備:遊戯室

③ 理念・基本方針
<理念>
『シアワセな未来を創るひとを育てる』
ひとが「シアワセ」であるとは、ひととひとのつながりや広がりがうまくいくことを基盤にします。だとすれば、シアワセな未来を創る“ひと”を育てるとは、ひととひとが豊かにつながり合うという肥沃な土壌があってこそ、一人ひとりが大切にされ、成長の根を育み、希望の種を宿すことが可能になるのです。こうした土壌のなかから、子どもたちは、やがて自ら希望を切り拓き、ひとと共生し、社会に貢献する“ひと”として、芽吹いていくのだと私たちは信じています。『シアワセな未来を創るひとを育てる』ことこそがぶどうの木のコアパーパス(社会的存在意義)だと考えています。

<基本方針>
1.一人ひとりを大切にする子ども主体の保育
2.自ら希望を切り拓き、ひとと共生し、社会に貢献できるひとを育てる

<保育方針>
「勇気づけ」努力・工夫を認めるプロセス・行動に注目
「裁かない」指示・命令・決めつけをしない
「見守る 」子ども自らの経験を尊重

<保育目標>
●一人ひとりを大切にする子ども主体の保育

④ 施設・事業所の特徴的な取組
<ぶどうの実久地園の特徴的な取り組み>
●保育の質の基本は「子どもと保育者」の関係の“質”が土台になります。どんな子どもであっても、子どもがありのままに受け止められ理解され支援される関係を積み重ねることで、人やその世界は信頼できる存在であるということを心に育まれることが重要と考え、保育に取り組んでいます。
●「一人ひとりを大切にする子ども主体の保育」の具現化に取り組んでいます。「子どもたちが自ら育つ」を信じて待つという保育の姿勢・在り方を全職員が学び合い、自分のものとして落とし込まれていくことが、福祉(保育)サービスの向上の基礎だと考えています。
●「子どもの姿ベース」のカリキュラムの導入や「主体的・対話的で深い学び」を主題にいくつかのプロジェクト保育に取り組んでいます。こうした取り組みを通して、したいという意欲、できる自分の発見、困難を乗り越えていく力、自他を大事にする他者との関係構築力など非認知能力が将来にわたる生きる力の土台になると信じています。
●さらに、心理的安定性が高い・成功も失敗もオープンに振り返られる・互いの学びや成果が尊重される・学び合うことに喜びを感じられるといったことが、一貫して大切にされる職場づくりと、子どもたちを「シアワセな未来を創るひと」として育む養育と教育が展開される保育が相まってこそ、真に保育の質が高められると信じています。そこから、子育て支援や発達に特性のある子どもや家庭の支援や、地域との豊かなつながりへと広がっていく事業活動を展開しています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2021/06/10(契約日) ~2022/03/08(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 初 回(年度)

⑥総評
特に評価の高い点 【ぶどうの実久地園の概要】
●「ぶどうの実久地園」(以下、本園という)は、株式会社ぶどうの木(以下、法人という)が運営する認可保育園です。法人は現在、川崎市で6園の認可保育園と学童保育を運営しています。法人が設立された平成13年に、地域保育園「チャイルドケアサポートぶどうの実」として開設され、平成25年に名称を「川崎認定保育園 ぶどうの実久地園」に変更し、平成29年に川崎市より認可を受け、現在に至っています。

●法人ではスタッフを「ぶどうの木ファーマー」(farmer)と呼びます。ファーマー(農夫)が畑を耕し、種を蒔き、肥料や水をやり、丹精込めて作物を育てるように、子どもたち一人ひとりの成長を丁寧に育む保育をしたいと願っているからです。保育とは、「子どもたちが自らの未来を創るための成長の根と希望の種を育む営み」と考えています。子どもの未来を見据え、人として自立するために、子どもの「いま・ここで」をかけがえのないものとし、日々質の高い保育を積み重ねています。

●本園は、JR南武線「久地駅」から徒歩約1分と駅から至近の場所にあり、電車通勤の保護者の方々にも大変便利な場所です。園舎は4階建てビルの4階部分を占有し、0歳~5歳児定員60名(利用人数65名)を預かっています。保育室は、0歳児は専用スペース、1歳、2歳児は発達段階に応じて3つに分けた小グループを作り、保育室内を区切って活動し、3歳~5歳児は常時異年齢合同保育を行っています。子ども一人ひとりの成長段階に合わせた保育に配慮し、0歳~1歳半(種の時期)、1歳半~3歳(芽の時期)、3歳~6歳(苗の時期)、それぞれの成長段階の観点を押さえて保育を実践しています。子ども自身が主体的な《育つ》存在であることを大切に、養育者として《育てる》の実践を展開し、子ども同士・スタッフと親・親同士が支え合い、助けあって《育ちあい》の関わり合いを大切にする保育を目指しています。

◇特に評価の高い点
1. 【子どもが主体的に活動するための支援の取り組み】
●子どもが自主的・自発的に生活と遊びができる環境を整備しています。子どもの保育目標を「0歳~1歳半」・「1歳半~3歳」・「3歳~6歳」に分け、成長の段階に合わせた保育に配慮しています。園庭は有していませんが、身体を動かすことがきるよう戸外活動(散歩等)を重視し、多くの時間を確保しています。散歩コースは22コースあり、当日の散歩コースは子どもが主体的に決め、小旅行的に楽しみます。散歩により交通ルール等を学び、友達と楽しい時間を共有しています。子ども自ら「したい」ことを「できる」ための方法を自発的に考え、自主的に達成していくよう、毎朝、「プランボード」で遊びを選択し、決定しています。さらに、年長児が自分たちの街で働くことを目指す「まちをつくっちゃおうプロジェクト」を設定し、子どもたちの育ちと学びの体験プロジェクトとして、職員・子どもたち共々大イベントとして取り組んでいます。また、相互の理解・問題解決力・感情の取り扱いをワークショップで学ぶ「セカンドステップ」を幼児教育として導入しています。そして、異年齢(3・4・5歳児)グループ(トリオ)を中心に「ごちゃどば(異年齢)」で育ち合う保育に取り組む等、子どもが主体的に活動するために、他に類を見ないアイデアと職員の尽力とで取り組む保育は高く評価できます。

2. 【保護者への様々な情報提供と連携】
●園としては「みんなで子育て」をモットーに、保護者にとって保育園が単に「子どもを預けるために必要な場所」に留まらず、「共に子育てしていくパートナー」として相互に信頼し合える関係の構築が大切と考えています。その一つとして、子どもを真ん中に、力を合わせ育ち合う関係作りを大切にするために、「ぶどうサークル」と称した保護者が主体となり活発な意見交換ができる場を設けています。日常保育の様子は、キッズリー(保護者向け写真付き連絡帳アプリ)連絡帳機能(0・1・2歳児)やキッズリーを通しての情報(3歳以上児)で知らせ、保育者と保護者が情報を共有しています。今年度は、新型コロナウイルス禍(以下、コロナ禍という)により、保育室への保護者の立ち入りの制限や、保育参加を実施できなかったため、日々の子どもの様子がよく分かるよう、キッズリーやSNS(インスタグラム)等の活用を含め、写真や記事を発信する等、様々な情報を家庭に詳しく提供しています。

