社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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アイン松本町保育園

2025年12月01日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 アイン松本町保育園 評価対象サービス 2024~ 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 77(73) 名
所在地 〒221-0841
横浜市神奈川区松本町3-27-8
TEL 045-314-4152 ホームページ https://www.ein-group.com/facility/matsumotocho/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2013年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 中央出版株式会社
職員数
常勤職員:13 名
非常勤職員:8 名
専門職員
保育士:17 名
栄養士:1 名
子育て支援員:2 名
施設・設備の概要
居室:0歳児室
居室:1歳児室
居室:2歳児室
居室:3歳児室
居室:4歳児室
居室:5歳児室
設備:調理室
設備:調乳室
設備:事務室
設備:医務室
設備:乳児用トイレ
設備:幼児用トイレ
設備:エレベーター
設備:園庭

③ 理念・基本方針
<理念>
●法人:みらいを生き抜く力を育てる
●今の子どもたちが大人になる頃、多種多様な社会問題、環境変化を乗り越えないといけない時代です。子どもたちに挑戦する心、諦めない心感謝の心を持ち元気な大人になるための環境を提供します。アイン保育園は愛情を持った「共育」を実施し生きる力と夢を持った子どもを育てます。

<基本方針>
1.安心・安全を第一に考えます
2.子どもと大人が共に学び、成長する
3.利用者、地域のニーズに応える
4.豊かな人間性を持った子どもを育成する

<保育目標>
1.子ども保護者の安心できる環境を提供する
2.自分から好きなあそびをみつけ、楽しくいっぱいあそべる子ども
3.いろいろなものに興味を持ち、意欲的にチャレンジする子ども
4.誰からも愛され、思いやりの心を持った子ども

④ 施設・事業所の特徴的な取組
<アイン松本町保育園の特徴的な取組>
●自由保育
●モンテッソーリ教育
●丁寧な育児を通して、愛着関係を築く
●地域交流(アインフェスの開催等含む)
●5歳児のハローワーク(子どもたちが様々な職業を知る取り組み)

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2025/06/09(契約日) ~2025/11/26(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(2020年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 【アイン松本町保育園の概要】
●アイン松本町保育園(以下、当園という。)は、中央出版株式会社(以下、法人という。) が運営する保育施設です。法人の保育事業本部(以下、本部という。) は、横浜市と名古屋市に事務所を構え、グループ系列園として横浜市に6園、川崎市に3園、名古屋市に3園、長久手市に1園の計13園を運営しています。各園は本部と連携しながら、法人の方針を基盤に、それぞれの園が独自の特色を生かした運営を行っています。当園は、平成29年に法人の保育事業部の第1号園として開設され、現在12年目を迎えています。

●当園では、法人の保育理念である「知・徳・体の『生きる力』を育んでいく」をモットーに、日々の保育活動を展開しています。園名「アイン」には、いくつかの意味が込められています。まず、ドイツ語で「1」を意味する「ein」に由来し、「いちばんの子育てセンター」「いちばん愛される園」を目指すという想いが込められています。次に、「愛+in」という造語から、「愛情を込めて子どもたちと接する」という保育姿勢を表現しています。さらに、ドイツの物理学者アインシュタインの名にちなんで、「教育を実践し、未来を担う子どもたちを育てる」ということも掲げています。

●当園は、東急東横線「反町駅」から徒歩8分という利便性の高い場所に位置し、古くから続く商店街の一角にあります。近隣には国道1号線が通っていますが、周囲は閑静な住宅街に囲まれており、落ち着いた環境の中で保育を行っています。定員は77名で、0歳児から5歳児までの保育を実施しています。園舎は屋上付きの2階建て単独施設で、1階と2階を保育スペースとして活用しています。玄関を入ると、広々としたエントランスが広がり、調理室と事務所が機能的に配置されています。ベビーカーは玄関横の屋内スペースに保管できるため、天候に左右されることなく安心して利用ができます。園長は、当園に赴任して9年目を迎え、3年前に内部昇格により園長に就任しました。豊富な経験と朗らかな人柄を生かし、日々の園運営においてその手腕を発揮しています。

◇特長や今後期待される点
1.【遊びが学びに、学びが力になる、自由保育の取組】
当園では、保育の特徴として「子どもの主体性・自主性を尊重すること」を指針とし、子どもたちの健やかな育ちを支える取組を行っています。子どもたちが自ら遊びや活動を選び、興味を深めながらやり遂げることで達成感を味わえるよう、環境づくりに力を入れています。また、「今、何をすべきか」を自ら認識し、行動に移す力を育むことで、思考力のある子どもへと成長できるよう配慮しています。そのため、当園では設定保育のような画一的な保育は行わず、一人ひとりの個性や興味に寄り添った柔軟な保育を実践しています。このような取組により、子どもたちの自信と責任感を育み、主体的に行動できる力を養うことが期待されます。

2.【一人ひとりの子どもの歩幅で、きめ細やかな保育】
当園では、子どもの習得に関して年齢による一律の判断は行わず、一人ひとりの発達段階に応じて丁寧に進めることを基本としています。また、習得したことが遊びへとつながるような環境づくりにも力を入れています。乳児保育では「育児担当制」を採用しており、担当保育者が1対1で関わることで、愛着関係を築き、信頼感と安心感のある環境の中で、子どもたちの興味や活動が豊かに広がるよう支援しています。さらに、成長に応じて他の保育者との関係性も段階的に築き、社会性の育成にもつなげています。幼児保育では、モンテッソーリ教育を取り入れ、自社オリジナル教材「プルチノ」を活用しています。特に食具の使い方等、生活に必要なスキルの習得に効果的です。こうした取組は、子ども一人ひとりの様子を丁寧に観察しながら進めており、個々に応じたきめ細やかな保育を実践しています。

3.【未来の「じぶん」に出会う学び】
当園では、5歳児を対象に「お仕事探究学習」に取組んでいます。様々な職業に触れることで、子どもたちが自分の興味や才能に気づき、将来の自分について深く考えるきっかけをつくることを目的としています。具体的には、保護者の方にご自身のお仕事を紹介していただく機会を設け、リアリティのある説明を通して職業への理解を深めています。また、地域の商店会のお店やデイサービス施設を訪問し、サービス業の役割や働き方を体験的に学んでいます。さらに、日産の企業見学では、大企業のスケールや仕組みに触れることで、子どもたちの知識の幅を広げ、理解を深める機会となっています。このような取組を通じて、子どもたちが自分の能力や「好きなこと」への関心を高めることは、非常に有意義であり、将来への前向きな意識付けにつながっています。

4.【地域とともに歩み、未来を育む、まちの保育園へ】
当園が所在する神奈川区は、横浜駅に近い都心エリアであり、資産価値の上昇が期待される地域です。人口も横浜市内で第3位と多く、歴史ある商店街の一角に位置する当園は、新旧の住民が共に暮らす多様性のある環境にあります。地域交流にも積極的に取組んでおり、当園主催の「アインフェス」をはじめ、地元のお祭りや七夕の笹飾り、ハロウィン、クリスマス等、様々な行事を通して地域と交流することで、地域との良好な関係を築いています。一方で、園舎の周囲には中層建物が多く、プライバシー保護や騒音への配慮が必要となる環境であるため、保育活動に一定の制約が生じる懸念もあります。今後は、地域に向けた子育て支援や行事への継続的な参加を通じて、地域住民との理解を深め、より強固な信頼関係を築いていくことを期待しています。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
施設名 アイン松本町保育園     
          
≪第三者評価を受審した感想・自己評価での取組の感想≫
園としては二度目の第三者評価となりましたが、職員一人ひとりが園運営について考えたり、保育を振り返ったりする良い機会となりました。

