特別養護老人ホーム多摩川の里
第三者評価機関名 | 株式会社 R-CORPORATION |
---|
名称 | 特別養護老人ホーム多摩川の里 | 評価対象サービス | 2022~ 高齢者福祉サービス版 |
---|---|---|---|
対象分野 | 特別養護老人ホーム | 定員 | 84(80) 名 |
所在地 | 〒214-0012 川崎市多摩区中野島6-13-5 |
||
TEL | 044-935-5200 | ホームページ | http://kfj.or.jp/ |
【施設・事業所の概要】 | |||
開設年月日 | 1993年04月01日 | ||
経営法人・設置主体(法人名等) | 社会福祉法人 川崎市社会福祉事業団 | ||
職員数 |
常勤職員:28 名
非常勤職員:13 名
|
||
専門職員 |
介護福祉士:27 名
社会福祉士:1 名
看護師:4 名
管理栄養士:1 名
精神保健福祉士:1 名
介護支援専門員:4 名
|
||
施設・設備の概要 |
居室:個室(6室)
居室:二人部屋(15室)
居室:四人部屋(16室)
設備:食堂
設備:浴室
設備:トイレ
|
<法人理念> 1.充実した質の高いサービスの提供 2.地域に根差した施設運営 3.人材の確保、定着、育成 4.法人の経営基盤の整備 <基本方針> 1.「寄り添いと思いやり」を信条に、利用者のこれまでの人生、個性、尊厳を大切にした支援を行う。 2.職員は、利用者の個別ニーズに合わせたサービスが提供できるよう、資質の向上に努める。 3.地域に開かれた施設としてボランティア活動の場の提供を行い、地域住民の生きがい作りや、誰もが安心、快適に暮らすことのできる地域社会作りに貢献する。 <目標> 1. 多様化する雇用形態の中での人材育成・定着 2. 在宅生活の継続に向けた質の高いサービスの提供 3. チームケアと人材育成 4. 自然災害や感染症など不測の状況に対応するBCPの作成 5. 精神障害ケースへの対応力向上 |
<特別養護老人ホーム多摩川の里の特徴的な取組> ●快適で安心できる生活が送れるよう環境の整備を行っております。 ●最期の時までその人らしく過ごして頂けるよう多職種で支えます。 ●感染症対策を行いながら、家族や地域に開かれた施設運営を目指します。 |
評価実施期間 | 2024/09/26(契約日) ~2025/04/23(評価結果確定日) |
---|---|
受審回数(前回の受審時期) | 3 回(2019年度) |
特長や今後期待される点 | 【特別養護老人ホーム多摩川の里の概要】 ●特別養護老人ホーム多摩川の里(以下「施設」という。)は、JR南武線「中野島」駅の北方約400m、徒歩5分程の住宅地の中にあります。また、施設の北約100mには、東京都と神奈川県の境を一級河川多摩川が流れています。施設の周辺は市営住宅やマンション、戸建て住宅等の中に公園が存在する等、閑静な環境を有しています。 ●施設の経営主体は、社会福祉法人 川崎市社会福祉事業団(以下「法人」という。)です。法人は、川崎市内で高齢者福祉施設、障害者福祉施設、保育所等30余の施設を運営しています。 ●施設は、地下1階、地上3階建て鉄筋コンクリート造で、施設と身体障害者福祉会館との合築(施設部分4,358.24㎡、身体障害者福祉会館(1階)部分740.06㎡)となっています。施設は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)事業(84床)(以下、「事業所」という。)のほか、短期入所生活介護(ショートステイ)事業(16床)、通所介護(デイサービス)事業、居宅介護支援事業、地域包括支援センター事業等を実施しています。事業所の事業区画については、職員室等1階に共用部分がありますが、主たる事業区画は、2階と3階です。利用者の居室は、一部に個室はありますが、主に2人部屋と4人部屋となっています。2階に認知症のケアが必要な利用者が、3階に自立度の高い利用者と重介護の利用者が生活しています。今回の第三者評価の主たる対象事業は、当該(介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム))事業です。 ◇特長や今後期待される点 1.【利用者に寄り添う丁寧なチーム支援】 施設・事業所では、基本方針の中に、「寄り添いと思いやりを信条に、利用者のこれまでの人生、個性、尊厳を大切にした支援を行う」、「職員は、利用者の個別ニーズに合わせたサービスが提供できるよう、資質の向上に努める」と、二本の柱を位置付けています。また、事業所の重点目標に、「雇用形態にとらわれず、チームの一員として利用者支援を行うという認識を持つ」と明記して、これら基本方針、重点目標を事業計画の冒頭に掲げ、職員の共通理解の下、組織一体となって利用者支援に取組んでいます。さらに、目標管理シートに、担当業務に対する個人目標とチームの一員としての重点業務目標を記載し、取組と振り返りを促しています。日頃の支援では、利用者への声かけを励行して、利用者の意向やニーズの把握に努めています。利用者の健康管理や生活支援、緊急時対応に常勤看護師を4名配置して、利用者の安心・安全な生活環境を整えています。利用者の自立促進や、機能低下を防止するため、理学療法士が、利用者の意欲を引き出しながら機能訓練を行うと共に、理学療法士の指導の下に介護職員が利用者のリハビリに努めており、こうした取組によって介護度の改善につなげたケースが複数あります。トイレの誘導では、本人の自力排泄の意欲を尊重して2人掛かりでの介助を行う等、労を惜しまない介助を行っています。利用者の看取りについても、利用者・家族・職員に悔いが残らないよう、看取り検討委員会を開催して最善の支援方法を講じています。職員は、会議や申し送り、委員会、係活動を通じて、利用者本位の支援方法を協議して、チーム力を発揮し、組織的な利用者支援に努めています。 2.【利用者支援の質の向上を図る体制】 利用者支援については、上記の取組をバックアップするための仕組みが講じられています。その一つに「係」の取組が挙げられます。事業所では、介護職員をA・Bの2グループに分け、Aチームは、食事、環境、リハビリ、レクリエ―ション、洗濯、の工夫・改善を検討すると共に、納涼祭、月見、年末年始、ひな祭りの行事を企画します。Bチームは、排泄、入浴、物品、広報の工夫・改善を検討すると共に、七夕、敬老会、クリスマス会、節分の行事を企画します。A・Bチームの取組により、担当業務の質の向上や、関係の業務マニュアルの見直しが図られています。もう一つの仕組みは、委員会活動です。委員会は、必置の「高齢者虐待防止・身体拘束適正化委員会」をはじめ、研修委員会、実習生受入委員会、防火管理委員会、ボランティア委員会、衛生委員会、感染症委員会、栄養管理委員会、事故検証委員会、褥瘡対策委員会、が常設されています。また、看取り検討委員会、ケアプラン検討会議、入退所検討会議等の、委員会や会議が必要に応じて開催されます。これらの係、委員会、会議活動を通じて、利用者支援の高質化と適正化が継続的に図られています。 3.【職員の育成向けた総合的な仕組み】 利用者サービスの向上及び職員の定着を図る上で、職員の育成は必須です。法人・施設・事業所共通の課題として人材育成・定着は、中長期計画、事業計画に位置付けられ取組が図られています。職員育成を組織の責務と捉え、質の高い内部研修の企画、計画的な外部研修への派遣、「個」、「チーム」、「組織」を意識した実践を目指す「目標管理制度」の推進が法人全体の課題として取組まれています。さらに、人事考課の仕組みが構築され、「期待する職員像」や、職階ごとに職責や求められる資質・知識・ノウハウ等の水準が明確にされています。研修と目標管理制度、人事考課制度を複合化して、計画的・戦略的な人材育成が図られています。また、新規採用職員には、業務管理シートを用いて一定期間OJTを行うことにより、PDCAの業務サイクルを習得させています。なお、こうした計画的・戦略的な人材育成と併せて、上記2.の係や委員会、会議の諸活動についても職員の育成に効果を果たしていると認められます。 4.【職員の定着に向けた働きやすい職場作り】 事業所では、令和6年度の事業計画の重点目標に、人材の育成とともに職員の定着を掲げて、研修・会議を通じ、介護技術の向上や情報共有の場を整え、不安なく働くことのできる環境作りを行うと明記し取組を進めています。チーム力、組織力の向上・発揮のため、職員間の情報共有や話しやすい環境に留意しています。