社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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クレアナーサリー向ヶ丘遊園

2025年04月24日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 クレアナーサリー向ヶ丘遊園 評価対象サービス 2024~ 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 60(59) 名
所在地 〒214-0014
川崎市多摩区登戸2700番地4
TEL 044-819-4714 ホームページ https://www.alpha-co.com
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2015年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 株式会社アルファコーポレーション
職員数
常勤職員:13 名
非常勤職員:7 名
専門職員
保育士:14 名
栄養士:3 名
施設・設備の概要
居室:1歳児室
居室:2歳児室
居室:3歳児室
居室:4歳児室
居室:5歳児室
設備:調理室
設備:事務室兼医務室
設備:子ども用トイレ
設備:多機能トイレ
設備:休憩室
設備:エレベーター
設備:園庭

③ 理念・基本方針
<理念>
未来に向かう「生きる力」を共に育む

<基本方針>
1.子どもの多様な感情を受け止める
2.一人ひとりに応じた健やかな育ちに向けて援助する
3.様々な体験や経験の機会を創る

<保育目標>
1.基本的生活習慣を身につけた子ども
2.よく遊び、よく考える子ども
3.思いやりの気持ちを持つ子ども
4.自分の考えや気持ちを伝えられる子ども
5.して良いこと、悪いことがわかる子ども

④ 施設・事業所の特徴的な取組
<クレアナーサリー向ヶ丘遊園の特徴的な取組>
●栄養士を3人配置し、自宅で作るのは難しい食事や、手作りおやつを工夫しながら提供している
●縦割りも横割りも状況に合わせて、良いところ取りの混合保育が運営できる保育職員が揃っている
●障害があったり、様々な点で配慮が必要な子どもにも対応できる専門職で保育実践がなされている
●職員の状況に応じた勤務体制を取り入れ、10種類以上の勤務区分で、働きやすい職場になっている

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2024/12/09(契約日) ~2025/04/16(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(2019年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 【クレアナーサリー向ヶ丘遊園の概要】 
●クレアナーサリー向ヶ丘遊園(以下、「当園」という。)は、託児サービス、シッター派遣(産褥ケア、院内保育、産褥シッター等)、家事代行、幼児教室等の事業を広く展開する、株式会社アルファコーポレーション(以下、「法人」という。)が運営する6つある認可保育園の1つで、平成27年4月に開園されました。法人本部は平成3年4月に設立され、本社を京都市に置き、首都圏・東海・関西・九州で各種サービスを展開しています。同法人のビジョン・世界観は「わたしたちは常に未来を見つめています」の言葉で表現され、常に変化する社会の課題に未来志向のマインドで、人と子どもが主役となり未来を創り出し続けることを目指しています。

●当園は、急行電車も止まる小田急線の向ヶ丘遊園駅から徒歩3分の駅前商店街の中に位置し、鉄筋コンクリート造りの3階建てのビルの1階部分と2階部分を園舎としています。3階部分はマンションとして別入口から入る住宅となっています。当園の南側にある園庭の先には介護付き有料老人ホーム(ベストライフ向ヶ丘遊園)があり、隣接しているので異世代交流や世代間レクリエーションを通した地域交流もあり、避難場所としても老人ホームとの連携があります。当法人の保育事業は認可保育所や企業主導型保育所、幼児教室等の多様な子育て支援サービスを提供しています。その中の当園は「駅チカ、少人数制」の認可園の保育園で、駅前でありながら落ち着いた環境で、全ての子どもと保護者一人ひとりと、ゆっくり・じっくり関わり合えるように少人数保育を積極的に導入しています。

●法人は「未来に向かう『生きる力』を共に育む」を保育理念として掲げ、行動指針として「一人ひとりの子どもを尊重し、主体的に活動できる環境づくりを重視」しています。基本方針として、「子どもの多様な感情を受け止める」「一人ひとりに応じた健やかな育ちに向けて援助する」「様々な体験や経験の機会を創る」、を毎日の保育活動を通して実践しています。広い園庭にはウッドデッキが付けられており、保育室の壁の一部にはスライディングウォールを採用し、区分けした各年齢の部屋と同時に、開放すると大きな空間となり、大人数の催しや動きができる部屋の造りになっています。2階に続く階段も開放的で、天井も高く採光も良く、気持ちの良い空間演出になっています。セキュリティ面でも万全な対応がされており、駅前という利便性と、贅沢で充実した保育環境を両立した認可保育園として、地域の子どもにも保護者にも親しまれる園となっています。また、保護者のライフスタイルに寄り添って延長保育も行われており、保育時間は朝の7時から夜の20時までとしています。

◇特長や今後期待される点
1.【各種のマニュアル類や規程の整備】
「人権と虐待~虐待対応マニュアル~」や「健康管理マニュアル」や「散歩・園外保育マニュアル」を始めとして、「BCP(大震災・水害)」は最新の状態になっています。これらは全てリスクマネジメントに直結するマニュアル類であり、様々な視点から重要な資料に位置付けられます。例えば、健康管理マニュアルにおいては単なる健康診断や歯科健診だけでなく、「睡眠時安全」「水遊び・プール遊び」「消毒・清掃」「投薬・抗けいれん剤」「感染症」「虫刺され」等、広範囲に渡る様々な決まりや手順が明文化され、現場で運用されています。その他、「人数確認マニュアル」「運営管理基準」等、多くの管理規定が整備されています。園オリジナルのもの以外には、川崎市の保育の質ガイドブック(川崎市こども未来局)、川崎市の保育の質ガイドブック事例集(同左)、保健所における感染症対策ガイドライン(子ども家庭庁)、教育保育施設等におけるプール活動・水遊びに関する調査、事故発生時の対応のためのガイドライン、保育所における食事の提供ガイドライン(厚労省)、保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(同左)、川崎市保育施設における食物アレルギー対応マニュアル(こども未来局保育・子育て推進部)等、行政や国から出されているガイドラインに準拠した保育活動を行っています。

2.【保育と融合した食育活動】
当園では、栄養士が調理以外にも日常保育に従事しており、食育活動を保育の日課として企画・実施しています。幼児は栄養士や保育士と一緒に調理を行い、乳児には食材を触って五感で感じてもらうようにしています。また、食材を別の視点で捉え、関心・興味につなげ、例として「玉ねぎを使った染め物」等の制作にも取組んでいます。子どもたちは目をキラキラさせて好奇心を湧き立たせ、家庭では中々味わえない、保護者も感心する体験ができています。栄養士は、時々ご飯の型を変えたりして、常に工夫を凝らし飽きのこない食事を提供しています。調理活動では、地域の「川崎餃子」(かわさき餃子舗の会推進)を、職員も総出にて給食で食す餃子を160個ほど作ったことがありました。単に作るだけでなく、その様子を食事の前にワクワクするような形で話し、子どもたちの気持ちが盛り上がった状態で餃子を食べ、子どもたちはどんどんおかわりする等、楽しい取組が行われています。当園のおやつも、市販のお菓子は用いず、全て手作りのものが提供されています。例えば「おはぎ」は小豆を煮るところから始まり、餡も甘みを抑えて健康的に手作りとし、でき上がった「おはぎ」はこの園でしか味わえないものが提供されています。和風のおやつと洋風のおやつをバランスよく献立され、評価訪問日のおやつは、手間のかかるフラップジャック(英国伝統菓子)が手作りで出され、子どもたちは満足しながら美味しく食べていました。園の基本方針の「様々な体験や経験の機会を創る」が正に実践されています。