3.【食育への取り組み】
●給食は、栄養を摂るためだけでなく、楽しい語らいや団欒の場であり、食事のマナー等を学ぶ機会でもあると考え、様々な取り組みにより食に対する興味を育んでいます。子どもの成長に合わせた食事提供を行い、「自分で食べたい」という食への意欲の芽生えを自主性・自発性を育む大切な時期と捉え、大らかに食事の指導、対応を行っています。自園調理による昼給食、手作りおやつを提供し、給食はだし汁を基本に和食中心の4週間ごとの献立になっています。食材については、米は秋田・山形産の「分つき米」を使用し、魚介類・季節の野菜等は信頼できる地元業者から仕入れる等、安心・安全な食事を提供しています。また、旬の食材、季節や行事に合わせた献立を取り入れ、子どもたちが楽しんで食事ができるよう、食育に力を入れています。3歳以上児は、子ども自ら米とぎ等の手伝いを行う機会や、盛り付けは幼児の当番制とする等、積極的に食に関わり、食事開始や食べ終わる時間も一斉とせず、食べるテーブルや一緒に座る友達も自分たちで決めています。検食については、検食簿を記録するだけでなく、検食サンプルを2週間分保存し、食品衛生管理にも十分配慮しています。
改善を求められる点 ◇改善を求められる点
1.【園児と地域との関係確保のための取り組みについて】
●子どもが地域の人々と交流を持つことは大切な取り組みテーマと考えています。子どもが地域活動に参加するように心がけていますが、コロナ禍の中で機会が減っています。本園は、地域資源の一つとしての立場を意識して、園としてできる事・やるべき事に取り組んでいます。法人では、3つの事業部会があり、「子育て支援部会」では全ての家庭が支援の対象であり、「ぶどうピース活動部会」では当たり前に誰かの役に立つ活動を実践し、「マオポポ活動部会」では発達に支援が必要な子ども・家族に対しての理解・支援を行っています。地域の福祉ニーズに基づく活動に取り組むことで、地域の子ども育成支援は行われています。今後、園児と地域の交流を広げるため、自治会等との交流の機会を定期的に設ける等、地域コミュニティの活性化に取り組んで行かれることを期待します。

2.【職員の育成に向けた取り組みと業務の標準化】
●必要な保育士・調理師等の人材体制について、基本的な考え方で運用され、職員配置を十分に行い、働きやすい環境を構築することで職員の定着率が高くなっています。年1回、自己評価シートによる評価を実施し、互いの学び合いや意識の向上につなげています。今年度は、園長・主任等のリーダー層に対して、能力×人間力をコンセプトにした「七つの習慣」をベースに研修を実施し、職員一人ひとりが人間として成長するための「七つの習慣」Web研修も開始しています。また、教育的プログラム「セカンドステップ」を実施し、対人関係スキルの向上に取り組んでいます。業務が多様化している中、今後、業務の効率化と職員の習熟度に配慮したOJTを継続していただきたいと思います。また、職員の専門性や成長を評価し、納得できる評価制度を構築することで、職員が自らの将来の姿を描くことができるような総合的な仕組み作りが課題になると思われます。一方、業務の標準化と適切な福祉サービスの実施のため、様々なマニュアルを整えていますが、業務の標準化と保育士の育成のため、定期的にマニュアルの見直しを実施し、マニュアルを整備することで利用者本位の福祉サービスの提供につながることを期待いたします。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
施設名: ぶどうの実久地園         

<評価(自己評価等)に取り組んだ感想>

「ぶどうの実久地園」は、今年度で開設20周年になります。現在の「ぶどうの実久地園」は、平成13年の10月に、前身である「チャイルドケアサポートぶどうの実」という名称で無認可保育園としてスタートしました。園の由来には、子どもを育てる(チャイルドケア)職員や、親である保護者をサポートする場になることを目指そう、という意味を込めていました。そして、地域に根ざして「子どもたちが未来に向かって健やかに育つこと」を真ん中にして保護者・職員・園が一体になって、「育つ・育てる・育ち合う」という関係や、つながりを創って行きたいという願いと想いがありました。 
認可外の時代には、発達に特性があって集団に適応出来ないで幼稚園等からはじかれてしまった子どもたちや、子育てで行き詰まってSOSで飛び込んできたママたちが、いつでも利用出来る受け皿としての
役割を、地域の中で果たしてきました。認可化にする時には、そんな役割が果たせなくなるのでは、との声も多くいただきました。しかし、私たちは、働く職員が安定した生活保障の中で結婚して、子育てしながら働き続けられるために、認可化という選択をしました。それは、職員が定着することで、保育の質を確保するということでもありました。

こうして、「ぶどうの実久地園」として認可保育園になったのは、平成29年4月です。実は、認可になって5年が経ちましたが、第三者評価を受審するのは今回が初めてです。乳・幼児期という「いま」をどのような環境の中で、どんな経験を刻んで行くことで、子どもたちが「自らシアワセな未来を創るひと」になるための、生きる力の土台を育むことが出来るだろうか?この20年間の歩みの中で模索し、考え合い、そのための保育のカタチを創ってきました。

「ぶどうの保育」は、「濃くて、熱くて、温かい」と良く言われます。そんな「ぶどうの実久地園」の第三者評価を株式会社R-CORPORATIONにお願いしました。第三者の視点で、私たちの園運営や、保育の内容や職員の保育への在り方や姿勢を、ありのままに評価してもらうことで、気付かなかったことや、至らなかった点等をフィードバックしてもらえたことは、貴重な見直しの機会になったと感謝しています。
第三者からの評価を受ける中、担当者からの質問を通して、「地域を大事にする」と言っていながら、最も身近な地域の町会とのお付き合いが出来ていないことや、作成されている各種のマニュアルが棚の奥に仕舞われて、いざという時に活用出来るように、定期的に職員に周知されていなかったこと等、ハッとすることや、気付きや発見が多々ありました。今回、浮き彫りになった課題については、謙虚に耳を傾けて職員と共に地に足をつけて話し合い、改善につなげて行きたいと思っております。

「ぶどうの木」は、他の木がなくとも1本で実をつけ、その「ぶどうの実」は土壌によって数十種の様々な味や色を醸します。子どもたちも、「ぶどうの実久地園」を通して、将来の可能性の彩りが「実」となり、成長して行かれるのですね、と評価機関代表のコメントをいただきました。
私たちは、持続可能なより良い社会の実現に向けて、多様性や包括という概念がキーワードになると思っています。今年も就学に向けて巣立って行く子どもたちがいます。この子どもたちの数十年後が楽しみで仕方ありません。これからも、「ぶどうの実久地園」での子どもたちの乳・幼児期の育ちと学びが「シアワセな未来を創るひと」として、生きる土台になるような保育を職員と共に創って行こう、と気持ちを新たにする機会になったことを改めて感謝しております。

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評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

●理念・基本方針は、法人のホームページや入園のしおり等に明記されています。理念を社会的な存在意義として、保育運営を展開し、保育方針として「一人ひとりを大切にする子ども主体の保育」を掲げ、保育のカタチや実践方法を工夫しています。理念については、職員の行動規範となるよう、法人内の合同研修会(年3回)や様々な学びの機会に周知を図っています。保育の環境構成や保育プロジェクトの考え方、カリキュラムの作成等に理念や基本方針が根幹となるよう取り組んでいます。毎年、年間保育テーマを掲げて、理念や基本方針の最新の課題として提起するようにしています。保護者にも「共育て」の視点で共有していくように、保護者会等を通して発信しています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