職員は経験豊富ですが、当事業所の勤務経験の浅い看護師が、「薬の管理方法等の提案をすぐに採用してくれる、施設長等管理者が現場の介護に入る等、上下関係や勤務年数の区別なく協調姿勢が図られており、働きやすい」との調査時の職員面接での発言に見られるように、職員誰からでも改善提案を受入れる風通しのよい職場環境が形成されていると認められます。さらに、事業所では、施設長は職員の時間外労働時間を毎月把握し、必要に応じて職員面談を行う等、時間外勤務の縮減を進めると共に、休暇の希望や、育児・介護休暇の配慮を行い、ワーク・ライフ・バランスの確保に向けたシフト運用を図っています。職員からの相談は、主任、係長(主査)、施設長が随時対応できる体制を講じると共に、メンタルヘルスチェックを毎年行い、希望者等には産業医の健康相談を行う等、働きやすい職場環境作りに取組んでいます。 5.【利用者とボランティア等外部との関わりの充実について】 事業所内の日課や行事等は、係活動等で、利用者が楽しめるよう工夫・企画、実施されています。一方、コロナ禍以降は、外出やボランティアとの触れ合い等、利用者と外部との関わりの希薄さが感じられます。自力歩行が可能な利用者については、散歩や、公園や利用施設、スーパー等の近隣の資源を活用した外出支援の一層の充実を図ることや、利用者全体についても、バス利用での行楽や外食等の外出の機会を増やすことが望まれます。コロナ禍前には、施設全体で年間延べ2,000人のボランティアが活動していたとのことですので、こうした支援に当たってはボランティアの活用が有効と思われます。事業所では、来年度以降、ボランティアの交流会の開催やボランティア交流の活性化を図ることを考えていますので、外出や事業所内での利用者との関わりに、ボランティアの一層の活用が期待されます。 6.【稼働率の安定化に向けた仕組みの構築について】 法人の令和6年度の事業計画の重点目標の一つに、「法人の経営基盤の安定化」が掲げられています。その背景として「目標稼働率が実績として達成できていないことや、最低賃金の上昇、物価高騰等により安定運営のための収支差額の確保が難しくなってきている」と分析しています。また、そのための対応として、「目標稼働率達成と人材確保・育成・定着を両輪で進め安定的な運営に取り組む」と記載しています。特別養護老人ホームである事業所の入所定員は84名で、入所者は80名です。また、事業所のサービス活動増減差額は、修繕費の影響はありますが、マイナス計上が続いています。死亡や入院等により利用終了者数が新規利用者数を上回る等の読み切れない変動要因がある一方で、200名近い利用待機者もあります。事業所では入退所検討会議でできるだけ速やかに入所者を受入れるよう努めていますが、過度の職員負担を避けざるを得ないことから、段階的な受入れとなっています。また、入所者の中には、支援の効果で、介護度が3に満たない利用者もいます。事業所経営を行っていく上では、収支と人的・物的資源のバランスを考慮する必要があります。経営を優先して職員に過度な負担を強いることや、また、その逆もバランスを欠くことにつながります。正に、法人の言う、両輪の取組が求められます。提案の一つとして、入退所検討委員会に法人や外部の有識者を参画させ、経営面、労働面、入所の優先度のバランスを考慮してより客観的に検討する仕組み等の一考を期待いたします。 |
---|
施設名 特別養護老人ホーム 多摩川の里 ≪第三者評価を受審した感想・自己評価での取組の感想≫ 第三者評価を受審し、自己評価を行うことで、職員同士が運営について話し合う機会を持ち、今まで気付けなかったことに気付くことができました。 また、指摘を受けたことにより、自分たちの強みと足りないところが確認できたので、今後の運営に生かして行きたいと思います。 ≪評価後取組んだこととして≫ 1.稼働率が低下しているので、稼働率を安定させるために、来年度に向けて体制の見直しを行っています。 2.コロナ禍以降、ボランティアが減少しているので、来年度に向けてボランティア委員会でボランティアの受入れについて検討していきます。 |
詳細評価PDF | 詳細評価PDF |
---|
評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。 |
---|
【第三者評価結果:a】 理念は、法人のホームページに掲げられています。施設の基本方針は、毎年度の事業計画の冒頭に掲げられ、当該方針に沿って、施設の毎年度の重点目標が設定されています。理念は、法人の入職時研修と、毎年行われる法人研修で確認されています。施設の基本方針は、毎年度当初に事業計画を職員に周知する際に継続的に確認されると共に、各フロアに掲示しています。利用者や家族には、見学や入所時の施設説明の中で基本方針を周知しています。今回の第三者評価に係わる利用者家族アンケートでの、基本理念、基本方針の周知度は、まあ知っている、を含めて、知っているが約77%と、周知が図られていることが認められました。 |
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。 |
---|
【第三者評価結果:b】 社会福祉事業の動向は、川崎市老人福祉施設事業協会や、同協会の研修・人材育成部会に参加し、意見交換を図ること等を通じて把握に努めています。また、法人の経営情報は、毎月開催される施設長会で周知されています。また、地域包括支援センターや、多摩区、多摩区社会福祉協議会等から地域の福祉ニーズ等の情報を入手しています。社会福祉事業の動向や経営状況に関する情報は、整理して運営会議等で職員に周知しています。 |
【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。 |
【第三者評価結果:a】 事業所の課題は、①築31年の施設の維持運営、②居室の稼働率の安定、③人材確保と捉えています。これら課題は法人の課題でもあるため、法人の施設長会や高齢部会で経営状況の確認や対策、改善に向けた話し合いを行っています。会議の結果を事業所内の運営会議で共有し、職員への周知を図っています。特に稼働率の安定については、事業所の優先事項として職員が共有して、円滑な入居者の受入れに取組んでいます。 |
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。 |
---|
【第三者評価結果:a】 法人では、令和5年度に法人内で選定した中・長期計画検討プロジェクトチームを中心に、中・長期計画を見直しています。新たな中・長期計画は、令和6年から令和10年度までの5年計画です。当該計画では、コンプライアンス担当や経営安定化推進センターを設置し、4本の中長期計画の柱を明示しています。一つ目の柱「人材の確保・定着・育成」は人事課が、二つ目の柱「コンプライアンスの遵守」はコンプライアンス担当が、三つ目の柱「地域包括ケアシステムの構築」は事業推進担当が、四つ目の柱「安定した経営基盤の構築」は経営安定化推進センターが、それぞれ責任を担いながら、利用者やその家族及び働き手や地域から選ばれる、魅力ある法人を実現するため、着実に法人改革を進めていくとしています。 |
【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。 |
【第三者評価結果:a】 令和6年度の施設の事業計画の構成は、施設の基本方針の下に、法人の中・長計画の趣旨を踏まえた重点目標が冒頭に掲げられ、次に、介護老人福祉施設事業(特別養護老人ホーム事業)以下、シルバーハウジング生活支援員派遣事業までの6つの事業内容が詳細に記載されています。さらに、事業内容に続いて、施設全体で取組むこととして、「高齢者虐待の防止、利用者の権利擁護に向けての取り組み」から「要望・苦情の受付体制について」まで、16の取組が明記されています。 |
【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。 |
【第三者評価結果:a】 毎年、事業報告がまとめられています。令和5年度の事業報告は、冒頭に一年間の取組の成果を総括した後、第一として、令和5年度の重点目標の5本柱の達成状況がそれぞれ記載されています。続いて第二として、6つの事業の実施結果が具体的な数値で表されています。続いて、共通の取組である「虐待防止及び権利擁護の取り組み」から「職員研修実施状況」まで7つの取組にまとめられ、その実施状況が、表や具体的な記述によって記載されています。事業報告は、各事業セクションで取りまとめられ、法人の理事会の承認を得ています。これらの事業の達成状況を踏まえて、見直しが図られ、次年度の事業計画の重点目標が策定されています。事業の達成状況の把握、重点目標の設定に職員が参画すると共に、作成された事業報告・事業計画は運営会議等を通じて職員への周知が図られています。 |