3.【子どもに向き合った丁寧な保育の実践】
園長は、「丁寧な保育を行いたい」という強い思いを持ち、職員は、園長のリーダーシップの下、常に子どもたちに向き合った保育を実践しています。家庭とも密接に連携を図り、基本方針の「一人ひとりに応じた健やかな育ちに向けて援助する」と「子どもの多様な感情を受け止める」を、保育現場で具体的な行動で進めています。保育の質を向上するための課題の1つに、「基本的生活習慣を身につける」、「施設設備の衛生管理」等を挙げています。日々、保育の現場は忙しく回る中、物品(機械等)等をつい雑に扱ってしまう場面において、原則に立ち戻り「物を丁寧に取り扱う」、「使った後はきちんと片付ける」、短時間でも「整理整頓の習慣をつける」を、改めて考えるよう、園長は機会があるごとに職員に伝え、振り返りができるように促しています。また、園長は、「クリンリネス」(清潔な状態を保つための作業)を重要視し、感染症防止対策上にも大きな成果につながるとされており、クリンリネスの考え方を職員に伝え、保育・園生活への定着を推進しています。この姿勢が、ひいては子どもに対しての「丁寧な保育」の実践であり、保護者との丁寧なコミュニケーションの実現につながってきます。当園は、職員同士の関係性が非常に良く、園長のフォローアップ、リーダーシップが秀逸であり、さらに、子どもたちに向き合う「丁寧な保育」が定着と共に実践されていくことが期待できます。

〈改善点〉
4.【各種計画と職員の育成】
中・長期計画が3年括りになっており、1年ごとにスライドして3年間が巡らされていく計画になっていません。毎年々スライドしながら3年間の中・長期計画を策定された方が好ましいでしょう。また、全体的な研修計画は用意されていますが、個人別の研修計画が未整備になっています。「職員一人ひとりの育成計画」を園長が作成し、それを基に「個別の研修計画」を策定していくことが望ましいでしょう。さらに、資格取得に対する時間確保、経済的支援も人事制度に取り入れていかれることを期待します。また、MBO(目標管理)と人事評価(スキル及びコンピテンシーの両方)、給与等との連動も、「見える化」を図ると誰もが納得し、目標が明確になることで業務の質がより向上し、モチベーションにもつながると考えますので、取組に期待いたしております。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
施設名 クレアナーサリー向ヶ丘遊園 
          
≪第三者評価を受審した感想・自己評価での取組の感想≫
前回(2019年)は担任として受審し、今回は園長として対応することになった。
「監査ではございません」とお話し下さっていましたが、監査以上に質問も多く緊張した。
問われている文章の意味や解釈が汲み取れず、口頭でのやり取りで理解につながることもあり、文章表現をもう少し分かりやすくしていただけると良いと感じた。
質問数も多く感じたので減らしても良いと感じた。

≪評価後取組んだこととして≫
1.園内の事業計画を職員に分かりやすく解説、課題や目標、スローガンと共に取組んでいく
ことを伝えていく。

2.クラスのドア付近に掲示(1歳児、2歳児…など)

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評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

職員に対して、入社時研修において法人の保育理念と基本方針を学ぶ機会を設け、加えて園内研修会、職員会議等を通じて周知を図っています。入園を希望する保護者に対しては、園見学の際に「三つ折りパンフレット」や「入園のしおり」を用いて説明し、さらに入園時面談では「重要事項説明書」を基に説明を行い、保護者懇談会でも理解を促しています。また、園内の玄関スペースに理念・基本方針を常時掲示して保護者に周知し、職員も理念・基本方針を常に意識して保育に取組めるようにしています。法人が作成した「社員としての心得帳」が全職員に配付され、いつでも振り返り確認することができています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

法人本部からの情報を基に現場での対策を講じ、国・県・市からの最新情報を収集すると共に、保護者との対話を通して地域ニーズを把握しています。これらの情報は職員間で共有され、運営に役立てられています。また、法人本部では地域全体の人口動向や保育需要、そして課題を分析して園長が現場で法人からの情報を生かしながら、適切な運営を行っています。法人系列園との情報交換や交流も行っており、行政等から得られる情報を取り込みながら、法人と園が密接に連携を図り、事業経営を取り巻く環境と経営状況の連動を行っています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

法人本部との連携を通じて解決策を検討し、法人主催の会議や園長が開催するセンターミーティングで改善案を具体化しています。園長は、地域のニーズや全国の保育ニーズを収集・分析し、保育現場での課題や改善点を職員と共有しています。さらに、法人本部との情報交換を密にし、現状の課題を明確化し、その解決策を保育現場で実践し、職員会議で課題を共有して共通認識を持って取組んでいます。また、園長は、園全体の方向性を基に、経営環境や保育内容、組織体制、設備、人材育成や人材募集等について課題を明確にし、常に法人本部と連携して取組んでいます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

法人の中・長期ビジョンに基づき、園長が具体的な年度計画を策定しています。3年括りで将来像を見据え、3年単位に作成しており、毎年ではなく3年経った時点で振り返りと結果の評価を、職員と一緒に行い、新たな次の3年間の計画を策定するというサイクルで回しています。計画は法人の中・長期計画のスケジュールに基づき、現状の課題、目指すべき姿、具体的な施策を明確に定めています。成果や反省点や変更点等、見直しの仕組みも整備されています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

法人の中・長期計画を踏まえ、事業計画、全体的な計画、年間保育計画、行事計画、食育計画、保健計画、研修計画等を策定しています。行事計画を始めとする事業内容が具体的に示され、保育現場のノウハウを踏まえた実現可能な内容になっています。園長は職員と一緒に考えながら、単年度計画を作成しており、目標達成を目指す活動を継続することで、日々の実行計画として運営に反映されています。保護者懇談会でこれらの内容が説明されています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画は前年度の事業報告を反映し、改善点を話し合いながら見直しを進め、年度末から年度始めにかけて策定しています。園長がリーダーシップを発揮して職員参加の会議でボトムアップで検討する流れを取っています。年間の保育実践を通して得られた子どもたちの様子や、保護者からの意見等を踏まえて、次年度の計画に反映させる仕組みが整えられています。計画の策定から実施、見直しに至るまで職員の意見を含めながら組織的に運用され、法人本部に提出しています。内容は新年度初めのセンターミーティング(職員会議)で職員に対して園長から説明がされています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

玄関スペースには「園の全体的な計画」や「行事計画」等は掲示されていますが、年度計画書は保護者に配付されておらず、園長はまだ不十分なところがあると考えています。専用連絡網ツールの「マチコミ」を活用していますが、保護者の1割~2割は見ていないとする部分を課題とし、速やかな連絡と周知を必要に考えています。毎月、園だより、保健だより、給食だよりもマチコミで配信し、園舎1Fの廊下の壁にも貼り出していますが、紙面での希望者には配付しています。年2回、保護者と第三者委員を交えた運営委員会を開催し、保護者に参加の場を提供しています。事業計画の内容は、概要だけは年度初めの保護者懇談会で共有し、日常の保育活動を通して共有ができるように伝えています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

職員の自己評価は、法人から年1回、職員個人のスマートフォンに配信され、入力する運用になっています。職員は、事業計画や年間指導計画を基にPDCAサイクルを回し、年2回、園長と個別面談を実施して進めています。年度末には全体の振り返りを実施し、次年度に向けて改善策と新しい目標を検討する等、継続的な質の向上を目指しています。直近で課題としている1つに、子どもが「できた」時に対しては共に喜びを共有していますが、子どもが「できなかった」時のアプローチをどのようにするのが良いのか等を、職員と一緒に検討しているところです。細やかな気配りも保育の質の向上につなげる取組が成されています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

職員は、個人の「課題シート」に自己の目標と計画や取組を記載し、方針の理解と参画に取組んでいます。評価欄は項目ごとに書式化され、課題を記載するよう改善の方向性を示唆できるようになっており、次年度計画に反映できるようにしています。改善策は、年間計画に取り込み、見直しにつなげ、年度末に法人本部に提出後、系列全園的な改善計画の指針と位置付けています。また、職員に対して、1年後の自分の姿や、3年後の自分の姿等を自らが設定するといった未来計画を考えることで、保育士としての成長が継続的にできるようになっています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