職員間で話し合ったり、担当の方とお話したりする中で、自園の良いところと課題に気付くことができ、励みになると共に改善点も明確になりました。

今回の受審結果を真摯に受け止め、今後の園運営に取組んでいきます。

≪評価後取組んだこととして≫
1.評価内容や利用者アンケートを職員で共有し話し合った。

2.子育て支援の実施。

3.マニュアル見直しや保育の質の向上等、改善に努めるための話し合いや準備を行っている。

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評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

事業理念は「みらいを生き抜く力を育てる」であり、愛情を持った「共育」を実施し、生きる力と夢を持てる子どもを育てることを目指しています。基本方針は、「安心と安全を第一に考える」、「子どもと大人が共に学び、成長する」、「利用者、地域のニーズに応える」、「豊かな人間性を持った子どもを育成する」こととしています。理念・方針は法人系列園で共通となっており、職員に対しては、入職時及び全体的な計画に記載により周知と共に、日々の保育への結びつきを関連付けて説明しています。また、行動規範としての運営マニュアルの配付による周知、年度初に本部の事業部長とのオンラインでの説明により法人の思いは十分に職員へ理解浸透につがなっています。保護者には、パンフレット、ホームページ、重要事項説明書に記載し、入園時に説明を行い、周知しています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

法人では、「横浜市地域福祉保健計画」、「神奈川区地域福祉保健計画」等の行政資料から計画動向を踏まえての人口、子育て世帯の流動状況及び子育て支援等への取組を鑑みています。また、事業状況については年度末に決算向けとして状況を共有しています。これら情報は管理者会議(園長・主任)、園長会議、主任会議で共有し分析及び課題化しています。神奈川県や横浜市の待機児童も漸減化傾向にあり、その対策も中・長ビジョンとして検討しています。さらに、市区の園長会、市の私立園の園長会等で他園の状況、市の動向等を積極的に情報収集し分析・検討しています。横浜市保育ニーズの感触としては商店会等での交流、まちづくり方針等による若者世代が住みやすい町を目指することに係わる変化を把握・分析をしています。今後は、地域向けの子育て支援事業の計画予定を進めることで、地域住民との関わりが深まり、より的確に地域のニーズを把握できるようになることを期待しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

経営課題は本部及び系列園園長と常に共有して検討しています。年度総会での社長挨拶及び本部の事業部長による系列園長会により課題の明確化に努めています。総会には全職員が参加しているため、しっかりと周知が図られています。当園の経営課題である人材育成及び職員定着化としては、業務軽減、職員の話し合い、環境整備の充実であると認識しています。今後は、現場での課題について、法人及び園と協調して取組める仕組みが構築されることを期待しています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

中・長期的なビジョンは、法人及び本部事業部で系列園全体として策定しています。今年度の中・長期的なビジョンは、「保育の質の向上」・「安定運営(質の良い職員の定着、園児充足率)」・「地域に根差した園、地域との連携」・「保護者のニーズに沿った園作り」としています。当園としては、地域の状況を考慮し、運営状況、園児見込み等、事業の進捗を確認し、必要に応じて見直し及び改善を図っています。今後は当園独自の計画も盛り込み、可能であれば当園単独の計画として策定されることを期待しています。より地域や園の実情に即した取組みが進められると期待されます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

単年度の計画については、法人及び事業部で策定された中・長期計画に基づき、事業部による単年度計画、当園の指導計画及び行事計画が整備されています。これらの計画は本部と共有され、適宜進捗状況の確認や振り返り、見直しが行われています。今後は、当園独自の視点やニーズを反映した計画が盛り込まれる、または園単独での計画策定が実現されることで、より柔軟かつ効果的な運営につながることを期待しています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

法人としての事業計画は、年度総会で職員に対して周知が図られています。本部としての単年度事業計画を年度末に振り返り、見直しを実施しています。計画には事業計画と全体的な計画の両方があり、当園で具体的に展開するのは全体的な計画であり、行事計画、重要事項説明書等を振返り、見直しを実施して概ねの職員と共有しています。今後は、業務手順をより明確に整理し、共有及び周知に向けた体制を検討・整備することで、業務の統一的な運用と円滑な連携につながるよう期待されます。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

保護者には重要事項に関する説明において、関係する事業(年間行事計画、全体的な計画、安全計画、運営計画)、で変更される内容について、書面を活用して丁寧に説明しています。必要に応じて補足資料を用いた説明も行い、理解を促しています。説明機会への参加を促進するための取組みについては、参加しやすい環境づくりや工夫を凝らした方法を検討され、より多くの職員が積極的に参加できるようになることを期待しています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

月1回の職員会議、乳児会議、月2回の幼児会議の他、クラス会議、パート会議、給食会議を開催し、振返り・見直し等、組織的に実施しています。これらミーティングをはじめPDCAサイクルは、日々各クラスの保育日誌を振り返り、園長の視点、主任の視点等で複眼的に確認しています。問題の大小に関わらず一連の流れとフォローアップ体制ができています。園長は、タイムリーな指示や指導を通じて、改善事項が立ち消えになることのないよう、迅速な対応を心がけて取組まれています。今後は、系列園との担当者ミーティング等を通じて、情報共有や連携が図られることで、より効果的な運営につながることを期待しています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

当園が取組む課題については、各種会議で明確にしています。自己評価結果、年度末アンケート、行事後の保護者アンケート等は園長が取りまとめ、職員会議にて職員間で共有しています。改善計画については、規模の大きいものは法人全体の計画に取り込み、当園単独で対応可能な改善点については単年度計画に記載し、着実に実施されています。今後は、課題として認識された事項が風化することなく、継続的に取組まれる体制が構築されることを期待しています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

園長以下の業務については「職務分掌表」にて明確にし、各職員に役割について伝えています。保護者に向けては重要事項説明書への記載、説明会ではファシリテーターとしての役割からで園長としての周知及び園だよりの発信等で認知に努めています。今後はパンフレット、ホームページ及び「職務分掌表」への職務内容の具体的な記載、及び「危機管理対応マニュアル」への園長不在時の職務権限委任の記載をされることを期待しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

コンプライアンスの考え方は、単に法令を遵守するだけではなく、市民や社会からの要請に全力で応えていくという姿勢が示されています。園長は、本部と意識合わせを行い、施設長研修、園長会等で研鑽に努めています。また、市または区からの通達及び周知を現行規定・基準に取り込むべく意識を合わせています。必要な情報については都度、職員と共有し保育に生かしています。昨今、個人情報の漏えいが社会的に問題視されていることを踏まえ、今後は職員一人ひとりの情報モラルの向上に向けた取組がさらに強化されることを期待しています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

園長は、全体的な計画を基準に、毎日の保育の様子、職員と子どもとの関わり方等の観察を行い、またクラス会議、保育日誌でも状況を把握し、助言・指導を行い、振り返りを実施しています。職員一人ひとりへの自己評価、人権擁護セルフチェックシートによる振り返りにより課題化を図り、園長との1オン1面談により、相互の意見を尊重した保育運営を心がけています。研鑽の一つとしての研修では、園長は区の園長会、事業部での研修を受講し、職員については職責に応じた研修計画の受講、職員自身が希望する研修、当園として職員自身の課題等における受講の機会を設けています。保護者については、各種アンケートを実施することで視点、意向を把握して保育に生かしています。人的・物的な充足に加え、心的な余裕を持てる業務環境の整備を通じて、保育の質の向上に向けた取組が進められるよう期待しています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

園長は、経営改善、業務の実効性を高めるため、本部と共に、人事・労務・財務等の管理に取組んでいます。また、法人他部門の専門機関と連携して分析し課題改善に努めています。人事・採用については法人の管轄ですが、園内の体制作りは、園運営上、必要不可欠なことと捉え、保育の力量も考慮に入れ、クラス運営が行える体制を目指して配置の検討、決定を行っています。また、有給休暇、休憩の取得のしやすさに努め、働きやすい環境を心がけています。職員定着化という園の課題に対しては、コミュニケーション不足が一因とされており、その改善に向けて、法人独自で開発した「サンキューカード」を活用しながら人間関係の整備に取組んでいます。今後もこうした取組を継続し、職員間の信頼関係の構築と働きやすい職場環境づくりが進められることを期待しています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

