社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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中川小桜愛児園

2024年11月15日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 中川小桜愛児園 評価対象サービス 2024~ 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 90(96) 名
所在地 〒224-0001
横浜市都筑区中川1-1-1ふれあい中川4階 
TEL 045-500-9581 ホームページ https://nakagawakozakura.sakura.ne.jp/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2009年08月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 小桜会
職員数
常勤職員:18 名
非常勤職員:14 名
専門職員
保育士:29 名
子育て支援員:4 名
施設・設備の概要
居室:1歳児室
居室:2歳児室
居室:3歳児室
居室:4歳児室
居室:5歳児室
居室:一時保育室
設備:配膳室
設備:事務室
設備:調乳室
設備:相談室
設備:洗濯室
設備:子育て支援スペース
設備:更衣室
設備:幼児用トイレ
設備:エレベーター
設備:園庭

③ 理念・基本方針
<理念>
一人ひとりを大切にした健やかな育成

<基本方針>
豊かな人間性を育める保育や環境の創造

<保育目標>
1. 健康で明るく元気な子
2. 心の豊かな子
3. よく考え工夫する子

④ 施設・事業所の特徴的な取組
<中川小桜愛児園の特徴的な取組>
●子どもたちも保護者も先生も、安心して楽しく通える園づくりをしています
●地域のたくさんの方に利用していただける園づくりをしています
●園外研修や園内研修で、職員の質向上に努めています
●こども誰でも通園制度の試行的事業に参加しています

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2024/04/09(契約日) ~2024/11/11(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(2019年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 【中川小桜愛児園の概要】 
●中川小桜愛児園(以下、当園という。)は、社会福祉法人小桜会(以下、法人という。)の運営です。法人は、児童福祉施設の推進を図り、乳幼児に対し人間形成の基盤を健全に育成することを目的とし、横浜市に3園(青葉区2園・都筑区1園)の認可保育所を運営しています。法人名に因み姉妹園3園には、桜が育つために必要な栄養素を名前(SUN:小桜愛児園、WATER:当園、SOIL:たまプラーザ小桜愛児園)に付け「KOZAKURA BLOSSOMS」としています。最適な環境の中で、たっぷりと栄養を取り十分に満足して健やかな成長ができるようにとの思いです。また、それぞれの保育園の特徴を生かして、園庭開放、育児相談、一時保育事業等の地域子育て支援事業に取組むと共に、日々の保育の中では子どもの主体性に着目し、一人ひとりに寄り添った保育を提供しています。

●当園は、横浜市営地下鉄ブルーライン「中川駅」と一体になった「ふれあい中川」の4階にあります。「ふれあい中川」は、「横浜市まちづくり条例」に基づく、中川駅周辺における福祉保健活動事業の中核拠点として平成21年8月に開所し、1階には横浜市中川地域ケアプラザがあり、2・3階には介護老人保健施設、4階が「中川小桜愛児園」となっており、それぞれ3つの福祉事業所の複合施設です。当園は、「ふれあい中川」の開所当初の平成21年8月に運営を開始し、保育所としての機能を活用して、地域の子育て支援に貢献できるよう努めています。

●当園の定員は、1歳児から5歳児までそれぞれ18名の合計90名です。保育時間は、平日は午前7時から午後8時まで、土曜日は午前7時から午後6時までで、延長保育、障害児保育を受入れています。当園は、地域福祉保健活動への貢献を目指して、一時保育をはじめ、子育て支援事業として、園庭開放、交流保育会、離乳食教室等、地域家庭の子育て支援に向けた多様な活動を行っています。さらに今年度から、横浜市の「こども誰でも通園制度」の試行的事業に参加し、地域福祉保健活動拠点としての役割が一層発揮できるよう努めています。

◇特長や今後期待される点
1.【園のブランド作りを通じた保育・業務環境の向上】
当園で特に意を用いている課題は、「職員の保育への向き合い方の共通認識」と、「子どもたちへの良い言葉がけを職員が伝え合える風土づくり」、「子どもたちのことも同僚同士も肯定的に受け止められる風土づくり」で、いわば「中川小桜愛児園のブランド」の形成に向けた継続的な取組です。管理者が率先してこうした園内の意識・雰囲気の醸成を図ることで、意欲的な職員が育っています。「中川小桜愛児園の風土づくり=ブランドづくり」に職員の共感を得ながら取組む中で、保育webをはじめ、横浜市の往還型研修(研修のテーマに関する課題を各施設に持ち帰り、園内で協議した結果や提案・取組等を持ち寄り、さらに、研修内容をステップアップする戦略的な研修)への参加や、職員からも保育の質の向上や業務改善に関する積極的な提案を得ています。園長はこうした提案を歓迎し、速やかに業務に取入れることで、さらなる業務改善を促す職場環境作りに取組んでいます。また、この風土作りは、ワーク・ライフ・バランスの意識の醸成にもつながっており、休みやすく、かつ働きやすい職場作りを通じて、職員の意欲の向上、ゆとりを持った保育等、職員の質・保育の質の向上に良い影響を及ぼしています。今回の第三者評価の調査で実感したことは、職員一人ひとりが園を良く知っていることです。その一端として第三者評価においても、運営面・保育面共に各項目の取組内容が、全項目に亘って分かり易く、複数記載されていました。職員が当園を良く知っていることに加えて、この園をより良くしようとする意欲が伝わってきました。

2.【保育webの活用による保育の質の向上】
特長的な取組として、職員提案で、月間指導計画を可視化した「保育web」という仕組みを導入しています。これは、主に子どもの教育に関して、月ごとにクラスごとの目標を設定(例:2歳児の5月目標「春の草花や虫に触れ、戸外遊びを楽しむ」)し、その時期の遊びの主要素(花・水・虫・のりもの)を中心にして、遊びで取組みたいことや、子どもの行動で予想されることを〇の中に書き込み、主要要素から枝で週ごとに色を替えてつなぎ、できたことは二重丸・できなかったことはそのまま、想定していなかった子どもの行動等は雲形の枠の中に記載することにより、成果や発展、予想外の子どもの行動等の気付きが一目で理解できる仕組みです。保育webを活用して、クラス内で週ごとに保育内容を振り返る中で、子どもの行動に新たな発見が見られることにより、さらに保育の多面的な展開が促される等、当園が目指す「子どもの自主性、主体性、自発性を大切にする保育」の実践に、この仕組みが大きく貢献しているものと認められます。

