社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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横浜訓盲院

2024年02月14日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 横浜訓盲院 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 障害児入所施設(福祉型) 定員 50(41) 名
所在地 〒231-0847
横浜市中区竹之丸181
TEL 045-641-3939 ホームページ https://yokohamakunmouin.com/index.html
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1948年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 横浜訓盲院
職員数
常勤職員:33 名
非常勤職員:7 名
専門職員
保育士:17 名
児童指導員:6 名
看護師:1 名
栄養士:1 名
調理師:4 名
施設・設備の概要
居室:一人部屋23室
設備:調理室
設備:食堂
設備:保健室
設備:保育室
設備:主任室
設備:事務室
設備:宿直室
設備:台所
設備:トイレ
設備:浴室
設備:脱衣室
設備:物干室
設備:洗濯場
設備:女性専用休憩室
設備:テラス

③ 理念・基本方針
<法人理念>
創立の精神(キリスト教)を尊重し、利用者個人の尊厳の保持を旨とし、福祉サービスの利用者が心身ともに健やかに育成され、個人の有する能力に応じた自立した日常生活を営むことができるように、良質かつ適切に支援します。
地域や関係機関団体との緊密な連携を進め、施設における事業の充実および地域福祉の進展に寄与します。

<基本方針>
1.施設職員の資質向上を図っていく
2.児童へ安心安全な環境を提供する
3.再整備計画を進めていく
(上記基本方針の下、年度ごとに各フロア・部門ごとの支援方針を定めている)

④ 施設・事業所の特徴的な取組
<横浜訓盲院の特徴的な取組> (基本情報Ⅰ-3の記載事項)
●特に盲児への支援では、横浜市内だけでなく市外、神奈川県外からも児童を受け入れている。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2023/08/04(契約日) ~2024/01/25(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 3 回(2020年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 【横浜訓盲院の概要】 
●横浜訓盲院(以下、施設という。)は、社会福祉法人横浜訓盲院(以下、法人という。)が経営する福祉型障害児入所施設(定員50人)です。法人は、明治22年アメリカ人宣教師により横浜市南区中村町に「盲人福音会」として発足し、明治33年私立学校「横浜基督教訓盲院」に改称、大正2年現在地に移転、大正13年に私立盲学校「横浜訓盲院」を経て、昭和23年に厚生省(当時)の認可を得て盲児施設「横浜訓盲院」として運営を開始しました。昭和29年に社会福祉法人の認可を得た後、障害者自立支援法の身体・知的・精神の3障害一元化に伴い、平成24年に盲児施設から障害児入所施設に変更し、視覚障害児以外の障害児や被虐待児の受入れも行っています。ほとんどの児童が児童福祉法による措置入所ですが、福祉型障害児入所施設として障害者総合支援法による短期入所も行っています。また、視覚障害児については、横浜市内のみならず市外や神奈川県外からも入所を受け入れています。

●当施設は、JR京浜東北・根岸線「山手駅」北西約600m、徒歩15分程の丘陵地にあり、視覚障害児・者を幼稚部から専攻科まで一貫して教育する私立特別支援学校・学校法人横浜訓盲学院と、野球グランド付設の「柏葉公園」に隣接する他、周囲は住宅地となっています。山手駅から施設までの道路には点字ブロックが敷設され目の不自由な方を誘導しています。施設では、5歳から高校3年生までの41名の児童が入所しており、内訳は男児31名、女児10名です。障害者手帳のある利用者は、身体障害者手帳保持16名、療育手帳保持36名、精神障害者保健福祉手帳保持1名で、重複障害のある利用者は19名です。なお、視覚障害児は入所者の半数程度で、知的障害児や肢体不自由児の割合が高まっています。また、意思疎通の困難な児童、単独での歩行が困難な児童、日常生活における全般的な介助が必要な児童もそれぞれ3割~4割在籍し、全体の半数近くが被虐待経験を有しています。児童の居室は、建物の1階から4階までの4フロアに分かれ、男児が3フロア、女児が1フロアで、縦割の年齢構成で生活しています。

●施設と同じ敷地内には、法人が運営する、目に障害のある横浜市内の成人を対象に目の不自由さを軽減するための訓練や相談を行う「生活訓練センター」があり、中区内の山元町には全国初の視覚障害者のグループホーム(定員男女各5名)があります。施設では、法人理念に掲げる「個人の尊厳」を尊重し、「個人の能力に応じた自立」を目指し、一人ひとりの可能性を発展させ、より自立した日常生活を営むことができるよう支援に取組んでいます。

◇特長や今後期待される点
〈高く評価できる点〉
1.【積極的な人材育成への取組】
重度の重複障害を有する児童や意思疎通の困難な児童も多く、支援技術の向上や、職員のモラルの維持・向上等、メンタル面での職員支援が求められる中、施設では、基本方針と年度の重点目標の柱に「施設職員の資質向上」を掲げ、「支援員のマネジメント力の向上」と「支援の質の全体の底上げ」を課題に、幹部職員による「人材育成会議」を設置し、研修についても話し合い、施設全体で課題に取組んでいます。職員育成計画を策定し、採用1年目から経験年数ごとに到達すべき水準と業務内容を明示すると共に、新入職員にはOJTで中堅職員が助言・指導するチューター制度を取り入れています。令和元年度から外部の人材育成に関わるコンサルタントに委嘱し、全職員を対象に、権利擁護・ビジネスマナー・コミュニケーション研修を行い、マネジメント力向上のための階層別研修を職階ごとに細かく設定し、それぞれの職階に求められるマネジメント能力の向上に重点的に取組んでいます。外部研修についても職員の将来を見据え、階層別に「キャリアパス対応生涯研修過程」を受講させる等、ターゲットを絞り厳選した研修を受講させています。内部・外部研修共にオンライン研修を活用し職員の受講環境の改善を図っています。中堅職員面接では、職員の表情も明るく職務に前向きに取組む姿勢が伺われました。また、勤続16年目のスーパーバイザーからは「職員の質は確実に上がっている」との評価を聞くことができました。

2.【組織力を高める体制の構築】
施設では、児童の直接支援に当たるフロア職員のフロア会議(月1回)、各フロアのサブチーフ会議(年5回)、チーフ会議(月2回)と、全職員による全体会議(月1回)を開催し、縦・横の情報共有と課題の検討を行う仕組みがあります。さらに、新任職員の育成に係るチューター会(年5回)と、支援関係の課題や人材育成、支援マニュアルなどの検討を行うリーダー会(年4回)に加え、フロア相互の助言・支援に関わるスーパーバイザーを3名配置し、職員の支援要請に対応しています。特任組織として、幹部職員による人材育成の課題検討等を行う「人材育成プロジェクト」や各種マニュアルの見直しやグループワーク等の検討を行う「生活向上委員会」や、「虐待防止委員会」、「事故防止委員会」を設置し、職員の資質向上を重層的に支援する仕組みを構築し、機能させています。