必要な福祉人材の確保としては、本部で系列全園を管理しています。職員等の採用計画は、園からの要望と本部の人材管理課や人事部が計画し、新卒及び中途の採用を実施しています。採用は新卒を主軸としています。実習生の受入れや、保育補助員等の非常勤職員については休日等のローテーション等を配慮し、バックアップする体制を整えています。養成学校等には園のパンフレット、求人票を送る、または区民祭りに出展した際に協力していただき関係性と理解を深めています。園長は、園の理念や方針の理解・習熟を深めるとともに、良好な人間関係の構築による職場の安定化を目指しています。また育成方針として、保育士が子どもとの触れ合いや保育活動を通じて、仕事の楽しさや大変さを実感しながら学んでいくことを重視しています。さらに、余裕のある職員配置が保育の質の向上に寄与する重要な要素であることから、今後も継続的に計画的な取組が進められることを期待しています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人として、「運営理念・運営方針」に「期待される職員像」を明確にし、また、HPには「私たちの保育」として園の保育業務について明確にしています。当園の「期待する職員像」については、「穏やかである」、「向上心がある」、「柔軟さがある」ことを大切に考えています。職員との面談では、職員一人ひとりの目標管理である自己評価表で相互に認識・意識を共有しています。園長は、子どもへの関わり方、自分らしさを特に大切に考えて指導しています。また、本部、系列園及び園内の様々な会議に参加し、職員のステップアップの機会を用意しています。今後は、職員階層表に具体的な業務内容を明示することで、当園として職員に期待する役割や責任をより明確に伝えることができ、さらに具体的な評価指標を設けることで、職員が自身の業務を理解しやすくなり、キャリアアップへの意識付けにもつながる仕組みとなることが期待されます。こうした取組について、ぜひ検討いただけると尚良いでしょう。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

園長は、職員一人ひとりの背景を鑑みながら、超過勤務時間や有給休暇取得状況を把握した上で、必要に応じて業務の見直しや超過勤務の削減、休暇取得を促す等、ワーク・ライフ・バランスに配慮した取組を心がけています。毎日の職員の様子、声かけ等コミュニケーションを取ることに配慮し、必要に応じて個別面談を都度実施しています。福利厚生においては、年1回の健康診断の実施やインフルエンザ予防接種等の補助等の他メンタルヘルス、悩み相談窓口のホットラインを用意しています。パート職員に向けても意見を徴収することを目的としてパート会議の開催、スキル向上に向けてのパート研修にも取組んでいます。今後は、クラスや時期、個人によって超過勤務の状況に不均一さが見られることから、職員間での協調・協力体制をさらに強化し、業務の公平性と負担の平準化に向けた取組が進められることを期待しています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

職員とは、自己評価表を踏まえて面談を実施しています。当園としての求める職員像は、面談の機会以外にも本部の総会で伝えています。職員にはセルフチェックシートによる基本的な人権を基本とした業務履行を促しています。また、階層表に各階層の求める責務が明確にされており、職責責務による研修も計画し職員の資質及びスキル向上に取組まれています。今後は、各職員が個々に掲げる目標や貢献したい内容、そして当園が職員に期待する事項について認識を共有するため、評価表等の仕組みを活用し、年度初・年度中・年度末の節目ごとに相互確認を行うことで、取組むべきテーマが明確になり、職員のモチベーション向上につながるよう期待いたします。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

キャリアップ研修、法人系列園での研修を中心に学びの場は多くあり、研修ごとに毎年度振り返りを行い、生きた学びの場となるよう系列園全体での見直しを行っています。キャリアアップ研修については、対象年次においてできる限り参加するよう勧めています。市や区等の案内の研修については、職員に公表し受講を促しています。研修参加は、自由に参加できるようにしていますが、それぞれの経験や習熟度に応じた効果的な成果が得られる研修を推奨し、また、職員自らが受講したい研修についても希望を叶えるよう調整を図っています。今後は、当園として必要かつ責務に応じた研修を階層化し、計画的に受講する体制を整えることで、各職員に求められる職務の概要を階層表に明示し、職員の理解をさらに深めていく仕組みづくりが進められることを期待しています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

職員一人ひとりの資質の向上のため、全体研修、階層別研修や職種別研修等、対象が異なるそれぞれにとって学ぶべき内容での研修を定期的に実施しています。研修は、園内研修、法人系列園内での研修や外部研修等に参加しています。新入社員については、本部によるオリエンテーション研修を2か月単位で社会人としての研修を実施しています。その他、6月に全園職員向けに救命救急研修、または階層別研修(初任者、中堅者、リーダー、管理的職員)を実施して、各々の職責に応じた研修を実施しています。また、法人系列の他園を実際に訪問及び園見学をして研究発表会を実施し、本部で実施する「モンテッソーリメソッド」の教育研修等には積極的に研鑽の機会を設けています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

実習生の受入れは、次世代の福祉人材育成の機会と捉え、積極的に受入れています。受入れは「実習生マニュアル」に沿って実施しています。実習生とは受入承諾書、守秘義務契約を取り交わしています。実習プログラムは、クラス配置、時間等の実習内容を作成し、実習生本人の希望が叶うよう調整しています。実習開始時にはオリエンテーションを行い、本事業の目的等を説明しています。全職員は、実習生に対して人材育成の観点から指導、助言・相談のできる環境と姿勢を持ち、対応する旨を申し合わせています。今後は、実習スケジュールを明確に作成すると共に、職員が指導者研修を受講することで、実習生受入れ事業のさらなる充実が図られることを期待しています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人は非上場株式会社であるので、決算状況等は開示していませんが、税務署への申告、横浜市監査を受け、指摘を受ける事項があれば改善を行い、透明性に努めています。福祉サービス第三者評価については見直し改善に努め、改善状況も公表しています。ホームページでは、法人の活動内容、理念、方針、園の概要、系列園の情報を公開しています。重要事項説明書に苦情・相談の体制、第三者委員についても体制を記載しています。保護者には、入園説明会、重要事項説明会等で詳しく説明して周知を図っています。地域に向けた活動内容、イベント情報、パンフレットは近隣の商業施設に配架、イベントで配布し情報提供を行っています。福祉サービス第三者評価結果は玄関に備え付け、保護者がいつでも閲覧できるようにしています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

各種管理規定は本部で管理・改訂されており、会計経理事務、契約事務は規定に沿って執り行い、管理監督がされています。当園での職務分掌表を整備し、職員に周知しています。また、5年に1回、福祉サービス第三者評価の受審に取組み、必要に応じて法人専門部署とも連携する等、適正化に努めています。内部監査は実施されていませんが、公正かつ透明性の高い経営・運営のための取組が部署横断で実施されています。今後は、職務分掌に具体的な業務内容を追記することで、役割や責任の明確化が図られ、職員間での意識の統一や業務の効率化につながることを期待しています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

地域との基本的な考え方は、全体的な計画、重要事項説明書に記載して取組んでいます。また、自治会、商店会の加入により地域の各種行事(お祭り、クリスマスのサンタ役、地域防災訓練等)に参加及び協力をする等、積極的な関係性があります。同時に当園の行事(アインフェス等)に地域の方に出展していただき、交流を図っています。更に、専門性を生かした育児相談、おむつ交換・授乳の場所を提供しています。さらに、横浜市の取組である「あかちゃんの駅」に協力しています。災害用の備蓄については保管スペースの制限もあり地域配分は対応できていませんが、商店会お散歩マップにお店を紹介したパンフレットを作成して配架しています。今後、地域に向けて子育て支援事業の開始が予定されており、地域住民との交流が広がることで、子育て環境のさらなる充実につながることを期待しています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