3.【複合的・実践的な人材育成】
法人・園では、職員を人財として捉え、その定着に向けて、種々の人材育成手法を講じています。1つ目は、人事評価手法に基づくもので、仕事グレード基準概要により職員に求められる保育水準を明示すると共に、職階ごとに求められる業務内容・能力の水準を職務基準表で明らかにし、自己評価と人事考課を組合わせて職員のステップアップを促すものです。2つ目は研修によるレベルアップで、業務の内容を習得する定期的な内部研修と、実践的な研修です。実践的な研修は、系列3園の研究発表と、当園の特長でもある横浜市の往還型研修参加です。3つ目は、日常的な資質向上です。法人・園では日々の業務や会議を研修の機会と捉え、保育所保育指針(本文及び解説書)を職員に配付すると共に、各保育計画の作成時や反省時に活用する等、職員は保育所保育指針を常に意識して、日常の保育に取組んでいます。前述の保育webや、日々の子どもたちの様子を写真とコメントを用いたドキュメンテーションを活用して、職員間で保育の振り返り及び意見交換を行い、保育内容の改善を図っています。さらに、中川小桜愛児園のブランド作りを通じた保育・業務環境の改善等、複合的・実践的な人材育成が図られています。

4.【保育機能を活用した福祉拠点とする地域の子育て支援】
当園は、中川地区の福祉拠点としての意義を認識して、保育技術を活かした地域課題への貢献に意欲的に取組んでいます。地域の虐待防止ネットワークに参画し子どもの権利擁護に取組むと共に、子ども家庭相談を行うことにより、家庭の貧困や不適切養護の課題への対応を図っています。特に、地域の子育て家庭への支援に力を入れており、一時保育事業の他、子育て支援事業を実施しています。子育て支援事業は、月1回水曜日の園庭開放をはじめ、2カ月に1度程度、親子教室(体操・わらべうた)、園児との交流保育会、離乳食教室を行い、保護者の育児相談にも対応しています。さらに、地域の虐待防止ネットワークに参画し子どもの権利擁護に取組むと共に、子ども家庭相談を行うことにより、家庭の貧困や不適切養護の課題への対応を図っています。今年度からは、「こども誰でも通園制度」の試行に参加して8月からの受入れ態勢を整えています。今後は、地域の核となる保護者を支援して地域の保護者のサークル作りの促進を構想しています。

5.【中・長期計画と単年度計画の策定について】
法人では令和12年度(2030年度)までの中・長期計画が策定されています。この計画は、大規模改修等のハード面の計画で、系列3施設の事業計画が該当年度に位置付けられ、収支計画を伴う具体性のある計画となっています。一方、当園では、中川小桜愛児園ブランドづくり(風土づくり)を始め、正職率の向上による運営の安定化やこども誰でも通園制度の本格実施、子育て広場事業の拡充、保護者の特技を活かした地域のサークル活動の実現化支援等、多岐に亘るソフト面での事業展開を構想しています。今後は、こうしたソフト面での構想の実現に向けた中・長期計画を施設として策定し、これに基づく単年度の計画の策定により、構想の計画的な具体化につなげられることを期待します。尚、ハード面の課題として、老朽化による大規模修繕があります。大規模修繕の目的は保育環境の改善ですが、もう一つの目的は災害対応です。園周辺のアボイドマップ(災害予測地図)によると、この地域の巨大地震発生時の想定震度は5強程度で、周辺には川や崖がないため、洪水や土砂崩れの心配もなく、比較的災害に強い地域と認められます。法人・施設の懸念は、老朽化による外壁等の落下による事故です。こうした事態に備えた計画的な大規模修繕への積立金の増強を課題としています。円滑な備えが為されるよう付記します。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
施設名 中川小桜愛児園       
         
≪第三者評価を受審した感想・自己評価での取組の感想≫
保育については、日々振り返りを行っていますが、運営面では年1回しか振り返りが行えていないので、今回、様々な項目ごとに現状の再確認や課題が見えたことで、さらに良い園にしていくために、何をすべきかが分かり、受審して良かったと感じました。

≪評価後取組んだこととして≫
1.正規職員の確保で、来年4月~新卒2名入職予定。

2.大規模修繕に向けて、三法人での話し合いを行い、資金繰りの状況を確認した。

3.アンケートを踏まえ、防犯カメラの設置を行い、自動ドアの改修工事の依頼を行った。

詳細評価PDF 詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

法人・園の理念は「一人ひとりを大切にした健やかな育成」、同じく基本方針は「豊かな人間性を育める保育や環境の創造」です。理念・基本方針は、児童憲章や保育所保育指針の目指す保育目標を、簡潔かつ明瞭に表現しており、職員は、日常の保育の中で常に意識して取組んでいます。保護者への周知についても、入園時のパンフレットや重要事項説明書を用いた説明だけでなく、年度当初の園だよりへの掲載等により、継続的に周知が図られています。利用者(保護者)アンケートでの「基本理念・基本方針」を「よく知っている」の割合が、前回の24.6%から今回は45.7%に大きく伸びており、取組の成果が表れています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

園長は、横浜市私立保育園・子ども園園長会副会長としての活動を通じて、行政情報を始め保育業界を取り巻く環境動向にも精通しています。さらに、法人の事務局を、系列園の園長3名と、当園の副園長(事務担当)で合議しながら運営しており、経営状況についても的確に把握しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

経営課題は、今後の少子化を見据えた新たな事業展開、令和10年頃から始まる大規模修繕への対応、正職率アップによる経営の安定化の大きく3課題です。新たな事業展開についてはその一つとして横浜市の「こども誰でも通園制度」の試行的事業に参加しています。大規模修繕については積立金の増強に取組んでいます。正職率アップについては求人難の中、難しい課題ですが、実習生の積極的な受入れ等に努めています。こうした取組については、職員会議で園内の合意形成が図られると共に、議事録をパソコンのシステムで確認できるようにしています。尚、「こども誰でも通園制度」の試行的事業には、は6月に4名の応募があり、8月からの受入れ体制が図られています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

中・長期計画は、令和12年度(2030年度)までの計画が策定されています。この計画は、大規模改修等のハード面の計画で、系列3園の事業計画が該当年度に位置付けられ、収支計画を伴う具体性のある計画となっています。一方、当園では、正職率の向上や保育の質の向上、中川小桜愛児園ブランドづくり(風土づくり)を始め、こども誰でも通園制度の本格実施や、子育て広場事業の拡充、保護者の特技を活かした地域のサークル活動の実現化支援等、多岐に亘るソフト面での事業展開を構想しています。今後は、こうしたソフト面での構想の実現に向けた中・長期計画を園として策定し、具体化につなげられることを期待します。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

ハード、ソフトを含めた運営面での単年度の事業計画が策定されていますが、この事業計画は法人の中・長期の事業計画の内容に直接関連するものではありません。園では、【4】に記載の通り、子育て支援事業の拡充や、地域の保護者のサークル立ち上げの核となる保護者支援等、意欲的な事業構想を持っています。こうした園のソフト面での構想を踏まえた中・長期計画の策定と、これに基づく単年度計画の策定、推進が求められます。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