園長は、自らの役割と責任を年度初めに職員に表明し、毎月のセンターミーティング(職員会議)で役割と責任を職員に確認しています。園長は「社員のとしての心得帳」に基づき、自身の役割と責任を説明しています。センターミーティング開始時に企業理念を全員で唱和することにより、職員個々が自らのあるべき姿の確認も行っています。当園の特長である少人数保育を生かし、職員一人ひとりが自ら考え行動できる体制を目指しており、リーダーシップの方針を全職員と共有しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人としてコンプライアンス遵守の徹底に取組んでおり、入社時研修をはじめ園内研修においてもテーマを設け、周知徹底に力を入れています。法人本部から最新の法令や条例、留意事項が共有され、関連するマニュアル類の更新を行っています。社会ルールや倫理等、幅広い分野についての認識を深めるために、法人が作成した「保育の実践」や「社員としての心得帳」には遵守すべき規範や倫理が明記されており、児童憲章や全国保育士会倫理綱領も掲載されています。園内研修や職員会議の機会を使ってこれらの内容を職員に周知し、日々の保育実践につなげています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

保育の質を向上させる川崎市が提供している研修や、(株)ポピンズが提供している研修(神奈川県保育エキスパート等研修)等の受講を職員にアナウンスして意欲を引き出しています。園長は、法人策定の「保育の実践」や「社員としての心得帳」を活用して、職員が保育に求められる行動規範や姿勢を理解できるように努めています。日々作成される「業務報告書」や、保護者にも提示されている毎日の「保育記録」にも園長は目を通し、必要に応じてフィードバックを行い、職員の意欲の持続に取組み、指導力を発揮しています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

法人のスーパーバイザ―(以降SVと記す。)が定期訪問して園長と面談をしています。SVは当園の業務状況と課題を把握し、業務改善や業務効率化、保育の質の向上のための具体的なアドバイスを行い、園長はそれを基に業務の適正化に取組んでいます。職員が働きやすい環境作りに注力をしており、困りごとに対しては職員と共に解決策を考え、適切に対応しています。重要な意思決定には職員が参加できる仕組みを設け、各自の役割が明確になるように配慮しています。各月別の行事担当者を年度初めに決め、担当職員が自信と責任を持って活動できるように支援しています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

人材募集は法人で一括して行っています。園長から必要な職員のオーダーを法人に伝えており、特定の時間帯に勤務してくれる人材や、資格の有無を提示して、該当する応募があれば法人から連絡があり、面接につなげる流れになっています。当園では保育士資格を有しない人材も受入れ、子どもの心のサポートや保育現場での貢献ができるように整備し、人材の確保や定着に力を入れています。園長は定期的な会議だけでなく、常日頃から職員とコミュニケーションを取り、様子や個別の状況を把握する努力をしています。今年度は新卒新人を2名採用しています。内、1名は家庭の事情で退職を余儀なくされたものの、他職員の離職は無く、定着率も高まっています。常勤の看護師は育児休暇中ですが、育児休暇明けは再び看護業務に戻ることが予定されています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

職員全員に配付されている「社員としての心得帳」と「保育の実践」で法人の人事の考え方が整理されており、職員に求められる姿勢や行動指針を具体的に示しています。「キャリアマップ」が法人で作成され、概略的なキャリアのロードマップのイメージが分かるようになっています。職務の成果や貢献は職員個々人の「課題シート」や研修実績を参考に、法人の基準で行われており、園長は査定していません。職員インタビューで「当園の良いところは?」と問うと、どの職員も「職員同士の仲が良く平等である」と答え、園長に対する強い信頼が窺えました。フォロー能力も高い園長のサーバント型リーダーシップ(傾聴スキル、共感力、自己認識力、健全な職場環境の構築への情熱を兼ね備えている)が上手くマネジメントされ、職員全員がワンチームで形成されています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

タイムカードは無く、出退勤時に各人が入力する形のシステム管理であり、日単位で勤務状況や時間外労働が把握されており、時間外労働は全職員平均10時間程度で推移しています。年次休暇も法定で決められている日数は問題なく取得されており、有給休暇の消化率も良好です。休暇取得の希望は、他の職員とバッティングしない限りは積極的に承認しており、パートは前月の10日までに、常勤は13日までに希望を出してもらい、園長が集計して20日までに結果を出し、修正や微調整を行い、毎月23日までには翌月の勤務シフトが確定するという流れで行われています。勤務シフトも細かく区切って設定しており、10種類以上の勤務区分を駆使して職員個々の状況に応じた勤務体制を取り入れ、働きやすい職場作りに力を入れています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

毎年期初に職員は「課題シート」を使って年度の目標を立て、園長と個別に面談をします。そして期中に前期の目標進捗状況を園長面談で確認を行い、期末には後期の目標達成状況や達成割合等を園長面談で確認を行い、次年度への積み残しの精査をして、新年度に向かうという流れで育成支援が行われています。SV面談は園長のみとなっており、職員の年2回の面談にはSVは入らない体制です。法人が作成した「キャリアマップ」によりキャリアのロードマップ的なイメージは掴めますが、業績評価や給与賞与との直接的な連動にまでは至っていません。園長の目標達成に向けた取組に対する援助的姿勢は評価できますが、職員一人ひとりの個別育成計画までは策定されておらず、MBOも整備されている状態でないので、今後の「個別」育成計画への課題の検討が望まれます。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人で作成された全体計画や「保育の実践」、「社員としての心得帳」に職員の成長を支える指針が掲載されています。職員は法人が提供する研修の他に川崎市や多摩区が行う研修にも参加しており、継続的な知識やスキルの向上を目指しています。但し、園として個人別育成計画や個人別研修計画は作られておらず、教育役をつける人的余裕もない状態が続いています。また資格取得のための金銭的補助制度等もなく、今後に向けた改善の検討が望まれます。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

行政や外部が行う研修を職員にアナウンスし、職員の希望を取って受講を促しています。職員が自分の関心や専門性に合わせて自由に研修を選べるようにしており、原則希望があれば認めることにしています。具体的には1人当たり年に2種類以上の研修(1つの研修に5日間もあり)が受講できるように業務調整と、意欲向上への対応を行っています。但し、全体的な研修計画はあるものの、個別の職員ごとの育成計画や個別研修計画は作成されておらず、今後の改善が望まれます。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:c】

実習生受入れに関しては、法人の実習受入れマニュアル、「実習生の手引き」、現場で学ぶために必要な理念や方針、身だしなみ、心構え等を含んだ書類の用意はできる体制にありますが、当園では、実習生等の受入れは実施しておらず、取組はありません。実習生の受入れについては、福祉の人材を育成すること、また、保育に関わる専門職の研修・育成への協力は、保育所の社会的責務の一つでもあります。地域の特性や状況によって異なりますが、保育園としての姿勢が明確にされていると共に、その体制が整備され、効果的な研修・育成や受入を行うことが必要とされており、今後の取組に期待いたします。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

当園の情報は、法人のホームページをはじめ、多摩区のホームページにおいて園の概要を公表し、区の広報にも掲載しています。重要事項説明書には園の運営の方針や提供する保育の内容が記載されており、園のしおりには苦情対応や第三者委員、そして個人情報の取り扱い等を記載し、相談窓口の連絡先等を詳しく掲示しています。さらに法人のホームページに「クレアナーサリー苦情解決体制」の文書が掲載されており、苦情解決の仕組みと手順を詳しくまとめています。具体的には、利用者への通知、苦情随時受付、苦情の記録、話し合いによる解決、第三者委員会介入の話し合い、解決の公表という流れになっており、ネット上での公表を保護者へ伝え、事業の透明性を担保しています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人の事務ルールに基づき厳格な管理体制を整えています。毎月予算の管理と報告を行い、外部の税理士法人の監査と法人の内部監査を毎年行うことで、経営状況を継続的に見直し、適正な園運営に努めています。取引においても法人のルールがあり、また、川崎市の方針に基づき、反社会的勢力との取引を行わないことを明確にし、信頼性と透明性の高い経営体制が構築されています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