●保育ニーズの把握は、保育所の存続や在り方の展望を考えていくために必須と認識しており、川崎市のホームページ・保育関連記事等から、社会福祉事業全体の動向について、具体的に把握し、分析しています。地域における利用者ニーズや動向については、法人内で利用者の保育入所分析をし、地域における他園の動向や行政の動きなど、様々な情報の入手にアンテナを張るようにしています。経営状況・コスト分析等を月次で事務スタッフや税理士と分析し、定期的に毎月開催される法人園長会(ぶどうの会)で報告しています。引き続き、利用者ニーズの把握・分析から事業経営への具体的な改善へとつなげるよう期待いたします。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

●法人としての目指すべき方向性や組織のコアプロセスを軸に、組織体制・人材育成・情報共有・会議構成など経営的視点での組織運営について、改善に向けての学びと実践に取り組んでいます。毎月開催する「ぶどうの会」は、午前は園長対象のリーダーシップ研修等とし、午後からは主任も加わり情報共有会議としています。財務状況も必要な範囲でリーダー層には開示しています。中期的にはリーダー層の育成に投資をしており、各人材の成長や実践力が今後の経営課題の解決のカギになります。職員への周知はまだ限定的であり、課題の解決・改善に向けた対応を組織的に取り組んで行くことを期待します。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

●保育理念や基本方針の実現に向けた目標を明確にし、中・長期的なビジョンや具体的な方策を決め、実施の状況が具体的に示せるようにしています。中・長期計画は、組織の仕組み・人の育成等の改善・整備、財務、事業内容等の構成で策定されています。年度ごとに計画を見直す際に、社会情勢を鑑みてビジョンを立てるようにし、制度改革等にアンテナを張り、健全な経営が進められるようにしています。また、保育業務は数値目標化が難しいものの、定めた事例に関して進捗状況を定期的に確認し、進めています。引き続き、中・長期計画は必要に応じて修正を図りながら進め、次期の中・長期計画に反映するようにしていかれるよう期待いたします。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

●単年度計画は、中・長期計画として策定されている全体的な計画に基づき、実行可能な内容になっています。昨年度の全体の話し合いでの振り返りを踏まえ、今年度は「私たちはこんなチームになる宣言」を作成し、話し合いをベースに皆で創る保育を目標にしています。保育の質と働きやすさの相乗効果を取り組み課題とし、運営の改善に取り組んでいます。子どもの姿ベースのカリキュラムを確立し、園長・副園長・主任の連携したリーダーシップとマネジメントの強化に取り組んでいます。年度中間と年度末に、事業計画の実施状況の評価を組織的に行っています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

●事業計画は、職員の参画や意見の集約・反映の下で策定されています。年度の保育や運営について、個人・各クラス・各グループで書面と会議を通して振り返り、全体の議論の場を経て事業計画として策定しています。実施状況は予め定められた時期・手順に基づいて把握され、評価しています。特に取り組むべき課題や方向性については、様々な話し合いの場を設けることで定着・浸透が図られるよう取り組んでいます。事業計画が計画通り遂行されているか日々の保育の中で確認し、各職員の日常業務の中で疑問や見直しが必要な場合は、話し合い、確認しています。今後も実施状況の把握が組織的に行われ、職員の理解を促していかれることを期待いたします。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

●事業計画の主な内容は、保護者等に周知しています。法人の理念・基本方針をベースに、毎年、年間保育カリキュラムを活動スケジュールとして立案しています。年度初めの保護者会で、年間の行事計画を分かりやすく作成した資料等で説明・開示しています。また、写真や動画等を活用し、保護者がより理解しやすいような工夫も行っています。例年、保護者会で説明を行い、具体的に行動計画につなげ、行事への協力・参加を促進するための周知を図っていますが、今後、コロナ禍が落ち着いた場合の周知方法も検討していただきたいと思います。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

●保育の質の向上に向け、職員の自己評価や第三者評価の受審に組織的に取り組み、機能しています。法人全体としての保育課題の柱が提案され、法人運営各園での説明・周知の下で取り組んでいます。組織的な取り組みとして、年度末に個人・クラス・グループの振り返りを経て、全体で話し合いの場を設け、保育の振り返りを行っています。抽出された課題を次年度に向けての改善や充実させる計画を立て、中間で見直しを図っています。保育の課題として、よりオープンでフラットなチーム作りや子どもの姿ベースのカリキュラム立案の定着、人権視点での保育の見直し等に取り組んでいます。今年度、第三者評価を受審し、その結果を全職員で共有し、課題等がある場合は解決のための取り組みを行う予定です。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

●会議等で、評価結果を公表し、全職員で共有しています。年度末での全体会議で、年間の保育や運営について話し合い、課題の掘り起こしや抽出されたものを次年度に取り組むテーマとして明確にしています。課題を整理し、期限を設けて解決・改善に取り組み、園として保育の質の向上にも努めています。職員間でも取り組むべき課題を共有化し、園長が中心になり全職員で改善に取り組んでいます。また、毎年度末・行事実施後に保護者アンケートや職員自己評価シートによる評価を実施し、その結果を分析・検討することで、保育の質の向上に努めています。時間を要する課題は、別途、計画を立てて取り組み、改善の努力を継続していただきたいと思います。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

●園長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し、理解を図っています。質の高い保育の在り方や一つのチームになるための方向性を描き、職員に明確に示すことが大きな役割と責任だと理解しています。そのために進むべき方向や課題について、話し合いや学びの場等で職員に伝え、保護者にも直接あるいは書面で所信を機会あるごとに伝えています。園長は、運営に関する全てを把握し、その役割と権限について会議や研修で職員に表明しています。園長は、平常時のみならず有事における役割と責任も職員に表明し、不在時の有事の代行責任を副園長・主任が担うことを明確にし、職員は認識しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●園長は、遵守すべき法令等や保育園の理念・基本方針・諸規定を十分に理解し、社会ルールや倫理に基づき、職員に職員会議等で周知・徹底しています。園長は、遵守すべき法令等の正しい理解は、園を運営するにあたって重要であるが多肢に亘ると考えています。法人税理士・社労士等の専門的な知見を得ながら、利害関係者との適正な関係や職員の服務・権利についても学びつつ、必要な改善にも取り組んでいます。園長は、保育園をとりまく社会情勢や環境の変化等を考慮し、法人全体で持続可能な社会を創ることを目指し、かながわSDGsパートナーにも登録し、職員・子ども・保護者が一丸となって取り組んでいます。今後、現在作成中の人権チェックリストの活用も期待したいと思います。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

●園長は、理念や基本方針を具体化する観点から、保育の質の維持・向上に関する課題を把握し、改善に向けた取り組みを行っています。保育の質を向上するために、日常の保育についての振り返り作業を怠らず、保育関連の情報を発信しています。園長として、保育の質の向上は使命であると認識しており、理念や方針の職員への意識と自覚の浸透をあらゆる形で実行しています。副園長・主任・フロアリーダーを軸にパート職員のスタッフまで、保育の理念や考え方を伝えるように努力を続けています。職員からの意見・要望に耳を傾けるための対話や、個人面談の機会を設ける等、話し合いや内外の学ぶ機会の提供も行っています。引き続き日頃のコミュニケーションに加え、職員との個人面談の機会を増やしていかれることを期待いたします。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