3.【支援を評価・向上するための事業計画】
基本方針の「施設職員としての資質向上」、「児童への安心安全な環境の提供」の下、施設全体・各フロア、保健衛生部門・栄養部門ごとに、年間の支援方針、支援重点目標(各フロアでは左記に加えて具体的な支援内容)を定め、支援に取組んでいます。複数の支援重点目標は前期、後期に達成状況を評価し見直しを図り、次期の支援、次年度の支援につなげています。事業計画・事業報告は全職員参加の下で策定されており、詳細かつ分かりやすい内容となっています。

4.【標準的・統一的な支援を期するための多岐にわたる業務マニュアル】
重度障害・意思疎通困難な児童も多く在籍するため、支援にあたって標準的・統一的な業務マニュアルが用意されています。マニュアルは、「事故防止」、「苦情解決」、「虐待防止」、「個人情報」、「感染症予防・まん延防止」等、施設全般に関わるマニュアルの他、「食事」、「排泄」、「起床・就寝」、「洗面・入浴」、「着替え・洗濯」、「健康管理」、「与薬」等、直接支援に関わる業務マニュアルが多数策定され、職員の分かりやすいガイドラインとして活用されています。

〈期待される点〉
1.【施設経営課題に対応する中・長期計画の策定】
児童の安心安全を確保するためのハード面での喫緊の課題である施設の再整備計画をはじめ、より高次の期待される職員像の明確化や、それに向けた人材育成、能力開発・活用、人事考課制度の再構築、職員の出退勤状況、残業等勤務実態の把握等の労務管理の改善、障害者雇用、さらには、社会福祉法人として一層の地域貢献(例えば、障害児を養育する家庭への相談・技術援助、任意に活用できる短期入所や日中支援等を行い、「生活訓練センター」と連携した地域の障害児者の総合支援拠点の構築等)について中・長期的な将来展望を描く計画の策定が望まれます。

2.【中・長期課題を検討する組織の構築】
支援関係の検討組織は重層的に構築されていますが、一方、経営面を検討・協議する場が脆弱に感じられます。施設の再整備計画の推進をはじめ労務管理や人事評価制度等のさらなる充実・向上に向けて具体的に推進を図る組織の構築が望まれます。運営委員会が、それに該当すると思われますが、現状では理事長、執行役員への全体会議の検討結果や、運営状況の報告に留まっており、実質的な審議組織としての機能が発揮されていません。外部の有識者の活用を含めた運営委員会の機能強化を図るか、あるいは施設内に事務部門や外部の有識者を加えた課題検討のための組織の構築が望まれます。

3.【地域貢献活動の充実】
施設は、地域貢献活動として実習生を積極的に受入れると共に、多岐にわたるボランティアを受入れています。また、地域ニーズを踏まえ、横浜市内の障害児の「緊急一時保護」、「短期入所」を実施しており、令和4年度の実績はありませんが、日中一時ケアにも対応することとしています。この他、施設を近隣の一時避難場所として提供する他、講堂も近隣住民に開放しており、児童も近隣の柏葉公園の清掃を年4回行う等地域貢献に努めています。一方、社会福祉の手の届いていない分野等への社会福祉法人の地域貢献が一層求められている中、短期入所等の地域支援を超えて、専門的な技術・ノウハウを活用し, 横浜市内の家庭が必要な時に利用できる「子育て短期支援事業」の実施や障害児を養育する家庭への相談、技術援助等、施設機能の多機能化や高機能化を意識して、中長期的な視点で新たな地域貢献活動の検討と実現に向けた取組が進められることが期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
施設名 横浜訓盲院

≪第三者評価を受審した感想・自己評価での取組の感想≫

この度は第三者評価をお引き受けいただきありがとうございました。評価を受け、法人の弱み、強みが改めて浮き彫りになったと感じています。
法人としての中・長期計画や事業方針等が明文化されていませんでしたので、次年度からは明確にするべく法人理事会にて検討していきたいと思います。一方、支援について事業計画、事業報告において、部署ごとにPDCAサイクルに則って作成、見直ししていっていることは職場の強みではないかと思います。

保護者アンケートでは、満足と言ってくださる保護者の方が大半でしたが、不満な部分も少数ですがあったことを踏まえ、保護者ご家族の方に安心して信頼してもらえるような施設運営に邁進すると共に、今後もさらに障害児入所施設の使命を果たしていかなければならないと感じています。

≪評価後取組んだ事として≫

1.呼称や言葉遣いについて、改めて周知徹底した。

詳細評価PDF 詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

法人のホームページや要覧に基本方針を明示し広く周知を図っています。利用者個人の尊厳の保持及び日常生活の自立に向けた適切な支援の提供を通じて地域福祉の進展に寄与するとの基本理念の下、基本方針に「施設職員の資質向上」、「児童への安心安全な環境の提供」を掲げ、基本理念・基本方針に沿って、年度ごとの事業計画に施設全体及び各フロア、部門ごとに支援方針、支援重点目標を明示しています。支援方針、支援重点目標は半期ごとに達成状況を評価し見直しを行い、次年度の事業計画に反映させ、基本理念、基本方針に沿った施設運営に努めています。基本理念、基本方針は、毎年度職員参加で策定する事業計画の冒頭に掲げられ職員に浸透しています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

施設長は、中区の社会福祉協議会に監事として出席し、施設分科会にも属する等、行政や関係機関との連携を通じて、地域福祉の動向や経営環境の把握・分析に努めています。さらに、役員・評議員に地域の町内会の役員の参加を得ると共に、企業や個人等多岐にわたるボランティアとの交流を通じても地域福祉ニーズの把握を心がけています。こうした地域福祉や経営状況に関わる情報や分析結果は、理事長、業務執行役員と施設長等幹部職員で構成した隔月開催される運営委員会で共有し、全職員が参加する全体会議(毎月開催)にも提供し、施設全体の情報共有を図っています。一方、法人・施設の課題とする再整備計画の横浜市の地域福祉計画との擦り合わせ等、行政計画との調整や、横浜市の地域福祉計画や他施設の取組動向等を踏まえ、法人の経営状況や職員体制等の経営資源を勘案しつつ、新たな地域ニーズの発掘に取組まれることが期待されます。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

経営課題は、昭和43年に建設された施設の再整備、職員の勤務時間の把握等の労務管理、支援員のマネジメント力の向上等の支援の質の全体の底上げを目指す継続的な人材育成に集約され、明確になっています。課題の内、人材育成については、令和元年度から外部のコンサルタントに委嘱して階層別研修や課題研修に積極的に取組み、既に成果が表れています。一方、労務管理については、組織内での合意形成を得つつこれから進めていく中期的な課題であり、再整備計画は、児童の安心・安全な環境作りに向けたハード面での喫緊の課題として、再整備のための基金の積立が進められていますが、解決困難な課題も生じており、現時点では先行きが不透明なものとなっています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