地域との交流に関する基本的な考え方は文書化され、年度ごとの計画にも具体的に反映されています。具体的な活動の一例として、隣接する高齢者施設と世代間レクリエーションを、神奈川県のレク専門家と一緒になって保育と異世代交流の実践を行っています。この活動は現在、年に1回だけですが、今後は2~3回に増やしていきたいと考えています。また、ハロウィンの時はお菓子を事前に高齢者施設に預けて、当日、利用者の方々からお菓子を貰う形で異世代交流を楽しんでいます。また、お返しとして子どもたちが高齢者にクリスマスの歌のプレゼントをする等して、様々な人と場所と環境のつながりを実践しています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:c】

ボランティア受入れに対する基本方針、「ボランティア受け入れ規定」、マニュアルも整備できる体制にありますが、当園では、ボランティア等の受入れを実施していません。地域の人々や学校等におけるボランティア活動は、地域社会と保育所をつなぐ柱の一つとして位置づけることができます。また、保育所は、社会福祉に関する知識と専門性を有する地域の社会資源として、地域の学校教育施設や体験教室の学習(小学校の職場見学、中学校の職場体験、高校のインターンシップ)等への協力がその役割の一つとして考えられます。保育園の特性や地域の実情等に即した、ボランティアの受入れや学習等への協力を検討・実施することが求められますので、今後の取組に期待いたします。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

子どもたちが安全で健やかに成長できる環境の提供のために地域の病院や診療所、消防署、警察署を始めとして多摩区保育・子育て総合支援センターとも連絡や協議を行える協力体制を構築しています。また、関係機関・団体と定期的な連絡会に参加して連携を図っています。子どもの権利侵害には細心の注意を払い、登園時には子供の様子を丁寧に観察し、保護者への声かけも行い会話を通して、虐待の兆候が無いか早期に発見できるように努めています。この取組は保護者との日々のコミュニケーションとも連動しており、家庭と園が一体となって子どもの健やかな育ちを支える仕組みを目指しているものです。当園は地域社会との信頼関係を深めながら、子どもたちも保護者も、安心して日々を送れる保育環境の実現に力を注いでいます。家庭での虐待等権利侵害が疑われる子どもへの対応については、要保護児童対策地域協議会への参画や、児童相談所等関係機関との連携を図り、適正な連携活動には実績があります。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

コロナ禍前には実施していた地域の子育て支援・相談事業を再開したいと考えています。行政機関との連携や、幼保小連絡会への参加から地域のニーズや動向を読み取り、適切な支援につなげるための取組を行っています。民生委員や地域の関係者と連携し、地域住民が抱える課題やニーズ、要望等を共有しながら、具体的な支援のあり方を模索しています。日々の保育業務や地域の関係機関との連携を通じて、声に耳を傾け、保育園の専門的な知識や技術を生かしながら、子育てに関する相談に応じる等、地域社会に必要な支援を提供しています。活動を通じて、当園は地域の福祉向上に寄与し、地域全体で子どもと家庭を支える仕組み作りに取組んでいます。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

近隣にある4つの保育園と連携し、「多摩区年長児交流」を、それぞれの園が持ち回りで行い、他園の子どもたちが当園の保育に参加、当園の子どもたちが他園の保育に参加できる機会を、地域と一緒に行っています。他園見学を通して保育士の交流もされており、これにより保育園同士が助け合える環境を整えることにもつながり、園同士での仕組みや取組の学び合いができることにもつながっています。毎月、防災訓練を行い、地域との防災対策についての取組も進めています。子どもたちの安全を第一に考えた上で、地域社会とのつながりを強化し、共に助け合う体制作りを目指しています。園庭を挟んで隣接する高齢者施設(ベストライフ)が地域の避難場所として指定されており、土地柄水害の危険区域にもなっており、連携強化は必須課題と考え、子どもたちや家庭を支える役割を果たしています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

当園では倫理規定や人権に関する指針に基づいて、職員間での共通認識を深める体制を整えています。現在は外国人の子どもは在籍していませんが、過去の実績や、新年度には宗教上で配慮が必要な家庭の子どもが入園する予定であり、職員間で配慮事項等の認識を図っています。また、法人の企業理念として、「Autonomy:自律」「Loyalty:忠誠」「Perfection:完全」「Humanity:人間」「Amenity:快適」を掲げており、それぞれが「私たちは自律ある社会人として行動します」「私たちはすべてのお客様と会社のために忠誠を尽くします」「私たちはどんなときも完全性を追求します」「私たちは人間としてお互いを尊重しあいます」「私たちは快適な環境を提供します」の形で宣言しており、保育の基盤として、日々の実践に反映させています。また、性差への先入観、外国文化の理解、個人情報への配慮等を確認し合う機会を設け、日常の保育の中で常に振り返りを行うようにしています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:a】

「入園のしおり」に個人情報の取り扱いについて明記し、マニュアルの規程を行い、法令に準拠したプライバシー保護を実施しています。プライバシー保護に関する教育も強化し、園内研修や職員会議を通して全員に周知徹底を図っています。個人情報の取扱いについては、入園児に個人情報使用同意書を取り交わし、保護者に提出をお願いしています。法人全体としては「PMS委員会」を設置し、個人情報保護マネジメントシステムが導入されているので、法人ホームページにも詳しく掲載して公表しています。これらの取組により、子どものプライバシーが適切に保護され、安心で安全な保育環境が維持され、持続可能となっています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

園の特徴や保育方針、園の設備やルール等は、法人のホームページの情報提供に加え、園の見学日時等はなるべく保護者の希望に沿うよう対応しています。園の見学者にはパンフレット等の資料を配布し、保育理念や園の概要を納得してもらえるように丁寧に説明し、保護者からの質問や相談がしやすい雰囲気も心がけています。現時点ではSNSでの発信は考えていませんが、多摩区からの案内や情報提供の中でも当園を取り扱って貰っています。利用希望者が保育所選択に必要な情報を簡単に、分かりやすく入手できるようにしており、見学時には個別のニーズに応じた対応に徹底し、保護者が安心して選択できるようサポートしています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

入園前に重要事項説明書を用いて利用の開始及び変更・終了に関する事項の説明がなされ同意を得ていると認識しています。入園のしおりも事前に配付され、入園前の個別面談や保護者会を通して具体的な内容を丁寧に説明しています。また、保育内容に変更が生じる場合には、事前に書面でのお知らせを基本とし、必要に応じて直接面談の機会を設けることで、保護者の疑問や不安を解消するように努めています。日常の連絡に関しては、専用連絡網ツール「マチコミ」を活用し、迅速に情報が共有できる体制を整えています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

保護者の転勤等、家庭環境の変化等により園児が転園する場合は、保護者との緊密な連携を図り、必要な情報を正確に共有しています。具体的には、健康診断の結果や、その他の必要書類を漏れなく過不足なく慎重に取り扱い、個人情報保護の観点からも細心の注意を払いながら、適正に転園先に引き継いでいます。保護者に対しては、必要書類や手続きの内容を詳しく説明し、不明点や不安がある場合には随時相談に応じる姿勢を示しています。さらに、電話や対面での対応も柔軟に行い、保護者の安心感を大切にしています。卒園を待たずに途中転園した場合の子どもの記録や情報は、退園から3年間は保管した後、適切に廃棄しています。卒園の場合は継続的なサポートを意識し、必要に応じて保護者がいつでも相談できる旨を伝えています。文書化を図ると尚良いでしょう。卒園児の子どもの記録や情報は、小学校卒業まで保管した後、適切に廃棄しています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

年2回保護者懇談会を行い、職員全体で保護者とのコミュニケーションを工夫し、相談や意見交換が行いやすい雰囲気作りに努めています。具体的には保護者懇談会の中で、テーマ別の悩み相談や意見交換を行っています。これにより保護者同士や職員との間で具体的な課題解決を促進することができ、行事終了後のアンケート実施で保護者や子どもたちの満足度を理解する取組をしています。法人としてのアンケートも実施されており、その結果を基に子育て支援の検討や、日々の保育実践の改善につなげています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