ボランティアの受入れは、地域貢献の機会と捉えて取組んでいます。事前にオリエンテーションで注意事項を伝えて受入れを行っています。近隣の中学生等の職業体験を受入れ、今後も学校側等と連携して良好な関係を継続されることを期待しています。今後は、ボランティア受入れに関する要綱及びマニュアルの整備を進めることで、事業の目的や運営方針がより明確になり、円滑な受入れ体制の構築につながることが期待されます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

区こども家庭支援課、地域療育センター、児童相談所、嘱託医、地域の小学校、警察署、消防署等の関係機関についての認識は周知しています。現在、該当児は不在ですが要保護児童のカンファレンス、過去には法人系列園長会でのケーススタディ等では、必要に応じて共有及び連携を図り、共通の問題に対して解決に向けて協働し、情報交換を行う等取組を行っていました。当園では、行事、保護者同士のコミュニティの構築、懇談会の開催等、多様な関係性を大切にしており、今後、更に取組を継続していかれることを期待しています。また、関係機関の電話番号等はリスト化し、事務室等に掲示して直ぐに連絡ができるように整備し職員にも周知されることを期待しています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

情報の収集は、区園長会議、幼保小園長会、年長幼保小連絡会への出席、系列延長会、こども家庭支援課等で地域の動向、情報収集や情報交換を図り、地域の福祉ニーズや生活課題の把握に努めています。園見学も貴重なニーズと位置付け、大切にしています。運営委員会は行事開催時の年2回開催しています。委員は民生委員2名、保護者、職員から構成されています。今後開始が予定されている子育て支援事業が、地域のニーズに即した形で効果的に機能し、子育て家庭への支援が一層充実することを期待しています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

福祉ニーズに基づく公益的な事業活動としては、地域に対して育児・保育相談等、保育ニーズに応える用意はあります。また、社会福祉に関する知識と専門的な福祉サービスを実施するという公益組織であることは広く認識されています。災害時の物的、環境支援については、質量の確保及び未就学児施設であることを鑑みて地域への支援は対応できていません。有事の際における社会資源としての保育園の役割や、生活困窮者への支援については、子育て中の保護者を対象とした「あかちゃんの駅」事業の延長として、実現可能な取組みを一考いただき、検討が進められることを期待しています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

全体的な保育計画及び重要事項説明書には、人権尊重の姿勢を明確に記載しています。入園説明会や重要事項説明会においても、保護者に対してその方針を表明し、理解を得られるよう努めています。日常保育では、常に子どもの思いに耳を傾け、その気持ちに寄り添いながら、自主性を尊重した保育を心がけています。また、保育日誌等を通じて日々の振り返りを行い、保育の質の向上に努めています。「子どもの最善の利益」を職員の共通認識とし、年2回の人権研修や自己評価表、人権擁護チェックシートを活用して、職員一人ひとりが自身の実践を振り返り、理念との乖離がないかを確認しています。神奈川区では近年、外国人住民の比率が高まる傾向にあり、多国籍の保護者や子どもが増加しています。そのため、円滑なコミュニケーションを図るためにも、多言語対応等の取組みが今後ますます重要になると考えられますので取組みに期待いたします。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:b】

子どものプライバシー保護に関しては全体的な計画の保育の社会的責任に記載され共通理解が図られています。常に子どものプライバシーに配慮した対応(オムツ交換・着替え・シャワー、水遊び等)を心がけています。幼児にはプライベートゾーンについての指導や、着替えも男女別にする等配慮しています。また、行事等で撮影した写真や動画の取り扱いに関する注意事項に関して保護者へ周知を図り、プライバシー保護に関する姿勢については重要事項説明書の保育内容に明記しています。更に、行事開催時にも保護者に周知する機会があると尚良いでしょう。今後は、プライバシー保護に関するマニュアルを整備し、時代に順応した内容とすることで、職員の意識統一が図れることを期待しています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

利用希望者に対する保育園選択に必要な情報は、ホームページで施設の概要・保育の内容・園の特色、日々の活動内容等を紹介し、パンフレットを用意しています。園のパンフレットは商店会の店舗等にも配架させてもらい情報を提供しています。園見学の希望者にはパンフレットを活用し園長または主任が園の運営、保育内容、施設及び設備の説明、利用案内等について丁寧に説明を行い、記録も残しています。園見学資料であるパンフレットは毎年、見直しを実施しています。今後は、不動産店舗等への配架を通じて、転入希望者の関心を高めるきっかけとなり、地域への貢献にもつながることが期待されます。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

保育の開始時の説明と同意については、入園時に重要事項説明書を基に、施設及び設備の概要・職員体制・保育計画・保育内容、利用について、留意事項や緊急時の対応等を保護者に分かりやすく説明し、同意を得た上で、その内容を書面に残しています。年度途中での変更については、必要に応じた説明に努め、重要事項説明書の差替え及び承諾書で対応しています。簡易な変更については資料配付及び掲示、連絡メール、口頭で周知しています。多国籍化対応として日本語が理解できる方を介した説明、または資料へはルビを活用して正しく伝わるように取組んでいます。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

転園による引き継ぎに関しては、保育の連続性、継続性については個人情報保護との関係もあり、当園としては未対応としています。また、「保育運営マニュアル」に添付されている「アイン保育園における個人情報保護の方針」によれば「8.個人情報の使用」の項⑤で、「園児名簿や園児連絡先は当園での使用に限定し、それ以外の方から求められてもお知らせしません。」と定めています。お知らせする場合は保護者の依頼により地方自治体経由で行うことになります。卒園後の対応については、子どもや保護者が相談したい旨の連絡を受けた場合には、対応できるよう担当者(園長または主任)として対応しています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

日々の保育の中で子どもの表情、行動、言動等の関わりを観察することで、子どもの興味、発想を職員が大切にし、子どもの成長過程を俯瞰して進展させています。そして「楽しめているか」、「気持ち良く過ごせているか」等も観察し把握するよう努めています。保護者とは面談、行事後及び年度末に実施する保護者アンケート、懇談会での生の声等から、収集した意見・相談等を職員会議で改善・課題として検討しています。送迎時の声かけや会話からの「気付き」も大切にしています。このような活動から「期待される保育園像」として、園長はじめ全職員で思いを一つにして取組んでいます。子ども及び保護者の満足度を把握しながら、安全で楽しい園づくりを目指すためにも、保護者の意向を積極的に取り入れる取組を、今後も継続して進めていかれることが望ましいでしょう。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

苦情解決責任者を園長とし、苦情受付担当者は主任に定めています。第三者委員は3名設置し苦情解決の体制を整備しています。その旨を重要事項説明書に明記し、苦情解決フローを玄関に掲示して保護者に周知しています。また、玄関に意見箱を設置し投函できるようにしています。保護者から寄せられた苦情・相談・意見等は速やかに検討に着手し、申出者に速やかに回答することを心がけています。公表については秘匿性を考慮して現在行っていません。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

保護者が相談や意見を述べる環境では、対面、電話、文書、意見箱にて随時受付けることを重要事項説明書に明記して案内すると共に、意見箱の設置場所も伝えています。また、苦情相談窓口については重要事項説明書に記載し玄関に備え置きし、流れについては事務所入り口に掲示して共に周知を図っています。保護者へは、日頃から連絡帳での情報交換や送迎時等の声かけで信頼関係を築き、話しやすい雰囲気作りを心がけています。相談や意見を受けた場合は、保育士は園長に報告し、保護者から知り得た情報を職員間で共有して改善につなげています。保護者の様子や相談内容に応じて、受けた職員の他、担任、主任、園長が同席する等、適切に対応しています。子どもへの対応、引き継ぎが必要な相談内容、長期に亘る内容に関しては、申出者へ進捗の報告を行っています。現在、職員休憩室を個別面談の場として活用していますが、面談時にはプライバシーに十分配慮した環境を整え、安心して話せる場づくりに努めています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