中・長期計画は策定されていますが、その内容は施設の再整備計画のみで経営課題の一部です。施設の事業計画の重点目標に「再整備計画の推進」は一つの柱として掲げられていますが、施設内での協議・検討は進んでいません。また、施設の再整備を内容とする中・長期計画は、令和5年度からリスタートし、令和10年に開所する計画となっていますが、計画の先行きが見通せない状況です。施設が課題としている労務管理や、支援の質の全体的な底上げは勿論、地域貢献活動の充実等、施設が取組んでいくべき中・長期的な課題の解決に向けた、中・長期計画の策定が求められます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

事業計画の重点目標の一つに「再整備計画の推進」が掲げられていますが、現時点で再整備計画を施設内で検討できる状況にありません。他の施設の重点項目である、「施設職員としての資質向上」及び「児童への安心安全な環境の提供」については、中・長期計画への位置付けはなく、中・長期計画と単年度の施設計画との実質的な関連はありません。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

事業計画は、毎年度、施設全体計画・フロア計画・部門計画の分野ごとに策定されています。それぞれ事業の目的や支援方針・重点目標(各フロアは支援重点目標の他、具体的な支援内容を記載)を記載し、前期の達成状況を評価して後期の重点目標や支援内容の見直しにつなげています。年度末にも後期の達成状況を評価して支援内容等を見直し、次年度の事業計画の策定に反映しています。事業計画は、全職員が参加して作成しており、具体的で分かりやすいものとなっています。フロア・部門の計画は、それぞれの職員自らが作成し、他のフロアの達成状況等職員間の関心も高く、さらに、編集された事業計画は、各フロアに配付される等により、職員へ周知が図られています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:c】

事業計画の中の、行事や献立等児童が興味を示すものは伝えるようにしていますが、意思疎通の困難な児童や理解の困難な児童も生活しているため、約30ページにも及ぶ膨大な量の事業計画の児童への周知は行われていません。保護者についても措置児童がほとんどであり、所在不明や施設の連絡に忌避感を有する保護者も少なくないため、連絡等ができる保護者が限られていることから保護者への事業計画の周知も行われていません。一方、措置入所の保護者も児童が当該施設に入所していることは全員承知しているとのことであり、事業計画や事業報告をホームページに掲載して広く周知することも一方策と認められます。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

施設では、「職員のマネジメント力の向上」、「支援の質の全体的な底上げ」を継続的に目標に掲げ、組織的に取組んでいます。施設では、職種ごと、職階ごと、経験年数ごとに業務スキルの達成目標等を定める等「期待される職員像」を明示し、新入職員には中堅職員が助言・指導にあたるチューター制度を取り入れると共に、ベテラン職員によるフロア横断的なスーパーバイザーを3名配置して職員の相談・援助に当たっています。人材育成に関わる外部のコンサルタントを講師とする、マネジメント力向上のための階層別研修を新入職員から主任支援員まで重点的に実施しています。フロアごと、部門ごとに、事業計画の目標の達成状況を評価し改善につなげる仕組みがあります。また、生活向上委員会や虐待防止委員会、事故防止委員会を毎月あるいは隔月に開催し、児童のサービスの向上方策や関連マニュアルの見直しを行っています。第三者評価の受審も今回で4回目となる等、福祉サービスの向上に向けた取組が組織的、継続的に行われ、効果を上げています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

児童の支援に関しては、支援目標を明確にした事業計画を半期ごとに評価して見直し、次期そして次年度に改善を図っています。さらに、施設として人材育成を継続的な重点課題と捉え、戦略的な研修を実施すると共に、施設内に施設長、事務長、主任支援員、スーパーバイザー、外部講師による「人材育成プロジェクト」を毎月開催し、より高次の「期待される職員像」の明確化や、その実現に向けた戦略的な研修の在り方等の検討を進めています。一方、施設の再整備計画や労務管理上の課題については、実質的な取組は進んでいません。報告が主な内容で改善方策の協議の場としては脆弱な「運営委員会」に課題に対応する外部の有識者を加えて審議機関として改組するか、あるいは、施設内に事務部門、外部の有識者を加えた施設横断的な幹部職員による審議組織を設ける等により、施設整備や労務管理等の施設運営面に関する実質的な検討が進められることが期待されます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

施設長は、施設運営及び児童支援全般の最終責任者であり、かつ、対外活動推進の役割を担うこととされており、業務マニュアルの中で、組織図に施設長をはじめ各職制の位置付け、指示系統、役割、責任が簡潔に明示され、施設長不在時の権限の委任先も記載されています。業務分担表でも施設長の役割分担を記載しています。さらに、施設内の支援体制である主要な会議、委員会に構成員として参加し職員との連携、職員への指導、助言に当たっています。年度当初の全体会議では、所信表明を行う等、職員に対して自らの役割と責任を表明しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設長は、横浜市や中区の行政機関や社会福祉協議会が行う説明会や研修会等を通じて関係法令の制定や見直し等の情報の入手に努めています。入手した情報は全体会議を通じて各部門の規則、マニュアルの見直しに反映させています。ハラスメントの防止や育児・介護制度の改正や、取引業者との適正な関係の確保等、職場環境の向上や適正な施設運営、社会的要請を背景とした法令の制定・改廃についても、規程集の関係規定においてその都度、規定あるいは改正が図られています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

「支援の質の全体の底上げ」を重点課題として、施設長のリーダーシップの下、施設全体で取組んでいます。施設長は、PDCAサイクルを有する事業計画の策定、外部講師による研修実施を主導することに加え、人材育成会議や人材育成プロジェクトをはじめ、生活向上委員会や虐待防止委員会、事故防止委員会等に参画し、福祉サービスの質の向上に向けた改善に意欲的に取組み、指導力を発揮しています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

理事長、業務執行役員、管理者、フロア・部門責任者で構成する「運営委員会」を運営し、経営課題の共有を図る他、理事長・運営会議の意向を受けて、全体会議を通じて職員の合意形成を図りつつ指導力を発揮し、業務上の課題の解決に意欲的に取組んでいます。人材育成会議で人材育成の課題の共有や研修の在り方を検討すると共に、人材育成プロジェクトでは、職員の質の高まりに伴うより高次の「期待される職員」像の明確化や人材育成方策の検討を図り、「生活向上委員会」、「虐待防止委員会」、「事故防止委員会」に参画し、職員と共に改善策や関連する業務マニュアルの策定・見直しに努めています。業務上の職員の意向や要望についても目標管理手法や面談等を通じて把握に努め、円滑な組織運営を進めています。一方、施設再整備や労務管理等の経営課題に関しては、「運営会議」の充実等、より実効性のある組織の構築に努めること等により、改善に向けた取組を進めていくことが期待されます。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