苦情解決の仕組みとして「苦情受付担当者」、「解決責任者」、「外部の第三者委員」を設置し、玄関に設置した「ご意見箱」で保護者が日々の意見や要望を自由に述べることができる環境を整え、適切で迅速な対応ができるよう努めています。入園のしおりでも、保育内容等の相談・苦情に関する記載を設けています。各クラスの保護者の代表と外部の第三者委員での運営委員会を年2回開催し、課題があればそこで解決も行われます。例年として、苦情ゼロを保持している現状があります。園では保護者との日常的なコミュニケーションを大切にしており、「丁寧な保育」を行っていることで、苦情が発生する前に課題を解消できるように努めており、苦情解決の仕組みが円滑に機能することで、利用者が安心して園を利用できる環境が提供されています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

年2回(5月・10月)保護者懇談会が開催されています。保護者からの意見を吸い上げるために、行事終了後には必ずアンケートを取り、それ以外には「ご意見箱」の設置や、年2回の法人での保護者へのアンケートを実施することで、保護者の意見を広く収集しています。また、日常的な朝夕の送迎時の保護者との会話や、個別面談等からも意見や相談を得る機会があり、日常的に接する担任以外にも、園長、リーダーや栄養士等の専門職とも会話をする機会があり、保護者が気軽に相談や意見をしやすいようコミュニケーションに努めています。さらに、複数の方法や相手を自由に選べることを重要事項説明書等に明示する等、事前に伝える工夫があると尚良いでしょう。個別に面談する場合は、時間を区切って保育室の「一室は常に空けておく」体制を取っており、プライバシー保護に配慮し会話内容が漏れないよう安心・安全な相談環境を作っています。なお、当園には発達支援コーディネーターの資格を有する保育士も在籍しています。年2回、川崎市の専門員(臨床心理士)が巡回で来園し、助言等を保育に生かしています。利用者(保護者)アンケートの「相談ごとへの対応について」では概ね十分を含め96%十分との高い回答を得ています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

保護者からの相談や意見は、玄関に設置しているご意見箱や、面談の希望があれば個人面談を行っています。園での面談期間を設け、保護者が期間以外の日時を希望する場合でも柔軟に対応をしています。相談や意見の内容は業務日誌や職員会議等で職員間で共有し、保育に関わる重要な内容は記録として残し、課題対応と管理を行っています。全体的な課題となるものに関しては、保護者懇談会でも取り上げる場合もあります。苦情に該当するものに関しては、園長指導で随時対応を適宜行うと共に、運営委員会で取り上げています。運営委員会は外部民間の第三者委員と、各クラスから1名の代表保護者で開催され運営されている体制になっています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

当園では、リスクマネージャーを設置し、リスク対策の担当者として様々な対応を行っています。事故報告やヒヤリハット等での記録を残し、職員間で閲覧できるようにし、毎日の業務日誌でも必要の範囲で記載してクラスミーティングや職員会議で検討や報告を行っています。結果は法人本部に随時報告され、系列園を含めた事例の共有や改善策の水平展開を図り、事故防止の最小化に努めています。その他、アナフィラキシーへの対応や不審者対応も研修や訓練等で安全性の担保を行っており、これらの取組を通して、園内の安全体制を強化し、リスクマネジメントを迅速に回す組織運営がなされています。また、夏場の水遊びについても園での規程を備え、暑さ指数(環境省WBGT指数)で判断基準を設定しています。他、BCPも整備され、定期的な見直しも行っていきます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

感染症が発生した場合は、都度に掲示し、潜伏期間等の病状の情報を周知し注意喚起を行っています。保育中、子どもたちに体調不良症状等が発生した場合には保護者に連絡し、翌日も確認するようにしています。嘔吐物処理等の専門分野の研修も実施し、対応や手順を全職員へ周知しています。厚生労働省のガイドラインに基づく感染症対応マニュアルを策定し、園内で情報共有と対策を徹底しています。「感染症発生状況報告書」や「保健日誌」等を継続的に記録し、必要に応じた対応を行っています。現在、常勤看護師が育休中ですが、系列園の看護師が当園の看護業務のフォローを行い、安心できる体制を整備しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

災害時に備えた備蓄品は給食室及び倉庫に保管し、「安全管理マニュアル・防災マニュアル」を策定し、初動対応や避難行動に関する指針を明確にしています。地震と不審者及び火災に関しては月1回避難訓練を行い、地理的にハザードマップで多摩川の水害地域になっているため、年1回は水害の避難訓練を実施しています。また、保護者参加の引取り訓練は年1回、9月の防災の日に行い、伝言ダイヤル災害用伝言掲示板(Web171)にて帰宅時に訓練を行っています。備品点検や、アレルギーを持つ園児にも対応できる食品の確保等、災害時における子どもたちの安全確保に向けた組織的な取組を行っています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:a】

「保育の実践」や「社員としての心得帳」を中心に、標準化された保育サービスが提供できるように取組んでいます。また保育に関する法律(こども・子育て支援法、その他)を遵守し、マニュアルに基づいて日々の保育活動を実践しています。業務マニュアルは定期的に研修や会議の際に確認や更新を行っており、権利擁護や個人情報保護といった法的な観点を意識し、保育の質を向上させるための体制が強化されています。このような取組を通して、子どもたちに安心で質の高い保育を提供しています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

年間計画や月案、週案、日誌等を活用し、職員一人ひとりの経験や知見を持ち寄りながら内容を振り返ります。これらの振り返りは職員会議や園内研修の場で共有され、改善に向けたPDCAサイクルを回すことで、業務の質を継続的に向上させています。さらに、通常の業務においても職員からの意見や提案を柔軟に吸い上げ、相互に学び合う体制を整えています。これにより職員全員が主体的に取組み、自らのスキルアップを図れる環境を作っています。また、子どもの発達状況に応じて日々の保育の中で柔軟に見直しを行う仕組みも導入しています。保育の質を高めながら、子どもたちの成長に寄り添った保育を提供しています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:a】

指導計画は「園の全体的な計画」に基づき、クラス担任が具体的な内容を策定し園長に提出、最終的には園長が承認する形で進められています。当園では、この「園の全体的な計画」を最重要視しており、職員に対しては休憩室の壁に掲示し、保護者や外部に対しては玄関の壁に貼りだして示しています。1歳児、2歳児には毎月「個別の指導計画」を担当職員が作成し園長に提出しています。子どもと保護者の生活状況を把握しアセスメントを行い、情報は職員間で共有しています。気になる子どもや特別支援や家庭支援が必要とされる子どもへのアセスメントは、各行政機関や臨床心理士との協議体制があり、療育機関との連携を図り相談しながら個別計画を作成しています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

指導計画は法人が策定し、それを基に、系列各園の職員が子どもたちの実情に合わせて月案や週案を作成する流れとなっています。計画の評価は実際に立案した職員を中心に進められ、計画の見直しは年間を通じて定期的に行い、その結果を次の計画立案に反映させる仕組みが確立されています。月1回実施される職員会議の中で情報を共有し、変更内容や今後の目標を全職員が共通理解できるように努めています。子ども一人ひとりの様子や保護者の意見を反映し、連携を取りながら個別指導計画の見直しをしています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

園長を中心に各職員が個別指導計画や週案に基づいた記録を行います。子どもの成長や日々の様子を具体的に記録するように努め、他の職員も確認しやすい形で管理しています。子どもが欠席した場合も情報を確認し、職員全員が状況を把握できるように配慮しています。職員間の連携を強化し、記録と共有を徹底することで一貫した支援体制が提供されています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