【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。 |
【第三者評価結果:b】 事業計画を利用者や家族に説明することは行っていませんが、事業計画は、事業報告とともに法人のホームページに掲載しています。また、事業計画や重要事項説明書等をファイル化して、エントランスに備え、利用者・家族・来所者の自由な閲覧に供しています。家族への直接の説明の場として家族会がありますが、コロナ禍以降中断していますので、事業所では来年度からの再開に向けて検討を行っています。 |
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。 |
---|
【第三者評価結果:a】 利用者・家族の満足度向上に向けて多岐に亘る取組が図られています。日々の利用者介護では、介護職員をA・Bの2チームに分けて支援方法の改善に取組んでいます。Aチームは、食事、環境、リハビリ、レクリエ―ション、洗濯、の工夫・改善を検討すると共に、納涼祭、月見、年末年始、ひな祭りの行事を企画します。Bチームは、排泄、入浴、物品、広報、の工夫・改善を検討すると共に、七夕、敬老会、クリスマス会、節分の行事を企画します。利用者の支援計画(以下「ケアプラン」という。)については、年間計画に沿って実施すると共に、モニタリング、見直しを適時に行い、利用者・家族の意向と状態に沿った支援に努めています。さらに、毎月の運営会議やフロア会議、カンファレンス、係会議や毎日の申し送り等、様々な合議体で話し合いを行い、サービスの振り返りと向上に向けた取組を図っています。また、毎年、事業計画の達成状況を評価し、次年度の事業計画策定に反映しています。独自に家族アンケートを行い、アンケート結果や家族の意見・要望を、利用者支援や事業推進に生かしています。今回の第三者評価での利用者家族アンケートでは、「施設の満足度」は、概ね満足を含めて、満足が96.1%と高い評価を得ています。 |
【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。 |
【第三者評価結果:a】 毎年、事業計画の重点目標の達成状況や、各事業、取組の実施状況を把握して、次年度に向けた課題を明確化し、次年度の重点目標の設定を行っています。令和6年度の重点目標は、令和5年度と同様の5本を掲げていますが、その内3本を見直し、新たに、「多様化する雇用形態の中での人材育成・定着」、「在宅生活の継続に向けた質の高いサービスの提供」、「チームケアと人材育成」を位置付け、サービスの質の向上と、喫緊の課題である人材育成・定着に重点的に取組むこととしています。また、利用者支援については、(8】に記載の通り、利用者の状態の変化に応じたモニタリングの実施や、重層的な合議体での支援計画・支援方法の評価、改善策の検討・実施が、PDCAサイクルに基づき継続的に行われています。 |
評価対象Ⅱ 組織の運営管理
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。 |
---|
【第三者評価結果:a】 施設長の役割と責任については、施設の業務分掌に、施設の統括、施設会計の会計責任者、人事・労務管理の統括等の職責が明示されています。また、組織図により指揮命令系統が明確化されています。施設長不在の際の、各部門の補佐職も事務分掌に明記され不在時の権限委任が図られています。さらに、有事の際は、自衛自主防災組織活動要領や、自然災害並びに感染症に関する各事業継続計画(BCP)に、施設長の権限やその権限の委任を記載しています。家族や地域に向けて年4回発行する広報誌「花みずき」には、年度当初の5月と、新年の1月に施設長としての挨拶等を掲載しています。また、施設の業務分掌や、重点目標、施設の運営方針等については、年度当初の運営会議で職員に伝達し、確認・周知を図っています。 |
【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 施設長は、川崎市が毎年開催する集団指導講習会等の研修会に参加して、福祉関係法令や介護保険に関する情報を把握しています。特に法人では、本部にコンプライアンス担当が設置され、法人の令和6年度の重点目標の柱の一つに「コンプライアンスの遵守・強化」が掲げられており、法人の施設長会や高齢部会においても法令についての情報提供や情報交換が図られています。法令改正や介護保険の制度改正等の情報は、施設の運営会議や研修等を通じて、職員との情報共有を図っています。 |
【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。 |
【第三者評価結果:a】 施設の基本方針の三つの柱の一つに「職員は、利用者の個別ニーズに合わせたサービスが提供できるよう、資質の向上に努める」と明記し、これに対応する重点目標に、令和6年度は、「多様化する雇用形態の中での人材育成・定着」、「在宅生活の継続に向けた質の高いサービスの提供」、「チームケアと人材育成」を新たに位置付けて、施設の共通理解の下で、福祉サービスの向上に取組んでいます。人材育成については、目標管理制度を採り入れ、面接の中で職員の意見を聴取すると共に、施設長からアドバイスを行っています。また、施設の研修委員会で各事業別に研修を企画・実施しています。多様化する雇用形態に応じて、動画やオンライン研修を活用する等、パート職員を含めた全ての職員が研修を受けられるよう工夫を行っています。各種会議や申し送りにも施設長が参加し、職員の意見を聞く機会を持つと共に、各委員会やプロジェクトチームの会議結果を、職員意見と共に、施設運営に生かしています。 |
【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。 |
【第三者評価結果:a】 施設長は、施設の統括、施設会計責任者、人事・労務管理の統括としての職責の下、運営会議、フロア会議、係会議等の重層的な合議体や、研修委員会等各種の委員会に参加し、サービスの質の向上や、業務改善に向けて、職員との意識の共有を図りながら取組を進めています。また、業務負荷の軽減や業務の効率化に向けて、事務分担の見直しを行い、係長の業務を主任に、主任の業務を職員にそれぞれ移譲すると共に、日常の業務は主任を中心としたチームに委ねています。職員個人・個人の事情に応じた働きやすい職場環境整備にも【16】に記載の通り取組んでいます。 |
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。 |
---|
【第三者評価結果:a】 福祉人材の確保・定着については、法人・施設の共通の課題です。職員採用については、正規職員は法人採用、非常勤職員は施設採用が行われています。法人では、重点目標の一つに「人材確保・定着・育成」を掲げて令和5年度に設置した人事課を中心に、求人情報発信や福祉人材養成校訪問等に取組んでいます。施設でも同様に、重点目標の一つに「多様化する雇用形態の中での人材育成・定着」を掲げて、人材の定着を図るため、研修や会議を通じ、介護技術の向上や情報共有の場を整え、不安なく働くことのできる環境作りに取組んでいます。また、事業計画の施設全体での取組に、「実習生の受入れ」を位置付け、実習生受入れ委員会を窓口として、実習生の積極的な受入れを図り、人材確保のツールと期待しています。 |
【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。 |