●園長は、経営の改善や業務の実効性を高める取り組みに指導力を発揮しています。顧問である税理士との定例の月例報告を踏まえ、園の財務状況を把握・分析しています。社労士と連携し、就業規則等の必要に応じた見直し・改善に努めています。人事については法人人事担当と連携して、適正な人材確保を行っています。職場はオープンでフラットな体制であり、保育の質の向上や合理的で効率の高い運営を進めるための具体的な取り組みを行っています。職員により良いチーム作りの方針を提示し、全員で業務の実効性を高めるための課題の抽出を行っています。非常勤職員も含めたシフトの作成により、職員の負担軽減・残業軽減にも努めています。引き続き、職員の声を聞き、経営の改善や業務の実効性を高める取り組みを期待します。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

●必要な福祉人材や人員体制に関する基本的な考え方や、福祉人材の確保と育成に関する方針が確立しています。法人に専従の人事担当を配置し、法人系列各園の園長を軸に編成した人材確保チームと定期的に情報共有を図り、必要な人材確保に取り組んでいます。ホームページやSNSの充実を図り、発信力の強化にも取り組んでいます。今年度は、園長研修の充実や法人内の合同研修会、外部研修への参加奨励等、職員の学びの機会を提供することで育成を図っています。職員配置を十分にし、職員への家賃補助等、働きやすい環境を構築することで職員の定着率が高くなっています。さらに育成の充実を図るために、OJT等の見直しにも期待いたします。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

●保育士として必要なスキルや自己管理能力等、毎年、会議等で保育園の理念、基本方針に基づく「期待する職員像等」を明確にしています。職員のキャリア支援や職員からの意向・意見を把握し、評価・分析を行い改善できることがあれば実施しています。職員が必要としているキャリアアップのための研修や資格試験のための費用は、園で補助しています。職員の専門性や成長を評価し、納得できる評価制度を構築することで、職員が自らの将来の姿を描くことができるような総合的な仕組み作りが今後の課題となると思われます。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

●職員の有給休暇や時間外労働のデータを毎月必ず確認する等、職員の就業状況を把握し、業務時間の平準化につなげています。職員の都合や事情による働き方への要望・提案はオープンに受け止め、シフトはワーク・ライフ・バランスに配慮して作成しています。結婚・出産・育休、復帰のサポートは職員全体の理解度も高く、サポートの仕組みは充実しています。多様な価値観や働き方に配慮するため、一人ひとりの意向や声を聴く信頼関係の構築に努め、日常の気配りや対話をベースに全職員と個別面談を実施しています。引き続き、職員の悩みや相談を受け、仕事上の悩みや困っていることがあればいつでも相談できる職場作りに取り組んでいただきたいと思います。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●保育士として必要なスキルや自己管理能力などの「期待する職員像等」を明確にし、職員一人ひとりの目標管理のための仕組みが構築されています。職員一人ひとりの業務推進の観察や情報に基づき、声かけや適切なアドバイスに努め、年度当初に目標設定シートを提出してもらい、個別面談を実施しています。また、教育的プログラム「セカンドステップ」を実施し、対人関係スキルの向上に取り組んでいます。園の目標や方針を徹底し、日頃のコミュニケーションにより職員一人ひとりの目標が明確にされていますが、定期的な個別面談の実施により、目標達成度の確認も行っていただきたいと思います。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

●園が目指す保育を実施するため「期待する職員像等」が定められ、入職時に配布する「新任スタッフ心構え」にも明確にしています。職員のキャリアや役割により内容は違いますが、職員に必要とされる専門技術や専門資格を明示し、それに沿って年間の研修計画が策定されています。今年度は、保育園運営の中核を担う園長・主任などのリーダー層に対して、「七つの習慣」をベースとした研修を実施しています。学びたい意欲のある職員に対して、内外の学びの機会は積極的に提供しています。研修後は研修報告書を作成し、園長に提出することで理解度の確認をし、研修報告書は全職員が情報共有できるようにしています。引き続き、研修計画の内容やカリキュラムも定期的に見直しを行い職員の資質向上に努めていただきたいと思います。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

●個別の職員の知識・技術水準・専門資格の取得状況等は、園長が把握しています。保育の質的な向上と運営の改善のため、今年度は、園長・主任などのリーダー層に対して、能力×人間力をコンセプトにした「七つの習慣」をベースに研修を実施しています。また、職員一人ひとりが人間として成長するための「七つの習慣」のWeb研修も開始しています。保育と連動した保護者支援や子どもの姿ベースのカリキュラムの導入などの園内研修も実施し、キャリアアップ研修の積極的な支援やWebによる外部研修の視聴など、非常勤職員も含めた全職員が研修に参加できるようになっています。職員の習熟度に配慮したOJTも継続していただきたいと思います。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

●実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成についてのマニュアルが整備され、インターンシップの受け入れ態勢を整えています。実習生等の研修・育成に関する基本姿勢を明文化し、専門職種の特性に配慮したプログラムを用意しています。コロナ禍の中で導入実績が少なく、今年度はベトナムからの留学生のインターン生1名の受け入れ実績になっています。「実習生指導のための研修」を含め、実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、養成校に働きかける等、これからの課題として積極的に取り組んでいく予定です。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

●ホームページやSNS等の活用により、園の理念や基本方針、保育の内容や事業計画等が適切に公開され、積極的に発信しています。また、入園説明会等でも運営内容・書類関係の説明を行っています。今回の第三者評価の受審結果は、透明性を確保するため公表される予定です。苦情・相談の体制や内容に基づく改善・対応の状況について公表し、運営の透明性を確保しています。コロナ禍での地域に向けた発信は大切だと考えており、園の理念・基本方針・活動等を説明したパンフレット等で存在意義や役割を明確にしていく予定です。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

●福祉サービスを提供する主体として公正かつ透明性の高い経営・運営のための取り組みを行っています。保育園の事務・経理・取引等に関するルールは事務職員の話し合いで定期的にチェック・見直しを行い、職務分掌、権限・責任等を明確にし、職員に周知しています。財務においては顧問の外部税理士等、専門家から監査支援を受け、そのアドバイスにより経営改善を実施しています。川崎市の行政監査は年1回実施され、その都度改善を行っています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●子どもが地域の人々と交流を持つことは大切な取り組みテーマと考えています。子どもが地域活動に参加するように心がけていますが、コロナ禍の中で、機会が減っています。以前は地域の高齢者施設と交流をしていましたが、現在はコロナ禍のため実施していません。地域の家庭を対象に交流の場「子育てサロン」を企画していますが、制限を継続しています。毎日午前中に行う外遊び(散歩)時には、地域の方と挨拶をする等、交流を図るようにしています。今後、子どもの個別的状況に配慮しつつ、自治会等との交流の機会を定期的に設ける等、取り組みに期待します。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