法人のホームページに「個人情報保護方針」を開示し、「個人情報保護法」に基づき「個人情報保護規定」を策定しています。また、川崎市の個人情報保護条例にも基づき、記録の適切な管理と保管を徹底しています。園では、子どもの記録が入っているパソコンの園外持ち出し、USB使用を禁止とし、それぞれにパスワードを設定しています。個人情報の記載がある書類は施錠可能な書庫に保管し、鍵は事務職員が管理し、職員が事務室を空ける時は事務室自体を施錠して管理を徹底しています。部外者の事務室入室は極力避け、第三者評価者も含め来訪者は全員、氏名・所属・時間等を記録し厳重管理体制を整えています。個人記録の保存期間は、退園の場合は3年間、卒園児は小学校卒業までとしており、職員は守秘義務を遵守しながら、書類やデータの収集・保存・管理・廃棄等、規定に従って運用しています。年1回、法人による「個人情報保護テスト」が職員に実施されています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画は保育所保育方針を踏まえながら、子どもの発達や生活の連続性を考慮し、子どもの健全な育ちを中心に編成しています。また、保育理念・方針・保育目標を土台とし、地域の実態に対応した保育事業と行事への参加、地域との関わり等を考慮しながら作成しています。計画の作成は、関わりのある職員(園長、リーダー、栄養士、保育職員)を中心に内容を検討して園長が作成し、その後、職員会議で全体への周知を行っています。計画の見直しについては、保護者アンケートの意見や職員の自己評価からの課題や充実させたい部分を取り入れ、全職員で話し合いや確認を行い、次年度の計画や保育実践等に反映しています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:a】

各保育室にはエアコンが設置され、規定の温度や湿度に調節し、子どもたちが心地良く過ごせる環境作りを心がけています。また、定期的に換気を行い感染症予防に努めています。部屋は南方向で明るく、夏は暑くなり過ぎないように園庭前にテントを設けています。夏場の暑さ指数をチェックして熱中症にならないように健康管理に気を配っています。手洗い場・トイレは毎日清潔に掃除を行い、都度チェックを行い、職員による日々の清掃、安全点検(室内・外回り)、玩具の管理を徹底し、消毒・衛生面にも配慮しています。トイレ清掃は午睡時に当番制で職員が交代で行っています。年齢、季節、子どもの様子等を見て、家具の配置、遊具の素材を選び、子どもの動線や安全に配慮してコーナーを作り、子どもが動きやすい環境に整えています。子どもが落ち着き、寛げる場所として、衝立の利用、家具の配置により他児の視線が気にならないスペースの確保等、その場に応じた対応ができるようにしています。眠りたい時はいつでも横になれるよう配慮し、睡眠のための環境作りを行っています。また、異年齢の子どもたちが同じ玩具で一緒に遊べるよう、自然な交流や社会性を育むことも大切にしています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

入園時に保護者から得た情報を職員で共有し、入園後は子どもと職員の関わり、観察等を通して子ども一人ひとりの把握に努めています。法人の保育方針である、「子どもの多様な感情を受け止める」「一人ひとりに応じた健やかな育ちに向けて援助する」「様々な体験や経験の機会を創る」の下、子どもの仕草や表情を読み取り、声かけをして日々の関わりを大切にしています。年齢によって分かりやすい言葉を選び、目線を合わせて穏やかに伝えるように心がけ、子どもに対して決めつけたりせず、声かけをして状況を見たり、時には見守りながら子どもの気持ちに沿った対応に努めています。一人ひとりの子どもを尊重し、発達段階や個性、家庭環境に応じた保育を丁寧に行い、子どもたちが安心して自分の気持ちを表現できるよう、温かく見守りながら職員は子どもの発達段階を細かく観察し、個々の特性やニーズに寄り添った対応を心がけています。また、幼児には、時には互いを認め合える思いやりと優しさを感じて表現できるように援助しています。理解力や集中力を高めると共に、協調性や好奇心を育むことを重視し、成長のステップを確実に進めて行ける環境を考えています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

挨拶、姿勢、食事、排泄、着替え等、基本的生活習慣が身につくように、職員が率先して手本を示したり、分かりやすく説明する等、様々な機会を通して、年齢や発達に合った援助をしています。手洗いやうがいの実践は、子どもが理解できるように働きかけています。基本的生活習慣については子どもができたことを認め、褒め、自信が持てるように関わり、「自分でやりたい」気持ちを大切に待ったり、見守ったりして援助しています。排泄習慣については、焦らず急がず、保護者との連携を大切にして、子どものやりたい気持ちを待ち、無理強いすることなく毎月の計画と目標の中に取り入れ、一人ひとりに合った進め方をしています。このような援助の仕組みにより個別のサポートも可能となり、子どもが生活習慣を自然に身につけられる環境が提供されています。さらに5歳児クラスでは就学への準備を視野に入れ、保護者や小学校との連携を深めています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

保育理念である、「未来に向かう『生きる力』を共に育む」の下、友だち同士で共同して遊ぶ姿を見守り、時には援助して活動できるようにしています。また、一人ひとりの子どもが意欲や達成感が持てるように援助し、遊びが広がるように声かけをする等支援しています。子どもが自分のやりたいことを自分で決められるように手の届くところ、目線の高さに合わせた低い棚に玩具や絵本等を置き、子どもが自分で取り出したり片付けたりができるようにしています。また、自分たちでゲーム遊びを考えたり、ブロックを使ったごっこ遊び等、体を動かして遊んでも安全なようにコーナーを分けて遊べるように工夫しています。子どもが興味を持つ活動を積極的に取り入れることで、自分で考え、行動する力を育む保育を推進しています。当園の特長の1つである「少人数制の保育」や「異年齢保育」を活用し、子ども同士の自然な交流を深める工夫をしています。幼児クラスが小さい子どもたちと関わる中で思いやりや協力する姿勢が育まれると同時に、乳児クラスにとってはお兄さん、お姉さんの行動や遊びが目標となり、多様な関係性が形成され、成長への意欲を高める場となっています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:非該当】

当園では、0歳児保育を実施していないため、非該当です。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

子どもが自分でやりたい気持ち、意欲を大切にしながら見守り、さり気なく援助しながらできた時に十分に褒めて自信や意欲につなげています。生田緑地等、公園、散歩に行く戸外活動を多く取り入れ、園内外での探索活動が十分行えるよう環境を整備しています。また、保育室内では、スペースを作ったり、廊下等を活用して子どもの興味、関心や発達に合わせて探索活動が十分にできるようにしています。当園の特色である異年齢保育では1・2歳児が年中・年長クラスの子どもたちと関わる機会を積極的に設け、「学び合いの場」を提供しています。子どもの発達に合わせて玩具の入れ替え、遊びが広がるようにコーナー作りを行い、全身を使って遊ぶ時には、ケガにつながる状況を予測して安全に配慮しています。ごっこ遊びにおいて他児とのトラブル等の際は、保育士が子どもの気持ちに寄り添いながらも、相手の気持ちを伝えたり、仲立ちをしながら関係性を築いていけるよう適切な介入と援助をしています。子どもの感情を代弁したり、状況を整理することで他者との関係性を考え、深めるようにしています。柔軟な保育と異年齢保育を通じて、子どもたちの自立や社会性の成長を促しています。個別の連絡帳、送迎時に保護者と子ども一人ひとりの様子を伝え、家庭との連携を深めています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

子どもの発達段階に応じて年間指導計画や月間指導計画を作成し、職員同士がカリキュラムの検討を行っています。ルールのあるゲームや集団遊びを積極的に取り入れながら、集団の中で自分の力を発揮し、興味関心のある活動に取組めるよう環境を整えて、友だちと一緒に遊ぶ楽しさや充実感を味わえるように関わっています。また、じっくり遊べる環境作りを考え、友だちと関わりながら遊びが展開できるよう支援しています。子どもが自分のことを主張したい気持ちを受容しつつ、安定して活動ができるように声かけや援助をしています。日々の活動や取組は写真等を掲示したり、園だよりで保護者に伝えています。5歳児は小学校へのスムーズな移行を考えて、自分たちの力で協力し合い、問題を解決するスキルを付けられるよう援助しています。幼保小連絡会と連携して、コロナ禍で中断していた地区の小学校への見学も再開し、小学校2校に見学へ行き、小学1年生の授業への参加を1月、2月に行っています。また、多摩区内の小学校から送られてきた学校紹介のビデオを観たり、年長児と小学生の手紙交換等も行っています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