保育に関する全体的な計画が策定されています。全体的な計画には、保育理念、保育方針、保育目標を始め、1歳児から5歳児までの子どもそれぞれの保育目標、保育のねらい、食育、地域交流等、保育所保育指針が求める内容が、当園の特長を表しながら適切に策定されています。全体的な計画の下、クラスごとの年間指導計画、月間指導計画、週間指導計画や、行事計画が策定されています。各計画は実施後に関係職員により反省・評価が行われ、次の計画の改善につなげられています。各計画はパソコン上に掲載されることにより、全職員が共有できるようになっています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画は園内に掲出すると共に、入園説明会で保護者に説明しています。クラスごとの年間保育計画についても、重要事項説明書に簡潔に記載して保護者の理解を促しています。クラスだよりにもクラスごとの毎月の目標を掲げ、クラスの月の保育のねらいや保育内容を保護者に伝えています。年間事業計画は前年度末に、毎月の事業計画はその月の園だよりで伝えると共に、子育て支援事業や、一時保育等の園の行う事業について、ホームページ等を活用して積極的に、保護者等外部に伝えています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

年間指導計画や、月間・週間指導計画、行事等の実施後の反省・評価を、クラスごとや関係職員で確認・協議し、内容の改善を図っています。特長的な取組として、職員提案で、月間指導計画を可視化した「保育web」という仕組みを導入しています。これは、主に教育に関して、月ごとにクラスごとの目標を設定(例:2歳児の5月目標「春の草花や虫に触れ、戸外遊びを楽しむ」)し、季節ごとの遊びの主要素(花・水・虫・のりもの)を中心にして、遊びで取組みたいことや、子どもの行動で予想されることを〇の中に書き込み、主要要素から枝で週ごとに色を替えてつなぎ、できたことは二重丸・できなかったことはそのまま、想定していなかった子どもの行動等は雲形の枠の中に記載することにより、成果や発展、予想外の子どもの行動等の気付きが、一目で理解できる仕組みです。この仕組みは、横浜市の研修等でも取上げられ評価されたとのことです。また、人権のチェックリストを毎年、自己評価を年2回、園の自己評価を年1回行い、保育の質の振り返りを、継続的に行っています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画を始め、保育に関する年間・月間・週間指導計画については、各計画の実施後に反省・振り返りを行い、評価結果に基づいて次期の計画を改善する仕組みがあります。さらに、保育webを活用した取組課題の明確化、半期ごとに目標を設定した自己評価を元に本人自らが振り返り、管理者との面接を通じてレベルアップを図る仕組み、行事ごとの保護者アンケートを踏まえた改善策の検討、保育を通じて職員が気付いた改善策の実施等、あらゆる場面で職員が課題を意識し、取組む風土づくりが意識的に行われています。尚、職員の自己評価も活用した園の自己評価が毎年行われ、課題の明確化と改善が継続的に行われています。前回の第三者評価での提案も全て改善が図られていました。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

園長は、事務分担表の中で、利用者の処遇計画及び施設運営・管理の統括、事務管理の統括、保育士の業務分担の監督・調整、リーダー会議の統制等、自らの内部管理の責任を明確化すると共に、行政、関係機関・団体、保護者、業者との交渉・連絡・調整等の対外的な責任を表明しています。さらに、職員会議やクラス会議等で、方針を伝え職員との共有を図っています。園長不在時には、事務分担表で副園長に権限を委任すると共に、緊急事態発生時に職員が行うべきことを初動から次の行動、さらに次の行動へと、ページをめくりながら事態の推移に沿って求められる行動が理解できる簡潔な「ミッションカード」を各クラスに備えることにより、緊急時に管理者が不在であっても職員が行うべき事項が明確化されています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

園長は、横浜市私立保育園・子ども園園長会副会長としての活動を通じて、行政や他の事業所から遵守すべき法令等を入手すると共に、法人の事務局を運営する中で、系列の園長との情報交換等でこれらの情報を入手しています。さらに、委託先の税理士法人や社会保険労務士からも法令改正等の情報を得ています。園長は、これらの情報や、人権・プライバシー・個人情報保護等遵守すべき事項を業務マニュアルの中から適宜抽出して、職員会議や研修で伝え、コンプライアンスの確保・向上に取組んでいます。また、環境に配慮したSDGsの取組についても横浜市資源循環局のアドバイスも得ながら、子どもや職員の理解や取組を促しています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

個々の職員の自己評価を下に行う面接指導や、スキルアップ研修の奨励等を通じて職員のレベルアップを図っています。特に意を用いている課題は、「職員の保育への向き合い方の共通認識」と、「子どもたちへの良い言葉がけを職員が伝え合える風土づくり」、「子どもたちのことも同僚同士も肯定的に受け止められる風土づくり」で、いわば「中川小桜愛児園のブランド」の形成に向けた継続的な取組です。管理者が率先してこうした事業所内の意識・雰囲気の醸成を図ることで、意欲的な職員が育成されています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

「中川愛児園の風土づくり=ブランドづくり」に職員の共感を得ながら取組む中で、保育webをはじめ、横浜市の往還型研修への参加、自己評価欄の改善、連絡ノートの書き方の見直し等、職員から業務改善に関する積極的な提案を得ています。園長は、こうした提案を歓迎し、速やかに業務に取入れることで、さらなる業務改善を促す職場環境づくりに取組んでいます。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

人材の確保を進める上での課題として、正規職員、特に新採用職員を確保することによる正職率のアップを通じた運営の安定化を捉えています。このため、実習生を積極的に受入れると共に、系列の園長が協働して、大学やハローワークに働き掛けをしています。さらに、園を知ってもらうためのホームページやSNSを活用したPRにも力を入れています。また、職員を人財と捉え、定着に向け、中川小桜愛児園のブランドづくりや、フリー職員によるクラス支援、OJT等による新人職員育成、キャリアアップ研修によるスキルアップ、多岐に亘る業務マニュアルや、場面ごとに対応すべき手順を簡潔に記した簡易マニュアルによる業務内容の習熟度アップ支援等、多様な支援策を講じています。こうした取組の成果として、常勤職員の平均在職年数も11年超と比較的長くなっています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

給与規定の中で、期待する職員像を「仕事グレード基準概要」として、人事基準を「職務基準表」としてそれぞれ明確にし、入職時や自己評価の面談等で職員に周知しています。また、園長は職員会議やクラス会議等で、大切にしている保育について伝え、指針となるようアドバイスに努めています。さらに、職員面談を年2回、管理者が行い、業務を振り返る機会とすると共に、職務上の課題や希望等を確認しています。自己評価と、職務基準等の人事考課に基づき、適切な人事管理が行われるよう取組が図られています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

管理者による職員面接を年2回行う中で、職員の意向や要望を聴取し、極力希望等に沿った働き方に配慮しています。ワーク・ライフ・バランスを尊重し、年間の有休カレンダーを活用して個々のライフスタイルに合わせ、個々の職員が働きやすいシフト管理が行われています。また、フリーの職員を多く配置し、職員の配置ボードでその日の勤務状況を可視化することにより、クラスの勤務状況に応じた応援体制が図れるため、職員が休み易い環境づくりが成されています。子どもと関わらずに事務処理に専念できるノータッチデーを月2回設けています。さらに、「子どもたちのことも同僚同士も肯定的に受け止められる風土づくり」に取組んでおり、職員同士の関係作り、話し合える風土づくりに意を用いた職場環境が醸成されていると感じられます。職員ヒアリングでも休みやすい、働きやすいとの意見を伺うことができました。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