職員は、保護者と良好な関係を築くよう、送迎時の会話、傾聴を大切にしています。送迎時には積極的に子どもの様子を保護者と伝え合う等、コミュニケーションを図り、意見・相談が述べやすいよう配慮しています。保護者からの相談や意見を受けた場合は、職員個人の判断で返答するのではなく、園長、主任、担任が助言等を行い、事案内容によっては本部に報告・相談した上で、適切かつ迅速に改善に向けて取組み、園の総意とした改善結果を申出者に伝えるようにしています。相談内容によっては、市・区の協力等の支援を依頼する等で時間を要する場合もあり、経過状況は申出者に説明を行い、理解を得ています。苦情対応に関するマニュアル及びフローは毎年見直しを図り、職員に周知しています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

園長をリスクマネジメントの責任者とし、園長不在時は主任と定め、事故・災害時における訓練を計画的に行っています。防災担当を設置して安全計画(避難訓練、防犯訓練、救急訓練、シミュレーション訓練)、危機管理マニュアル等の見直し、全職員への周知及び職員体制を敷いています。これら安全計画から園内外のハード面の安全点検や保育等ソフト面の安全点検(散歩、遊び、ブレスチェック等)のマニュアルを見直し、ハザードマップの都度見直しと共に、事故報告書での状況分析と原因究明を行い、改善策、再発防止策を検討して実施しています。これらの実施により、職員一人ひとりが振り返り・見直しを図る環境整備に安全の意識の高さが窺われます。施設内設備チェックリストでの管理点検も行っています。研修については、適宜受講し知識を深めています。訓練では、火災・地震の避難、戸外及び不審者対応については時間帯別で行い、保護者参加でも実施しています。また、引取訓練、災害伝言ダイヤルでの安否確認の訓練も実施しています。園内には防犯カメラの設置、セキュリティシステムの導入等、ハード面の充実とハザードマップを考慮した園独自の周辺のリスクマップを掲示して周知しています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

感染症対策ガイドラインに則り、保健・衛生委員会で「健康管理についてのマニュアル」を作成しています。嘔吐処理や衛生管理における手順書やマニュアルを策定し準拠した訓練の実施、また、感染症の予防や発生時における子どもの安全確保に取組んでいます。毎年度、職員は感染症予防研修会等の研修を受講し、園内にてフィードバック研修を行い、知識の共有を図っています。園内での感染症発生時は、速やかに全職員に伝え、蔓延防止策を講じて適切に対応しています。保護者には、個人の特定につながらない範囲で状況を公表して状況及び注意喚起をしています。当園では、子どもの免疫力向上が大きな要因と考え、野菜の摂取量を増やす等、基礎体力の向上を図る取組を行っています。看護師は常駐していませんが、園長が兼務して健康について留意しています。また、本部により月1回の看護師巡回も実施しています。近隣との関係性により窓の開放が制限されているため、十分な換気が困難な状況となっています。そのため、代替手段の検討を通じて、より良い保育環境の整備に取組まれることを期待しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

当園では防災担当及び園長による防災計画・安全計画を作成し、消防署と連携した総合訓練、消防設備点検を実施しています。毎月の消火訓練、通報・点呼・報告の防災訓練等、災害発生を想定して実施しています。実施後には反省点も含め記録に残し、次回の訓練に反映させています。安否確認には連絡メール、災害伝言ダイヤルを利用し、引き取り訓練も実施しています。備蓄品である水や食糧(アレルギー対応食も含む)については、園長がリスト化並びに管理(ローリングストック)を行い、防災担当者が確認及び把握しています。今後予定されている自治会との連携による防災訓練を通じて、地域全体で災害への意識を高め、広域的な視点での対応が図られることを期待しています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:b】

保育の標準的な実施方法については、「保育所の手順書」、「業務マニュアル」及び保育計画を用意しています。園長は、保育日誌、指導計画等を確認すると共に、日々の保育の状況を考察し、標準的な実施方法に基づいた保育が実践されているかを確認しています。標準的で一定水準の保育が実施されているかにについては、各年齢の指導計画の評価欄や保育日誌等で確認し、都度見直しを図り、検討しています。保育計画については、自由保育を基本に画一的な保育ではなく、子ども一人ひとりの興味・関心に考慮して作成し、子どもを主体とした保育に取組んでいます。また、その時々に応じた子どもの姿を受け止め、見直しを図っています。今後は、子どもの人権尊重やプライバシー保護に関する園の姿勢及び関連事項を、重要事項説明書に明記し、公表・周知することで、保護者と意識を共有することができ、より望ましい取組みとなるでしょう。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

標準的な実施方法に関して都度、職員間で話し合い、見直しを行っています。日々の保育内容については、各クラスの指導計画や保育日誌を確認して振り返り、保育内容に反映させています。また、毎年度末には各種マニュアルの検証及び振り返りを職員間で協議し、必要に応じて内容を更新しています。年度末には当園の自己評価を実施し、年間を通した保育の取組や課題について分析・評価を行い、次年度の保育計画に反映させる仕組みを構築しています。今後は、職員、保護者の面談等での意見等を取り入れる仕組みについても検討されることを期待します。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:a】

指導計画は、各クラス担任が全体的な計画を基本に作成し、園長が責任者となって確認しています。年度初めに各クラス担任が年間計画の素案を提案し、ねらいの達成に向けた月間指導計画を展開し、週案ではより具体的に落とし込んだ内容となっています。個別指導計画は、クラス内での振り返りや話し合いを基に、看護士等の見立ても参考にして担当者が作成し、クラス担任や主任が確認し、園長の承認で確定しています。また、給食担当との連携を含め子ども一人ひとりの状況に応じた個別支援計画を適切に作成し、実践し見直しをしています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

指導計画は、子どもの主体性、成長過程を基本に毎年度末に評価・見直しを行い、次の計画の作成につなげています。月間指導計画は、乳児・幼児の各クラス内で振り返り及び意見交換を行い、評価欄に記載して次月の計画作成に生かす等、PDCAサイクルによる継続的な取組を実施しています。個別指導計画は、柔軟に変更や見直しを行い、子どもの発達状況に合わせて適切な保育につなげています。計画の緊急的な変更は、園長主導で行い、全職員に周知を図り、保護者には園だより、クラスだより等で伝え、周知及び理解を促しています。保護者が関係する計画については、丁寧に説明を行い、同意を得られていると認識しています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

子どもの発達、生活状況等については、連絡帳、日誌に記録しています。日々ブリーフィングを実施し、記録を残して出席できない職員とも情報共有をしています。個別指導計画に基づいた保育の実施状況の検証は、保育日誌、個人記録の他、経過記録、月間指導計画で確認できるようにしています。各種データについてはサーバー及び鍵付きキャビネットに管理されています。今後はIT化の促進が見込まれることから、職員のITリテラシー向上を図るための研修の実施や、関連する規程・規約の整備を進められると、より望ましい取組となるでしょう。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

個人情報保護の観点より同じ認識で子どもの記録の管理体制が図られています。個人情報の取り扱いについて保育運営マニュアルに明示し、「アイン保育園における個人情報保護の方針」として定め、職員に周知徹底をしています。標準的な文書保管年限が規定され、適切に保管、廃棄が行われています。個人情報に関する書類等は、鍵付き書庫に保管・管理しています。尚、書類の閲覧場所は原則事務室内としています。全職員対象の個人情報に関する研修は適時本部で実施しています。保護者へは、個人情報の取り扱いについて重要事項説明書に記載し説明の上、同意を得ています。必要に応じて、関係機関と情報共有をしています。また、職員とは守秘義務誓約書を締結し、意識を高めてコンプライアンスに取組んでいます。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画は、児童憲章、保育所保育指針等の趣旨を踏まえ、保育理念、保育方針、保育目標を礎に、当園の特徴、地域の実態等を考慮して園長及び職員で立案して本部で承認して運用しています。その後、各クラスでの指導計画や行事等は全体的な計画に沿って展開しています。全体的な計画の見直しについては期末に園長主導で素案を作成して主任及び各クラス担任で確認して各クラスの指導計画に反映させています。子どもの成長・発達、保護者や地域の実態等については職員会議で話し合い、年度末に評価を行い、次年度の計画に反映させています。子どもの最善の利益を守り、適切な保育の実践、子どもの主体的な活動に向けた話し合いを進めています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:a】