【第三者評価結果:a】 総合的な人事管理制度が構築されています。「期待する職員像」については、職員ハンドブックの職員規範や、人事考課ガイドブックの別紙「ポイント・判断基準の詳細」、別表「人事考課項目表等」に明記されています。「ポイント・判断基準の詳細」には、一般職、管理職・施設長の区分で、事業運営・サービス・業務・組織の視点ごとに人事考課の判断基準が記載されています。判断基準は、「人事考課項目表等」に明記されており、人事考課項目表と人事考課票、職務基準が複合化され、職階ごとに、期待される職員像や、人事考課項目(視点・評価項目・ポイント・評価基準)が23項目に亘って記載されています。人事考課は、5~1点までの点数を各人事考課項目に付して、施設内の1次から3次評価と法人事務局の総合評価が行われます。また、目標による管理制度が導入されています。目標管理シートに基づく施設長と職員の面接は、6・7月と1・2月の2回行われています。目標管理シートは、業務目標と能力開発目標の2つの要素から成り立っています。業務目標は、重点業務目標(チーム・個人)、達成目標・スケジュール、業務遂行上の留意点、本人評価欄が設定され、能力開発目標も同様の記載欄が設けられています。期末には、それぞれの項目について、上司による目標達成難易度、達成評価が行われます。目標の難易度は、高度・挑戦的、標準、平易と3段階の水準で、評価基準は「5:大幅に目標を上回った」から「1:目標を下回り支障が出る」までの5段階で、それぞれ評価され人事考課に反映されています。 |
【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。 |
【第三者評価結果:a】 【14】に記載の通り、事業計画の重点目標に法人・施設の共通の目標として「人材の定着・育成」を掲げて、職員の定着を図るための職場環境の整備に取組んでいます。事業所では、施設長は職員の時間外労働時間を毎月把握し、必要に応じて職員面談を行う等、時間外勤務の縮減を進めると共に、休暇の希望や、育児・介護休暇の配慮を行い、ワーク・ライフ・バランスの確保に向けたシフト運用を図っています。また、職員は夜勤の時間を活用して事務処理を行っています。職員からの相談は、主任、係長(主査)、施設長が随時対応できる体制を講じると共に、メンタルヘルスチェックを毎年行い、希望者等には産業医の健康相談を行っています。福利厚生は、川崎市勤労者福祉共済(かわさきハッピーライフ)に加入し、余暇・健康・生活支援・資格取得支援や、各種給付金・貸付制度を活用しています。また、資格取得や更新費用の助成や、資格手当の支給等の施設独自の支援制度も設けています。 |
【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 毎年の事業計画の研修の項目の中に、『「個」、「チーム」、「組織」を意識した実践が行えるよう「目標管理制度」の推進を図る』と明記して、目標管理制度による個々の職員の能力開発に向けた取組が行われています。当制度は、目標管理シートを活用して、年度当初に職員が考課者(上司)と面接し、自己の能力向上・開発に向けた目標を設定して、能力開発に取組み、年度末に取組の達成度を自己評価し、考課者と面接して考課者が達成度評価を行うものです。当該目標管理の特徴は、個人の知識や技術等の能力開発を促すだけでなく、事業計画の研修の項に「目標管理により、チーム目標を明らかにし、目的を持った業務を推進する」との記載の通り、業務面でのチームへの貢献度や個人の業務能力アップ度を合わせて評価している点にあるものと認められます。 |
【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。 |
【第三者評価結果:a】 法人の中・長期計画の柱に「人材の確保・定着・育成」が掲げられ、施設の令和6年度の事業計画の重点目標の一つに「多様化する雇用形態の中での人材育成・定着」が位置付けられています。事業計画の研修の項目には、「職員育成を組織の責務ととらえ、一人ひとりがやる気と達成感を持てるよう、質の高い内部研修の企画、計画的な外部研修への派遣、そして(中略)「目標管理制度」の推進を図ると」と明記されています。施設内に研修委員会を設置し年間計画に基づく内部研修を実施すると共に、法人研修(基礎研修・専門研修・全体研修(研究発表等)や、外部研修(スキルアップ・資格取得等)に職員を積極的に参加させています。因みに、令和5年度事業報告では、施設全体の職員研修実施状況は、参加延人数174人で、内訳は内部研修14回(127人)、外部研修23回(37人)、法人研修3回(10人)となっています。また、新規採用職員には、業務管理シートを用いて一定期間OJTを行うことにより、PDCAの業務サイクルを習得させています。 |
【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。 |
【第三者評価結果:b】 施設内に研修委員会を設置し、年間の研修計画を企画して、毎月内部研修を実施しています。研修内容は、身体拘束・虐待防止や事故防止をはじめ、感染症や看取り研修、褥瘡研修、異物誤飲等業務に直接関わる研修を取入れて、常勤職員のみならず非常勤職員が参加できるよう配慮されています。一方、外部の専門研修には、特に非常勤職員の参加が難しい状況です。施設では、令和6年度の事業計画の重点目標に「多様化する雇用形態の中での人材育成・定着」を掲げ、「雇用形態にとらわれず、チームの一員として利用者支援を行うという認識を持つことができるよう、内部研修や会議の在り方を見直し人材育成を行っていく」と明記し、動画研修やオンライン研修を採り入れ、非常勤職員の研修参加を促進しています。 |
【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。 |
【第三者評価結果:a】 施設では、事業計画の施設全体で取組む事業として、実習生の受入れを位置付け、「実習生受入委員会を窓口として、実習生を積極的に受入れ、福祉従事者育成の一端を担う」と明記し、実習生の受入れを図っています。実習受入委員会を窓口とすると共に、係長を実習生の受入れ担当者とし、実習生受入要領、実習生教育マニュアルを備える等、実習生の受入れ体制を整備しています。実習生は、看護師、介護福祉士、社会福祉士を目指す学生を受入れています。養成校の実習要領や実習ニーズに合わせてプログラムを作成して実習を行っています。令和5年度の施設全体での実習生の受入れ状況は延人数で100名です。事業所では、毎年、実数で10名から15名程度の実習生の受入れを行っています。 |
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。 |
---|
【第三者評価結果:a】 法人のホームページの情報が充実しています。基本理念をはじめ、理事長あいさつ、組織・沿革・役員、情報公開、施設概要、職員募集、問合せ等を掲載しています。特に情報公開では、事業計画・事業報告、予算・決算、第三者評価結果、内部通報・相談窓口案内、採用情報(中途採用比率)等を掲載し、組織の透明性を高めています。施設のホームページでは、事業ごとの重要事項説明書と料金表、事業所の入居申込書、施設のパンフレット等が掲載されています。また、施設では、パンフレットや広報誌(花みずき)等を、多摩区役所等関係機関に配布しています。 |
【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。 |
【第三者評価結果:a】 経理規程や管理・運営に係る諸規定に基づき適正な施設運営がなされています。さらに、複数の内部監査が行われています。経理関係では、毎年公認会計士による指導監査が行われると共に、委員会の開催状況や事業の実施状況、各種介護加算書類等の確認等、施設の経営・運営状況について、本部のコンプライアンス担当と他の特別養護老人ホームのケアマネジャーがチームとなり、コンプライアンスチェックが行われ、適正な経営・運営に向けた取組が図られています。 |
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。 |
---|
【第三者評価結果:b】 新型コロナウィルスの感染症の影響により、利用者とボランティア等の地域との関わりが少なくなっていることは否めませんが、昨年度から少しずつ利用者と地域との関わりの機会を増やすよう取組んでいます。家族との居室での面会の再開や、初詣、お花見、二ケ領用水沿いの散策等を行うと共に、週1回パート職員が利用者の買い物支援を行っています。事業所では、今後は、コロナの感染状況を勘案しつつ、外出行事を増やしていきたいと考えています。 |
【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。 |