福祉人材の確保については、主に保育士を支援員として採用しているため、専門学校の説明会に出向く他、ホームページでの募集を行っています。男児フロアが多く、男性の保育士、児童指導員を他の施設に比して多く採用していることもあり、これまで特に困難なく採用が図られています。定着化については、新入職員に対するチューター制度導入や、採用1年目から経験年ごとに、期待される職員の水準を明示し、階層別研修等により人材育成を図っています。意思の疎通等、支援の困難な児童も多く生活していることから、統一的な支援が図られるよう多様な生活場面に応じた業務マニュアルを用意すると共に、経験豊富な3名の職員がスーパーバイザーとしてフロア横断的に職員を助言、援助して困難ケースの抱え込み等の防止も図っています。フロア会議、サブチーフ会、チーフ会やリーダー会、チューター会等重層的な支援組織を構築して支援員の縦横の連携を図る等、人材の定着に力を入れており、職員の平均在職年数も8年超と年々伸びています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

業務マニュアルに、期待される職員像を明示し、採用1年目から経験年数ごとに達成すべき職務水準を記載し計画的に職員育成を図っています。職務要件表には、階層別の能力や専門資格、昇格要件等を定めて職員に周知しています。また、全職員を対象に階層別研修を行う他、外部のキャリアパス対応生涯研修課程に職員を派遣する等、職制に応じた能力開発を図っています。職員ごとに年度の達成目標を設定して面接により達成度合いを評価する他、能力評価は業務マニュアルの昇格要件に沿って基準を設け、業務遂行能力や専門性等、複数の視点により行っています。こうした取組の一方、職員は人事管理の内容が分かりにくいと捉えています。人材育成プロジェクトで目指している、より高次の期待される職員像の明確化に加えて、目標管理制度についても、達成結果を評価し易い指標(例えば、キャリアアップ(資格取得)、業務成果(事故0達成,規定・マニュアル作成、具体的な業務提案・改善等))を年度当初に、管理者と職員との個々の話し合いで決め、年度末にその達成度や施設へ貢献度を評価し、昇任・昇格や期末手当の査定等に職員の努力の成果が反映されるような、目に見える仕組み作りが中期的課題と認められます。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

施設長は、施設長の責務・業務分担として業務マニュアルに「諸規定その他労働全般に関する責任者」と位置付けられています。毎年職員と面接し、異動や就業環境に関わる職員の希望や要望を聴取して実現に努めています。研修を委嘱する外部のコンサルタントを窓口として職員からの相談を随時受付ける体制を整えると共に、横浜市等が設置する「心の健康相談窓口」をメンタル的な相談窓口として職員に紹介しています。育児休暇や介護休暇等の長期休暇の取得やワークライフバランスの奨励等、職員が休暇を取りやすい職場作りにも努めています。メンタル面での休職者もなく、調査日での職員面接においても、職員相互の協力関係が醸成され、働きやすく、休暇取得もし易い職場であるとの評価が多く聞かれました。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

常勤職員・非常勤職員共に全職員が、オンライン研修を含めて階層別研修や課題研修を受講できる環境が整えられています。職員一人ひとりの目標管理制度の導入、期待される職員像の下での職員の計画的な育成、チューター制度、スーパーバイザーの配置、フロア会議等重層的な職員会議の中での職員の相互研鑽等、職員を育成する仕組みが多重に構築され、機能しています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

「施設職員の資質向上」を基本方針の一番目に掲げ、施設長、事務長、主任支援員、スーパーバイザーと外部講師による「人材育成会議」で戦略的な研修計画を検討する他、各フロアから研修担当を選出してフロアからの研修の評価や研修の希望を取りまとめています。人材育成会議とフロア担当の要望・検討結果を集約し年度ごとの研修計画が策定され、実施後はアンケートや研修報告等により研修内容を評価して、次年度の研修計画の策定につなげています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

新任職員オリエンテーション、ビジネスマナー等の基本的な研修をはじめ、権利擁護、性教育等の課題研修、新任職員から主任指導員に至るまで、全職員を対象とする階層別研修を実施しています。また、キャリアパス対応生涯研修課程や初心者のための記録入門等職員の能力開発に資する厳選した外部研修に職員派遣を行っています。研修参加が難しい職員には、オンライン研修(一部の外部研修を含む)を取り入れ職員の研修参加に向けた利便性を高めています。常勤職員、非常勤職員共に階層別研修等業務に関わる研修に全員が参加しています。なお、サブリーダー、中堅職員の育成が重点的に図られており、令和4年度は他の階層の2回の受講に比して、サブリーダー、中堅職員の受講は4回となっています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

施設では、コロナ禍にあっても、実習生受入れは福祉人材の育成と地域貢献の一環であるとの認識の下、保育士を目指す実習生の受入れを令和4年度も絶えることなく継続して行っています。令和4年度に受入れた実習生の数は65人、実習日数は280日を数えます。実習生の受入れに当たっては、事業計画書に、受入目的と年間の受入計画を記載し、職員周知を図ると共に、実習生受入マニュアルを定めて受入れています。実習生にはオリエンテーションを行い、注意事項や施設での生活や勤務時間等を記載したリーフレットを配付して実習の円滑化や実効性を高めています。実習の全体を通したカリキュラムの作成や指導者の研修については、入所児童の支援の実際を学んでもらうことを主眼としているため、行っていません。なお、令和4年度は冬季に、コロナウィルスのクラスターの発生や、インフルエンザの流行があり、実習生の所属フロアの検討・変更等により、実習生に一人も感染者を生じさせることなく計画通りに実習が実施できたことは評価に値します。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人のホームページに定款や評議員・役員名簿及び同報酬規程や7か年分の決算帳票を掲載すると共に、全国社会福祉協議会の福祉・保健・医療情報(WAMNET)に、法人の現況報告書や計算書類を登録する等、社会福祉法人として求められる情報は公開しています。一方、法人・施設では毎年度詳細で分かりやすい事業報告書と事業計画書を職員参加により作成しています。情報伝達が困難な入所児童の保護者への情報提供や地域の理解促進を図るためにも、こうした事業報告書等をホームページへ掲載する等の、より積極的な情報公開がなされることが望まれます。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

就業規則をはじめ服務規定や職務権限規定、管理規定、文書規定、経理規定等施設の適正な運営を図るための各種規定を「規則書」に取りまとめ、フロア等各部署に配付すると共に、全体会議でも周知・徹底を図っています。法人の監事による内部監査を年2回受審し、経理や財産管理等の財務面の業務処理を会計事務所に委託し毎月の整理・点検を受ける等、適正な経営・運営のための取組が進められています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