各保育室では、採光・温度・湿度などの環境を空調で適切に管理し、毎朝の衛生チェックを通じて、子どもたちが快適に過ごせるよう努めています。アフターコロナにおいても、保育室内や玩具等、子どもたちが触れる箇所の衛生管理を徹底し、保育士が主導してこまめな消毒や手指衛生等の感染症予防対策に取組んでいます。乳児に対しては、手指衛生を基本とし、玩具の消毒・清掃、トイレやおむつ交換時のマットの消毒等、より細やかな衛生管理を行っています。安全面では、日々の目視による確認に加え、週に一度チェックリストを用いた点検を実施し、子どもたちが安心して過ごせる環境づくりに配慮しています。子どもたちがのびのびと活動できるよう戸外活動も積極的に取り入れたいと考えていますが、近年の気候状況を踏まえ、活動内容には制限が生じることもあります。保育室内ではコーナー保育を採用し、子どもたちが自ら遊びを選び、主体的に活動できるよう工夫しています。保育士は立ち位置を工夫しながら、子どもたちの様子を見守る姿勢を大切にしています。使用する玩具は、子どもたちの自由な発想を促す無機質な素材を中心に選定しています。給食は時間帯を設け、子どもたちが自分のペースで食事を楽しめるよう配慮しています。幼児クラスではビュッフェ形式を採用し、主菜・副菜の量や内容を自分で選んで盛り付けることで、自己裁量を育んでいます。乳児には保育士が1対1で対応し、安心して食事ができる環境を整えています。睡眠についても、食事と空間を分け、子どもたちが自分のタイミングで布団に横になれるよう配慮しています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:b】

入園時の保護者面談では、一人ひとりの子どもの発達状況や家庭での過ごし方等を丁寧に聞き取り、個人差に十分配慮した保育が行えるよう、全職員で情報を共有しています。その情報を下に保育内容を見直しながら、より良い保育の実現に取組んでいます。子どもの欲求への理解、寄り添い方、声かけの方法、支援の仕方、達成感の育み等については、職員間で意見交換を行い、日々の保育に反映させています。乳児保育では育児担当制を導入し、言葉が未発達な時期でも子どもの思いを汲み取り、代弁したりスキンシップを通じて応答的な関わりを大切にしています。その後は「何をすればよいか」を丁寧に伝え、子どもの主体性を育む支援を行っています。幼児保育では、「規律の中での自由」を基本とし、自分で考えて行動できる力を育てることを目指しています。保育士は子どもの成長段階を観察し、状況を職員間で共有することで、より適切な支援につなげています。子どもへの言動や対応、援助の方法については、人権擁護チェックシートを活用して気づきを促し、園長による現場指導や事業部での研修、系列園職員との学び合いを通じて、園としての統一した認識を深めています。保育士は、子どもに分かりやすい言葉遣いを心がけ、否定的な言葉を使わないこと、自己満足に陥らない保育を行うこと等を日々意識して保育に当たっています。また、子どもの主体性を大切にし、自分で考える習慣を育てるために「自由保育」形式を取り入れています。保育士は先回りせず、見守る姿勢を大切にしながら、子どもの自立を促しています。今後も、子どもを制止するような言葉を使わないよう配慮し、継続したより良い保育の実践に期待しています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

基本的な生活習慣の習得に当たっては、一人ひとりの子どもの発達段階に応じて、励ましや称賛を通じて段階的に援助を行い、見通しを持てるよう遊びへとつなげる工夫をしています。子どもが「今、何をすればよいか」を自ら考えて行動できるよう支援し、日々の生活の中で自分の行動を振り返り、学びにつなげられるよう取組んでいます。乳児期には育児担当制を導入し、子どものペースに配慮しながら、その後の保育方針を柔軟に調整しています。この時期は、園での様子や家庭での状況、保護者の考えや悩み等を送迎時等のコミュニケーションを通じて共有し、子どもが安心して過ごせるよう、家庭と園が連携した途切れのない保育を心がけています。保育士は「待つ」姿勢を大切にし、必要なタイミングで子どもに働きかけることで、「やってみよう」と思えるような主体的な行動を促しています。常に子どもの姿を丁寧に観察し、職員間で情報を共有しながら、子どもにとって取り組み易く、分かりやすい方法や手順を検討・工夫し、適切な援助につなげています。また、個人差を十分に理解し、家庭での生活リズムにも配慮しながら、睡眠・食事・友だちとの関係等、子どもの発達状況や成長過程に必要な行動、保護者の考え方等も尊重しています。連絡帳等を活用して状況を共有し、家庭との連携を深めながら、子ども一人ひとりに寄り添った保育を進めています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:b】

当園では、自由保育を通じて、子どもが自ら考える習慣を育み、そのための環境整備を大切にしています。子どもは、今夢中になっている活動に自然と飽きが訪れることで、次の興味や課題を自ら見つけ、活動を展開していきます。これこそが成長の過程であり、保育士はその展開を見極めながら、玩具や設備等の環境を整えています。例えば、食事の時間や場所は子ども自身が選び、空いている席を自由に使うことで、自主性を育む仕組みを取り入れています。決められた席に座るのではなく、自分で選択することで、主体的な行動につながっています。自由遊びやコーナー遊びでは、子どもが自ら考えて遊びの準備を行い、保育士は「いつでもいるよ」という距離感で見守りながら、必要に応じて援助を行い、大人との信頼関係を築いています。四季を通じた戸外遊びでは、子どもたちが伸び伸びと体を動かし、自然に興味を持てるような工夫をしています。また、公園等で他の子どもと遊具や玩具を共有する際には、ルールを守ることを通じて社会性を学んでいます。特に幼児期には、一人遊びから集団遊びへと移行する中で、ルールの理解や順守への支援を行っています。室内環境においても、子どもの発達や年齢に応じて絵本や玩具、手作り玩具等を定期的に見直し、入れ替えることで、子どもたちの興味や遊びの発展を促しています。また、地域とのつながりを大切にし、デイサービスの高齢者との施設イベントでの交流等、世代を超えた関係づくりにも積極的に取組んでいます。近年の気候変動により戸外活動が制限される場面もありますが、子どもたちが伸び伸びと明るく、積極的にエネルギーを発散できるような環境づくりや代替活動の検討を進めていかれるよう期待しています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

当園では、保育士と看護師が連携しながら乳児保育を展開しています。この時期は「養護」を基本とし、子どもが心地良く過ごせるよう、室内の温度・湿度等のハード面の環境整備に加え、保育士との信頼関係の構築や、様々な人との関わりに慣れるためのヒューマン環境づくりにも力を入れています。特に0歳児の保育では、非認知能力の育成を意識しながら、外気浴を兼ねた探索活動や遊びが豊かに展開できるよう、場所や空間の工夫を行っています。また、家庭との密な連携を図ることで、園と家庭が一体となった安心できる保育環境を整えています。一人ひとりの個別指導計画は、発達段階の違いを十分に考慮して作成し、生活リズムに合わせて活動と睡眠がバランスよく確保できるよう配慮しています。モンテッソーリ教育の入り口として、手作りの知育玩具を導入し、子どもの興味・関心を大切に育んでいます。五感を刺激する取組を通じて、命の維持や感情の発達、脳の健やかな成長を促し、心を育てる脳の発達にも寄与しています。さらに、ヒヤリハットの事例を活用して環境の改善に努め、安全で快適な保育環境づくりを進めています。食事面では栄養士との連携を重視し、日々の巡回や必要に応じた保育士との面談を通じて、子どもの健康状態や食の状況を把握し、適切な支援につなげています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