【第三者評価結果:a】 ボランティアの受入れについては、令和6年度の事業計画の施設全体での取組に、ボランティアの受入れの項を設けて、「利用者の余暇活動を充実させ、また快適な生活環境が作れるようボランティア担当者を定め、地域のボランティアを積極的に受け入れる」と明記しています。施設では、ボランティア委員会を設置すると共に、係長をボランティア受入れ担当とし、ボランティア受入れフローチャートを備える等、受入れ体制を整備しています。ボランティアの登録は、個人・団体を合わせて50程度の登録があり、コロナ禍前の前回の第三者評価の記述によると、施設全体で約2,000人を超えるボランティアを受け入れていました。コロナの感染拡大後は受入れを中止し、5類になった現在は、洗濯やガーデニング等、利用者と接しない分野から少しずつ受入れを拡大しています。また、中学校や養護学校の3校程度の職業体験を受入れています。今後は、年1回程度、ボランティア交流会を開催する予定です。 |
【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。 |
【第三者評価結果:a】 施設は、地域包括支援センター事業を実施しており、当該センターは、担当圏域内での保健福祉サービスの利用方法や地域資源等に関する情報の提供等を行っているため、保健福祉サービスや地域資源のリスト化が成されています。事業所では、当該センターのリストを活用しています。施設では、多摩区社会福祉協議会や保育・高齢・障害関係施設が参加する「多摩区ネットワーク会議」や、地域生活支援SOSかわさき事業、中野島地区の自治会・老人クラブ・小中学校・民生委員・福祉施設等が参加する「中野島地区社会福祉のつどい」等の地域の福祉や地域作り等の取組に参画しています。 |
【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。 |
【第三者評価結果:b】 施設では、地域包括支援センター事業を実施しています。当該センターは、地域の要支援高齢者やその家族等の状況や介護ニーズ等の実態把握や、在宅介護等に関する総合相談、介護保険・川崎市福祉サービスの利用調整等を行う中で、地域の福祉ニーズを把握しています。また、施設では、【25】で記載した会議等や、川崎市老人施設事業協会の会議等に参加し、地域の福祉ニーズ等の把握に努めています。事業所は、施設総体で得られた福祉ニーズ等の情報を共有しています。 |
【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。 |
【第三者評価結果:b】 事業所では、世代を超えた交流の場の創出を目指して、コロナ禍で一部を中断していますが、例年、近隣の保育園の訪問交流、小学校との触れ合い交流、中学校等の職業体験交流を行っています。また、実習生やボランティアを受入れ、次世代を担う福祉人材の養成への貢献や、ボランティアの交流の場の創出に努めています。また、地域包括支援センターと協力しながら在宅介護等に関する相談に対応しています。さらに、事業所は川崎市災害時要援護者緊急対策事業に基づく「二次避難所」として、一時避難用のベッドを提供することとしています。また、地域包括支援センターが地域に向けて実施する研修等に栄養士を派遣する等、地域との関係作りに意を用いています。 |
評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。 |
---|
【第三者評価結果:a】 施設の基本方針の第一に『「寄り添いと思いやりを」を信条に、利用者のこれまでの人生、個性、尊厳を大切にした支援を行う』と掲げ、毎年の事業計画の冒頭に記載することにより、職員の意識付けを行っています。職員ハンドブック(毎年改定)の職員規範にも同様に明記しています。また、高齢者虐待防止・身体拘束適正化委員会の設置や、高齢者虐待防止・身体拘束適正化のための指針を策定する等、利用者の尊厳を阻害する行為の廃絶の仕組みを構築しています。また、毎年度の施設内研修で、身体拘束適正化・虐待防止や認知症の理解に向けた研修を行っています。さらに、利用者の接遇マニュアル、排泄マニュアル、食事チームマニュアル、褥瘡予防対応マニュアル等、利用者の適切な支援に関わる各種マニュアルや指針は、介護職員A・Bの担当係や、栄養管理委員会等の関係する委員会が適時見直しを行っています。 |
【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。 |
【第三者評価結果:b】 個人情報の保護については、法人の個人情報の保護に対する基本方針の下、個人情報保護要綱が整備されています。職員ハンドブックの服務の項に個人情報の取り扱いを明記すると共に、施設の運営規程、事業計画に個人情報の取り扱いを記載し、職員への周知を図っています。利用者及びその家族へは、重要事項説明書で個人情報保護について説明すると共に、介護老人福祉施設契約書に秘密保持の条項を設けて、個人情報の保護と利用について記載し、利用についての同意を得ています。職員は、入浴や排泄等の介助や居室の入室等、利用者のプライバシーを尊重した日常の利用者支援に努めています。ソフト面では利用者のプライバシーを尊重した適切なサービスの提供が図られていますが、ハード面では、複数の利用者が生活する居室が多く、利用者間でのプライバシー保護については制約があると思われます。 |
【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。 |
【第三者評価結果:a】 【21】に記載の通り、法人・施設のホームページに施設及び事業所に係る概要やサービスの提供内容等が分かりやすく掲載されています。また、施設のエントランスに閲覧用のファイルを備えています。閲覧用ファイルには、苦情受付、個人情報の取り扱い、指定通知書、運営要綱、重要事項説明書や、事故防止、感染症予防、高齢者虐待防止・身体拘束適正化、褥瘡等の利用者支援に関する各種指針等が整理され、自由に手に取って見ることができます。また、見学や相談にも丁寧に対応しており、見学者用に玄関に大きな施設見取り図を用意しています。また、体験入所希望者にはショートステイにより対応する等、利用希望者のニーズに応えています。 |
【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。 |
【第三者評価結果:b】 入所に当たっては重要事項説明書等の説明資料を用いて、料金等介護度に応じた該当箇所にマーカーを付すと共に、専門用語をできる限り使わずに簡易な表現での説明に努める等、利用者・家族の理解が図られるよう工夫しています。利用者のケアプランの実施時や、モニタリングを経たケアプランの変更時にも、利用者・家族にその内容を丁寧に説明すると共に、利用者・家族の希望を聴取して、できる限り希望が叶えられるよう、ケアプランに反映して支援に努めています。 |
【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。 |
【第三者評価結果:b】 福祉サービスを移行する事例はほとんどないとのことですが、以前、故郷の施設に転居する利用者があり、転居の準備段階から計画的に取組み、円滑に転居につなげることができたとのことです。その事例では、転居後も転居先の施設からの問い合わせや相談に丁寧に対応しています。転居等が生じる際は、家族の了承を得て、ケアプランを転居先に提供することや、転居等移行後の問合せや相談窓口を施設長または係長が対応することについては、事業所内の合意事項となっています。 |
【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。 |
【第三者評価結果:b】 利用者の日々の快適な生活や生活の充実を図るため、接遇マニュアルや各種支援マニュアルを備え、見直しや改善を図ることで、サービスの質の向上に取組んでいます。5・6月と11月を除く各月に花見や納涼祭等の行事を計画して、生活に充実や潤いをもたらしています。日々の支援ではケアプランに利用者の希望等を極力反映して、利用者に寄り添った支援に努めています。また、利用者満足度調査を毎年行っています。利用者が高齢かつ認知症を患っているため当該調査の回答者は家族で、やむを得ないことですが、利用者が直接参画するものではありません。当該アンケートは毎年度末に行い、アンケート結果は整理され運営会議で意見や要望等への対応方法や質問項目への回答傾向等が共有され、対応が図られます。また、職員用の閲覧ファイルにアンケート結果を綴じ込み、当該ファイルを職員室に備えて職員への周知を図っています。 |