仕事グレード基準概要により職員に求められる保育水準を明示すると共に、職階ごとに求められる業務内容・能力の水準を職務基準表で明らかにしています。また、目標を定めた自己評価を年2回実施しています。これは、人権、職員・保護者との関わり、保育事務等の業務内容を評価し、改善点と次の目標を、管理者を交えて確認するもので、職員の育成に資するものと認められます。また、職員配置後に個々に職員が管理者と面談する機会が設けられており、配置の意図を理解することで、自己評価の目標設定に活かされています。さらに、保育所保育指針(本文及び解説書)を職員に配付すると共に、各保育計画の作成時や反省時に活用する等、職員は保育所保育指針を常に意識して、日常の保育に取組んでいます。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

年間研修計画が策定されており、園内研修が充実しています。中でも4月の人権・防災研修、5月の救命救急研修、10月の嘔吐処理研修はパート職員も含めて職員全員が受講することと定めています。法人研修の特長として、3園合同での研究発表会があります。外部研修については、スキルアップ研修を重視して、希望者の受講促進を図っています。特に入職後、7年に満たない職員の育成に力を入れており、年度初めに、施設長が職員面談を行い、スキルアップ研修等の受講を促しています。さらに、横浜市の往還型研修に毎年参加しており、質の向上に取組んでいる園として当該研修の講師からも評価を得ています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

常勤職員については毎年の研修の受講状況が管理され、外部研修等研修の機会が確保されています。一方、当園では、パート職員の活用を積極的に図っており、パート職員の比率が約44%と比較的高い職員構成となっています。保育の質の向上に向けた課題の中でも、非常勤職員の研修時間の確保を挙げています。特に、短時間勤務の職員については年収130万円の壁もあり、研修機会の確保・拡充が難しい状況です。施設では、4月・5月・10月の園内研修の受講を義務付けると共に、市の研修動画等を活用して、2か月に1度グループワークを伴うパート職員研修を実施する他、外部研修に関する研修報告会への参加促進や、研修報告書の回覧、経験値の高い職員とシフトを組むことによるOJT、簡易マニュアル等の活用等、パート職員の質の確保・向上に努力しています。今後とも、オンライン研修の活用等、パート職員の研修機会の確保・創出を工夫し、取組まれるよう期待します。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

実習生の受入れについては、福祉人材の育成と共に、新採用職員の確保につながる機会として捉え、積極的に行っています。受入れに関するマニュアルを整備し、入職後4年程度の職員を交代で実習担当とし、実習担当は横浜市の実習指導者研修を受講しています。実習プログラムについては、職員に予め周知し円滑な受入れを図っています。実習プログラムは、1歳から5歳までの各クラスを経験できるよう配慮し、学校とも協議しながら策定しています。実習生は保育実習だけでなく、子どもや保護者との関わり方等を学ぶニーズを受けて、看護学校からも受入れを行っています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人の情報は、経営の概要を、「現況報告書」や各種計算書類により把握できるよう、WAM NET(全国社会福祉協議会の福祉・保健・医療情報)に掲載すると共に、法人のホームページに、定款や第三者評価結果等を掲載しています。苦情解決結果については、公表を前提としていますが、保護者への適切な対応により近年の公表事例はありません。法人の情報公開に加えて、園のホームページでの保育情報の提供内容が充実しています。保育目標や、沿革、年間行事、入所案内、一日の流れ、一時保育、子育て支援事業等の情報・案内が分かり易く掲載されるだけでなく、医師の意見書や登園届、施設案内パンフレット、一時保育案内・申込書等、必要な書類がダウンロードできるよう利便性が図られています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

第三者評価結果や行政の監査結果は、職員の共有がなされ、改善に向けた取組が即時に図られています。服務規程・事務処理規程・経理規定・職務分掌等の管理規定も整備され、職員がいつでも確認できるようパソコンのシステムに掲載されています。法人が、税理士と社会保険労務士との委託契約を結んでおり、適宜アドバイスを得られると共に、税理士が毎月来園することにより、経理面の確認・指導を得ています。クラスごとに使える予算を配分し、クラスの自主性・創造性を尊重した取組を講じていますが、現金については職員が直接扱うことのないよう、レシート交換や振込で行うよう事故防止に配慮しています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもたちと地域との交流については、保育の全体的な計画に位置付けられ、交流の機会が、多岐にわたり用意されています。子育て支援事業での園庭開放・親子教室・交流保育等での地域の子どもや保護者との関わりをはじめ、地域の保育園とのドッジボール大会、小学校との交流、地域のハロウィン行事への参加、公園愛護会の指導を受けながらの公園の花の植え替え等、定期的な交流が図られています。また、地域の商店やスーパーでの買い物体験やパン屋さんの協力を得てのパン作り体験等に加えて、勤労感謝の日には、消防署や警察署の訪問、園内掃除等、子どもたちが企画して大人に感謝の意を表しています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

ボランティアの受入れマニュアルが整備され、近隣の中学生・高校生を継続的に受け入れています。
受入れについては、中学生・高校生を2名ずつ2日間受入れる等、理解が図られるよう工夫しています。前回の第三者評価で提示された、同マニュアルへの個人情報保護に関する記載については改善されていました。園では、今後大学生の受入れを図る考えを持っています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

当園は、中川地区の福祉拠点の意義を認識して、保育技術を活かした地域課題への貢献に意欲的に取り組んでいます。地域の虐待防止ネットワークに参画して子どもの権利擁護に取組むと共に、子ども家庭相談を行うことにより、家庭の貧困や不適切養護の課題への対応を図っています。障害児の受入れを行うこと等を通じて、医療・福祉・行政との連携が図られています。また、ふれあい中川の3施設協議会を通じて園の情報を発信すると共に、災害時の連携体制を構築しています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

地域の福祉ニーズを把握するためのツールは多岐に亘り用意されています。地域の虐待防止ネットワークや子ども家庭相談、ふれあい中川の3施設協議会、医療、福祉、行政連携を通じてのニーズ把握、園の一時保育や子育て支援事業に参加する保護者等からのニーズ把握、園長が参画する横浜市私立保育園・子ども園園長会議での福祉行政や幼児保育ニーズの把握、地区の民生委員・青少年指導員、大学の准教授からなる第三者委員との意見交換等により、多面的に地域ニーズの把握に努めています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