日常では近隣のコンビニエンスストアでの買物体験や近隣の公共施設の利用を支援する他、自治会の祭り等の行事への参加や、隣接の公園の定期清掃、ボランティアの受入れ等、地域交流に努めています。また、施設全体及びフロアごとに余暇支援・社会体験に係る月ごとの計画を定め、近隣の初詣から横浜市内外のリクレーション施設等の地域資源を活用した体験学習にも力を入れています。余暇支援・社会体験については事業計画に記載されていますが、事業計画の地域交流の項目には、実習生・ボランティアの記載のみで、児童主体の地域交流に関する記載がないため、地域貢献も含めた地域交流の考え方を整理・記載することにより、地域交流を一層意識した新たな取組が進められることが望まれます。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

毎年の事業計画書中の実習生の受入れ目的として、「地域の方、学生等へ施設や障がい児を知ってもらう機会」と明記し、ボランティア受入れに前向きに取組んでいます。ボランティアの受入規定を備えると共に、ボランティアの受入れに係るマニュアルを整備し、ボランティアには書面で注意事項を説明し、守秘義務等の誓約書も受領しています。ボランティアは個人、企業等多数が登録され種別も多岐にわたっています。一方、コロナ禍にあって現状はやむを得ないものと認められますが、学校の生徒・児童の受入れや、個人の遊びボランティアの受入れ、ボランティア懇談会の開催等が中断しています。コロナ対策が緩和された現在、取組の再開が望まれます。なお、施設では、学校等の送迎や学習支援のボランティアの受入れ等、受入れ種別の拡充を望んでいます。望まれる人材確保を図るために、学校等関係機関と連携した教員経験者の活用や、ホームページ等の広報媒体による公募も検討されることも有用かと思われます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

横浜市中区の社会福祉協議会に施設長が監事として参画すると共に、横浜市内の児童相談所をはじめ行政機関や関係施設・団体、学校、医療機関等と密接に連携を図り、役員・評議員への自治会の役員の招聘や、多種多様なボランティアとの交流を図っています。こうした地域資源をリスト化し、活用・連携が図られています。児童の卒園後は法人内のグループホームや、関係機関や団体と連携して、児童の地域移行先の開拓や移行後のフォローアップ等にも積極的に取組む等、新たな地域資源のネットワーク化にも努めています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

施設長は横浜市や中区等の会合に役員として参加することを通じて、広く行政の福祉ニーズの把握に努め、法人の役員・評議員に近隣自治会の役員を加える等、地域ニーズを把握する仕組みを備えています。さらに、ボランティアの受入れや、緊急一時保護や短期入所の実施等により在宅の障害児のニーズ把握が多面的に行われています。一方、施設がこれまで培ってきたノウハウや、法人の資金面等、法人・施設の体力を勘案すると、地域の社会貢献活動はまだ十分とは言えません。社会福祉法人として一層の地域貢献を図るためにも、横浜市等の行政や、類似施設事業との連携を図ること等により、さらに地域ニーズの把握に努めることを通じて、新たな地域貢献活動の展開につながることが期待されます。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

施設の広域防災拠点の提供や講堂の地域開放、児童による定期的な公園清掃等のボランティア活動、実習生やボランティアの受入れ等の地域貢献に前向きに取組んでいます。一方、事業計画の地域交流の項目に、地域交流・地域貢献の基本的な考え方が記載されていません。視覚障害児の支援に独自の専門性を有することから、措置による家庭支援を超えて、公的機関からの受託や契約による施設利用、家庭への相談や技術支援等、地域支援の考え方を整理して、一層の地域貢献が図られることが期待されます。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

基本方針や年度ごとの事業計画に、「職員の資質向上」、「支援員のマネジメント力の向上」、「支援の質の全体的な底上げ」を重点目標と定め、専門的・戦略的な研修の実施等、施設全体で福祉サービスの向上に取組んでいます。支援にあたって統一的な支援を目指す詳細な業務マニュアルの作成や、フロア会議や各階層別の会議や全体会議等、重層的な縦横の連携の仕組みを構築し支援方法の検討・検証を行っています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

個人情報保護に関わる規定・マニュアルを整備すると共に、全体会議や研修等により職員の意識も醸成され、ソフト面での児童のプライバシー保護は徹底されています。一方、ハード面では、個室化を図るため居室を間仕切りしたため、入口側の居室が通路とならざるを得ないこと等から児童のプライバシーの保護は万全とは認められません。プライバシー保護のためにも施設の早期の建て替えが望まれます。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

施設を含む法人の要覧を作成し関係機関や団体に配布すると共に、連絡が可能な保護者にも配付していますが一部に留まっています。契約入所の児童・保護者には重要事項説明書や入所契約書により情報提供が図られていますが、さらに、事業計画や事業報告等施設活動の実際を利用希望者等に事前に広く提供・周知する手法として、ホームページ掲載等広報媒体を活用した情報提供の一層の取組の充実が期待されます。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

契約入所者やその家族には重要事項説明書や契約書等を通じて説明がなされていますが、措置児童については種々の家庭事情により児童相談所を介した説明となっています。児童へのサービス開始や変更に当たっては理解促進を図るため児童個々の特性に応じて丁寧な説明に努めていますが、大半の児童の理解を得ることが困難な状況です。個別支援計画への児童本人の意向の反映を図る上でも一層分かりやすい説明方法の工夫が求められます。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

児童の地域移行を担当する専任の窓口は設置していませんが、当該児童の担当者が円滑な移行が図られるよう事前の準備や、移行先のへの事前・事後の連絡・調整等のフォローに努めています。さらに、経験豊富なスーパーバイザーが相手先事業所や家庭への連絡・相談面で担当職員を援助する等、児童の意向に沿った地域移行が円滑に進められるよう施設として支援の仕組みを講じています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

児童の余暇時間や社会参加の充実に向けた各種行事を計画的に実施し利用者サービスの向上に努めると共に、これら行事に参加する児童の表情、態度の観察や、日常の食事や支援提供に対する児童の反応を見ながら支援の継続・改善を図っています。一方、意思把握の困難な児童も多く生活していることから、安心・安全等日常の生活に係る継続的なアンケートの実施や、児童が主体的に参加できる児童会の設置、さらには臨床心理士等の専門職の配置による児童の意向・要望の聴取等、多チャンネルで児童の意向を把握することにより、児童の満足度向上に向けた取組の充実が図られることが期待されます。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