【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。 |
【第三者評価結果:a】 事業計画の施設全体での取組に「要望・苦情の受付体制について」の項を設けて、「法人の苦情解決・相談要綱に基づいて、それぞれの事業ごとに苦情受付担当を置く。苦情・相談は苦情解決・相談マニュアルに基づき、解決に向け迅速かつ誠意ある対応を行い、内容によっては法人の第三者委員会により解決を図る」と明記され、事業所においても苦情解決の仕組みを構築しています。事業所の苦情受付窓口は、生活支援係長と生活相談員で、苦情対応の統括責任者は施設長です。苦情解決の仕組みは、施設のエントランスに掲出すると共に、意見箱を設置しています。また、重要事項説明書に相談窓口・苦情対応の項を設け、事業所の相談窓口や、法人の第三者委員会の受付担当を記載する他、外部の相談窓口として川崎市、多摩区、神奈川県の担当部署を記載しています。なお、苦情・相談については、当該事業所の適切な対応により、第三者委員会や公表に至る事案は近年ありません。 |
【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。 |
【第三者評価結果:b】 相談についての文書を利用者や家族に配付等はしていませんが。利用者に寄り添う姿勢で、職員は日々利用者とのコミュニケーション作りに努めています。また、利用者の希望や意向を傾聴する姿勢で、生活相談員や事業所の介護支援専門員(以下「ケアマネジャー」という。)が利用者への声かけや相談を行っています。また、プライバシーに配慮して、利用者が話しやすいように、食堂や離れたソファ等、場所を替えて話を聞くようにしています。家族との相談場所は、主に1階ホールの多目的室を使用しています。 |
【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。 |
【第三者評価結果:a】 利用者に寄り添う姿勢で、利用者からの相談等については、職員は、ともかく直ぐに話を聞くことに努めています。相談等については、利用者個人の担当が話を聴き、フロア内で即時対応を行いますが、内容によっては、主任・リーダー、係長、施設長等の各職層に伝え、指示を仰いで、迅速かつ適切な対応を図っています。利用者の相談や苦情等に、迅速かつ適切に対応していることから、苦情として第三者委員会に懸案する事案は生じていません。 |
【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。 |
【第三者評価結果:a】 リスクマネジメントについては、事業計画の施設全体の取組に事故検証委員会を位置付け、組織的な体制による事故防止や事故の再発防止に努めています。ヒヤリハット事例や事故が発生した際は、日々の申し送りの時間を活用して、多職種で防止策を検討して即時対応を図っています。対応結果は、事故検証委員会に報告して、必要に応じて再検証を行うと共に、再発防止に向けて研修や職員周知を行っています。また、事故検証委員会では、ヒヤリハット記入表等の様式を定めて施設内に配付し、毎月報告を求めて、再発防止策に反映しています。さらに、同委員会では事故対応マニュアルを適時見直し、事業所内での共有を図っています。 |
【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 事業計画の施設全体での取組に、「施設内における感染症対策等衛生管理に関すること」を位置付け、感染症対策委員会を中心に、感染症の予防や感染症の発症、まん延防止に取組んでいます。同委員会では、看護師を中心に、「感染症対策のために必要な知識集」を策定して職員への周知を図っています。同知識集には、高齢者施設における感染症の特徴や、感染症予防の方法、感染症発生時の対応方法等が記載され、職員の日々の衛生管理に効果を発揮しています。また、感染症及び食中毒の予防及びまん延防止等のための指針を各フロアに備えると共に、施設内研修で訓練を伴う感染症研修を行っています。さらに、新型コロナウィルス感染症に対応する事業継続計画(BCP)策定し、同感染症の予防や、発生時に備えています。 |
【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。 |
【第三者評価結果:a】 近接する多摩川の氾濫等に備えて、自然災害に対する事業継続計画(BCP)を策定しています。また、防火・防災管理委員会を中心に、自衛消防組織活動要領に基づく定期的な避難訓練や、メール伝達訓練、伝言ダイヤル利用訓練等を行い、有事に備えています。また、水害発生時には、利用者を建物3階に誘導して安全の確保を図ることとしています。さらに、事故別緊急時対応チャート(夜間、日中:平日、日中:土・日・祝祭日)を備えて、事故時の職員の円滑な対応を図っています。災害用の備蓄品は栄養士と給食の委託業者が共同で管理しています。また、事業所は川崎市災害時要援護者緊急対策事業に基づく「二次避難所」として、一時避難用のベッドを提供する等地域の防災対策に協力を行うこととしています。 |
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。 |
---|
【第三者評価結果:a】 接遇マニュアルや入浴、排泄、食事、褥瘡等、業務に関わる各種マニュアルが整備されると共に、生活支援や、栄養、褥瘡、看取り等の委員会が整備され、マニュアルに基づく標準的な実施方法の確保や、標準的な実施方法の見直し、改善が図られています。マニュアル等標準的な支援の実施方法は、会議やミーティング、研修等で職員の共有が図られています。 |
【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。 |
【第三者評価結果:a】 支援業務に関するマニュアル・指針等の標準的な実施方法は、関係委員会や、介護職員A・Bの担当係が定期的に見直しを行っています。見直しに当たっては、委員会や担当係が職員アンケートを行う等により実効性のある実施方法となるよう工夫が成されています。見直された標準的な実施方法は、会議やミーティング、研修等で職員の共有が図られています。 |
【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な福祉サービス実施計画を適切に策定している。 |
【第三者評価結果:a】 在宅での生活を継続できなくなった利用者が、その人らしい生活を送ることができるよう、「寄り添いと思いやり」を信条に、尊厳と個性、自立を尊重した家庭的な支援を、施設・事業所は目指しています。そのために、ケアマネジャーを中心に、個人担当や多職種の参画により、カンファレンスを開催して、個々の利用者の尊厳やニーズを踏まえた、アセスメントに基づくケアプランを策定し、適切な利用者支援に取組んでいます。 |
【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に福祉サービス実施計画の評価・見直しを行っている。 |
【第三者評価結果:a】 介護認定更新の時期や退院の時期等に合わせてケアプランの見直しを、ケアマネジャーを中心に多職種の参画により行っています。日々の支援を行う中での利用者の状態の変化が見られた場合は、多職種によるモニタリング・アセスメントを行い、PDCAサイクルに沿ってケアプランの見直しを行い、質の高い利用者サービスの提供に努めています。 |
【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。 |
【第三者評価結果:b】 利用者のケアプラン、アセスメント、モニタリング、日常の生活記録等は、様式が定められ、記録はパソコンのシステムに搭載されることにより、職員の共有が図られています。カンファレンス記録は関係職員の確認を得た後、紙ベースで回覧を行うことにより職員に周知しています。記録要領はありませんが、記録の記載方法については、入職時にOJTで指導する他、神奈川県で実施する支援記録の記載方法等に関する研修に職員を参加させています。また、記載内容について、上司が、職員がどの様に捉えて記述したのかを確認して気付きを促すと共に、表現の不適切な記述は指摘する等の指導を適宜行っています。 |
【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。 |