地域の子育て家庭への支援として、一時保育事業の他、子育て支援事業を実施しています。子育て支援事業は、月1回水曜日の園庭開放をはじめ、2カ月に1度程度、親子教室(体操・わらべうた)、園児との交流保育会、離乳食教室を行い、保護者の育児相談にも対応しています。さらに、虐待防止ネットワークへの参画や、地域イベントでの子ども家庭相談等、地域課題への取組も行っています。今年度からは、「こども誰でも通園制度」の試行的事業に参加すると共に、今後は、地域の核となる保護者を支援して地域の保護者のサークルづくりの促進等を構想しています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は日々の保育、会議等、全ての業務が研修であるとの自覚を持って子どもの保育に取組んでいます。ドキュメンテーションを通しての日々の振り返り、各保育計画の反省、昼礼や会議・研修等での保育姿勢・方法の反省と共有化に努めています。人権研修・人権チェックリストを併せて定期的に行うと共に、自己評価の中でも子どもの人権に意識して取組み、振り返りを行っています。子ども同士の関わりについても受容し、主体的な関わりを促す中で、適切なフォローを行うことで、子どもが互いに尊重する心が育まれるよう取組んでいます。性差への固定的な対応を避けて、子どもが自分で色や衣装を選べる環境を作ると共に、インクルーシブ教育の取組や、外国籍児童を受入れることを通して、園では多文化の中での共生を大切にしています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:a】

個人情報保護に関する基本方針、個人情報管理規程が整備され、毎年のプライバシーを含めた人権研修・人権チェックリストによる職員意識の醸成が図られています。トイレや、オムツ替え、プールの着替え等もマニュアル化され年齢に応じたプライバシーが確保されると共に、トイレやオムツ交換の場所は、ハード面でも開放的な明るい空間とされる一方、個々に外からの視線が遮蔽されるよう工夫されています。子どもの生活スペースは段ボールを活用した間仕切り等で、簡単に区分できるようにされており、子どもが一人になりたいときに、「ほっこりスペース」で過ごすことができるように配慮されています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

法人のホームページに運営状況が掲載されると共に、各園のホームパージとリンクしています。当園のホームページは保育情報が充実しており、保育目標や、沿革、年間行事、入所案内、一日の流れ、一時保育、子育て支援等の情報・案内が分かり易く掲載されるだけでなく、医師の意見書や登園届、施設案内パンフレット、一時保育案内・申込書等、必要な書類がダウンロードできるよう利便性が図られています。また、ホームページにブログを掲載して更新を図ることにより、子どもたちの日々の暮らしや行事について分かり易く紹介しています。パンフレットや行事のお知らせ等の情報は、区役所にも配架しています。さらに、見学は随時受け付けており、1日2組で1組ずつ行う等、丁寧な対応を行っています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

入園説明会を開催して、パンフレットや重要事項説明書、ビデオ等を用いて、保育内容を分かり易く説明し、質問にも丁寧に答えています。4月のクラス懇談会でもクラスの保育内容等について話し合いを行い、保護者の理解を深めています。内容の変更については、園だよりや専用サイト配信、あるいは文書やホームページ等、多様なツールを利用して保護者に伝えると共に、重要な事項は、必要に応じて承諾書を徴しています。外国籍等説明に配慮が必要な保護者は現在いませんが、ひらがな表記や簡単な英語を使用して意思疎通を図っています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

保育所の変更に当たっては、個人情報の取り扱い上の課題もあり、引継ぎ文書や手順等は定めていません。転園先からの問い合わせがあれば、個々にあわせた配慮を伝えています。卒園児の保護者からの相談や問い合わせがあれば、担当した職員が窓口となって対応していますが、特段、退園後の相談方法等を記載した文書を保護者に渡すこと等はしていません。文書化を図ると尚良いでしょう。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

日々の保育の中で、子どもを受容し、主体的な行動を促すと共に、応答的な対応に心掛けています。保護者からは、行事ごとにアンケートを徴すると共に、保護者会や保護者懇談会・保育参観・保育参加等、多様な機会を活用して意見・要望を伺っています。また、日々、職員と保護者とのコミュニケーションを大切にし、連絡ノートを活用した相互の情報交流を行っています。要望・意見等については、対応をクラスで検討を図り、管理者に相談して、保護者への速やかな対応に努めています。アンケートについては、全体会議で検討し、専用アプリ等を通じて保護者に回答しています。利用者(保護者)アンケートの園の総合評価項目では、概ね満足を含めて、満足が98.6%と高い値を示しています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

園の重要事項説明書や園内掲示で、園内の苦情相談窓口を始め、第三者委員の連絡先、園外の苦情相談窓口として横浜市福祉調整委員会事務局を明示しています。第三者委員は、地区の民生委員と青少年指導員に加えて、大学の准教授の子どもに関わる専門家3名に依頼しています。苦情解決マニュアルが整備されており、苦情があった場合は、第三者委員に報告し、対応結果を公表することとしています。一方、園、職員が保護者との関係作りに取組んでおり、かつ速やかな対応に努めていることから、苦情として第三者委員まで上がる案件がないため、近年は公表に至る案件はありません。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

園と保護者との連携については、重要事項説明書に位置付け、「家庭との連携を密にとり、子どもの育ちを共有していく」ため、不明点等は気軽に担当に話す・連絡ノートに記載する等で園に伝えて欲しいこと、保育士との直接の話は、日中の保育時間(9時~15時30分)を除いて手が空いていれば対応可能なこと、相談事は予約の上相談時間を設けること、等を明記し、項目の最後に不明なところがあれば、いつでも職員にお尋ねくださいと補記しています。職員は、保護者とのコミュニケーション作り・関係作りに意を用いて、保護者が相談等しやすい雰囲気の醸成に努めています。相談場所は、配膳室や空いているクラス、送迎のない時間帯の事務室で対応する等、保護者が相談等をしやすい環境の整備を図っています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

保護者からの相談は、クラス内で共有すると共に、管理者に報告の上で対応方法を確認して、できるだけ速やかに保護者に回答する手順が定まっています。即時対応が難しい相談等については、その旨を保護者に伝えた上で、全体会議で検討する等して、園全体で対応に努めています。利用者(保護者)アンケートでは「相談ごとへの対応」について、概ね十分を含めて十分が97.1%と高い数値を示すと共に、コメントでも「悩み事等、丁寧に話を聞いてもらえる」、「保護者の状況を理解し、親身に相談に乗ってくれる」等のコメントが多くみられました。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

リスクマネジメントについては、窒息・誤嚥事故防止や、アレルギー、睡眠中の安全対策等に係る簡易マニュアルを備えると共に、定期的に研修を行い、職員の意識向上・対応能力の向上に努めています。ヒヤリハットについては、園内・園外・園庭に分けて、ボードに情報をメモで貼り付けることにより情報共有を図っています。さらに、保険会社が作成したリスクマネジメントのポイント例を分かり易いイラストを用いて記載したガイダンス(就学前危険予知訓練 保育所・幼稚園・認定こども園版)を職員研修で活用しています。リスクマネジメントのソフト面での取組は評価できますが、ハード面の防犯対策について、玄関の扉が夕方のお迎え時に開けやすい状態となっており、利用者(保護者)アンケートでも不安の声が寄せられています。園でも認識して対応を検討している課題ですが、改善が図られるよう期待します。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症ガイドラインを備えて、発生時対応を図り、毎年、感染症拡大防止に向けた研修を行っています。室内は換気と適当な湿度管理を図ると共に、子どもの手洗い・うがいの励行や、職員が消毒液を携行して日常の衛生管理に努めています。さらに、嘔吐処理のセットがクラス等各所に配置されており、即時の対応が可能になっています。感染情報は、必要に応じて保健所に報告を行い、玄関のホワイトボードにより保護者に即時に伝達しています。感染症ガイドラインについては、保健所や嘱託医等からの情報を得て、複数のマニュアル担当職員(毎年交代制)が適時に見直しを行っています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