3歳未満児(1・2歳児)の保育では、年間指導計画を基礎に、月ごとのカリキュラムに養護と教育の両面から取組み、一人ひとりの発達状況を丁寧に把握しながら、子どもの状態に応じた保育を実施しています。この時期は、指先の感覚が発達し始める大切な時期でもあるため、モンテッソーリ教育の考え方を取り入れ、工夫された豊富な遊具を用意しています。1・2歳児向けの遊具には、遊びながら学べる要素が多く含まれており、子どもの「やりたい」という気持ちを汲み取りながら、保育士も一緒に活動し、共感を大切にしています。時には「どこに行きたい?」と問いかけ、戸外活動の場所を子ども自身が選ぶ等、主体性を尊重した関わりを通じて、責任感の芽生えにつなげています。安全面では、園独自のハザードマップの作成や環境・設備の点検を定期的に行い、保育士同士が声をかけ合いながら、子どもを見守る体制を整えています。この年齢は自我の芽生え期でもあり、自己中心的な行動から友だちとのトラブルが起こることもありますが、保育士が仲立ちとなり、子どもの話をしっかり聞いて代弁することで、解決に向けた支援を行っています。日頃の子どもの様子については、連絡帳や登降園時の会話、個人面談等を通じて保護者とコミュニケーションを図り、家庭との連携を大切にしています。近年の気候変動により戸外活動が制限されることもありますが、子どもたちが伸び伸びと明るく、積極的にエネルギーを発散できるような環境づくりや代替活動の検討を進めていかれることを期待しています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

3歳以上児の保育では、先ず子どもが興味・関心を持てるような導入を年齢に応じて工夫し、主体的な活動につながるよう取組んでいます。戸外活動では、体をしっかり動かしながら探索することを基本とし、自然との触れ合いや発見を通じて豊かな感性を育んでいます。自由保育を通じて自主性を重んじることで、子どもたちが自信と責任感を持てるような環境づくりや意識づけを大切にしています。保育士は子どもの状況を丁寧に観察し、遊びの構成や展開を予測・考察しながら、遊びの幅が広がり、発展できるよう新たな展開を見据えつつ、子どもの主体性を尊重し、状況の変化に柔軟に対応しています。モンテッソーリ教育については、本部の他事業部の専門職員による研修を受講し、年齢や異年齢の特性に応じた設定やプログラムを用意しています。子どもが好きな活動に取組めるようサポートしながら、モンテッソーリメソッドの推進に努めています。就学に向けては、子どもが単独で行動できるよう、「今は何をする時間か」という意識付けを行い、考える習慣を育てることを重要な指導要素と位置づけています。アプローチカリキュラム等を通じて、期待と自信を持って就学できるよう、小学校との連携も行っています。具体的には、七夕の笹をもらいに行く活動や授業参観、施設見学、近隣園・系列園との年長児交流会等を通じて、子ども同士が面識を持てる機会を設け、スムーズな就学への導線を整えています。職員も小学校の公開授業に参加し、授業内容を他の職員と共有することで、保育と教育の接続を意識した取組を進めています。なお、今後の課題として、職員数の不足により戸外活動が制限される可能性が懸念されています。子どもが主体的に活動できる環境の確保のためにも、体制の見直しや改善への取組みが期待されます。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

当園では、障害のある方への配慮として、園舎玄関のバリアフリー化、階段の手すり設置、ユニバーサルトイレの整備等、環境面の整備を行っています。現在、障害児の在籍はありませんが、入所時の保護者面談において子どもの様子をヒアリングし、支援が必要と判断される場合には、自然な形で援助を行う方針を伝え、職員間で情報を共有して理解を深めています。可能であれば、転園前の園と連携を図り、これまでの支援内容や環境を引き継ぐ形で保育を開始しています。また、地域療育センターとも連携し、専門的な支援体制を整えています。乳児期の保護者に対しては、健診や子育てに関する相談に応じることで、気づきや早期支援につながるよう努めています。幼児期においては、個々の状況に応じた支援を行うため、担当者を固定し、連絡帳や送迎時の会話、個人面談等を通じて保護者と連携しながら、支援の方向性を確認し、親子に寄り添ったサポートを行っています。障害のある子どもには、クラスの指導計画と連動させた個別指導計画を作成し、記録を通じて支援の継続性と質の向上を図っています。職員は障害児保育に関する研修を受講し、得た知識やアドバイスを日々の保育に生かしながら、適切な支援が行えるよう努めています。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

在園時間が長い子どもに対しては、その子の様子に十分配慮し、スキンシップを多く取りながら家庭的な雰囲気の中で関わりを大切にしています。子どもがゆったりと寛ぎ、安心して心地良く過ごせる環境づくりに努め、その子が「やりたいこと」や「過ごしたい状況」を優先できるよう心がけています。例えば、朝や夕方に眠そうな様子が見られる場合には、無理に活動させることなく、静かに休めるよう配慮しています。降園時間帯には18時頃から合同保育を行っていますが、乳児・幼児が順次合流する形をとり、それぞれの子どもの気持ちを丁寧に受け止められるよう工夫しています。このように、子どもの登降園時間や体調、家庭背景等に合わせた生活リズムづくりと個別対応を大切にしています。また、年齢の異なる子ども同士の関わりにも配慮し、異年齢保育を通じて年長児が年少児をお世話したり、手助けをしたりすることで、思いやりの心を育む機会を設けています。職員間では、口頭での伝達やミーティング、クラスノートなどを活用して朝・夕の引き継ぎを適切に行い、情報共有を徹底しています。これにより、保護者への伝達漏れがないよう連携を図り、安心して園生活を送れるよう支援しています。なお、現在2歳児クラスの環境整備については課題を感じており、今後の取組みに期待を寄せています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

当園では、全体的な計画の中に「小学校との連携」及び「就学を見通した保育の取り組み」を位置づけ、それに基づいた実践を行っています。就学までに必要な生活習慣や学習態度の習得について、子ども自身はもちろん、保護者にも丁寧に伝えながら、日々の保育の中で意識的に取組んでいます。幼保小連携事業には積極的に参加しており、年3回の近隣園合同による小学校訪問や、小学校教諭との意見交換、生活体験の機会等を通じて、子どもたちが就学へのイメージを持ちやすくなるよう支援しています。こうした取組により、就学がスムーズに進むよう努めています。就学先の小学校には、保育所児童保育要録を作成して送付し、必要に応じて面談や電話等で情報提供を行っています。保護者に対しても、各小学校の視察や面談の機会を設け、情報を共有することで安心して就学を迎えられるよう支援しています。また、小学校以降の生活についても見通しが持てるよう、全体的な計画の中にその内容を記載し、継続的な支援につなげています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもの健康管理及び園医に関する事項は、重要事項説明書に記載し、保護者へ明確に伝えています。当園では業務マニュアル「健康管理について」に基づき、年間保健計画を作成し、子どもの健康維持に努めています。本部の看護師による月1回の巡回も実施されており、専門的な視点から園児の健康状態を確認しています。保護者とは連絡帳を通じて日々の成長や健康状態を共有し、加えて本部看護師が作成する「ほけんだより」を毎月発信し、季節ごとの健康情報や予防のポイント等を提供しています。朝の受入れ時には、視診と保護者からの聞き取りにより子どもの健康状態を確認し、9時には職員全体でブリーフィングを行い、情報を共有しています。また、保育中や戸外活動前にも子どもの様子を観察し、体調の変化に注意を払いながら、職員間で状況を共有し、日誌に記録しています。感染症を含む健康管理に関しては、当園の方針を重要事項説明書に明記し、保護者に周知しています。乳幼児突然死症候群(SIDS)への対応については、「睡眠時の呼吸確認マニュアル」に準拠し、入園時に保護者へ説明を行っています。職員は、睡眠時の姿勢や呼吸チェック方法について周知を徹底し、定期的に研修を受講しています。呼吸確認(ブレスチェック)は年齢に応じて実施しており、0歳児は5分ごと、1・2歳児は10分ごとに確認を行うことで、安全な睡眠環境の確保に努めています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