当園では、障害がある子どもや、気になる子ども、発達に支援が必要な子どもたちが安心して過ごせる環境作りに力を入れています。障害の可能性がある子どもについては川崎市の行政機関や発達支援センター、臨床心理士等の専門家と連携を取り、保護者とも密なコミュニケーションを通じて丁寧なサポートをしています。子どもの状況に合わせた室内の環境作りやバリアフリー化した園舎で、子どもが過ごしやすいように配慮しています。特別な配慮を要する子どもには、発達過程に合わせて個別支援計画を作成し、毎月の様子は、月間指導計画の個別配慮欄に記入して支援に生かしています。また、カリキュラム会議で話し合い、情報を共有し、園全体で支援の取組を行っています。障害を個性と捉え、集団生活を共に過ごす中で、子ども同士の関わり合いを見守りながら互いを認め合い、「育ち合える」ように座席や活動時の他児との組み合わせ等も配慮した環境作りに努めています。当該児の送迎時には、1日の様子を伝え、保護者と一緒に考えてより良い方向に向かえるよう連携を密にしています。保育者は、障害児保育の研修に参加し、得た知識を会議や園内研修で他の職員と共有しながら研鑽を図り、保育の質の向上に努めています。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

当園では子どもたちが安心して長時間過ごせるように、在園時間に応じた適切な環境整備を行い、保育内容の工夫を行っています。長時間保育では、少人数で遊べるように部屋を分けたり、コーナー作りをして子どもが寛いで安心して心地良く過ごせるよう工夫をしています。1日を通して、午前中での遊びが継続したり、日中に作った製作の続きを午後にも行う等、子ども自らが遊びを継続して取組むことができるような環境作りを行っています。長い時間を園で過ごす子どもたちが飽きずに楽しく過ごせるように、新たな玩具の導入や、園舎の1Fから2Fに探検に行く等、子どもの興味を引き続ける工夫を行い、それにより子どもたちは長時間でも新鮮な気持ちで過ごすことができます。当園の保育では、子どもの生活リズムや体調に合わせた「動」と「静」の時間配分やバランスを重視しています。午睡時には安眠を確保し、子どもの個別のニーズに応じた対応を徹底しています。職員間での情報共有を徹底し、一人ひとりの体調や状況に合わせた配慮が可能となるように努めています。夕方は補食の提供を行い、保護者の意向を踏まえて量を調節したり、時間をずらす等、家庭での夕食に支障が出ないよう配慮しています。職員間引継ぎでは伝達漏れのないよう十分に行い、保護者に子どもに関する伝達が行えるように留意しています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

5歳児の年間計画は、小学校との円滑な接続・連携の欄に計画を記載し、小学校訪問や学校紹介ビデオと小学生との手紙交換等で、子ども同士の交流を図り、小学校への見通しにつなげる動線を引いています。保護者とは、個人面談では小学校以降の生活を見通せるように不安のないよう情報等を提供しています。5歳児担当保育士は、幼保小連絡会や小学校教員との意見交換や、小学校訪問を通して、小学校の要望や方針を詳細に把握し、それを日々の保育活動に反映させています。保育所児童保育要録は、子どもの育ちや発達の状況を的確に記録する他、一人ひとりの育ちをどのように援助してきたかを記入して小学校の生活がスムーズに行くように配慮しています。就学を見据えた子どもたちに自信を持たせて送り出し、安心して次のステージへ進められるように援助しています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

川崎市の健康管理マニュアルに基づき、担任が朝の健康チェックを行い、子どもの状態の把握に努めています。子どもの体調の変化やけが等の際は,電話やお迎え時に保護者に伝え、翌日の登園では、家庭での様子を確認しています。保護者には看護師が作成する保健だよりや玄関横の掲示板にて感染症の有無や、健康教育に関する写真の掲示等で健康に関する取組を伝えています。現在は看護師が育休中ですが、系列園の看護師が対応する体制を整え、保健だよりも系列園の看護師が作成しています。既往症に関しては、全職員で共有し、予防接種に関しては一覧表を作成しファイルに保管していつでも確認できるようにしています。SIDS(乳幼児突然死症候群)に対しては、時間をセットしたタイマーを用いて、1歳児は5分ごと、2歳児には15分ごとに呼吸の確認及び向きを変えています。幼児は30分ごとにブレスチェックを行っています。感染予防や健康増進にも力を入れており、年間保健計画を策定し各クラスで実施しています。毎朝、検温を行い、乳児は脇での測定、幼児は非接触体温計で測定し、午睡後も検温をして体調のチェックと記録を実施しています。園全体で健康的な生活習慣の形成を支援し、家庭との連携を密にしています。川崎市や多摩区の行政から発信される健康や予防に関する情報も随時提供し、子ども一人ひとりの健やかな成長を支える体制を構築しています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

健康診断は嘱託医が健康診断、歯科健診を年1回実施しています。健診の結果については健康の記録に記載すると共に保護者へ書面で伝えています。保護者へは、健診前に子どもの健康状態で気になることがあれば質問内容を伺い、健診時に看護師が医師に相談してアドバイス等を伝えています。プライベートゾーンの概念等、子どもたちが自分の身体を守る方法について教示する機会も設けています。さらに、嘱託医や歯科医との緊密な連絡体制を整え、健康に関する相談が必要な場合には迅速に対応できるよう、いつでも連絡が取れる体制を確保しています。健診で必要と判断された場合は、保護者に通院を勧めると共に、子どもたちの健康状態の改善を丁寧にサポートしています。これらの取組により、子どもたちが健やかに安心して成長できるよう、健康管理と保育の内容がしっかりと結びついた環境を提供しています。なお、当園ではこの4年間、虫歯の子どもは一人もいない状況で、歯科医からも褒められ、家庭との連携による健康管理体制の確かな実績となっています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

アレルギー食提供における園内ルール(アレルギーガイドライン)に基づいて、食事の提供をしています。当園ではアレルギー疾患や慢性疾患を持つ子どもたちに対して、医師の指示の下に適切な対応を行い、安全で安心な食事環境を提供することを重要視しています。厚生労働省の「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」に沿って対応を進め、保護者との協力体制を築きながら、それぞれの子どもに配慮しています。また、現時点でエピペン対象児はいませんが、定期的にエピペンの使用方法や緊急時の対応について実践的研修を受け、対応できる態勢を整えています。食事面では栄養士が予定献立表の食材を徹底的に確認し、該当児の保護者と共有した上でアレルギー除去食材を決定しています。食事の提供前には三重のチェック(調理室、運搬移動時、配膳時)を行い、専用のトレイを用い、食札を付け、園児の名前とアレルゲン名を記載し、職員が傍について安全性を確保しています。アレルギー対応の詳細については、入園説明会にて重要事項説明書で全保護者に周知しています。また、入園時には分からなかったアレルゲンが入園後の生活の中で発覚することもあるため(アイスのクルミで発覚した例等)、慎重に注意深く徹底した対応をしています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