地震等の災害時には、ミッションカードに沿った対応を図り、職員訓練を継続的に行っています。保護者の緊急連絡先を把握すると共に、地震・火災等の緊急時には、専用アプリやメールにより、職員・保護者との連絡方法を確保しています。火災・地震・不審者を想定した子どもを交えた避難訓練を消防署や警察の指導を受けながら定期的に実施しています。系列3園合同の避難訓練や広域避難場所への避難訓練も毎年行っています。避難経路も外階段・中階段と複数用意し、状況に応じて使い分けを想定しています。備蓄品は分散して保管し、エレベーター内にも備えています。前回の第三書評価で提案のあった「事業継続計画」については、感染症・災害を想定した内容で策定済となっています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:a】

保育については、全体的な計画、年間指導計画、月間指導計画、週間指導計画に、それぞれの保育のねらいと実施内容が明示されています。また、職員は保育所保育指針を携行すると共に、その内容に沿った保育を行うよう職員相互で確認しながら保育の提供に努めています。さらに、保育の各場面を想定した業務マニュアルや、業務マニュアルの要点をまとめた簡易マニュアルが用意され、職員の取組をサポートしています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

保育に係る各種計画は、期間終了の都度、反省、見直しが行われ、改善策が次の計画に反映されています。業務マニュアル、簡易マニュアルについては、毎年複数のマニュアル担当を決めて、実施上不都合な点の確認や、行政等の指導や情報提供を受けて、見直しを行っています。さらに、ドキュメンテーションや保育webを活用して日々の保育の振り返りを行い、他クラスの職員がクラスに入り多面的に子どもを見ることにより、保育の実践方法が画一的なものになることがないよう取組んでいます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:a】

入園前に保護者から成育歴や生活状況を書面で提出してもらい、それに基づいて保護者との面談を行い、保育内容を定めると共に、一定期間、子どもの状況を見ながら保育内容の適否を職員間で協議し、次の保育内容の策定につなげています。1歳、2歳児は毎月生育状況を観察しながら個別指導計画を見直しています。配慮の必要な子どもについても個別支援計画を策定し、概ね四半期ごとにケース会議を開催して計画の見直しを図っています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

年間指導計画以下の計画は、クラスの職員で評価し、見直しを行った上で園長等管理者の承認を受け、実践されています。全体的な計画は、前年の実施状況や課題を踏まえて園長等管理者が見直し、協議を行った後原案が策定され、全体会議に諮られた後に策定されます。全ての計画の策定過程に関係職員の参画が図られています。評価の課程では、保育webも活用して、日々の保育を評価し、子どもたちの遊びや成長につながるよう配慮されています。また、保育内容の急な変更の場合にも、職員間で合意形成を図ると共に、職員配置を工夫して対応できるよう努めています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

児童記録等、保育の記録の様式が統一され、記録された実施状況は、パソコンのシステム上で職員間の共有が図られています。記録は、子どもの育成状況を中心に、必要な支援方法等、職員間で共有すべき内容を時系列で簡潔に記載することとしています。記録の書き方は、記載のポイントを全体会議やクラス会議で管理者が伝達・指導すると共に、システムに掲載された内容は、管理者や職員間でアドバイスを行うことにより、記載内容の統一化やレベルの向上が図られています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

個人情報保護規程を整備し、個人情報の管理・利用方法を定めています。個人情報の取扱いについては、研修や会議を通じて、事故防止に努め、保護者に対しても、重要事項説明書に写真撮影のルールを記載し、当園配信の写真・動画の管理を専用のID、パスワード、クラスのパスワードを用いた専用アプリで行っています。個人情報に関わる書類は、園長の執務室に隣接する部屋の鍵のかかるロッカーで保管しています。システムを搭載したパソコンを使用後は同部屋に返却する等、外部への持ち出しを禁止すると共に、園長等管理者退出時には執務室を施錠することにより、残業の抑制にもつなげています。尚、個人情報の廃棄は、業者委託により溶解処理がなされています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画は、法人の保育理念・保育方針の下、園の保育目標を掲げ、保育所保育指針の保育のねらいと内容に沿って、1歳児から5歳児までの子どもの保育目標、養護と教育の保育のねらいを記載し、同指針第3章の健康及び安全に位置付けられた健康支援、食育等の各事項に対する取組計画を明らかにしています。1歳から5歳までの保育の目標・ねらいは、それぞれの成長発達を捉えて、年ごとに振り返りながら、年間を通して子どもたちの成長の見通しを立てて策定しています。全体的な計画には、さらに、保育所保育指針に位置付けられた子育て支援や職員の資質向上の他、留意事項の小学校との連携、地域との交流の各計画を明示しています。さらに、保育所保育指針の幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿について、園内に掲出しています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:a】

1歳児から5歳児までの各保育室は広く、窓が大きく設けられており、採光・通風に恵まれています。各保育室からベランダに出ることができ、ベランダはつながっているため、外遊びや水遊びができます。さらに、砂遊びができる大きな園庭も有しています。また、広くかつ多目的に使える一時保育室と、吹き抜けの子育て支援スペース(お遊戯ホール)があり、グループに分かれて子どもたちが遊んでいます。 トイレや各室は清掃や消毒により清潔に保たれており、空調も適切に使用され、子どもたちは快適に過ごしています。遊びと食事等の生活空間が区分されており、遊びの空間は、可動式の棚やボール紙の間仕切りで簡単に仕切ることができ、小グループでの遊びや、一人で過ごせる「ほっこりスペース」も設けることができます。建物の周囲は広い道路で、かつ4階であるため、周囲を気にすることなく子どもたちは声を出して伸び伸びと生活しています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもを受入れることではなく、受け止めることを大切にしています。子どもの気持ちを汲み取った上で、そのまま全てを容認するのではなく、子どもの気持ちを代弁しながら、選択肢や先の見通し(楽しみ等)を伝えることで、次の行動につなげられるよう支援しています。子どもに寄り添い、子どもが言葉や気持ちを職員に届けられるように、語りかけに努めています。子どもへの不適切な言葉かけ等がないようリーダーがアドバイスすると共に、職員間で常に確認し合っています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもの成育に個人差があるため、無理強いせず、職員のさり気ない援助の中で達成感を得て、基本的な生活習慣が自然に身に付いていくよう支援しています。例えば、1歳児であればオムツやズボンを引き上げる際の「ぐんぐん」、おすわりをする際の「ぺったんこ」等、分かり易く楽しい声掛けをして、行動を促し、達成感を子どもが感じられるようにしています。特に、子どもとの信頼関係作りを図り、遊びや、手洗いやうがい等、先生とやってみようという気持ちから一人でやってみようという気持ちにつながるよう支援しています。日々の生活では、午前中にしっかり体を動かす→食事→睡眠のパターンを確立しながら、洋服を小さなスペースで畳むことや、3歳以上児は帰りの支度を自分でする等、支度をルーティン化して、準備・片付けが習慣となるよう配慮しています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