●ボランティア活動は地域社会と保育園をつなぐ柱の一つとして考えており、大切な交流と位置付けています。ボランティア受け入れに関する基本姿勢を明確にしていますが、コロナ感染拡大により大幅な制約になっています。地域の小学校の職場見学・中学校の職場体験・高校生のインターンシップ等が想定されますが、コロナ禍の中で少なくなっています。地域の読み聞かせボランティアも活動を休止し、昨年までいた卒園生中心の4名のボランティア活動も休止のままになっています。コロナの影響が少なくなった場合の体制整備を期待します。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

●当該地域の関係機関・団体について、個々の子ども・保護者の状況に対応できる社会資源を明示したリストを作成し、常に連絡が取れるよう努めています。「高津区地域見守り支援センター」、「多摩区地域見守り支援センター」と密に連絡を取っています。特に、家庭での虐待等権利侵害が疑われる子どもへの対応については、速やかに行政や川崎市中部児童相談所へ連絡が取れる体制を整え、必要に応じて情報を職員会議で共有しています。また「川崎中央療育センター」との連携により、発達に特性のある子どもや家庭への支援・サポートを行っています。引き続き、共通の問題に対して解決に向けて関係機関と協働して具体的な取り組みを行っていただきたいと思います。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

●関係機関や民生委員・児童委員との意見交換や交流の場を通じ、変化していく地域の福祉ニーズや生活課題等の把握に努めていますが、現在、コロナ禍の中でこうした機会が制約されています。コロナ禍収束後は再開されることを期待します。法人では「ぶどうの木子育て支援事業部会」を設置し、多様な相談に応じる体制を整えています。地域で連携している子育て支えあいネットワーク「満」(地域で子育て支援を展開するNPO)からの支援ケースの相談も受け、保育園の専門的な知識・技術の情報を地域に提供しています。入園希望の保護者から、福祉ニーズを把握し、実際の支援につなげています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

●地域資源の一つとしての立場を意識して、園としてできこと・やるべきことに取り組んでいます。法人では3つの事業部会があり、「子育て支援部会」では全ての家庭が支援の対象であり、「ぶどうピース活動部会」では当たり前に誰かの役に立つ活動を行い、「マオポポ活動部会」では発達が気になる子ども等への支援を行っています。積極的に保育園の存在をアピールし、地域の福祉ニーズに基づく活動に取り組んでいます。防災については、災害時の備蓄や対応ノウハウがあり、地域に対しても支援できる準備をしています。引き続き、地域の子ども育成支援や地域コミュニティの活性化に取り組んで行かれることを期待します。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●理念や基本方針に、子どもを尊重した保育の実施について明示し、職員が共通の理解を持つよう取り組んでいます。保育目標を「一人ひとりを大切にする子ども主体の保育」と掲げ、「みんながちがって、みんないい」という多様性やインクルーシブな保育実践を行っています。子どもの姿ベースの保育カリキュラムの導入や人権チェックリストの作成等を通して、子どもを尊重した保育実践の構築に取り組んでいます。また、相互の理解・問題解決力・感情の取り扱いワークショップで学ぶセカンドステップを幼児教育に導入しています。園では、海外(ネパール・フィリピン・スリランカ)の里子3名に支援を行い、多様な文化を学ぶ機会を提供しています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:a】

●プライバシー保護について、子どもの権利擁護に関する姿勢・責務等を明記した規程・マニュアルを整備しています。職員は入職時に個人情報に関する説明を受け、プライバシー保護に関する誓約書に署名しています。ホームページ・SNS等での写真の掲載は、入園時に保護者から同意を得、さらに使用する際にも承諾をもらっています。SNSの掲載は自主規制をし、個人の特定ができないようにしています。一人ひとりの子どもにとって、生活の場に相応しい快適な環境を提供しています。オムツ交換等はトイレ内で行い、着替えは密にならないようプライバシーに配慮した対応を行っています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

●利用希望者が保育園を選択するために必要な情報は、ホームページに掲載し、理念や基本方針・保育の内容・園の特色等を紹介し、最近はSNSのインスタグラムに園の取り組みの様子を掲載し、配信しています。設備の概要等に加え、職員体制・保護者に説明すべき事項等を記載した重要事項説明書や、保育園選択に必要な情報も提供しています。入園希望者については月2回午前中(園児の散歩時)に、園長が中心に対応し、理念・基本方針や保育内容について詳細に説明しています。また、コロナ禍の中でも園見学は継続実施し、後日の質問にも対応しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

●保育の開始及び保育内容の変更時の説明と同意については、保護者の意向を念頭に置いて、できる範囲で配慮し、個別対応しています。入園時に取り交わす重要事項説明書を基に、職員体制・利用にあたっての留意事項・緊急時の対応等、保護者に説明すべきことをわかりやすく説明しています。入園後に大幅な変更をする場合は、再度重要事項説明書を取り交わします。保育内容が変更される場合は、保護者が理解しやすい工夫や配慮を行い、担任が説明を行います。入園のしおり等で確認しながら、準備物の説明もしています。特に、配慮が必要な保護者へは、適切な説明のために絵や図を活用するよう工夫して取り組んでいます。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

●保育園等の変更において、子どもへの保育の継続性を損なわないよう配慮した対応をしています。中途での転園時等、ケースごとに必要性を検討して対応を行っています。小学校就学時に支援が必要と判断した場合は、直接当該学校に説明し、引き継ぎを行っています。卒園後のケアが必要な場合は、関係機関と連携し、継続した支援や見守りができるよう取り組み、また、卒園児に園のイベントの招待状を送るケースもあります。卒園後いつでも相談を受けられる体制ですが、保育所の変更に対応した手順を確認し、保護者との信頼関係をベースに、今後も子どもや保護者が相談できるよう、文書化を期待いたします。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●「一人ひとりを大切にする子ども主体の保育」を目標に、子どもを善く観る・善く聴くという関わりを大切にし、子どもがどれだけ満足しているかを日頃から把握しています。子どもの満足は日常の保育の中でそれぞれの意見・要望を聞き、解決すべきことがあれば対応しています。保護者の満足度は、年度末・イベント開催時の保護者アンケートの実施や、個別面談で把握しています。アンケートの結果は保護者に公表しています。意見箱の設置やICT(キッズリー)による保護者からの質問・意見にも対応しています。園と保護者・保護者同士の交流の場(ぶどうサークル)を設け、定期的に保育などについて自由に話合いを行い、改善につなげています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

●苦情対応マニュアルがあり、それに基づいて保育園・第三者委員で連携し、対応しています。苦情解決の体制(苦情解決責任者、苦情受付担当者、2名の第三者委員)を整備し、苦情解決の仕組みが確立しています。苦情対応の概要として責任者・担当者・第三者委員の氏名を重要事項説明書に記載し、保護者等に周知しています。苦情が述べやすいように、玄関入口に「意見箱」を設置し、保護者が無記名で苦情を申し出やすいようにしています。苦情内容については、記録を残し、保管して年度末の保護者アンケートの集計報告の際に公表しています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

●保護者が必要に応じて、相談でき意見が述べられる環境作りのため、日頃からの会話・交流の積み上げを大切にしています。また、ICT(キッズリー)利用の連絡帳での情報交換や、送迎時等の声かけで信頼関係を築き、話しやすい雰囲気作りをしています。相談や意見があった場合、園長は保育士からの報告を受け、保護者と話をし、園長が保護者から知り得た情報を保育士と共有しています。最低年1回、保護者と個人面談を行い、意見が述べやすいスペースとして、建物3階の法人本部会議室を活用しています。引き続き、保護者との関係強化を期待します。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