苦情解決マニュアルを整備すると共に、第三者委員の委嘱や苦情責任者・担当者の設置等苦情解決の体制が整えられ、当該仕組みを施設内に掲出することにより周知が図られています。また、各フロアや施設内に苦情・要望を提出できるポストを設置し、児童からのこれらの提出の促進も成されています。一方、児童が自由かつ主体的に発言等ができる児童会は設置されていません。児童からの苦情や要望は児童との話し合いにより解決したとして、苦情等の件数や内容の第三者委員への報告事例はなく、第三者委員は行事等への参加に止まっています。苦情の内容は情報公開の対象としていますが、ホームページ等による開示は行われていません。業務改善につながる苦情や職員の支援に関わる申し出については苦情と捉え、さらに内容を精査し苦情件数やその内容・解決結果について、第三者委員への報告やホームページによる情報公開がより積極的に図られることが期待されます。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

フロアの職員は、児童との関係性の構築に日頃から努め、児童が職員に話しやすい、また相談しやすい雰囲気作りを図っています。各フロアや施設内に苦情・要望を自由に提出できるポストを設置すると共に、児童には任意に職員を選んで苦情や相談ができることを伝える等により、児童が相談や意見を述べやすい環境を整えています。苦情や要望の聞き取りに当たっては、施設の面談室を使用する等、児童のプライバシーの配慮にも意を用いています。一方、関係文書の掲出については、苦情解決の仕組みの掲示はありますが、こうした仕組みや、相談できる職員を自由に選べることなどについて、図やイラスト、あるいは大きなひらがなによる記述等を用いて、児童の理解を一層促進する工夫が求められます。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

児童からの直接の苦情や要望は、フロア職員がその内容をフロア日誌に記載すると共に、苦情解決マニュアルに沿って速やかにフロア会議において情報を共有し対応の検討を図り、苦情解決責任者や苦情解決責任者を交え対応方針や解決方策を決定しています。解決方策については、児童に分かりやすく丁寧な説明に心がけることにより、児童の不満の解消や要望の解決に努めています。その結果、児童の当該苦情や要望が継続することはこれまでのところ生じていません。フロア日誌は業務システムに搭載されると共に、児童との対応結果や解決方策については全体会議で報告して職員の情報の共有化が図られています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

事故防止に関する各種マニュアルを整備すると共に、施設長、事務長、主任支援員、看護師、栄養士、各フロアの主任で構成する事故防止委員会を設置し、事故・ヒヤリハットの検証、事故防止関係マニュアルの見直し、事例検討、不審者想定訓練等を実施しています。ヒヤリハットや事故については各報告書に記録すると共に、事故防止委員会で毎月集計し、ケガや暴力、居所不明等の様態別に分類し、内容や対応結果の検証を行い、評価や、課題を事業報告書に記載して、福祉サービスの改善に努めています。向精神薬を服薬している児童もいるため、服薬ミスについては、ヒヤリハットから内部事故に取り扱いを変更する等、対応の見直しも図っています。なお、ヒヤリハット報告書は業務システムにより職員の情報共有がなされています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症予防・まん延防止マニュアルを整備すると共に、毎年の事業計画の中に保健計画を位置付け、保健計画の目的の柱に「流行性感染疾患の予防・まん延防止」を掲げ、「より効果的な感染予防対策の対応検討・改善・実用化」、「感染症予防に必要な医療物品の常備・管理・補充」、「まん延防止を目的とした予防接種の実施」を目標とし、看護師を核とした「保健委員会」を中心に、施設をあげて感染症の予防・まん延防止に取組んでいます。令和4年度は、冬季にコロナウィルスとインフルエンザの同時発生がありましたが、当該マニュアルの活用や全体での取組体制の下、混乱なく対応が成され、感染症まん延防止のための物品や抗体検査キットの不足もなく、感染症の拡大を防ぐことができました。上記感染症の同時発生時の経験を踏まえて、「抗体検査陰性の場合には受診してインフルエンザの検査を実施する」ことを当該マニュアルの項目に追加する等、継続的な取組の改善が図られています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

防災対策については、「防火管理規定」、事業継続計画を含む「非常災害時対応マニュアル」、「特別避難場所開設・運営マニュアル」を作成し、非常事態に備えています。事業計画に、「防災訓練を実施し、緊急時においても児童の安全を確保する体制、スキルを身につける」、「防災訓練を通して、職員、児童の防災への理解を高める」ことを目的に掲げ、「点検及び防災訓練実施年間計画」を定め、防災担当を中心に、毎月、消防設備点検、電気・ボイラー等の施設点検を外部業者に委託し実施しています。また、4月には中消防署の防災講習会をはじめ、毎月定例の初期消火訓練に加え、緊急避難訓練、夜間訓練、地震防災訓練、救出救助訓練等毎月課題を決めて訓練を行っています。訓練の実施結果は半期ごとに評価し、課題検討を行う等実効性を期しています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

重複障害を有する児童や意思疎通が難しい児童等支援の困難な児童が生活しているため、より一層の支援の統一化と個々の児童にあったサービスの提供が必要となっています。特に、児童への統一的なサービスの提供を図るため、事故防止や虐待防止、食物アレルギー対応等の標準的なマニュアルに加え、食事、排泄、洗面・入浴、着替え・洗濯等、衣食住の生活場面の支援に向けた多岐にわたる業務マニュアルが用意され、職員の標準的なサービスの提供に寄与しています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

業務マニュアル等の児童の支援に係るマニュアルについては、毎月開催される「生活向上委員会」において、虐待、権利擁護、性教育等の視点を加味して、その実施方法を評価し、課題を明確にして関連マニュアルの見直しを行っています。また、生活向上委員会では、「児童の生活環境や衛生保持をより向上させるための支援の在り方の検討」や、「日常の支援の中で、権利擁護に反する可能性がある事例の検討による職員の権利擁護の意識向上」、「性マニュアル導入後の評価」等を行い、年度末には一年間の取組を評価し、課題を抽出して、次年度の取組やグループワークのテーマ設定に生かしています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画の策定については、フロアの担当者がフロア職員やフロアチーフの助言を得ながら、児童の生活状況のアセスメントを踏まえて原案を策定すると共に、施設長、主任支援員、スーパーバイザー、フロアチーフ、フロア支援員、看護師、栄養士等多職種によるケース会議を年3回開催して策定、評価、見直しを丁寧に行っています。個別支援計画は業務システムにより職員の周知が図られています。個別支援計画の作成手続きは適切と認められますが、入所児童には被虐待児童や意思の把握困難な児童が多数生活しているため、日常の心理的なケアに加え、個別支援計画への心理面での見立てを加味するためにも、臨床心理士の配置、活用が望まれます。当面は、困難ケースや精神的なケアを要する児童の個別支援計画の策定に当たっては児童相談所の臨床心理士の参加・支援を得ると共に、児童相談所の担当者を交えて個別支援計画の策定を行うこと等の検討の余地ありと考えられます。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画は、フロア会議により必要に応じて見直しがなされ、管理者や多職種が参加する年3回のケース会議により評価、見直しが図られています。個別支援計画は、業務システムにより職員の共有化が図られる等、丁寧な取組が成されています。臨床心理士の参加が望まれますが、これについては前評価項目で触れましたので、ここでは施設の前向きな取組を評価いたします。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