【第三者評価結果:a】 個人情報の取扱いについては、法人の個人情報保護に対する基本方針を基に、個人情報保護要綱、個人情報取扱要領に沿って、個人情報を管理しています。また、利用者・家族へは、重要事項説明書で個人情報の保護と利用を説明しています。毎年、法人からの夏季・年末の服務規律通知の中で、個人情報の厳正な取り扱いの指示があり、職員に周知されています。また、個人情報の漏洩等の事故の報道を切り抜き回覧して、注意喚起を図っています。パソコンはセキュリティソフトやID、パスワードで管理しています。個人情報の記載された書類は、鍵のかかる書庫で管理すると共に、不在時の事務室、職員室や施設入口は常時施錠を行っています。書類は、保存期間満了時に、業者による溶解廃棄を行っています。 |
評価結果内容評価
【A1】A-1-(1)-① 利用者一人ひとりに応じた一日の過ごし方ができるよう工夫している。 |
---|
【第三者評価結果:b】 事業所のケアマネジャーを中心に個別担当及び多職種の参画により、利用者個々の尊厳及びニーズを踏まえたケアプランを作成し、日々の支援を行っています。日中活動は、個人、集団、小人数グループに適したプログラムを用意して、利用者の希望に沿った自主的な活動参加を促しています。じゃんけん大会や音楽療法等の集団活動や、洗濯たたみやカラオケ、カードゲーム等の小グループ、個人活動に利用者が自由に参加しています。また、希望により個別に機能訓練に参加する利用者もいます。第三者評価調査日の施設内視察では、職員が用意した蓄音機に、昭和30年代のドーナツ盤のレコードをかけて楽しんでいた利用者のグループがありました。なお、コロナ禍で自粛していた家族との面会は再開され、外出の機会も徐々に増えています。 |
【A2】A-1-(1)-① 利用者の心身の状況に合わせて自立した生活が営めるよう支援している。 |
【第三者評価結果:a】 事業所では、利用者が人生の最期までその人らしい生活を送ることができるよう、尊厳と個性、自立を尊重した支援に努めています。食事、排泄、歩行等の身体・生活機能の維持・向上のため、個々の利用者の心身の状況に合わせてケアプランを策定し、日常の生活介護や相談支援を行っています。また、利用者の買い物支援や散歩等の外出支援、事業所内歩行訓練、ラジオ体操等を利用者の状況に合わせて行っています。さらに、利用者の希望に沿った生活を可能にするため、ケアマネジャーや生活相談員が利用者の状況を家族に報告して、家族と共に考え、家族の想いを踏まえて具体的なサービスの実施方法をケアプランに反映しています。介護職員のヒアリングでは、「心身の状況に合わせて、モニタリングを3か月ごとに行っている。利用者が寝たきりにならないよう、時間をかけても利用者が自力で生活ができるよう支援している」との話を聞くことができました。 |
【A3】A-1-(1)-① 利用者の心身の状況に応じた生活支援(生活相談等)を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 職員は、施設・事業所の基本方針の第一に掲げられた「寄り添いと思いやり」を信条に、利用者と関わり、コミュニケーションを図る中で、利用者との信頼関係を深めて、利用者のニーズを汲み取りながら日々の生活支援を行っています。日中活動については【A①】に記載の通り、プログラムを複数用意して利用者の自由な参加を促しています。また、認知症の利用者が多く生活していますので、職員は認知症支援に関する知識やスキルを備えて、利用者支援の中での気付きを職員間で共有しながら利用者一人ひとりに配慮した生活支援を行っています。また、介護認定更新等の行政手続きについては、必要に応じ、利用者・家族の同意を得て、手続きの代行を行っています。 |
【A4】A-1-(1)-② 利用者一人ひとりに応じたコミュニケーションを行っている。 |
【第三者評価結果:a】 職員は、利用者支援を行う上での必須のこととして利用者とのコミュニケーション作りに積極的に取組んでいます。介護を行う際には積極的に声かけを行い、利用者の意思やニーズを確認しながら支援を行っています。コミュニケーションの確保や意思の疎通の難しい認知症や精神障害を有する利用者が多く生活するため、事業所では、「寄り添いと思いやり」支援と共に、チームアプローチを重視して支援に取組んでいます。職員が色々工夫しながら利用者支援を行う中での利用者の反応や、成功体験を職員間で共有すると共に、係会議や全体ミーティング等に報告して、事業所全体で利用者に寄り添う支援が行えるよう取組んでいます。 |
【A5】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。 |
【第三者評価結果:a】 事業計画の施設全体での取組に、「高齢者虐待の防止、利用者の権利擁護に向けての取り組み」を位置付け、職員の取組姿勢を喚起すると共に、「全職員を対象にした研修を実施し、知識、情報の共有化を図る」と明記しています。高齢者虐待防止及び身体拘束等の適正化のための指針を備えると共に、高齢者虐待防止・身体拘束適正化委員会を設置し、高齢者の権利擁護・虐待防止体制を整えています。同委員会を毎月開催して、不適切ケアや身体拘束事案等の確認を行い、利用者の権利擁護をと併せた身体拘束適正化や虐待防止に関わる施設内研修を実施しています。利用者・家族には、重要事項説明書に、虐待防止の項を設けて説明を行っています。成年後見人制度の利用促進も図っており、現在5名程度の利用があります。 |
【A6】A-2-(1)-① 福祉施設・事業所の環境について、利用者の快適性に配慮している。 |
---|
【第三者評価結果:b】 利用者が生活する事業所の2階・3階の間取りや居室等の配置は両階とも概ね同様に設計されています。リビングや食堂、廊下等の供用部分が広く、全体的にゆったりと感じられます。居室は全て窓に面しており採光通風は良好です。共用部分は、建物の内側に配置されていますが、建物の中央部分に吹き抜けの中庭があるため採光に問題はありません。築31年の建物ですが、令和5年度・6年度に大規模改修を行い、エアコン等空調設備や給湯設備、内装、外構改修工事が終了しています。共用部分には、諸所にソファが設置されると共に、整理整頓、清掃が行き届いており、快適な生活空間となっています。トイレは各室内に用意されています。居室内への馴染みの物品の持込みやベッド等は、利用者の意向に沿って配置を決めています。なお、各室は、2人部屋、4人部屋が多いためカーテンで仕切られていますが、外見からは病院の病室と同様な印象を受けました。 |
【A7】A-3-(1)-① 入浴支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。 |
---|
【第三者評価結果:b】 入浴は一般浴と特浴(機械浴)の浴室を備えています。入浴マニュアルに沿って、利用者個々の心身の状態や希望にあわせて、一般浴、特浴を選択して、プライバシーに配慮し、安全、安心、安楽な入浴支援を行っています。入浴方法は本人の希望に沿って行いますので、一般浴が可能な利用者が特浴を利用することもあります。利用者の入浴は基本的に週2回で、希望がある方に関しては午前・午後好きな時間帯を選んで入浴しています。皮膚疾患があり毎日の入浴が必要な利用者はできる限り毎日入浴を行っています。 |
【A8】A-3-(1)-② 排せつの支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。 |
【第三者評価結果:a】 排泄マニュアルに沿って、利用者個々の排泄間隔等、排泄状況に合わせて支援を行っています。また、自立での排泄を促し、トイレでの排泄意欲のある利用者には、職員が2人掛かりでトイレでの排泄を支援しています。また、利用者の心身の状況に応じて、オムツやポータブルトイレを用いています。利用者の健康状態に懸念のある場合は、看護師による排便のチェックを行っています。夜勤2人体制で、利用者の希望や状態に応じて、オムツ、ポータブルトイレ、トイレ誘導を行っています。失禁やトイレ誘導に際しては、利用者の尊厳やプライバシーに配慮して対応しています。 |
【A9】A-3-(1)-③ 移動支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。 |