●職員は、日々の保育の提供において、日頃から保護者が相談しやすく意見を述べやすいよう配慮しています。「意見箱」の設置・年度末の保護者アンケートの実施・保護者面談等、保護者の意見を積極的に把握する取り組みを行っています。昨年度は、保護者対応の訓練として全職員が傾聴することを実践し、信頼関係の作り方等、研修にも取り組みました。相談や意見を受けた際の対応を定め、相談・意見の内容は職員間で情報共有をしています。対応・改善が行われる体制も整っており、保護者からの相談・意見は保育の質の向上や運営の改善に生かすよう心がけています。今後、苦情対応マニュアルの整備を行い、組織的に対応できるよう期待します。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

●事故報告マニュアルを整備し、事故発生時の対応方法を明確化しています。事故発生時の対応と安全確保の手順については、園長・看護師中心の責任体制を職員に周知しています。事故後提出されたアクシデントレポート・事故報告書で状況の分析と原因究明を行い、再発防止に努めています。毎月の避難訓練時に、「安全点検チェックリスト」によるチェックを行い、危険箇所等の発見・改善に生かしています。今年度は、園舎のある4階から1階までの内階段に手すりを設置し、子どもの安心・安全につなげています。引き続き、ヒヤリハットの分析も含め、安全確保・事故防止のため、全職員が同一の判断ができるよう取り組みに期待いたします。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●国が策定した「保育所における感染症対策ガイドライン」に則り、感染症の発生時、または蔓延しないように、衛生管理を適切に実施すると共に、感染症の予防に努めています。法人全体で系列各園の看護師を中心とした「保健部会」が活動しており、責任と役割を明確にした管理体制を整備し、感染症の蔓延防止に努めています。子どもが手に触れる棚・机・椅子・玩具等、毎日清掃・消毒し、安全確保に努めています。新型コロナ感染症対策として、検温はもとより、室内換気・手指消毒・うがい等、徹底した予防に努め、保護者の家庭での健康チェックの報告も定着しています。また、感染症予防対策の一環・衛生環境の配慮として、ジアイーノ(次亜塩素酸水噴霧器)を導入しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

●法人として防災対策のための「検討チーム」(防災委員会)を設け、組織的な取り組みを継続し、災害時の対応体制を決めています。幼児年長児には、防災教育を実施しています。非常災害時の関係機関への通報及び連携体制を整備し、毎月1回の通報・消火・避難訓練を実施しています。訓練は記録に残し、次回訓練に反映させており、定期的に消防署指導による訓練も実施しています。引き取り訓練時には、シェイクアウト訓練(一斉防災訓練)を行っています。災害時には保護者・子ども・職員の安否確認を「安心伝言板」の掲示板サイトを活用します。食料・ミルク・水やオムツ等、備品類の備蓄をしており、備蓄についてはチェックリストの作成と記録により、定期的に管理をしています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:b】

●法人全体の保育の柱として全体計画があり、毎年の年間保育テーマが提示され、年間カリキュラムをクラスごとに立案し、実践していく実施方法が確立しています。目の前の子どもの姿を日々の保育の様子から捉えた「子どもの姿ベース」の指導計画の方法を導入し、合同研修会で学び合う機会を設けています。子どもの姿ベースは、「させる、こうする」という保育でなく、常に目の前の子どもを善く観る・善く聴くという姿勢が求められるのであり、保育実践が画一的になったものになっていません。また、子どもの主体を尊重する保育方針により、子どもの権利擁護に立脚した保育が実践できています。さらに、標準的な実施方法が保育に提供されているか、定期的な確認を期待します。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

●理念や保育の考え方を視点に、保育実践の振り返りのために全職員が参加する会議を、年度末と年度中間に設けています。園全体の提案・検討・すり合わせを通して、年間カリキュラムは期ごとに、月案はカリキュラム会議で検証・見直しが定期的に行われています。また、子どもが必要とする保育内容の変化や新たな知識・技術等の導入で見直しが必要であると認識しています。その時々で起こった問題や社会情勢、子どもたちに関する事情が変化する度、また、職員や保護者から意見・提案があった場合は、速やかに検証・見直しを行います。検証・見直しに当たり、指導計画の内容が必要に応じて反映されますが、継続的な取り組みを期待します。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:a】

●指導計画は各クラスの担任が作成し、主任がチェックを行い、園長が確認し、適切に指導しています。保育所保育指針の改定があった場合は、その都度、「全体的な計画」の見直しを行っています。子どものあるべき姿や発達過程に照らして検証・評価を行い、次の保育に生かしています。年長児が自分たちの街で働くことを目指すプロジェクト(まちをつくっちゃおうプロジェクト)も検証・評価の視点でアセスメントの取り組みとしています。全体計画に基づく指導計画や個別の指導計画も子どもたちの育ちの「見立て」として立案しています。保護者との面談については、園と共に子どもの育ちを考える場にし、支援困難ケースは適切なアセスメント「見立て」をベースに継続した支援を大切にしています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

●保育所保育指針に基づいて指導計画が作成されています。指導計画の全体的な評価・見直しは年度末や中間での会議で行っています。職員は、書面で個別・クラスの評価・見直しを行い、対話によりクラス単位で話し合っています。計画の変更は、子どもの姿をベースに修正を行い、会議で周知・確認をしています。年度末・中間の全体会議では、保育の質の向上に関わる課題・運営上の課題等も明確にしています。指導計画の内容は、保護者会等で保護者に公表し、保護者の意向把握と同意を得るための手順を、組織的な仕組みを定めて実施しています。評価結果は次期指導計画作成に生かしています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

●カリキュラムの記録以外に、子どもの発達状況や生活状況等は、乳児は個別の月案に対応して記録しています。また、3歳児は年3回、4・5歳児は年2回、成長の記録として作成しています。ICT(キッズリー)による保護者への連絡帳(配信記録)の記録内容や、書き方に差異が生じないよう研修等で指導しています。客観的で簡潔な記録・記載の経験は、業務の効率化にもつながっています。保育に関する記録はクラウド上で園長・職員が確認できます。「報連相ノート」やLINEの活用に加え、コンピューターネットワークや共通フォルダーを通じて、園内で情報を共有する仕組みが整備されています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

●個人情報保護管理規定により、子どもの記録の保管場所・保存期間・廃棄の方法に関する規定を定めています。子どもの記録類については法定保管年数が定められており、基本的には法定年数を遵守するようにしています。個人情報に関しては不適切な利用、漏洩がないことを入園時に重要事項説明書で説明し、保護者から書面で同意をもらっています。子どもの記録は、鍵のかかる書棚で管理及び保管を行い、園長・主任等の管理層が責任管理し、職員が使用する際には必ず了解・許可を得る仕組みになっています。その扱いについては職員に周知徹底を図っています。パソコン内の記録ファイル等の管理も今後検討していく予定です。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:b】