室内をボール紙の仕切り等で区分することにより、子どもたちが好きな遊びやグループで過ごせるよう活動環境を自由に設定しています。また、玩具箱シールや、行動カード、生活カード等、可視化できるツールを用意して次の行動を子どもが選択できるように工夫しています。当園は近隣に運動公園を始め大小合わせて多数の公園や緑道があり、自然に恵まれた環境の中にあります。子どもたちが行きたい公園を選ぶ等、天気の良い日はできるだけ外に出て、四季を感じながら、自然物を取り入れた遊びや造形、色水遊び等を楽しんでいます。鬼ごっこやボール遊び等、ルールのある遊びを取り入れて、ルールを守る大切さを伝え、子どもたちが好きな遊びを見つけられるよう、興味・関心に沿って環境設定をしています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:非該当】

当園では0歳児の預かりは行っていません。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

1歳児は、愛着関係の醸成や長い保育園生活のスタートを考慮して、入園から3か月程度は、できるだけ同じ職員が特に丁寧に個別支援しますが、その後は1歳児担当の職員や乳児のフリー職員が1歳児全体の保育に当たっています。1歳児、2歳児はそれぞれ2グループに分けて、見守りながら応答し、危険がある場合に仲立ちしますが、基本的には主体的な遊びを促しています。トイレの練習は1歳児から行い、遊びの切れ目に促して成功体験を得ることにより、自分でトイレの意思表示ができるように支援すると共に、オムツ外しは保護者と連携しながら、尿をしっかりと貯められるように支援する等、基本的な生活習慣が少しずつ身に付くよう配慮しています。また、異年齢児との関わりや実習生、保育参加の保護者、散歩途中で出会う大人等、保育士以外の関わりを大切にしています。さらに、送迎時や連絡ノートで保護者の質問や不安に丁寧な対応を行っています。職員ヒアリングでも、ズボンの上げ下げ時の「ぐんぐん」等、子どもに分かり易く前向きな共通の言葉で語りかけを行う等、職員の対応にバラつきのないよう、対応方法を共有しているとの発言がありました。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

「保育web」を活用して、遊びの保育環境を整え、発展させていくことにより、子どもが集団の中で、興味・関心のある活動や、協力して一つのことをやり遂げる活動が活発に行われています。また、3・4・5歳の縦割りの日を設けて、年少児に対する年長児の思いやりの心の育ちを促すと共に、昼寝の時は3歳・4歳児を、5歳児が起こすといった試みを通じて、年少児が年長児にあこがれ、見習い、成長しています。子どもの育ちや共同的な活動の成果を、子どもたちが企画した夏祭りや、運動会、発表会、作品展等で保護者に伝え、保護者面談で養護面も併せて子どもの一人ひとりの発達を伝えています。就学先の小学校については、子ども、職員の相互交流や、保育所児童保育要録により、子どもの個々の成長に関する情報を小学校に伝えています。職員ヒアリングでは、遊びは子どもの希望を聞いて主体的な活動を促す、基本的な生活習慣については3歳児で特に丁寧に関わり、継続の意欲を引き出すよう、例えば、うがいは、「ぶくぶく」・「がらがら」等、分かり易く違いを伝え、うがいの励行につなげている等の話を聞くことができました。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

園では、インクルーシブ教育を取り入れ、配慮の必要のある子どもが他児と一緒にできる活動と、個別の活動を個々の発達に合わせて行っています。個別指導計画を期ごとに作成し、専門的な研修の受講や、療育機関の訪問や助言を受けながら、必要な配慮を職員間で共有しています。こだわりのある子どもは、安心できるものを家庭から持ってくることも認めて、心の安定化を図った後に、次の活動を促しています。周りの子どもたちも段々と配慮の必要性や個々を理解し、思いやりながらも普通に関わっています。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

1日の生活を見通したタイムテーブルが用意され、保育活動の他に適宜、自由遊びの時間を設けて体調に合わせてゆっくりとできるように配慮しています。給食後、午後2時30分まで午睡の時間を設けて休息を取っています。1・2歳児は午前・午後、3・4・5歳児は午睡後におやつの時間としてそれぞれ手づくりのおやつを食し、午後の延長時間は退園時間によって、おやつや夕食の提供を行っています。自由遊びや延長保育の時間はゆっくりとできるスペースや、横になれるスペースが用意されています。延長保育の時間は、異年齢児保育となり、子どもたちの年齢に合わせて安全な環境作りに配慮しています。さらに、時間によって保育場所を替え、リズム遊びや、運動遊びを取り入れる等、子どもたちが飽きないような工夫をしています。保護者対応は、職員共有ファイルを用いて、クラス外の子どもの情報を共有して伝え、延長保育の送迎時には、クラス担当が対応できるよう早番・遅番のシフトを組んでいます。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

5歳児は年度後半から、小学校生活を見通したアプローチカリキュラムを導入しています。午睡の時間を逓減すると共に、交通ルールの理解、小学校訪問や、小学生との交流等を図っています。また、幼保小交流行事への参加や、近隣保育園とのドッジボール大会等、地域の年長児と交流することで、同じ小学校に行く友だち作りができ、年長児の安心につながっています。さらに、卒園した小学生に園を訪問してもらう交流ボランティアを活用し、年長児の小学校への進学意欲の醸成を図っています。また、職員と小学校職員との交流の機会を設けると共に、保育所児童保育要録を小学校に提出することで、小学校入学後の子どもの円滑な小学校生活への移行につなげています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

業務マニュアルに衛生管理編を位置付け、感染症蔓延防止マニュアル、嘔吐処理マニュアル、SIDS(乳幼児突然死症候群)手順を定め、年間保健指導計画を策定して、子どもの健康管理を行っています。朝の受入れ時に視診や検温、服用している薬の確認を行い、子ども一人ひとりの体調を把握しています。子どもの既往歴や予防接種等の変化があった場合は、保護者からの連絡を依頼しています。子どもの体調変化やケガ等については、保護者に速やかに連絡すると共に、事後の状況確認をしています。子どもの健康状態に懸念が生じた時は、子どもの家庭生活、養育状況を保護者に確認し、養育相談を行っています。1歳は10分ごとにブレスチェックを行い、就寝状況を観察し、うつ伏せの体位を仰向けに直しています。また、感染症の蔓延が懸念される時期には、園だよりに予防や対応方法を記して、保護者に伝えています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:b】