各種マニュアルに沿って記録が行われており、フロア日誌、育成記録、ケース会議報告書、個別支援計画、個別支援計画評価表、フロア会議録、アフターケア計画書・報告書等、福祉サービスの実施状況が業務システムに掲載され、職員間で共有が図られています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

文書規定や個人情報保護に関するマニュアルが整備され、施設長を文書管理の責任者に位置付けると共に、児童に関する記録について、保管、保存、廃棄、情報提供までの一連の手続きが明確化されています。さらに、守秘義務や個人情報保護について、毎年の全体会議で徹底を図り、職員から誓約書を徴する等により、守秘義務に対する職員の意識の醸成が図られています。利用者に関する個別支援計画や児童の育成記録、アセスメントシート等の個人情報は、施錠できる保管室により厳重に管理されています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

児童が入所する各フロアでは、児童が自立した生活を送ることができるよう様々な生活場面で児童の自己決定を促し、児童の意向を尊重した個別支援に努めています。意思把握の困難な児童に対しては、児童の表情や動作の変化を注意深く観察し、児童が表出する様態をアセスメントシートに記録し、記録の蓄積により児童の意思を推測して、フロア会議や職員相互の共通理解の下、個別支援計画を作成する等、児童の意向に沿った支援に努めています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

法人・施設の理念に「利用者個人の尊厳の保持を旨とし」と明示し、虐待防止員会を兼ねる生活向上委員会の活動の主目的に児童の権利擁護を位置付け、児童の日常の支援の中で権利擁護に反する可能性がある事例を抽出・検討する等により、職員の権利擁護への意識向上を図っています。さらに、児童の権利侵害が生じることがないよう、直接児童の支援に当たるフロア職員間で支援内容を常時確認しています。外部の人材育成に関わるコンサルタントに委嘱した課題別研修においても、毎年権利擁護研修を取り上げて職員の意識の醸成に努めています。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

基本理念に、「福祉サービスの利用者が心身ともに健やかに育成され、個人の有する能力に応じた自立した日常生活を営むことができるように良質かつ適切に支援します」を掲げ、各フロアの支援方針、支援重点目標に、児童の発達段階に相応した自立の促進や、社会的自立に必要なスキルを身につけることを目指す月間目標を掲げて支援を行い、児童それぞれに応じた自立支援方針を個別支援計画に明記して、職員共通理解の下、支援に取組んでいます。さらに、フロアごとに児童の自立能力の状況等を勘案しながら余暇支援・社会体験計画を立て、遊びや体験を通して児童の自律・自立能力の向上に努めています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

職員は子どもの障害の状況等に応じて、会話や身振り、サイン等を用いて児童との意思疎通を図っています。一方、コミュニケーションや意思決定に支援を要する意思疎通の困難な児童が4割近く生活しているため、アイコンタクト等によって表情の変化を読み取ることや、遊び等日課への参加状況、食物の摂取度等、様々な場面での児童の様態を観察し、その様態や変化をアセスメントシートに記載し、フロア職員で合意形成を図りながら統一したコミュニケーション支援に取組んでいます。一方、職員は、こうした意思疎通が困難な児童を適切に理解するための取組が課題と捉えており、コミュニケーション機器の活用や障害児・者心理学に堪能な臨床心理士の援助を得る等、有効な支援方法の検討が望まれます。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

フロア職員は、児童の意思を尊重しながら日常生活の支援に努めており、その前提として、児童が職員に話しやすい、相談しやすい雰囲気作りをフロア職員の連携の下、日常生活支援の様々な場面で児童と会話や相談を行うことにより児童との意思疎通や意思確認を図っています。児童からの相談等の内容は児童の育成記録に記録すると共に、フロア会議で検討し、必要に応じて全体会議で情報共有や検討を行い、個別支援計画に反映する等、児童の意思に沿った支援に努めています。一方、意思疎通の困難な一部児童とのコミュニケーションを図る上での困難性があり、こうした児童に対する適切な意思決定支援が課題となっています。臨床心理士の援助を得る等相談体制の充実が望まれます。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:b】

幼児への日中活動プログラムの提供をはじめ、利用者の心身の状況に応じて日中活動プログラムの工夫、提供が行われています。施設全体やフロアごとに余暇支援・社会体験を毎月計画し、日中活動の充実や各種体験を通じた自立支援が図られています。美化計画を作成して近隣の公園の清掃を定期的に行うことや、祭りや初詣等の地域の行事参加を通じて、児童の地域貢献や地域参加も図られています。栄養士が児童給食委員会を運営し、フロアごとにケーキや肉まん作り等の調理体験を行う等、各フロア・各部門が協力して児童の日中活動の充実に努めています。一方、全ての児童のニーズに対応する日中活動メニューの多様化は、児童の障害特性や職員体制上の制約もあり提供が困難であると共に、地域のレクリエーション、スポーツ活動の情報提供についても、同様に児童の障害特性上の困難さから一部の児童への提供に止まっています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

「施設職員としての資質向上」と「児童への安心安全な環境の提供」を事業計画の重点目標に掲げ、継続的に人材育成、利用者サービスの向上に努めています。職員の資質向上について、外部の人材育成コンサルタントに委嘱し、職員のマネジメント力の向上に戦略的に取組むと共に、児童支援に当たってはフロア会議やケース会議を通じて、個々の児童の心身の状況を把握し、職員が連携して支援に取組んでいます。さらに、生活場面を想定した詳細な業務マニュアルにより、統一した支援を図り、フロア横断的に経験豊富な職員3名をスーパーバイザーに選任し、フロア職員の技術援助や困難ケースの支援の助言・指導を行うことにより、児童への適切な支援の向上に努めています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

児童の食生活については、栄養士を中心に、事業計画に「栄養計画」を掲げ、「食を営む力の育成」を長期目標に、また、障害の程度により編成されたフロアごとに、食べられるものを増やしていく等の短期目標を設定し、食育に取組んでいます。施設の調理員による食事をカウンター越しに食堂で取る方式を採用しており、温かいものは温かく、冷たいものは冷たく食することができます。食堂の壁を利用して各フロアの行事等の写真やイラストを掲示する等、楽しい食事の環境作りを行っています。メニューには毎月季節を感じさせる献立を工夫し、児童の誕生日には児童の希望する献立を提供する他、食事の量の調節や、刻み食等児童の状況に合わせ4つの食形態で提供しています。食事は児童の一番の関心ごとであり、季節感に富んだイラストに囲まれた献立表が各フロアに配付されています。衣服や寝具の洗濯、居室の掃除等清潔の維持に努め、同性介助や自立により毎日入浴ができるよう図られており、排泄の介助等、生活全般を通して個別支援計画に沿った支援が行われています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:b】