●「全体的な計画」は保育園での生活を通して総合的に展開されるもので、保育理念「シアワセな未来を創るひとを育てる」を目的として、一人ひとりを大切にする子ども主体の保育を目標に、法人独自の様式で編成しています。児童憲章や保育所保育指針等の趣旨を捉え、保育理念・保育方針・保育目標や発達過程の実態等を考慮して作成しています。保育は専門性を有する職員が養護・教育・食育等を一体的に行っています。また、子どもの保育目標を「0歳~1歳半・1歳半~3歳・3歳~6歳」に分けて、成長の段階に合わせた保育に配慮しています。「全体的な計画」は年度末に評価を行い、次年度の編成に生かしていますが、評価・見直しの継続を期待します。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:a】

●保育室の温度・湿度・採光等の環境は、「安全点検チェックリスト」を基に常に適切な状態に保持しています。換気については排煙窓を開ける等、工夫しています。乳児用のスペースは、床暖房になっています。毎日保育室の柵や玩具等、子どもが触れる箇所は消毒・清掃を行い、生活に相応しい場として清潔・安全な環境になっており、ジアイーノ(次亜塩素酸空間除菌脱臭機)・空気清浄機の設置や、玩具専用の殺菌庫の導入等、衛生管理に努めています。また、昼寝コットの使用で睡眠時も衛生的で、シーツ等の衛生管理にも努めています。トイレは明るく清潔で、発達過程を踏まえた安全な工夫が成され、子どもが利用しやすい設備になっています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

●子どもがありのままに受け止められ、理解され、支援される関係を積み重ねることが重要だと考え、保育を実践しています。年齢に縛られず、発達に応じたグループ分けをする等、個人差を十分に把握し、尊重した保育を行い、保育方針「勇気づけ・裁かない・見守る」に基づいた保育を実践しています。また、子どもの気持ちの傾聴や寄り添い、代弁・共感を大切にして、表現することを促し、表現が十分でない子どもには寄り添い、気持ちを汲んであげる等、関わりを大切にしています。子どもの発達に合った保育をするために、過度な期待をせず、気持ちに沿いながら保育に当たり、成功体験を増やし、褒めていくことで子どもたちの自信につながることを大切にしています。急かす言葉・制止させる言葉を不必要に用いないようにし、子どもの気持ちを大切にした保育の実践に努めています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:b】

●子ども一人ひとりに寄り添い、子どもたちのことを第一に考えた保育を実践しています。子どもが自分でやろうとする気持ちを育み、自分のできることの達成感や自信が持てるよう援助し、健康で安全な生活に必要な生活習慣を身に付けることができるよう取り組んでいます。意欲を育むことを大切にし、一人ひとりの子どもの主体性を尊重しています。トイレへの誘導は、その子の状態に合わせて声かけを行う等、一人ひとりの成長に応じた対応・支援を行っています。外遊び(散歩)時は、安全に配慮しながら危険な箇所はチェック表で情報共有を図り、子どもの主体性を尊重して援助しています。引き続き、家庭と連携を図り、規則正しい生活習慣が身につくよう援助を期待いたします。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

●子どもが自主的・自発的に生活と遊びができる環境を整備し、自発性を発揮できるよう援助しています。園庭を有していないため、身体を動かすことができるよう外遊び(散歩)を重視し、多くの時間を確保しています。散歩コースは22程度あり、自然と触れ合う機会が多く、コースは子どもが主体的に決め、小旅行のようなワクワク感があります。散歩時には地域の方と挨拶することで交流を図り、交通ルールを学ぶ等の経験ができています。子ども自ら「したい」ことを「できる」ための方法を自発的に考え、自主的に達成していくよう、毎朝、「プランボード」で遊びを選択・決定しています。「まちをつくっちゃおうプロジェクト」では、子どもたちの育ちと学びの体験ができるよう取り組んでいます。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●安心して生活できるスペースで、一人ひとりの生活リズムを大切にしつつ、保護者との密な連携を重要視しています。固定した職員が担当し、子どもの発達の姿を共有して保育計画を作り、実施しています。子ども一人ひとりの活動が保証され、温かく見守られながら安心できる環境の中で、遊び・食事・休息を通じて集団生活を過ごしています。家庭との連絡は、連絡帳(キッズリー)での情報に加え、送迎時に対面で個々の様子を聞き、子どもを真ん中にした「共育て」を意識した信頼関係作りに努めています。0歳児は発達が著しく、個人差が大きい時期であり、職員及び嘱託医と連携し、子どもの状況に応じた保育を行っており、家庭との連携も密にしています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●養護と教育の一体的な展開の基礎を作る時期と捉え、一人ひとりの子どもの状況に応じて、子どもが自分の力で取り組もうとする気持ちを尊重しています。自我の芽生えと自己主張が始まり、一人ひとりの活動から集団の活動へ移行する中で、自ら意欲的に様々な活動に取り組み、健やかな心と体を育んでいます。子どものやりたいことを尊重し、自らが育つ力を信じ、見守りと抱擁・寄り添いを大切にすることを共有しています。そして、生活習慣の自立や言葉の理解等を学びます。生活の中で子どもができることには、なるべく手を出さず、自発的な活動を促すよう心がけています。3歳未満児は、様々な遊びを始める時期であり、事故防止にも努め、家庭とは送迎時に声かけを行い、情報を共有するよう配慮しています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●3歳以上児の保育は、健康・人間関係・環境・言葉・表現を身に付け、園の教育が小学校以降の生活につながるよう計画しています。3歳児は集団の中で遊びを中心とした興味・関心のある活動をし、4歳児の保育では集団の中で自分の力を発揮することを狙いとして遊びや活動に取り組んでいます。5歳児の保育は、集団の中で一人ひとりの個性を生かし、友達と協力して一つのことやり遂げる活動を行い、「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」についても身に付けています。異年齢(3・4・5歳)グループ(トリオ)を中心に「ごちゃどば(異年齢)」で育ち合う保育にも取り組んでいます。活動の趣旨や取り組んだものを写真や動画(キッズリー)で保護者に発信し、小学校には就学前に保育所児童保育要録で伝えています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●障害のある子どもの状況に配慮した個別の指導計画を作成し、安心して生活ができる環境を整備する等、保育の内容や方法に配慮しています。年齢で分けずに発達に応じたグループ分けをし、子どもの状況と成長に応じた保育を行っており、子ども同士の関わりに配慮して共に成長できるよう援助しています。職員は視覚優位児童の対応等の研修を受講し、必要な知識・技術を習得し、必要に応じて医療機関や専門機関から助言を受けています。高津区との共同事業として地域発達支援相談室「マオポポ」を開設し、障害児の理解を深める取り組みをしていましたが、現在は、大学と連携し、発達に特性がある子どもの理解と支援を深めるための共同研究を通して常に、保護者の不安を取り除けるような声かけをしつつ、家庭と保育園が連携して子どもを育てていくよう配慮しています。障害の診断を受けていないが入園後に発達の課題に気づいた場合は、個別対応で支援します。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●個々の状況に応じて午後はゆったりとした保育に努める等、1日の生活を見通して、その連続性に配慮した子ども主体の計画性を持った取り組みとなっています。異年齢の関わりを大切にし、安全に配慮した環境を整え、子どもの状況に応じて穏やかに過ごせるよう人員配置を配慮しています。延長保育は希望に対応し、保育時間の長い子どもに配慮した食事・おやつの提供を行っています。子どもの状況は常に職員間で情報共有し、職員・保護者で、口頭・SNS・連絡帳等を活用し、連携が取れる体制を構築しています。子どもの状況については、「連絡事項一覧」により職員間で引き継ぎを適切に行っています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