当園では、子どもたちが食事を楽しく意欲的に取組めるように工夫を行っています。栄養士は、食育計画を作成し、年間計画に基づいて世界の料理メニュー、クッキング体験、地域食の献立、食材に触れる、三色食品群、行事食等、豊かに取組み、また、食事時間の切り替えや、落ち着いて食す雰囲気作りに配慮しています。職員は子どもたち一人ひとりの食べる量を把握し、少食や好き嫌いのある子どもに対しては、盛り付けの時に量を減らす工夫や、食材の刻み方や調理に工夫をすると共に、食べられる量を事前申告してもらう等、自主性をもたせています。量を自己申告した子どもは完食し、当園では残食がほとんど出ない状況です。食事前には当番の園児が今日の食事の献立を皆に伝え、全員に過不足なく配膳されていることを一緒に確認し、「いただきます」を唱和して楽しく食事をしています。子どもたちの多くはカレーライスが好物なのを踏まえて、幼児はカレーの調理活動を行っています。乳児には食材に触れ、感触と実際の食事がイメージできるよう親しんで食事できるようにしています。子どもたちが食事を心から楽しみ、食に対する興味と意欲を育む環境を提供し、保護者へは給食だよりに食生活について掲載し、家庭での食育にもつなげています。なお、当園では食事は完食、さらにお替わりをする子どもも多数おり、家庭では残してしまう野菜等も、園の食事ではきれいに食べています。栄養士も毎日作り甲斐を感じ、子どもたちは健康です。バランスの取れた、楽しくワクワクする献立で、子どもたちを健康に育んでいます。利用者(保護者)アンケートでの「給食の献立内容について」、「給食を楽しんでいるか」では、それぞれ概ね満足を含めて満足100%の高い評価を得ています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

当園では、子どもたちが安全でおいしく食べられる食事の提供に努めています。食事に関しては、毎月の給食会議や日々の喫食状況により、子どもの発達状況や体調によって食事の量や食材の切り方等を工夫し調整しています。献立では旬の食材や季節の果物を取り入れ、七夕やクリスマス、ひな祭り等の行事食や、地域食、世界の料理等を取り入れ、バラエティ豊かな食事を提供しています。調理室は衛生管理マニュアル等に沿い、衛生管理や事故防止に十分に努めています。食材は地産地消を念頭に購入し、川崎市が採用している胚芽米等を使用する等、身体作りに大切な栄養素を補給しやすく考えられています。また、油を控えた調理法で、子どもたちの栄養バランス・体作りをしっかりとサポートしています。季節感のある食材や、地域感のある食材や果物、そして各種の行事食を取り入れた献立を栄養士が作成し、食事を通して文化や地域や行事の意味を学べる機会を提供しています。川崎の地域食である「川崎餃子」を大量に職員総出で作った話を食事の前に子どもたちに聞かせ、食べる前のワクワク感を醸成し、より美味しく楽しく食べてもらう工夫等もしています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

当園では、子どもの生活をより充実させるために、家庭との密接な連携を重視しています。保護者との日々の相談等を通じて、子どもたちの困りごとや成長の課題を共有し、保育士同士で話し合いながら、園全体で解決策を見つける体制を整えています。家庭とのコミュニケーション手段として、乳児は連絡帳、幼児は保育の記録を活用し、子どもの日々の様子や成長のエピソードを詳細に記録しています。また、園舎廊下の掲示写真や園だよりを通じて、子どもの活動や行事の様子を保護者に伝え、家庭でもその内容を共有できる工夫を行っています。さらに、送迎時には保護者と直接やり取りを行い、細かな情報交換を通じて子どもの状況を共有し成長を喜び合っています。年間を通じて、保護者が園の取組に意見を述べられる機会も設けています。また、懇談会は年2回、外部の第三者委員を交えて年2回の運営委員会を開催しています。このような取組を通じて、保護者が園の活動に安心感を持ち、子どもたちの生活がより豊かになるよう支援しています。利用者(保護者)アンケートの意見からも「全先生が親身になって対応を考えてくれ報告をくれるので日々感謝している」、「子どもの変化を細かく気付いてくれ、安心して預けることができている」、「子どもが笑顔で通い、園での生活が充実しているのが伝わる」、「いけないことはいけないとしっかり伝えてくれ安心して子どもをお願いできる」等、多くの保護者から保育への理解、賛同の声が挙がっています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

当園では、保護者が安心して子育てを進められるよう、多方面から支援を行っています。子どもの成長や課題を共有し、一人ひとりに合ったサポートを提供しています。また、事前予約が必要ですが、保護者から相談を受けた際は、迅速に対応できる体制を整え、常に話を聞ける環境を作っています。日常的には、登降園時に園長や職員が積極的に声をかけることで、保護者が気軽に相談できる雰囲気を築いています。さらに、外部の専門家等とも連携し、必要に応じて専門的な助言やサポートを受けられる体制を用意しています。保護者が抱える悩みやストレスを軽減し、親身になって寄り添う環境を提供しています。面談では、保護者が話しにくい内容やデリケートな問題についても丁寧に傾聴し、どのような話題でも前向きに受入れる姿勢を大切にしています。このような積極的なコミュニケーションの取組により、利用者(保護者)アンケート調査でも高い評価を得ており、信頼関係の構築につながっています。保護者の悩みに対しても的確かつ温かく対応することを心がけています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:a】

当園では、子どもたちの安全と権利を守るため、家庭での虐待や権利侵害の早期発見・対応に力を入れています。日々の送迎の様子から、保護者と子どもの関係をできる限り把握し、「虐待防止マニュアル」を整備し、全職員が詳細について理解しています。子どもが着替える際には身体に不自然な傷やあざ等の確認を行い、気になる点を発見した際は記録に残し、職員会議にて情報を共有し協議する体制を整えています。また、身体測定時の身体の状態・養育の状況の把握にも努めています。気になる子どもを発見した場合は、職員は園長に報告を行い、職員会議等で検討・協議を図り、必要に応じて園長は行政機関と連携を図っています。マニュアルに基づき、疑わしいケースには迅速かつ適切に対応できる体制を整えています。具体的にはこども家庭センター等、外部の専門機関と連携し、必要に応じて通告や相談を行う仕組みを構築しています。日々の保育では、子どもや保護者の表情や様子、行動の変化に細心の注意を払い、異常を早期に察知する「気づき」を大切にしています。特に、登園時の子どものケガや服装、衛生状態、保護者の表情等を丁寧に観察し、気になる点があれば直ぐに職員間で共有し対処するようにしています。また、長期休暇明けや休日明けには特に注意を払い、新たな傷や変化等を確認しています。保護者から相談があった場合には、丁寧に話を聞き、不安や懸念を解消するためのサポートも行っています。さらに、職員全体で意識向上を目的とした人権擁護に関する研修やセルフチェックを定期的に実施し、子どもたちの権利が侵害されることのないよう努めています。研修では、「気づき」を強化するための具体的な事例や対応策を共有し、職員の対応力を高めています。園長は、子どもの人権に関して職員会議の場で話し、研修を含め職員全員が理解を深めるよう取組んでいます。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:a】

職員は年間指導計画や目標を基に、日々の実践を見直し、課題や改善点を組織全体で共有しながら保育の質向上を図っています。年間指導計画や月間指導計画を基に、各種会議で職員相互の疑問点・改善点等を意見交換し、学び合いや意識の向上につなげています。また、職員の自己評価、保護者アンケートの結果を反映し、次年度の取組や園全体の自己評価を行っています。具体的には、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)のPDCAサイクルを活用しています。年初に計画を立て、実践後にその内容を評価し、改善策を検討しています。年度末には振り返りを行い、次年度の目標を設定しています。このプロセスでは、職員同士が意見を交換し、課題や気づきを共有しながら解決策を模索する場を重視しています。また、職員一人ひとりの自主性を尊重し、自ら考え、行動する文化が根付いていることも特長です。この取組を通じて、保育環境や手法の改善が進み、子どもたちにより適切な支援を提供できるよう努めています。結果として、職員のスキルや専門性の向上が園全体の保育の質向上につながる好循環が生まれています。子どもの心の育ち・意欲・興味等をよく観察し、子どもが「できた」、「できない」でなく次につなげ、それを踏まえた職員の援助・関わり方が適切であるか等を確認しながら自己評価をしています。職員は園長面談や年度末に振り返りにより自己評価を行い、保育実践の改善に努め「丁寧な保育」の実践につなげています。