当園では、年2回、嘱託医による定期的な健康診断及び歯科健診を実施しています。健診結果は連絡帳に記録し、卒園まで活用・保管することで、子どもの健康の経過を継続的に把握できるようにしています。健診結果は全職員で情報を共有し、保護者には専用アプリを通じて速やかにお知らせしています。身体測定の結果についても同様に記録し、保護者がいつでも確認できるよう配慮しています。また、該当学年の子どもを対象に、視聴覚検査や尿検査も実施しており、子どもの健康状態を多角的に把握する体制を整えています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

アレルギー疾患のある子どもに対して、横浜市が定めるガイドラインを基本に、適切な対応を行っています。除去食が必要な場合には、医療機関での診断結果を保護者から書面で提出してもらい、面談を通じて個別献立を作成し、対応しています。アレルギー献立に関しては、保護者との密な連携を図り、除去食の内容や代替食品を記載した資料を園長・担任が確認の上、保護者に承認をいただいています。調理前日には園長がチェックリストを確認し、当日の調理に反映させています。食事の提供においては、調理室でダブルチェックを実施し、ラップの色分けによって異物混入の防止にも配慮しています。調理職員は、アレルギー対応、事故予防、離乳食に関する研修に積極的に参加し、得た知識を園内研修等で共有することで、職員間の理解と対応力の向上に努めています。子どもには、アレルギーに関する状況を分かりやすく説明し、安心して食事ができるよう配慮しています。一方で、保護者に対しては個人情報保護の観点から、他児の情報については秘匿としています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:b】

当園では、「食」を大切な保育の柱のひとつと位置づけ、全体的な計画及び各年齢の年間指導計画に基づいて、子どもたちが食事をより楽しめるような視点で自園献立に取組んでいます。子どもが食に対して興味・関心を持てるよう、クッキング活動を通じて食への親しみを育み、実際の食材に触れることで野菜の形や硬さ、匂い等を感じる体験を大切にしています。季節の食材を使った献立はもちろん、多国籍料理や行事食等も取り入れ、食事が楽しみとなるよう工夫を凝らしています。幼児クラスでは、ビュッフェ形式を採用し、子ども自身が盛り付けや量を選び、決められた時間帯の中で自分のペースで食事をすることで、自主性を育む食事スタイルを実践しています。一方、乳児には1対1での対応を行い、安心して食事ができる環境と、見通しのある給食計画を整えています。保護者には献立表を配付し、毎日の食事内容を給食室前にサンプル展示することで、給食への理解と実感を深めてもらえるよう配慮しています。今後は、家庭での食事との連携をさらに強化し、園と家庭が一体となって、途切れのない食環境を提供できることを期待しています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

当園では、毎月の献立に旬の食材を取り入れ、季節感のある料理や行事食、多国籍料理等を通じて、子どもたちが「おいしく・安心して」食事を楽しみながら、食への知識や関心を広げられるよう取組んでいます。献立は2週単位で構成し、常に新鮮さを保ちつつ、子どもたちにワクワク感を与えられるよう工夫しています。食材の大きさや硬さについては、誤嚥・誤飲のリスクに配慮し、月2回の給食会議にて職員間で情報を共有し、検食時には園長が確認を行っています。栄養士は、味付けを大切にしながら給食の様子を巡回し、喫食状況や残食、好き嫌い等を把握することで、より良い食事提供につなげています。衛生管理については、保健・衛生管理マニュアルを基本とし、調理業務全般において徹底した衛生管理を実施しています。温かい料理は65℃以上、冷たい料理は10℃以下で提供することを遵守し、安全で安心な食環境を維持しています。また、調理職員は定期的に研修を受講し、アレルギー対応や衛生管理に関する知識の向上に努め、園全体での食育の質の向上を図っています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

当園では、保護者との連携を大切にし、送迎時の会話を通じて家庭での子どもの様子や園での生活の様子等、状況情報の共有を行っています。個別面談や送迎時の対話、ブログ、すくすく日記等を活用し、保護者との認識を深める取組を行っています。また、園だより・クラスだより・ほけんたよりを通じて、保育内容や健康情報、季節ごとの園の様子、子どもの成長状況等を定期的に発信し、保護者と共有しています。送迎時の応対は重要な情報共有の機会と捉え、職員は積極的に声かけを行い、日々の小さな変化にも気づけるよう努めています。特記すべき事項がある場合には記録を残し、職員間で情報を共有することで、保育の質の向上につなげています。必要に応じて面談を実施し、保護者とのコミュニケーションを深めることで、信頼関係の構築に努めています。こうした日々の積み重ねが、子どもたちの安心した園生活につながると考えています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

当園では、保護者からの意見・相談・報告に対して、丁寧に耳を傾ける姿勢を大切にし、園内で情報を共有することで、家庭に寄り添った対応を心がけています。保育園を「第2の家」として、家庭的な雰囲気の中で安心して過ごせる環境づくりに努めています。保護者から相談を受けた際には、その気持ちをしっかり受け止め、担任・主任・園長と情報を共有し、迅速かつ丁寧な対応ができるよう体制を整えています。子どもの様子の変化や家庭の状況により、特別な見守りが必要とされる場合には、記録を残すと共に、関係機関への報告や職員間のミーティングを通じて「報・連・相」の体制を確立し、適切な支援につなげています。相談内容によっては、園長の助言を受けたり、園長が同席して話を聞く等、保育士が一人で抱え込まないよう支援体制を整えています。また、日々のお迎え時には、できる限りその日の子どもの様子やエピソードを伝えるよう配慮し、保護者との信頼関係の向上に努めています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:b】

当園では、「子どもの人権の尊重」及び「虐待に関する対応」について、園内掲示の対応フローとマニュアルを基本とし、家庭での虐待や権利侵害の疑いがある子どもの早期発見・早期対応、そして虐待の予防に努めています。登降園時には、視診を通じて子どもの様子や親子の関係、表情・会話等を観察し、保育中には身体のあざや食事の様子等を確認しています。不審なケガやあざが見受けられた場合には、職員間で情報を共有し、園長に報告して対応を協議します。虐待が明らかになった場合には、区こども家庭支援課や児童相談所と連携し、必要に応じて警察等への通告・連絡ができる体制を整えています。見守りが必要とされる家庭については、保護者の言動や子どもの様子、身なり等を観察し、不適切な養育状況が未然に防げるよう職員間で理解を深めています。指導や支援に変化が見られない場合には、保護者との面談を促し、家庭の状況を把握すると共に、保護者の気持ちを受け止め、心の安定を図る支援を行っています。職員は、事例検討会や虐待防止研修に積極的に参加し、対応力の向上と知識の研鑽に努めています。また、送迎時に保護者による不適切な対応が見受けられた場合の対応についても、今後の検討課題として取組が期待されます。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:b】

保育実践の振り返りを通じて保育の質の向上に努めています。自己評価表及びセルフチェックシートを活用し、園長との面談を行うことで、日々の保育を客観的に見直す機会を設けています。自己評価表は他園の事例も参考にしながら毎年見直しを行い、現行の保育内容に即したものとなるよう改善を重ねています。年度末には全体的な振り返りを実施し、課題を抽出して次年度の年間指導計画や月間指導計画に反映させています。また、クラスごとの子どもの心身の育ちについても取り上げ、職員間で共有することで、適切な援助につなげています。今後は、目標管理シートの導入を予定しており、職員一人ひとりが自身の目標を意識しながら取組むことで、園が期待する方向性と職員本人の意識が一致し、モチベーションの向上につながることを期待しています。この取組の一環として、進捗確認や目標管理を含めた面談を年3回程度実施することで、園と職員との相互理解を深め、有意義な振り返りを通じて、さらなる保育の質の向上を目指していかれることを期待しています。