●計画の中に小学校との連携や就学に関する事項があり、それに基づく保育を行っています。小学校以降の生活や学びへとつながる保育内容の工夫を行い、その体制を整備しています。しかし、コロナ禍前は近隣の小学校主催で児童との交流、職員同士の対面での情報交換が行われていましたが、コロナ感染予防の観点から現在は、十分なものになっていません。保護者個別面談では、就学を見据えた保護者の不安や必要に応じて発達面での支援を行う体制があります。担当が保育所児童保育要録を作成し、小学校と情報共有しています。コロナ禍の収束後は交流等の再開が期待されます。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

●川崎市の「健康管理マニュアル」に基づき、一人ひとりの子どもの健康管理を適切に行っています。毎月園内で行う身体測定や、1日1回以上の着替えを行い、必ず全身のチェックを行っています。入園時には必ず保護者にSIDSの説明を行います。午睡チェックではうつぶせ寝を厳しくチェックし、(1歳児5分・1歳児10分・2歳児15分)ごとのブレスチェックを行っています。子どもの体調悪化・ケガ等については、その日の内に連絡帳(キッズリー)・口頭等で保護者に伝えると共に事後の確認をしています。看護師は年間保健指導計画を作成し、毎月保健だよりを保護者に送り、健康に関する方針を伝えています。今後、マニュアルの再確認を期待します。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:b】

●健康診断は、0歳児・1歳児は2ヵ月に1回、3歳以上児は1年に3回、歯科健診は年に1回実施しています。すこやか手帳(健康カード)や歯科健診結果を保護者に知らせ、記録することにより職員間で共有します。特に、歯科健診の結果には、歯磨きの進め方や子どもたちが進んで歯磨きを行うための工夫等を記載し、啓蒙しています。治療の必要な子どもの保護者に対しては、かかりつけ医の受診結果を聞き、職員間で情報を共有しています。手洗い指導を取り入れ、健康診断・歯科健診の結果が家庭での生活に生かされ、保健計画に反映されることで保育に有効になるよう全体で取り組んでいます。引き続き、職員間の情報共有に取り組んでいただきたいと思います。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

●安全かつ適切に保育を提供するために、川崎市の「川崎市健康管理委員会」の指導の基、厚生労働省「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」の内容を理解し、子どもの状況に応じた適切な対応を行っています。医師の指示書を基に保護者が申請し、対応しています。アレルギー対応として、別のテーブルに座り、別トレイを使用し、調理師・保育士でダブルチェックを実施して誤食が無いよう十分注意をしています。また、他児との違いがわからないようよく似た食器(柄の違い)を使用するよう配慮しています。職員は、アレルギー疾患・慢性疾患等について研修を受け、必要な知識・情報を習得しています。さらに、全職員が知識を得るよう機会を設けていかれることを期待します。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

●安全で確かな食材を使った食事を提供し、楽しく食べることを大切にしながら食育に取り組んでいます。食べることは子どもの健やかな心と体を育む元気の源と考え、自園調理による昼給食・おやつの提供をしています。3歳以上児は、子ども自ら米とぎをしたり、盛り付けは幼児の当番制にしています。個人差や食欲に応じて量を加減できるよう工夫し、完食の満足感を経験できるようにしています。食事開始や食べ終わる時間も一斉でなく、また、食べるテーブルや友だちも自分たちで決めています。調理体験では、年長児は包丁が使えることを目標としています。給食メニューを献立配信動画(キッズリー)にアップし、保護者に紹介しています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

●一人ひとりの子どもの発育状況や体調等に合わせた食事の提供をしています。だし汁を基本に和食中心の4週間ごとの献立となっています。食材は信頼できる地元業者から仕入れ、「分つき米(秋田・山形)」や魚介類・季節の野菜等を取り入れ、安全・安心な食事提供に努めています。旬の食材、季節や行事に合わせた献立も取り入れ、食育全体に力を入れています。調理師・栄養士は、子どもの食事の様子を巡回し、感想を聞いたり、残食の調査記録や検食簿をまとめ、献立・調理の工夫に反映しています。「衛生管理マニュアル」を基に、厨房内の衛生管理体制が確立され、衛生管理が適切に行われています。検食サンプルは2週間分保存し、次の献立に反映させています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

●家庭と毎日密な連携を心がけ、キッズリー(個別の連絡帳)や送迎時の声かけで日常的な情報交換を行っています。保護者からの悩み相談や意見がある時は、速やかに園長に報告し、相談内容等を園長と職員とで共有しています。また、「キッズリー」の利用や、献立配信で給食内容の紹介を行い、保育のねらいや保育内容について保護者の理解を得る機会(懇談会・個別面談)を設け、保護者アンケートも実施しています。しかし、今年度はコロナウィルス感染防止のため、保育室への保護者の立ち入りを制限し、保育参加を実施できなかったので、キッズリーやSNS(インスタグラム)等の活用を通して、園の様子を家庭に詳しく伝えていく方法を採用しています。家庭の状況、保護者との情報交換の内容等は必要に応じて記録しています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

●登降園時の対話や、キッズリーによるつぶやき・育児相談等にアンテナを張り、保護者と密に連絡を取り合うことで信頼関係を築き、相談・支援が行える体制が整えられています。送迎時に保護者とのコミュニケーションを取り、職員は「連絡帳の書き方」研修により、連絡帳では具体的な子ども一人ひとりの成長の様子や日々の事項を細かく伝えています。お迎えの時間には、園長を含めた個別面談の機会を設ける等、保護者支援を行っています。相談があった場合には、園長・職員間で報告・連絡・相談を迅速に行います。子育ての悩みや成長についての相談が多く、受けた相談内容は記録に残し、保育に生かしています。保護者の思いや意向・要望・不安や悩み等の相談に対して、全職員が対応できる体制を構築し、安心して子育てができるよう支援しています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:b】

●虐待等権利侵害の兆候を見逃さないよう心がけ、子どもの心身の状態、家庭での養育の状況について把握に努めています。子ども・保護者の言動が気になる場合は職員間で情報共有し、状況の把握をします。親子の些細な変化にも注意する目を持つ「気づき」を大切にしています。毎日必ず着替えを行い、身体のチェックを行い、少しでも疑いのある傾向が見られたら、園・関係機関で速やかに連携する準備ができています。職員は「虐待チェックリスト」で虐待等権利侵害が疑われる子どもの状態や行動等をはじめ、虐待等権利侵害に関する理解を促すための取り組みを行っています。今後、マニュアル整備も含めて職員への研修を期待します。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:a】

●保育士などが記録や職員間の話し合いを通じて、保育の質の向上に向けた自らの保育実践の振り返り(自己評価)を行っています。保育実践は結果だけでなく、子どもの心の育ち・意欲や取り組み姿勢等、過程を大切にし、自己評価を実施しています。年に1回自己評価シートによる評価を実施し、互いの学び合いや意識の向上につなげ、課題があれば一緒に考え、改善に向けて話し合い、保育の質の向上につなげています。自己評価に基づき、保育の改善や専門性の向上に取り組んでいます。研修受講の補助制度があり、職員一人ひとりがより学び、スキルアップの意識の向上につながるよう環境整備に努めています。