【第三者評価結果:b】 一人ひとりに適した移動支援方法を職員間で工夫して、移動支援に努めています。車椅子による移動では、クッションンの当て方にも配慮しています。週1回来所する理学療法士のアドバイスを得ながら、廊下を利用した歩行訓練や、平行棒を利用した歩行訓練等を行い、利用者の自力での移動能力作りを支援しています。 |
【A10】A-3-(2)-① 食事をおいしく食べられるよう工夫している。 |
【第三者評価結果:a】 食事は委託調理ですが、献立には、施設から希望を伝えて年間の献立計画に反映させています。献立の中心は和食ですが、月初めには赤飯、小豆粥を採り入れ、昼食にはカレーやうどん、そば、ラーメン等、利用者の嗜好に合わせたメニューも盛り込んでいます。また、季節の旬のものを採り入れると共に、七夕や正月料理等行事食を提供しています。食事の進まない利用者には、ふりかけ等を提供しています。また、利用者が安全で楽しく食事ができるよう、食器やスプーン等を使いやすいもの、柔らかいものにすると共に、食事の席の配置等を考慮しています。栄養士とのヒアリングでは、「その時々に食べられる旬のものを提供している。食事が元気になるきっかけになれば嬉しい」との話を聞くことができました。 |
【A11】A-3-(2)-② 食事の提供、支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。 |
【第三者評価結果:a】 食事は楽しいものとすると共に、安全・安心なものとなるよう心がけています。利用者の摂食・嚥下状態に応じて、食事形態を、常食・一口サイズ・軟菜・ゼリー・ペーストの5形態に区分して、利用者に提供しています。食事を提供する際には、ゼリーやペーストでも、食材を混ぜないでそれぞれの味を楽しんでもらえることを大切にしています。また、利用者のペースに合わせて食事介助を行っています。利用者の嚥下状況は、申し送りやカンファレンスで共有すると共に食形態の変更や介助方法の検討を行っています。必要に応じて、歯科医師による嚥下能力検査を行っています。さらに、利用者の個別栄養ケア計画書を作成し、栄養状態の維持・改善に向けて介護・看護が一体となった栄養マネジメントを行っています。 |
【A12】A-3-(2)-③ 利用者の状況に応じた口腔ケアを行っている。 |
【第三者評価結果:b】 訪問歯科医により、毎週利用者の口腔ケア、口腔治療を実施すると共に、必要に応じて歯科医師による嚥下能力の検査を行っています。また、歯科医師の指導の下、口腔ケア計画書を作成し、計画に沿って口腔衛生、肺炎防止、義歯の不具合等の対応に努めています。 |
【A13】A-3-(3)-① 褥瘡の発生予防・ケアを行っている。 |
【第三者評価結果:a】 褥瘡予防マニュアルを備えると共に、褥瘡対策委員会を設置して、看護師・栄養士を中心に褥瘡の発生予防に努めています。また、褥瘡研修を毎年施設内で行い、支援方法の共有化を図っています。褥瘡が発生した場合は、同委員会で発生状況の確認を行うと共に、改善に向けて多職種で連携して対応に努めています。当該マニュアルは、定期的に、同委員会で見直しを行っています。 |
【A14】A-3-(4)-① 介護職員等による喀痰吸引・経管栄養を実施するための体制を確立し、取組を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 事業所には4名の看護師が配置されています。喀痰吸引・経管栄養の実施管理は看護師を中心に行われています。夜間帯の喀痰吸引については、看護師の指導の下、資格を持った介護福祉士が実施しています。経管栄養は看護師が対応しており、安全な支援体制が確立されています。また、喀痰吸引等の研修は、看護師により行われています。喀痰吸引や経管栄養に係る個別の支援計画も立てられ、計画に沿った支援が行われています。看護師のヒアリングでは、喀痰吸引、経管栄養の実施方法等の日常の業務に関わる内容と共に、「この事業所での経験は浅いが、薬の管理方法等の提案をすぐに採用してくれる、施設長等管理者が現場の介護に入る等、上下関係や勤務年数の区別なく協調姿勢が図られており、働きやすい」等の話を伺うことができました。 |
【A15】A-3-(5)-① 利用者の心身の状況に合わせ機能訓練や介護予防活動を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 毎日午前中に、体操する時間を設けています。また、希望者は毎週来所する理学療法士の評価に基づき、個別のプログラムに沿って機能訓練を行い、ADL(日常生活動作)の維持・向上を図っています。理学療法士の指示により、介護職員が定期的に個別リハビリを行い、ALDの低下を予防しています。認知症の変化が見られた時は、精神科の医師に相談すると共に、その結果を家族に伝えています。なお、利用者の自立促進や、機能低下を防止するため、理学療法士が用者の意欲を引き出しながら機能訓練を行うと共に、理学療法士の指導の下に介護職員が利用者のリハビリに努めており、こうした取組によって介護度の改善につなげたケースもあります。 |
【A16】A-3-(6)-① 認知症の状態に配慮したケアを行っている。 |
【第三者評価結果:a】 認知症に関する事業所内研修や外部研修を受講することにより、職員は認知症を理解し、利用者の支援に生かしています。BPSD(認知症の行動・心理症状)により、妄想等の心理症状や徘徊等の行動症状が見られる利用者には、多職種によるカンファレンスを行い、また、必要に応じて精神科医に相談して対応方法を共有し、利用者が落ち着ける環境を整えると共に、職員連携を図りながら支援を行っています。 |
【A17】A-3-(7)-① 利用者の体調変化時に、迅速に対応するための手順を確立し、取組を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 当施設では、眠りスキャンを導入しています。眠りスキャンは、覚醒、睡眠状態が把握できるだけでなく、心拍数や呼吸数等の異常等が集中管理のモニターにより把握できるものです。日々、看護師が利用者の健康状態をチェックしています。利用者の体調変化等の緊急時には、職員が即時に閲覧して適切な対応が図れるよう、日中・夜間等を想定した緊急時対応チャートを備えています。 |
【A18】A-3-(8)-① 利用者が終末期を迎えた場合の対応の手順を確立し、取組を行っている。 |
【第三者評価結果:a】 看取りが想定される場合には、家族、嘱託医、看護師・介護職員等関係職種が参加する「看取りカンファレンス」を実施し、共通認識を持って終末期の利用者支援に当たることを確認しています。看取り介護マニュアルを備えると共に、看取り検討委員会を設置して、看取り体制を整えています。また、毎年看取り研修を行い、看取りに対する職員の共通理解を図っています。令和5年度では、11件の看取りがありました。介護職員のヒアリングでは、「利用者・家族・職員に悔いが残らない、後で、家族・職員が良かったと達成感が感じられる看取りに努めている」との話を伺うことができました。 |
【A19】A-4-(1)-① 利用者の家族等との連携と支援を適切に行っている。 |
---|
【第三者評価結果:a】 利用者支援を家族と共に行う姿勢で、家族との関係性、連携を大切にしています。利用者の希望に沿った生活を可能にするため、家族と共に考え、具体的サービスの実施方法を検討しています。また、行事や面会、ケアプランの見直し時等の機会を捉えて、利用者の生活状況や心身の状況を丁寧に伝えています。家族からの相談には専門用語を使わずに分かりやすい表現での説明に努めています。また、利用者の日頃の生活や行事等の様子を広報誌に掲載して家族に配付しています。現在は、フロアでの面会を再開し、利用者の普段の様子を確認できるようにしています。さらに、家族に対する利用者満足度調査を毎年行い、利用者支援に関わる意見や要望・提案を利用者支援に反映しています。 |
【A20】A-5-(1)-① 安定的で継続的なサービス提供体制を整え、取組を行っている。 |
---|
【第三者評価結果:a】 事業所の重点目標に記載の通り、多職種、多雇用形態の職員が連携して、ケアプランに沿って、チームとして組織体制を整え、安定的かつ継続的な利用者支援に取組んでいます。また、定期的に多職種が参加してカンファレンスを開催すると共に、申し送りや、全体・フロア・係等の各種会議、各種委員会、回覧、内部研修等で必要な情報を共有しています。外部の精神科医や機能訓練士等から必要に応じて助言や支援を得て、利用者支援に生かしています。理念、方針に沿った介護支援と充実した介護サービスを提供しています。 |