健康診断の結果は、子どもたちの育成記録に記載し、パソコンに記録することにより、職員間の共有を図ると共に、保護者に伝えています。身体測定のデータを半期に1度栄養士に渡してカロリー計算を行い、食事量の調整等、適切な支援に努めています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

アトピー疾患の子どもについて、医師の指示で薬の塗布を行うことがあります。食物アレルギーの子どもに対しては、アレルギー誤飲・誤食マニュアルや医師の指示に沿って、事故のないよう丁寧な対応に努めています。入園時に、栄養士と食物アレルギー対応について説明し保護者と対応を相談しています。アレルギーの状態に変化があった場合は、医師の所見の下で、園長、担任、栄養士、調理師が保護者と面談を行い、対応方針を決定した後、職員の情報共有を図っています。食物アレルギー児については食事の席を固定して、乳製品・卵の除去食メニューを確認して、トレイ、器の色、名札を複数の担任で確認した後、提供し、事故防止を図っています。一方、厨房では食材を同じ機器で調理しているため、特定のアレルゲンについては除去できないため、その旨を重要事項説明書に記載すると共に、入園説明会で栄養士も同席して説明を行い、保護者の理解を得ています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

食事の場所は、各室とも遊びの場所と区分され、乳児はグループを分け、少人数で落ち着いた環境を用意して、担任が声掛けしながら子どもたちが食事を楽しめるよう工夫しています。幼児は、職員が野菜の栄養素ごとの三色群分けクイズ等を行い、食に興味を持てるよう配慮しています。一人ひとりの食事量を80%から150%までボードに明示して、食器の大きさや量を調節して、完食した達成感を味わうことにより、食に対する意欲を醸成しています。食育計画を策定し、1歳児はクッキング保育(フルーチェ、クッキー型抜き)、トウモロコシの皮むきを、2歳児は、水耕栽培や、トマト・キュウリ・ピーマン・サツマイモ・スイカの野菜作りを、3歳から5歳児は2歳児の内容に加えて味噌汁の具当てを、それぞれ計画しています。また、食べられるものが少しでも多くなるように、無理強いはせずに、形状を替える等して食せるよう工夫を行い、少しでも食べることができれば一緒に喜び合う等の援助をしています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

調理は、「ふれあい中川」の3施設が共同で委託する企業が行っていますが、栄養士や調理員、調理器具等はそれぞれの施設ごとに分けて対応が図られています。また、同じ食材でも子どもの発達に応じたメニューやきざみ食等、調理方法が工夫されています。子どもの日や七夕、クリスマス等季節に応じた行事食も取り入れられ、誕生会や卒園祝等では子どもの要望を踏まえた特別メニューが提供されています。また、季節の旬の食材も提供されており、訪問調査日にはデザートにスイカが添えられていました。月1回、給食会議が開催され、園長、クラス担任、栄養士が参加し、味付けや献立、残食状況等を話し合い、献立の改善・工夫につなげています。食物アレルギーの事故防止に努めると共に、入園説明会では給食に関する説明に栄養士等が同席しています。衛生管理はマニュアルに基づき、食中毒等の事故のないよう対応が図られています。食事やおやつ、延長保育時の食事も直接調理・手作りで提供されています。さらに、人気メニューのレシピや食育内容等を掲載した「給食だより」を毎月保護者に届ける等、委託業者ではありますが丁寧な対応が評価できます。尚、栄養士、調理員は委託業者の職員であるため、日常的に子どもと関わる機会や、子どもたちとの交流がより頻繁に図られるよう園の仲介があると尚良いでしょう。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

日常の送迎時の保護者との会話や、連絡ノートでの情報交換等により、子どもの状況を保護者と共有すると共に、登園時に保護者から聞いたことやお迎え時に保護者に伝えたこと等を記した伝達簿を利用して、子どもの状況を職員間で共有し、どの職員も同じ対応を行うよう取組んでいます。また、日々の保育は、ドキュメンテーションを利用して保護者に分かり易く伝えています。さらに、懇談会、個人面談、保育参観、保育参加等、保護者との交流の機会を定期的に設け、保育内容を適時に伝えると共に、家庭での子育てに関するアドバイスを行い、子どもの健やかな成育に向けて共通理解と取組を促しています。また、園だよりや、クラスだより、給食だより、保健・安全に関するたよりを定期的に保護者に届けることにより、子どもの家庭での生活環境の向上を図っています。特に、生活習慣については家庭での協力が重要なため、家庭と連携した取組を行っています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

送迎時の保護者との会話を子どもの保育を行う上で重要な情報入手ツールと捉え、保護者とのコミュニケーション作りに、園・職員は特に意識的に取組んでいます。気軽に相談ができるよう、その旨を重要事項説明書に記載し、保護者面談の期間だけでなく、随時相談を受付ける旨を職員からも保護者に伝える等、保護者の都合を考慮した体制を整えています。また、個々の子どもに関する相談内容は備忘録にまとめ、職員間で共有しています。相談内容によっては、園長等管理者の助言を得ると共に、必要に応じて外部機関と連携した対応を図っています。利用者(保護者)アンケートでも、「懇談会や個人面談等での意見交換」・「相談事への対応」に関する満足度が、概ね十分を含めてそれぞれ、98.6%・97.1%と高い値が示されていました。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:b】

現在は、虐待が疑われる子どもの在籍はありません。園では虐待防止マニュアルを備え、人権研修や人権マニュアルにより、定期的、虐待の内容や対応手順を確認しています。虐待や不適切な養育について、
子どもや家庭に徴候が見られた時は、昼礼や職員間で共有し、管理者に報告し今後の対応を図ることとしています。また、毎朝の視診や着替えの際、健康診断等でケガの有無を確認し、ケガ等が見られた場合は子どもや保護者に確認して、上記同様の対応を図ると共に保健所や児童相談所等、必要な機関と連携できる体制を整えています。一時保育を受入れているため、虐待の有無を同様に確認して、気になる様子が見られた際は、早めに保護者に声掛けし、面談の時間を持ち、子ども家庭相談のパンフレットを渡す等して虐待の早期発見・予防に取組んでいます。園では、過去に被虐待児の対応経験のある職員がリーダーとして在籍しています。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:a】

ドキュメンテーションを利用して日々保育を振り返り、保育web活用をして、クラス内で週ごとに保育内容を振り返り、今後の保育の実践に生かしています。また、昼礼でドキュメンテーションを活用し他クラスの職員と意見交換を図ることにより、互いに学び、保育意識の向上につなげています。月に1回開催の職員会議についても研修の場と捉え、事前に資料を配付して一人ひとりが読み込み、建設的・効率的な議論の場となるよう図ると共に、保育について深く話す機会となるよう意識して取組んでいます。年2回の自己評価は、半期ごとの取組を振り返り、管理者のアドバイスを得て、管理者・職員の共通の理解により、次の取組を高質化する良い機会となっています。さらに、職員提案により参加している横浜市の往還型研修についても、保育実践の改善や専門性の向上を図る上で有意義であると評価できます。