建物は、昭和43年に新築されたもので築55年が経過していますが、居室は当時主流の大舎性ではなく、二人部屋を基本に設計されています。現在は、居室に間仕切りをして個室化が図られています。各フロアには共用スペースを設けてテレビや漫画、絵本等の書籍も用意して、児童が自由に過ごせるよう配慮が成されています。トイレや浴室、洗面所、玄関が各フロアに設置され、各フロアのユニット化が図られています。児童の供用部分は清掃や整頓が行き届いており、清潔な住環境の保持が図られています。コロナ禍やインフルエンザの発症時には個室での隔離等、感染症の拡大防止が図られ児童の安心・安全な生活が守られています。こうした努力の一方、ハード面では、居室の間仕切りによる入口側の居室の通路化や、通風・採光の阻害等、プライバシーや快適な住環境面からの課題があり、また、トイレや洗面所も集団生活を想定した学校形式のもので現在の家庭的な生活スタイルとは異なるものとなっています。ついては、建物の建て替え等、ハード面での住環境の早期の改善が望まれます。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

児童は、神奈川県こども医療センターや、横浜市の療育センターの医師、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の施療を受けると共に、理学療法士や作業療法士等の指導を得て、個別支援計画に機能訓練・生活訓練を位置付け、児童の療育に取組み、日常生活においても運動や掃除等体を使うプログラムを設定して体幹等の機能強化を図っています。支援結果は半期ごとにモニタリングを行い、支援方法の見直し・改善につなげています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

フロア職員が毎日検温や視診により児童の健康状態を把握すると共に、入浴や排泄等の支援を通して児童の健康状態を観察しています。また、保健計画に基づき毎月体重測定を実施し定期的に検便を行っています。発熱や下痢等の体調の変化を確認した場合は、看護師と連携して嘱託医の指導や受診を速やかに得ると共に、症状によっては、あらかじめ連携を図っている、県立こども医療センターや横浜市立大学附属病院に救急で受診する他、歯科、眼科、整形外科等の地域の診療所と連携を図り、円滑な受診を確保して適切な対応に努めています。さらに、誤薬を防ぐためにヒヤリハットから内部事故の取り扱いに変更し、嘱託医による研修の受講や保健委員会での感染症防止等の課題検討を通じて、児童の健康管理に関する職員の意識向上を図り、児童の健康管理に万全を期しています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:a】

事業計画に保健計画を位置付け、児童、職員の健康維持・増進、症状・苦痛の緩和、職員の医療知識・技術の向上、感染疾患の予防・まん延防止を目的に、それぞれ目標を設定し年間保健計画を立て、児童、職員の健康管理が行われています。業務マニュアルに、児童支援全体の責任者として施設長を位置付け、看護師を健康管理全般の現場責任者に任命して日常の児童の健康管理に当たらせると共に、医療機関との連絡調整を図っています。また、小児科・内科の専門医を嘱託医として医療的な支援を得ています。さらに、食物アレルギー対応や感染症予防・まん延防止等に係る保健衛生関係のマニュアルを整備し、手順に沿って医療面での児童の安全管理を図り、保健計画の評価や見直し、ヒヤリハットによる検証等の仕組みを通じて、安全管理体制の充実・強化が図られています。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は、児童の日常生活の支援に努め、児童との信頼関係の構築を図ることにより、児童の意向やニーズ把握に努めています。把握した情報を基に、児童の心身の状況や自立の達成状況等を勘案して、外食や遊戯・レクリエーション施設利用、花火大会や初詣や、地域行事への参加等、児童の余暇支援・社会体験活動を毎月工夫して年間計画としてフロアごとに実施し、実施結果を評価して下半期や次年度の計画に反映しています。友人関係については、友人を招くことや友人宅を訪問することも児童の自主性・自立性を尊重して認めています。また、学習については、学校と連携して学校生活の状況を把握すると共に、子どもの希望や必要に応じて、宿題や課題への児童の取組を支援しています。なお、学習支援について職員の負担軽減を図るためにも、教育現場経験者のボランティアやパートタイム活用等も検討の余地ありと考えられます。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

児童相談所や家族との相談・連携を図りながら、児童の希望・意向の把握に努め、極力、児童の希望等に沿った地域生活移行の実現に取組んでいます。個別支援計画に地域生活の実現に向けた児童の意向や、課題、支援方針を記載し、掃除・洗濯や調理、金銭管理や社会常識等、社会生活に必要なスキルの習得を援助し、地域生活移行の候補先との連絡調整を通じて児童や相手先への情報提供を行う等、円滑な地域生活移行の実現が図られるよう取組んでいます。地域生活移行後は、担当した職員がスーパーバイザーの援助も得ながら、利用者の状況確認や、地域生活に関する相談等のアフターケアに努めています。令和4年度は、卒園者4人のうち障害の程度の重い1名は成人施設への移行となりましたが、グループホームへの2名や家庭復帰1名の計3名の地域生活移行が実現する等、取組の成果が表れています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

子どもの家族との連携・交流は、子どもの成育歴や家族の状況を踏まえて、児童の意向を尊重しながら、直接、あるいは児童相談所を介して行っています。児童の生活状況や個別支援記録等児童の情報は、交流、連絡が可能な家族には積極的に提供し、家族の意向把握に努め、家族からの相談にも対応しています。一方、被虐待児童も多く在籍しており連絡・交流が適切でないケースや、連絡・交流を忌避する児童の家族も存在しています。第三者評価の家族アンケートも配布できない家族も少なくなく、回答率も低いものとなっており、家族との交流・連携はある程度限られたものとなっています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもの発達過程に応じて、育成記録やアセスメントシートを踏まえた、フロア会議での児童の支援方針の検討を経て、施設長、主任支援員、スーパーバイザー、フロアチーフ、担当者、看護師、栄養士で構成するケース会議において、客観的・多面的に個別支援計画を策定し、支援を行っています。児童の発達の過程において、個別支援計画の実績が評価され、見直し、改善支援が適切に行われています。また、地域の療育センターの機能訓練士や作業療法士の支援や指導を得て、療育センターの定期受診に加え施設においても児童の機能訓練を行う等、児童の発達支援、自立支援に取組んでいます。こうした日常の支援に加え、施設全体及びフロアごとに児童の余暇支援・社会体験が毎月計画・実施され、社会性や自立に向けたスキルの取得を図る機会が設けられています。学校や地域の療育センターとの連携による学習支援や療育支援も行われ、児童の心身の発達支援が行われています。前回の第三者評価で提案された、乳幼児の活動プログラムも策定・実施されています。

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害者・児支援の事業の特性上、実施は想定外事項です。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害者・児支援の事業の特性上、実施は想定外事項です。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害者・児支援の事業の特性上、実施は想定外事項です。